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あいきとうか GM 

はじめまして、あるいはお久しぶりです。あいきとうかと申します。

シリアスや戦闘系より、ほのぼのしていたりロマンスっぽかったりする課題を提示させていただくことが多いかと思います。

のんびりまったりとお付き合いください。

アドリブが多めになることもありますので、苦手な方はその旨をプラン内にご記載ください。

それでは、楽しい学園生活をお過ごしください!

担当NPC


メッセージ


作品一覧


秘密の部屋で鍋パーティ! (ショート)
あいきとうか GM
 魔術学園フトゥールム・スクエアにはいくつかのきまりがある。  校則と呼ばれるそれのひとつが、夜間の活動禁止だ。つまり、学生は夜になったら寮内でおとなしくしていなさい、ということである。  特別な理由がない限り順守されるべきその掟を、密かかつ大胆に破る五人組の姿があった。 「人影、なし!」 「よーし、走れ!」 「どこだっけー!」 「第九校舎! 二階! あそこの部屋、一室あいてんだよ!」 「やったね!」  小声をかわしながら、ばたばたと五人の学生が走る。男性三名、女性二名だった。  全員、魔術学園に通い始めて二年目の少年少女だ。それぞれ、大量の荷物を体に括りつけたり抱えたりしている。  息を切らしながら第九校舎の二階に駆けこむ。鍵には事前に細工を施してあった。  巨大な鍋を背中にくくりつけた、リーダー格の少年が開錠し、中に入る。  カーテンがしっかり閉まっていることを確認して、最年少の少女は杖の先に最小限の光をともした。外から知られないようにするためだ。 「組み立てるぞ。まずさり気なく置いといたテーブルに、布団をかぶせて」 「はいよ」  水鳥の羽がつめこまれた布団は二枚、縫いあわせてある。まるで巨人用の大布団だ。  それをテーブルにかける。四方の端が床につくが、これでいい。 「テーブルの裏側にこれを貼って、発動」  発熱の魔法を発動させるための陣を描いた紙に、指を鳴らして合図を送る。  温度は高くないが、布団が被さっているため内部の熱は保たれる。 「んで、布団の上に板を載せてー、コタツ!」 「これがコタツ!」 「まだ終わりじゃねぇぞ。コタツの上にこれ置いてー、発動!」  天板の裏に貼りつけたものを板にも置く。さらに鍋を載せる。 「これをもう一セット」 「ういっす!」 「鍋に出汁と食材ぶちこんでー。あ、そっち魚よろしく」 「はいはい」 「十分煮えたら、肉鍋と魚鍋!」 「いえーい!」  ぱん、とそれぞれがハイタッチ。  侵入者たちは実に楽しく、静かに、迅速に行動していた。 「これ、喜んでもらえるかしらね」 「さぁなぁ。そもそも見つけてもらえるかな」 「一応、張り紙しておくけど」 「あんまり目立つところに置くなよ、先生に見つかったら計画失敗なんだから」 「分かってるよ、まっかせて」 「でもさ」  腕を組んだリーダー格の少年が、部屋を見回す。  暗いこの部屋が射しこむ朝日で明るくなるころ、学生たちが集まって、鍋を囲んで談笑する姿を思い描く。 「いいじゃんね」 「ね」 「去年を思い出すよね」  ふふ、と最年長の少女が笑った。  この五人は友だち作りが苦手だった五人だ。どうにもなじめない学園生活を一か月送ったころ、張り紙を見つけた。  第九校舎で鍋パーティ、という張り紙を。  引っ張られるように指定されていた部屋に入り、鍋を囲んで、気がつけば仲良くなっていたのがこの五人なのだ。 「学園生活たのしー! って思ってもらえたらいいよね」 「まずは友だち作りから、ね」 「椅子を八人分しか用意できなかったのが残念だけどな」 「この部屋、思ったより狭いよね」  去年の鍋パーティの主催、もとい主犯を彼らは知らない。  ただ、来年は自分たちがやる、と思い続けて、今日、決行することにした。 「怒られるかなぁ、あたしたち」 「怒られるだろ。