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白兎 GM 

 閲覧ありがとうございます。 
 2019/7/11にてGMの末席に加えて頂きました、白兎(シロウサギ)と申します。
 
 みなさまの冒険を彩るお手伝いをさせて頂けると、とても嬉しいです。
 ご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。
 バストアップ/ICは渡邊あやなIL様に描いて頂きました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚ありがとうございます。
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 作品傾向は現在模索中ですが、色々な雰囲気の物語をお届けできたらなと考えております。
 参加・不参加問わず、もしも気に入ったものがありましたらFLにて教えていただけると、大変助かります。
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 アドリブについて。参加人数と最大文字数に比例して増減しますが、かなり多いほうかと思います。
 プランに書かれていること以外の描写をしてほしくない場合は、プランの最後に×と入れて頂ければ、そのように描写致します。
 特に現状打破として使えそうなパッシブスキルをお持ちの場合、描写に乗る確率も高くなります。
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■現在、課題や授業の案内として予定しているNPC(公式ではありません)
◆先生------------------------------------------------
【シトリ・イエライ】(公認NPC)
(http://frontierf.com/5th/mypage/mypage_top.cgi?act=room&pc_seq=709&view=other)
 泡麗族の導師。賢者・導師コースを担当する教師の一人。男。
 全コース向けの上級魔法に関する授業も受け持っている。

【胡蝶蘭・夕霧】(こちょうらん・ゆうぎり)
 ルネサンスの紅裙(こうくん)。黒幕・暗躍コースを担当する教師の一人。女。
 狐のルネサンスで、現在は『幻灯』という國の国境警備施設にて、学園に入学するために外からやってきた人たちのサポートをしていることが多い。
◆先輩------------------------------------------------
▼初登場:「白銀のマリオネッタ」
【ベリル・ドロン】
 魔生族の武闘家。シトリの護衛であり、補佐役でもある。カルマの少女。
 武神・無双コースの先輩にあたる。
◆一期生------------------------------------------------
▼メイン登場:「きみの噂も、七十五日。」
【ラスク・シュトラール】
 王様・貴族コースに所属するアークライトの女性。
 白馬の王子様に憧れる、とある貴族のご令嬢。
  
【東雲・陽】
 勇者・英雄コースに所属するルネサンスの青年(レッサーパンダ)。
 目つきの悪いチャラ男だが基本的に良い奴。伝説の勇者に憧れている。
   
【サフィール・エルネスト】
 教祖・聖職コースに所属するエリアルの青年(エルフタイプ)。
 3人組で最も常識的な苦労性。実は中二的なものに心惹かれる。
◆その他------------------------------------------------
▼初登場:「恋するライオン」
【ステラ・フルール】
 子どもの頃、レオンを助けようとして馬車に巻き込まれ、両脚の力と視力を失った少女。
 いわゆる貴族の娘ではあるが、高慢さなどはなく、優しい気遣いのできる女の子。
 2020年の春に、2期生として芸能・芸術コースに入学した。
 盲目で両脚が不自由なため、常時、魔法式の車椅子に乗っている。ラスクとは相部屋の仲。

【レオン】
 ステラに飼われている茶トラの猫……と見せかけているケットシー。
 可愛がられているらしくふくふくで丸い。のんびり屋でちょっと間が抜けている。
 ステラが大好きで、密やかな恋心を胸にしまっている。
 2020年の春から、シトリの使い魔として、学園内にて行動をしている。

▼初登場:「泡沫のJune Bride」
【シオン・ベネデット】(紫苑・ベネデット)
 とある村にて医師を務めている、ドラゴニアの男。
 ベネデットは彼の愛した女性の姓であり、その姿は彼が大切にしている絵画の中で確認できる。

担当NPC


《学園教師》シトリ・イエライ
  Lv86 / Rank 1
「まずは自己紹介を。私の名前はシトリ・イエライ。  見て分かり辛いかもしれませんが、泡麗族です。  担当は賢者・導師コース、普段は上級魔法に関する授業を  受け持っております」 ----- 【Cytli=Ierai】 ・178cm ・金長髪/赤目/眼鏡(ハーフリム) ・いかにも魔術師らしいローブ姿に杖(片手/両手)が基本装備。 ・基本スタイルは魔法による遠隔アタッカー。  教師として生徒達を守れるよう、万が一に備え  剣や盾の扱い、回復系の魔法も心得てはいる。  (得意だとは言ってない) ・実は眼鏡がなくても見える。ただのかっこつけである。 ----- 光を通すような薄い金の髪に、 鮮やかなルビィ・レッドの双眸を持つ、年齢不詳の優男。 性格は至って温厚であり、喜怒哀楽の差が あまり表に現れない。 そのため『優しい』と称されることが多いが、 本人は穏やかに首を振る。 ----- あまり職員室には顔を出していず、宛がわれた執務室にて 本に囲まれた悠々自適な生活を過ごしている。 ある日ふらりと拾ってきた【ベリル・ドロン】という カルマの少女の世話(後見人)をしてはいるが、 基本的な生活力が皆無なため、ベリルにお世話されていると いったほうが正しかったりもする。 ----- ■公認NPC □担当GM:白兎 規約により、以下のことはお誘い頂いてもできません。 予めご了承ください(•ㅅ•)ペコリ ・フレンド申請(受けることは可能です) ・公式クラブ以外への参加/発言

メッセージ


■2020/5/11
すっかりご無沙汰しております(•ㅅ•)ペコリ
現在諸事情でGM業は全面的におやすみ中なのですが、
シトリが全校集会に出演していると聞いてピョコリとしてみました+。:.゚(•ㅅ•):.。+
どのようなリザルトになるのか、私自身も楽しみにしておりますね。
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■2020/2/22
配信にて紹介して頂きましたが、『世界地図』の頁にて記されている『幻灯』の原案、
及びそれに関する設定などは、白兎のほうで考案させて頂きました(•ㅅ•)
こちらは東方に纏わるPC様が今までを想像しやすいよう考えさせて頂いたものです。
皆様の更なる楽しみになりましたら幸いです。
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■2020/11/27
「【想刻】慟哭の残響」の返却を確認致しました。
皆さんの行動や思い、言葉により、①②の全てが満たされた形となります。
これ以上私が何かを語る必要はございません。
立ち上がった『勇者になりたい少年』と共に、続きの物語へとお進みくださいませ。
ご参加ありがとうございました。

