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秋の味覚! モッタイナイオバケ


ストーリー Story

「本当にいいの? もう返さないよ?」
 そう言ってはいるが、返す気等毛頭ない。
 彼女の顔を見れば心中は直ぐに察すことはできる。
 単純な……いや、素直で可愛らしい。
 言葉を飲み込み『どうぞ』と、にこやかにもう1人の彼女も笑顔をつくる。
 人気のない廊下にルネサンスが2人。1人は両手をいっぱいに広げ袋を抱え、幸せそうに頬を染めた。
 彼女は教員の【コルネ・ワルフルド】。コルネと会話をしつつも、あたり落ち着きなく見渡すもう1人は、学園内の食堂の料理人、【ベル・フリズン】。
「返さなくていい、いいけども。その代わり例のアレをね? 今年も手伝って欲しくてだね?」
 目を細めて、小さく囁くベル。
 コルネは目を丸くするが、ベルの言うアレ、のことは直ぐにわかった。
「もしかしてアレのこと?」
「そう! 大事に育てすぎちゃってねぇ? 手に負えなくなっちゃって」
 その言葉にコルネは思わず頬を引きつらせる。が、抱えた干しブドウは決して手放さない。
 しょうがないなぁ。小さく聞こえたその言葉にベルは目を輝かせた。
「言ったねぇ? 言質は取らせてもらった、対価も払った。証人もいる。逃がさないよ?」
(厄介なこと、引き受けちゃったかも?)。
 わかっていても、手は袋をがっちりと掴んで離れない。
「うぅ……わかったよ。って、証人?」
 コルネの言葉に、ベルは指を鳴らす。と、近くの教室の窓が開く。
「ふ、ふぇ……すすすみません! コルネせんせぇ」
 教室側の窓から顔をのぞかせるのは気の弱そうな少女。生徒【パルシェ・ドルティーナ】だ。
「社会見学もかねての課題ってことでさ、よろしく先生?」
「えぇと……、コルネ先生。よろしくお願いしますぅ……っ!」

 学園の敷地内に1つ、普段ならば立ち入りを禁止されている食料庫がある。
 泥棒、つまみ食い、そしていたずらをしないよう。
 ケガをしないよう、お腹を壊さないよう、気分を害さないように。
「たぁぁぁっ! ……はぁ、はぁ……」
 息を切らしながら、コルネは小さな魔物と戦っていた。
「今年は量が多いね! それに隠れるのが上手いッ!」
 棚の上から飛び掛かる魔物……『キュウリ』を、コルネは右手を高く上げ、瓦割のように切り裂いた。
 キュウリを仕留めたその後ろからとコルネに向かって『ジャガイモ』と『シイタケ』。
 跳躍。そのまま落ちる勢いを使ってキック。
 ダァンッ! バシンッ!
「そりゃ、丹精込めて丁寧に作ってるからね!」
 棚を隔てて、悪びれる様子のないベルの声が響く。
「それにしても数が多いッ!」
 見慣れない、白い触手のようなものがコルネの腕に巻き付く。
「……んぅ、このっ!」
 なかなかほどけない触手……うどんをぶちぶちと引きちぎる。そして、正面から勢いよく向かってくるカボチャを頭突きで砕いた。
「はぁ……はぁ……まだいるの?」
 棚に積まれた木箱の隙間から、ちらちらと見える野菜たち。
 永遠に続くような野菜地獄。それが、ここにあった。

「必殺、勇者斬りぃっ!」
 パルシェは現れる野菜たちを次々にスライスにしていく。
「まだ……! うりゃりゃぁぁッ!」
 次々に野菜たちを肩で息をしながらも、がむしゃらに切り刻む。
「そんなに焦らなくても、野菜はにげりゃぁしないからね」
 パルシェが次々と野菜を倒すその間。ベルは背に背負った籠に切られていく野菜を回収していく。
「大丈夫、ボクもっと頑張れます!たぁっ!」
 勢いよく切られたナスがその勢いのまま天高く舞う。
 普段ならば、これだけの魔物が飛んでれば、気の弱いパルシェは萎縮してしまったことだろう。
 しかし今は、いつもの魔物ではなく(ほぼ)野菜だ。
 面白いくらいにサクサクと切れる野菜たちに調子づき、奥へと進んでいく。
「どんどん行きま……ひぇッ!?」
 パルシェのやる気に満ちた表情は、すぐさま泣き顔に変わった。
「い、い、いやッ!?」
 4本の太く、たくましい蹄。がっちりと付いたモモ肉。
 こんなところにケンタウロスが……いや、ケンタウロスよりも恐ろしい、てかてかと輝く首、鱗。
 そしてその上には……大きな目とヒレ。尾や鬣にはふさふさとした毛の代わりにぴっちりとした鱗。
 馬の下半身。首から上は魚の頭という悍ましい魔物であった。
 ぱからっ。
 馬、のようなものは怯えるパルシェの元へと駆け寄る。そして。
「ひひぃーっん」
 魚の口から発せられた鳴き声と。
「い、いやぁーッ!」
 パルシェの悲鳴が倉庫内に響き渡った。


