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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



【夏コレ!】海だ! 川だ! 魔物だぁー!?

担当 鞠りん GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

出発日 2019-06-21

完成予定 2019-07-01

参加人数 6 / 8
●  観光と漁業の街『アルチェ』。  夏になると、海水浴などが目的で、アルチェの『サビア・ビーチ』は多くの人で賑わい騒がしくなるのが、この辺りの人々の楽しみになっているよう。  そんな夏の日差しに当てられたアルチェを抜け、少し離れた場所に『エスト川』という川があり、アルチェから上流へ向かえば向かうほど、その水量が増し流れは激しくなる。 「……この辺りで良いかしら?」  エスト川の下流近くで、穏やかな川の流れを眺めているのは、フトゥールム・スクエアの教師【ユリ・ネオネ】だったりするのだが。  でも、どうして彼女がここに?  それは、夏のイベントを、更に盛り上げるために決まっているでしょう! 「ああ居たわ。水と言ったらこれよねぇ」  ユリが見つけたのは、一匹の見た目が美人な……魔物なのか!? 「ふふふ、これでもっと楽しめるわよ」  見つけた魔物に、少しだけ細工をし、ユリは学生たちが居るアルチェへと戻る道を辿る。  ――一体何をしたんだ、ユリ先生!!  一方、学生たちはというと、新入生にとれば入学初めての夏、しかも観光地アルチェということで、みんな期待と解放感に、ビーチで泳ぐだの、露店で食べ歩きをするだの大はしゃぎ。  普段は真面目に授業に取り組んでいる学生だって、海に来れば騒ぎたくもなるでしょう?  水着に着替えビーチに……。ほとんどの学生が、そう行動しようとしていた、そんな中。 「貴方たち、海も良いけれど、川で急流下りを楽しまない? 勿論私が引率してあげるわよ」  学生たちの前に現れたのは、レースの目隠しはそのままに、黒のワンピースタイプの水着と王道なのだが、胸の部分が紐状に縛られていて、その大きな膨らみを存分に誇張されているユリ先生が、腰に手を当てて佇んでいるではないか。  男子学生は『うおぉぉー!』と驚き、女子学生は、そんな男子たちを白い目で見る……のは、いつもの光景なのだから、目も当てられない。  一つ残念なのは、腰から下は膝丈ほどの紫のビスチェで見えないという点。  でも、上だけ……特に胸でも見られただけでも、海に来たかいがあるってものだと、男子たちは思っているらしい。  ――青春だねぇ。 「それで? 私が用意した、急流下りに行く生徒は?」 「ユリ先生、急流下りということはボートですよね。危険ではないんですか?」  質問した学生の意見はごもっとも。  一般的にボートといえば木製。それで急流と言うほどの川に出れば、途中に激しい水流や岩などが想定出来、下手をすればボートは木っ端微塵に……なるかも知れない。 「その心配は少ないわ、事前にボートには風の魔法をかけてあるもの。貴方たちが協力して岩を回避すれば、多少岩に当たっても風のクッションがカバーするわよ」  流石ユリ先生!  鬼教師なんて言われているけれど、考えるところは考えてくれている。  そう喜び、急流下りに名乗りを上げる学生が続出したのは……言うまでもない。  なのにユリは、 「そうそう、武器はちゃんと用意することね」  『どうして?』と、質問する学生たちが多い中、ユリは一言、 「この世界は、どこにでも魔物は居るものよ」  ……それだけしか答えてはくれなかった。 ●  ユリと学生たちは、川の上流を歩いて目指す。  それにしても、ユリは先ほどの水着のままの姿で、しかも足は踵が高いサンダルなのに、全く気にならないような素振りで山を歩いている。  黒幕・暗躍コースの先生ともなると、この程度の山道は、普通に歩くのと同じなのだろうか?  そんな学生たちの素朴な疑問は絶えない。  どんどんと流れが早くなる川を見ながら、山道を歩くこと30分以上、ユリは顔色一つ変えずに歩くが、学生たちはそこそこに疲れを感じて来ている……と、思っていたら、ユリが漸くその歩みを止めた。 「着いたわよ。ここから下流に一気に下る。絶好の場所じゃなくて?」  ボートを出せるほどの広い草むらがあり、川幅も大きいベストポジション。  これ以上進めば、ボートが出せないか、水圧が高過ぎてボートは簡単に壊れてしまうだろう。  ここまで歩かせるなんて、やっぱり鬼だ。  そう思っていた学生たちも、ユリの的確な判断は納得出来るもの。  ……先に言って欲しいけど。 「さあ、思いっきり楽しんで来なさい。そうね、無事にアルチェまで帰って来れたら……ご褒美くらい出すわよ?」  無事!?  何気ないその言葉に、一抹の不安が学生たちの間を駆け抜けるが、今は目の前の楽しそうな急流下りが先と、それぞれユリが用意していたオールを手に持ち、全員一緒のボートに乗り込んだ。 ●  学生たちを見送り、一人上流に残ったユリ。  目はレースで見えないが、その顔は笑っているようにも見える。 「ふふ……。私が出した夏の課題を、どうクリアーしてくれるかしら? ……楽しみね」  学生たちが……ボートが下流に着けば、先に仕込んだ魔物を抑えている『影縫い』が解け、学生たちに向かって襲いかかる。  だからこその武器持参、これもユリの計算の内。 「私からの夏のプレゼントを受け取って頂戴。でも本当にクリアーしたら、ご褒美を用意して、アルチェで待っているわよ。……頑張りなさいな」  そう独り言を呟き、ユリは凄いスピードで山を下り出す。先回りして、学生たちのご褒美を用意するために。  ユリ先生が出した課題をクリアー出来るのか?  それは、みんなの協力にかかっている。  さぁ! 川と魔物との夏を満喫しようしゃないか!
【夏コレ!】水着を買いに行こう!

