;
はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



絞込
ジャンル 難易度 GM メモピン
キーワード検索

クラックネット 革酎 GM
1000

ジャンル サスペンス

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 通常

公開日 2020-03-31

予約期間 開始 2020-04-01 00:00
締切 2020-04-02 23:59

出発日 2020-04-10

完成予定 2020-04-20

参加人数 7 / 8
 煙と極楽の街、『トルミン』。  馬場一族に守られる一大温泉地にして、数多くの観光客を年間通じて招き入れる巨大歓楽街である。  そのトルミンの中心街から少しばかり北東に離れた位置に、『ザ・ウォウ』と呼ばれる中温泉郷が白い湯煙を立てている。  共同露天風呂『ヘルボーンスープ』を集客の目玉とする温泉郷ではあるが、全体として比較的静かな雰囲気が漂う療養地としての性格が強い。  活火山『オミノ・ヴルカ』の火山活動の影響を受けている為、出没する魔物の質も多少凶暴な傾向にあるが、この静けさを好んで訪れる温泉客の数は決して少なくない。  だが、このザ・ウォウで近年、良からぬ事態が出来した。  連続殺人である。  トルミンの自警団として名高い『ギルッチ団』がザ・ウォウに構える屯所内で、班長のひとりである女戦士【ヴォラナ・ケイスン】は頭を抱えていた。  観光業が最大の収益源であるこのトルミンで連続殺人事件が生じたともなれば、観光客の足は間違いなく遠のくだろう。経済的打撃は相当な額に上ることが予測される。  何があっても、事件が明るみに出る前に犯人を捕まえなければならない。  だがギルッチ団の団員は大半が力自慢の戦士ばかりで、複雑な問題を解決する頭脳派は数える程しか居ない。とてもではないが、正体不明の連続殺人犯を短期間で捕縛することは不可能であろう。 「ヴォラナァ、被害者のリストが出来たよぉ」  渋い表情で窓際に佇むヴォラナに、でっぷりとよく太った中年団員が巻物状にしたためた紙を手渡した。  そこには、この一カ月間で犠牲となった六名の観光客と、三名の地元民の名が記されていた。  いずれも年齢、性別、人種、居住地等に共通性が無く、犯人が何を考えて九人もの命を奪ったのか、皆目見当がつかなかった。  トルミンには『アルチェ』のような司法警察は存在しないし、『シュターニャ』のような傭兵組合も無い。自ずと、捜査の素人であるギルッチ団が犯人捜索の主役にならなければならなかった。 「そういえばさぁ、ゆうしゃ候補生っぽいお客さんがぁ、いっぱい来てるらしいよぉ」 「ベルゲンス、それ、確かなの?」  ヴォラナに問い返され、その中年団員【クォール・ベルゲンス】は小さく肩を竦めて小首を捻った。 「んー、よく分かんないけどぉ、お願いしたらお手伝いして貰えるかもねぇ」  余り関心が無さそうな調子で、クォールは間延びした声を返した。  だが、ヴォラナの腹はこの一瞬でほとんど決まっていた。  彼らに──ゆうしゃ候補のエリート達に救いを求めよう。最早、自警団としての誇りや矜持等と、つまらないプライドに拘っている場合ではなかった。  フトゥールム・スクエアに在籍する村人・従者コースの女子生徒が、むせ返るように濃密な湯煙が漂う暗闇の中で目を覚ました。  ここがどこなのか、よく分からない。覚えているのは、ヘルボーンスープでの入浴を終えて、街外れの隠れ家的なカフェに足を運ぼうとしていたところで、不意に何者かに襲われ、意識を失ったところまでである。  女子生徒にはふたりの同行者が居た。姉と母親である。確か、彼女と一緒にカフェへ向かっていた筈だ。  そして視界が漸く闇に慣れてきた時、女子生徒は悲鳴をあげた。  冷たい石床に覆われる狭い室内の奥に、姉と母親が恐怖に歪んだ形相で息絶えていたのである。  その時、比較的高い位置にある小窓の様な隙間が開き、僅かな光が差し込んできた。その光の向こうに、誰かが居る。それも、複数の気配が感じられた。 「ねぇ……あの女の子もさぁ、やっちゃって良いかなぁ?」  小窓を覗き込んでいる人物が、くぐもった声を室の向こうで響かせた。声質だけを見れば、決して若くはなさそうだった。その声に対して、別の渋い声が、何かを齧りながら静かに返す。 「構わぬが、死体は視覚効果的に印象深く装飾せよ。クラックネット復活をあの学園長に知らしめよと、ブリードスミスも心より所望しておられる」 「うん、分かったぁ」  その直後、金属製の鈍い耳障りな音を響かせて、扉が開いた。  女子生徒は再び、甲高い悲鳴をあげた。それが彼女の、この世で放った最期の声となった。
始まりの道標 瀧音 静 GM
1000

