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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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秋の味覚! モッタイナイオバケ 根来言 GM
1500

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-11-13

予約期間 開始 2019-11-14 00:00
締切 2019-11-15 23:59

出発日 2019-11-20

完成予定 2019-11-30

参加人数 0 / 8
「本当にいいの? もう返さないよ?」  そう言ってはいるが、返す気等毛頭ない。  彼女の顔を見れば心中は直ぐに察すことはできる。  単純な……いや、素直で可愛らしい。  言葉を飲み込み『どうぞ』と、にこやかにもう1人の彼女も笑顔をつくる。  人気のない廊下にルネサンスが2人。1人は両手をいっぱいに広げ袋を抱え、幸せそうに頬を染めた。  彼女は教員の【コルネ・ワルフルド】。コルネと会話をしつつも、あたり落ち着きなく見渡すもう1人は、学園内の食堂の料理人、【ベル・フリズン】。 「返さなくていい、いいけども。その代わり例のアレをね? 今年も手伝って欲しくてだね?」  目を細めて、小さく囁くベル。  コルネは目を丸くするが、ベルの言うアレ、のことは直ぐにわかった。 「もしかしてアレのこと?」 「そう! 大事に育てすぎちゃってねぇ? 手に負えなくなっちゃって」  その言葉にコルネは思わず頬を引きつらせる。が、抱えた干しブドウは決して手放さない。  しょうがないなぁ。小さく聞こえたその言葉にベルは目を輝かせた。 「言ったねぇ? 言質は取らせてもらった、対価も払った。証人もいる。逃がさないよ?」 (厄介なこと、引き受けちゃったかも?)。  わかっていても、手は袋をがっちりと掴んで離れない。 「うぅ……わかったよ。って、証人?」  コルネの言葉に、ベルは指を鳴らす。と、近くの教室の窓が開く。 「ふ、ふぇ……すすすみません! コルネせんせぇ」  教室側の窓から顔をのぞかせるのは気の弱そうな少女。生徒【パルシェ・ドルティーナ】だ。 「社会見学もかねての課題ってことでさ、よろしく先生?」 「えぇと……、コルネ先生。よろしくお願いしますぅ……っ!」  学園の敷地内に1つ、普段ならば立ち入りを禁止されている食料庫がある。  泥棒、つまみ食い、そしていたずらをしないよう。  ケガをしないよう、お腹を壊さないよう、気分を害さないように。 「たぁぁぁっ! ……はぁ、はぁ……」  息を切らしながら、コルネは小さな魔物と戦っていた。 「今年は量が多いね! それに隠れるのが上手いッ!」  棚の上から飛び掛かる魔物……『キュウリ』を、コルネは右手を高く上げ、瓦割のように切り裂いた。  キュウリを仕留めたその後ろからとコルネに向かって『ジャガイモ』と『シイタケ』。  跳躍。そのまま落ちる勢いを使ってキック。  ダァンッ! バシンッ! 「そりゃ、丹精込めて丁寧に作ってるからね!」  棚を隔てて、悪びれる様子のないベルの声が響く。 「それにしても数が多いッ!」  見慣れない、白い触手のようなものがコルネの腕に巻き付く。 「……んぅ、このっ!」  なかなかほどけない触手……うどんをぶちぶちと引きちぎる。そして、正面から勢いよく向かってくるカボチャを頭突きで砕いた。 「はぁ……はぁ……まだいるの?」  棚に積まれた木箱の隙間から、ちらちらと見える野菜たち。  永遠に続くような野菜地獄。それが、ここにあった。 「必殺、勇者斬りぃっ!」  パルシェは現れる野菜たちを次々にスライスにしていく。 「まだ……! うりゃりゃぁぁッ!」  次々に野菜たちを肩で息をしながらも、がむしゃらに切り刻む。 「そんなに焦らなくても、野菜はにげりゃぁしないからね」  パルシェが次々と野菜を倒すその間。ベルは背に背負った籠に切られていく野菜を回収していく。 「大丈夫、ボクもっと頑張れます!たぁっ!」  