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はまなたくみ GM 

皆さまはじめまして。はまなたくみと申します。
皆さまの楽しい学園生活をサポートできるよう、精一杯頑張ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

●GMとしての傾向
明るい話が好みです。日常やコメディ、ハートフルといったジャンルのエピソードがメインになるかと思います。
冒険や戦闘といったジャンルにも挑戦してみたいと考えています。
プランの判定は甘めの傾向になると思います。
なるべく皆さまの活躍を格好よく描いていきたいと考えています。

また、『アドリブNG』などの要望はどんどんプランにお書きください。可能な限り反映させていただきます。

文体につきましては、サンプルおよび納品済みのリザルトを参照していただければと思います。
基本的に会話文多め、カッコ書き多めの文体となります。

担当NPC


メッセージ


『助っ人募集! グリフォンコンテスト!』のリザルトが公開となっております。
リザルト提出が遅れて申し訳ありませんでした。
また、ご参加誠にありがとうございました。

次回は戦闘エピソードを提出させていただこうかと思っております。

作品一覧


ピクニックに行きませんか? (ショート)
はまなたくみ GM
「みんな! ピクニックへ行きたいかーっ!」  放課後の教室は独特の高揚感に満ちている。授業から解放された喜び、放課後の予定に対するワクワク感。そんな余韻を吹き飛ばすような大声が響き、教室に残っていた生徒たちは、一斉に教卓を見た。 「リサちゃん、いきなりすぎるよ。みんなびっくりしちゃってるよ」 「何言ってんだジェシー、こーゆーのはインパクトが大事なんだよ、インパクトが!」  ……漫才コンビかな?  教室に残っていたある者は、そんな感想を抱いた。  教卓に立っているのは二人の少女だ。その片割れ、黒髪のヒューマンの少女が口を開いた。大勢に注目されたからだろうか、多少緊張気味だ。 「あ、あの、突然すみません。わたしは【ジェシー・エリス】といいます。みなさんと同じ、新入生です。こっちは同じ新入生の【リサ・ストーンズ】」 「おー、みんなよろしくな!」  リサと呼ばれたルネサンスの少女はニカッと笑って言う。ルネサンス族の特徴である耳が機嫌よさそうにぴくぴくと動いた。 「それで、今回皆さんにお話ししたいことなんですけれど……」  学生たちが生活する学生寮、レイアーニとノホナ。そこからしばらく歩いた場所に、小高い丘があるそうだ。見晴らしがよく、さらに頂上には四季折々の花が咲いていてとても眺めがよい。ピクニックにもってこいの場所なので、新入生同士の親睦を深めるためにピクニックに出かけようという話らしい。 「えっと、お弁当は私が作ろうと思っているんですけど、一人で皆さんの分を作るのは大変なので、どなたか手伝っていただけるととても助かるかな、って思います……」 「オレはそういうの苦手だからな、ジェシーに任せるぜ! で、オレは山の上でなんかみんなが楽しめるよーなことをやりたいって思ってるんだけどよ、こっちも誰か手伝ってくんねーかな?」 教室に残っていた生徒たちは、どうしようかと考え、一様に顔を見合わせた。
参加人数
2 / 8 名
公開 2019-04-30
完成 2019-05-25
私たちの仇をとってきて! (ショート)
はまなたくみ GM
