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【夏コレ!】第1回★熱血スイカ割り大会!



ストーリー Story


 時が流れるのは早いもので、ツリーフォレストマンによる熱烈な歓迎から数ヶ月。
 魔法学園フトゥールム・スクエアに通う学生たちも少しずつ学園に馴染み、クセが強すぎる先生に先輩や、奇想天外な授業にも、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなってきた。
 けれど、そんな彼らを1枚の張り紙が驚かせることになる。

『おっすおっす! フトゥールム・スクエアの学園長メメたんからのお知らせだぞ!
 毎日授業に課題を頑張る諸君にささやかな御褒美だ! 海辺の街アルチェにご招待!』

 海辺の街、アルチェとは、夏になると海水浴やマリンスポーツに訪れる観光客で賑わう街。
 街中に飲食店やホテル、土産屋が立ち並び、1日ではとてもじゃないけれど回りきれない。
 そんな観光地の浜辺で羽を伸ばしてきてよいと、学園長からのお達しが出たのだ。
 アルチェの街までは学園がしっかりサポート。しかもスイカまで用意してくれるらしい。
 学生たちは、アルチェの海にそれぞれ想いを馳せる。
 きらきら輝く海辺に響く、楽しそうな笑い声。泳ぐだけじゃなく、砂浜でビーチバレーも楽しそうだ。ああ、夜になったら花火もしたい。
 もしかして。いつもはしっかり着込んでいるあの子の水着姿が見れちゃったりして。
 夏の日差しがいつもより開放的な気分にしちゃったりして。気になるあの子と大接近! なんてこともあるかもしれない。ないかもしれない。

 ぶっちゃけ、ものすごく、行きたい。学生たちは、その誘いに乗ることにした。
 まあでも、これ、メメたん学園長からの誘いなんだ。

●つまりは罠である
 浜辺にスイカがあった。
 大人ひとりをゆうに越す大きさのスイカだった。
 聞いてない。スイカを用意しておくぞ! とは言っていたけれど。
 こういうスイカだって聞いてない。今回はきゃっきゃうふふするだけの楽しい話だと思ったのに!!
 というかこれなんなの? 魔物なの? 原生生物なの?
 分かるのは、とにかく大きいスイカが海辺に転がっていることと、遊ぶためにはとりあえずこのスイカを壊すしかないらしいということだ。
 まだ海に入っていないのに、頬を伝ったそれはなんだかしょっぱい味がした。気のせいかな。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-06-22

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2019-07-02

登場人物 5/8 Characters
《新入生》クロード・クイントス
 ヒューマン Lv11 / 賢者・導師 Rank 1
色々と考えてから行動するタイプ。 あまり感情的にはならずニッコリ笑顔を心がけている。 でも顔は笑っていても眼は笑ってない。 厳格な家庭で育ったため人間関係に疲れて孤独を好み、自立するために家を飛び出し、秘めていた好奇心をさらけて放浪癖を患う。 ※アドリブ歓迎
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《大空の君臨者》ビャッカ・リョウラン
 ドラゴニア Lv22 / 勇者・英雄 Rank 1
とある田舎地方を治め守護するリョウラン家の令嬢。 養子で血の繋がりはないが親子同然に育てられ、 兄弟姉妹との関係も良好でとても仲が良い。 武術に造詣の深い家系で皆何かしらの武術を学んでおり、 自身も幼い頃から剣の修練を続けてきた。 性格は、明るく真面目で頑張り屋。実直で曲がった事が嫌い。 幼児体系で舌足らず、優柔不断で迷うことも多く、 容姿と相まって子供っぽく見られがちだが、 こうと決めたら逃げず折れず貫き通す信念を持っている。 座右の銘は「日々精進」「逃げず折れず諦めず」 食欲は旺盛。食べた分は動き、そして動いた分を食べる。 好き嫌いは特にないが、さすがにゲテモノは苦手。 お酒はそれなりに飲めて、あまり酔っ払わない。 料理の腕前はごく普通に自炊が出来る程度。 趣味は武術関連全般。 鍛錬したり、武術で語り合ったり、観戦したり、腕試ししたり。 剣が一番好みだが他の分野も興味がある。 コンプレックスは身長の低さ。 年の離れた義妹にまで追い抜かれたのはショックだったらしい。 マスコット扱いしないで欲しい。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《勇往邁進》レアン・フレイン
 ルネサンス Lv12 / 武神・無双 Rank 1
【外見】 金色の狼のルネサンス セミロング程の金髪を邪魔にならないようキツく縛っている つり目の両目赤茶 八重歯 【性格】 好戦的 強者との戦いを常に求めている 入学した理由も強者との戦いを求めて そこに善も悪も介入する事はない 戦って勝った相手は全て舎弟であり保護対象 ※アドリブ大歓迎!

