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ゆうしゃのじゅぎょ~!★新入生、荒ぶる!


ストーリー Story

 金属と金属が擦れ合う耳障りな音。
 そして、冷ややかに鉄の扉がきしむ音。
「入れ」
 奥から声が聞こえた。若い女性の声だ。
 どこか、くぐもった声だった。
 館内は真っ暗だった。
 だが唐突に、ぱっと白みを帯びた明かりが灯った。
 新入生たち――つまり君たちだ――は、驚いて周囲を見回す。
 広い。
 体育館と聞いていたからそれなりのものをイメージしていたのだが明らかに違っていた。室内型陸上競技場といったほうがいいかもしれない。もっといえばコロッセウムか。
 アリーナ席に囲まれた中央に、砂が敷かれた広いグランドがある。
 ドーム状で、天井や柱には無数の明かりが吊されている。魔法で一斉に点火したものらしい。
 普段、このグランドあるいはアリーナは球技や陸上競技に使われるのだろうと想像できた。けれども今日は無人だ。趣(おもむき)がちがうようだ。
 アリーナに金属製の箱のようなものがいくつも、うず高く積み上げられていた。
 塗装が施されていたり編み目が細かかったりして、いずれも外から内部は見えない。
 ひとつひとつが住居にできるほど大きい。それがピラミッドみたいにいくつも積み上げられていた。頂点に位置する鉄の箱は、天井すれすれの位置にある。
 しかし君たちの視線を釘付けにしたのは、『体育館』の広大さでもなく、客席やアリーナという設備でもなく、積み上げられた金属製の箱ですらなかった。
 ピラミッド状の構造物の前でただ一人、すっくと立つ甲冑の人物に異様な存在感があるのだった。
 殺意というのか。
 端的にいえば、凄みだ。
 下手に近づけば、一刀のもとに叩き切られそうな気迫が伝わってくる。
 白い。
 白いとしか言いようがない。
 その人物は白金(プラチナ)の甲冑を着込み、白いマントを肩から提げていた。
 甲冑の表面に彫り込まれた金飾りの意匠が、美しくも好戦的な印象を与えていた。
 フルフェイスのヘルメットゆえ顔は見えない。
 もちろん年格好すらわかりようがない。
 このときふたたび、尖塔型のヘルメットの奥から声が轟いた。
「教師の【ネビュラロン・アーミット】だ」
 無人の客席に名乗りが反響する。女の声だ。
「幸運と思うがいいぞ、諸君。このネビュラロンの授業に参加できるとはな!」
 ヘルメットはすっぽりと頭部を覆っており、目の部分が格子状になっているだけなので彼女の表情をうかがい知ることはできない。
「座学は好かん。私の授業は常にジッセンだ」
 実践、と聞こえたのだがもしかしたら『実戦』かもしれない。
 彼女はこう告げたからである。
「これは、私が『檻』と呼んでいる訓練設備だ。今日の授業ではこの『檻』に入り、内部を探索してもらう」
 物騒な名前だ。
 彼女は続けた。
「それぞれの『檻』は接続してあり、内部に梯子や階段も用意している。といっても、複数のルートから選択する場面も多かろう。上下のみならず左右の移動も、行き止まりもある。立体型のダンジョンだと思えばいい。ゴールは頂点だ」
 ネビュラロンは腰からロングソードを鞘ごと外した。
 間髪入れず左手で、これを手近なコンテナに叩きつける。強く。 
 すると『檻』のほうぼうから、低く唸るような声が聞こえたのである。
「気付いたようだな。ただのアスレチックではないぞ。いくつかの檻には『アーラブル』が収めてある。倒すかかわすかして進んでいかねばなるまい」
 少し沈黙すると、そうか、とネビュラロンは察したように言う。
「アーラブルを実際に見た者はおらんか。獣型の魔物だ。角の生えた牛に似ているが、『猛牛』と呼ばれるたぐいの牛より、もっと気性が激しく凶暴だ。この学校でも訓練用に飼っている。野生のものよりはずっとマシだろうが、毎年アーラブルによる生徒の事故は絶えんな」
 アーラブルを怒らせるなよ、と彼女は続けた。
「毒のたぐいはないとはいえ、角で腹部を貫かれようものなら痛いではすまんだろう。連中は大きな音が嫌いだ」
 するとネビュラロンはこともあろうに、
「特に、こういう音がな!」
 両手でソードを握るやガンガンと力任せに『檻』を連打したのである。
 またたくまにあちこちから、アーラブルの咆える声が聞こえてきた。先ほどより激しいし数も多い! あきらかに怒っているではないか。
 サディスト――! と君が思ったとしたら、たぶんそれは間違いではない。
「規定時間より早く終われば報奨金も出してやる。ほら、ここが入り口だ」
 と言って否応なく、ネビュラロンは君たちを『檻』のひとつに向かわせた。口ごたえでもしようものなら剣の鞘でひっぱたかれるのではないか、と思った君たちは牧羊犬に追われる山羊のように従う。
「言うのを忘れていたが、ところどころ戯れで罠をしかけてあるから気をつけるように」
 どんな罠かは教える気がないらしい。やっぱりサディストなのだろう。
「ギブアップしたいなら火の手を上げろ。……まあ、私が救いに行くより先に、アーラブルが突進してくるかもしれんが」
 などと物騒な言葉とともに、ネビュラロンは『檻』の出入り口を閉めてしまったのである。
 閂(かんぬき)の下りる冷たく重い音が響いた。
 檻の内部は広い。三人くらいなら並んで歩けそうである。薄明かりも用意されている。錆混じりの鉄の匂いが鼻をついた。
 さっそく行く手に二つの梯子が見えた。
 奥か手前か、登る梯子を選ぶがいい。
 授業開始だ。
 
 荒ぶるのはアーラブルか。
 それとも君たち新入生か。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-02-17