「うう、ひどい目にあったよ……」  生徒たちは放課後の教室に集められていた。彼らの前に立って話すのは一人の少女だ。 「みんな、集まってくれてありがとう。私は【コリーン】って言うんだ。今日はみんなにお願いがあるんだけど……」  コリーンは2本の角が生えた頭や、魔力の籠った腕輪のはめられた腕を包帯でぐるぐる巻きにしていた。一体何があったのだろうか。 「簡単な依頼があるって聞いたから、仲間に声をかけて行ったんだけどね……私たちのパンチやキックが効かなくて、やられちゃったんだ……」  モンスターにやられて命からがら逃げ帰ってきたのであろう。頭に巻かれた包帯からにじみ出る血が痛々しい。  教室に集められた生徒たちはドラゴニアの少女の話に聞き入っていた。きちんと対策しないと目の前の少女のように怪我をする羽目になる、と思えば真剣にならざるを得ない。 「私たちは依頼を受けて、草原にスライムナイトって言うモンスターを討伐しに行ったんだけど……そいつら、私たちの真似をしてきたんだ」  真似? どういうこと? と集められた生徒の一人が問う。 「そのまんまだよ。擬態能力……っていうのかな? 相手の苦手な形になったり、相手の姿の真似をしてくるの。私たちは武神・無双コースの仲間と一緒に行ったから、相手も私たちと同じ姿になって、拳で攻撃してきたの。それで、相手には私たちの拳があんまり効かなくて、やられちゃったってわけ」  拳が効かない? それはどうしてだろう? 別の生徒が首をかしげた。コリーンはその疑問に答える。 「うん、私たちの攻撃の威力が吸収されるって言うのかな……柔らかくてあんまり効いてる気がしなかったんだ。あと水っぽかったから水の魔法もあんまり効かないと思う。ローレライの仲間が水の魔法を撃ってみたんだけど、だめだった。私も炎の魔法を撃ってみたけど、あんまり効いてないみたいだったなあ……」  耐性は多いが弱点も多く、情報を集めて行けばさほど怖い相手ではなさそうだ……そう考えた生徒たちに、コリーンがさらなる情報をもたらす。 「あとね、相手の中にボスっぽいのがいたんだけど、そいつが私たちをしびれさせてきたんだ……長い触手で私たちの動きを止めてきたから、気を付けてね。お願い、私たちの仇をとってきて!」
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-02-11
完成 2019-03-01
馬をウマく無力化せよ! (ショート)
はまなたくみ GM
「えーいっ!」  草原は今日も晴れていた。さわやかな春の空気が心地よく吹き、あたたかい春の日差しがあたりを包んでいる。そんな中響き渡るのは、気合の入った少女のかけ声。  【コリーン・デイビー】の斬撃がスライムナイトに吸い込まれる。雷を帯びたその一撃は弱点を突き、たまらずスライムナイトは倒れこんだ。 「ふう……これで終わり、っと!」  コリーンはひとつ息をつくと、ポケットからハンカチを取り出す。ひたいににじんだ汗をぬぐっていると、仲間たちから声を掛けられた。 「コリーン、調子いいじゃん」 「えへへ、まあね! みんなのおかげ、かな?」  コリーンははにかみながら答える。以前はスライムナイトにすら苦戦していた彼女だが、魔物の弱点を調べ、実戦経験を積むことで成長をとげ、今ではこの草原に出てくる魔物はほとんど倒せるようになっていた。 「それに新しい目標もできたし、こんなところで立ち止まってられないよ!」  彼女は思い返す。駆け出しだったころ、自分たちの仇をとってきてくれた8人の勇者たち。彼ら彼女らに負けないように、自分も精一杯頑張る。それが今の彼女を動かす原動力になっていた。 「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」  コリーンと仲間たちは帰ろうときびすを返した。そこへ、 「ヒヒーン……」  何かのいななきが聞こえた。 「あれ? 何の声だろ?」 「皆さん宛てに依頼が来ています」  集められた生徒たちを前に、課外活動担当の職員は簡潔に切り出した。 「依頼内容は平原に出現したデスレイプニール1体の討伐、もしくは説得だそうです。