解説 Explan

●目的
 超巨大スイカを破壊する。

●超巨大スイカ
 とても大きい。そして固い。技能を使ってもすぐには割れない頑丈さ。
 動いたり逃げ出したりすることはないので、兎に角殴って殴って割っちゃいましょう。
 味の保障はできませんが、食べても大丈夫です。スイカなので。

●場所
 アルチェの海辺です。

●補足
 スイカが割れたときに飛び散るかもしれないので、汚れてもいい格好がオススメです。
 今回の課外授業では学園から無償で水着の貸し出しが行われています。
 『貸し出し水着』か『アイテムとして装備している衣装』のどちらを反映させるかは自由です。
 ※こちらで貸し出した水着は、アイテムとして配布されることはありません。

 スイカを割ったら、海辺でのひと時を楽しんでください。
 海水浴、買い物、花火。なんでもOKです。思う存分羽を伸ばしましょう。

 プランは作戦や行動のみでなく、台詞などもあるとたいへん助かります。
 皆様のすてきなプランをお待ちしております。宜しくお願いいたします。


作者コメント Comment
 閲覧頂きありがとうございます。あまのいろはです。
 スイカを倒せば、海での楽しいひと時が待っています。がんばりましょう!
 学生の皆様が力を合わせれば、きっとすぐに倒せるハズ!

 皆様のすてきなプランをお待ちしております。


個人成績表 Report
クロード・クイントス 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
「魔法で大きくしたのか、もしくはこういう品種があるのかな?」
と考察、
「まあいいか、まずは目的の遂行、スイカ割りだ」

【スイカ割】
丸太でスイカ割りに挑む
「これ叩き方によっては転がるのかな?(ニッコリ)」と白々しく語り(罠)つつ、さり気なく鬼面:「墜悪」をかぶる
「フオオオオオオオオオオオ…」
と雄叫びを上げながらスイカを割りにいく

【その後】
何事もなかったかのように釣りでも楽しむ
もしくはBBQを楽しむ、準備してくださったビャッカさんにはやはり何事もなかったかのようにふるまいニッコリとお礼を

アドリブ歓迎です

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
超弩級に膨大な大きさしてるスイカ割るって聞いたから見に来ただけ。
味?どーせスイカじゃん?だからそんなにきょーみないかな。味見はするけど。

他のゆーしゃ様なり野次馬なりは食べるかもってこと考えっと、ぶちまけ散乱な状態にしちゃうのは、良くなさみあるし。たぶん。
とりま皮には切れ目入れてもらえる流れっぽくなったし、ザコちゃんはそこに【カラフルチョーク】で印入れとこ。
どこからどんな攻撃するにしても、切れ目に添わせば散乱防げっかもだしね。多少は。

で、スイカの周りの砂にに水かけて、棒で軽く穴掘って押し転がして入れとく。転がり防止的なやつ。

ん、水着?【汚れ耐性】なメンタルだけど、一応着てきた。普段の服の上から。

ビャッカ・リョウラン 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
巨大スイカを早く壊して、皆で遊ぶんだ!

