;
【夏コレ!】浜辺でビーチバレー(謎)対決?


ストーリー Story

「あつ~~~~~~~い!」
 夏……。
 フトゥールム・スクエアの何処かにある学園長の部屋の中。
 例年よりも早く、相当に気温が上がり続ける日々に、音を上げそうになっている女性が居る。
 それが【メメ・メメル】という名の、この学園の学園長だった。
 しかし暑さも毎年のことで、その対策がないわけではない。
 部屋の中に冷却魔法を試してみたり、冷えた飲み物を飲んだりして、まあそこそこ快適な生活を送っている。
 ただ、学園長がそれだけで満足するはずがなかった。
「あ、そうだ、今年も海にいこー♪」
 その決断も毎年のことなのだが、今年は少し違っている。
 暑さに悶える生徒の為に、学園長は決意を固めた。
「ついでだから、生徒の皆もつれてっちゃおう♪」
 あくまでも、自主参加で集められた先生と生徒達は、学園長のお願いに喜んでついて行き、アルチェの町に向かって行ったという。



 アルチェの町は、元々は小さな集落で、住民は漁業で生計を立てていたという。
 しかし、当時の領主である【ダンテ・ミルトニア】が美しい海と水産資源に目をつけて観光地区へと造り変えた歴史があった。
 今では立派な町となり、かなりの人で賑わっている。
 海辺ではマリンスポーツの大会も頻繁に開催されて、優勝者には豪華な賞品が与えられる。
 その快適な町に、遊ばされに……遊びに来たのが学園の先生と学生達だ。
 早速サビア・ビーチの海岸へ向かう学園長に、まあ涼しいから良いかなと向かう学園の人達。
 初めは海を楽しみ、その気持ち良さを満喫していたのだが、楽しむだけでは終われなかった。
 ビーチパラソルの内でビーチチェアに座り、水着で寛いでいた学園長は、トロピカルなジュースを飲みながらこう言った。
「涼しいけど~、オレ様が暇なのでビーチバレー大会を開催するゾ♪ チミたち頑張って楽しんでくれよ☆ ああでもー、普通のビーチバレーじゃつまらないし、このメメたん特製のボールを使ってみたまえ♪」
 学園長の手の上に、突如丸いボールが現れる。
 バレーのボールに見えるのだが、学園長が言うのだから何か違うものだろう。
「はい、ちゅうもーく♪ このボールはこうやって使うんだぞ☆ プチヒド!」
 魔法を唱え叩くと、ボールには魔法の効果が収納された。
 その炎の力を宿したボールは、海辺へとぶつかった。
 ボゥっとボールから炎が上がり、その力を見せる。
 つまりそれを使ってビーチバレーをしろというらしい。
「じゃあ皆、エキサイティングな戦いを期待しておるぞ♪」
 だが一応危険かもしれないと、先生達がまず模擬的に対戦が行うこととなる。
 先生達の模擬試合は壮絶を極めていた。
 雷が落ち炎が巻き起こり、凍ったり爆発したりと、楽し気な光景が垣間見える。
 体にアザがつき、誰が見ても危険だが……。
「うんうん、大丈夫っぽいなー♪ じゃあ大会を始めるぞ☆」
 学園長が続行を宣言してしまった。
 そして勇気ある学生達が、それに挑むことになる。
 君達の対戦相手に名乗りを上げたのは。
 防御を得意とする【ウッド・センプーキ】
 力押しの【ダイヤリー・クロック】
 炎と水の力を持つ【スイミー・ジェリーズ】
 癒しの力を持った【ガーテン・ブラッシュ】
 速度重視の【ラベル・クーラ】
 の計五人だった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-06-26