勢いよく切られたナスがその勢いのまま天高く舞う。  普段ならば、これだけの魔物が飛んでれば、気の弱いパルシェは萎縮してしまったことだろう。  しかし今は、いつもの魔物ではなく(ほぼ)野菜だ。  面白いくらいにサクサクと切れる野菜たちに調子づき、奥へと進んでいく。 「どんどん行きま……ひぇッ!?」  パルシェのやる気に満ちた表情は、すぐさま泣き顔に変わった。 「い、い、いやッ!?」  4本の太く、たくましい蹄。がっちりと付いたモモ肉。  こんなところにケンタウロスが……いや、ケンタウロスよりも恐ろしい、てかてかと輝く首、鱗。  そしてその上には……大きな目とヒレ。尾や鬣にはふさふさとした毛の代わりにぴっちりとした鱗。  馬の下半身。首から上は魚の頭という悍ましい魔物であった。  ぱからっ。  馬、のようなものは怯えるパルシェの元へと駆け寄る。そして。 「ひひぃーっん」  魚の口から発せられた鳴き声と。 「い、いやぁーッ!」  パルシェの悲鳴が倉庫内に響き渡った。 ● 「うぅ、ぐすっ」 「よしよし。うんうん、怖かったね」  膝を抱えてすすり泣くパルシェ。その背を、コルネは優しくさする。 「魚と馬肉、隣同士に置いていたから、くっ付いちゃったみたいだねぇ。いやー、ユニークな生き物だ。さて、どうしようか」  お玉を回しながら、何かを考えるベルの様子を見てコルネが口を開く。 「もしかして、キミ。食べるつもりなの?」 「そりゃぁそうさ。だってあれ、元々は食べものだからね」 「でも、流石にあれは?」 「賞味期限を気にしているのかい? ピンピン動いてるだろう? 新鮮な証拠さ!」  ベルには、何を言っても無駄だろう。食べないという選択はない。 「……うーん、確かにあの馬? がリーダーかな? あれを倒さないとお野菜も回収できないかも」  野菜たちの奇襲に奇襲をかけたような戦い方。司令塔がいてもおかしくはない。  倉庫の中にはまだまだたくさんの野菜が眠っている。  しかし、隣を見れば、涙目でただ、小さく震えるパルシェ。  コルネ1人だと、大量のモッタイナイオバケを食い止めるので精いっぱいだろう。  かといってパルシェに馬のような魔物の相手をさせるのも……。  どうしたものか。 「うーん、どうしよう」  コルネは小さくため息を吐いた。 ●  時期は数か月ほど戻ったある日。 「うぅぅ……、ぐすっ」  小さくカットされたニンジンが皿の上に一切れ。ちょいと皿の隅っこに追いやる。 「この切り方もダメかい? 混ぜても、ジュースにしてもダメ。困ったねぇ」 「あうぅ、ごめんなさい。……食べたら、パフェ……パフェ食べるんだ……ッ! えい!」  勢いのまま食べようとするものの、独特の歯ごたえに思わずぎゅっと目を瞑る。  鼻をつまむと、錠剤のように飲み込み、流し込んだ。 「ぅ……ッけほっ!」 「これは難題だねぇ」  好き嫌いがあるのは仕方がないことだ。どうしても受け付けないモノはあるだろう。  嫌いなものを克服したいと向き合うパルシェの姿勢を、ベルは評価したい。  ……だが、味もなにも、まずい薬のように食べられるのは正直、料理人として悲しいところだ。 「だってぇ、苦くて、美味しくないんだもん。……ふにふにで、つるんって食べられたらいいのに」  残ったニンジンをフォークでつつきながら、パルシェは呟いた。 「あっはっは! そんな野菜聞いたこともな……」  ない。いや、あったな。 (見た目、味は殆ど変わらず。それで触感が食べやすければいいのかね? なるほど?)  1つ思いついた。  少々荒療治かもしれないが、似た魔物を自分で狩って……いや収穫して食べてもらうとしよう。味はそこまで変わらないから、……慣れる練習にはなるはずさ。 「なるほど……っ!」 「ひ、ひぇっ!?」  大変結構。料理人としてのプライドがズタズタになりそうになるが、それはそれ。  魔物を入り口に、食べられるようになれば良いだけではないか!  ぐるりとお玉を回し、そしてパルシェへ先を突き付ける。 「パルシェ。とっておきの場所へ招待しよう。普段生徒は入れない貴重な場所だ! お好みの用心棒を連れてくるから、逃げないでくれたまえ?」
故に彼女はめえと鳴く RGD GM
1000