モンスター生態学の教授から聞いた話によると、デスレイプニールは馬のような姿をした魔物です。高速で動き回るので、勢いを乗せた突撃に気を付けてくださいとのことです。それと……」  そこまで言うと彼は一息いれた。紙をぺらりとめくり2枚目の内容に移る。 「その魔物はどうやら毒を持っているみたいです。魔物にやられたと思しき生徒たちがみな毒に冒されていたので、皆さんも十分に注意してください」  魔物にやられた生徒たち? 生徒の誰かがいぶかしげな顔をした。その顔色を読み取ったのか、職員は次のように付け加えた。 「この依頼を持ってきてくださったのは武神・無双コースの生徒、コリーンさんです。彼女は今保健室で手当てを受けています。詳しい話は彼女から聞いてみてください」
参加人数
4 / 8 名
公開 2019-03-19
完成 2019-04-06
ジャックフロストを助けて (ショート)
はまなたくみ GM
「あの……」  やや肌寒くなってきたものの、本格的な冬の到来にはまだ間があるフトゥールム・スクエアのとある教室。本日の授業をすべて受けおわった生徒たちはそれぞれの形で自由を謳歌すべく、足早に教室を去ろうとしていた。そんな生徒たちにかけられる小さな声があった。 「ちょっと、皆さんにご相談したいことがあるんです……」  生徒たちが振り向くと、そこには黒髪のヒューマンの少女、【ジェシー・エリス】の姿があった。彼女はなんだかもじもじと言いづらそうにしていたが、意を決したようにひとつうなずくと続けた。 「みなさんでないと相談できないことなんです。少しお時間、よろしいでしょうか……?」  ジェシーに連れられて空き教室に向かった生徒たちは、教室の隅に置かれた箱を見つけた。両手を広げたくらいの大きさだろうか。さほど大きくはない。 「この子、わたしが見つけたんですけど……」  そう言って彼女は箱を指さす。生徒たちがよくよく目を凝らすと、箱の中には何かが入っているようだ。  箱の中にいるのは……なんだろうか? 生き物のようだが、ぐったりとして動く様子がない。 「ああ、大丈夫!? 今お水かけてあげるね!」  ジェシーは大慌てでコップに汲んできた水をかける。箱の中の生物は少しだけ元気を取り戻したようで、羽をパタパタと動かして喜んでいるようだ。  それは結局何なの? と生徒の一人が問いかける。 「えっと、たぶんなんですけど……ジャックフロストなんじゃないかな、って思うんです」  ……ジャックフロスト!?  彼女の説明によると、このジャックフロストを拾ったのは学園の敷地内だった。地面にぐったりと倒れていたので、かわいそうに思って拾ってきたらしい。 「かわいそうだから、この子が住んでいた場所に戻してあげたいんです。でもわたし一人の力じゃ、どうにもできなくて……」  だから生徒たちに助けを求めたのだ、と言う。  だが、ジャックフロストは基本的に攻撃はしないとはいえ立派な魔物だ。  元の住処に返しても、いついたずらで人に害を与えるかもわからない。ゆえにここで討伐してしまうほうがいいかもしれない。  さて、君たちはどうするべきだと思うだろうか?
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-11-20
完成 2019-12-12
勇者流トライアスロン!? (ショート)
はまなたくみ GM