担当 桂木京介 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 とても簡単

報酬 なし

出発日 2019-06-21

完成予定 2019-07-01

参加人数 8 / 8
「夏、だなっ☆」  と【メメ・メメル】校長が君に話しかけてきた。わりと突然に。  それは、あなたが学食でカレーを食べているときだったかもしれず、友達とわいわい校門を出たときだったかもしれず、はたまた、授業中に居眠りして廊下に立たされている最中だったかもしれない。  ともかくメメル校長は凶器サイズの胸を揺らしながら君の眼前に飛び出してきて呼びかけてきたのである。 「夏だな!」  と。  いえまだ間があるような――と、君は冷静に返しただろうか。  イエス! と腕まくりして答えただろうか。  それとも、近くで見るとますますデカいな、とわりと無関係な感想を抱き生唾を飲み込んだろうか……ッ。  いずれにせよこちらのリアクションになどお構いなしにメメルは続ける。 「毎日毎日カクジツに暑くなっており、もう気分は夏なのだ。少なくともオレサマ的には☆」  というわけで、と言ったのだ。 「夏といえば海にプールに川に……とにかくスイミングなのだ。だから水着を買いに行こうぜ! なんならオレサマが選んであげよう☆ むしろ選ばせろ、みたいな♪」  やる気まんまんのメメルに導かれ、君は学園都市のショッピングモール『クイドクアム』に連れて行かれるのであった。  かぎりなく『連行』に近い形で。  さあ、クイドクアムに水着を買いに行こう!    ◇ ◇ ◇ 「水着を買いにいくの~? え~、どうしようかなぁ」  もじもじした様子で【キキ・モンロ】はかたわらの【サラシナ・マイ】に訊く。 「マイは行く~? キキはね、帰りにごはんごちそうしてくれるなら行ってもいいの~」 「お前いつもそれだよな。ある意味ブレないというか」  キキはもう行く気でいっぱいのようだが、マイは乗り気ではなさそうだ。 「オレはあんま興味ないな。わざわざクイドクアムまで出なくても、『アボット』(※制服専門店)で学園指定だか推薦だかの水着買う程度で構わねえし」  え~っ、とキキはイヤイヤをするように左右に揺れる。 「マイも行こうよ。せっかくだもん。おなかもいっぱいになるよ」 「せっかくってったってなぁ。ていうかなぜ食うことが前提になってんだよオイ」  とはいえキキにお願いされるとマイは弱い。 「しょうがねえなあ……」  というわけで首尾良く、君たちの誘いにキキとマイは乗ったのだった。  クイドクアムに水着を買いに行こう!  ついでにご飯もお忘れなく。  ◇ ◇ ◇ 「水着を買いに行くのかい? いやあ、どうしようかなあ」  あっはっは、と錬金術教師【イアン・キタザト】はかたわらの【ゴドワルド・ゴドリー】に訊く。 「ゴドーは行……」 「行くわけないだろ。お前の水着は褌(ふんどし)で十分だ」  ゴドリーは、とりつく島もない様子である。  君たちは一体どうしてしまったのか。気の迷いかそれとも、トリップする魔法薬の匂いでも嗅いでしまったのか。キタザトとゴドリーという、おっさん教師二人組に水着を買いに行こうと呼びかけるなんて! (※キタザトは少年みたいに見えるがゴドリーと同い年である) 「じゃあ褌でいいからゴドーも付き合ってね」 「冗談はよせ」 「だったら褌で泳ぐのと、今から水着を買いに行くの、どっちがいい?」 「そ、それは水着を買いに行くほうが……おい待て」  なぜその二択なんだとゴドリーは言うのだが、いつの間にかキタザトに丸め込まれて、君たちに同行することになってしまうのだった。  クイドクアムに水着を買いに行こう!    なお、フル甲冑を着込んだ素顔不明の教師【ネビュラロン・アーミット】に声をかけた君は、 「…………」  無言の彼女から、ヘルメット越しの凍てつくような視線を浴びる羽目になった。   ◇ ◇ ◇  クイドクアムに水着を買いに行こう!  買いに行こう!  だってもうすぐ夏だから! 理由なんてそれで十分じゃないか。
【夏コレ!】第1回★熱血スイカ割り大会!