それにしても、【想刻】関連の作業で動いていた月日を考えると、色々と感慨深いものがありますね(•ㅅ•)
あまり自分が関わったものについて語るつもりはないのですが、いつか気が向いたら、どこかで。
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■2020/11/8
『【想刻】慟哭の残響』の公開を確認致しました。
こちらは来るべき決戦に備えた幕間(まくあい)ですがこのお話からも参加可能であり、未来を探すようなお話です。
参加しやすいマルチであり、皆さんの行動により決戦時の状況も変わりますので皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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■2020/10/28
未だバタついてはおりますが、今年もシチュエーションノベルに参加させて頂きました(•ㅅ•)ペコリ
ご縁がありましたら宜しくお願い致します。
また、私が担当している範囲内でしたら、シトリ含む公認・個人NPCを出すことは可能です。
皆さんの思い出に必要とあらば、お声がけくださいね。
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■2020/10/23
「【想刻】忘却の勇戦」返却を確認致しました。
結果はリザルトの通りですが、皆さんの活躍により幾つかの道が開けた形となりました。
ですが【想刻】の物語はまだ終わりではありません。
彼等と共に、お子様自身にも何か思うものが残れば幸いでございます。
ご参加ありがとうございました。
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■2020/10/13
こちらでの顔出しが遅くなりましたが、『【想刻】忘却の勇戦』のプランをお預かり致しました。
皆様の最善を尽くしたプランを誠に有難うございます。
返却まで今しばらく、お待ちくださいね。
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■2020/10/06
遅ればせながら、「【想刻】忘却の勇戦」の公開を確認致しました。
11月で2周年ということで、今回は『難しい』戦闘エピソードをご用意致しました。
格1~4の敵が揃っており、戦闘以外でのアシストも可能ですので、自分なりに動いて頂ければと思います。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。

また、前回までのあらすじはプロローグを読めばわかるよう調整させて頂きましたので、
【想刻】エピソードが初めての方も、追いかけられている方も
歓迎致します。
戦闘が苦手な方はBを選ぶことで必要戦闘時間の短縮が狙えますので、ご利用くださいね
必要であれば必殺技のご利用もどうぞ
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■2020/9/26
忙しさに埋まっている間に、ひと月もの時間が流れておりました(´・ω・`)
全く更新できずにすみません。
少々駆け足ではありますが、その間の近況をいくつか……。

9月は新作エピソードではなく、『【体験/新歓】フェスティバル・オブ・チキン』の返却を担当しておりました。
代筆とありますが、ozGMが途中まで執筆されていたものを加筆調整したものとなりますので、合作に近いでしょうか。
お待ち頂いた皆様に、楽しい思い出となりましたら幸いでございます

また、忙しさも晴れてはいないので、ゆうがくさんも不定期参加になるかもしれませんが、
できるだけ皆様の冒険をシトリとこれからも見守っていけたらなと思っています。
シチュノベには参加したいなと思っているので、ご縁がありましたら。皆様の思い出をまたお聞かせ頂けると嬉しいです+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚

そういえば、メモリアルピンナップのお礼も、だいぶ遅くなってしまいましたね、申し訳ありません。
シトリとのピンナップを誠に有難うございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
MILさんの繊細なイラストが、柔らかな思い出をさらに
美しく彩ってくださり、私もシトリも嬉しい限りです。


それと、少しだけゆとりができたので、遅くなりましたが届いているFLを確認させて頂きました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
ひとつひとつお返事することは立場的にできないのですが。
文字を綴る側として、皆様の「たのしい」が何よりの喜びであり、大切な思い出です。
ご参加ありがとうございました。
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■2020/8/29
遅くなりましたが、『【想刻】空蝉の随に』の返却を確認致しました。
作業自体は事前に全て終了していたのですが、トラブル? で公開が遅れていたようですね。
無事届いたようで安心致しました。
少しでも楽しんで頂けたのなら、幸いでございます。
ご参加有難うございました。

現在かなり予定が詰まっているので、少々埋もれ気味ですが、体調的なものではないのでご安心ください(•ㅅ•)φ三φ
なので、9月も一応出したいなと思ってはいるのですが出せたらいいなくらいの忙しさになっているので。
希望的観測として捉えて頂ければ幸いです(•ㅅ•)φ三φ
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■2020/8/17
『【想刻】空蝉の随に』、本日出発日となりました。
皆様の遊び心やカズラ君、フィーカ君への思いの詰まったプラン、確かにお預かりいたしました(•ㅅ•)ペコリ
これより作業に入りますので、返却まで今しばらくお待ちくださいね。
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■2020/8/16
「【体験/水着】流星のメモリア」の返却を確認致しました。
この物語が夏の楽しい思い出に、そして皆様の交流の一端になれば幸いです。
また本エピソードは【水着】タグのエピソードですので、【水着】エピイベ&メモピンCPの対象となっております。
宜しければどうぞご利用くださいね。

発注の受付は8月23日23:59まで、プレゼントは「たんい」だそうです。
対象はメモリアルピンナップ/NPCメモリアルピンナップ、
本エピソードが思い出作りのお手伝いになれたら嬉しいです。
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■2020/8/10
『【想刻】空蝉の随に』、本日より通常参加受付でしたが、ご連絡する前に全枠埋まっておりました(•ㅅ•)!
ご予約やご参加を有難うございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
幻灯を楽しむ、想刻のエピソードを追うなど、ご自由にお楽しみくださいね。

幻灯の設定については書かれていない部分ももちろんございますので、歩き方次第では新しい情報も出て来るかなと思います。
(なので幻灯という舞台は、これからも出す予定です)
想刻側もまた同じく、二人を追いかけることで更に物語が深まるかなと。
お好きなほうをお選びくださいね。
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■2020/8/7
「【想刻】空蝉の随に」の公開を確認致しました。
同行NPC達と行動することもできますし、東方の文化に溢れた『幻灯』にてオリエンタルな空気を楽しむことも可能です。
エイーア大陸の入り口として、東方出身のかたは訪れたことがあるのかもしれませんね。
皆様のご参加をお待ちしております。

作業に埋もれている間に、時が経っておりましたね(•ㅅ•)
抱えていた作業の1つに幻灯の諸々もございまして、こうして皆様の元にお届けできたのが嬉しい限りです。
エイーア大陸最東端は外の世界と繋がっております。
東方出身の方は、ルーツを考える材料としてお気軽にご利用くださいね
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■2020/7/10
『【体験/水着】流星のメモリア』、満員御礼となりました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚アリガトウゴザイマス
解説にもある通り、蛍か流星雨のみかの判定は、会議室にて振られたダイスの『合計値』ですので、プランを書く際にご参考くださいね。

また、「泡沫のJune bride」へのFLを確認致しました。
皆さんが尽力してくださったおかげで、この未来になったのだろうと思います。
彼等の想いを自分のことのように扱ってくださり、有難うございました
私の中にはBの場合も、この先の未来をもございますが。
続きはまた、機会があれば。