「秋と言えばな~んだ?」  心地よい秋の日差しが降り注ぐフトゥールム・スクエア。次の授業が行われる教室へと向かうべく廊下を移動している生徒たちに、突然かけられる声があった。  生徒たちがびっくりして振り返ると、そこにはルネサンスの少女、【リサ・ストーンズ】のまぶしい笑顔があった。  秋と一口に言ってもいろいろあるだろう。食欲の秋、読書の秋、芸術の秋……生徒たちがどう答えようか考えていると、その隙を与えずリサがこう続けた。 「もちろんスポーツの秋だよな!?」  たしかに思い立ったら即行動、という外見のリサに読書や芸術の秋は似合わないだろう……などと、一部の生徒は失礼なことを考えたとか考えなかったとか。そんな生徒たちの思考を知ってか知らずか、リサはなおも言う。 「ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだけど、いいよな?」  いつのまにかリサのペースに巻き込まれた生徒たちは、近くの教室で話を聞くことになった。 「勇者流トライアスロン、っていう競技を考えたんだ!」  開口一番、リサはそう言った。  勇者流トライアスロン? 頭に疑問符を浮かべる生徒たちの姿を見て、リサは話を続ける。 「勇者流トライアスロンってのは、まず最初に水泳をやって、その次は箒に乗るんだ。そんで、最後にマラソンをやる。すっげーハードな競技なんだ!」  すっげーハード、という部分で生徒たちの何人かは嫌そうな表情を浮かべる。うげー、と誰かが小声でつぶやくのが聞こえた。 「先生の許可も取ったぜ! 『やりたいです!』ってメメたんに言ったら『長距離を移動するトレーニングにもなるし、いいんじゃねーの?』って言ってくれたんだよ」  生徒たちは『ああ、あの学園長なら喜びそうだよな……』と思ったとか思わなかったとか。 「でさ、参加者募集中なんだけど、みんなやってみねーか?」
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-10-30
完成 2019-11-17
【優灯】名人の記憶を取り戻して! (ショート)
はまなたくみ GM
「うわあああああああ!?」  フトゥールム・スクエアの教員である【コルネ・ワルフルド】は叫びながら飛び起きた。跳ね飛ばされた布団が床に落ちる。心臓はバクバクと早いリズムを刻み、全身にはびっしょりと汗をかいていた。 「い、嫌な夢だったよ……」  まさにコルネ先生にとっては悪夢だったろう。世界から干しブドウが一粒残らず無くなるなどという夢は。 「ま、まさか正夢になるわけないよね!」  彼女はそう自分を納得させると、夢のことは忘れて身支度を始めるのだった。 「プレグさん、今日も精がでるねえ」  ここは学園の近くにあるフリセッキ村。この村は水はけのよい土で覆われ、日当たり良好なため、農作物を育てるのに非常に適していた。ここで育てられた良質の作物の一部は学園にも運ばれている。  その村で働く一人の老人に、通りがかりの男が話しかけていた。 「おう、今日もいい天気じゃからな。この天気を逃す手はないってもんじゃ」  【プレグ・イーラッド】は話しかけてきた住民に上機嫌で答える。彼の仕事は干しブドウづくりだ。しかも彼はただの干しブドウ職人ではない。干しブドウづくりの名人として知られていた。 「干しブドウづくりにはお日さまの光が欠かせないからのう。この天気ならいい干しブドウができるってもんじゃ」  彼の言う通り、ここ数日のフリセッキ村は雲一つなくカラッと晴れた日が続いている。この天気なら文句なし、最上級の干しブドウが作れることだろう。 「プレグさんの干しブドウは絶品だからなあ。期待してるぜ!」  そういうと男は用を足しに村の外へと出て行った。  その日の夜。プレグはいつものとおり、天日干ししていたブドウを屋内に取り込んでいた。干しブドウに夜露は天敵だ。最悪カビが生えてしまうことになる。日が落ちたらこの作業は干しブドウづくりに欠かせなかった。 「ん、何じゃ?」  外で物音がしたような気がして、プレグは作業の手を止める。幸い、取り込んだブドウはこれが最後だ。これを室内の風通しのいい場所に置いたら、少し外の様子を見に行ってみようか……。  そんなことを考えながらプレグは家の扉を開けた。  翌日。  