担当 あまのいろは GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

出発日 2019-06-22

完成予定 2019-07-02

参加人数 5 / 8
●  時が流れるのは早いもので、ツリーフォレストマンによる熱烈な歓迎から数ヶ月。  魔法学園フトゥールム・スクエアに通う学生たちも少しずつ学園に馴染み、クセが強すぎる先生に先輩や、奇想天外な授業にも、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなってきた。  けれど、そんな彼らを1枚の張り紙が驚かせることになる。 『おっすおっす! フトゥールム・スクエアの学園長メメたんからのお知らせだぞ!  毎日授業に課題を頑張る諸君にささやかな御褒美だ! 海辺の街アルチェにご招待!』  海辺の街、アルチェとは、夏になると海水浴やマリンスポーツに訪れる観光客で賑わう街。  街中に飲食店やホテル、土産屋が立ち並び、1日ではとてもじゃないけれど回りきれない。  そんな観光地の浜辺で羽を伸ばしてきてよいと、学園長からのお達しが出たのだ。  アルチェの街までは学園がしっかりサポート。しかもスイカまで用意してくれるらしい。  学生たちは、アルチェの海にそれぞれ想いを馳せる。  きらきら輝く海辺に響く、楽しそうな笑い声。泳ぐだけじゃなく、砂浜でビーチバレーも楽しそうだ。ああ、夜になったら花火もしたい。  もしかして。いつもはしっかり着込んでいるあの子の水着姿が見れちゃったりして。  夏の日差しがいつもより開放的な気分にしちゃったりして。気になるあの子と大接近! なんてこともあるかもしれない。ないかもしれない。  ぶっちゃけ、ものすごく、行きたい。学生たちは、その誘いに乗ることにした。  まあでも、これ、メメたん学園長からの誘いなんだ。 ●つまりは罠である  浜辺にスイカがあった。  大人ひとりをゆうに越す大きさのスイカだった。  聞いてない。スイカを用意しておくぞ! とは言っていたけれど。  こういうスイカだって聞いてない。今回はきゃっきゃうふふするだけの楽しい話だと思ったのに!!  というかこれなんなの? 魔物なの? 原生生物なの?  分かるのは、とにかく大きいスイカが海辺に転がっていることと、遊ぶためにはとりあえずこのスイカを壊すしかないらしいということだ。  まだ海に入っていないのに、頬を伝ったそれはなんだかしょっぱい味がした。気のせいかな。
【夏コレ!】アルチェを襲う海の巨影