「うぅ、ぐすっ」
「よしよし。うんうん、怖かったね」
 膝を抱えてすすり泣くパルシェ。その背を、コルネは優しくさする。
「魚と馬肉、隣同士に置いていたから、くっ付いちゃったみたいだねぇ。いやー、ユニークな生き物だ。さて、どうしようか」
 お玉を回しながら、何かを考えるベルの様子を見てコルネが口を開く。
「もしかして、キミ。食べるつもりなの?」
「そりゃぁそうさ。だってあれ、元々は食べものだからね」
「でも、流石にあれは?」
「賞味期限を気にしているのかい? ピンピン動いてるだろう? 新鮮な証拠さ!」
 ベルには、何を言っても無駄だろう。食べないという選択はない。
「……うーん、確かにあの馬? がリーダーかな? あれを倒さないとお野菜も回収できないかも」
 野菜たちの奇襲に奇襲をかけたような戦い方。司令塔がいてもおかしくはない。
 倉庫の中にはまだまだたくさんの野菜が眠っている。
 しかし、隣を見れば、涙目でただ、小さく震えるパルシェ。
 コルネ1人だと、大量のモッタイナイオバケを食い止めるので精いっぱいだろう。
 かといってパルシェに馬のような魔物の相手をさせるのも……。
 どうしたものか。
「うーん、どうしよう」
 コルネは小さくため息を吐いた。


 時期は数か月ほど戻ったある日。
「うぅぅ……、ぐすっ」
 小さくカットされたニンジンが皿の上に一切れ。ちょいと皿の隅っこに追いやる。
「この切り方もダメかい? 混ぜても、ジュースにしてもダメ。困ったねぇ」
「あうぅ、ごめんなさい。……食べたら、パフェ……パフェ食べるんだ……ッ! えい!」
 勢いのまま食べようとするものの、独特の歯ごたえに思わずぎゅっと目を瞑る。
 鼻をつまむと、錠剤のように飲み込み、流し込んだ。
「ぅ……ッけほっ!」
「これは難題だねぇ」
 好き嫌いがあるのは仕方がないことだ。どうしても受け付けないモノはあるだろう。
 嫌いなものを克服したいと向き合うパルシェの姿勢を、ベルは評価したい。
 ……だが、味もなにも、まずい薬のように食べられるのは正直、料理人として悲しいところだ。
「だってぇ、苦くて、美味しくないんだもん。……ふにふにで、つるんって食べられたらいいのに」
 残ったニンジンをフォークでつつきながら、パルシェは呟いた。
「あっはっは! そんな野菜聞いたこともな……」
 ない。いや、あったな。
(見た目、味は殆ど変わらず。それで触感が食べやすければいいのかね? なるほど?)
 1つ思いついた。
 少々荒療治かもしれないが、似た魔物を自分で狩って……いや収穫して食べてもらうとしよう。味はそこまで変わらないから、……慣れる練習にはなるはずさ。
「なるほど……っ!」
「ひ、ひぇっ!?」
 大変結構。料理人としてのプライドがズタズタになりそうになるが、それはそれ。
 魔物を入り口に、食べられるようになれば良いだけではないか!
 ぐるりとお玉を回し、そしてパルシェへ先を突き付ける。
「パルシェ。とっておきの場所へ招待しよう。普段生徒は入れない貴重な場所だ! お好みの用心棒を連れてくるから、逃げないでくれたまえ?」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-11-20

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2019-11-30

登場人物 6/8 Characters
《ゆう×ドラ》シルク・ブラスリップ
 エリアル Lv17 / 村人・従者 Rank 1
「命令(オーダー)は受けない主義なの。作りたいものを、やりたいように作りたい……それが夢」 「最高の武具には最高の使い手がいるの。あなたはどうかしら?」 #####  武具職人志願のフェアリーの少女。  専門は衣服・装飾だが割と何でも小器用にこなすセンスの持ち主。  歴史ある職人の下で修業を積んできたが、閉鎖的な一門を嫌い魔法学園へとやってきた。 ◆性格・趣向  一言で言うと『天才肌の変態おねーさん』  男女問わず誘惑してからかうのが趣味のお色気担当。  筋肉&おっぱい星人だが精神の気高さも大事で、好みの理想は意外と高い。 ◆容姿補足  フェアリータイプのエリアル。身長およそ90cm。
《ゆうがく2年生》ヒューズ・トゥエルプ
 ヒューマン Lv21 / 黒幕・暗躍 Rank 1
(未設定)
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《這い寄る混沌》ニムファー・ノワール
 アークライト Lv20 / 王様・貴族 Rank 1
ニムファー・ノワール17歳です!(ぉぃぉぃ ニムファーは読みにくいかも知れないので「ニミィ」と呼んでくださいね。 天涯孤独です。何故か命を狙われ続けてます。 仲間やら友人はいましたが、自分への刺客の為に全て失ってしまいました。 生きることに疲れていた私が、ふと目に入った学園の入学案内の「王様・貴族コース」を見て考えを改めました。 「自分が命を狙われるこんな世界、変えて見せますわ!」 と思っていた時期が私にもありました(遠い目 今ではすっかり学園性活に馴染んでしまいました。 フレンドになった方は年齢にかかわらず呼び捨てタメ口になっちゃうけど勘弁してね、もちろん私のことも呼び捨てタメ口でも問題ないわよ。 逃亡生活が長かった為、ファッションセンスは皆無な残念女子。 な、なによこの一文。失礼しちゃうわ!