用を足して戻ってきた男は、村の様子を目にして呆然としていた。 「なんだこりゃあ……一体、どうなっちまったって言うんだ……?」  あちらこちらで家が焼けこげ、村人たちの自慢である畑も踏み荒らされたりとひどいありさまである。  そんな中、奇跡的にほぼ無傷の家から村人が出てきた。 「プレグさん! 無事だったか!?」  男が駆け寄ると、プレグは頭を振りながらこう言った。 「ああ、わしは無事なんじゃが……家の中によくわからんものが山のように置いてあるんじゃ。これは一体、何じゃったかのう……?」  男が家の中を見ると、そこには見事に出来あがった干しブドウがざるに並べられているのだった。 「みんな、大変なんだよ!」  コルネ先生によって集められた生徒は、みな神妙な面持ちで話を聞いている。  被害が出た村のことや、記憶を失った人のこと。とても心配だ。だが、それとは別の心配事もあった。 「このおじいさんの記憶を何とかして取り戻してあげてね! でないと……」  干しブドウが切れたコルネ先生がどうなるか……そちらも心配だ。  学園の生徒たちは大慌てで記憶を取り戻すすべを探し始めるのだった。
参加人数
4 / 8 名
公開 2019-10-09
完成 2019-10-27
思い出の広場を守って! (ショート)
はまなたくみ GM
 ここはフトゥールム・スクエアにほど近い、アチュパーデ村。この村には代々続く、ある風習があった。  毎年春になると、村で育った子供たちが、フトゥールム・スクエアに入学すべく旅立つ。または、村の外に仕事を求めて出ていく。  そんな時、子供たちの未来に幸福があらんことを祈りながら、村の高台にある日当たりのよい広場に木を植える。  子供たちがいつかこの村に帰ってきたとき、成長した木を眺めながら子供のころの記憶に思いをはせる。そんな願いも込められている……と村に伝わる歴史書は語る。  それはさておき、今年も春が来た。フトゥールム・スクエアに入学する子供たちが、旅立ちの前に木を植える季節になったのだ。 「なんで木なんか植えなきゃならねーんだよ? かったるいなぁ……」  苗木を手に歩きながら、【ヴィクター・レヴ】がぼやいた。健康そうに日に焼け、いかにも腕白少年といった風貌だ。つまらなさそうに足元の小石を蹴飛ばしながら、広場への道を行く。 「そう言うなよ、ヴィクター。これもこの村の伝統なんだ」  落ち着いた声で【ジェーン・リテイン】がなだめる。こちらは色白の顔の中央に丸眼鏡が収まり、いかにも優等生といった雰囲気をまとっている。対照的な二人だが同い年ということもあって仲が良く、 「でんとーって簡単に言うけどさあ、俺達には関係ないんだよなぁ……」 「まあまあ、すぐ終わることだし、少しくらいいいじゃないか」  ジェーンは相方の愚痴を苦笑しながら聞いている。 「それにさ、将来僕たちがこの村に戻ってきたとき、植えた木がどれだけ成長してるか……想像しただけでワクワクしないか?」 「そういうもんかなあ? ジェーンは夢想家だなあ……」  たわいのない会話を交わしながら、広場に到着した二人は、立ちすくむことになる。 「な、なんだぁ!?」  広場のあちこちが無残に掘り返され、穴だらけになっている。代々村を巣立っていった者たちが植えた樹の一部も、根元から掘り返され倒れてしまっている。 「いったい誰がこんなこと……!」 「ヴィクター、あそこだ!」  ジェーンが鋭く叫び、広場の片隅を指さした。やや大きい穴が開き、その奥から赤く光るものが覗いている。察するに、この広場をめちゃくちゃにしてしまった魔物が、穴の奥に潜んでいるのだろう。 「てめぇら、この広場から出ていけ!」  広場に落ちていた木の枝をつかみ、向かっていくヴィクターをジェーンが引きとどめる。 「無茶だ、ヴィクター! ここはいったん引いて大人たちに知らせなきゃ!」 