担当 伊弉諾神琴 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 難しい

報酬 多い

出発日 2019-06-23

完成予定 2019-07-03

参加人数 5 / 8
 春から夏へと移り変わりつつあるこの頃。  海の街アルチェも、夏に向けて本格的に観光の準備が進み始めている。やはり夏は海と相場が決まっているからだ。  海開きが間近に迫ってきた白い砂が輝くサビア・ビーチでは、貸出するボートや水着、ボールなどを用意していた。  メルカ漁港方面では観光客たちへ獲れ立ての魚や干物などを提供するため、日々漁に勤しんでいる。  そんな折、漁師たちの間でとある噂が実しやかに囁かれた。  「『海喰い(うみくい)』が目覚めた」と――。  『海喰い』とはアルチェで古くから仄めかされてきた都市伝説であり、深海で眠る巨大なタコであるという。主に秋から冬にかける魚の繁殖期に百年周期で目覚め、アルチェの沖合で海上と深海を往復して魚を捕食し、満足したら再び眠りにつくとされている。  一度眠りについた後は目覚めるまで長い期間を要するため、その姿を目にした者が生きていることはごく少ない。あくまで都市伝説や噂で語られる程度の存在だった。  ところが、連日海に出ている漁師たちは少しずつ違和感を覚え始めていた。  海から魚たちがいなくなっていく。日に日に獲れる魚の量が減っているのだ。  それは当人たちの感覚だけの話ではない。鳥山の数もどんどん少なくなっている。海鳥たちも餌場が無くなって困惑したかのように、どこか遠くへと飛び去っていく。  そしてとうとう事件は起こる――ある日、沖合に出たはずの漁師が血相を変えて戻ってきた。  この世のモノではない何かを見てきたような形相の漁師へ、どうしたどうしたと仲間が問いかけるとただ一言――。 「『海喰い』が出た。大渦を起こして魚を喰らってる」  漁師仲間は大爆笑の渦に飲み込まれた。そんなはずないと、最初は笑い話にしていた。  だが、一隻二隻、さらに一隻二隻と、沖合に漁に出たはずの船がどんどん漁港へと帰ってくる。どの漁師も焦った様子で、『デカいタコが居た』、『巨大な影が海の中に』、『ビーチの方へ向かっている』――口々に叫ぶ漁師たちに、その場にいた全員の背筋が凍った。  伝承では人を喰らう事は無いとされるが、観光客たちの安全を考えると放置するのは得策ではない。  しかし夏は刻一刻と迫っている。  今から海開きを延期させるか?  バカンスやグルメを楽しみに来た観光客たちも追い返すか?  そんなことはさせない――漁師たちの行動は早かった。アルチェに浮上しつつある『海喰い』について文献を読み漁る。『海喰い』を深海に追い返し、あわよくば討伐せしめるだけの情報を得ようとした。  勇者の学校『フトゥールム・スクエア』にも協力を仰ぎ、人騒がせな客人……もとい客蛸にお帰りになってもらう準備をする。  アルチェの人たちは諦めない。観光に来た人たちのひと夏の思い出を守るために。  ……君らも同じ気持ちのはずだ。  楽しい楽しい海辺の青春を謳歌したいだろう?  生命の母たる海が育んだ、美味な魚や貝を食べることを邪魔されたくないだろう?  ならば、取るべき行動は一つだろう?  さあ、勇者たちよ――海開き前の招かれざる客を追い返す時が来た。
おお、花嫁よ!