白兎が扱うNPC(個人/公認含む)には、物語に書かれていない部分の過去も、仮初の未来もございますが。
人生とは合縁奇縁、それらが表に出るかどうかもまた、皆様との物語の先にあるものだろうなと思います。
シトリ共々、仲良くして頂けると嬉しいです(•ㅅ•)ペコリ
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■2020/7/10
「【体験/水着】流星のメモリア」の公開を確認致しました。
僭越ながら、7月の体験エピソードを白兎が預かる事となりました(•ㅅ•)ペコリ
水着(浴衣)イベントも兼ねておりますので、お友達との思い出作り、夏のピンナップ作りなどに是非ご利用くださいね。

また、「泡沫のJunebride」へのFLを2件確認致しました。
内容的に、明るいばかりではなかっただろうと思います。
それでも、皆様のおかげで、二人は未来を得られました。
絵画はこれからも色褪せることなく、紫苑にあの日を思い出させることでしょう。
この度は、ご参加ありがとうございました。

余談ですが、白兎は明日の7/11をもって、ゆうがくさんでの活動が一年となります+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
その間にシチュノベ2本、エピソード13本を綴らせて頂きましたが、何か1つでも、心に足跡の残った物語があれば、書き手として嬉しい限りです。
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■2020/7/9
「泡沫のJune bride」、返却を確認致しました。
大変シリアスな内容でしたが、それでも彼等の人生に触れて頂き、誠に有難うございます。
私から、何かを語る必要はありませんね。
どうかこの時間が、皆様の、そしてお子様の胸に何がしかの足跡を残せたのなら、幸いでございます。
ご参加ありがとうございました。

また、遅ればせながら、「【新歓】幕間:君がための、プレリュード」へのFLを確認致しました。
いつもありがとうございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚とても嬉しいです。
私もシトりん先生も、これからの道行きを見守っております。
素敵な学園生活をお過ごしくださいね。

「【新歓】きみと僕らの即興曲」へのFLもありがとうございます。
こちらこそ、ご参加ありがとうございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
皆さんのプランで紡がれ行く物語、とても楽しみながら執筆させて頂きました。
機会があれば、またこういった舞台をご用意いたしますね。
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■2020/6/26
「仮初のjune bride」の返却を確認致しました(•ㅅ•)
恋とは何か、愛とは何か。
永久不変のテーマではありますが、少なくとも、
『きみ』に落ちた瞬間と、『恋』に落ちた瞬間は違うのだろうな、と思いながら筆を取らせて頂きました。
皆様に素敵な恋の花が咲きますように。
ご参加ありがとうございました。

また、『泡沫のJune bride』、現在通常参加期間中です。
相談して意見を纏める必要はなく、個人個人の選択をPC様と共に考えられるものとなっております。
パートナーがいらっしゃるかた、愛や別離について考えたい方、お気軽にご利用くださいね。

余談ですが、正当のない問いかけ程、選択する上では多いものではないかなと、白兎は思っております。
その場合、食い違う誰かの答えもまた間違いではなく。
それゆえに、自分の中にある『思い』を大切にしながら言葉を選ぶことが大事かなとも。
この課題が、そんなことを考えられる一端になれたら幸いです。
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■2020/6/19
「泡沫のJune bride」の公開を確認致しました。
ジューンブライドシリーズの悲恋版であり、シリアスエピソードとなります。
GMコメントにもありますが、無理に『方針を1つに纏める必要はございません』。
それぞれが抱いた思いや考えを大切に、自分なりの答えで動いて頂ければ幸いです。
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■2020/6/16
「白銀のマリオネッタ」に関するアイテムを2点、実装して頂きました(•ㅅ•)
咆哮に膝を付きながらも立ち向かい、見事狂爪を叩き折ったあの戦いから、もう半年程。
皆様の勇気になりますよう考えさせて頂きました。
冒険のお供にして頂けると幸いです。

また、こちらでのご連絡が遅くなりましたが、『仮初のJune bride』のプランをお預かりいたしました。
なるほど、なるほど……(•ㅅ•)φ三φフムフム?
皆様らしい恋物語を誠に有難うございます。
リザルト返却まで、今しばらくお待ちくださいませ。

また。ポストに届いていた
「【新歓】『私』から、『あなた』へ。」へのFLを確認致しました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
お声をありがとうございます、皆様のお声を直接聞く機会はあまりないので、とても嬉しいです。
PC様にもPL様にも、桜色の思い出が出来たのなら幸いでございます。
またお会いできる日を楽しみに。
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■2020/6/9
遅ればせながら「【新歓】:きみと僕らの即興曲」へのFLを2件確認致しました。
楽しんで頂けたようで私も嬉しく思いますが、こんなにも楽しいものになったのは、
ひとえに皆さんのプランのおかげです+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚アリガトウゴザイマス

また、本作を初めての授業に選んでいただき、誠に有難うございます。
嬉しいお言葉も沢山有難うございました、とても光栄です。
こちらこそ、またお会いできる日を楽しみにしております。
素敵な学園生活をお過ごしくださいね。
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■2020/6/6
「【新歓】きみと僕らの即興曲」のリザルト返却を確認致しました。
とても個性的なプランを有難うございました。
やはり最大の敵は文字数……(•ㅅ•)モットカキタカッタ……
マジック・オブ・ディライトもそろそろ終幕。
この劇が、皆様の楽しい思い出になりましたら嬉しい限りです。
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■2020/6/5
「仮初のJune bride」の公開を確認致しました。
風の噂で恋愛物エピソードの需要が高まっていると聞きましたので、6月はロマンスものをひとつ。
カルマの皆様や、『愛』のわからない境遇のかたにも楽しめるものをご用意いたしましたので、
学ぶ場としても、お気軽にご利用くださいね。

恋愛物ということもあり、ペアでの参加も可能ですし、
仮に抽選で離れ離れになった場合でも、お相手様イメージを希望することも出来ますので、そちらもお気軽に。
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■2020/05/27
日付を跨ぎましたので、『【新歓】きみと僕らの即興曲』出発致しました。
フムフム……ホウホウ……(•ㅅ•)φ三φ
これはなかなか……ジャンル:カオスというような劇になりそうですね……?
それでは開演です、リザルト返却まで今しばらくお待ちくださいね
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■2020/05/21
「【新歓】幕間:君がための、プレリュード」の返却を確認致しました。
大切な思い出をお預け頂き、誠に有難うございます。
今回もアドリブは多めになっておりますので、気になる点がございましたらお気軽にお問合せくださいね。
ご参加ありがとうございました。