【行動】
まずは青銅の剣を構えるよ。
嫌な予感がしたから持ってきてたけど…正解だったみたいだね。
ちなみに、水着は自前のだよ。

まずは剣を振り下ろしてスイカ切り付けまくるよ。
うまく割れるように、一定方向の切れ目やヒビを作り出すんだ。

ある程度切れ目やヒビが出来たら…大技で!
龍の翼で最大高度まで飛び上がり、剣を振り上げて、急降下。
速力と重力と全力の勇者之斬をスイカに叩き込む。
駆け抜けるは疾風が如く!振り抜くは稲妻の如く!届け、雲耀の速さ!
チェストォォォーーーッ!!!



おっと、後片付けも忘れずに。来た時よりも美しく、だよ。
体についたのは…泳げばマシになるかな。

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
まずは念のためにスイカを固定しようと思う

観光地だし海の家的なものがあれば大きな布を借りれないだろうか?
借りれたならスイカの下に敷く
スイカを普通に動かすのは大変だと思うので
設計、陣地作成、スコップで穴掘って穴の上に布広げてスイカをその穴に嵌めて固定

砂塗れになったスイカなんて食べたくないし布敷いておけば色々楽だしな

折角だしギャラリーも用意して騒げるイベントに仕立てるか
スイカ割った後の処理もしなきゃだしギャラリー居ればスイカ配って処理はそれで終わりだしな
美味しかったら残念だがこの後BBQやるつもりだからな

一点集中で攻撃しようとしてる人が居たらそれに乗る
目印向けて攻撃
無ければ普通に攻撃

レアン・フレイン 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:165 = 60全体 + 105個別
獲得報酬:3750 = 1500全体 + 2250個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
スイカって名前のサンドバッグが浜辺にあるらしいから殴りに来た

【行動】
汚れるのは本意じゃないから水着を借りて着用

『精神統一』と『気合い』で気分を高めながらも冷静に
『基本拳術』の知識で確実にスイカの急所を『真中正拳突き』で突く

重要なのはタイミング
力の入れ具合
冷静に急所を正拳突きで突けるかどうか

基本スイカはサンドバッグだと思ってるので
何度でも何度でも何度でもやる

基本修行だと思ってる
スイカは割れたら食べる
時間があれば泳ぎたい

【心情】
でかくて固いスイカがある?
面白いじゃねーか
俺が叩き割ってやるよ

それに浜辺にスイカがあると遊べないんだろ?
なら強い俺がスイカを倒すのは群れのリーダーとしては当然だ

リザルト Result


 夏だ! 海だ! スイカ割りだ!
 テンションを上げてみても、目の前にあるものが超巨大スイカである事実は変わらない。
 ああ、普通のサイズのスイカなら、よかったのになあ。メメたん学園長の誘いだから仕方ないのかなあ。
 思うことは多々あれど、スイカを割らないとせっかく海まで来たのに遊べないらしい。
「海で思いっ切り遊びたい! そう思って参加したけど……あ~、やっぱり罠だったよ」
 そんな気はしてたんだ。【ビャッカ・リョウラン】はがっくりと肩を落とす。
 予想外な出来事ばかり起こる学園にも慣れてきたんだ。大丈夫、これくらいじゃへこたれない。
「そして、きっとこのスイカが、大口を開けて襲って……!!」
 ――――こない。超巨大スイカは砂浜の上で、相も変わらず鎮座ましましている。
「な、ならば! このスイカに手足が生えて襲って……!!」
 ――――こない。本当に、超巨大なだけのただのスイカのようだ。
 ビャッカがそう考えてしまうのも無理はない。学園内では、もっと奇想天外な授業や出来事が溢れているのだから。
 ひとは、気付かぬうちに状況に順応していくものなのだ。ああ、慣れって恐ろしい。
「魔法で大きくしたのか、もしくはこういう品種があるのかな?」
 超巨大スイカを前にして、【クロード・クイントス】はふむ、と考察。
「…………まあいいか。まずは目的の遂行、スイカ割りだ」
 割ってみたら何か分かるかもしれないし。クロードはそう言いながら、ぺちぺちとスイカを叩いてみるが、ビクともしなかった。
「念のためにスイカを固定しようと思うんだが……」
 そう言う【仁和・貴人】の手には、海の家から借りてきた大きな布が握られている。
 食べてもいいとは言っていたけれど、砂まみれになったスイカは食べたくない。
 味の保障はないのだから、せめて美味しい状態で頂きたい。それに、不味かったらそっと片付けることも出来る。
 体力を使って割ったスイカは食べられず、砂浜の清掃をすることになるだとか、地味な気持ちになるに決まっている。
 けれど、この超巨大スイカをどうやって布の上に乗せようか。
 先ほどクロードが確かめたように、ちょっとやそっとじゃ動く気配はない。全員で力を合わせて押したとしても、日が暮れてしまいそうだ。
「よし、スイカの方に動いてもらえばいいか」
 貴人はスコップを手にすると、スイカの横に穴を掘り始めたのだった。