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-03-31

予約期間 開始 2020-04-01 00:00
締切 2020-04-02 23:59

出発日 2020-04-07

完成予定 2020-04-17

参加人数 0 / 8
 春。  それは新たな門出の季節。  満開の桜、あるいは葉桜に見送られ、新しい一歩を踏み出す季節。  そんな季節が到来したここ、『フトゥールム・スクエア』では――、 「相手の胃袋に致命的な一撃を! 『暗黒格闘料理研究会』に興味はないか!?」 「グリフォンに乗って自在に空を駆ける、『鷲獅子乗り隊』は楽しいぞー!!」 「どこぞのゲテモノ食い合う奴らとは違う、誠心誠意の『お料理クラブ』にどうぞー!!」 「一にマッスル二にマッスル!! 三四に筋トレ五にマッスルの『マッスル野郎Aチーム』で共に高め合おうぞ!!」  群雄割拠のクラブ勧誘が行われていた。  そもそも膨大な生徒と先生とが存在するこの学園において、公式非公式問わず様々なクラブが存在しているわけであるが、その何処もが、新入生の加入を心待ちにしているのである。  ……まだ学園のイロハも知らない新入生達。  そんな新入生が入りたいと思うクラブは、果たして何処になるのだろうか……。 * 「と、言うわけであまりにも多すぎるクラブを選んでいただくために、各クラブプレゼンを行っていただきます。プレゼン内容は自由。活動の内容を紹介するも良し、活動で作った物を発表するも良し、食べ物を作っているところならばそれを食べさせる、というのも有りです」  一人で放送クラブを立ち上げ、勝手に学園内に放送を垂れ流している【ダヴィヤ・スカーレット】が今回のプレゼンを行うクラブの皆に説明する。  あまりにも多すぎるクラブの数は、正門を封鎖するのが容易なほどであり。  普通に邪魔だし危険と判断した先生達は、放課後、数週間かけてほとんどのクラブ活動に宣伝の場を設けた。  ――先生の独断で宣伝の許可すら得られなかったクラブもあったりするが、それはまた別の話。
新入生へ「ようこそ」を 根来言 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 少し