また、「【新歓】きみと僕らの即興曲」の公開を確認致しました。
即興劇とありますが、手品にアイドルライブなど舞台上で出来ることなら自由ですし、裏方/観客席での出演も可能です。
こちらはマルチとなっており、二週間以内の新入生さんは無料で参加できますので、お気軽にご利用くださいね。
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■2020/5/11
「【新歓】『私』から、『あなた』へ」の返却を確認致しました。
皆様の思い、願い、祈りの籠ったタイムカプセルは確かに『彼女』がお預かり致しました。
どうか皆様のこれからの道行きが、幸い多き、宝石箱となりますように。
ご参加ありがとうございました。

また、「【新歓】幕間:君がための、プレリュード」のプランをお預かりいたしました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
皆様の大切な思い出を聞かせて頂き、有難うございます。
返却まで今しばらく、お待ちくださいね。
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■2020/5/1
こちらでのご連絡が遅くなってしまいましたが、「【新歓】『私』から『あなた』へ」出発致しました。
未来に、過去に。千差万別の思いがたくさんつまったタイムカプセル、確かにお預かりいたしました。
リザルト返却まで、今しばらくお待ちくださいね。
機会が巡れば、結びの物語も、いつか。

またstay homeということで、「【新歓】幕間:君がための、プレリュード」が本日より公開されております。
テーマは前奏曲、こちらは特に相談の要らないフリータイプのエピソードとなっておりますのでお気軽にご参加頂ければ幸いです。
皆様の始まりの物語、心よりお待ちしております。
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■2020/4/26
渡邊あやなIL様に、GM頁用のバストアップ&アイコンを描いて頂きました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
可愛らしく仕上げて頂き、とても嬉しいです。
大切に使わせて頂きますね。有難うございました。

全身図を頼むにはどうすれば、と見た瞬間お財布を開きかけました(できません)
とてもかわいい……大変ふわっとした内容でほぼほぼお任せだったので、
どんなものになるのかなとそわそわお待ちしておりましたが、こんなに可愛く……
この度はご制作をありがとうございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
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■2020/4/23
「七色戦隊、ニジカケ@レンジャー!」の返却を確認致しました。
戦闘に、お花見に。そして少しの昔話を添えて。
リアルではお花見のできない状況が続いておりますので、このお話が少しでも、皆様の思い出になりますと幸いです。
ご参加ありがとうございました。

また、続きまして、『【新歓】『私』から、『あなた』へ』の公開を確認致しました。
こちらはマルチとなっており、入学二週間未満の方なら予約参加も無料となるシナリオタイプです。
まだマルチに参加できていない二期生さんも多いかなとご用意させて頂きましたので、どうぞご利用くださいね。
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■2020/4/14
こちらでのご連絡が遅くなってしまいましたが、「七色戦隊@ニジカケレンジャー!」のプランをお預かりいたしました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
戦闘に、お花見にと、皆様らしいプランを誠に有難うございます。
リザルト返却まで、今しばらくお待ちくださいね。
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■2020/4/9
「七色戦隊@ニジカケレンジャー!」
満員御礼となりました、ご参加有難うございます。
配信で敵が増える? とのお話があったようですが状況などは全てプロローグと解説にある通りです。
ニジカケ達の情報は外敵一覧にもございますので、残りの2色が気になる方はこちらもどうぞ(•ㅅ•)

また、解説にもありますが、お花見のみの参加も歓迎致しますので、無理に全員で挑む必要もございません(•ㅅ•)
その他、この場で起きていることのヒントは全てプロローグ内にございますので、お話合いの上、皆様らしいプランを作成頂ければ幸いです。
出発日を楽しみにしておりますね。
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■2020/4/6
遅ればせながら「七色戦隊、ニジカケ@レンジャー!」の公開を確認致しました(•ㅅ•)
せっかくの春ですから、お花見などはいかがでしょう?
戦闘エピソードの括りではありますが、お花見パートだけを選ぶことも可能です。
PC様やPL様のやりたいことにあわせて、パートをお選びくださいね。
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■2020/3/26
増えて来たので、↑部のNPC項目を加筆致しました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
三種三様な子達ですが、これからも宜しくお願い致します(•ㅅ•)ペコリ
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■2020/3/18
「【心愛】恋するライオン」の公開を確認致しました(•ㅅ•)
皆様,ご参加をありがとうございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
皆様のおかげで縁が繋がり、ステラとレオンの物語はこれからも広がりをみせることになりそうです。
二人がこれからどうなるかは、また別のお話にて……。

また、東雲陽たちや、シトリ&ベリルへのプレゼントもありがとうございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
陽はプランを頂いた日からテンションあげぽよフッフー↑
状態ですし、シトリとベリルは執務の間のブレイクタイムに美味しく頂いております。
素敵な思い出をありがとうございました。
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■2020/3/9
こちらでのご連絡が遅くなってしまいましたが、「【心愛】恋するライオン」、出発致しました。
皆様らしい素敵なプランをありがとうございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚

リザルト返却まで、今しばらくお待ちくださいね。
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■2020/3/2
「【心愛】恋するライオン」の公開を確認しました(•ㅅ•)
『心愛:Melty Love』イベントということで、白兎からはとあるケットシーの恋物語をお届けです。
A/B/Cと3ルートございますので、ご自分のPCらしい絵が描けるシーンをお好きにどうぞ。
皆様のご参加心よりお待ちしております.

また、「ゆうしゃのふゆやすみ。」のリザルトも返却されております。
大切な思い出を綴らせて頂き、有難うございました。
世界は流れゆくものですが、これはたった一つだけの『あなた』の物語。
ご参加ありがとうございました。
またお会いできると嬉しいです(•ㅅ•)
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■2020/2/18
「ゆうしゃのふゆやすみ」プラン、お預かり致しました。
皆様らしい冬休みの思い出をありがとうございます。
楽しく拝見させて頂きました。
リザルト返却まで、今しばらくお待ちくださいませ。
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■2020/2/12
最後の雑記からだいぶたっておりました(´・ω・`)スミマセン
忙しかったり、風邪だったりしておりまして、大人しく巣ごもり中です(•ㅅ•)φ三φ
「ゆうしゃのふゆやすみ」への予約や満員御礼、各エピへのFLなどありがとうございました。
寝込んでいる間に読ませて頂いたので、頑張って直さねば+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚と幸せな気持ちになりました。
反応できなくてすみませんが、リザルトにてお返しさえて頂きますね。