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2019-07-06

登場人物 4/8 Characters
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《新入生》ケイ・アカツキ
 ヒューマン Lv5 / 勇者・英雄 Rank 1
母に薦められるがままに学園へ入学する事になった少年。 根は真面目であり、人並みの正義感と良識を持つ。つまりどこにでもいるような比較的平凡な少年。 周囲で困り事があればつい首を突っ込み、頼まれ事をすれば断れない性格な為、必要以上に頭を悩ませる事がある苦労人気質な面もある。 言動に関しては自身を下に見がちな根っからの「後輩キャラ」 学園生活の中でも上級生はともかく同学年に対しても「先輩」呼びで接する事が多い。 学園に入るに至って明確な目標はなく、とりあえず入学させられたという認識もあって行先に不安を感じている。 とりあえず母に薦められたし頑張ってみるかで当面はその時その時の行動で目標を決めている様だ。 母親似の為か年齢の割に幼く見える外見と中性的な顔立ちをしている。 平均よりも低めの身長と相まって男扱いよりも女扱いされる事もあったが本人はあまり気にしていない。 むしろ状況次第ではそんな自分の容貌もとことん利用する強かな一面もある。 上記にある「先輩」呼びが多いのも後輩から年上として見られた事が滅多にない環境故の処世術の一つでもあった。 「容姿とは一生の付き合いであり、持って生まれるものなのでケイさんはそんな自分を卑下する事はないのだよ」とは本人談。 ただしあんまりしつこいと流石にキレるので程々に。
《大空の君臨者》ビャッカ・リョウラン
 ドラゴニア Lv22 / 勇者・英雄 Rank 1
とある田舎地方を治め守護するリョウラン家の令嬢。 養子で血の繋がりはないが親子同然に育てられ、 兄弟姉妹との関係も良好でとても仲が良い。 武術に造詣の深い家系で皆何かしらの武術を学んでおり、 自身も幼い頃から剣の修練を続けてきた。 性格は、明るく真面目で頑張り屋。実直で曲がった事が嫌い。 幼児体系で舌足らず、優柔不断で迷うことも多く、 容姿と相まって子供っぽく見られがちだが、 こうと決めたら逃げず折れず貫き通す信念を持っている。 座右の銘は「日々精進」「逃げず折れず諦めず」 食欲は旺盛。食べた分は動き、そして動いた分を食べる。 好き嫌いは特にないが、さすがにゲテモノは苦手。 お酒はそれなりに飲めて、あまり酔っ払わない。 料理の腕前はごく普通に自炊が出来る程度。 趣味は武術関連全般。 鍛錬したり、武術で語り合ったり、観戦したり、腕試ししたり。 剣が一番好みだが他の分野も興味がある。 コンプレックスは身長の低さ。 年の離れた義妹にまで追い抜かれたのはショックだったらしい。 マスコット扱いしないで欲しい。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に

解説 Explan

目的
・魔法のバレーボールを使い、相手チームを打ち負かそう。

・ボールの効果
 触れながら魔法の力を込めると、次に触れた者に、敵味方問わずに発動する。
 回復魔法を込めると、回復も可能だ。
 地面に落ちても、その場所に攻撃魔法は発動する。
 回復の場合は地面に落ちたら無効。
 手が触れていたらその人に発動。

 一切魔法が使えない者には、特殊な手袋が支給される。
 それでボールを叩くと、普通よりも威力が上がる。

・チーム編成
 コートの中には最高で八人が入る事ができる。
 八人を同時に入れる事も出来るし、入れ替える事も可能だ。
 ただしコートの大きさは変わらないので邪魔になる可能性もあるだろう。

 人数が少ない場合、相手が慢心して合わせた人数で相手をしてくれるかも。
 交代はする。

・対戦相手
 防御を得意とする【ウッド・センプーキ】
 ボールを止める役割。
 動きは鈍い。

 力押しの【ダイヤリー・クロック】
 肉弾攻撃系。
 アタックをよく打つ。
 防御もする
 防御力はあまりない。

 速度重視の【ラベル・クーラ】
 力も防御力もないが、動きは早い。
 間に合わなそうな球も取ったり、アタックしたりする。

 炎と水の力を持つ【スイミー・ジェリーズ】
 プチヒドとプチミドを使う女
 魔法攻撃系。
 アタック役

 癒しの力を持った【ガーテン・ブラッシュ】
 力も防御力も無いが、味方の回復を行う。
 トス役。
 逃げ足だけは早い。

・ルール
 バレーと同じで3アタックです。
 相手のコート内に落としたら得点。
 21得点でコートチェンジ。
 3セットマッチ。
 2セット先取で勝利。
 コートチェンジ時には魔力の回復を受けられる。(体力の回復はしない)
 タッチネットとか細かいルールは、審判が認識していない。
 相手に、直接の暴力、は、ふるってはいけない。
 敵が居なくなってしまった場合は不戦勝。