「超弩級に膨大な大きさしてるスイカ割るって聞いたから見に来たけどぉ」
 【チョウザ・コナミ】は、スイカが転がらないように周りに水を撒いたあと、貴人の側に屈んで穴を掘る作業を見守っている。
 ちなみに、洋服はスイカで汚れてもいいと思っているチョウザだが、既に水着は着用済みだ。服の上に。
「手伝ってくれてもいいんだが?」
「いやー、ザコちゃん肉体労働派じゃないからぁ」
 貴人の言葉にチョウザはゆるい笑顔を返すと、頑張れとひらひらと手を振った。
 夏の日差しが降り注ぐ浜辺で、貴人の汗が光る。
 それだけ聞けば夏らしいのに、これではチョウザの言うように強制肉体労働だ。どうしてこんなことに。
「ったく、しょうがねえな」
 借りた水着に着替えた【レアン・フレイン】が貴人を覗き込んでいた。金の耳と尻尾が、太陽の光を浴びてきらきら光っている。
「救いの神か……!!」
「何言ってんだ?」
 拝むようにレアンを見上げた貴人を見て首を傾げたものの、彼はにんまり笑うと任せとけ、と言って胸を軽く叩いた。
 群れで困っている奴がいたら、それを助けるのは自分のような強い奴の役目なのだ。
 レアンは貴人の横に並ぶと、自らの手を使ってざくざくとすごい勢いで穴を掘っていく。
 その姿は、まるで金色のわんこ。ごほんごほん。――――流石、金色の狼だ。
「えー……。じゃあザコちゃんもちょっとだけ手伝うけどさぁ」
 屈んで様子を見守っていたチョウザも、気だるげに手にした棒で近くの砂を掻く。
 そこへ、水着に着替えてきたビャッカとクロードが戻ってきた。穴を掘り進めている仲間を見て、ぱちぱち瞬く。
「えっ、もう穴掘ってたの!?」
「自分たちも手伝うよ」
 穴を掘ること、暫し。スイカの足場がずず、と動いた。貴人は穴のなかに素早く布を敷くと、一斉にその場を離れる。
 重みに耐えられなくなった砂場は崩れ、スイカは布を敷いた穴の中にゆっくりと転がり落ちた。
 これで準備は整った。さあ、楽しい楽しいスイカ割りの始まりだ!!