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2019-02-27

登場人物 8/8 Characters
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《新入生》スラフィル・ケーニヒヴルト
 エリアル Lv6 / 賢者・導師 Rank 1
ボクの御家は200年くらい続いてる魔導師の貴族家系なんだよ。 王様・貴族の専攻もあるみたいだけど、立ち居振る舞いなんて、 人となりと生まれ育った環境に起因すると思ってるし、いろいろ 思うところがあって興味のあるこっちの専攻を選択したんだ。 お父様とお母様は王様・貴族専攻の卒業生だったから色々と説得 が大変だったんだけどね~…… 仲良くしてくれる友を待っているよ! よろしくね!! ◆珍しいエルフタイプの元気っ子少女 エルフタイプのエリアルは基本的に物静かなイメージがあるが、 スラフィルは活発で元気な女の子。 喜怒哀楽がハッキリしており、直ぐに顔に出てしまうタイプ。 誰とでも基本的に仲良くなれるが、利己的な者と横暴な者とは 決してまじわろうとしない。 【容姿】 腰を超えるくらいの亜麻色の髪 虹彩異色の瞳(右側:緑 左側:青) エリアルのエルフタイプらしく少し尖った耳 母から貰った大きめの懐中時計を首からぶら下げている 私服では軍服ワンピースと呼ばれる服装を好んで着用する傾向 授業や全校集会など学校行事のときは制服も着る 【交流】 友人からスキンシップされるのも、するのも大好き。 来る者拒まず去るもの追わずのスタンスであるものの、親友や お世話になった人には義を尽くす。 【話し方】 一人称:ボク 二人称:名前、愛称、キミ 柔らかい言葉遣い 〜だよね、〜だね、〜かな、〜じゃん…など
《人たらし》七枷・陣
 ヒューマン Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
異世界:情報旅団テストピアという所に住んでいたが、とある仕事の最中に、この世界に強制転移してしまった。 普段は一人称おじさん。真面目、シリアスな場合はオレ。 本来は50手前のアラフィフおじさんだが、何故か30歳以上若返ってしまった。強制転移した経緯が原因と思われるが真偽は不明。 普段はいかに自分の得意分野だけで楽出来ないかを考えているダメ親父的な人間。 自分や同行する仲間が危機に陥ると気合いを入れて打開しようと真面目モードに。 厄介事に巻き込まれるのは嫌い。お金にならない厄介事はもっと嫌い。でも一度関わってしまったら何だかんだ文句言いながら根気よく取り組む。 やれば出来る人。でも基本ダメ人間。 恋愛事は興味をあまり示さない枯れ気味な人。超若返っても現状は変わらず。 どうにかして元の世界へ戻る為、フトゥールム・スクエアに入学。 転送、転移関係の魔法や装置を徹底的に調べる事が目下の目標。 魔法系の適性があったらしいので、雷系を集中的に伸ばしたいと思っている。自前で転移装置の電源を確保出来るようにしたいのと、未成熟な体躯のフォローとして反応速度メインの自己強化が主な理由。理想は人間ダイナモ。 転移直前まで一緒にいた仲間の女性3名(マナ、マリア、マルタ)の安否を心配している。 「はぁ~…どうしてこんな事になったんだ?…おじさん、ちゃんと元の世界に戻れるんだろうか…こんな厄介事は前代未聞だよ…トホホ」
《ゆうがく2年生》ナツメ・律華
 ローレライ Lv13 / 賢者・導師 Rank 1
※アレンジ 他の人の絡み歓迎 名前:ナツメ(名前)・リッカ(名字) 目指せ大魔法使い! 追求せよ世界の真理! 【外見】 実年齢:14歳 外見年齢:10歳程度(つるぺた) ……まだ成長期は終わってませんわ! きっとあと数年のうちに素敵なレディにっ! 髪:三つ編み(しないと髪が爆発する…) 【中身】 明るく元気な性格 (よく言えば素直、悪く言えば分かりやすい) 探究心が強く、新たな知識を得るのは大好き 勉強したり本を読むのは大好き 田舎な実家では農作業や牛の世話をしていた。 大魔法使いになって世界の不思議を理解して その力で実家の畑の収穫を楽にするの! という大きいのか小さいのか分からない野望を持つ 田舎から出てきたので、お嬢様キャラで学校デビューを計ろうとするがすすぐにボロが…… 【口調】人と話す時はお嬢様(~ですわ、~かしら) 心の内や慌てたりすると素に戻る(~よ、~ね)
《新入生》レイヤ・トラスター
 ヒューマン Lv4 / 武神・無双 Rank 1
何時いかなる時も身なりをきれいに整え、その立ち振る舞いも相まって従者コースと間違われることも。 手袋、眼鏡で礼儀正しい言動 いかにも『なんでも出来るクールな従者』感をだしているが、実際は料理に騎馬等従者として必須なことは何もできない。 従者である父の姿を見て育ったため知識はあるはずだが 『いざやろうとしたら壊滅的に不器用』 着こなしがきれいなのは『幼少時代から躾けられてきた』という理由からである。 ただし、動きやすいようにマントや帽子はあまりつけたがらない。 (正式な場に出るときは着用する) 制服以外でも手袋をつけているのは、火傷跡があるのを隠すため。 一言で言うと『礼儀正しく計算高い不器用』 ◆髪型 髪質サラサラのショート(前髪は目にぎりぎりかからない長さ) ◆目つき ややたれ目(目元だけ見ると少し優しそうな印象を受ける) ◆メガネ フチなしのメガネ ◆着こなし <制服> マントと帽子を外して着用 グローブは愛用している黒の手袋をそのまま使用 戦闘等の汚れが目立たぬよう生地を暗めの色に改造 <私服> シャツにベストといった、シンプルだが整った服装を好む ※黒い手袋着用 ◆よく言う言葉 「こちらのほうが効率がいいんですよ」 ※本人にとって効率がいいだけで実際に効率がいいとは限らない 「幼いころに経験はあります」 ※成功体験とは限らない
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《過去を刻みし者》グレイ・ルシウス
 ヒューマン Lv16 / 黒幕・暗躍 Rank 1
やるべき事があり、やるべき理由もある。 だがその為の力が。知慧が、技術が、経験が足りない。 それでもやると決めた。決めて、武器を手に取った。 ならば繰り返すしかない。執拗に、着実に、徹底的に。 試行錯誤だ。事が成るなら手段は問わない。 ―――――――――――――――――――――――――――― 【外見】 灰色の髪に灰色の瞳。中肉中背の平凡な青年。 常に古びた皮鎧と要所を補強した皮兜で武装しており、 学生証の種族こそヒューマンとなっているものの 素顔を見たことがある者は極めて少ない。 また、当人もすすんで素性を明かそうとはしない。 【性格】 無遠慮で偏屈。禁欲的で真面目。慎重だが決断は早く、 まるで人間では無いかの様に作業的で事務的。 必要最低限の、自分にとっての事実しか語ろうとしない男。 ユーモアへの理解や相手への気遣い等も意識にはあるが、 とにかく不器用な性質の為、まず表には出てこない。 【戦闘】 良くも悪くも拘りがなく、見切りも選択も速度重視。 有効か、そうでないかの2択のみで物事を即断し、 場で利用出来る物を最大限利用して主導権を奪うスタイル。 その為、一騎討ちや果たし合い・決闘といった 正統派かつ王道の『対戦形式』には苦手意識がある。 【悪癖】 名前を呼ばれると大体1~半テンポ遅れ、 何処となくバツが悪そうな声音で返事をする癖がある。 また、人を呼ぶ時もあまり固有名詞を使わず、 「お前」「そこの」「そっちの」等の代名詞に頼りがち。
《甲冑マラソン覇者》ビアンデ・ムート
 ヒューマン Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
●身長 148センチ ●体重 50キロ ●頭 髪型はボブカット。瞳は垂れ目で気弱な印象 顔立ちは少し丸みを帯びている ●体型 胸はCカップ 腰も程よくくびれており女性的なラインが出ている ●口調 です、ます調。基本的に他人であれば年齢関係なく敬語 ●性格 印象に違わず大人しく、前に出る事が苦手 臆病でもあるため、大概の事には真っ先に驚く 誰かと争う事を嫌い、大抵の場合は自分から引き下がったり譲歩したり、とにかく波風を立てないように立ち振舞う 誰にでも優しく接したり気を遣ったり、自分より他者を立てる事になんの躊躇いも見せない 反面、自分の夢や目標のために必要な事など絶対に譲れない事があれば一歩も引かずに立ち向かう 特に自分の後ろに守るべき人がいる場合は自分を犠牲にしてでも守る事になんの躊躇いも見せない その自己犠牲の精神は人助けを生業とする者にとっては尊いものではあるが、一瞬で自分を破滅させる程の狂気も孕んでいる ●服装 肌を多く晒す服はあまり着たがらないため、普段着は長袖やロングスカートである事が多い しかし戦闘などがある依頼をする際は動きやすさを考えて布面積が少ない服を選ぶ傾向にある それでも下着を見せない事にはかなり気を使っており、外で活動する際は確実にスパッツは着用している ●セリフ 「私の力が皆のために……そう思ってるけどやっぱり怖いですよぉ~!」 「ここからは、一歩も、下がりませんから!」

解説 Explan

 あんまり可愛くない名前ですがネビュラロンは女性教師です。
 彼女に命じられ、あなたたち新入生は『檻』と名付けられた立体迷路を進んでいきます。サバイバル実践授業がはじまったのです。

●目的
 一番上の『檻』にたどり着けばゴールです。
 途上、何度もアーラブルと出会うことは避けられないでしょう。
 立体迷路で上がったり下がったりしているうちに自分たちの現在地を見失いがちですので、迷わないよう気をつけたいものです。
 脱落者を出さずゴールまでたどり着けば成功とします。

●アーラブルについて
 獣人族の特性を真似て作られた魔物と言われています。
 頭部に生えた鋭く太い角で突き刺したり、硬いヒヅメの生えた足で踏みつぶそうとしてくることでしょう。
 頭に血が上り興奮した状態(通称「荒モード」)になると、肉体が肥大化し一時的に能力が向上するようです。怒らせないようにしたいものです……って、スタート時点で既に怒ってますけども!
 学園で飼っている訓練用のアーラブルなので、野生のものよりは大人しいと思われます。怒りも、時間があけば鎮まります。

 突進が得意なアーラブルが本領を発揮するのは、存分に助走の取れる広いフィールドです。走ることのできる距離に限度のある『檻』という舞台では、アーラブルは最大の力を出せなかったりします。
 ……それなのに『檻』に別の魔物ではなくアーラブルを仕込んだのは、ネビュラロン先生なり優しさ(?)かもしれません。

●罠
 致死性のトラップではないですが、『檻』じゅうのアーラブルを一気に激怒させるような仕掛けや、火炎や矢が飛んでくるようなトラップがあちこちに仕込まれています。
 全部ネビュラロンが自分の手で仕掛けたようです。案外、器用なのですね。
 解除したり発見する手立てがあったほうがいいかもしれません。

●その他
 ネビュラロンのヘルメットに手をかけようものなら、問答無用でガントレット(手甲)を填めた拳で殴られます。


作者コメント Comment
 マスターの桂木京介です! よろしくお願いします!