解説 Explan

目的【倉庫のモッタイナイオバケを回収する】
倉庫に蔓延る野菜【モッタイナイオバケ】と【モッタイナイキメラ】を倒し、回収すること。
●倉庫について
 大きな棚の壁を隔てて、2つの通路ができている。幅はそれぞれ10メートル。
 棚は頑丈で、モッタイナイキメラの突進にもびくともしない。
 棚の中にはモッタイナイオバケが潜んでいる。中央の棚のモッタイナイオバケは左右どちらの通路にも表れることができる。
 出入口のドアは脆く、モッタイナイキメラが数回突進を行えば壊れてしまう。
     ■■■■■■■■■
     ■左通路 右通路■
     ■   ■   ■
     ■   ■   ■
     ■       ■
     ■■■出入口■■■

●NPCについて
【コルネ・ワルフルド】……出入り口付近で、魔物が外に出ないよう守備担当。加勢を頼むならば、何かしら出入口から魔物が出ないようにする対策が必要。
【パルシェ・ドルティーナ】……初期位置右通路にて討伐担当。モッタイナイキメラと対峙した場合、反対の通路に逃げるように加勢する。
【ベル・フリズン】……どちらの通路にも出没するが、戦闘には参加しない。倒した野菜の回収担当。頼めば引き付け役にはなってくれるかもしれない。

●魔物について
 モッタイナイオバケ
……野菜の形をした魔物。姿は違えど、ステータスはほぼ同じ。防御力はなく、耐久力も少ない。
主に3種類のモッタイナイオバケがいる。
1.カボチャやジャガイモなどの、体当たりを行うタイプ
2.うどんやへちまなどの触手で動きを封じるタイプ
3.トマトやカキなど、果汁で武器の威力を下げたり、目つぶしを行うタイプ
数が多く、1匹ずつ倒していてもきりがない。

 モッタイナイキメラ
……馬の下半身と魚の上半身を併せ持つモッタイナイオバケ。
2メートル強ある身体を使った突進と、水属性の魔法を得意とする。
視野は広いが、反面、距離の感覚がつかめず、1度突進を行うと何かにぶつかるまで止まらない。
今回は司令塔となりモッタイナイオバケたちの戦意を高めている。


作者コメント Comment
こんにちは、根来言です。
魔物食が流行っているそうですね?
根来言も少し、便乗してみました。
秋の味覚……? になるかは分かりませんが、魔物食にチャレンジしてみませんか?
皆様の素敵なプラン、お待ちしています。


個人成績表 Report
シルク・ブラスリップ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:195 = 65全体 + 130個別
獲得報酬:6000 = 2000全体 + 4000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
モッタイナイキメラ担当。
貴人やヒューズと協力し、準備が整うまで囮役を。

●行動
若干引き気味ながらかかってこーい!と『真一文字』で赤く塗った布などを振り回したり、自分の姿をみせて『挑発』し、自分は『立体機動』で回避専念。
(魔法の発動は『魔法感知Ⅰ』である程度予測可能?できれば)
誘導できる余裕がある場合、オバケとドアから引き離し、分断と脱出阻止を狙う。
ヒューズたちの罠が準備できたら、誘導方向を其方に。うまく捕縛出来たらコルネ先生にも来てもらってキメラ討伐を。
万が一ドアの方に行きそうな場合は『自己犠牲』で…

最悪、食べられそうな場合…ポケットに『激辛ハバネロソース』潜ませてます。ただではすまさん!

ヒューズ・トゥエルプ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
さーて、腹ごしらえっと。

囮がキメラの元へ行くための露払いを担う。
中央側の棚のお化けの対応に入る。
【動作察知】でお化けの望外や攻撃に反応速度を上げ、
【ダガーステップ】で回避準備も整えておく。

斬れるものは斬る。飲めるものは飲む。食べられそうな物は食べる。

何人かがキメラの対応に入ったら、ベルさんや手の空いた仲間と協力して手近な棚で
バリケードを作り、コルネ先生を戦線に上げようとします。


アドリブ度A

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
ザコちゃんが知ってる秋の味覚、香りの強さ高騰してる東の国で生えるきのこくらいだったからね。飽きたし。
こっちのが風物詩として良さげじゃん?面白いし。うごくし。

ゆーしゃ様達は取り巻きとか混ざってる魔物とかの戦い対応してるっぽいし、ザコちゃんらちょっと引き離れた所でちょっかいかけるよーにしとくね。

どっちをやるーってよりかは、ゆーしゃ様たちの様子みて、【危険察知】とか【気配察知】するようにしつつ、死角とか対応出来てなさそうな取り巻き魔物いたら教えたげるとか、攻撃の予兆あったら声かけるとか、そーいうあれ。

基本的に戦う時は前ばっかり見ちゃうし。
多少は引き見た方が見えるもんとかあるんじゃん?ないかもだけど。

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
モッタイナイオバケを引き付ける

■行動
パルシェと反対側の通路で、モッタイナイオバケと戦うのじゃ。
キメラとオバケを同時に狙われたら厄介じゃ…オバケの方はあちきが引き付けるのじゃ。

突っ込んで長柄の斧を振り回して蹴散らすのじゃ。
目潰し対策にGOゴーグルを装着、多少の攻撃や妨害には反撃で返すのじゃ。
身動きを封じられたら、ラドをぶっ放して強引に引き剥がすのじゃ。

さらに挑発してオバケの注目を集めるのじゃ。
野菜共!汝等の相手はこのあちきじゃ!掛かってくるがよい!