 こほん、と貴人は咳払い。そして、ぱんっと軽く手を叩いた。ただの観光客にも聞こえるように、声を張る。
「さぁ、フトゥールム・スクエアに通う勇者候補様達のデモンストレーションだ!」
 どうせならば、楽しく。アルチェの街に来るひとは、大半が観光客だ。きっと乗ってくれるだろう。
「この大きくて硬いスイカは見事に割れるのか!! さぁ、お立会いお立会い!」
 これを機に、学園に依頼を出すひとが増えればいい、そんな思惑もあったりしたのだけれど。それは秘密である。
 学生たちは超巨大スイカを取り囲む。きりりと真面目にそれぞれが武器を構える姿はとても映えるけれど、相手がスイカなんだよなあ。
「スイカって名前のサンドバッグだろ? 面白いじゃねーか、俺が叩き割ってやるよ」
 いちばんに行動を示して見せるのも、群れの強い奴、つまり俺の役目だろう。レアンがスイカの前に立つ。
 スイカの急所を狙って――――ん? 急所ってどこだろう。いやいや余計なことは考えるな。精神を研ぎ澄ませて、目の前のスイカに集中だ。
 重要なのはタイミング、力の入れ具合、冷静に動けるかどうか。ふぅっと一息吐いて、レアンが動く。
 スイカに向かって、真っ直ぐに正拳突きを放つ。それは、レアンにとって渾身の一撃だったが、スイカにはヒビひとつ入っていない。
「本当に硬いんだね……」
 青銅の剣を構えたビャッカが、レアンが打ちつけた場所をまじまじと覗き込んだ。すこし凹んでいるようにも見えるが、一見では分からない。
「早く巨大スイカを壊して、皆で遊ぶんだから!」
 剣で斬りつけても、やっぱり壊れる気配はない。
 本当にこれはスイカだろうかという疑問が浮かぶが、考えるよりも手を動かしたほうがいい。ビャッカは何度も剣を振るう。
「スイカ割りはやっぱり丸太だと思うんだよね」
 そーれっという掛け声と共に、クロードがイイ笑顔で丸太を振るう。
 まるで梵鐘のようにスイカを叩くクロードは、間違って転がらないといいね、と不穏な言葉を呟いている。考えないことにしよう。

 それぞれが思い思いにスイカを殴り続けて、暫くして。びきっという音を立てて、スイカにヒビが入った。
「お? ヒビ入ったっぽい? じゃあ、ザコちゃん印付けとこ」
 チョウザがカラフルチョークでスイカのヒビと、その切れ目に沿わせて印を書いていく。
 皆がそれぞれ思い思いの方向から叩くより、ヒビに沿わせて攻撃したほうが割れやすくなるだろうという狙いだ。
「急ぎじゃないとは言え、なんかじれったいよねー、コレ」
「いい鍛錬になりそうじゃねーか?」
「ザコちゃんは、鍛錬しにきたわけじゃないけどぉ……」
 チョウザの言葉に、スイカを殴りながら、レアンがはんっと鼻を鳴らして楽しそうに笑う。
 ヒビが入ってすこし心に余裕も出てきたのだろう。スイカを叩く学生たちに、雑談が混ざりはじめた。
 決して飽きてきたわけではない。すこしでも楽しみがないと、やってられないのだ。
 大切なことだからもう一度言う。決して飽きてきたわけではないのだ。
「ただの大きいだけのスイカとか、やっぱりまだ疑っちゃうよね」
 ビャッカが笑う。なかから何かが出てくるかもしれないし、割れる瞬間に襲いかかってくるかもしれない。まだまだ油断は出来ない。
「まあ、あの学園長からの誘いだしな……」
 何気なく発された貴人の言葉に、レアンの狼耳がぴくんと反応する。何やら警戒するように、耳がぴんと立った気がした。
 何かを察したクロードがレアンにそっと近付いて、彼にしか聞こえないようにこっそり問うた。
「…………レアンさん、もしかして、学園長先生のこと、怖いのかな?」
「は? 校長なんて怖くないし。武者震いだし」
 レアンの尻尾が動揺を隠しきれずに、はたたと忙しなく動く。その様子で、話を聞いて居なかった仲間たちも何を聞かれたのかなんとなく察した。
 レアンを見つめる皆の視線があたたかい。そういうことに、しておいてあげようね。約束だよ。

