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【優灯】 トリックスターへ捧ぐ


ストーリー Story

 何年前も、きっと何年後も。この日は彼にとっては最悪で、憂鬱な日になったはずだ。……今年も、そうであったはずだ。
 『何も仕掛けられていないごく普通の手紙』。それと、クソ真面目な季節の挨拶と、長ったらしい用件。
 要約すれば簡単なことなのに、どうしてこうも、今日はめんどくさい。いつもに増して今日の文言は酷く、眩暈すらもしてしまうようだ。
 僕達の間には、『帰ってこい』。それだけの言葉と、適度ないたずら。
 それだけあれば、心配などせずに済んだのに。

 手紙の受取人は小さな男子生徒。フェアリータイプの【アデル・ミドラ】。
 寮の一室にて、背丈に不釣り合いなほど大きな椅子を左右に揺らし、アデルはその封筒の中身に思わず眉をひそめた。
 宙に掲げたり、火にあぶってみたり、特定の文字を飛ばしてみたり。
 すべてが徒労に終わり、更に眉間のしわを深くした。
 少しばかり慎重に封を開いた手紙には、当然のようになにも仕掛けられてはいない。
(普段の手紙にはあれほど、手の込んだことを仕掛けておいて……今日は様子がおかしい)
 手紙の差出人のアデルの旧友【マシュー・マグラ】は毎回何かしらのいたずらを手紙に仕込む。
 びっくり箱のメッセージカード、開けると小さな爆発を起こして読む前に消滅する手紙、逆から読まなければ読めない文章なんてものもあった。
 そして、それを読んだアデルが『面白かった』『読めなかった、ナイセンス』『めんどくさい』等、感想を送り返る。
 この関係はアデルが寮に住んだ当初から当たり前のように続いていた。なのに、今回はやけに他人行儀というべきか、この手紙は違和感の塊となっていた。
(今回はこういういたずら……? いや……こういう系統のいたずらをするときには、マシューは必ずもう1つネタばらしの手紙を送ってくるはず。だから……多分、あれかな……)
 アデルには何となくではあったがその正体に思い当たる節があった。
(ここまで、頑張って読んだんだけどなぁ……また来年)
 ちらり。机の上に置かれた分厚い愛読書をみてため息が出る。
 手紙を読む前までは熟読していた『いたずらに対する行動・対応全集』に小さく手を振り別れを告げ、本棚に。
 代わりに取り出したものは、図書館でもらった回覧紙。
 いつもは手に取ることもないが、今回ばかりは、少し気になる小さな見出しがみえたから。
 アデルの故郷の村周辺で起きたことが取り上げられていたから。
 たったそれだけの些細なきっかけで持ち帰ってしまったけれど、これが、ここで役に立つとは思わなかった。
 近隣の村が襲われた、どこの街で生徒が活躍したという記事を読み飛ばして……目当てのものを見つける。
「噂には聞いていたけど……」
 そこに書かれていたものは、記憶を奪う魔物。そんな恐ろしい存在が噂されているという小さな見出し。
 村々を襲い、大切な記憶を奪い、恐怖を植え付ける怪物。
 見た目の被害はなくとも、去った後の村では何かが失われている。そんな噂。
 文化・習慣が記憶として認識されているのであれば、今アデルの村で何が起こっているのかが何となく読めてきた。
 『いたずら』。それが、アデルの村から消えている。間違いない。

 アデルの出身地であるエリアルの村の者たちは、過去、現在全てにおいていたずらとともに生きてきた。
 甘いお菓子の中に辛いソースを混ぜてみたり、家の出入り口に落とし穴を掘ってみたりとやんちゃ者ばかり。
 『やってやった』と『されてしまった』。そしてそれがコミュニケーションのひとつとして定着した小さな村。
 そんな彼らが本領を発揮する日。世間をにぎわせるハロウィン。
 お菓子があってもいたずらを。お菓子がなければもっといたずらを。
 するものもされるものも、最後には『やった』。『やられた』と笑顔になる。
 何時もいたずらをされる方ばかりのアデルも、今年こそは自分もと張り切っていた。そんな時のこと。
 ……村の皆から奪われてしまったハロウィン。
 フェアリータイプのエリアルというものは、いたずら好きの者が多い。アデルの村の皆も、そしてアデルも例外ではない。
 そんな彼らがいたずらの記憶を奪われたとすればそれは……。
 ……きっと、喜びという感情を奪われたようなものなのかもしれない。

「……とりあえず、は」
 アデルは『帰ってこい』との言葉通りに里帰りの支度を始めることとした。
 持ち物は着替えにおやつ。ロープに激辛ソース。それから花火に……いたずらに使えそうな部屋の物を片っ端からカバンに詰めていく。
 忘れてはいけないのは、いたずらに詳しそうな友達数名。早速手紙を送ってみよう。きっと来てくれるはずだ。