もしキメラに狙われたら壁際か柱際で防御&無痛のいたみ。
あちきの素早さじゃ避けられん。受けの体制を作って少しでもダメージを軽減じゃ。

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
食材が変化した魔物・・・ねぇ・・・
食べられたいんだか、食べられたくないのかはどちらなんだろう?
『もったいない』ってついてることから食べられたいのか?
とりあえず、楽園楽土使って「オレ達に倒された後は美味しく食べてやるからおとなしくしろ。特に魚と馬」とか言っておこう
少なくてもこっちに気を引くことはできるだろ

大人しくなったら収穫すればいいだけだけど暴れまわるだけならこちらも暴れるだけだな
メインで狙うのはキメラ
あぶないおくすりを投擲でぶつけ、怪しいお通しを食べないか試してみる
その後暴君誕生でがむしゃらに攻撃だな
併用できるならヒ10で少しでも当てやすいようにする

体当たり攻撃はよけ通常反撃を試みる

ニムファー・ノワール 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
ボスのキメラは他の人に任せて【モッタイナイオバケ】の殲滅に向かうわ。
ポジション的にはおそらく同じ担当のラピ子さんの逆の通路になるかしら。
数が多いのは手数勝負と根性で頑張るしかないわね。
体当たり系は盾で受ければ問題なさそうね。目潰し系も【GOゴーグル】で防げそうなのでこれも問題なし。
バインド系は捕まらないように避けるしかなさそうね。まぁなんとかなるっしょ。

万が一キメラがこちらに突進してきた場合は【衝撃享受】で受けてアンカツ直伝の風車鞭・・・じゃなくて【号令の鞭】でキメラ担当の方へ誘導するわ。

リザルト Result

 重い扉を開いたそこには。妙に食欲を誘う空間が広がっていた。
 床に落ちた野菜。棚には、ケースから零れ落ちそうなほど大量の野菜。ついでに空中にも野菜。
「モッタイナイオバケ……野菜型の魔物と聞いていたが、本当に野菜そのものじゃないか」
 【仁和・貴人】は見たことのない……いや、見覚えのあるその姿に首を傾げた。
(顔やら腕のついた、野菜型モンスターを想像していたが、これはそのものじゃないか)
 普段から彼は料理をしている。様々な食材に触れている……はずなのだが、宙に浮く野菜も、こちらを見つめてくる野菜にも出会っていない。
 もちろん、彼が以前いた世界にもいなかった。
 棚に収められた箱の中。棚の上。通路の奥。
 ありとあらゆる方向からの視線を一瞥し、貴人は両手を大きく広げ、声高に叫んだ。
 彼の思い描く魔王……がするような、かっこいいポーズである。
「……まぁいい。オレたちに倒された後は美味しく食べてやるから大人しくしろ。特に……奥にいるだろう魚と馬ッ!」
 貴人が言い終わるや否や、貴人の後方から1つの影が勢いよく飛び出し、前方にいたスイカを思いっきり砕く。
「ラピャタミャクタラタタララタ! 秋の味覚と聞いてあちきが来たのじゃーっ!」
 小柄な身体からは想像できないような力強い動き。名乗るや否や【ラピャタミャク・タラタタララタ】は目につく野菜たちを次々に切り付けていく。
「ううーんっ! 生きの良い野菜じゃな。どんな味かワクワクじゃ……おっと涎が」
 涎と一緒に、ゴーグルについた血しぶき……いやトマトの汁をぐりぐりと拭う。
「ひゅー、紫肌のまおー様すっごーい。んじゃ、ザコちゃんは取り巻き魔物を教えるねぇ。 紫肌のまおーさまさまの真後ろ、香ばしいキノコが1匹と、やられたて死にぞこないのピーマンが1匹っと」
 ひょっこりとラピャタミャクの後ろから現れた【チョウザ・コナミ】。
「おりゃりゃりゃぁぁっ……!?」
 ラピャタミャクは指示通り、に後方に斧を振りかぶる。そこにはチョウザの姿があった。
「いーよ、そのままそのまま……っと」
 チョウザは臆することなくラピャタミャクのオノを躱し、先ほどラピャタミャクが倒したスイカの破片をピーマンへ投げつけ倒す。
 同時に、チョウザが躱したラピャタミャクの斧は、キノコをまっ二つに切り裂く。
「す、すごいのじゃ! 汝、やるのじゃ!」
「まおー様こそ、すっごくいい感じじゃん。その調子でどんどんよろしくー。ザコちゃんに取り巻きザコ敵は任せて」