 観光客の皆さんとも雑談を交えながら、学生たちはスイカを叩いて、叩いて、叩く。
 最初は小さかったヒビも大きくなり、スイカが砕けるまであとすこしに見える。襲ってくる心配もなさそうだ。
「よっし、そろそろ砕けるかな! 大技いくよ!」
 ビャッカは、ドラゴニアである。彼女が背中に持つ龍の翼は、飾り物ではない。
 白銀の翼を羽ばたかせると、ビャッカは空高く飛び上がった。高く、高く、自分が飛べる限界まで。
 誰よりも高いところに居るビャッカは、ふっと微笑むと。剣を掲げて、そのままくんっとスイカに向かって急降下。
「駆け抜けるは疾風が如く! 振り抜くは稲妻の如く! 届け、雲耀の速さ!」
 どんどん地上に近付いてくる影が、きらりと光ったと思ったのはほんの一瞬で。
「チェストォォォーーーーーッ!!!」
 次の瞬間にはビャッカの叫び声と同時に、激しい衝撃がスイカを襲って。
 あまりの風圧に目を覆ったひとたちがなんとか目を開けると、ビャッカの手にしていた青銅の剣がスイカに深々と突き刺さっていた。
「って、あれ!? 抜けない!」
 この一撃で割るつもりだったのに! と、頬を膨らましたビャッカは、剣をなんとか引っ張り抜く。
 その僅かな衝撃でも、スイカの切れ目がぱきりと広がった。本当に、あとすこし。皆が確信する。
 皆スイカに気を取られてしまっていたから。クロードが浮かべた怪しい笑みには、誰も気付けなかった。
「あ、そっち気をつけてぇ。最後の最後でスイカに潰されるとか恥ずかしいじゃん?」
「終わる、あとすこしで終わる……! ほら、ギャラリーがお待ちかねだ!」
 チョウザのアドバイスを聞いて、立ち位置を変えた貴人がスイカを叩く。ぴしぴし、とヒビが広がる。
「ほぉら! さっさと壊れろよ!!」
 レアンが前へ躍り出て、切れ目に向かって思い切り正拳突きを放った。
 レアンの拳が打ち込まれたスイカは、彼の手が離れてもぴしぴしとヒビが広がっていく。
 そして、遂に。ばきん、と真っ二つに割れたのだった。観客からも、わあっと歓声が上がる。
 これで一件落着、と思いきや。危険を察知する力に鋭いチョウザが、ぴくん、と反応する。スイカに近付こうとする仲間たちを制止して。
「ちょっとなんか、不穏な気配がするんだけどぉ」
「え!? まさか本当にスイカが襲ってくる流れ!?」
 真っ二つになったスイカの向こう。なんだか怪しい気配を纏ったクロードが立っていた。その顔に、鬼面『墜悪』を貼り付けて。
「フオオオオオオオオオオオ……」
 クロードが雄叫びを上げながら、丸太をスイカに振り下ろす。止めようとしたが間に合わない。
「ああ、力が溢れてくる。気分が高揚する。貴様らもこの面を被ってみるか?」
 砕けたスイカが飛び散る。スイカの果汁を浴びたひとたちは苦い顔。あまいけれど、べたべたするんだよね。
「クイントスくん!? 粉々にしたらスイカ食べれなくなるだろう!!」
「なんか付けてるけど、もしかして乗っ取られてるー?!」
「お? なんだ、お前もやるか? 相手にしてやるぜ?」
 仮面の力で邪悪と化したクロードを見て皆が騒ぐなか、レアンだけが楽しそうだ。
 対処をどうしようかと迷っていたとき。砕かれて空に飛び上がっていたスイカの欠片が、落下してきていた。
 そして、そのまま。スイカの欠片は高笑いをするクロードの頭の上にごすんといい音をたてて落ちる。
 その衝撃で仮面が外れ、砂浜にとさりと落ちた。いてて、とクロードが頭を擦る。
 物言いたげな視線が、クロードに注がれる。クロードは仮面を拾い上げてさっとしまうと、ニッコリ微笑んでみせた。
「ふう、危なかった。ほら、食べやすいサイズになったよ」
 砕けたスイカは、もともと頑丈だっただけあって、食べやすいサイズに砕けている。
 けれど、違う、そうじゃない。そうは思ったものの、突っ込む気力は、仲間たちには残っていなかった。