あ、ですがこれだけ。私の文章を気に入って頂き、とても嬉しかったです。
私も皆様のPC様が大好きですよ+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚ 
素敵な学園生活をお過ごしくださいね。
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■2020/2/4
遅ればせながら、「きみの噂も、七十五日。」の公開を確認致しました。
ご自分の、ご友人の噂はいかがだったでしょうか?
この世界で、確かにPC達が生きているのだなと感じて頂けたのなら、私も嬉しく思います。
新しい年はまだまだ始まったばかり、これからの皆さんがどのような活躍をされて行くのか、私も三人と一緒にわくわくと見守っておりますね。

また、シチュノベの公開も確認致しました(•ㅅ•)
大切な一幕を預からせて頂き誠にありがとうございます。
『在るようで無いのか、それとも、無いようで在るのか』
『空を見上げるということは、この足が大地に在ると知ること』
そんな思いを込めて、綴らせて頂きました。
どのような道行きを歩まれて行かれるのか、これからも見守らせて頂けると嬉しいです。

そしてそして、シトリ先生のルームボイスが納品されました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
間宮VA様、ありがとうございました。
シトリは穏やかな男ではありますが、「どちらにしょうかな」で決めた井戸に飛び込む所もあり、
優しいだけではない部分も感じられて嬉しかったです。
宜しければ、自己紹介頁のヘッダーにいるシトリをつついてみてくださいね。
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■2020/1/13
「きみの噂も、七十五日。」出発致しました。
フムフム……ホウホウ……(•ㅅ•)φ三φナルホドナルホド
皆様らしいプランを誠にありがとうございます。
三人がどのように皆様を語るのか、リザルト返却まで今しばらくお待ちくださいませ。
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■2020/1/5
新年、あけましておめでとうございます(•ㅅ•)ペコリ
昨年度は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚

さて、「きみの噂も、七十五日」公開されました。
1月ということで、私からは軽めなお話をひとつ。
皆様一人ひとりがこの世界の主人公ですが、「誰か」の目にどのように映っているのでしょう?
新入生さんにも考えやすい内容だと思うので、お気軽にご参加いただけると嬉しいです。

解説にも書かせて頂きましたが、「他人から見た」印象だと考え辛いな、という場合は印象(噂話)おまかせコースもございます(•ㅅ•)
その場合は「皆さんがどのような学園生活を過ごしていたか」をプランにて頂ければ、NPC達が好きにお話しますので、気軽にご利用くださいね。
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■2019/12/24
「残照の番人」、リザルト返却を確認致しました。
皆様、お帰りなさいませ。
様々な謎を設定させて頂いておりましたが、皆様の知恵と機転がその全てを暴かれました。
数多の「何故?」への答えは、またいずれ、いつかの物語で。

また、「シトリ・イエライ」先生が公認NPCに承認されました。
キャラページは以下となります。
▼シトリ・イエライ
http://frontierf.com/5th/mypage/mypage_top.cgi?act=room&pc_seq=709&view=other  

立ち絵は「朝野れい」IL様に描いて頂きました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
以降は公認NPCとして、広場にひょっこり現れることもあれば、
NPCピンナップの選択NPC内に名前が並んだりも致します。
シトリともども、これからもよろしくお願いいたします。
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■2019/12/20
シチュノベのプランをお預かりいたしました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
この度はご依頼を誠にありがとうございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚HAPPY
皆さまの大切な時間のお話、確かにお預かりいたしました。
これより作業に入りますね。

また、出発中エピソードに関してですが、既にリザルト提出済ですので、
どちらの参加者様もご安心頂ければ幸いです。
公開まで今しばらくお待ちくださいませ。
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■2019/12/02
「残照の番人」、公開されました。
今回は冒険ジャンルのエピソードとなっております+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
グラヌーゼ近郊にあるとある井戸、その底に何があるのかを調査して頂きたく思います。

皆さまのご参加を、心よりお待ちしております(•ㅅ•)ペコリ
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■2019/11/30
「ゆうしゃのがっこ~!」1周年、おめでとうございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
白兎もシチュエーションノベルに参加させて頂きました。
3枠ございますので、皆さまの大切な思い出を綴らせて頂けると嬉しいです+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
素敵な1周年になりますように

また、遅くなりましたが、ポストに届いていたFLを3件お預かり致しました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
いつもありがとうございます、なかなかお声を聞ける機会はないもので、とても嬉しいです。
また近いうちに、皆様の物語を紡がせて頂けることを祈りつつ……ご参加ありがとうございました。
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■2019/11/24
「白銀のマリオネッタ」、リザルト返却いたしました。
皆様、お帰りなさいませ。
今回は厳しめの難易度でしたので、思い通りにならなかった部分も多いかと思います。
それでも皆様の知恵と勇気、仲間との連携や信頼が勝利を掴んだのだと思っています。

特に、「咆哮」の条件として設定されていた「スノウ・アルクトスへのデバフ」が
序盤で明かされたのは、ベリルが言っていたように、脅威でもあり幸運でもあったと思います。
後半に咆哮の連撃を受けていたら、勇猛果敢発動による気力消耗は更なる痛手になっていたのかもしれません。
そういう意味では、皆様の今までの頑張りに、天運すらもが味方した、と言えるのかもしれませんね。
この戦いが皆様の中に「何か」を残すものとなっておりましたら幸いです。
ご参加ありがとうございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚

アドリブは今回も多めにさせて頂きましたので、
キャラとして思ったことなどございましたら、FLなどでお聞かせ頂けますと幸いです。
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■2019/11/12
日を跨ぎましたので「白銀のマリオネッタ」、出発致しました。
皆さまの知恵と勇気、そしてこの状況下において
『自分にできること』を詰め込んだプランを誠にありがとうございます。
確かにお預かりいたしました。
これより戦闘開始、リザルト返却まで今しばらくお待ちくださいませ。
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■2019/11/2
「白銀のマリオネッタ」、公開されました。
今回は、難易度「難しい」の純戦闘エピソードとなっております。
格4に目が行きがちですが、格2の魔物もおり、さらに厄介な状況にもなっております。
ですので、皆さんの思いつく限りの全てをぶつけて頂ければ幸いです。
難しい課題ではありますが、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

また、「きみと、大空へ。」のFLも誠にありがとうございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
グリフォンとの旅路を楽しんで頂けたのでしたら、私も嬉しく思います。
皆さまの冒険がどのように続くのか、私もシトリと共に見守っておりますね。
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■2019/10/28
「きみと、大空へ。」、リザルト返却いたしました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
皆さまが尽力してくださったおかげで、復興も慰問も大成功の結果となりました。