 明日の勇者を目指すため【フトゥールム・スクエア】に入学した皆さんです。
 当然、毎日授業を受け勉強にいそしんでいます。
 このエピソードもそんな授業風景です。……といっても、あまり平穏な授業ではなさそうですね。授業という名の冒険エピソードだったりするのです。

 必要なのは知恵と勇気、そして協力です。
 各人、自分の得意分野を活かし仲間と助け合ってこの関門を突破してください。
 巨大な鉄の箱を組み合わせた『檻』と呼ばれる立体ダンジョンをくぐり抜け、「今年の新入生はひと味違うな」とネビュラロンに言わせようではありませんか!

 それでは、次はリザルトノベルでお会いしましょう。
 あなたの冒険を応援しています! 桂木京介でした!


個人成績表 Report
フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:48 = 40全体 + 8個別
獲得報酬:960 = 800全体 + 160個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
●全体方針(齟齬は皆に合わせて調整)
・手前から登り、ゴール到達を優先で無駄な戦闘は避ける
・移動時は罠に警戒。発見時の優先行動は回避→解除→破壊
・戦闘時は罠に誘導、高低差や遮蔽を生かすなど地形を利用し連携して撃退
・重傷者が出た場合は降参

●行動
自分は追い付かれた時の迎撃を担当。盾スキルで耐える。
罠には先生の言動から意図・傾向を『推測』して予測。罠前後にも注意。
アーラブルは激怒のサイズを確認しておき、引っ掛りそうな狭所があれば誘導して妨害。
部位狙いが可能なら『クリスタルブレイブ』の剣で足、角を破壊して弱体化を試みる。
どれもダメそうなら一か八か、『生物騎乗』で闘牛よろしく飛び乗って宥められないか挑戦。

スラフィル・ケーニヒヴルト 個人成績:

獲得経験:48 = 40全体 + 8個別
獲得報酬:960 = 800全体 + 160個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
他キャラとの絡み、アドリブ大歓迎

◆目的
もちろん一番上の檻にたどり着くことっ
みんな一緒に協力して、誰も脱落させずにゴールを目指さないと意味ない!

◆行動
攻撃系の魔法は今回使えないんだよね…
だからこの授業では皆の道案内役として活躍できるように頑張るつもりだよ!
集中して聞き耳を立てながら、アーラブルをできるだけ避けるルート選択をしていきたい
あ、できたら自然友愛の妖精(フィーリア)にお願いして少し先を見てきてもらって、罠がないか、アーラブルがいないか安全確認……な~んてこともできたらなって!
フィーリア、よろしくねっ♪
第六感も研ぎ澄ませてきたから、もしもの時は勘も働かせられたらいいなぁ~
怖いけど楽しみっ!

七枷・陣 個人成績:

獲得経験:48 = 40全体 + 8個別
獲得報酬:960 = 800全体 + 160個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
一番上の檻を目指して進む
対アーラブルは味方の支援メインで


【行動】
事前準備:水筒に塩水を満タンに入れる
隠密行動してる味方を真似て、忍び歩きで周囲を警戒しつつゴールを目指す

アーラブル対策
重力思念で鈍らせて味方の攻撃・回避行動を支援
自分が攻撃する場合、突進に注意して接近、水筒の塩水を全身にかかるよう撒いて、通電しやすい状態にさせてプチラドを叩き込み感電の大ダメージを狙う
ディスエレメンティで有利属性にして耐性つけた上で、防御または味方への攻撃をかばう。有利属性でも角の串刺しは絶対に避けて行動


罠で味方が毒・麻痺にかかったら、デトルで異常回復する

デバフ等の支援が必要そうな味方に優先して使う

ナツメ・律華 個人成績:

獲得経験:48 = 40全体 + 8個別
獲得報酬:960 = 800全体 + 160個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
うう…鬼だわあの先生。大丈夫かしら
でもこれも勉強の一環。足を引っ張らないようにしないと

最初の梯子は…魔物の声や気配を感じない方を選びませんか?

自分の歩幅から進んだ距離を予測し、大まかに方向と距離をメモ(大まかな位置の把握や、同じ所を堂々巡り防止に)

罠や緊急時の移動中仲間がはぐれないように、人数は常に確認
むやみに大声をあげず、壁などに触れないよう注意(髪の毛もコートの内側に)
火炎などは「プチミド」で対応

魔物遭遇時は魔法で攻撃、目などを狙って隙を作る
怖くない怖くない、ここで引いたら畑の作物が食い荒らされると思おう
…え?何も言ってませんわ、ほほほ

怪我人がでたら具合を確認し、救急箱やスキルで回復

レイヤ・トラスター 個人成績:

獲得経験:48 = 40全体 + 8個別
獲得報酬:960 = 800全体 + 160個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【行動】
●移動時
静かに移動しましょう
罠は不得手ですので、様子を伺いながら進みます
負傷者がいれば肩を貸し移動のサポートを

●敵遭遇(敵が気づいてない時)
声出さず手でのジェスチャー(肉体言語)で皆に意志疎通をとり…
静かに通り過ぎましょう

進行厳しい時は、皆に少し離れてもらい…
敵の目の前で大きく動き引き付け、その間に移動してほしいです
私は上着を投擲し潜り抜けるか…下り梯子まで引き寄せるので、皆さん背後から叩き落としてください

●敵遭遇(先に気づかれる)&戦闘
前に出ます
檻への振動を避けるため、檻に攻撃が当たらないように位置をとり…
初手、足に部位破壊を試みます
破壊できなければ倒すべく攻撃に切り替えます


エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:48 = 40全体 + 8個別
獲得報酬:960 = 800全体 + 160個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
●目的
全員でゴール

●準備
『事前調査』で先輩に聞いたり図書館で調べたりして
ネビュラロン先生の評判や授業スタイル、檻の授業やアーラブルの生態について情報収集
赤い物品は外すか覆いを付ける

●檻の中
『危険察知』で常時警戒
別れ道などでは『風の民』『自然友愛』で先の様子をうかがう

静かに移動。会話も最小限
なるべく身振りで意志疎通

新しい檻に入る度に入口と出口に『カラフルチョーク』で目印を付け
檻の繋がりをメモして地図製作
足跡や糞などの痕跡からアーラブルの位置を予想。回避する

戦闘になりそうなアーラブルは迂回
遭遇した場合は『説得』でなだめる
回避不可能な時のみ戦う

怪我を負った仲間には手や肩を貸し、全員のゴールを目指す

グレイ・ルシウス 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:120 = 40全体 + 80個別
獲得報酬:2400 = 800全体 + 1600個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
担当:罠解除、魔物探知、前衛

罠設置には心得が有る
件の教師も全身鎧で罠専門、という事もあるまい
なら自分が罠を仕掛ける手順を逆に辿れば解除に至る筈
慣れてはいないが、必要ならやるだけだ

アーラブルの存在は気配探知で事前察知を試みる
回避出来る戦闘は回避。止む無く戦う場合も
罠が発見出来たなら誘い込む。階下に落とせるなら落とす
高低差を利用出来るなら高所から低所へ攻撃する
アーラブルは「自由に動かせない」事が最優先だ