「……というわけで、皆さんに村の広場に出た魔物を討伐する依頼が出ています」  職員は書類に目を通しながら、淡々と生徒たちに告げた。 「報告による魔物の特徴から推察すると、敵は土龍でしょう」  ぺらり、と書類をめくり、魔物の特徴について説明を付け加える。 「地中をまるで泳いでいるかのように素早く滑らかに移動できる魔物で、本質は臆病のようです。ただ、攻撃されると激昂するようなので十分に注意してください」  そこで言葉を切ると、彼は生徒たちを見回して告げた。 「もちろん楽な相手ではありませんが、油断しなければ今の皆さんの力量であれば危うい敵ではないでしょう。あ、それと……」  職員は思い出したかのように付け加える。 「魔物を見つけた二人の少年が同行を願い出ています。彼らはあなたたちの後輩になるでしょう。先輩として、いいところを見せてあげてくださいね!」  職員の声に送られ、生徒たちは出発した。
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-03-09
完成 2020-04-01
助っ人募集! グリフォンコンテスト! (ショート)
はまなたくみ GM
「クゥー!」  フトゥールム・スクエア第四校舎のわきには、厩舎が建っている。ここでは主にグリフォンが飼育され、部活の生徒たちがグリフォンの世話をしていた。  その厩舎の一角で、グリフォンの元気な鳴き声が、厩舎の中に響く。 「よしよし。いっぱい食べろよ」  ルネサンスの少女、【リサ・ストーンズ】が餌皿に飼料を入れる。真っ先に駆け寄ってきたのは体の白いグリフォンだ。彼がおいしそうに食べだしたのを見て、他の2頭も寄ってくる。 「クゥー!」  最初に食べていたグリフォン……【シロ】がほかの2頭を威嚇する。手足だけが白いので【クツシタ】と呼ばれている体の小さいグリフォンはパッと飛びすさった。だが、餌皿に体が当たってしまい餌がこぼれる。 「クゥー」  それを見逃さず、【ブチコ】と呼ばれているぶち模様のグリフォンがこぼれた餌をおいしそうに食べ始めた。 「こらこら、いっぱいあるんだからケンカせず仲良く食べろよ」  リサが苦笑いしながら別の餌皿を差し出す。グリフォンたちが美味しそうに食べだしたのを確認して、目を細める。 「しっかし、困ったことになったなあ……」  リサは頭をかきながらぼやいた。視線の先には2名の男女。男のほうは右足を、女のほうは左足をギプスで固め、包帯でぐるぐる巻きにしていた。 「まさか二人とも転んで足を折っちゃうとはね……」  ヒューマンの少女、【コーナ・トーデン】はため息をついた。髪の短い、いかにも活発そうな少女だ。 「どうしよう……俺たち、このままじゃ今年のグリフォンコンテストに参加できないぞ」  同じくヒューマンの少年、【オース・ケイン】も肩を落とす。こちらは眼鏡をかけ、温和な表情の少年だ。以上の3名が、『グリフォン愛好会』のメンバーだった。 「そうだよなあ……オレだけじゃあ、コンテストには参加できないしな……」  そこまで言ったところで、リサは名案を思いついたかのようにポンと手をたたいた。 「そうだ、あいつらに頼んでみるとするか!」 「あいつら?」  オースとコーナはそろって首を傾げた。 「グリフォンコンテスト?」  次の日の放課後。教室に集められた生徒たちは、リサが発した単語に首を傾げた。 「そうそう。みんなで育てたグリフォンを自慢するお祭りなんだぜ!」  リサが大雑把にまとめる。 「いや、それじゃ何もわからないだろ」  オースがツッコミを入れ、説明を引き取った。 「グリフォンコンテストは2つの部門があるんだ。まずはグリフォンと一緒に歩いて、美しさやどれだけ人になついてるかを競う。今年は俺がグリフォンと一緒に歩くつもりだったんだけど、この足じゃ無理だから……みんなに頼みたいんだ。