今回は初めてダイス機能を使用してみましたが、いかがでしたでしょうか?
本エピソードにおいて登場するグリフォンには隠しステータスが設定されており、
それにより飛行速度や意思疎通のしやすさ、お手伝い度などが決められておりましたが、
『冷静』のグリフォンとの縁が多かったようで、ダイスの神様の気紛れに私も踊らされた気分です。

ここを見てくださっているかたに少しだけネタばらしをさせて頂きますと、
『寂しんぼう』グリフォンはリザルトの描写にある通り、白変種として生まれた背景からの甘えたがり。
対して『気位が高い』グリフォンは黒変種として生まれたがために、どこか自分は特別だと思っている
(=ヒトを乗せること、手助けすることに不満を持っている)、という設定がされておりました。
またいずれ、どこかのエピソードで。彼等と再び空を飛ぶこともあるのかもしれませんね。

さて、終わりのあいさつの代わりに、それぞれのグリフォン達のその後を少しだけ。

【フレンドゥ】
 アンリさんや村のみんなと遊べた思い出が、強く心に残っているようです。
 カウベルの音を聞くと、楽しそうにジャンプする姿がみられるようになりました。

【うもー】
 チョウザさんから呼ばれていた『ウモウ』という言葉について、反応を示すようになりました。
 自慢でもあるモフモフな羽毛を褒められると、大変うれしそうな声を上げるそうです。

『冷静』(ベイキさん)
 賢くも照れ屋だったベイキさんのパートナーは、少しだけシャイが収まったと聞いています。
 どうやら『麗しき魔王さまの従者』であったという経験が、彼の自信と支えになっているようです。

『冷静』(フィリンさん)(貴人さん)
 同じく賢くもシャイだったフィリンさん/貴人さんのパートナー達は、青の色に抱かれた思い出が強く残っているようです。
 そのため、空を飛ぶときはとてもご機嫌な様子で、とても乗り心地のいい子達で初心者向けだと評判になっているようです。

『冷静』(シキアさん)
 シキアさんが彼女の為に奏でてくれた音楽は、今でも彼女の胸に残っているようです。
 もちろん彼女は歌うことも、踊ることも叶いません。ですがその代わりでしょうか。
 シトリよりプレゼントされたおもちゃのピアノを、嘴でつついては鳴らしている姿が見られるようになりました。

『おっとり』(ビアンデさん)(ヒューズさん)
 相も変わらず、マイペースに悠々自適をエンジョイしております。寝て、遊んで、運んで、『今日もた~のし~』。
 ですが彼らにとって楽しい思い出であったことは確かです。その証拠に、荷車を見ると少しだけ姿勢を正すようになりました。
 その姿はまるで『いつでも、どこにでもいけるよ~』と言っているかのようです。
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■2019/10/16
「きみと、大空へ。」出発致しました。
みなさま、プランのご提出をありがとうございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
確かにお預かりいたしました、返却まで今しばらくお待ちくださいね。

パートナーグリフォン達と共に、素敵な思い出となりますように。
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■2019/10/7
全校集会の開催、おめでとうございます+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
今回は純戦闘イベントのようですね。
皆さまがどのように活躍されるのか、今からとても楽しみです。

そして私からは、連動エピソードを1つお届け致します。
現在各地では、件の三人による被害が相次いでおります。
ですので今回は、パートナーグリフォンと共に復興や慰問をして頂きたく思います。
こちらは『ハロウィン』というイベントのイメージアップも兼ねておりますので、
いつもと違った華やかな衣装に袖を通してみるのも良いかもしれません。

それでは皆様のご参加を、グリフォンたちと共に、お待ちしております。
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■2019/9/28
「ゆうしゃのなつやすみ。」、リザルト返却いたしました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
皆様の大切な思い出を聞かせて頂き、私もシトリも、とても嬉しいです。

EXの文字制限の全てを使い執筆させて頂きましたが、いかがでしたでしょう?
その思い出を経て、PC様はどのような気持ちになったのか。
これからどのように歩かれていくのかを想像しながら筆を取らせて頂いたので、
かなりアドリブ過多だったかと思います。
心情や行動など、キャラに合わない部分があるようでしたら、
FLなのでお気軽にお知らせくださいね。

また、文章表現に関しては、意図して描いたものもいくつかあります。
ただの赤に見える夕空も、その時の気持ちによって全く別に感じられるように、
思い出にはそのひとだけの想いが秘められています。

ですので紛れもなく、これは『あなた』だけの物語です。
ほんの少しでもお気に召していただけたのなら、幸いです。
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■2019/9/16
日付を跨ぎましたので、夏休みイベが出発致しました。
なるほどナルホド……フムフムホウホウ(•ㅅ•)φ三φ
皆様の大切な思い出、確かに受け取らせて頂きました。
リプレイ納品まで、今しばらくお待ちくださいね。
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■2019/9/10
 遅ればせながら、ポストに届いていたFLを読ませて頂きました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
 美味しくて楽しい思い出の一端になれたのなら、私もシトリも嬉しいです。
 心温まるお手紙を誠にありがとうございました。
 HAPPY+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚HAPPY 頂いたFLは全て、心の活力です。
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■2019/9/6
「ゆうしゃのなつやすみ。」、公開されました(•ㅅ•)
 2本目のエピソードは、夏休みの中にあった『思い出』のお話です。
 やはり長期休みというものは、学生に許された特権ですよね。
 この夏、皆さんはどのような夏休みを過ごされたのでしょう?

 EXということで、文字数もたくさん確保させて頂きました+。:.゚(•ㅅ•):.。+゚
 個人はもちろん、お友達との思い出作りにもいかがでしょうか?
 皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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■2019/8/18
「美味しいご飯は、魔物退治の後で。」リザルト返却いたしました。
 ご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。お帰りなさいませ!

「ハートフル」で提出させて頂いた本シナリオですが、
 皆さんがとても熱く丁寧にワイルドボア対策を考えてくださったので、
 これはかっこいい戦闘シーンにしなければ! +。:.゚(•ㅅ•):.。+゚と
 少し作風を変えてお返しさせて頂きました。最後以外はシリアスよりでしょうか。

 お察しの通り、元々この事件には裏があり、
 どうしてこの事件が起きたのかという理由はプロローグの時点で設定されていました。
 皆さんの調査によりそちらへと繋がる糸口も発見されましたので、いずれ相見える日が来るかと思います
 その時まで今しばらく、シトリの調査をお待ちいただければ幸いです。