公開日 2020-03-22

予約期間 開始 2020-03-23 00:00
締切 2020-03-24 23:59

出発日 2020-03-30

完成予定 2020-04-09

参加人数 7 / 8
 『――と、いうわけで! かわいい新入生たん達の入学! オレサマ、楽しみにまってるぞ☆』  by.美少女学園長【メメ・メメル】  ●  締め切りまで、残り2日と10時間。  毎年、この時期の『新聞部』を言葉として表すならばこの三文字だろう。  修羅場。  時折うめき声を上げ、何かを一心不乱に書きなぐる彼らの顔色はアンデットのようである。  アンデット……、新聞部の部員達は皆『新入生へ向けたパンフレット』の作成を行っていた。  手直し、リテイク、校正、そして取材。  何度同じことを繰り返しただろうか。だが、もう、猶予ある日はない。  その場にいる全員はただ、祈りながら『取材班』達の帰りを待っていた。  がらり。  扉が開くやいなや、無事生還した彼の声。 「お、おわったぁぁぁ……! やりましたよ、部長……ッ! 我々は、ついに、成し遂げましたぁぁッ……がくっ」  青白い顔をした取材班(1人)は、ふらりと原稿の束を部長へ差し出すような恰好で、ばたりと倒れた。  おぼつかない足取りで駆け付けた部長【タナカ・ダロー】。首元に手を置き、脈を確認する。 「……、寝ているか。なんて顔、してやがる」  どう見ても血色の悪いその顔は、悔いのない幸せそうな寝顔だった。  握りしめられた原稿は、5回目の文章添削と、本人による30回の描き直し要求の末に出来上がった学園長へのインタビュー記事と掲載予定の肖像画。 「一番快く引き受けてくださった。が、一番の鬼門だったな! あ、可愛いな!……ちっくしょ、可愛いな! 先輩方ありがとう!」  満面の笑みのピースの肖像画。学園長からの資金援助のお陰もあって、インタビューページには学園長がウィンクをしてくれる魔法をかけることもできた。  普段の予算からは考えられないほどの(謎の)高クオリティだ。  芸能・美術コースの先輩方へ、思わず敬礼をする。  他の部員が見つめるなか、咳払いを一つ。 「と、ともかく、皆よくやってくれた! これで今年のパンフレットの完成だ!」  その声とともに、部員たちの力ない歓声がちらほらとあがった。  ここまで長かった。辛く厳しい戦いだった……、と。  タナカは強敵達との闘い(?)を振り返りながら、出来上がった原稿を並べていく。  リテイクの鬼学園長。食べるのが早すぎて、絵として残らない食堂の料理とそれを食べる少女(結局、少女と料理を別々に描くことで、何とか1枚の肖像画として収めた)。  いたずらにのらりくらりとかわされ、一向にすすまない先輩へのインタビュー記事等など……。  これらはすべて、これまでの散っていった部員たちの汗と涙の結晶である。  後は、印刷所へ持ち込み、広報部へ頼むだけ。  ちらりと時計を見れば、もうすっかり遅い時間だ。印刷所の営業時間も過ぎていることだろう。 (今日できる作業もないし……)  部員達はさながら、机に突っ伏した姿勢で動く気力もない。  その姿は成仏したアンデットのようである。 「皆、お疲れ様、だ。明日は休んでいいぞ! あとはこのタナカ部長に任せろ!」  締め切りまでに持ち込みをすればいいだけだろう? このくらい楽勝だな。 ● 「うん? この空白のページは?」 「くうはくのぺーじ?」  そんなもの、あるはずない。こいつは、何を言っているんだ。 「えーと、タナカ・ダロー様。一応確認してくださいな」  印刷所の職員に促されるまま、恐る恐るページをめくる。  『学園長の言葉』、『進路紹介』、『施設』……。 (いや、いやいや。あるはずないだろう、そんなの)  なのに、なぜだろう。この寒気は。  そして、見つけてしまった白紙のページ。しかも数枚。 「なんだ、これ? 昨日見たときには確かに……、ん?」  白紙のページに挟まったメモ書きが足元に落ちる。  こんなもの見た覚えなど……。ある。 (例年のインタビューページ、確保した覚えが。ただ、そこからは他の取材に手一杯だったっけか)  あまりページを使った、ページを埋めるだけのコーナーなら省略はできたことだろう。  しかし、このインタビューは毎年行っており、かなり重要なものだ。  中にはこのインタビューを参考にして入学を決める生徒もいるらしい。つまり、今更省くことはできない。  タナカは顔を青くして職員のほうを見つめた。 「あ、あの……。締め切り、あと一日……。延ばしてください」 『締め切りまでに、適当な生徒にインタビューする』。  締め切りまで、あと1日と2時間。
ゆうカレ! 宇波 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 通常