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-11-09

予約期間 開始 2019-11-10 00:00
締切 2019-11-11 23:59

出発日 2019-11-17

完成予定 2019-11-27

参加人数 1 / 8
●  【メッチェ・スピッティ】は羊のルネサンスであり、学園の客員教授であり、眠りと魔法の研究の第一人者であり、学園の保健室では対処しきれないような怪我人に対する切り札といえる存在である。美術室に足を運ぶと毎回入口で顔を合わせるような気もするが、本業は間違いなく研究者である。  どのような分野であれ、この道の第一人者、と言われるような人間である以上相応の実績があり、やろうと思えば研究以外の業務もしなければならない学園ではなく、もっと良い環境に身を置くことだってできるはずだ。なのにそんな彼女が何故学園に身を置いているのか――という話は、よくよく考えると不思議な話である。  ここよりはるか東の国では『いのち』を意味する文字は『命』であり、それは『めい』と読むらしい。  めいとめえは似ているから自分は学園で復活担当をしているんだめえ――ってメメたんのいとこの母親の旦那さんの奥様の娘のいとこが聞いたって言っとった! 故に彼女はめえと鳴くのでござる!!! とは学園長の言なのでうっかり信じて公衆の場でそんなこと言ってみようものなら指さして笑われること請け合いなので注意が必要である。  とはいえ、座学で眠くなるといった弊害こそあれど、その独特のしゃべり方には人気があることは確かであり、彼女の存在が学園にとってなくてはならないものであることはまた事実であろう。 ●  どんな職種にだって繁忙期というものは存在する。その日はメッチェにとってそういう日だった。ことのあらましを一言で表せばそうなる。  朝には調子に乗ったルーキーが魔の森に足を踏み入れた結果デュラハンに袋叩きにされて消滅しかけの状態で戻ってきて、昼には火山でトロルと取っ組み合いを演じた結果親指立てながらトロルと共に火山口に沈んでいったという卒業間近の学生たちが担ぎ込まれ、それが終わったと思えば薬草を調合していたはずなのにとんでもない猛毒が生まれてしまいあろうことかそれを合コンのノリで一気飲みしたという馬鹿が運ばれてきた。その合間合間にも保健室では捌ききれない怪我をした学生が運ばれてきたり手伝いもしない学園長が遊びに来たりするものだからたまったものではない。  『たいりょく』が尽きて行動不能になったり重傷を負ったような学生を処置できるほどの技術があるとはいえ、メッチェ自身の魔力を無尽蔵というには少々無理がある。嵐のような時間が過ぎ去りようやく落ち着いてきた、と思えるようになってきた頃には既に彼女は満身創痍といってもいい状態であった。 「メェぇぇぇぇ……」  艶を失った足にも届くような長髪を投げだし、地獄の底から湧いてくる亡者もかくやのうめき声と共に研究室のテーブルに突っ伏す様はちょっとしたホラーである。  ともあれ、忙しさの波は去った。去ったのだ。座学を一つ休講にしてしまった申し訳なさもあるが、それ以上に一段落着いた達成感や安堵の色が今のメッチェの心には強い。  今日はもうこのまま眠ってしまおう。そうでもしないと身体が持たない。せめて備え付けのベッドに、とか、このままでは流石に女として、とか、そういった思慮は全て疲労がどこかへ蹴りだしてしまった。身体中に絡みつく錘のような疲労に逆らうことなく目を閉じて、息を吸って、吐いて、まどろみが訪れて。 「せんせー!!! たたた大変なんですー!!!」  全部終わったら好きなだけ甘い物を食べよう――そんな決意を支えに顔を上げる。【パルシェ・ドルティーナ】をはじめとする学生の一団が扉を蹴破らんばかりの勢いで部屋に押し入ってきた。  