幸い、前衛の大半が囮の役割を果たせる
俺が罠の解除をしくじっても魔法使いのサポートも有る
後は全員の動きを良く見てフォローし、必要なら庇う
「お前の相手はこっちだ、牛モドキ」
俺の役割は歯車だ。歯車に徹する

ビアンデ・ムート 個人成績:

獲得経験:60 = 40全体 + 20個別
獲得報酬:1200 = 800全体 + 400個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
●目的
皆さんと一緒にダンジョン脱出を目指します

●行動
移動中や罠の対応中はアーラブルに警戒。来てもすぐ防御に移れるよう備えます

戦闘はなるべく避けてやりすごす方針ですが、戦闘になったら【防護魔法】と【全力防御】と【衝撃享受】で可能な限り防御を高めてから盾になって皆さんを守ります
味方が挑発したならこちらも『挑発』をして敵を混乱させて隙を作ります

見つけた罠を利用できそうだったり背後に梯子や階段などがあれば、皆さんにそれを利用すると告げてから『挑発』するように音を立てて誘導。階下に落としたり罠にかけて撃退します

●降参条件
1人以上が重傷を負うか、全員でダンジョン踏破が至難と判断出来る場合

リザルト Result

 わずかな可能性を信じ、【ナツメ・律華】(りっか)は入ってきた扉を調べる。
「うう……やっぱり……鬼だわあの先生」
 やはり錠前は冷たく下ろされていたのだ。
 この状況、ナツメにはどこか既視感があった。幼少期の記憶だ。イタズラをした罰に、暗い土蔵に閉じ込められたときに似ていた。
「あんときは怖かったなあ……真っ暗で麻袋の匂いがして……」
 と呟いたナツメに【七枷・陣】(ななかせ じん)が応じる。
「食料庫かなにかの話かな? おじさんもねえ、昔ジャンク庫に閉じ込められたことがあって……オートロックを忘れて自滅しただけだけど」
 懐かしき『かつての世界』での陣の思い出だ。あのとき一緒に閉じ込められたパートナーにえらく怒られたものだっけ。
 ですよねー、と応じかけたところでナツメは我に返る。
「んなっ!? なにをおっしゃっておりますの陣様! 土蔵!? 私のお屋敷にそんな農村みたいなものがあるはずありませんわ。何かのお聞き間違いでは? ほほほ」
 おじさん『土蔵』なんて言ってないんだけどな……と陣は言いかけたものの、
「そうかそうか聞き間違いだったねー」
 と流しておくことにした。妥協こそ正義である。
 ここで【レイヤ・トラスター】が、人差し指を唇に当てた。
「……収まってきたようです。耳を澄ませてみましょう」
 その唇に触れているのは黒い革手袋だ。常に手袋を外さない彼にとって第二の肌である。
「聞き耳なら任せてっ」
 さっそく【スラフィル・ケーニヒヴルト】は目を閉じる。訓練によって、スラフィルはすぐれた聴覚を身につけている。
 聞こえる。分厚い壁にどすんどすんと肉の塊をぶつけるような音が。『檻』に入った直後はひっきりなしに聞こえていたこの音は、しかし沈静化しつつあるように感じられた。
 どうですか? と言うようにレイヤが首を傾げるとスラフィルはうなずいた。
「移動開始したほうがよさそうね」
 と小声で告げたのは【エリカ・エルオンタリエ】だ。授業時間にも限りがある。アーラブルの動きが収まりつつあるのなら、いつまでも待つべきではないだろう。エリカは一同に、赤い物品はここに置いておくか隠すようにうながした。アーラブルは赤い物品を見ると興奮する傾向があるという。
 どっちにする? とエリカは指を振った。
 昇る梯子を選ばねばならない。手前か。奥か。
 どちらかの梯子の先にアーラブルがいる――エリカの勘がそう告げていた。
 レイヤは軽く唇を噛んでいた。緊張している。けれど同時に、血潮がたぎるような感覚も覚えている。これが勇者の授業というものか。
「俺なら」
 と断って【グレイ・ルシウス】が発言した。
「檻に入れられた者がまずどう考えるか、を考え罠を仕掛ける」
 この試練を設定した教師【ネビュラロン・アーミット】同様、グレイも兜で顔を隠しており声は籠もっている。しかしネビュラロンの険のある口調に比べると、グレイのそれはもっとずっと落ち着いていた。
「見知らぬ空間では『すぐ移動したくなる』のが自然な反応だ。手前と奥に梯子が掛かっていたら、素直な新入生ならまず、近いところを選ぶだろう」
「危ないのはこれ、ってわけね」
 グレイにうなずくと、手前の梯子に【フィリン・スタンテッド】は触れた。剥き出しの金属製だ。梯子の先は暗い。人一人が通るのが精一杯という四角い穴が空いていた。
 こんなとき『フィリン』ならどうするだろう、とフィリンは思う。
 考えるまでもない。仲間を信じるはずだ。
「ええ、奥の梯子を選びましょう」
 と奥の梯子に進みかけたフィリンを、【ビアンデ・ムート】がさえぎった。
「昇った直後が一番危ない。私が先に行きます」
 告げるや否、もうビアンデは梯子を昇りだしている。念のため緋色の外套は床に残していた。
 何度か行動をともにして、フィリンはビアンデの性格を理解している。誰かが代わろうとしても譲らないだろう。誰かが傷つくのを見るくらいなら自分が、というのが彼女の信条なのだ。もしかしたらなにか、過去に理由があるのかもしれない。
 ビアンデは階上にたどり着くや、階下に顔を出し合図した。
 口元がほころんでいる。