公開日 2020-03-21

予約期間 開始 2020-03-22 00:00
締切 2020-03-23 23:59

出発日 2020-03-30

完成予定 2020-04-09

参加人数 8 / 8
「えぇっと……これは?」 「現在鋭意製作中の魔法遊戯、『ドキドキラブラブ☆ゆうしゃのカレぴっぴ~新入生だけどがんばるもんっ!~』。略して、『ゆうカレ!』の、箱です」 「箱」 「箱です」 「……それを、学園の受付に持ってきて、こちらはどのようにすればいいのでしょうか」  困惑した風に目の前の(おそらく)依頼人を見つめ返す【ウケツ・ケ】は、ファンシーな図柄とタイトルの書かれた空箱を、困ったように弄ぶ。 「我々は、乙女のきゅんがめいっぱい詰まった魔法遊戯、乙女魔法遊戯を開発したく、日々研究と製作を続けています」 「……はい?」 「その開発のために、こちらの生徒さんたちにお手伝いをしていただきたいと依頼をしに来たのですが」 「あの、その得体のしれない遊戯とはいったい」 「ああ、魔法遊戯が何かを知りたいと仰るのですね?! よいでしょう。私が懇切丁寧に、みっちり、めっちり、びっちゃりと教えて差し上げましょう!」  お手々をわきわき。  じりじりと迫りくる女性に、ウケツは本能的な恐怖を感じて後退った。 『よくわかる! 魔法遊戯!』  魔法遊戯とは! 架空の世界で行われる冒険や、遊びを体感できる遊戯のことである!  まるで異世界! まるで現実! 魔法遊戯の世界の中に入って、ひとりのプレイヤーとして遊ぼう!  時には魔王を倒したり! 時にはよその家のごみ箱を漁ったり!  例えば料理をしてみたり! 楽しくお勉強だって出来ちゃうかも?!  どんな世界を体験できるかは、魔法遊戯の記録媒体次第!  みんなも、別の世界で遊んでみない?!  まるで子供に読み聞かせるかのような紙芝居を取り出し、鼻息荒くウケツに説明した女性。  ウケツのメガネの下は虚無の顔。 (全然わからん) 「どうです? よく分かる説明でしょう!」 「よく分からないことだけは分かりました」  返答に、紙芝居を落とす女性。 「ああ、もう! どうして分かってくれないの!」  むっきぃ。  ポケットから取り出したハンカチをかみかみする女性は、ウケツに向かって硬そうな四角いもの――箱とは違うようだ――を向ける。 「体験してもらった方が早いようですね」 「なにを」 「受付さん。あなたは今から……」  ばーん。  指をさす代わりに、四角いものからピンクの光が流れ出る。 「女学生になってもらいます!」 「ナ、ナンダッテー!」  あたし、ウケツ・ケ!  今日からこの魔法学園に入学するの!  うわぁ、どんなことが起こるんだろう……。  魔法薬の実験で大爆発を起こすかな? 箒に乗って雲のずっと上まで飛んでいくかもしれないわ。  それからそれから、地中から掘り出したマンドラゴラと運命的な出会いをしちゃったり……きゃーっ!  うん、すっごくドキドキしてきちゃった!  きーんこーんかー。  いけない! 入学式の時間だわ。  体育館はどっちかしら、きゃっ!  もう! だれよ向こうからムーンウォークでやってきて、空中バク転三回転を決めたうえできれいに着地してぶつかってきたのは! 「おっと、ケガはないかい、マドモアゼル?」  手を差し伸べてきている、この男の人は、先輩? 「すまないね、少し急いでいて、ついムーンウォークで空中バク転三回転を華麗に決めてしまったんだ」  ああ、『急ぐから』と言って桜舞い散る道を足早に去って行ってしまったあの人。  この気持ちは、まさか……。 『魔法学園の新入生として入学してきた貴女。貴女はこの学園で、たくさんの出会いを繰り返し、そして運命の彼ぴっぴを見付けていくのです』  ふー、と長い溜息。  溜息の分だけ、沈黙が落ちる。 「どうでした? 恋、したくなったでしょう? これが! 『ゆうカレ!』体験版です!」  ウケツは徹夜で書類仕事をした時のように、眉間を人差し指で揉み解す。 「たしかに、魔法遊戯については分かりました。要するに、ある一定の記録を再生し、プレイヤーに没入体験をさせる遊戯ですね」 「ロマンの欠片もない言い方で非常に不満が残りますが、概ねその通りです」 「その記録媒体にそういう魔法を組み込んでいるのでしょうね。よくできていると思います」  女性が得意げな顔になったところ、『だからこそ』とウケツが遮る。 「あのクオリティは看過できません! なんですか、マンドラゴラと運命的な出会いって! なんですか、ムーンウォーク決めた後にバク転する不審人物って!」  そもそも魔法薬学で毎回鍋が爆発してたまるかー!  ウケツの心よりの叫びである。毎回毎回、予算が。 「そしてですね、おそらくこのゆうカレ! のコンセプトは、きっとこの主人公に恋愛をさせる、そんなゲームなのでしょう」 「ええ、そうです」 「だったら!」  ばあん。  ウケツ、机をばあんする。 「せめて魅力的な登場人物を作りましょうよ! 顔がリアル茄子の人間なんて、恋愛対象になり得ないんですよ!」 「モデルと予算が足りねえんだよー!」  女性は魂からの咆哮を響かせた。 「ええー、そういう経緯もありましてね。ここに集まってくれた皆さんにぜひ、この魔法遊戯の登場人物のモデルになってほしいんですよ」  もちろん、集まってくれているのが男性だけとは限らない。 「依頼人からの登場人物についての要望……? これ要望になるんですかね? を伝えさせていただきます」 『百合展開? アリ寄りのアリ』 『薔薇展開? いいじゃない! そうだ、開始時に主人公の性別を選べるようにするのも面白いわね!』 『男装? ……もう! 乙女心擽るナイスアイデア! この案を考えた鬼才はどなた?!』  ウケツはメモをぱたんと伏せた。 「要するに皆さんには、乙女心をくすぐる登場人物のモデルになり、どんな行動をしてどんな台詞を言うのか、考えてほしいそうですよ。……ああ、それから、どんな行動を相手がすれば好感度が上がるか、また下がるか、なんかも」  よろしくお願いしますね。  そう頼むウケツ。  いつもパリッとキメているスーツは、心なしか皺が寄ってくたびれている気がしてならない。  何を隠そう、既にキャラクターのモデルにされたばかりなのである。  やや疲れている彼に同情を禁じ得ないが、それはきっとここにいる誰にも伝わることはないのだろう。
俺たちギルッチ団!! 駒米たも GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 多い