 いたずらはあまり得意ではない。いつも手際が悪くて下準備もバレバレで誰も引っ掛からないから。
 いたずらをするのはあまり好きではない。けれど……皆が笑っていないのもいやだ。
 これは皆のため。何時もの仕返しじゃないんだ。多分。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-10-15

難易度 簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2019-10-25

登場人物 2/8 Characters
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《妖麗幽舞》サクラ・ブラディー
 リバイバル Lv14 / 黒幕・暗躍 Rank 1
イタズラ好きのリバイバル。 自分の名前や常識等以外記憶から抜け落ちている。 リバイバルになるための強い感情も抜け落ちておりなんで今ここに存在しているのかも本人にもわからない。(という嘘をついている) 取り敢えず毎日が楽しく過ごせればいい。 黒幕・暗躍コースなのは自分の特性がうまくいかせそうだったから 楽して成績優秀なら空いた時間は自由に使えるじゃろ? 趣味は人を揶揄うこと。 特技はなぜか舞踊、剣舞ができる。 また、占いもすることがあるようだ。 偶に変な雑学を披露する。 とある生徒の部下ではあるがそれを理由に相手をおもちゃにするために部下になってる ただ、ちょっとしたことならお願いは聞いているようだ 二人称:おぬし、または 名前殿

解説 Explan

目的【いたずらを行い、いたずらを思い出してもらう】
いたずらを忘れてしまったエリアル達にいたずらを行い、いたずらの楽しさを思い出してもらうことが目的です。
決して、いつもいたずらをされるがままの【アデル・ミドラ】の小さな復讐心ではありません。決して。

●場所
村にある子供たちの遊び場の公園がターゲットです。
森の中に点々と遊具が置かれていて、以前はよくいたずらに使われていました。
木登りをしたりベンチでおやつを食べたりと、多彩な用途に使われています。

●道具
アデルは幾つかの道具を持ち込んでいます。頼めば快く貸してくれるはずです。
・シャベル×1……60センチほどの大きなもの。穴を掘ることができそうです。
・ロープ×1……10メートルほどのもの。丈夫で、「ドラゴンがぶら下がっても切れない」がキャッチコピーです。剣で切ることができます。
・激辛ソース×1……使いかけのとても辛いソースです。後スプーン2杯ほどしか残っていませんが、なめるだけで舌が焼けてしまいそうなほど辛いです。

●注意事項
今回存分にいたずらを行い、いたずらを思い出してもらうことが目的ですが、相手はただの子供達です。
うっかり怪我をさせてしまうことがあれば、学園の評判を落としてしまうことにもつながるでしょう。
そのため「多少怖い目に合わせる」「怪我をしないように安全対策をしておく」と良いでしょう。


作者コメント Comment
ハロウィンといえば、何を思い浮かべますか?
仮装に飾り付け、カボチャにお化け……そしていたずら。
普段怒られてしまういたずらを「人助けのため」に使ってみませんか?
大丈夫、ハロウィンですから。きっとよっぽどのことがなければ許してくれますよ。きっと。

皆様の素敵なプランをお待ちしています。


個人成績表 Report
チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
4月の頭でもないのに嘘、ねぇ。
あー、悪戯だっけ?どっちみち似たり近かったりじゃん?

ザコちゃん個人的には、嘘も方便ってーか、会話の中の香辛料みたいなあれじゃん?
知り合いのモブなお方もそんな感じだったし。
それがないってなると面白くなさみだし、ちょっとお話語りで遊ぼっかな。

とりま公園で子供たちがいるー、ってなら。
学園の制服な時点で多少は集まってくれるだろーし、そっからてきとーにそれっぽい【会話術】交えてしょーもないお話を。

どんな内容でもいーんだけど…んー、じゃ、いくつか尋ね質問。
ここ最近、嘘ついたことはある?
道理に乗っ取らない行動は?発言は?
悪戯の記憶無いってなら、ほぼ無いって言われるんだろーけど。

サクラ・ブラディー 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
とりあえず、難しいことは考えないでいたずらをすればいいんじゃな?
いや、わっちがいたずらを積極的にしたいんじゃなくて依頼じゃからな
うん、しょうがない、しょうがない
依頼主の意向には逆らえんのじゃよ(棒

とまぁ、自己弁護はこれくらいにしておいて
実際のいたずらには草を輪っか状に結んで足を引っ掛けさせて転ばせる罠を
村中に仕掛けようと思うのじゃ

それだけだと誰も掛からないかもしれんから何人かアデルと仲の良かった者の家にお手紙を送っておくのじゃよ

お手紙は特に被害のない詐欺っぽいのでじゃな


さて、何人引掛ってくれるじゃろうな?