 昇りきると、来た梯子にエリカはカラフルチョークで印を残した。
 階上に生物の姿はない。この檻はさっきのものよりずっと狭い。あるのはさらに上へつづく梯子ひとつと、左右の壁にあるふたつの扉だけだ。
 攻撃系の魔法は今回使えないんだよね……だからこそ、とスラフィルは思っている。
 この授業では皆の道案内役として活躍できるよう頑張りたい。
 しかし集中しても、聞き耳で判断しきれないところはあった。『檻』は音が反響しやすく、音源の発生位置がつかみにくい。何かが動き回っている音や気配はあるのだが、それがどこだと特定できないのだ。
 スラフィルは扉に耳を当て気配をさぐるも、曖昧な結論しか導き出せなかった。
 駄目ね、とエリカも肩をすくめるほかない。区切られた狭い空間だからか、風の匂いもほとんどなかった。
 陣がつぶやいた。
「目的地が頂上である以上、短絡的に言うなら上を目指すのが正しいような気もするけど……」
 でもなあ、と続ける。
「さっきの考えに従うと、おじさんなら真上に罠を仕込みたくなるよなあ」
「とすると扉ですわね。でもどちらかしら?」
 ナツメは二枚の扉両方に触れるが、どちらからも何も伝わってこない。
 陣とナツメの視線を受けてグレイは頷いた。
「困ったら、『なんとなく行きたくない方』に正答を置く。右と左なら右。大半の戦士は右利きだからな」
 うなずいてビアンデは右側の扉に手をかけた。
 こうして何枚か扉をくぐり、梯子も昇った。一度などは昇ろうとした梯子の上を、アーラブルの姿がよぎっていった。
 やがてたどり着いたのは暗い檻だった。
 長い廊下のように、まっすぐな道がつづいている。幅も他の檻と比べると広いようだ。
 慎重に進む。床を踏むわずかな音すら谺(こだま)かと思えるほどに。
 まっさきに危険に気付いたのはエリカだった。待って、と言うようにビアンデの肩に手を置き前方を示す。
 フィリンは剣の柄に手をかけ、身をかがめた。
 レイヤは無意識のうちに唾を飲み込んでいる。
 間違いない。
 行く手にいるのはアーラブルだ。
 怪物は通路の壁際に身を寄せている。こちらに背を向け、うずくまっていた。
 このときエリカは、無言で自然友愛の精霊を召喚していた。さしむけると精霊は音もなく飛び、忠実にすうっと戻ってくる。
(そう、アーラブルは眠っているのね)
 エリカのうなずきは、一同にこの事実を知らせるに十分なものがあった。
 レイヤはジェスチャーで『脇をすり抜けましょう』と提案した。奇襲をかけるという手もある。戻るという選択肢も。けれどこれが一番効率的に思えた。
 迷っている時間はない。
 これまで以上の忍び足で、ビアンデとフィリンは前進を再開した。
 息を殺す。
 気配を消す。
 湖に張った氷の上を歩むようにして。
 肝を冷やしながらスラフィルと陣が、さらにナツメが続いた。
 ひいー、とナツメは叫びたい気持ちだった。心臓が口から飛び出しそう。
 近くで見ると怪物はものすごい筋肉をしている。立派な角は凶器そのものだ。あの蹄なら、岩だってビスケットみたいに砕いてしまうだろう。
 しかしナツメは、すやすやと眠るアーラブルを見て、実家で飼っていた牛を思いだしてもいる。
 案外、可愛いかもしれない。
 間もなくエリカ、グレイとレイヤもアーラブルの隣を通過した。
 すぐ行き止まりになった。扉はなく、昇りの梯子がひとつだけ用意されている。
 早くこの場所を離れたい。そう考えてビアンデが梯子に手をかけたとき、罠が発動した。
 罠といっても毒針やガス噴出ではない。ある意味その両者よりも凶悪なものだ。
 梯子が外れたのである。
 留め金を外してあったらしい。滑り落ち床に叩きつけられた。
 鉄製の梯子が鉄の檻に落下したのだから当然大きな音が立つ。それも、耳障りな。
 ――!
 レイヤが振り返ったときにはもう、立ち上がったアーラブルは後ろ脚を蹴立てていた。
 鼻息すら感じられる距離。
 だがレイヤも疾風迅雷、怪物に突進し拳を振りかぶっていた。
 狙うは、前足。
 金槌のように重いブロンズナックル、右ストレートを叩きこむ。
 激突する。骨と骨とが。
 めりっ、と拳に着実な手応えがあった。
 骨を折ることを狙ったがそこまでの成果があがったかはわからない。
 直後レイヤの体は、猛牛の突進を受け弾き飛ばされていた。
 がしゃん、というもの凄い音。一瞬呼吸ができなくなるほどの痛みが背中に拡がった。
 アーラブルは攻撃の瞬間その頭部を振り上げたのである。彼の体は檻の天井に叩きつけられたのだった。
 されど首を振り上げたことはアーラブルの油断だ。
 がら空きになった牛の喉、そこを鋼が一閃している。
「お前の相手はこっちだ、牛モドキ」
 グレイが刃を呉(く)れたのだ。
 だが浅い。グレイは直観的に悟っている。切れたが切り裂くには至らなかった。
 実際アーラブルは倒れず、檻が震えるほどの吼え声を上げ後退した。
 戦闘状況を整えている余裕はない。陣はただちに行動していた。
「こういうの、おじさんの思ってた『訓練』と違うんですけどっ!」
 雷の玉を生成し投じる。電光が爆ぜてまたたき、陣の前髪を吹き上げる。
 あの突進はヤバイ――陣は腹の底に冷たいものを感じていた。少しでも弱らせなければ。
「可愛いと思ってたのに!」
 ナツメはプチミドを次々と生成し、当たるを幸いと投げまくる。
 小さな爆発音をたてぽんぽんと破裂するナツメの魔法弾に苛立ったか、アーラブルは涎をまき散らしながら首を左右に激しく振った。
 このときスラフィルは倒れた梯子に飛びつき、持ち上げてビアンデに告げた。
「この梯子、架け直せば使えるっ!」
 苦しげなレイヤを助け起こし、後退させながらエリカも言う。
「事前に調べておいたの、ネビュラロン先生のこと。評判とか授業スタイルとか」
「どういうこと……?」
 フィリンは怪訝な顔をする。アーラブルに向かっていくのを止められた格好だ。
「わかったのは、ネビュラロン先生は、この先にさらなる罠やアーラブルを用意しておくほど陰険な人じゃないってこと」
 エリカは断言した。この梯子の先は安全地帯のはずだ。
「……わかりました!」
 ビアンデは大鍋を構え声を上げた。
「フィリンさん、レイヤさんを助けて先に行ってください。ここは食い止めます!」
「でも」
 と言いかけてフィリンはレイヤを見た。フィリンはすぐに自分の使命を知る。剣を戻すと、
「待ってるから!」
 言い残すとレイヤに肩を貸し、スラフィルとエリカが戻した梯子に手をかけフィリンは昇った。自分が先、つづいてレイヤを引っ張り上げる。
 早く、とスラフィルたちに呼びかけながらフィリンはビアンデの背中を見た。
 自分より背は低いくらいなのに、とても大きな背中に見えた。
 震える心に鞭を打ち、ビアンデは強く呼びかける。
「あなたの相手は私です!」
 対衝撃の準備を整える。右脚を前に。左脚を後ろに。
 直後ずしんと巨大な熱源が、構えた大鍋にぶつかった。
 重い。
 とても、重い。
 両腕の間接が悲鳴を上げるも砕けはしない。両腕に加えて頭まで使い、ビアンデは大鍋でアーラブルの突進を受けきった。
 なんとか飛ばされずに済んだのは、負傷し魔法攻撃で削られて怪物が弱っていたためだろう。
 アーラブルを押しのけると、見事ビアンデは階上にたどり着いたのだった。
 彼女を引きあげて、
「こいつはもう不要だ」
 グレイが梯子を蹴倒した。このときには全員、上の檻に移動し終えている。
 アーラブルはさすがに昇ってくることはできず、唸るばかりだ。
 それにしてもあの女教師、とグレイは思った。
 どうも掌で踊らされている印象が拭えない。梯子に細工しているとは読めなかった。
(まだまだ、俺も修行が足りないということか)
 グレイは小さく息をついた。
 簡易救急箱をひらき、スラフィルはレイヤを手当てしている。
「幸い骨折はないようようだねっ♪ これなら降参せずまだ続けられそうだよ~」
「ありがとうございました。それに、ここで中断するより、ゴールを目指すほうが効率がいいですよ」
「その意気その意気っ」
 メガネにもひび割れなどはなかった。タフなメガネなのである。
 ほうぼうでアーラブルが興奮しているらしい。檻全体が小刻みに揺れている。落ち着くまで待つ必要があるだろう。
「次はどうする?」
 陣が尋ねる。この狭い檻に扉はひとつだ。梯子は上の檻を目指すものがひとつ、さっき使ったものとは別の、他の檻に下りる梯子もひとつある。
「別の檻といっても、下に向かうのは気乗りしませんわ」
 ナツメの意見だ。這々の体でここにあがったのだから無理はない。
「正面か上でしょうね。通常なら……」
 フィリンは言葉尻を濁す。あまり自信はなかった。
 陣が言う。
「おじさんはね、ここは裏をかいて下、って気がするんだ。もちろんさっきの梯子とは別だよ」
「同意見だ」
 とグレイも陣にうなずいた。
 よし、とスラフィルが言った。
「だったらフィーリア、よろしくねっ♪」
 スラフィルが呼び出した精霊は、羽のように軽やかに上下の梯子を観察に向かい、さらに扉もチェックしたが、首を傾げて戻ってきた。
「わかったのは上の階の道はあっち向きで、下の道はこっち向きってことだけ。扉の先は見えないんだって」
 スラフィルはため息をついた。お手上げといったところだ。
「ドアなら私が試してみます」
 ビアンデが申し出るもエリカは首を振った。
「罠だったら危険よ。もうちょっと考えてみましょう?」
 年長者からいいかな、と陣が言った。
「見た目はまったく年長者ではないかもだけど、それはそれとして」
 和ませるように前置きして、
「おじさんたちは寄せ集めでも、一応チームなんだ。協力して冷静に、確実に動こう」
「協力? 賛成ですわ」
 ナツメは目を輝かせる。
「竜巻で畑に大きな被害が出そうなときだって、みんなで協力したもので……ごほごほ」
 思わず口が滑ってしまいナツメは咳き込んだが、これを聞いてエリカは表情を緩めた。
「ありがとう。いいことを思いついたわ。ねえ、ナツメさん?」
「え、畑? なんの話ですの?」
「違う違う。あなたマッピングしていたでしょう? わたしもなんだけど、比較させてもらっていいかな」
 ふたりが互いの情報をつきあわせて出した結論が、これだ。
「螺旋構造、ですか」
 レイヤが感心したように顎に手を当てた。
「竜巻の話で気がついたの」
 檻が積み重なったものが螺旋になっているのではない。多少いびつながら、螺旋を描くようにして進むのが正しい道筋だと気づいたのだ。
「……たとえ一旦梯子を下りたとしても、楽に進めているときは螺旋ルートを描いている」
 フィリンも理解している。
「逆に、螺旋から外れると、アーラブルと直面したり罠に出くわしたり……ってことだね♪」
 スラフィルも嬉しそうに言った。
 これまで一同が大きな罠にかからなかったのは、グレイの方針に従っていたからである。それが結果として螺旋の道のりに重なっていたのだ。いや、ネビュラロンが意図的に『進みやすそうな道』を螺旋から外すよう設計していたのかもしれない。
「とすると次は、やはり梯子を下りる道だな」
 グレイが結論づけた。