担当 宇波 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

出発日 2019-06-19

完成予定 2019-06-29

参加人数 8 / 8
 ――結婚……結婚は人生の墓場だ……――。  耳元で、だれかが囁く。  幸せな結婚式前のこの時期に、輝く未来へ墨汁を垂らす、不穏な囁きを。  ――どうせ結婚したら化けの皮が剥がれるさ……旦那は嫌な男かもしれないぜ……――。 (そんなことないわ。彼は優しいもの)  ――祝ってくれてても……友達は内心嫉妬してるんだ……結婚したらみぃんな離れてく……――。 (やめてよ。どうしてそんなことを言うの)  ――やめてしまえよ……独身の方が気楽だぜ……――。 「やめてよ!」  甲高い、自分の悲鳴で目が覚める。 (夢……?)  荒い息を整えながら、寝室を見渡す。  何の変哲もない寝室。  いつも通りの風景。  そのことに、少しだけ安心する。 「ふぅ……」  額から流れ落ちる汗はシーツに染みる。  彼女はもう一度眠ろうと、して。 「き」  はた。  横向きに入った布団。  ベッド脇にいた、それと目が合った。 「きゃああああああ!!」 「毎日雨でじめじめして……。嫌になりますねぇ」  魔法学園『フトゥールム・スクエア』。  梅雨のじめっとした空気に顔を顰めながら、受付窓口まで集まった生徒たち。  しかし、彼らよりももっと顔を顰め、一層不機嫌そうな者は、彼らと正面から対峙する受付職員。  頭痛持ちなのだろうか。 「雨と言えば、今はジューンブライドの時期ですね」  ジューンブライド。  梅雨のこの時期に結婚すると、一生幸せになれると言う、幸せな言い伝え。  職員は一層、苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。 「そのジューンブライドにかこつけて、人の幸せを踏みにじる魔物が出ているんですよ」  なんだと、それは許せない。  生徒たちが憤慨すると、そうでしょう、そうでしょう、と職員も何度も頷く。 「その魔物は、『ブルー・マリッジ』。結婚が決まった花嫁に、結婚に対するマイナスイメージを夜な夜な囁き、記憶に植え付ける魔物です」  なんて悪質な。  聞けば、中にはそれが原因でマリッジブルーに陥る花嫁や、結婚自体を取りやめた花嫁もいるらしい。 「その魔物はどういった容姿を?」  絶対に許せない。  怒りをそのままに特徴を聞くと、職員は指折り、特徴を伝える。 「黒いシルクハットを被り」 「ほうほう」 「手にはステッキ」 「紳士かな?」  話を聞くひとりが、手帳にメモを取っていく。 「劇画風の太い眉に」 「劇画……」 「きりっとした濃いめの両目」 「……はい」 「くるんと外側に渦を描くちょび髭を生やした」  メモにはいつの間にか絵が描かれている。  なんとなく、紳士のような……百戦錬磨の猛者のような姿見だ。  生徒たちは最後の特徴を聞いた。 「卵型の魔物です」 「イースターはもう過ぎ去ったよ!」  生徒の突っ込みに、はっはっは、と職員は笑う。 「以上が、ブルー・マリッジの外見的特徴になります。花嫁に対する精神的な攻撃が主攻撃で、物理的な攻撃力は皆無と言っていいでしょう。割ればいい目玉焼きになりそうですね」  朗らかに言うものの、職員の目は笑っていない。  苦笑いで返した生徒は、そっと目線を逸らした。 「現在確認されているブルー・マリッジは8体です。奴らは、この教会をねぐらにしているようです」  渡された地図をしっかりと確認していると、職員からそれから、と声がかかる。 「ブルー・マリッジについて重要なことをお伝えしますね。この魔物は、結婚式前の花嫁か、花嫁姿の者にしか目視できません」  うん? 生徒たちは首を傾げた。 「なら、どうやって……」  職員はにっこりと、無言のまま一着の服を取り出す。  白のフリルやレースで厚みを持った、ふわっふわでふりふりな、純白のドレス。  紛うことなき、ウエディングドレス。 「あの、これ……」 「全員分あります」 「いや、だから……」 「女性も男性もそうでない方も、全員着て行ってください」  渡された、もとい押し付けられたウエディングドレスを手に、困ったように顔を見合わせる生徒。  職員は笑っていない目で、ふふふふと笑った。 「検証のために私も着たんですよ……。まったく、人の幸せを祝えない魔物なんて、いなくなってしまえばいいのに」  魔法学園『フトゥールム・スクエア』学園窓口受付職員【ウケツ・ケ】。  彼は存外、根に持つ男だった。
≪奉仕科1≫誕生日パーティーのお手伝い