 ご参加ありがとうございました。
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■2019/8/10
「美味しいご飯は、魔物退治の後で。」出発致しました。
 ご参加頂いた皆さま、プランをありがとうございます!
 作業に入りますので今しばらくお待ちくださいね。
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■2019/8/3
「美味しいご飯は、魔物退治の後で。」、公開されました!
 初エピソードとなるので、今回は簡単な戦闘ものでひとつ(•ㅅ•)♪
 イノシシの魔物といえど食用にも使われているので、戦闘後は美味しいご飯にもなりうる相手です。
 シトリと共に、皆様のご参加を楽しみにしております。
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■2019/7/19
 遅ればせながらGMページを公開いたしました。これから宜しくお願いいたします! 
 ツイッターは更新情報宣伝用の予定ですので、主な更新はこの頁になるかと思います。
 時々覗いてくださると幸いです。

作品一覧


美味しいご飯は、魔物退治の後で。 (ショート)
白兎 GM
 穏やかな陽気も薄れ、湿り気を帯びた暑さが風に入り混じる、夏の最中。  こんなときこそ、乾いた喉を潤してくれるみずみずしい夏野菜……キュウリやトマト、トウモロコシなどの恩恵に預かりたいものだと思いながら、青年は足を進める。 (といっても、大半は『レゼント』に出荷するから、手元に残るのは少しだけどさ)  大陸全土から『ゆうしゃの卵』が集結する特別な場所、『フトゥールム・スクエア』。  その学び舎の中に広がっている居住区域『レゼント』は、集まる人の数だけ消費が激しく、いわば大陸有数の商いの場でもある。  ゆえに、彼のように農業に携わる者にとっては、大きすぎるほどの商売相手であり、 (俺達みたいな小さな村にとっちゃ、収穫できればできるほど利益になる場所ってのはありがたいもんだよな)  そんなことを思いながら、青年は村から少し離れた自分の畑へと向かう。  春夏秋冬、狭いながらも各季節に対応したものを植えている彼の野菜畑は、全ての季節が書き入れ時であり、彼の家族だけでなく村にとっても重要な収入源だ。  だからこそ、目的の場所にたどり着いた青年は、目の前の光景に声を張り上げた。 「な……っ! おい、何してやがる……っ!?」 「ブルル……ッ!!」  胸の奥からこみ上げる、びりびりとした怒号に応えたのは、イノシシ型モンスター達の鳴き声だった。  足元には食い荒らされてしまった、収穫予定だったものの残骸が転がっている。どうやら美味しい部分だけを齧っては、別のものに手を出しているらしい。  穴だらけの葉っぱが無残に散らばり、踏みつけられている様子に青年が肩を震わせた。 (種の時から、毎日様子を見に来ていたのに……)  昨日までは青々とした葉を広げていて、立派に育った姿に少し誇らしくも思っていたのに。  この野菜たちが、未来の『ゆうしゃ』の口に運ばれるかもなんて。そんな夢だって。 「許さねえ! あっちいけっ! この……っ!」  感情の高ぶるままに、青年は声を荒げ、肩にかけていた手ぬぐいを振り回す。  それを敵からの攻撃だとみなした魔物たち……ワイルドボアの群れは、まるまると太った体を大きく揺らしてから、青年へ飛び掛かった。 ◆ 「こんにちは。これで全員揃いましたね」  あなたが最後の一人です。そんな言葉を聞きながら扉を閉めた『きみ』は、室内に集まる者たちの顔をぐるりと見回した。  時刻は昼食を済ませたばかりの、学園の時間割でいうならお昼休みの時。  とある課題に参加表明を示していた『きみ』は、指定された部屋へと足を運んだ。  待っていたのは同じく課題に参加するメンバーと、課題の担当をしている男性教諭だ。  長い金色の髪を肩のあたりで軽く結わえ、ハーフリムタイプ眼鏡の向こう側で赤の瞳を緩めた男性教諭は、穏やかな笑みのまま、 「では説明します。まずは自己紹介を、私の名前は【シトリ・イエライ】。見て分かり辛いかもしれませんが、泡麗族です。担当は賢者・導師コース、普段は上級魔法に関する授業を受け持っております」  告げながら、シトリと名乗った男がテーブルの上に地図を広げる。  ゆうしゃ達の視線が集まる中、白い指先が指示した場所は、 「私たちの住まう『レゼント』から少しばかり離れた場所……この辺りに、地図には載っていないのですが、小さな村があるのです」  皆さん、野菜はお好きですか? と続いた男性教諭の質問に、集まった面々は思い思いの返答を述べる。  その言葉を聞いたシトリはゆっくりと頷いてから、それでは、と言葉を繋いだ。 「地図にすら載らないこの村から、たくさんの農作物がこの『レゼント』に出荷されているのはご存知ですか? 私たちが使う食堂も、その恩恵に預かっています」  彼が言うに、小さい村ながらも住民全員が農業に特化した結果、一人ひとりの収穫量は些細なものでも、毎年安定した量の野菜を届けられるようになったらしい。  しかも、春夏秋冬、様々な種類の野菜にも対応しているのだから、その恩恵は計り知れない。  ……だというのに。 「実は、最近この村の近くにワイルドボアの群れが巣を作ってしまったようで。どうやらこの村の農作物を食べ荒らしているようなのです」  ワイルドボアはあまり森からでてこないはずなのですが、不思議なことですよね。  静かに続くシトリの言葉を聞いた面々は、思わず地図から顔を上げる。  ならばここは自分たちが、そんな意志を秘めた瞳もあったのかもしれない。  集う視線に微笑み返したシトリは、ですので、と前置いてから。 「今回の皆さんの課題は、集まったワイルドボア達を撃退し、この村の窮地を救うことです。といっても、彼らは自身に不利な状況と分かれば逃げ始める習性がありますから、群れを半数ほど減らせば問題ないでしょう」  告げながら、シトリは新たにもう一枚の紙を机上に乗せた。  視線を寄せれば、ふくふくと丸いイノシシの絵の下に、数行ほどの文字が記されている。  どうやらあらかじめ、シトリがまとめておいたモンスターの情報のようだ。 「ワイルドボアは土属性。この学園で学ぶ皆さんならば、そこまで強い相手ではありません。通常のイノシシよりも小さく食用にも使われており、素早さに欠けています」  主な攻撃方法は体当たりでしょうか。読み上げる形で情報の共有を終えたシトリは、熱心に耳を傾けていた『きみ』に笑いかける。 「ですが、皆さんはまだ『ゆうしゃ』の卵ですから、今回は私も同行致します。手伝ってほしいことがあったら言ってくださいね」  課題という形をした実践授業ともなれば、机の上で学んだ知識だけでは対応しきれないこともあるのだろう。  