 勢いよく右通路の魔物を蹴散らしていく2人組、ラピャタミャクとチョウザ。
「す、すごい……ぼ、ボクも頑張るぞ! うりゃぁぁぁっ!」
 その勢いに感化されるように、【パルシェ・ドルティーナ】も負けじと左通路の道を開いていく。
「パルシェさん、待って! 危な……きゃっ!」
 パルシェの後を追うように走るのは【ニムファー・ノワール】。
 勢いよく剣を振るうパルシェとは対照的に、前方に盾をかまえ、パルシェを狙うニンジンの攻撃を上手く受け止める。
「だ、大丈夫!? ニムファーさん!?」
 駆け寄るパルシェを手で制し、力強く笑うニムファー。
「ふふ、ちょっとびっくりしましたけれど。正面から受け止められれば怖くありません! わたくしもいきますよっ!」
 ニムファーもお返しとばかりに鞭に力をこめ、思いっきりニンジンに叩きつけた。
 ばちん。
 乾いた音が響き渡り、動かなくなったニンジンをニムファーは少しつつく。
「見た目はただのニンジン……なのに、不思議ですね」
「うん……そうだね」
 どことなく暗い表情のパルシェの様子を見てニムファーはモッタイナイオバケを収穫する目的を思い出した。
(確か、ニンジン嫌いを克服するため、でしたよね……あら?)
 ニンジンをつついていたパルシェであったが、あることに気が付いてパルシェを呼び止める。
「パルシェさん。もう大丈夫じゃないでしょうか?」
「……え?」
「ほら、みて?」
 つんつん。
 つつくニムファーの様子を不思議そうに見つめていたパルシェであったが、ニムファーの意図に気づき、自分の指でもつついてみる。
 つんつん。
「……これって、もしかして」
「ね? これならきっと」
 ニムファーはにっこりとパルシェに微笑んだ。
「こーら! なぁに食べもので遊んでいるんだい?」
 そんな2人の近くを通りかかる、大きな籠を担いだ【ベル・フリズン】がいた。
「遊んでる暇があったら、食べた食べた!」
「ご、ごめんなさい……え? 食べる?」
 働け、と怒られると思ったニムファーであったが、まったく予想もしなかったベルの言葉。
 パルシェと顔を見合わせていると、ベルが補足する。
「えーっとね、今倉庫の出入り口にバリケードを作ってるんだよ。んで、野菜を外に運べなくって……」
 ベル曰く、野菜を運べなければ色々と面倒らしい。
 床中が野菜だらけで転んでしまったり、更にモッタイナイことに野菜を踏んづけてダメにしてしまいそうだという。
 なので出来るだけ野菜を端に寄せる。あるいは、ダメにするくらいならいっそ食べてしまうように通りかかった皆に言って回っているそうだ。
「この量だから、全部が駄目になることはないと思うんだけどねぇ。ほらパルシェ? 採れたてを一口どうかね?」
「え、えっと……ひぇ!?」
「急に人の顔見て悲鳴を上げるなんて、失礼だなぁもう」
 急に腰を抜かし、涙目になるパルシェと首を傾げるベル。
 そして、ベルの後ろに立つ巨大な影。あれはなんだ? 馬? 魚? いや、これは……。
 ニムファーは、気が付けば叫んでいた。
「う、うまぁぁぁッ!? きゃぁぁぁッ!」