担当 浅田亜芽 GM

ジャンル ハートフル

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

出発日 2019-06-17

完成予定 2019-06-27

参加人数 5 / 8
 第一校舎『フトゥールム・パレス』の、ある大教室に集まった学生たちは、今日から始まる新しい授業科目に興味津々の面持ちで、先生が来るのを待っていた。  ガラリ。  勢いよく扉を開けて入ってきたのは、ヒューマンの女性教師。  年の頃は30手前だろうか。  肩の下まで届く亜麻色の髪には程よいウェーブがかかっていて、彼女の歩みに合わせて軽やかに揺れる。  教壇の前に立ち、抱えてきた書類をタンっと置くと、注視している学生たちに零れるような笑みを向けた。 「皆さん、初めまして! 私は奉仕科の授業を担当する【ユリア・ノイヴィント】です」  温かみのある澄んだ声は、教室にいた全員の耳を一瞬で捉えた。  ユリア先生は続ける。 「皆さんは奉仕科って何をするの? と疑問に思っていることと思います。奉仕科で行うのは……」  一旦言葉を区切り、教室の端から端まで見渡したユリア先生は、きっぱりと告げた。 「ズバリ、『人助け』です。皆さんには困っている人を助けたり、困っている事を解決したりしてもらいます!」  教室内がざわめいた。  喧騒が落ち着くのを待ってから、ユリア先生は静かに口を開く。 「まず皆さんに質問ですが、勇者に必要なことは何だと思いますか?」  あちこちの席から、 「勇気!」 「体力も!」 「戦闘力は?」  などの声があがる。 「そうですね。それらはもちろんとても大切な能力ですが、それだけでは十分ではありません。『思いやり』や『想像力』など、人間らしい心を磨いてこそ勇者たり得るのです。その訓練をする科目として奉仕科があります。人の役に立つ経験が真の勇者となる糧になるのですよ」  次にユリア先生は、この授業のシステムを簡単に説明した。  様々なジャンルの依頼を受けて実習に行くため座学ではなく、難易度もまちまちであること。  そして、出来るだけ学生が自分たちで解決方法を見つけることが大切であること。  そのためユリア先生は適宜サポートするにとどまること、などだった。 「難しそうと感じても思い切って挑戦してみることが大切です。きっと新たな発見があり、自身の成長に繋がりますからね」  ユリア先生の説明が一通り終わった時、 「しつもーん!」  と一人の学生が挙手した。 「先生、困っている人や困っている事ってどうやって見つけるんですか? 無かったら課題をこなすことができません」 「ああ、それは心配ありません。私が日頃、さまざまな依頼を広く受け付けているので、お困りごとはたくさん『ストック』されている状態なのですよ」  ユリア先生は質問した学生に、 「積極的でいいですね」  と褒めてから、全員に向かって言った。 「今日はそのストックの中から、皆さんが取り組めそうな内容をいくつか選んで持ってきています」  ユリア先生は書類の束を指し示す。 「後で参加希望者を募りますから、依頼の内容をよく聞いてくださいね。では一つ目」  一番上にあった書類を取り上げて、声に出して読み始めた。 「おばあ様の誕生日パーティー準備のお手伝いの依頼です。依頼者は10歳と8歳の兄妹……」
人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて…?