・勝利した結果
 学園長から素晴らしい表彰が行われて、学園に名を残せるようだ。
 一週間ほど正門の辺りに名前を晒される。
 一応断る事もできる。


作者コメント Comment
ビーチバレー(謎)です。
というか違います。




個人成績表 Report
フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
●作戦と分担
ビャッカと連携し、護り(カット)重視。
カウンターと手口八丁の絡め手で勝負!

●行動
先輩方が相手ゆえ、努めて礼儀正しく(キレた時の罵声も気持ち控えめ)
一方で試合では『ハッタリ』で混乱させたり『挑発』で有利なボールを自分に誘導したり、ガンガン攻撃。
自分は手袋と、切り札の『マド』(種族特性)が攻めのメイン。
ビャッカと協力し、プチミドなどビャッカが苦手な属性は自分がカバー。
逆にプチヒドなどビャッカの方が得意なものはディフェンスを頼む。
責める時は動きと防御の弱い、『ウッド・センプーキ』『ダイヤリー・クロック』の守備位置を中心に。
余裕があれば相手の攻撃を誘い、『通常反撃』でカウンターする作戦で。

ケイ・アカツキ 個人成績:

獲得経験:105 = 70全体 + 35個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
相手チームの全滅(
試合で勝つのではなく、人数を減らして試合継続が不可能になる様に動く。
もちろん直接的な暴力は使わない。

【役割】
味方へのパスによるリーラブを用いた回復要員。
【緊急回避】【立体機動】による動きを交えて出来るだけダメージが蓄積されないように立ち回る。
隙あらばプチラドを込めて【跳躍】からのアタック。
味方が優先的に狙う相手への追撃として行うが、積極的には狙わない。あくまで回復要員としての立ち回りを優先。

ビャッカ・リョウラン 個人成績:

獲得経験:105 = 70全体 + 35個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
ビーチバレー、やるからには勝つ!

【行動】
支給される手袋を嵌めるよ。

私は高い頑丈を生かして対物理のレシーブを担当。
視覚強化と動作察知で相手とボールの動きをよく見て動き、
部分硬質化で身を守りながらレシーブするよ。

そして、時にには高めの強さも生かして攻撃も。
トスが上がったところに走りこんで、空きスペースを狙ってアタックするよ。
スパイクだけじゃなく、たまにはフェイントもね。

あ、もしスイミーが隙を晒してたら…倒しに掛かるよ!
サーブトスをネット前に高く投げ(もしくはトスをネット前に高く上げて貰い)
龍の翼の速度を生かして強引に飛びつき、強烈なスパイクをスイミーの顔面に叩き込む!
そぉぉーーれぃっ!!

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
ビーチバレーねぇ
ルール良く解んないけどそもそも審判も良く解ってないみたいだしなんとかなるだろ

取り敢えず、点数で勝ちを狙うより相手を倒した方が早いか?
人数的にもこっちが不利だし・・・
早めにこっちの有利な点を見つけてそれを生かさないとな

俺のアタック時は相手を殺す(気持ちの)勢いで回復要員を(ボールで直接)狙っていく
全力攻撃とか、奇襲攻撃、プチヒド、プチミドを織り交ぜながらな
勿論魔法を使う時は相手の弱点属性を当てていきたいところだな
後、心理学、精神分析、推測辺りがオレが覚えてる技能で使えるか?
推測で相手側の攻撃、防御予想
心理学、精神分析でブラフかどうか