学生たちはホラーの現場かと思わんばかりのメッチェの容貌に一瞬たじろいだ様子だったが、それでもパルシェが真っ先に立ち直り、抱えていた血まみれの学生をメッチェへ見せた。 「じゅ、重傷です! 依頼先でゴーレムの一撃をモロに受けちゃって……保健室だけじゃ処置しきれないそうなんです」 「そこに寝かせてあげて……今、行く、メェ……」  絞り出すような声と共に普段寝床にしているベッドを指し示し、一度目を閉じ一秒、二秒、三秒で意識を切替えて立ち上がる。この調子だと日付が変わるくらいまでは安息は訪れないだろう。そんな確信めいた予感に溜息一つ。景気づけにと机の隅にある、水属性の魔法で低温が維持された箱の中に手を伸ばす。  ……無い。手探りではなく実際に視線を箱へとやり、箱の中を確かめる。どれだけ目を凝らしてみてもお目当ての代物がそこには存在しない。 「先生?」 「パルシェはここで手伝って貰いたくて……おまえさまたち、怪我人を運んできた面倒ついでに、一つ頼まれてほしいんだメェ~」  怪訝そうな表情を浮かべているパルシェをはじめとした学生たちに向けて、メッチェはもう一度溜息一つ、そんな風に切り出した。 ● 「成程、確かにメッチェ先生の依頼状だね」  場所は変わって『リリー・ミーツ・ローズ』と称される植物園。そこで管理業務をしている職員は、学生たちの持ってきた書状を確かめ、一つ頷いた。  メッチェにとって、こういった忙しさはこれまで遭遇したことが無いようなものではない。休む間もなく働かなければならないような時、彼女は滋養強壮に良い特性のポーションを飲みつつ誤魔化し誤魔化し何とか乗り切ってきている。  が、今日に限ってお供のポーションが切れていた。植物園で調合しているそのポーションを貰ってきてほしい、というのが彼女の依頼であった。 「先生の依頼なら是も非も無く、と言いたい所なんだけれど、今そのポーション切らしちゃってるんだよね」  頭をかいて職員は申し訳なさそうに呟いた。最近妙に件のポーションの需要が高まっており、在庫を切らしてしまっているのだという。 「君たち、お使いのお使いで悪いんだけれど、今から栽培所まで行って、マンドラゴラを採ってきてもらえないかな。その間に僕は薬の調合準備をしておくよ」  マンドラゴラ? と一同が首を傾げる。 「そ、マンドラゴラ。聞いた事くらいあるんじゃないかな。引き抜いた時凄い叫び声上げる植物。色んな薬に使えるんだよ。ああ、勿論養殖物だから天然物ほどの危険はないよ。ちょっと魔力とか精神力とかに来る叫びが厄介だとは思うんだけれど、学園生なら何とかなると思うんだ」  よろしく頼むよ、と頭を下げる職員。ここまで来たら乗り掛かった舟という奴である。学生たちは職員に向けて頷き返した。 ●  栽培所、と呼ばれる場所は植物園の中にはいくつかあり、今回向かうように指示された場所もそんな区画の一つであった。  養殖とは言えマンドラゴラは動き回るからね、と職員が注意していたのを思い出す。植物という括りに反して動きはかなり機敏だというのだから注意が必要だろう。  外部の影響が及ばないように、あるいは内部の影響を外に出さないように、四方を壁で覆われている栽培所の一つ。その扉をおそるおそる開ける。 「――ッッ!!」  途端、視線の先、10mほど離れた距離にある土の中から何かが3つ、耳をつんざくような奇声と共に這い出してきた。枯れ切った人参に手足と目を付けた。そんな風に言えば伝わるだろうか。マンドラゴラだ。  マンドラゴラたちは収穫のために学生たちがこの場を訪れたのだということを本能で察したのか、一同から逃げるように退き始めている。  メッチェ先生の、ひいては重傷を負った者達のためにも逃がす訳にはいかない。  学生たちは、じりじりとマンドラゴラへ迫るのであった。
のんびり屋のサンタクロース 桜花 GM
1000