動物が好きだって気持ちがあれば、きっとグリフォンも応えてくれると思うんだ」 「その後、みんなでグリフォンに乗って速さを競うの」  続いてコーナが話し出す。 「うちのグリフォンは人懐っこいから、初めて会う人でもちゃんと頑張って飛んでくれると思うんだ。私もグリフォンと一緒に飛びたかったんだけど、しょうがないよね……」  生徒の一人が質問する。その2つの部門とも、リサが出るわけにはいかないのか? 「このコンテストはグリフォンを連れて歩く人とレースに参加する人は別々の人でないといけない、って決まりがあるんだ」  オースがその疑問に対して答えた。  「だからみんなに手伝ってもらおうってワケさ。なあ、手伝ってくれないか?」  リサは両手を合わせて頭を下げた。コーナとオースも頭を下げる。さて、それにたいして生徒たちは……。
参加人数
5 / 8 名
公開 2020-05-03
完成 2020-06-02
行方不明の旅人を見つけ出せ! (ショート)
はまなたくみ GM
●  川のほとりに栄える町、シュターニャ。西大陸に向かう旅人たちは、この町で傭兵なり観光案内人を雇うのが一般的だ。  その観光組合『アイネ・フォーリチェ』での出来事。 「もうちょっと安くならないか?」  旅人の言葉に、組合の代表者【マチルダ・アベーユ】は顔をしかめた。  無理な要求をしてくる客は多い。特に多いのが値段交渉だ。当然旅人の側にも事情があるのだろうが、安全な旅を保証するにはどうしてもある程度の費用がかかってしまう。 「お客様、このお値段より安くはなりません」  ゆえにマチルダは旅人を説得にかかる。旅人の安全のためにも、譲るわけにはいかない一線がある。 「信頼のおける案内人と傭兵をつけると、このお値段になってしまいます。お客様の安全のためにも……」 「じゃあいい! もうあんたには頼まない!」  旅人はみなまで聞かず、怒鳴るとくるりと向きを変えて出て行ってしまった。それを見送ったマチルダは、ふうと一つため息をつく。 「大変だな、案内業というのも」  入れ替わりにすらりとした体型の女性が入ってきて、マチルダに声をかけた。傭兵組合の長、【ニキータ・キャンベル】だ。 「見ていたの?」 「いや、外まで声が聞こえていただけだ。それと出ていくときの不機嫌な態度で大方の事情はわかるというものだよ」 「まあ、よくあることよ。気にしないわ」  マチルダは手際よくお茶の用意をする。ニキータと自らの前に新たなお茶を出し、一口すすってから遠い目をした。 「……あの人、無茶しないといいけれど」  その後、風のうわさで旅人が独自に傭兵を雇い、西へ向かったという話をマチルダは耳にした。  そして、彼は戻ってこなかった。 ●  一週間後。  学園を訪れたマチルダとニキータは、学園生たちに依頼を出した。 「人を探してほしいの」  簡潔に言い切ると、マチルダは生徒たちを見回す。ひと呼吸置いて詳しい話を始める。 「一週間ほど前に、うちに来た旅人さんが行方不明になったの。皆にはその旅人さんを探してほしいのよ」  観光組合がそこまでする必要があるのだろうか? そんな一部の生徒の疑問を読み取ってか、マチルダが言葉をつなぐ。 「本来、うちを通さずに旅に出た人を探す義務なんてないのだけれど……なんとなく、寝覚めが悪いじゃない?」 「マチルダの話からすると、旅人は西へと向かったようだ」  ニキータが話をひきとり、シュターニャ地方の地図を取り出して説明を始める。 「彼らが向かった道中には、リザードマンの縄張りがある」  そう言ってニキータは地図の一点を指さす。道中には小高い丘がある。この近くにリザードマンの縄張りがあるのだろう。 「彼らはリザードマンの一団に襲われた可能性がある。十分に注意して捜索を行ってほしい」
参加人数
7 / 8 名
公開 2020-08-01
完成 2020-09-13