リザルト Result

 その日はきっと、つまらなくない。村の皆が騙され、騙し、とても賑やかな1日になったことだろう。

 とある小さな村、『元』いたずら好きのエリアルの村は、今日も退屈な1日を送ろうとしていた。
 村の中心にある大きな公園で、エリアルの子供達がぼんやりと空を見上げていた。
「今日は何するー?」
 1人の子供が思い出したかのように呟く。が、望んだ返答は帰ってこない。
 『何するー?』『何もすることなーい』と、口をそろえて返すだけ。
 鬼ごっこ、かくれんぼ。それから散歩にごっこ遊び。
 思いつくが、楽しさを感じない。じゃあ他の事。その他の事がわからない。
 少し前までは返答に困ることはなかった。お決まりのように『決まってるじゃん』と、何かを提案していたのに。
 とても楽しくて、とても刺激的なこと。その何かをしていたような気がする。が、今日は何も思い浮かばない。
 楽しいことの全てに靄がかかったような……、その正体がわからず、彼らは皆首を傾げるしかできない。
 しかし、その退屈を壊すように。子供達のもとに1つの声が届く。
「おぬしら、ちょーっと手伝ってくれんかの? なぁに、直ぐに終わることじゃ」
 声に振り向くと、そこには見慣れない少女がこちらへと手招きをしていた。
 【サクラ・ブラディー】は大きな風呂敷を担ぎ、時折ふらりとよろけそうな仕草をする。
 自分たちとそう変わらぬ年齢(の、ように見える)少女の元へと子供たちはわらわらと集おうとした。
「大丈夫……うわぁっっ!」
 1人が、盛大に頭から地面に転んだ。
 それを皮切りに、サクラの元へ駆け寄る子供が1人、また1人と転んでいく。
 転んだ子供の足元には長い草と草を結んだ簡単な罠が作られていた。
「いったぁい、なんだこれ……草?」
 よくよく見てみれば、この辺りの雑草は皆仲良く2人1組になっており、どこを歩いても転んでしまいそうな領域が出来上がっていた。
「くっふふ……フフフ。みぃんな仲良く転んでしまったのぅ。愉快、愉快」
 先ほどまでの演技はどこへやら。空を見上げればさも楽しそうに笑うサクラ。
 『よ、よくも……』『服が汚れたー』『ひどいことするなー』。
 口々に文句を言う面々。しかし、サクラは謝ることも逃げることもせず、落ち着いた様子。
「そうは言うけれども……なんじゃ? 悔しいというよりは、随分と楽しそうな顔をしとるのぉ?」
 サクラの言葉通り。各々から吐き出される言葉と表情はまるで合ってはいない。
 『どうやって仕返しをしようか』、『これを作るのは楽しそう』。
 分かりやすい子供達のその表情、何かを企む彼らをサクラはまた一層楽しそうに笑う。
 ゆっくりと彼らの前に、何かがパンパンに詰まった風呂敷を下す。
「そうじゃ、そうじゃ! おぬしらはされるほうではない。するほう、じゃ。さぁて、わっちの『いたずら』、ちょこっと手伝ってもらおうかの」

 公園中央の小さな広場に、エリアルの子供達が集まっていた。
 マゼンダの髪、派手なアクセサリーに謎のスカーフ。彼女は皆にかの有名な魔法学校の生徒だとにこやかに自己紹介をする。
 【チョウザ・コナミ】の姿に、あるいは魔法学校という異質な場所での生活に興味津々な子供達がチョウザを興味深そうに見つめていた。
「ザコちゃん自身はまぁ、ゆーしゃ様方の引き立てモブなんだけども……エリアル様はそんなザコちゃんにきょーみ津々なカンジ?」
 集まる子供達に動じる様子もなくへらへらと笑う。
 そうだ、そうだと首を縦に振る子供達。掴みは上々、これなら上手くいくだろう。
「じゃぁ、会話ついでに尋ね質問。ここ最近嘘ついたことある? 道理に乗っ取らない行動は? 発言は?」
 子供達は皆顔を見合わすが、きょとんとした顔をする。
 回答は『ない』『ない』『ない』のただ一言のみ。
(ない……ねぇ。記憶にないだけで、みぃんな経験あるんじゃないの? わー、嘘つきぃ)
 依頼主である【アデル・ミドラ】は、以前までの村の様子についてこう語っていた。
 『嘘といたずら8割の、騒がしい村』と。
(ない、はずないじゃん。そーいうのが大好きな集落だったんじゃないの?)
「そーだねぇ、授業の中身知りたいんなら……こんな話知ってる?」
 がっこーで教えてもらったんだけど。と、付け加えてチョウザは話し始めた。
「魚、っているじゃん? 川とか海とか。あれが何で口パクパクさせてるかってーと、言葉を飲んでるからなんだって」
 手を魚の口に見立て、ぱくぱくと動かす。
「地上での嘘、不正確な言葉を受け止めて、咀嚼して、地上に吐き出して。ほぉら、そこのエリアル様の袖の中にも返却されてんじゃん。何か、ものいいたげにしてるよぉ」
 魚にした手で1人の子供を指さす。
 『袖……?』。一同が袖をのぞき込むと、そこには干からびた魚がにょきっと顔を出していた。
「うわっ! い、いつの間に?」
 悲鳴にも近い、驚きが起こる。
「あれー? 何々? ザコちゃんのさっきまでの言葉を皆に返却したいって? どんな言葉?」
 畳みかけるように、魚にした手と話を始めるチョウザ。
 ぱくぱくと魚は何も話さないが、さも会話をしているかのように『ふんふん』と、チョウザは大げさに頭を動かす。そして。
 ニヤリと笑って、魚にした手を子供達の方へ向ける。
「『嘘つき』だってさ」
 その手にあったものは先ほどまでの手の魚ではなく、みずみずしい1匹の魚だった。
 手のひらで魚が大きくはねた。
 ぴょいん。
 魚はするりと子供達の中へと飛び込み、1人の服の中に入ってしまった。
「ひゃっ、と、とって!」
「魚! 魚が出てきた!? すっごい!」
 阿鼻叫喚の子供達をニヤニヤと、この混乱の元凶は楽しそうに観察していた。
「ま、嘘なんだけどねぇ」