 かくて以後は大過なく、一同は先に進むことができた。
 そろそろ終わりかと、扉を開いたところでフィリンはただちに抜刀した。
「みんなはやらせない……殺させないっ」
 目に決意と覚悟をみなぎらせている。
 広い部屋だった。
 複数の檻で支えているのだろう。これまでで一番広い。まるでグラウンドだ。
 フィリンのみではない。全員が表情を強張らせているのだった。兜で顔を包むグレイも、その内側で険しい顔をしていることだろう。
 中央に昇り梯子が一本だけあり、これを護るようにして二頭のアーラブルが立っていたのである。
「ここです! ここに来て下さい!」
 いち早く飛び出したのはビアンデだ。声を上げて走る。
 猛牛たちの視線が一斉に彼女に向かった。
 しかしそれも刹那だ。弾かれたように二頭同時に足を止めた。
 陣が水筒を投じたのだった。二頭は金属の水筒が立てたけたたましい音に怯んだだけであり、すぐに突進を再開する。
 だが二頭の逡巡は、勇者たちに行動のいとまを与えている。
「楽には終わらせてくれないというわけか」
 グレイが飛び出す。
「防いでみせる……!」
 続いてフィリンも。
 檻全体が揺らぐほどの衝撃。肉がちぎれるほどの圧力だ。
 しかし一瞬止まったことで、アーラブルの突進は威力が落ちていた。前衛三人はこれを防ぎきった。
 空中に何かが舞った。
 それは制服の上着、投じたのはレイヤだ。
 アーラブルが気付いたときには既に、レイヤはうち一頭の懐に急迫している。
「ここです……!」
 青銅の拳が唸りを上げた。
 もう一頭には、
「こっちこっち!」
 ナツメの投擲した魔法弾が命中している。
 そしてこのとき、
「到着っ♪」
 戦闘地点を迂回し梯子にとりついたスラフィルが、最上階に手だけ触れて声を上げたのだった。
「目標達成ね。あとはアーラブルに、もう戦う必要はないって説得する必要があるけど」
 梯子のすぐ下でエリカは息を吸い込んだ。どう説得したものか。
 決裂したときに備え陣は、いつでもプチラドが放てる状態で構えていた。
(水筒の塩水をぶちまけておいた。感電させる準備はOK……しかし魔法撃つのはなかなか慣れないねぇ。良いかけ声みたいなのでもやればいいのかな?)
 しかしその必要はなかった。
「いいだろう、授業終了だ」
 と告げ、背後の扉から姿を見せた者があったからだ。
 彼女は白金の甲冑を着込み、白いマントをまとっている。
 ネビュラロンだった。
 その姿を見た途端、暴れ牛たちは急に大人しくなり、膝を屈して座りさえした。
「よくやった。この先に出口がある。付いて来い」
 短く告げ歩き出すネビュラロンの背にフィリンは呼びかけた。
「私たちは勇者らしかったでしょうか? どう戦えば、勇者らしいでしょうか……?」
 ネビュラロンは振り返らない。
「自分で考えるんだな」
 そう告げ、白いマントをなびかせただけだった。
 



課題評価
課題経験:40
課題報酬:800
ゆうしゃのじゅぎょ~!★新入生、荒ぶる!
執筆:桂木京介 GM


《ゆうしゃのじゅぎょ~!★新入生、荒ぶる!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2019-02-12 00:02:25
賢者・導師専攻のエリカ・エルオンタリエよ。
今回は助け合いが大切になりそうね。よろしくね。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 2) 2019-02-12 00:09:04
アーラブル……聞き覚えの無い魔物だな。
突進に向いた形状に大音量が嫌いと言う性質。やりようは有るか。

ああ、挨拶だったな。
黒幕・暗躍コース専攻……グレイ・ルシウスだ。
罠の類が得意、戦闘技能は前衛特化、魔法は使えん。宜しく頼む。

《ゆうがく2年生》 ナツメ・律華 (No 3) 2019-02-12 00:14:29
賢者・導師を専攻しているナツメ・律華と申しますわ。
どうぞよろしくお願いします。

…一番荒ぶってるのは、せんせ(聞かれぬよう慌てて口をふさぐ)

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 4) 2019-02-12 06:19:13
勇者・英雄専攻のフィリン・スタンテッドよ…よ、よろしく。
アーラブル…ワイルドで、パッションがいりそう…

…えぇと、能力は魔法は使えなくて前衛。
スキルは片手剣と盾防御中心で防御拠りよ。

《新入生》 スラフィル・ケーニヒヴルト (No 5) 2019-02-12 08:02:31
賢者・導師専攻のスラフィル・ケーニヒヴルトだよ! よろしくね!
みんなで助け合ってこの授業を達成しようね!

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 6) 2019-02-12 08:12:29
罠と猛獣がいっぱいの場所を探索ですか……怖いけど授業だから受けないといけませんよね

……あっ、ゆ、勇者・英雄専攻のビアンデ・ムートです。皆さんよろしくお願いします
技能と装備のほとんどを防御系に特化させているので、盾役としてお役に立てると思います

《新入生》 レイヤ・トラスター (No 7) 2019-02-12 09:32:33
武神・無双コース専攻のレイヤ・トラスターです。皆さんよろしくお願いします。
私は部位破壊、武器破壊を主としたアタッカー…でしょうか…
戦闘と関係ないところでは、挑発での引き付けや投擲による気のそらし、ジェスチャーによる意志疎通あたりならお役にたてると思います。

《人たらし》 七枷・陣 (No 8) 2019-02-12 15:28:02
賢者・導師専攻の七枷陣だよ。よろしく頼むねぇ。
…おじさんは、まぁ本系を使うんだけど、何を担当しておこうかねぇ。
汎用系スキルを少し見て、気配隠す系のやつがあれば取りあえずそれ使おうか。

《人たらし》 七枷・陣 (No 9) 2019-02-12 16:35:44
んー、ざっと見てきたけどスキル枠も限りあるし、おじさんは本スキルと魔法攻撃で埋めて戦闘支援メインにした方がいいかもって思えてきたよ。

重力思念のデバフで攻撃・回避支援
ディスエレメンティで有利属性にして耐性つけてガード
罠で味方が毒・麻痺にかかったら、デトルで異常回復
別の授業でやった二番煎じだけど、塩水+プチラドの感電ダメージ

こんな所でいこうかなって思うよ。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 10) 2019-02-12 18:57:42
そうだな……現状把握している限り、
地形には高低差があり、迷路で、魔物が徘徊しており、罠がある。
この内、罠の発見・解除と魔物の発見・排除が今回の主問題だと言えるだろう。