リンク


サンプル


「おっひる、おっひるー!」
 フトゥールム・スクエアに午前の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。【コリーン・デイビー】はそのチャイムとほぼ同時に教室を飛び出す。背後から教師の怒鳴り声が聞こえてくる。
「こら、コリーン! 廊下を走るな!」
 だが、コリーンは気にしない。
(だって、早く行かないと売り切れちゃうんだもん!)
 購買部で売っている1日限定10個の特製カレーパン。カリッと揚げられたアッツアツのパン生地の中からとろりとあふれ出してくる辛さ控えめ、そして肉のうまみが詰まったカレールゥ。想像しただけでよだれが止まらなくなる逸品だ。
「まだ残ってるかなー? 残ってるといいなー!」
 じゅるり、とよだれを飲み込んで、コリーンは購買部へ急ぐのだった。

 お昼時の購買部は大混雑だった。どこへ行っても人、人、人で前に進むのも一苦労だ。コリーンもその中をかき分けかき分け、前へと進む。
 お目当てのカレーパンはなんとか一つ残っていた。
「やったあ!」
 喜び勇んで袋をつかもうとする……と、同時に手が伸びてきて袋の逆側の端をつかんだ。
「あ」
「あ」
 お互いに袋をつかんだまま、顔を見合わせた。
 相手はルネサンスの少女だった。ふさふさとした毛に包まれた三角の耳がぴこぴこ揺れる。……オオカミか犬のルネサンス、だろうか?
 先に動いたのは相手のほうだった。掴んだ手を放そうとせず、コリーンに向かって激しい言葉を叩きつける。
「このカレーパンはオレが先に見つけたんだから、オレのだぞ! 手を放せ!」
「そんなことないよ! 私が先に見つけたんだもん!」
 コリーンも負けじと言い返す。相手の態度にムッときた、というのもあるが、それ以上に……
(せっかく手に入れたカレーパン、そう簡単に諦められないよ!)
「あ、あの……」
 その時、小さな声がかけられた。二人は揃って振り向く。
「二人とも、そう興奮しないで……リサちゃん、落ち着こうよ」
 声の主はヒューマンの少女だった。気が小さいのか、おどおどと落ち着かない様子だ。
「けどなジェシー、これはオレが先に見つけたカレーパンなんだぜ。それをこいつが……」
「そんなことないよ! 私が先に見つけたカレーパンなんだから!」
 同時に声を浴びせられて、ジェシーと呼ばれた少女は目を白黒させる。
「で、でも……」
「先に見つけたほうにゆずる、それが当然だよなあ!?」
「私が先に見つけたんだから、そっちが諦めるのが当たり前じゃない?」
「ちょっと落ち着いてよ!」
 ジェシーが大声を出した。予想外のことに、びっくりしてカレーパンを離す二人。
「お、ラッキー」
 別の生徒がそのカレーパンをすばやく手に取って、そのまま人込みへと消えて行った。
「あ」
「あ」
「あ」
 残されたのは3人の少女だけだった。

 暖かい日差しの差し込む中庭のベンチ。そこで3人の少女が、昼食をとっていた。
「さっきはごめんね、ひどいこと言っちゃって……」
 コリーンは素直にあやまって、ホットドッグを一口かじる。
「なーに気にすんな! オレだって熱くなっちまったからな、お互い様だぜ!」
 ルネサンスの少女は豪快に笑って牛乳をゴクゴクと音を鳴らして飲んだ。 
「もう、リサちゃん。リサちゃんもちゃんと謝って、ね?」
 ヒューマンの少女は食べていたあんパンをきちんと飲み込んでから、リサと呼ばれた少女を叱る。
「ああ、オレも悪かったな。すまん!」
 リサはバッと頭を下げて、それからニカッと笑った。
「そーいや自己紹介がまだだったな! オレはリサ・ストーンズだ! よろしくな!」
「あ、わたしはジェシー・エリスです……よろしくお願いします……」
「私はコリーン・デイビーだよ。よろしくね、二人とも!」
 リサの自己紹介に続けて、ジェシーとコリーンも名乗る。
 こうして、3人の勇者の卵は出会ったのだった。