基本的に俺個人としては攻撃重視で行く

リザルト Result

「ぬふふふふ、相手は四人か。ではこちらもそうしようではないか! 出でよ、我がシモベ達!」
 相手側の代表として出たのは、【ウッド・センプーキ】だった。
 かなり大柄な体型で防御を受け持ちそうだ。
「筋肉、イチ、バーン!」
 【ダイヤリー・クロック】と呼ばれる二人目はムッキムキの筋肉をした男だった。
「ふぉおおおお、スピードマアアクッス!」
 三人目が【ラベル・クーラ】、細身の男である。
「あ、違います、シモベじゃないんです。この人言ってるだけなので気にしないでください」
 最後の一人は【ガーテン・ブラッシュ】と言われる男である。
 つまり全員男である。
「頑張りなよ。アチキは応援してるからさ!」
 残った一人、【スイミー・ジェリーズ】という女であるが、まだ出場はしないらしい。
 その五人に対抗する為に集まった四人が。
「スタンテッド家が次期候補生、フィリンです。よろしくお願いします」
 【フィリン・スタンテッド】。
 少し小柄でもグラマーな体に視線を集めている、青い瞳のヒューマンの女である。
 黒い髪を風になびかせ、コートの中に入って行く。
「校長先生はその時の楽しみに全力で投資する人だ、周囲の反応とか意見とか顧みずにやってのけてしまう人だ……!」
 とか勝手に戦慄しているのが、【ケイ・アカツキ】である。
 ケイはヒューマンの男性だが、小柄で可愛らしい体型に、下は短パンタイプの水着に上は薄地のパーカーを着ている。
「深く気にしたら負けだな。よーし、ひとまず先輩達をぶっ飛ばすとしようか」
 しばしば女と間違えられてしまうそんなケイには、男女共に応援の声が聞こえて来る。
「うん、やるしかない! やるからには勝ちに行くよ! えい、えい、おー!」
 【ビャッカ・リョウラン】。
 実年齢よりかなり下に見られるドラゴニアの女性で、じつは二十歳をむかえているのに驚く人も多いだろう。
 身長の低さではこの競技に不利なビャッカではあるが、翼を使えば高さを補えるだろう。
 ビャッカは視線をなるべく気にしないように、支給された手袋を着用した。
「オレとしては、やれる事をするだけだ」
 【仁和・貴人】(にわたかと)。
 仮面を被った彼の顔は見えないが、その顔は童顔である。
 仮面を被るぐらいには気にしているらしい。 
 相手の五人に対して、この四人がビーチバレーというには名ばかりの、全く違う競技に挑む。