「んー、まあスイカじゃん?」
「でも、疲れた身体に染みる……」
 砕けたスイカを観客たちにも配り、学生たちも味見をする。大きいだけで、味はやっぱりスイカだった。
 でも、ただのスイカの味が美味しく感じるのは、努力をして身体を使った後だからだろう。
 最後の最後にクロードは、何事もなかったかのようにのほほんと釣りを楽しんでいる。
「海も綺麗だし、気持ちいいよー!」
 きらめく海面から、ビャッカがざぱっと顔を出した。ビャッカの瞳もきらきらと輝いている。
 海に入ったのは身体についた汚れを落とす目的もあったのだけれど、一度潜るとそんなことを忘れるくらい、海のなかは美しかった。
 立派に佇むサンゴ礁、色とりどりのイソギンチャク、仲良く泳ぐ名前も知らない魚たち。――――それに。
「食べられそうな貝とかもいっぱいあるよ!」
「獲れたて海産物。絶対美味い」
 ビャッカの言葉を聞いて、貴人が網を手に意気揚々と海へと駆けていく。これから行われるバーベキューの食材は決まりだ。
「ザコちゃん海来んの初めてなんだよね。山側に住んでたし」
 その背中を見送りながら、チョウザは浜辺を歩く。
「訳わかんない形の貝とか落ちてないかな。飾りに加工したい。理解できないデザインのお魚いないかな。掴み取りしたい」
 チョウザは、その後も暫く砂浜を散策したり海に潜っていたが、ふと気付くとその場から消えていた。
「海でも変わらずゴブリンいないかな。担いで帰りたい」
 そんな、何か不穏な言葉を残していたが、チョウザがゴブリンに会えたかどうかは定かではない。
「美味しそうな魚も取れたから、どうぞ! ビャッカさんは準備ありがとう」
 浜辺でバベキューの用意をしていると、いっぱいの魚の入った籠を抱えてクロードも釣りから戻ってきた。
 火を起こして、獲れたての海産物や、買い込んできたお肉を焼く。もちろん、お野菜も忘れずに。
「レアンさんも食べるよね!」
「俺は――――……」
 遊びに来たわけじゃない。そんな言葉を途中まで言いかけて、やっぱり口を噤んだ。群れのお遊びに付き合うのも、たまにはいいだろう。
「いっぱい動いて、みんなでワイワイしながら食べるご飯は、やっぱり格別だよね♪」
 ビャッカの言葉に、魚を、肉を、野菜を、いっぱいに頬張っていた仲間たちが頷いた。
 デザートにもまだスイカがあることは、目を逸らしておこう。夏の浜辺のスイカ騒ぎ、これにて、一件落着。



課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
【夏コレ!】第1回★熱血スイカ割り大会!
執筆:あまのいろは GM


《【夏コレ!】第1回★熱血スイカ割り大会!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 1) 2019-06-17 02:21:47
スイカねぇ。(手元の木の棒で手のひらをペちペちと叩いて)
あれでしょ?東の国では目隠ししてー、周りの野次に従って木の棒振り回してぼーん、で割るらしいじゃん?
そんな感じでやる?それとも無計画に割れればいーんだよーって感じで、1点集中攻撃系?どっちでもいーよ。

味見はするけど、するけどぉ。どーせすいかだろうからそんなに興味もわかない。
むしろ種の大きさとか、維管束の広がり展開の仕方がほかのスイカと同じかー、とかのざ気になるんだけど。

後ザコちゃん実は海来んの初めてなんだよねぇ。山側に住み暮らしてたりしたから。
折角だしザコちゃんは終わったら貝でも探しに行こ。面白いのあったら飾るか穴開けて下げるかしよ。うん。

《新入生》 クロード・クイントス (No 2) 2019-06-17 03:21:36
仁和さんとは、はじめましてかな?
賢者・導師専攻のクロードです、よろしく。

硬くてすぐには割れない頑丈なスイカ、って事は叩き方によっては転がっていくって事かな?
スイカパニックもアリなんだろうか。

皆さんは嫌な予感でも感じていただければ。

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 3) 2019-06-17 21:30:42
勇者・英雄専攻のビャッカ・リョウランだよ。

巨大スイカか…襲ってくるかと思ったけど、そんな気配もないみたいだね。
だったら、全力で叩き壊すだけだ。うん、頑張ろう!