担当 へぼあざらし GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

出発日 2019-06-14

完成予定 2019-06-24

参加人数 8 / 8
 ――本当に、私は幸せ者です。  教師、【フェレ・ディア】は今年、結婚することになった。新入生がやって来て、学園がにぎやかになり始めたこの時期、幸せな出来事がかさなるように、その知らせはやってきた。  ディア先生が選んだ式場は、魔法学園フトゥールム・スクエアの北西部に位置する、もゆる煙と極楽の街【トルミン】にあった。ここはいわゆる温泉街のような場所で、観光地として人気である。 「せっかくだから、幸せな気持ちが集まっている場所で式を行いたかったの」  ディア先生は自身の水色の髪をいじりながら、そんな乙女チックなことを口にしていた。そんな話を聞くと、こっちまでときめいてしまう。だから学園の生徒たちもディア先生に幸せになってもらえるように、結婚式の準備を手伝おうと意気込むのであった。ディア先生もはじめのうちは遠慮していたが、生徒の熱意に押されてしまう。 「本当にうれしいわ。……でも手伝ってくれるなら、課題(クエスト)にしてあげなきゃね!」  ディア先生のはからいで、お手伝いはちょっとしたアルバイトになった。そして、結婚式も間近になってきたころ、ディア先生と生徒たちは荷馬車に乗って森の中を移動していた。 「これだけの貴重なぶどう酒。あの人も喜ぶと思うわ」  荷馬車に積んでいたのは学園から贈られた、最高級のぶどう酒であった。これは滅多に手に入らないものだが、人の高さほどある大きな酒だるが荷馬車に乗せられている。これは、【コルネ・ワルフルド】先生が学園に贈り物として掛け合ってくれたものだ。ダンナさんが喜ぶだろうとのことだったが、結婚式で自分が飲みまくりたいだけであろう。え、違う? 「……こんなにみんな祝福してくれて……私にはもったいないくらいだわ」  ディア先生はぽつりとつぶやいた。ローレライの血を引く彼女の肌は、透きとおるように白いので、よく顔が赤らんでいるのが分かる。生徒たちもそれを見て、ついはにかんでしまう。ここまで応援した甲斐があったものだ。生徒たちはそんなことを思っていたのだが――その馬車を狙う二つの影があった。それは遠くからものすごい速さでこっちに向かってくる。 「あれだよ、兄さん。うわさに聞いた極上のぶどう酒だ。フトゥールム・スクエアの学園長でもなかなか飲めないだとか」 「あぁ、弟よ。あれをいただかずには帰れないな」  そんなことを口にする彼らは、金髪で、顔立ちが整っていて、筋肉質な身体を持ち、そして何より下半身が馬のすがたをしていた。 「…………ケンタウロス! な、なんでこんな時に?」  ディア先生は悲鳴に近い声を出す。それもそのはずでケンタウロスは魔物の中でも上位クラスの存在である。それが同時に二体出現したのだから、ディア先生が焦らないわけが無い。  そして、こんな噂を聞いたことがある。 『気性の荒い双子のケンタウロスがいるらしい』  彼らは、弓の名手である兄のペネと、こん棒使いの弟ペレ。一見、美形でおとなしそうな彼らは、喧嘩をすると感情がむき出しになると聞く。加えてケンタウロスはそもそも好色酒好き暴れ者。出会ったらただでは済まないと思った方が良い。  しかし、そんなことで心が折れる学園生徒ではない。勇敢な彼らは武器を持ち、立ち向かおうとしているではないか。ディア先生はそのたくましい生徒たちのすがたを見て、改めて勇気づけられる。そして、幸せを感じていた。自分の教え子たちが、自分を守ろうと奮起しているのだから。また、ディア先生はあることに気が付く。 「……そうよ、彼らは人が多くいるトルミンの街近くまでくれば追ってこれないはずだわ。そこまでたどり着ければ……」  そう、トルミンまでの道のりはあと少しだ。これを乗り切れば難を逃れられる。ディア先生は自分の杖を取り出して、戦闘に備える。彼女は戦闘に不向きではあるが、相手を惑わす幻術は一級品だ。 「ケンタウロスは女好きだから、それに効果的な幻術を使うわ。……けど、ちなみに案があったら教えて欲しいの。私、あまり男の子が好きな……そ、その喜びそうなのってイメージわかないから」  ディア先生は生徒たちにそう言いながら顔を真っ赤にしている。ちなみに、過激な事だけは彼女に吹き込んではならない。そんなことをすればダンナさんからの鉄拳制裁が下るだろう。俺のウブな嫁になにしてくれとんじゃ、と。 ちなみに、ケンタウロスは女好きとは言えども、未成年や成人したての人には興味を持たないらしい。彼らだって、一応は紳士だ。ロリコンではない。決して。  と、考えている間にもケンタウロスは距離を詰め始めているではないか。ただ、生徒たちにも策はある。  そして、暴れ馬たちとの攻防戦が幕を開けた。ディア先生の結婚式をジャマさせることだけは生徒たちも許さない。それと、こんな時に襲ってくるのが馬というのも変な話だ。なにせ、昔からこういうではないか。人の恋路をジャマする奴は、馬に蹴られてなんとやら、って。今回はどうやら、その馬の方をどうにかしなければならないらしい。
君が見えない