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-11-08

予約期間 開始 2019-11-09 00:00
締切 2019-11-10 23:59

出発日 2019-11-16

完成予定 2019-11-26

参加人数 3 / 8
 勇者歴2019年、11月半ば。  この時期になると世のサンタクロースたちはよい子にしている子供たちのため、プレゼントの準備に追われ始める。  自身が担当している地区にどれだけプレゼントを欲しがっている人達がいるかによって忙しさは変わってくるが、大抵のサンタクロースは夏が始まる頃からプレゼントの準備に取り掛からなければ間に合わない。  サンタクロースにとって12月は1年の中で最も忙しく、1年の中で最も輝く月。  12月の24日、クリスマスの夜。そのたった一夜のために、世のサンタクロースは何ヶ月もの月日をかけてプレゼントの準備を行う。  11月ともなるとそれはそれは忙しい毎日が続いていくのだが、とある離れに住む1人のサンタクロースはハンモックの穏やかな揺れに身を任せながら、テーブルの上に置いている特大タピオカミルクティーを飲んで盛大にくつろいでいた。 「HEY、ちょっとお邪魔するゼィ!! アナタはクリスマスの準備、もう終わってるますカー!? HEYカモーン!!」  本日で3杯目となるタピオカミルクティーを飲み終わり、お手製のハンモックに揺られながら眠りにつこうとしていると、突如として厚手の赤い服を身にまとった愉快なおじさまが、ピンポンも押さずに扉を開けて入ってくる。  独特な喋り方をするこの件のサンタクロースは、みんなからあわてんぼうのサンタクロースだと噂されていた。 「ん? ……あー、なんだあんたか。用がないならさっさと帰ってくれないか? 俺はもうそろそろ寝たいところなのだが……」 「アナタは寝るの早すぎるのデース!! まだお昼の1時ですヨ!? そしてもうジュウニガツデース!! ディッセンバーデース!! アナタはクリスマスの準備に取り掛かってマスカー?」  いつものことながらこいつのテンションはどうなっているんだと心の中で悪態をついていると、どうしても聞き捨てられない言葉が耳の中に入ってくる。  ジュウ、ニガツ? ディッ、センバー……?  こうしてはいられないと羽織っていた毛布を勢いよく放りだし、慌てた様子で壁に掛けているカレンダーに目を向けてみる。  そこには大きな文字で。まず間違いなく。『11月』と書かれていた。 「…………あぁ、そういうことね」  のんびり屋のサンタクロースはしばし考えた後、一つの結論に至る。あぁ、いつものあわてんぼうだなと。 「はっはん? 確かにそろそろ準備し始めないとな、教えてくれてサンキュー。あんたもクリスマスの準備もあるだろうし、早く帰れよ」 「ソウデース! ワタシもまだ準備が終わってないんデシター!! ワタシはもう帰るのデース!!」  そう言って、あわてんぼうのサンタクロースは来た時と同じように猛ダッシュで外へと駆け出していく。……どうでもいいけど、扉は閉めて帰ってくれよな。 「さて、そろそろ動き始めないと流石にまずいかねー。……おっ、こんなところにスライム饅頭があるじゃん。もーらいっと」  もはや主食となっているタピオカミルクティーを置き、あわてんぼうのサンタクロースが忘れていったのであろうスライム饅頭の箱を勝手に開けて食べ始める。  先ほどまではしっかりと子供たちにあげるためのプレゼントについて考えていたのだが、すでに頭の中ではスライム饅頭のことしか考えられなくなっている。スライム饅頭が1個、スライム饅頭が2個、スライム饅頭が3個……。 「……そういえばこのスライム饅頭ってフトゥールム・スクエアで人気なお菓子だったよな。フトゥールム・スクエアってことは、あの【メメ・メメル】が学園長をしているところか……。せっかくだしフトゥールム・スクエアの生徒さんたちにもプレゼントの準備を手伝ってもらうか」  本来ならばプレゼントを渡される側にいるはずの生徒たちに、悪びれもなくプレゼントの準備を手伝わせおうとするのんびり屋のサンタクロース。のんびりを通り越し、もはやそれは怠けである。  正体がサンタクロースだということがばれてしまうと面倒なことになるので、フトゥールム・スクエアの生徒たちには詳細については知らせず、メメ・メメル学園長に完成したプレゼントを送ってもらえればなんとかなるだろう。  のんびり屋のサンタクロースは重い腰を上げながら、10か月ぶりのプレゼントの調達準備に取りかかり始めるのであった。
剣……抜けちゃいました 瀧音 静 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-11-06

予約期間 開始 2019-11-07 00:00
締切 2019-11-08 23:59

出発日 2019-11-14

完成予定 2019-11-24

参加人数 5 / 8
「ふぅ。これで準備OKだな」 「しかし、これでうちらの村に人が押し寄せるのかねぇ……」 「今更疑ってもしょうがねぇよ。けどまぁ……なるようになるだろ」  別に珍しくとも何ともない、ちょっと寂れて平均寿命が駄々上がりのとある村。  そんな村の広場に位置する場所で、暗闇の中、何やらゴソゴソしている集団――というか男達。  その中央には、何やら土台に刺さった、どこかで見たことある様な剣が一振り。  ご丁寧にも、その剣には『勇者の剣』というプレートが、ぶら下げられたりしていた。  * 「と言うわけで、村おこしを狙ってみたんだが……」  男一同、雁首揃えて学園へと足を運び、どうやら依頼を出した様子。  しかし、一体そのような状況で何を依頼しようというのか……。  よもやサクラなど――。 「実はよう……。中々抜けない剣を抜けた奴を、勇者としてもてなすっつー催し物でさ!」 「参加料さえ払えば、誰でも、何回でも参加可能にして金を巻き上げるって寸法だったんだけどよ!」  興奮気味に話す男達。  ふと、視線を落とすと、『勇者の剣』とプレートがぶら下がっている剣が……。 「見ての通り、試しに抜こうとしてみたらあっさり抜けちまいやがったんだ!!」 「一応早朝で誰も参加者がいなかったから明日からってことにしたんだが……」 「俺らじゃこいつを抜けなくする方法が思いつかなくてよ!!」  藁にもすがる。その思いで、依頼を受けるために集まった生徒達へ懇願し始める男達。 「知恵を出し合って、こいつが抜かれない方法を見つけてくれ!!」  何だが痛くなってきた頭を抑え、依頼だから仕方無い……と、生徒達は意見を出し合う。  あっさり抜けてしまった勇者の剣を、二度と抜けなくするために……。
あわてんぼうの、さんたくろーす。 じょーしゃ GM