そして、スイカを壊した後は…何しようか?
泳いだり、海岸BBQしたり、花火を楽しんだり…まだ考え中、迷っちゃうよ。

《勇往邁進》 レアン・フレイン (No 4) 2019-06-18 13:59:53
武神・無双コース所属。
ルネサンスのレアン・フレインだ。

何回か授業一緒になった奴も居るな。
ま、宜しく(片手あげ

…へぇ?割れねぇスイカか。
面白いじゃねーか。

んなスイカ、俺が叩き割ってやるよ。
動かないみたいだし、体のいいサンドバッグみたいだな。
腕が鳴るぜ(ニヤリ

…ってこれ、あの校長の依頼なのか。
……………………。
ま、まぁ、うん。
大丈夫、なんかすげぇ魔法使うけどあんな貧弱な腕して俺より強いはずないよな、うん(武者震い

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 5) 2019-06-18 23:31:38
魔王・覇王専攻の仁和 貴人だ。
よろしく。

海だしBBQは心惹かれるな。
取れたて海産物・・・

スイカだが、ある程度の穴掘って転がっていかないように固定したらどうだろうな?

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 6) 2019-06-20 01:14:30
うん、BBQやりたくなってきたよ。
プランの文字数の都合上ザックリな感じだけど、色々準備しておこうと思うよ。

美味しいご飯のためにも…頑張ってスイカを壊さないとだね。

剣で適当に切り付けて感触を確かめたら、全力の勇者之斬を叩き込むつもりだよ。
動かない相手だから、いつも以上の大振りな荒技で行こうかなと思ってるよ。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 7) 2019-06-21 12:59:19
あんまり相談も進まなかったから色々言い投げぶん投げしとくけど。

結局攻撃は【カラフルチョーク】で印でも入れて一点集中?
それとも適当に周囲から好き勝手やんの?
これだけは最低限固めときたいかな。バラけたらめんどいし。

でもって、ある程度スイカの固定すんのには賛成。
周りの砂に水かけて、片側の砂をスイカの3分の1くらいの深さ掘ってから軽く押せば上手く穴にはまるでしょ。たぶん。

あとそこそこ気になってんのが、このまま無計画にバキバキすると、砂まみれの残骸がぶっ飛び散乱じゃん?
だからー、凛々しめドラゴニアの女ゆーしゃ様とかに剣使って、ある程度の切れ目でも表面に入れといたら?って。
固くて割れないっても、皮の表面くらいは多少削れるだろーし。
そしたらほら、割れる時もある程度は切れ目にそうだろうから、無駄にはなりにくいでしょ。たぶん。
勿論、攻撃する場所も、それにある程度合わせて示しとかないとだけど。

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 8) 2019-06-21 15:07:55
あ~、しまった…とりあえずブッ叩くくらいしか考えてなかったよ。

>一点集中?適当に好き勝手?
う~ん、私は後者で考えてたよ。
あ、でも固定してもらえると助かるかな。
転がったら危ないし、何より攻撃が当てにくくなっちゃうし。

>切れ目でも表面に
ああ、なるほど。それは良さそうだね。
まずはとりあえず適当に剣を振るう…って感じでしか考えてなかったし、
自分も含めて皆が大技を放つ時の目印にもなりそうだから、
↑のどっちの方針でやるとしても、それはやってみることにするよ。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 9) 2019-06-21 17:55:01
っと、オレも各自好き勝手に~だと思ってたな。
ただ、どっちでも構わない。

固定は陣地作成も使って固定しておこう。
・・・ついでに大きな布、スイカの下に敷けるようだったら敷いておく。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 10) 2019-06-21 22:25:07
ならバラけに狙う感じでいーのかな。
そったらザコちゃん、入れてもらった切れめをサラッと【カラフルチョーク】でなぞっとくから、目印狙いにどーぞ。
それでもどうにもならない汁とか残骸はあるだろーけど、全部が全部粉砕崩壊してるよかマシでしょ。

これ以上待ち待ちは厳しさあるから、ゆるゆる書き始めっけど。
うっかり書き忘れとかだけはないよーにね。スイカも食べずに交通費だけ支払いってムカつかない?自分に、

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 11) 2019-06-21 23:48:55
プラン送信、と…うん、頑張ろう。