担当 宇波 GM

ジャンル シリアス

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

出発日 2019-06-11

完成予定 2019-06-21

参加人数 8 / 8
 見えない。  遠くなる。  ぽつんとひとり。  暗い場所で、ひとり、立っていた。  だんだんと、離れていく。  後姿が、遠くなる。  手を伸ばしたけれど、その姿に届かない。 (ああ、行かないで)  君の姿が遠くなる。 (だめ、行かないで)  君の姿が薄くなる。 (お願い、ここにいて)  君が、見えない。 「『記憶が無くなる迷路』……?」 「はい。最近、噂にもなっているようですね」  記憶が無くなる迷路。  それは、遊園地にでもありそうなアトラクションボックスのようなもの、だとか。  それは、入れば記憶が抜け落ちていく、人の記憶を喰う魔物、だとか。  それは、意志を持った移動型コンテナのようなもの、だとか。  どこか掴みどころのない、一貫性もない、ふわふわとした雲のような噂。  それは、都市伝説や七不思議にも似た、不思議な魅力を纏い、人々の耳から耳へ伝播(でんぱ)する。 「今回、依頼に出されている、討伐対象でもあります」 「迷路を、討伐?」  耳慣れない討伐対象に、首を傾げる生徒たち。  無理もない。  迷路という討伐対象相手に、どう対処すればいいのか、だれもピンときていないのだから。 「はい。この迷路の中には中心となるコアがあり、そのコアを破壊すれば迷路は討伐できます」  受付職員は、そっと目を伏せる。 「しかし、先ほども申し上げた通り。この迷路は入れば記憶が失われます」  それも、その人にとって一番大切な記憶から。  順々に、順々に失われていくという。  大切な記憶。  家族の記憶かもしれない。  幼い時の、初恋の記憶かもしれない。  勇者になりたいと、強く思う気持ちかもしれない。  ……失われる? その、記憶が?  ぞっとする。  鳥肌の立った二の腕を摩り、ひとりは拒否を示した。 「無理です。記憶がなくなるなんて、考えられない!」  彼に賛同するように、ひとり、またひとりと声を上げていく。  職員はぎゅ、と強く目を瞑る。 「……既に、何人か。この迷路に入り、記憶を失っています」  民間人の、力のない被害者がいる。  その言葉に、僅かに揺れ動いた者がいた。  それでも、響かない者もいた。 「……私も、そのひとりです」  生徒たちは耳を傾ける。 「正直、どうしてここにいるのか、分かっていません。顔見知りの人も、もしかしたら、いらっしゃるのかもしれませんが、すいません。覚えていないんです」  彼は、彼が受付職員であるということを忘れているという。  ここにいるのは、僅かに残った責任感と、長年の業務で染みついた習慣のおかげだろう。  彼は頭を下げる。 「迷路を討伐さえできれば、記憶が戻ってくるかもしれないんです……! 被害者の記憶も、これから入るみなさんの記憶も。どうか、お願いします」  大切な記憶を賭け、大切な記憶を取り戻す、迷路討伐。  生徒たちは息を呑む。  あるいは緊張で、あるいは恐怖で。  もしかしたら、未知の体験に湧き上がる冒険心を覗かせた者もいるかもしれない。  職員は空気が揺れ、僅かに変わったことを感じ取る。 「迷路は危険物として登録しています。我々は、件の迷路を暫定的にこう呼んでいます」  『ロスト・メモリー』と。
月夜の狩人

担当 七四六明 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 多い

出発日 2019-06-08

完成予定 2019-06-18

参加人数 8 / 8
 フトゥールム・スクエアに来てしばらく。ついにこのときがやって来た。  校長先生によって新入生たちに与えられる難易度の高い試練――実力テスト!  これまでに学園で学んだ魔法、技術のすべてを試す絶好の機会に皆が全力で挑む。  筆記、実技を終えて、いよいよ実戦テストのときが来た。  内容は二人以上八人以下のチームを組み、依頼人役となっている先輩を狩人役の先輩方からの猛攻から制限時間の間護り切れば合格となる厳しい試験。  チームごとに試験会場は異なり、それぞれが全力で先輩方に挑んでいく中、ついに自分達の番が来た。  試験会場は学園近くの森の古城。月夜に輝く真夜中に、新入生を狩るため参戦した狩人三人が待ち構える。 「悪いけど手加減はせぇへんよぉ? 覚悟を決めてぇな」  銀髪のヒューマンが木刀を担いでケタケタと笑う。どこの国の訛りかはわからないが、細身の外見もあってのらりくらりとこちらの手を躱して来そうな危うさを感じる。  その隣で、少々老け顔のローレライは面倒そうに頭を掻きながら疲れ切った様子で湿った溜め息を吐いた。 「ま、こっちも単位が掛かってるからなぁ……」  面倒だが、全力で。その方針はヒューマンと変わりないようだ。  ヒューマンのほくそ笑むような目に対して、不機嫌そうにも見える鋭い眼光でこちらを睨みつけてくる。 「いやいや、手加減しないといけないから。手加減してねって先生に言われたから。それこそ大怪我なんてさせたら私達の面目ないから。本当、頼んだからね?」  と、虎のルネサンスが諫める。  だがこの先輩が一番危険だと聞いている。  先のテストにも狩人として参加して大暴れし、二チームに不合格の烙印を叩きこんだらしい。三人の中で、最も油断ならない相手だろう。 「ほな、始めよか? 後輩諸君、せいぜい気張りぃやぁ」  果たしてこの強敵狩人の猛襲を潜り抜け、テストに合格することはできるのか。  これまでに学び、経験したことすべてを出し切って、見事試験に合格せよ!  次代の勇者一行による難関実戦テスト、開幕!