ジャンル 日常

タイプ EX

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2019-11-03

予約期間 開始 2019-11-04 00:00
締切 2019-11-05 23:59

出発日 2019-11-14

完成予定 2019-11-24

参加人数 6 / 8
 勇者歴2019年、11月24日。  時刻は、皆が寝静まった深夜。  学生寮にこもって勉強をするのも嫌気がさしてきたので、気分転換になればと外を散歩していた時だった。  目の前に現れたのは少しだけ太り気味の、言うなれば『おじ様』。  厚手の赤い生地に白いファーで縁取られた服、同じ色をした三角形の帽子の先端には雪のような玉がひとつ。  そして何と言っても特徴的なのが、その顔を覆い尽くさんとする白ヒゲであろう。  そんな男の傍にいる3匹のトナカイが、イチョウのカーペットを滑るかのように走り、その体に繋がれたソリを引く。  あわてんぼーのっ、さんたくろーすっ♪  ……いや、違うだろ。  クリスマスまではまだ一ヶ月あるし、サンタクロースはせっせとみんなに配るプレゼントを準備している時期に決まっている。  ……前言撤回。  いくらのろまなサンタクロースでも、準備ぐらいは終わっているか。  とはいえ、まずは目の前の男だ。  一応正体は不明であるため、まずは控えめに声をかけてみることにした。 「あの……あなたは……?」  男は何も言わず、顔色一つ変えず、まっすぐこちらへ向かってくる。  そしてその距離を数十センチまで詰め、ぐぐぐっと顔を寄せ、目をカッと開き、下から覗き込むようにしてこちらを凝視してきた。 「お、おい、お前っ、お前は誰だ!」 「OH! これまた失礼! ユーシャのタマゴって人ネ!」  ……目が悪いだけかよ、びびったよ。  確かな不信感を抱きながら、サンタクロースと思しき男に、さらに声をかける。 「それで、はるばる北のどこかから、どうしてこの学園へ?」  返事がない、ただのサンタクロースのようだ。 「あの、どうしてこちらへ?」  ――返事がない、ただのサンタクロースのようだ。 「あの……」  ――――返事が、 「OH! ナニカ言いました!? ゴメンナサイね!!」  ……耳も悪いのかよ、もう返す言葉もないよ。  そして問題のその男はというと。 「今日もアツいですネ!! まるでカザンのようダ!!」 「当たり前だろ! どんだけ厚着してんだよっ!!」  聞こえないと知っていながらも、反射的にツッコミが出てしまった。  そんな自分も、まぁ嫌いではない。 「ワタシに何て口の利き方をするんデス!」 「いや、聞こえてんのかよ!!!!!」  めんどくさいサンタクロースに出会ってしまった。  いや、これがデフォルトなのか……?  とりあえず聞こえていることはわかったので、同じ問いを投げる。 「それで、どうしてこの学園に……?」 「ハァイ? みんなにクリスマスプレゼントを配るタメに決まっているじゃないデスカ!!」  クリスマスプレゼントとは、ご存知の通りクリスマス・イブの夜にサンタクロースが配るプレゼントのことで、決してまだ雪も降らないこの11月に枕元に置かれる不審な宅配便のことではない。 「あの……大変申し上げにくいのですが……」  ――今、11月ですよ、と。  しかし、返事がない。  ただのサンタクロースではないのだろうが、ここは例にならって『ただのサンタクロースのようだ』と言っておこう。  だがこの時だけは、明らかにその男の顔つきが違った。  表現するなれば、宇宙を背景に佇む猫のような表情。 「…………ワンモア・プリーズ?」  ――今、11月ですよ、と。 「オーケーボーイ、ステイ?」 「エヴィバディ、セイアゲイン?」  ……エヴィバディって誰だよ。  まぁ、言われたからには、もう一度。  ――今、11月ですよ、と。 「NOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」  隠密行動が基本のサンタクロースが上げる声量ではない。  焦っている、絶対に焦っている。 「あの……どうされました……?」  その男は、乱暴に肩を掴んでくる。 「ジュウイチガツ!! つまりは、ノーベンバー!!」 「ええ、そうですけど……」 「ワタシは! ジューダイなミスを! おかしましタ!!」  ……あぁ、なるほど。 「つまりは、一ヶ月日付を間違えた今日、プレゼントを配ってしまった、ってことですかね?」  その言葉を聞いたトナカイ3匹が真冬の空を駆けているかのように震え上がる。  あわてんぼうのサンタクロース、実在したとは。 「こうしてはいられませン! プレゼントをカイシューしなけれバ!!」  そして、嫌な予感は思った以上に的中するもので……。  ――アナタも、手伝ってくだサイ!!!  こうして、あわてんぼうのサンタクロースと、一夜の共闘が始まる。