「昨日までの大人しかった村が嘘みたいだ」
 いたずらから一夜明け、帰路の途中でアデルが呟いた。
 ぽかんと空を仰ぐ者、暗い顔で家事や仕事をする者であふれていた暗い村。
 それが1日で楽しそうな悲鳴と、歓声が聞こえるまでになったのだから。
「元々、やんちゃなエリアル様だったみたいだねぇ。嘘つきだらけの。戻って何より何より? こがらなエリアル様には少々残念なお知らせかもしれないけど」
「え……? どうし……ッ」
 チョウザが不意に、サクラの番傘を引っ張った。なんじゃ? と止まるサクラ。
 そして、サクラの視界から消える……いや、落ちていったアデルの姿。
 とすん。小さな音がアデルが先ほどまでいた場所。いや、巧妙に隠されていた穴の中から聞こえる。
「いてて……落とし穴?」
 深さ1メートルほどの小さな穴が道の真ん中に掘られていた。
「うっわぁ、いたそー。だいじょーぶ?」
「う、うん……あれ? 落とし穴の中に何かある……手紙?」
 穴の中には、1枚の羊皮紙。アデルは2人に見せるように、穴の下から掲げた。
 それを見て、サクラはクスリと笑う。
「そうじゃな。しかし、わっちはそう容易くはないぞ?」
 幼稚な字でただ、一言。
 『また来年。次は俺たちがお前を騙す方だ』。

 3人が帰ったころ、村ではまたしても小さな、しかしながら大規模ないたずらが繰り広げられていた。
「おかーさん、手紙が届いてたよー」
 1人の子供が手紙を母親に渡す。
「手紙? そう、ありがとう」
 手紙を受け取る母親と、足早に自室へと籠る子供。
「あの子、どうしたのかしら……あら? これは……」
 手紙の1枚目を見て嬉しそうにする母親。
 『おめでとうございます! 厳密なる抽選の結果貴方様が当選いたしました! 詳しいことは2枚目に書かれていますのでぜひともお読みいただくよう、お願いいたします』。
 喜々として2枚目をめくる。
 落胆はなく。ただ、文字を、言葉を咀嚼し、そして微笑む。
「そう、これは『いたずら』ね。あの子が……ふふふ」
 『このいたずらのお手紙を送られる抽選に当選いたしました。特に金銭が発生するわけでもありませんし、いい気分になったとかもしないと思いますが、特に損も得もない物なのでご容赦いただけますようお願いいたします』。
「いたずらには、いたずらを。そう、そうだったわね。なんで忘れていたのかしら?」
 早速、とびっきりのいたずらを考えなくては。
 母親は1人楽しそうに笑っていた。



課題評価
課題経験:18
課題報酬:450
【優灯】 トリックスターへ捧ぐ
執筆:根来言 GM


《【優灯】 トリックスターへ捧ぐ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 1) 2019-10-14 00:21:06
全校集会とかでばたばただったけど、こっちもぱやぱやにしないとね。
4月の頭でもないのに嘘が求められるなんて、珍し貴重な機会だよねぇ、ほんと。

ザコちゃんはお話語りが中心のなんかにするかな。
辛いソースについては瓶で持ってるから、いっぱい使うゆーしゃ様がいるなら貸せるかな。

《妖麗幽舞》 サクラ・ブラディー (No 2) 2019-10-14 21:56:07
遅くなってすまないのじゃ。
わっちは人々を転ばせようと思うのじゃ。