先輩たちもきっと怒られた」 「じゃー、ま、いっか」 「よし、鍋が煮えたら隠れるぞ。たまに様子見ないとな」  食材が煮えすぎていないかとか。出汁が減りすぎていないかとか。  確認することは色々ある。 「あたしたち、天井で見てるね」 「じゃ、俺たち食材あさってくるわ。ついでに紙貼ってくる」 「よろしくー」  天井板を外し、二階と三階の間の空間に二人の少女が隠れる。  三人の少年は部屋の外に向かった。  朝を迎えた魔術学園のエントランス。  学生や職員たちがまばらに行きかうその場所の、片隅に。  一枚の紙がこっそりと貼りつけられていた。  鍋パーティ開催中。肉魚野菜キノコ色々あります。  第九校舎二階、階段右手二番目の部屋。はらぺこ集まれ!  学園生活二年目の私たちより。
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-01-29
完成 2019-02-15
嘘か真か (ショート)
あいきとうか GM
「おはようございます、皆様。さっそくですが、ウソドリをご存知ですか?」  廊下にいた生徒たちに声をかけ、ひとつの教室に集めた【テス・ルベラミエ】は教壇に立って、笑顔で一同を見回す。  ひとりがすっと手を挙げた。 「えっと、確かとても珍しい魔物、だったような……?」 「はい。個体数は少なく、目撃例もそれに比例して多くはありません。翡翠色の体に深紅の瞳、大きさはスズメほどで尾が長い、というのが特徴ですわ」  それが、とテスは続ける。 「学園内で発見されました」 「えっ」 「今朝、メメル学園長がお散歩をしていらっしゃった際に見かけたそうですわ。場所は『リリー・ミーツ・ローズ』。低木で身を休めていた、とのことです」 「もうどこかに行っているのでは?」 「その可能性も考慮し、監視用の結界もメメル学園長が用意してくださいましたわ。現在、その領域から逃亡したとの報せはありません」  つまり、ウソドリはまだそこにいる。  魔物が驚いて飛び去ってしまわないよう、捕獲のときまでほとんどの学生は立ち入りを禁止されている状態だ。 「あの、私たちも鳥を捕まえるプロとかじゃないんですけど……」  おずおずと女子生徒が先輩であるテスに意見を述べる。  委細承知というように、テスは頷いた。 「繰り返しますが、ウソドリは珍しい魔物ですわ。つまり、学園としてはなんとしても捕獲し、研究したいと思っております」  そこは理解できると、学生たちは戸惑いを顔に浮かべながらも頷く。 「では誰でも捕らえられるかといえば、そうではありません。ウソドリは、皆様がウソにしたいと思うことを、幻覚として見せるのです」 「ウソに、したいこと……?」 「つらい過去、悲しい出来事、現在、未来。起こるかもしれない最悪の事態、信じたくないこと――すなわち、ウソにしたいこと。ウソドリはそれを見せ、ウソにしたいと願ったなら、本当に『ウソ』にしてしまう、と言われていますわ」  幻覚を見せる際、ウソドリは対象の魔力を特殊な方法で吸収し、使用するらしい。  それだけでもいい気分ではないのだが、挙句『ウソにしたいことをわざわざ見せられる』のだ。  それを知った学生たちは、揃って捕獲役に就くことを嫌がった。  かくいうテスも例外ではない。見たくないものを見せられることは、明らかなのだから。 「勇気ある皆様にお願いいたします。どうか、ウソドリを捕まえてくださいませ」  深々とテスは頭を下げた。
参加人数
4 / 8 名
公開 2020-01-10
完成 2020-01-26
海蝕洞窟に眠るのは (ショート)
あいきとうか GM