「ここが噂のビュッフェ会場ですかい? おぉ、意外とうまい」
「この触感は……もやし、いやキュウリか? 実に興味深い」
「歯ごたえのあるトマト? ね? 混乱しちゃいそう」
 『しゃくしゃく』『ぽりぽり』。
 本来あり得ないほどの歯ごたえを持つトマトをほおばる【ヒューズ・トゥエルプ】、貴人、【シルフ・ブラスリップ】の3人は出入口付近にて作業を行っていた。
 モッタイナイオバケの数もラピャタミャクやチョウザ、パルシェ、ニムファーらによってかなりの数が減り、棚を使い出入口に簡易的なバリケードを設置することができた。
「モッタイナイオバケ……か、食べられたいのか、食べられたくないのか。よくわからない生き物だな」
 ぽつり、と。貴人は2人に議題を投げかける。
 確か、食べてもらえない恨みから魔物になった。そう聞かされていたが、魔物の好戦的な態度はまるで『食べて欲しい』態度にはとても見えない。
「むしろ、こっちが食べてやるーって感じ? だよなぁ。 口……? いや、ねぇか」
 ヒューズは食べかけのトマトをぐるりと回し、観察する。
 そういえば、と。シルクがため息交じりに肩をすくめた。
「先生が会ったっていう魔物。上半身が魚で下半身が馬……なのよね? なんで? 逆ならケルビーで済んだのに」
 ケルビーといえば、美しい馬の人魚だったはず。逆にするだけでこうも、奇妙な生き物になってしまうのか。
「そればかりは……偶然? じゃねぇっすか? どうしても気になるなら、本人に聞いてみるとか?」
「聞くってそんな、お話が出来るってわけじゃ……」
 シルクのその声は、1つの雄たけびによって遮られた。
「ひひーん」
「来た……か」
 貴人が小さく呟くやいなや、慌ただしい足音。
「みんなーッ! 今の雄たけびで残っていたモッタイナイオバケがまた騒ぎ出したみたい! 怪我はないッ!? ッたぁ!」
 【コルネ・ワルフルド】は3人から少し離れたところでジャガイモの群れと戦っていた。
「先生ッ! 今助けに」
 シルクが手を出そうとするも、その彼女にそのような余裕など無いようだった。
「ッ、皆ッ! 前! ……も、このぉっ!」
 ジャガイモの雨を両手でガードしつつ、コルネは何かを伝えようと口を動かす。
「前? ……ひっ!?」
 その見た目のインパクトに、シルクは思わず息を吞む。
 逞しい四肢、麗しい鱗。死んだ魚の目。
 先ほどまでの陽気な会話がフラッシュバックする。
 『食べてやるーって感じ? だよなぁ』。
(馬ってニンジンが好きなのかしら……? 魚は、小さい虫とか……虫……? っは! ま、まさか!? あたし……虫だと思われてる!?)
 羽の先から指先まで、ぞわりと震える身体。目の前のその巨体を恐る恐る見上げる。
 無言で見つめ会うシルクと馬(?)。シルクは恐る恐る、口を開いた。
「も、もしかして。あたしを食べる……、の?」
「ひひーん」
 回答は、元気のよい雄たけび。
「い、いや! 馬並みはいやぁ!? せめて綺麗な馬ぁッ!」
 勢いよく突進する馬をふらりと、辛うじて躱す。
 肩で息をしつつ、羽を大きく動かし高度飛行。
 体勢を立て直し、今の位置を確認する。このまま直進させてしまえば、バリケードに突っ込んでしまう。
「……――ッ! こっちは、だめよ!」
 準備してきた真っ赤な布をはためかせ挑発。息も切れ切れだが、あと1回なら避けられるはず。
「はぁ……ほぉら、美味しそうな妖精よ? はぁ、はぁ……こっちへおいで~」
「……ッひひーん!」
 ひらひらと、緩やかに動く布めがけ、興奮した馬が突進した。
「――っきゃぁ!」
 避けはしたものの、風圧を受けて思わず横に飛ばされてしまう。
「大丈夫か? シルク君」
 ふわりと舞い上がったシルクの身体を貴人が抱きかかえる。
 肩や、膝で何とか受け止める不格好ながら女性を気遣う貴人の様子に、シルクはクスリと小さくわらった。
「……ふ、ふふ、ありがとう。やさしいのね?」
「ッ、だ、大丈夫なら。降りて、くれないか?」
 急な運動のせいか、ときめきか。何とも言えない動悸を抑え。貴人は声をふりしぼった。

「さぁて、メインディッシュさんはこっちですよっと!」
 シルクが手放した赤い布を掴み、ヒューズは挑発を試みていた。
 激しい息遣い、後ろ足を数度動かし突進の準備態勢に入る馬。
 数秒の沈黙の後に再び馬が動き出した。
「ひひーんッ!」
「おおっと、それには当たらねぇぜ!」
 身体をひねり、横に躱す。先ほどまでヒューズがいた場所をそのまま直進し、勢いよく棚にぶつかっていく馬。
 ぱらぱらとほこりが舞う。ふらりと起き上がる馬と、チャンスをうかがうヒューズ。
 馬は背中をヒューズに向け、ゆっくりと起き上がる。視界が定まらないのかゆっくりと頭部……らしき部位を動かし辺りを探っているようだ。
(これはチャンス……か)
 じりじりと距離を詰めて双剣を構えなおし、そして一気に距離を詰めた。
「俺のオードブルを味合わせてやるぜっ! ……――なっ!?」
 ぎぃぃん。鈍い音を立てて魚部分が刃を跳ね返す。
「げ、切れ味が……ッ! まじかよ」
 刃をよく見てみれば何やら赤い汁のようなものが付いていた。先ほど仕留めたトマトの汁だ。
「んなら、こういうのはどうだ!? マドッ!」
 剣が効かないなら。素早く魔法に切り替える。
 双剣を交り合わせ、魔力を込める。
「――いっけぇ!」
 魔力の塊を作り出し、一気に放射。
「ひひーんっ!」
 弾は一直線に馬の胴体部に当たり、爆発を伴う。
「や、やって……ねーのかよ、くそっ! いい匂いだな!」
 むくりと起き上がる馬。魚と馬の境界線には赤く、焼け焦げた痕が残っていた。
 先ほどの魔法に激高したようで、以前よりも鼻息荒く、突進の準備態勢に入る。
「ぶるるるるっ!」
「まだ来るのかよッ! ふぅ……ッよし!」
 ヒューズは次の突進に備えて迎撃態勢を取る。
 直線状に来る。そうは分かっていても、うまくよけられるかは分からない。
 互いの呼吸音だけが、響きあう。
「はいはぁーい、なんかおもしろ混ぜ物魔物はこっちっしょ」
 急に間延びした声が響いた。
「眠たげなフードのゆーしゃ様に代わって、ザコちゃんとかどーよ。ほらほら」
 チョウザが手に持つはトマトの汁で真っ赤に染まったウサギのヌイグルミ『身代わりうさぎ』。
 赤いヌイグルミに鼻息らしき呼吸を早め、助走をつけてまっすぐにチョウザの元へ突進する。
「うっわぁ、モロに喰らったら一たまりもなさそぉ……ま、喰らうわけないんだけど」
 ニヤリとわざとらしく笑うと、ひらりと身体をそらす。
「そんじゃー、あとよろしく。紫肌のまおー様」
「ふっふーん、任されたのじゃ! おりゃぁぁぁっ!」
 チョウザの後ろにいたのは小柄な少女、ラピャタミャク。体を限界までそらし、力を貯める。
 生き荒く、勢いよく走る馬。
 目を見開き、斧を振りかぶるラピャタミャク。
 互いにぶつかり合い、そして、倉庫内には巨大な衝突音が響いた。