 コート内に入り始まりを待つばかりの時に、フィリンが相手に口撃を仕掛ける。
「こちらは人数が一人少ないので、お手柔らかにお願いしますね。観客にウッドさんを見ている子も多いみたいですし、お互いフェアプレイで行きましょう」
 フィリンの発言に、ウッドは辺りを見定めている。
 人が多く、誰が誰に応援しているのかは判断できない。
 自分のことを応援していると思い込んだのだろう。
「ぬふふ、我は挑戦を受ける側なので、サーブ権とコートの選択はそちらに任せよう。こちらの方が多いからな。更に、大サアアビスをくれてやろう。どんな攻撃だろうと誰を狙おうと、一発目だけは確実に受け止めてやろう! 安心しろ、もし避けたら我がぶん殴ってやろう」
「うん?」
「は?」
「おい!」
 ウッドが言い放った言葉に、相手チームが驚いている。
「お~い、始めろよ~、他のチームは始めてるぞ」
 しかしもう何でも良いからと、見守っている審判の先生からボールが貴人に渡された。
 こちらのチャンスであると、貴人による最初のサーブが放たれようとしている。
「行くぞ。プチ、ヒドオオオ!」
 狙ったのはガーデンで、言われた通りに避けようとしない。
 殴られるのが嫌だったのかもしれない。
「ギャッ!」
 ガーデンにボールが当たった瞬間に、火の力が解放された。
 ボワっと炎が上がり、ガーデンに大ダメージを与えた様にみえる。
 ボールはコート内に落ちて一点を得た。
 これが後三セットマッチ行われると言うのだが、安心して欲しい。
 絶対にそんな事にはならないのである。
 だって体力が続かないのだから。
「二発目だ。プチ、ミドォ!」
 貴人による二回目のサーブだが、ウッドが受け止めようと動き出した。 
「二発目はやらせん! ふぬぅ!」
 ダメージを覚悟で水の力を食らい、ボールを高く空に上げる。
「スピーデイイイイ!」
「どおりゃああああ!」
 ラベルが落ちて来るボールをトスし、ダイヤリーが思い切ってボールを打った。
 ヒュゴウと音を立てる強烈なアタックも、ビャッカがそれを待ち構えている。
 視覚強化と動作察知で相手とボールの動きをよく見て動き、部分硬質化で身を守りながらレシーブを行った。
 だが運が悪く、ボールはネットの上に高く上がってしまう。
 相手のラベルは動いていたが、誰よりも早く予測して動き出したのはケイだった。
 大きく跳躍すると、ボールに向かって腕を振る。
「プチ、ラドッ!」
 ケイは先にボールに触り、打ち込もうとしたのだが、ボールを間に挟み二つの手が触れている。
「スピピピピ!」
「あいたぁ!」
 雷の力は二人にダメージを与えて、相手のコートへボールが流れた。
 ガーデンがボールを受け止めリーラブを放つと、ラベルがそれを受けとり体力が回復される。
 そして。
「ほいやあああああ!」
 ダイヤリーの強烈なアタックに繋げられたのだ。
「受け切って見せます!」
 フィリンは腕でボールを受け止め、弾き上げると、ケイがトスを上げてリーラブを込めた。
 もう一度フィリンが跳びあがり、ダメージを回復しつつ、相手にボールを打ち込んだ。
「覚悟!」
 フィリンが狙ったのはダイヤリーだ。
「ヌグァ!」
 胸の辺りにバーンと当たって再びボールが戻って来ていた。
「私が行くよ!」
 ビャッカはそのボールを狙い、翼を使い空へ上がると、下に向かってボールを打ち込む。
「そぉぉーーれぃっ!!」
 滑降するようにボールはガーデンへ向かうが。
「そのぐらい躱しますよ!」
 普通に躱されて得点を一つ獲得した。
 ゲームを続けようと貴人がボールを持つが、向うのコートはウッドとガーデンがもめているらしい。
「お前、やる気がないのなら交代しろ!」
「いや、得点がどうとかは関係ないでしょう。今僕が居なくなったら勝てないですよ?」
「煩い、お前は交代だ!」
 大事な回復役のガーデンが下げられ、代わりにスイミーがコートに入って行く。
「向うの状況がなんであれ、今がダメージを与えるチャンスだ。行くぞ!」
『おー!』
 貴人の声に気合を入れ、全員が声を上げる。
 そして高くボールを上げた貴人は、思い切ってサーブを放つ。
「プチ……ミッ、ドォ!」
 水の力を持ったボールが、ウッドに向かって行く。
「ぬふううううう……ッふん!」 
 ウッドは水の力を受けながらボールを上に弾き上げた。
 ラベルがトスを上げ、参加したスイミーが魔法を使う。
「くらえ、プチミド!」
 水の力を持つボールは、ビャッカに向かって飛んで行った。
 ビャッカには相性の良くない水の力だ。
「私に来た?!」
「フォローする!」
 貴人がボールを受け止め水の力は体に弾けた。
 零れ落ちそうになったボールは、ケイが拾い上げ、フィリンに繋げていく。
「いきます……右!」
 と言いつつフィリンは左方向に全力でボールを打ち込んだ。
 そこに居たのは自分に来るとは思っていなかったラベルである。
「んぎょぉ?!」
 ハッと気づいた時にはもう遅く、横っ面に思いっきり食らってダウンしていた。
 これで残りは四人である。
 ラベルの顔面に跳ね返ったボールは、まだ死んでいない。
 ダイヤリーが拾い上げ、スイミーがまたボールを打ち付ける。
「プチミドオオオ!」
 フィリンがボールを拾おうと体勢を崩しながら向かって行くが、ボールの方が先に落ちてしまったようだ。
 地面にぶつかり、はじけた魔法の余韻でダメージを食らってしまう。
 そこで相手チームのウッドは、外していた一人をコートに呼び寄せるようだ。
「うぬぬぬぬ、まだこちらにはメンバーが残されている。来い、ガーテン・ブラッシュ!」
「入れたり外したりと煩わしい人ですね。もう少し謙虚にお願いしてくれません?」
「煩い! 来たくないのならそこに居ろ!」
「いや行きますけどね……」
 また相手メンバーは四人に増えてしまう。
 しかし、ダメージはそのままで、相手の体力は回復していない。
 ゲームとしてちっとも進んでいないが、その内決着がつきそうである。
「フアァ……それじゃあ続きを始めろよ。あ~、今何点だったか? ……もういい、始めてくれ」
 この試合を見守っている審判の先生は、得点なんて数えていないらしい。
 欠伸をしながら早く倒せといわんばかりだ。
 そして今度は、相手からのサーブで始まる。
「きん……にいいいいいいいく!」
 ダイヤリーにより、爆発的な威力のボールが、ケイに向かって来ていた。
 ケイは回避に専念し、避けた所にフィリンとビャッカが防御に出る。
 同時に前に出ると、二人の連携防御が組み上がる。
 四つの腕がクロスされ、強烈なボールは弾き上げられた。
「ツーアタックだ!」
 貴人は跳びあがるがボールには触らずフェイクを掛ける。
 攻撃を避けていたケイが、浮いていたボールを打ち付けた。
「プチラド!」
「任せろ我が受け止める!」
 ウッドが前にで出て受け止めるが。
「うおおおお、ビリビリする?! これはなんだ? 痺れるのは、無理……グフッ」
「じゃあ何で受け止めるんですか。魔法の名前ぐらい覚えといてくださいよ! 帰ったら魔法の勉強してきてくださいね!」
 倒れたウッドにガーデンが詰め寄っている。
 肩を掴んでガクガクしているが、起きる気配はなさそうだった。
 相手は残り三人だが、ボールが高く上がって相手側の攻撃チャンスだった。
 そのボールを狙い、スイミーが高く跳びあがり。
「プチヒドゥ!」
 魔法の効果を付与してこちらにボールが向かって来ていた。
「私が取るよ」
 ビャッカは、炎の込められたボールを受け止め、仲間にボールを回した。
 ケイがトスを上げている間に、貴人は敵の動きを予測している。
「スタンテッドくん、コートの右隅を狙ってくれ。奴はそこで自滅する」
「……マド!」
 フィリンは魔力の力をボールに込め、言われた場所へと打ち付けた。
 防御しに走って来たのはダイヤリーである。
 キッチリ合わせて受け止めようとしたのだが。
「グッフウウ?!」
 フィリンの打ったボールは、その上をいった。
 魔力を込められたボールは、ダイヤリーの腕で跳ね返り、そこで爆発する。
 だがまだ終わらない。
 跳ね返ったボールは顎へとぶつかり、相手に連続したダメージを与えた。
 それによりダイヤリーは倒れ、相手チームに残されたのはたった二人だ。
 人はまだ残って居るとはいえ、相手にボールを受け止める人間は居ない。
 ダイヤリーの顎に跳ね返ったボールは、こちらのコートに戻って来ていた。
「ここで決めるよ。 てえええい!」
 慌てふためき隙を見せるスイミーに、ビャッカは狙いを定める。
 大きく上がったボールに、強引に跳びつき、強烈なスパイクをスイミーの顔面に叩き込んだ。
「プギャ……」
 最後の一人、残ってしまったのはガーデンだけである。
「残りは一人か……このまま得点を入れて勝ってしまうのもありだが、倒す方がたぶん早いな」
 貴人が相手コートにサーブを打ち込む。
「一人でも負けはしません!」
 とガーデンはボールを取って、ボールに回復魔法を込めて、もう一度自分で取っている。
 普通なら反則を取られてもおかしくないが、先生は何も気にしていない。
 打ち返されたボールは、フィリンにより受け止められた。
「……先輩、諦めてくださいね?」
 フィリンからのボールをビャッカがトスし。
「これはスポーツなんだし、非情なものなんだよ。諦めてもらうよ!」
 ケイへと上げられた。
「行きますよ先輩。遠慮なくぶっとばします! プチ、ラドオオオオオオオオ!」
 ケイが放ったボールは避けられてしまったけど、波状攻撃はガーデンを追い詰める。
「こ、これは……無理……」
 最後にはガーデンの魔力と体力が無くなり、コートに倒れてしまったようだ。