 海洋魔物学の授業の終わり際、先生のひとりである【ナイア・ライアー】が教科書を閉じて言った。 「さて、君たちは『アルチェ』に行ったことはあるかな?」  夏にたっぷり遊びに行った生徒たちや、その他の理由で訪れたことのある生徒たちは頷き、まだ行ったことがない生徒たちは首を横に振る。  それぞれの反応をざっと見て、ナイアは深く笑んだ。 「実はそこで、面白いものが見つかってね」  すいすいとナイアは黒板に絵を描いていく。  遊泳が許された浜辺から少し離れた崖。波打ち際のあたりに、赤い丸を記した。 「海蝕洞窟、という呼ばれ方もするらしい。長い年月をかけ、波が崖肌を削ってできたそうだよ。数日前に見つかった海蝕洞窟は、引き潮の間の一時間しか姿を現さない」 「一時間経つと、海の中に隠れてしまう、ということですか?」 「そうだよ。魔法を使えばその状況でも調査は可能だけどね。でもまぁ、面白いだろう?」  たった一時間だけ自由に出入りできる洞窟。  中は暗く、潮の匂いがして、どのような魔物がいるのか、どのような宝が眠っているのかも、まだ分からない。 「とはいえ、危ない魔物はいないんじゃないかな、というのがメメたん先生のご意見でね。新入生である君たちが行ってもいい、との許可が下りたんだ」  不安そうに顔を見あわせた生徒たちがいた。  目を輝かせ、今にも飛び出していきそうな生徒もいた。  彼ら彼女ら全員の表情を、ナイアは穏やかに確認する。 「恐らく出てくるのは下級の魔物だよ。見つかるのはがらくたか、金銀財宝か。いずれにしてもレポートとして提出してね。では明日、午後四時に校門前に集合すること」  タイミングよく授業終了を告げるチャイムが鳴る。  ばいばい、と手を振って出て行こうとするナイアを、ひとりの生徒が慌てて呼びとめた。 「えっと、野外授業、ってことですか?」 「そうだよ。おやつや飲み物が必要なら各自、持ってくること。戦闘の用意も整えておいた方がいいよ。他に必要なものがあれば持ってきていいよ。あと、特別なカンテラを貸してあげるから、欲しい人は今日中に申請してね」  少し考えてから、ナイアは笑顔でつけたす。 「ああ、僕は現場まで同行するけど、洞窟には一緒に入らないからね。溺死しそうになったら助けてあげるけど、気をつけてね」  恐ろしい単語に生徒たちの顔が固まる。  それを気にせず、今度こそナイアは教室から去った。
参加人数
7 / 8 名
公開 2019-10-26
完成 2019-11-13
【体験/新歓】フェスティバル・デイ・ビフォア (マルチ)
あいきとうか GM
●踊る会議と歓迎祭  歓迎祭を開こう、ということになった。  いつものように、魔法学園フトゥールム・スクエアの学園長、【メメ・メメル】の思い付きで。バァンと職員室の扉を開いて放たれた第一声で。 「やるゾ☆」  いつ?  とかなんとか色んな疑問がその場にいた教職員たちの間に広がったわけだけど、十分後には生徒会にも召集がかかり、空き教室のひとつに集合していた。  黒板には日程が書かれている。それぞれ言いたいこととか頭を抱えたいこととかはたくさんあったものの、仕方ないなぁ楽しそうだしなぁみたいな顔で座っていた。  教壇に立つのはメメルだ。黒板も彼女が書いているので、あちらこちらによく分からない落書きがカラーチョークで記されている。 「はい質問!」 「はいコルネたん!」  大好物の干しぶどうをつまみながら会議に参加していた【コルネ・ワルフルド】教諭が元気よく手を挙げる。同じくらいの勢いでメメルが発言を許可した。 「一期生と二期生に分ける理由ってなんですか! あと入学式もしてない気がするんですけどー!」 「いい質問だ~☆」  腕を組んでウムウムとメメルが頷いた。自然と大きなお胸が強調される。  この学園、入学願書を出せば四月でも十月でも入学できるし。  学年だけは修学の具合にあわせて存在しているけれども。 「ここ最近、妙に辛気臭いことが多かっただろ?」  ふとメメルの口調に真剣なものが混じる。その場にいた全員の背筋が反射的に伸びた。  過去と未来と現在の精霊たちのこと。  記憶を奪って回ったハロウィンの悪夢とも言える怪傑達。  その他にも、魔物の活性化を感じさせる事件が各地で起こっている。 「でもみんな、元気に頑張ってくれてるよな!」  明るい笑顔で言って、魔法学園の学園長は椅子の上に立った。  座面がぐるりと回りかけ、メメルの体が大きく傾く。