 その日の夕食時。食堂の一角では小さな催しが開かれていた。
 巨大な鍋に米釜が並べられた場所。
 『生徒たちが収穫しました』の文字と、笑顔でデフォルメされたコルネ先生のイラストが目立つ。
 普段、この一角は課題で収穫された食材のおすそ分けとして使われていたはずだが、この日は少し雰囲気が変わっていた。
「魔物食を体験してみようコーナー……? そのままですね」
 ニムファーの声に反応して、大量の皿を持ったベルが姿を現す。
「やぁやぁ、諸君。よく来てくれた、早速食べていくかい? ん?」
「うまいのじゃー! さっくさくで、もちもちの秋の味覚なのじゃ! んっふふー!」
 鼻歌混じりのベルが配膳をするその後ろで、舌鼓を打つラピャタミャク。彼女の机には3皿ほど空いた食器が積み重なっていた。
「お代わりも、トッピングの追加も遠慮はしないでくれたまえ! 君たちは今日の功績者だからねぇ。魚フライとメンチカツ、どっちもか? どっちも載せとくかい?」
 ぶんぶんとお玉を振り回しつつ、ベルは他のテーブルにも声を掛けに行ったようだ。
 遠くの方で『トッピングは干しブドウ? キミはどれだけ……そのうち身体が干しブドウになるんじゃないかい?』という声が微かに聞こえる。
「へぇぇ、カレーにしたんだ。料理しちゃうとホントに見た目もわからないねぇ……ほら、このヒラヒラ魚フライが、おもしろ魔物のピチピチ魚のとこだったんでしょ?」
「や、やめてよもう。で、でも……、うそ、美味しい。悔しいけど美味しい! エビみたいに、すごくぷりぷりしてる……ッ!」
 魚フライをひょいひょいと空で泳がせて弄ぶチョウザ。口元を抑え、目を輝かせるシルク。
「カレーがさくさく……なんだ、この、カレーではない謎の料理。いや、悔しいことに美味いんだが」
「こういう料理って思えば美味いんじゃ……、んじゃぁジャガイモの次はどれを……お、漬物も魔物なのな」
 目を瞑り、一つ一つの触感を吟味する貴人。食材一つ一つの違いを楽しむヒューズ。
 そして。
「ゴー、ですよ。パルシェさん!」
「う、うん。大丈夫。あの感触は、あれは。これは……」
 パルシェとニムファーの2人は、ニンジンを見つめていた。スプーンの上に乗ったニンジン。
(さっきのあの感触どおりならこれは……んっ!)
 パルシェは意を決して、口の中にニンジンを入れ、咀嚼する。
 ふわり。
 ニンジン本来の甘味と一緒に広がるのは、パルシェが以前求めていた触感。
 『ふにふにで、つるんっ』って食べられたらいいのに……。
 適度に噛み応えがあり、もちもちふにふに。この触感をパルシェとニムファーは知っていた。
「ほら、この触感。これはあれです!」
『タピオカ!』
 2人の声が合わさる。
「パルシェさん? 美味しく食べられましたか?」
「う、うん! これなら、頑張れば食べられそう!」
 もちもちの触感を楽しむように、パルシェは口の中でニンジンの塊を転がす。
「んー? なんじゃ? まずいならあちきがもらっちゃうのじゃ?」
 なかなかスプーンが動かない2人の様子を見て、ラピャタミャクが声をかける。
「ふぇっ!? た、食べるよぉ! あげない……あれ?」
 パルシェは無意識ながらに『食べたい、渡したくない』と口にしていたことに思わずはっとする。
「うんうん、美味しいなら食べるといいと思うのじゃ! あちきは何でも美味しく食べれるからよく わからんが……一度美味しい野菜を味わえれば、きっと変わると思うのじゃ!」
 その意気! とばかりに頷くラピャタミャクの横で、ニムファーは小さくガッツポーズをとっていた。
「う、うん。頑張ってみる! よぉーし!」
 パルシェは改めて勿体ない野菜のカレーに向き直る。
「ボクは、野菜に負けないぞ! いただきまーすっ!」