以上を前提にした時、囮が務まる盾役が2人。
賢者・導師が4人。純前衛が2人となると、基本的な戦い方は
「前衛が足止めして後衛が火線を集中」辺りが妥当だろう。

如何に上手く足止めし、或いは射程圏に少数を誘い込むか。
罠の発見・解除役が足りない点を如何に補うかの相談が必要そうだな。
それと、さっさと昇るか、ある程度戦うか……か。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 11) 2019-02-12 20:16:45
わたしは『風の民』や『自然友愛』で離れた場所の様子をうかがえないか試してみるわ。
通過するのに危なそうな場所はなるべく回避したいわね。

あとは迷子にならないように、入った檻にはカラフルチョークで印を付けて行こうと思うわ。


『げんき』が少ないので、新しい一般技能は習得できないけれど
職業技能は取れそうなので、会議の進行を見ながら習得を考えてみるわ。

《新入生》 レイヤ・トラスター (No 12) 2019-02-12 20:30:00
ふむ…えげつないことをいうなら…
「檻」で「上下にいりくんでいる」ならば「檻の柵を挟み向こう側にいる物理攻撃の敵」に対しては防御を考えずに魔法を放てる気もしますね。
あとは、上下移動の階段がある場所が大きいなら、上の檻から下の檻に落とすのも手かと。
敵の総数が索敵等で分からない以上、基本は罠に警戒しながら静かに速やかに移動が良さそうなきはします。ただトラブルで一斉に向かってこられたときが怖いですが…

先を急ぐ時も、角や足だけでも破壊しながらいきますか?

《ゆうがく2年生》 ナツメ・律華 (No 13) 2019-02-13 00:03:14
私は回復魔法を使う予定ですわ。
あと水属性の魔法があるので、火炎には少しは役に立てるのではないかと。

>角や足だけでも破壊
手負にするといわゆる「荒モード」になりそうな気がするので、緊急時以外は「静かに速やかに移動」でよさそうな気がしますわ。

…ちなみにハシゴは「奥か手前」の2カ所あるようですが、これはどちらかを選んで8人で進むという事でしょうか?(それとも二手に分かれて行動?)

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 14) 2019-02-13 00:14:04
「静かに素早く移動」を実現させようとすると、
既に興奮状態のアーラブルの足止めと、罠の解除を素早く行わねばならん。
前者はまだしも、後者を解決する方法が今の所見つかっていないな。

檻の柵を挟み向こう側にいる物理攻撃の敵に対して、の攻撃は
確かに狙いさえ出来るなら一方的に攻撃出来るだろう。

だが、「塗装が施されていたり編み目が細かかったりして、
いずれも外から内部は見えない」とある以上
「隣り合う檻が通り抜けられる場合」を除いて、
内側からでも隣の檻の内部が見える保証がまるでない。
入ってみるまでアーラブルが居るかどうかすら分からん可能性もある。
確実に優位が取れるのは、梯子の上から下、のケース位だろう。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 15) 2019-02-13 00:32:30
スタート地点である梯子の「奥か手前」は完全に運任せだが、
少なくとも最初は固まって動いた方が良いだろう。
罠の発見・解除が出来る人間が複数居なければリスクの方が重い。

そして教官の性格を考慮するなら「手前」は罠。
「奥」はアーラブルが待ち構えているのではないかと思う。
と言うのも「近い方」は判断が単純だ。警戒が甘い可能性が高い。
一方、あえて「遠い方」を選ぶのは捻くれ者か慎重か、だ。
ならば逆に単純な脅威をぶつける方が良い。あくまで、推測だがな。

さしあたり、アーラブルについては脚部を破壊出来るならした方が良い。
高所から低所に落とせるなら落とした方が良い、という部分は同感だ。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 16) 2019-02-13 01:24:28
あくまで私個人の考えなのだけど、
これはあくまで授業で、それも勇者を目指す人へのテストだから、
どんな手段を使ってでもクリアさえすれば良いのではなく、
どんな方法でクリアするか、勇者の資質があるかどうかは見られているんじゃないかと思うわ。
だから、アーラブルに対しても足を折ったり過剰に傷つけるのは
点数的にはあまり良くないのではないかと思うんだけど、どうかしら?

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 17) 2019-02-13 06:19:58
>柵を挟んでの攻撃

えげつなくても普通にありなんじゃない?
ただ私たちが考え付く程度は先生も想定の内でしょうし、乗り越えられた先まで考えておく必要があると思う。

>エリカ

私としては…勝ち方…は、まず勝てるようになってから考えるべきじゃないかな…。
勇者らしい、らしくないをいうなら…実戦なら、私たちの後ろには、負けたら傷つく人がいる…敗北が希望を奪ってしまうかもしれない。
だから、その…授業なら、まず勝ちにいっていいと思う。
勝利を確定した後で、過剰にいたぶるとかは…別としても…

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 18) 2019-02-13 07:18:43
理想の勇者を志すのは自由だが、この学園にはコースが9つもある。
各コースによって求められる適正が異なる様に、
目指す勇者像も個々によって様々だ。尺度を1つに絞れるとは思えん。

例えば個の多様性を受け入れ、活かす器も勇者の資質だろう。
花と実が有れば実を採る。俺は、そういう勇者が居ても良いと思う。

《新入生》 レイヤ・トラスター (No 19) 2019-02-13 07:19:34
すみません、見落としていました…!「塗装が施されていたり編み目が細かかったりして、いずれも外から内部は見えない」ならば、左右の檻同士からの攻撃は魔法といえども通るか怪しいですね…。
上の檻から下の檻に…梯子が近い場所で遭遇した場合は、挑発して引き付けましょうか。背後から他の方で叩き落としてくれればいけそうなきがします…!

>部位破壊
完全に倒さずとも行動不能にできればよし、というのも含め提案しました。
飼われている、と聞くと少しかわいそうな気もしますが…

>トラップ
「どうしても解除しなければ進行できない」等でなければ、場所だけマッピングして通過でも行けそうでしょうか?人が三人余裕でとおれる道全体を塞ぐトラップというのがイメージできなかったので…
炎や矢に関しては、逆に攻撃に使えそうな気もしますね。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 20) 2019-02-13 19:24:00
もちろん時には力で押し通らなければならない場面があることは承知しているし、
それを完全に否定するつもりもないわ。
そのうえで、回避できるリスクは避けた方が賢明であるということも
心のどこかには置いておいた方がいいと思うの。

特にアーラブルを怒らせたり興奮させて、荒モードにさせてしまったら
今の私たちでは手が付けられなくなる可能性もあるわ。

回避不可能な場合は戦わざるを得ないけれど、可能な範囲ではアーラブルを刺激しないように
静かに行動することと、遭遇はなるべく回避した方が結果として
みんなが無事にゴールできる確率が上がるんじゃないかしら?
アーラブルは赤い物にも反応するようだし、持ち物などにも注意したいところね。

罠に関しては何か有効な技術を習得できないか検討してみるわ。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 21) 2019-02-13 19:33:49
そんなわけで『危険察知I』を習得したわ。
罠の解除はともかく、発見の役には立てるんじゃないかと思うわ。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 22) 2019-02-13 22:00:27
>エリカ

ごめん、そういうことね。
無駄な戦闘は避けるという方針なら私も賛成よ。

罠は今回だと潜入任務じゃないし、見つけられたら回避ないし破壊でもよさそう。
…というか狭い折りの中で追いかけられながら罠解除する方が難しい気もするわね(汗
盾としてできる限りは時間稼げるよう頑張るけど…

《人たらし》 七枷・陣 (No 23) 2019-02-13 22:19:40
よし、ひとまずプラン完成したから提出したよ。
基本行動は最初に言ってたもので変わらず。
デバフ等の支援が必要そうな味方に優先して使うってのを追加したから、特に前衛の面々は、文字に余裕があればおじさんに頼ってくれると嬉しいよ。