とっさにコルネが支えた。 「あっぶなーい!」 「あはは! ありがとうコルネたん! えーと、なんの話だった?」 「危険がいっぱいでも、みんな頑張ってるって話だメェ……」  仮眠中だったところを叩き起こされて引きずられてきた【メッチェ・スピッティ】があくびをこぼす。 「そうだったそうだった。ほら、特に前にフォレスト爺たんと一緒にサプライズ歓迎パーチィをした生徒諸君は、一年経ってそれぞれいい感じに成長してる!」  各々が首肯した。  教職員にとっても生徒会の『先輩』たちにとっても、彼らの目を見張るほど素早い成長は、眩く、そして喜ばしいものだ。  思えばもう、あれから一年が経過している。  フォレスト事件の後に入学した生徒も多いが、いずれにしても時の流れは矢のように早い。 「それに四月だ! 春は入学の、そして始まりの季節だ!」  ばっと両手を広げたメメルの後ろ。  校庭には、薄紅色の花を枝が垂れるほど咲かせた桜木があった。  耳をすませば、校庭で遊ぶ生徒の声が微かに聞こえる。 「というわけで! その成長と努力と、これからの未来への希望をこめて、これまでの生徒たんたちを一期生。新しく入ってくる生徒たんたちを二期生と名づけたのだ!」  それは。  ひとつの時代の区切りであり、学園長としての決意でもあった。  新たな時代の幕が開く。  謎多き『偉大なる魔法使い』はそれを予感している。  ――それが決して、祝福に満ちた幸福で明輝な道程ではないと、悟りながら。  どうかその手で道を切り開き、世界を救い人々を守る『勇者』になってほしいと、願って。 「いわば! フトゥールム・スクエア第二章!」  一期生も二期生も、いつか希望の星になるように。  そのつもりがなくてもいいから。 「なによりお祭りしたくない? 春じゃん? したいしたい~☆」  ちょっといい感じになっていた雰囲気が、春風に吹き消されたように霧散した。急に緊張感がなくなる。  うんまぁそういうことだろうね、知ってた知ってた。  そんな空気になる教室で、椅子から飛び降りたメメルがパンッと手を叩く。 「ってことで! 頼んだよチミたち~!」  メメたんお腹空いたから食堂、と言い残してこの学園の最高責任者は軽快な足どりで出て行った。 「では会議を始めます」 「はーい」  残った教職員と生徒会の面々で、『メメル学園長の無理難題をどう消化するか会議』が始まる。 ●お祭りに必要なもの 「準備です」  端的に【テス・ルベラミエ】が言う。 「お祭りには準備が必要です。というわけで、思い思いの出し物のご用意をお願いします」  全校生徒がすし詰めになっている『ファンタ・ブルーム大講堂』に、拡声魔法を使ったテスの声が響いた。  彼女は現在、生徒会に所属する先輩としてここに立っている。 「どのあたりでどのような出し物ができるのかについては、掲示板に貼り出しておきます。もちろん強制ではありません。出店ではなくお客様としてお祭りを見て回りたい皆様は、それで構いません」  普段より幾分か硬い、余所行きの口調だ。手元のカンニングペーパーはほとんど見ていない。 「もちろん、二期生であっても出店できないという規制は設けません」  ただし、と続ける。 「皆様は入学願書を提出し、学園生となった瞬間から『ゆうしゃのたまご』として日々の精進を求められているはずです。それだけはお忘れなきように」  静まった講堂を見回し、テスは小さく笑った。 「後は各々、楽しいお祭りを開催できるよう、手を尽くしてください。……そういえば、二期生の方々の前に私がこうして出るのは、初めてでしたね」  生徒会広域制圧担当としてではなく。  ドラゴニアの先輩は、ひとりの生徒としてことさらに声を張った。 「ようこそ、魔法学園フトゥールム・スクエアへ。皆様のご入学を歓迎いたしますわ」
参加人数
16 / 16 名
公開 2020-04-11
完成 2020-05-10

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