「ふーん、だからパルシェを連れてきたんだ。びっくりしちゃったよ。アタシご指名ってのはちょっとうれしかったけど」
 コルネは少し離れた席で、干しブドウトッピングのカレーを食べていた。
「買収しやすそうな先生で本当、こっちはほっとしてたねぇ。干しブドウさえあればいいんだから」
「ちょっと、アタシが軽い先生みたいじゃない」
「あっはっは! でも、何も言わず付き合ってくれて、ありがとうねぇ」
 ベルはサービスしよう。と、更に干しブドウのトッピングをカレーの上に追加した。
「わ、ありがとう! じゃなくて……! 聞きたいことがあったんだよ!」
 干しブドウに惹かれつつも、コルネは話を続ける。
「なんで、モッタイナイオバケを食べさせようとしたの? ベルならもっと、ニンジンっぽい野菜とかを用意できたと思うんだけど」
 料理用の倉庫、栽培室、行商人。ありとあらゆる食材がこの学園にはあふれている。
 だからこそ、わざわざ収穫せずとも容易な方法があったはずだ。それがコルネの素朴な疑問だった。
 そんなこと、と。ベルは悪びれなくあっさりと答える。
「元は野菜だから、中身はあんまり変わらないはずなんだけど、見た目が悪いとかで食べられずに捨てられることが多いんだ。皆には知っておいてほしかったんだよねぇ、モッタイナイオバケの味を」
 そして、それだけではない。と、得意げに話すベル。
「つまり?」
「そう、つまりは。単に『勿体ない』からね」



課題評価
課題経験:65
課題報酬:2000
秋の味覚! モッタイナイオバケ
執筆:根来言 GM


《秋の味覚! モッタイナイオバケ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《ゆう×ドラ》 シルク・ブラスリップ (No 1) 2019-11-16 14:15:47
村人・従者コースのシルクよ。よろしくー。

説得か真っ向勝負化はさておき、まずキメラなんとかしないとダメっぽい感じかしらね?
あと…なんで馬を下半身にしたのか、それがわからない()

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 2) 2019-11-16 21:26:53
秋の味覚、ねぇ。
ザコちゃん知ってる秋の味覚、木の実とか魚とか、東の国で珍重得難くて香り強いきのこしかきーたことなかった。
散々食べることになったただ高いだけの無味きのこよか、こっちのが面白いもんじゃん。介入の余地あんのが良き。

そこらぷわぷわの野菜の魔物、弱っちいらしーしからぶっちゃけ振り払う位でもあけんだろーけどさ。
触手拘束の奴とか妨害のやつとかは厄介にめんどいし、ひとりかふたりは対応回ったほーが良さみかなって。

でもってー、あのごちゃ混ぜ魔物は突進させんのが良さみだよね。
ぶつかった直後は隙だし、罠とか、罠替わりになる食材の箱とか、丈夫な備品とかに誘導できると良さみ。
変質腐った食材とか生ごみとかないもんかな。倉庫だしないか。

なんせよ、ザコちゃんはどっちでもいーかんね。取り巻きでもごちゃまぜ魔物でも。
どっち対応にしたって、てきとーに受けても死にも消滅もしないだろーし。
ってかモブが少々いっぱい傷ついたって、1番どーでもいーやつじゃん?ふふ。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 3) 2019-11-16 22:57:31
ビュッフェ会場はここですかい。よーし、元取るぞ。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 4) 2019-11-17 10:50:00
仁和貴人だ。
よろしく。

キメラ・・・頭、魚だし釣ることは可能なのだろうか…ってかあいつ何か食べるのか?

まぁ、そんなことよりもオレもポジションはどこでもいいぞ。
特に要望がなければキメラに向かう。

《ゆう×ドラ》 シルク・ブラスリップ (No 5) 2019-11-17 22:03:39
>担当
一網打尽作戦で逝くなら囮役できるわよ。
どっちでもいけるけど、対戦相手だとキメラの方が面白そう?


>キメラのえさ
馬だとニンジン、魚なら…虫?
い、言っとくけどエアリアルは虫に含まないわよ?!(フリ)

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 6) 2019-11-18 00:50:01
らぴゃたみゃくたらたたららた!
ご馳走があちきを待っているのじゃ!

>担当
あちきもどっちでも構わないのじゃ。
まぁ、どちらにせよ突っ込んで斧振るう感じになると思うが…
キメラに行きたいのが何人かいるようじゃから、あちきは野菜の方かの?

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 7) 2019-11-18 01:07:48
>ポジション
んじゃ、真ん中で楔を打ちますかね。
モグラ叩きの要領で何とかなるかな。

あ、キメラ引き付けてくれるなら手近な棚をゴロンゴロンして
入口にバリケードでも作りますかい?

《這い寄る混沌》 ニムファー・ノワール (No 8) 2019-11-18 16:52:27
ニムファー・ノワール17歳です!(ぉぃぉぃ

モッタイナイオバケ・・・あぁ、これ小さい頃CMで見たことあるわ(謎

>担当
手数重視の私としては野菜の方に回った方がよさげのような気がするわ。
なのでモッタイナイオバケの方へいくわよ。
もしキメラがこちらに来たら安藤勝己直伝の風車鞭でキメラ担当の方へ誘導するつもりよ。
こんな感じかしら。



《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 9) 2019-11-19 19:12:06
それなりにばらけ系?なのかな。
どっちかに偏りまくって押し付けとか遠慮のとりこぼし起こるよかめんどくないけど。

そったらザコちゃん俯瞰なやつやるね。見逃し取りこぼしあったら声掛けたり調整したり。
それこそザコちゃん狙われる分には損もないんだし。だいじょーぶでしょ。たぶんね。
てか【身代わりうさぎ】あるしね。

《ゆう×ドラ》 シルク・ブラスリップ (No 10) 2019-11-19 21:59:12
おーらい、それじゃキメラ相手で引き付けね…
囮じゃない、囮じゃない。引き付けよあくまで(自己暗示)