「はぁ、やっと勝てた」
 フィリンは肩で息をしている。
「よし勝った!」
 ケイは疲れながらも喜んでいる。
「まあ、訓練にはなったな」
 貴人は砂場に座り休息をとっている。
「でも、なんというか、凄惨な競技だね」
 ビャッカは辺りの風景を見回し、倒れている生徒の数を確認している。
 倒れている方が多そうで、数えるのを諦めた。
 しかしそんな彼等の下に、審判をしていた先生がやって来た。
「あ~……勝利を喜ぶのはいいが、一つ忘れている事があるぞ。学園長はこれを大会と言っていた。つまり、次の試合もあるかもしれないということだ。見なかった事にしてやるから、逃げても良いんだぞ?」
『…………』
 全員が自分達の体の状態を見回し、走り回った疲れやダメージの程を確かめている。
「……うん、一回はやったし、もう良いんじゃない?」
 ケイはやりたくないらしい。
「やるからには勝ちたいけど、やらない事が勝ちってこともあるよね?」
 ビャッカもやりたくないらしい。
「そうだな。どこかの国の言葉に、逃げるが勝ちって言葉がある」
 貴人も気力を失っている。
「次の試合、皆、やりたい?」
 フィリンが皆に聞いている。
「いや特に」
「全く全然」
「サッパリ」
 ケイ、ビャッカ、貴人は、手を振りハッキリ否定している。
『よし逃げよう!』
 審判の先生の提案に乗り、四人はこの場所から逃げ出して行った。