白銀のマリオネッタ 白兎 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 多い

公開日 2019-11-01

予約期間 開始 2019-11-02 00:00
締切 2019-11-03 23:59

出発日 2019-11-12

完成予定 2019-11-22

参加人数 8 / 8
●白銀の狂爪 「ようやく、辿りつきましたか」  重い息を吐き出しながら、泡麗族の男が言の葉を紡ぐ。  魔法使いらしいローブに身を包み、長い金色の髪を肩のあたりで緩く結んだ男……【シトリ・イエライ】は、手にした望遠鏡を静かに降ろした。  時刻は夕、場所は魔法学園『フトゥールム・スクエア』より南東に位置する森の中。  どこの集落にも隣接しない、普段ならば気にも留めないような通り道であるその場所で、シトリはとある魔物の姿を捉えていた。 「マスターの予測通りのようですね。といっても、皆様の尽力がなければ、見通しも立たなかったでしょうが」  シトリの隣に佇んでいた魔生族の少女……【ベリル・ドロン】が、彼の手から望遠鏡を抜き取る。  無駄のない動作でレンズを覗くと、黒い瞳に白銀色の姿が浮かび上がった。  ――スノウ・アルクトス。雪のように美しい体毛に、血のような赤の両目を持つ、熊型のモンスター。  一見すると普通の熊にも見えるが、太く鋭い両の爪には神経性の麻痺毒を備えており、腕力・体力だけでみても、ただのグリズリーより格上の相手だ。  森に住む生物を真似て造られた魔物が『ジャバウォック』であるのなら、毒を持つスノウ・アルクトスは『ポイゾネスジャバウォック』に分類される。 「体長3mと推測、体重は……」 「あの大きさならば、800kgはあるでしょう。かなりの大物ですね」 「では、いかが致しましょう。まだこちらには気付いてはおりませんし、このままマスターと私で?」 「これ以上の被害を増やさないためには、そのほうが良いのかもしれません。いけますか? ベリル」 「了承。ですがマスター、あの『花』はなんでしょう?」 「花……?」  思わぬベリルの問いかけに首を傾げたシトリが、貸してください、と手を伸ばす。  そうして受け取った望遠鏡を再度覗いた男は、赤の瞳を軽く瞠(みは)った。 (薔薇? いや、よく見れば、他にも……)  先程覗いた時は正面から捉えた姿だったが、今スノウ・アルクトスはこちらに背を向けた姿で立っている。  だからこそ、よく見えたものがあった。白銀の巨体に絡みつくような緑の影、いわゆる蔦(つる)だ。 (ということは、あの薔薇は……つる薔薇か?)  スノウ・アルクトスから見て、首の裏側に当たる位置には、色鮮やかな深紅の薔薇が咲いている。  たった1輪ではあるが、白銀色に埋もれずに、大輪の花弁を広げるその様は、実に優雅だった。  ――それが、『魔物の体の上』でなければ。 (まさか、あれは……) 「ベリル、すぐさま学園に戻ってください。そして、援軍を呼んできてください」  言いながら、シトリは望遠鏡をベリルの手に持たせると、背負っていた両手杖を構えた。  声色、表情。いつも柔らかな雰囲気である彼らしからぬ様子に、ベリルは口を開く。 「納得できる理由を、マスター。でなければ、受理できません」 「あれは『ローズ・ブラッド』という寄生型の魔物です。ただ寄生するだけでなく、宿主を強化する力もある……なんの対策もなしに挑むのは危険です」  ですから援軍を。そう告げて前へと踏み出したシトリは、明らかに件の魔物の元へと向かおうとしていた。 「であれば、マスターも共に」  対策もなしに挑むのは危険なのでしょう。そう少女が告げる前に、シトリが首を振った。 「いえ、放っておくわけには参りません。確率は低いでしょうが、宿主がこのまま衰弱死した場合、ローズ・ブラッドは新たな寄生先を求めるのです」  シトリが『ゆうしゃの卵』たちと美味しいご飯を食べた思い出は、夏のことなのだ。  あれからもう幾月も経っている、ローズ・ブラッドが宿主の全てを養分に変えていてもおかしくはない。  そしてもしも。その寄生先を求めた先に、ヒトの集まる場所があったなら。 「ローズ・ブラッドに侵されたヒトによる、惨劇が始まるかもしれない。たとえ僅かだったとしても、その可能性を放置しておくわけには参りません」 「では、マスター。あなた1人残り、どうしようというのです」  たずねるベリルに、シトリは笑って言った。お決まりの眼鏡を外しながら、 「うかつに殺さず、殺されず。ちょうどいい相手を保ちながら、勇者候補生の皆様を待ちます。なに、私も教員の端くれ、そう簡単にはやられませんよ」 ●優雅なる傀儡者 「この場に。今すぐに、戦場へと赴けるかたはいらっしゃいますか」  声が響いた。フトゥールム・スクエアの立派な校門の前で、カルマの少女が声をあげていた。 「教師、シトリ・イエライが凶悪なる魔物を見つけました。その援軍を頼めるかたを募集しています」  何人かが立ち止まった。もしかしたら聞いたことのある名前だったのか、それとも、魔物という言葉に反応したのかもしれない。  足を止めた人影の中に、『きみ』もいた。だからだろう、少女……ベリルと目が合った。 「シトリ教官は今、その魔物と一人で対峙しています。皆さんの助けを待ちながら」 「先生だけでは危ない相手なの?」  質問が飛んだ。そんな相手を前にして、自分が力になるのだろうかという問いかけだ。  ベリルがうなずく。その顔に表情はなかったが、迷いもなかった。 「簡単に殺めてしまえるほうが、危ないのです。その魔物は、ローズ・ブラッドというまた別の、花の魔物に寄生されています」 「つまり、どういうこと……?」 「安易に宿主だけを殺めてしまった場合、ローズ・ブラッドに寄生される恐れがあります」  水を打ったような静けさに覆われた。寄生。『ゆうしゃの卵』たちに恐怖を与えるには十分なフレーズだった。  けれど、――『きみ』はたずねた。ならば、どう対処すれば良い? 「両方を平等に削っていき、できるだけ同時に葬るしかありません」  そのためには何が必要だろう? 状況を冷静に判断できる頭か、それとも相手の状態を正確に把握できる目か。  もっと情報も欲しい。しかし、今すぐにというと、事前に準備をすることも、調査することも敵わないだろう。  だから『きみ』はもう一度たずねる。本当に、自分でも役に立つのかと。  ベリルはうなずく。 「たとえ『あなた』の経験が浅くとも、シトリと私が、共に向かう仲間が、補います」  酷い怪我をすることはあるかもしれませんが。包み隠さず言うところは、カルマである彼女らしさなのかもしれない。  だが、そうだな、と『きみ』は思う。けして一人ではないのだ。ならば立ち向かってみるのも良い。  『きみ』が手を挙げると同時に、影が差した。同じ思いを抱いた、誰かの手だった。  ベリルがうなずく。うなずき、数枚の羊皮紙を差し出した。 「これはシトリ教官が纏めた魔物……白銀の狂爪『スノウ・アルクトス』に関する情報です」  ローズ・ブラッドについては道すがら、口頭で説明します。  そう告げたベリルは、では行きましょう、と――駆け出した。  恐らく今、援軍を待ちながら攻撃と防御を繰り返している彼の元へ、『きみ』を案内するように。
勇者流トライアスロン!? はまなたくみ GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-10-30