後はまぁ、メタな事言えば今回は難度も簡単みたいだし、事細かくしなくてもいいんじゃないかなぁっておじさんは思うなぁ。
いや、不注意になって慢心しろとか単独行動でヒャッハーしろとかって訳じゃなくてね?
それこそ、おじさん達が何も考えず書きやすい行動で荒ぶるのも、まぁ程度を弁えてやればアリじゃない?って言いたいだけなんだ、うん。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 24) 2019-02-13 23:49:19
戦闘は極力避けるべき、と言う点に異論は無い。
一方で、回避出来ない戦いでは実力が足りないと言う不足を補う為にも
相手の隙を作る。機動力を削ぐ。地形を利用するなどの工夫は必要だろう。
難度が簡単であることは、それを省く理由にはなるまい。

部位破壊は活かせる範囲であれば活かすべきだな。問題無いと思う。
荒モードになれば手が付けられん可能性は確かにある。が、
それを完全に回避出来る保証はない以上、対策は1つでも多い方が良い。

罠は発見出来れば回避が最優先。回避出来なければ解除か。
仕掛ける手順を逆回しにすると解除の手順になる。
俺はそちらで攻めてみよう。危険察知の取得、感謝する。
……ふむ。しかし破壊、と言う発想は無かったな。有効かもしれん。



《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 25) 2019-02-13 23:55:26
そしてサポートの提案、助かる。
状態異常の付く様な罠が頻出するとは流石に思わないが、
万が一発見と回避にしくじった場合致命傷になりかねん。

特に盾役の面々は矢面に立ちやすい事もある。
ディスエレメンティやデトルは命綱になることも有るだろうな。

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 26) 2019-02-14 12:13:05
戦闘はなるべく避けて進む方針は私も賛成です
アーラブルの実力が発揮できないとはいえそれでも脅威なのに変わり無いですから
もちろん戦闘になったら出来る限り皆さんを守るために頑張ります

罠の解除や破壊もいいですが、レイヤさんの意見でもあった通り有効活用できるなら、挑発しておびき寄せて罠にかけるというのも有効なんじゃないかなと思ってます
色々前提条件はありますし、都合よくいくかは保証しかねますが……

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 27) 2019-02-14 20:17:48
ふむ。誘き寄せて魔物を罠に嵌める。一見有効に思えるが
まさにその前提条件だ。今の「極力戦闘を避ける方針」を下地とすると
使えるのは「罠を発見」しており、「避け得ない魔物が存在」しており、
かつ「魔物を罠に誘い込める位置関係に自分達が居る」状況のみとなる。

勿論、体力に自信が有るのならばやってみても良いとは思う。
例えば罠を挟んで敵味方が対峙、と言う場面などで有効なのは確かだ。
罠に嵌め、更に盾で押すなどして階下に落とせるなら、戦いも回避出来る。
大盾の本領発揮とも言えるだろう。上手く運べば負担は減る。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 28) 2019-02-14 22:40:28
>罠の有効活用

基本方針は「戦闘を避ける」で異論はなさそうね。
基本方針に従うために極力罠は発見、回避しておいて。
どうしても戦わざるを得ないときは戦う、罠を使って有利に戦えそうなら使う。
罠を活用が無理そうなら、ここまで上げてきた各人の工夫で戦う。

こういう2段、3段構えの方針でいいんじゃないかしら?
『準備はしておく』『策を使えそうなら使う』
『できないなら無理せず次の手を打つ』
で、一つに固執しすぎないなら、アイデアは(もちろん、プランを準備できる限りだけど)いくらあっても損はない…じゃないかなって。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 29) 2019-02-15 00:10:26
なるほど、明瞭だ。

「魔物との戦闘は極力避ける」
「罠は発見次第回避・解除・破壊する」
「戦闘するしかない時、罠が利用出来るなら誘い込む」
「高低差が利用出来るなら有利な地形で戦う」
「いずれも困難なら各個工夫して対処する」

大体5段階で全対応が片付くな。良い判断基準だ。異論は無い。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 30) 2019-02-15 16:35:34
他に気になることと言えば、アーラブルを荒モードにしてしまったりして
思いのほか戦闘が厳しくなった時の想定や、降参の火の手を上げる条件などかしら?

降参はなるべくしたくはないけれど、重傷者が出るような場合はやむを得ないわよね。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 31) 2019-02-16 03:52:42
なるほど、降参条件か。
俺の側のプランに記載するのは厳しいが、
1人以上が重傷を負うか、全員での踏破が至難と判断出来る場合
位が妥当ではないだろうか。救出までのタイムラグも考えれば尚更な。

流石に、授業の範疇で戦闘不能まで許容するのはやり過ぎだろうと思う。
一歩間違えると消滅はしないまでも、普通に死ぬからな。

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 32) 2019-02-16 09:31:02
それならまだ余裕があるので私のプランに降参条件の件を載せましょうか?
本当は全体の視野を見られる人が書く方が適切かもしれませんが、誰かが書いて全体に共有させておけば問題ないでしょう

あの先生の周到さを考えたら、さすがに授業で死ぬような状況になるまで放置……は多分、きっと、おそらくない……といいですね

《ゆうがく2年生》 ナツメ・律華 (No 33) 2019-02-16 10:13:43
さすがに「先生」ですし本当に危険な時は助けに来てくれると思いますわ
(ただギリギリまで私達の悲鳴を楽しんで聞いてそうな気がしますが……)
撤退条件の提示についても、自分達で状況を見極めタイミングを考える勉強のひとつになるかもしれません。

移動中は迷路ではぐれたりしないように、人数は常に確認しておきますわ
(走って逃げる時など)。
あと「奥か手前」のハシゴですが「魔物との戦闘は極力避ける」という前提に沿って、魔物の声や動く物音が聞こえない方を選ぶというのはどうでしょう?
最悪、昇ってすぐに遭遇という事態は避けられるのではないかしら?
(問題なさそうなら私のプランに入れますわ)

《新入生》 レイヤ・トラスター (No 34) 2019-02-16 11:11:29
降参ですか…回復が難しく、連れての移動も難しくなる三名以上の重傷辺りとか、でしょうか?
無理は禁物ですが、達成したいという思いもありますし、難しいところですね…

基本は静かに速やかに移動ということですね。了解しました。
あとこちらは…
「負傷したものがいた場合は肩を貸す等移動をサポートする」
「肉体言語と挑発で気を引く」
「戦闘時は前に出て、部位破壊も交え戦う」
辺りでしょうか?

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 35) 2019-02-16 13:46:00
グレイさんも広場で告知していてくれたけれど、今夜23:59がプラン提出の締め切りよ。
17日になったら出発しちゃうので、悲しい事にならないように気を付けてね。

>レイヤさん
挑発は荒モードの引き金になるかもしれないので、充分気を付けてね。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 36) 2019-02-16 20:11:45
上記確認させて貰った。
人数確認と最初の分岐、及び降参条件については、記載宜しく頼む。
一応こっちでも気配探知は持っていく。居れば気付くかもしれん。
魔物の居る、居ないについてはその辺りも参考にしてくれると助かる。

……いや、学園の人間という事を考えると学園長然り、
「死んだら蘇らせてあげるから」という死生観の可能性も……
こればかりは……無いとも、言えんというか……


《新入生》 スラフィル・ケーニヒヴルト (No 37) 2019-02-16 22:10:01
あんまり話し合いに参加できなくってごめんね~?

とりあえず「魔物との戦闘は極力避ける」、「罠は発見次第回避・解除・破壊する」
「戦闘するしかない時、罠が利用出来るなら誘い込む」、「高低差が利用出来るなら有利な地形で戦う」
「いずれも困難なら各個工夫して対処する」っていうのをプランに盛り込めばいい感じかな?

ボクは聞き耳LV3なのと聴覚強化もっていくから、アーラブルがいなそうな方に誘導はできるかも?

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 38) 2019-02-16 22:42:35
そろそろプランをまとめないとまずいわね。
全体方針は私の方でもまとめておくわ。

>グレイ
冒険者らしく生命は軽い、というのはあるかもね…自分たちの身は自分で守る心がけは大事かも。
状態では『行動不能』→『重傷』→『消滅(ロスト)』となるみたいだから、重症者が出る状況はリタイヤがよさそうね

《人たらし》 七枷・陣 (No 39) 2019-02-16 23:57:37
さて、もうそろそろ出発だね。
重傷にならない事を祈るよ。南無三南無三っと…。