 少し熱い砂浜は足の裏を刺激し、踏ん張るのにも力がいり、体力を鍛える。
 魔法を込めたボールは、参加した全員に緊張感を生み出していた。
 魔法を使う順序と、ルールの裏を読む力は、戦闘での頭脳を養う。
 声出しで、気持ちの発散と、ボールを叩くという爽快感。
 スポーツをする気持ち良さ。
 そしてなによりも、魔物と戦うよりも圧倒的な安全性。
 これこそ丁度良い訓練であると、学園長は思っていた。
 しかし時が経ち終わってみると、案外凄惨な光景が広がっている。
 死屍累々になっている生徒を見て、ちょっとやり過ぎたかもと思っている。
「ん、ま、訓練になったからいいってことで☆ よし、宿に帰るぞ~♪ 」



 試合から逃げのびた四人だったが、このバレーで一番人数が多く生き残ったのが彼等だったらしい。
 生き残った人数が少なすぎて、他の試合は結局行われる事がなかったようだ。
 その為、四人は学校に名前を貼りだされることになった。
 学園の入り口に看板が掲げられ、そこにはこう書かれていた。
 ビーチバレーにおいて、優秀な成績を収めた四人の名前を学園に掲げる。
 フィリン・スタンテッド。
 ケイ・アカツキ。
 ビャッカ・リョウラン。
 仁和・貴人。
 と、門の前だけではなく、学園には大きな垂れ幕が四つ下がったという。
 四人はあの凄惨な競技を生き延びた勇者として、学園に語り継がれる事だろう。
 こうしてこの事件は幕を閉じた。
 のちにこの事件は、一部の生徒の間で、浜辺の惨劇と呼ばれるようになったらしい。



課題評価
課題経験:70
課題報酬:2000
【夏コレ!】浜辺でビーチバレー(謎)対決?
執筆:秀典 GM


《【夏コレ!】浜辺でビーチバレー(謎)対決?》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 1) 2019-06-24 00:42:39
勇者・英雄専攻のビャッカ・リョウランだよ。
みんな、よろしくね。