予約期間 開始 2019-10-31 00:00
締切 2019-11-01 23:59

出発日 2019-11-07

完成予定 2019-11-17

参加人数 8 / 8
「秋と言えばな~んだ?」  心地よい秋の日差しが降り注ぐフトゥールム・スクエア。次の授業が行われる教室へと向かうべく廊下を移動している生徒たちに、突然かけられる声があった。  生徒たちがびっくりして振り返ると、そこにはルネサンスの少女、【リサ・ストーンズ】のまぶしい笑顔があった。  秋と一口に言ってもいろいろあるだろう。食欲の秋、読書の秋、芸術の秋……生徒たちがどう答えようか考えていると、その隙を与えずリサがこう続けた。 「もちろんスポーツの秋だよな!?」  たしかに思い立ったら即行動、という外見のリサに読書や芸術の秋は似合わないだろう……などと、一部の生徒は失礼なことを考えたとか考えなかったとか。そんな生徒たちの思考を知ってか知らずか、リサはなおも言う。 「ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだけど、いいよな?」  いつのまにかリサのペースに巻き込まれた生徒たちは、近くの教室で話を聞くことになった。 「勇者流トライアスロン、っていう競技を考えたんだ!」  開口一番、リサはそう言った。  勇者流トライアスロン? 頭に疑問符を浮かべる生徒たちの姿を見て、リサは話を続ける。 「勇者流トライアスロンってのは、まず最初に水泳をやって、その次は箒に乗るんだ。そんで、最後にマラソンをやる。すっげーハードな競技なんだ!」  すっげーハード、という部分で生徒たちの何人かは嫌そうな表情を浮かべる。うげー、と誰かが小声でつぶやくのが聞こえた。 「先生の許可も取ったぜ! 『やりたいです!』ってメメたんに言ったら『長距離を移動するトレーニングにもなるし、いいんじゃねーの?』って言ってくれたんだよ」  生徒たちは『ああ、あの学園長なら喜びそうだよな……』と思ったとか思わなかったとか。 「でさ、参加者募集中なんだけど、みんなやってみねーか?」