公開日 2020-03-18

予約期間 開始 2020-03-19 00:00
締切 2020-03-20 23:59

出発日 2020-03-25

完成予定 2020-04-04

参加人数 8 / 8
◆  温泉街トルミンの名物。  温泉、火山、そして――。 「財布を取り返してくれてありがとう!」 「いいって事ヨ。何故なら俺たち……」 「ギルッチ団!」  勝利の雄叫びが『大温泉郷ギンザーン』に響いた。 「トルミンを楽しんで!」  揉め事を解決した彼らは一般人へと戻り、再び活気に満ちた温泉街の景観へと溶け込んでいく。  ――『ギルッチ団』。  トルミンを仕切る【馬場・カチョリーヌ】の息子の一人【馬場・スカットン】が団長を務める、トルミン限定の自警団だ。  魔物、チンピラ、災害。  ギルッチ団に所属する者は『揺るぎないトルミン愛』を合言葉に、今日もならず者達からトルミンを守る。  一人見かけたら近くに三人は潜んでいると思え。  それが『ギルッチ団』である。 「トルミン花湯が近いせいか、最近観光客狙いのチンピラが多いナ」 「万引き、スリ、いちゃもん、食い逃げ」 「忙しいよお」  その言葉が終わらない内に、一件の茶屋から破壊音が轟いた。 「ほえわわわ」  一人の店員がガラの悪い四人組に囲まれている。  中でもひと際目立つ巨体が咆哮をあげ、木造の茶屋全体がビリビリと震えた。 「こんな不味いもん、食ってやっただけでも有り難く思え。この下等生物」  耳の後ろから伸びる黒色の曲がった角。鋭い黄金の瞳。  振り上げた太い腕には赤銅色の鱗が輝いている。 「ドラゴニア種……」  珍しい存在に、駆け付けた一人が目を開く。 「あわわわ、不味いってお客さん。おかわりまでしっかり食べたじゃないですかあ」 「何だって?」 「ひええ!! なんでもないですう!!」  ドラゴニアに付き添っていた女が椅子を蹴り飛ばした。  巻きこまれた茶椀が次々と床へ落ちていく。客は逃げ出し、店員は半泣きだ。 「待て待て、この無銭飲食犯め!!」 「私達の目が黒いうちは、トルミンの平和を乱すような真似は許しません!」 「誰だァ、てめえら」 「俺たちは!」 「私たちは!」 「ギルッチだ――ぶほぉ!?」  ポーズと台詞を決める間も無く、赤い無情の拳が一人の頬にめりこんだ。 「決め台詞の途中で殴るとか、貴様、心が無いのカ!」 「弱えクソどもが、うるせえんだよ」 「存在がうざい」 「あらら、図々しくしゃしゃり出てきて弱いとか。救いようが無いグズ。ほんとグズ」 「うげっ!?」  仰向けになった腹部にブーツの靴底が深く喰い込む。 「あわ、あわわわわ」  そう、ギルッチ団はあくまで自警団。戦闘能力を持たない一般人も多い。 「……聞け、いい遊びを思いついた」  竜の口元がニヤリと裂け、伝播するように悪意がさざめいた。 ◆ 「『ギルッチ団』狩り?」 「そうだ。トルミン商店街でわざと騒ぎを起こし、出てきたパトロール中の自警団……もといギルッチ団に暴行を加える。そんな悪趣味な事件が報告されている」  傭兵や、ギルッチ団の腕利きが魔物退治や観光客の救出に向かう隙をついた卑劣な犯行だという。  相手も腕が立つのか、それとも力をもたない民間人だけを狙っているのか。  普段なら、敵わないとみるとピューンと逃げるギルッチ団員の中にもかなりの怪我人が出ているそうだ。 「課外活動だ。至急現場に向かい事件を解決しろ。あ? 相手の名前? そんなもんチンピラAからDで充分だ」  教師は笑顔で親指を下に向ける。 「一般人相手にイキがってるアホどもに、世間の厳しさを教えてこい」  目が笑っていなかった。