とりあえず、今日は挨拶まで…作戦とかはまた後で。

《新入生》 ケイ・アカツキ (No 2) 2019-06-24 05:28:15
勇者・英雄専攻のケイ・アカツキだ。よろしく先輩方。

炎とか氷とかが出てくるボールなんて、それただの触媒が杖から変わっただけの攻撃魔法…というか物理的に痛いのも相まってなお質が悪いような気もするんですがそれは

とりあえず気になった箇所は2つ。

相手チームがいなくなった場合は不戦勝って事は
相手メンバーが試合継続不能な状態になっても直接的な暴力さえなければ、こちらにペナルティはないって事になるということ?

もう一つ。
これルール的に必ず魔法付与のバレーボールは受けなきゃだよね?
つまり少なくないダメージは常に受けるから、人数が少ない+交代要員がいないこちらは相対的に不利になる?

中々大変そうなだなこれは…一応リーラブを使えるようにしとくので回復要員が必要なら俺の方で受け持とうか…とも思ってるけれど、
ボールを介した魔法のみが有効なら自分自身の回復は出来ないので、気をつけないといけないね。

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 3) 2019-06-24 23:54:41
>不戦勝云々
直接攻撃さえしなければ大丈夫みたい…というか、ぶっちゃけ「5人倒せば勝利」らしいよ。
むしろ三セットマッチまで行けるかの方が怪しい。

>相対的に不利?
たしかにそうだよね。休憩できないのは少し不利かも。
受けるたびにダメージ…攻撃要員をどうにか出来れば随分楽になると思うよ。

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 4) 2019-06-25 00:28:35
と、何だかんだで出発まであと2日になってる。そろそろ作戦決めないとだよね。

私はつよさとがんじょうを高さを生かして、
物理攻撃に対するレシーブ(防御)をしつつ、力任せのアタックを時々打ちに行く感じを考えてるよ。

スイミーの魔法攻撃に関して、プチヒドは受けてもいいかもなんだけど、
プチミドはがまんの低さと種族弱点が合わさってちょっと相性が悪いんだよね…
個人的に早めに退場させたいから、隙あらば(ボールを介して)ダイレクトアタック狙っていくよ。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 5) 2019-06-25 06:19:29
勇者・英雄専攻のフィリンよ、よろしく。

あと1日で3人だけど、大丈夫かな…頑張るわ。
人数が少ない場合、先輩たちの方で合わせてくれるかも…って言ってたし、大丈夫かな。

>スタイル
私もビャッカと同じで、防御メインのカウンター型ね。
属性不利がないのとがまんは私の方が高いから、うまくビャッカと組めば弱点補いあえるかも?
私のほうはつよさがちょっと低めだし…

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 6) 2019-06-25 13:15:01
ギリギリだが、参加させて貰うな。
かしこさが低いのでもいいのであればプチヒド、プチミド使えるが・・・

回復魔法使えるのも厄介だと思うんだ。
コートチェンジ時には魔力の回復を受けられる。(体力の回復はしない)
ってルールにはあるがメンバーがインターバルに行動してはいけないって書いてないからな
しないとは思うんだけどインターバル中にむこうの体力も回復されるんであれば・・・って考えしまってな。
なんでオレは向うの回復要因を積極的に狙っていく予定だ。

《新入生》 ケイ・アカツキ (No 7) 2019-06-25 16:17:02
ドーモ。貴人先輩。

これで4人か…人的不利はまだこちら側だけれど、立ち回り次第で十分補えるな。

まあ、細かいルールはガン無視で行われそうだものな。
だったら一人ずつ確実に潰していくって感じでいいか。ビーチバレーで潰すとか物騒だけれど(

俺の役割は最初に言ったとおり回復要員として立ち回ろうと思う。
一応隙あらばプチラドでビリビリさせるのもいいかもしれないけれど、あまり狙われないように動く事を優先する事にする。
まあ、身体能力的な部分はどうしようもないけれど、特に不利な属性はないし…何とか持って見せるよ。