だからこそ、自分たちには入念な準備とイメージトレーニングが必要になり、事前にこうして集まる時間を設けられたのだ。  ならば、さあ、ここからは知恵を集める時間だ。  どうしたら自分たちは、見えない場所から食料供給という形でずっと助けてくれている村人たちに恩を返すことができるのか。 「しばらくはここで作戦を練り、動きが決まり次第、出発しましょうか。あぁ、退治したワイルドボアを持ち帰ることは衛生上できませんが、村の皆さまに食料として差し上げたり、彼らにバーベキューを振る舞うことなどはできるかもしれません」  私も同行しますから、門限の件はあまり気にされなくても大丈夫ですよ。  そう告げた男性教諭は、胸ポケットから古びた懐中時計を取り出した。  カチ、カチ、カチリ。誰もが思考を巡らし無言になる間も、時計の針は進んでいく。  だから『きみ』は口を開いた。自分の中にあるイメージを他のメンバーと擦り合わせ、自分に何ができるのかを模索するために。
参加人数
4 / 8 名
公開 2019-08-02
完成 2019-08-17
ゆうしゃのなつやすみ。 (EX)
白兎 GM
 時は流れる。それは必然だ。  この世に生まれ落ち、『人生』という砂時計をひっくり返されたその瞬間から。さらさらと砂は零れ行き、嵩(かさ)を増していく。  その無常さを、夢想論者は『運命』などと表現するのだろうが、つまり私たちは、この砂の流れの上を歩き逝く存在にすぎないのだろう。  いつ訪れるかもわからない、終わりに向かって。着実に。  時が流れる。それは有限だ。  ならば、大切なのは。時折振り返り、砂の上に残した足跡を、拾い集めることなのかもしれない。  忘れないために。憶えているために。『わたし』が生きた、その証を。 ◆  夏も過ぎ去ったとなれば、吹き行く風は肌寒い。  今日も忙しなく時間割通りの授業を終えた『きみ』は、中庭に備え付けられているベンチに座っていた。  何をするわけでもない。ただのんびりと、青と赤が混じり合う夕空のグラデーションを眺めていただけだ。  けれど理由はあった。単純に、疲れていたのだ。ふぅ、と息をつく動作ですら、体が重く感じられる。  そんな『きみ』を見かけ、思うところがあったのだろう、ひとりの男性教諭が声をかけた。 「さすがにそう簡単には、戻りませんか」  思わぬ声に『きみ』が視線を向けると、声色通りの柔らかな微笑みと目が合う。  ハーフリムタイプの眼鏡をかけた金髪の男性教諭……【シトリ・イエライ】は、魔導士らしいローブに身を包み、やけに分厚い本を抱えていた。  しかし、戻らない、とは何をさしているのだろう。 『きみ』が答えに迷っていると、シトリはベンチの空いている空間、つまりは『きみ』と少し距離をあけた隣に、腰を落としながら、 「夏休みが明けてから、そんなに日も経ってはいませんからね。授業や課題に追われる生活に、まだ体が戻れていないのでは、と思いまして」  あぁ、なるほど。彼はこう言いたいのだろう。長期休みを終え、これまでの生活に戻っただけなのだとしても、その差に体が追い付いていないのではと。 『きみ』はそれに対し、なんと答えただろうか。すぐに戻れると自分自身を叱咤した? それとも夏休みに戻りたいと冗談を言ったか、それとも。  なんにせよ、シトリは笑って聞いただろう。膝の上に乗せた書物――表紙には、『毒を持つ魔物の対処法』と書いてある――を撫でながら、 「空も、風も。葉の色さえも、もうすっかり秋めいてしまいましたね。あんなにも避けていた夏の暑さが、少し懐かしく思うほどです」  確かにそうだな、と『きみ』は思う。少し前ならば、この時間の空はすっかり夜の帳を広げていたし、夏の暑さのせいだろう、風も涼しく感じられた。  けれど今は違う。空はまだ夜には遠いし、風はひたひたと冬の寒さを連れてくる。  あぁ、確かに。夏は終わったのだ、と『きみ』は思う。  アルチェで行われた臨海学校を筆頭に、『フトゥールム・スクエア』で過ごした初めての夏は、なかなかに騒がしかった。  だからだろうか、あっという間だった気がする。期間にしてひと月半なのだから、けして短くはないはずなのに。 「とはいえ、学生の希望次第で特別授業も開かれますし。課題に関しては通常通りですから、ひとによっては夏休みのほうが忙しかったのかもしれません」  そういったシトリは、ゆったりとした声で『きみ』に尋ねた。 「あなたはどうでしたか? この夏休み、どのように過ごされました? 私は特に、平常時と変わりありませんでしたが……」  ゆるりと吹いた風が穏やかな問いかけを運ぶ。その言葉に、『きみ』はどんな時間を思い浮かべたのだろうか。  久しぶりに帰った実家で、のんびりとした時間を?   それとも『ゆうしゃ』の卵らしく、課題や修練に明け暮れた日々だろうか。 「ひと夏の思い出などは、できました?」  興味深げにこちらの返答を待っている男性教諭に、他意は見られない。であるならば、これは彼の完全な興味による質問だろう。  成績や評価が関係ないのなら、体裁を取り繕う必要はない。それならば、『きみ』は。  どんな夏の思い出を、口にするのだろうか。
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-09-06
完成 2019-09-24
白銀のマリオネッタ (ショート)
白兎 GM
●白銀の狂爪 「ようやく、辿りつきましたか」  重い息を吐き出しながら、泡麗族の男が言の葉を紡ぐ。  魔法使いらしいローブに身を包み、長い金色の髪を肩のあたりで緩く結んだ男……【シトリ・イエライ】は、手にした望遠鏡を静かに降ろした。  時刻は夕、場所は魔法学園『フトゥールム・スクエア』より南東に位置する森の中。  どこの集落にも隣接しない、普段ならば気にも留めないような通り道であるその場所で、シトリはとある魔物の姿を捉えていた。 「マスターの予測通りのようですね。といっても、皆様の尽力がなければ、見通しも立たなかったでしょうが」  シトリの隣に佇んでいた魔生族の少女……【ベリル・ドロン】が、彼の手から望遠鏡を抜き取る。  無駄のない動作でレンズを覗くと、黒い瞳に白銀色の姿が浮かび上がった。  ――スノウ・アルクトス。雪のように美しい体毛に、血のような赤の両目を持つ、熊型のモンスター。  一見すると普通の熊にも見えるが、太く鋭い両の爪には神経性の麻痺毒を備えており、腕力・体力だけでみても、ただのグリズリーより格上の相手だ。  森に住む生物を真似て造られた魔物が『ジャバウォック』であるのなら、毒を持つスノウ・アルクトスは『ポイゾネスジャバウォック』に分類される。 「体長3mと推測、体重は……」 「あの大きさならば、800kgはあるでしょう。かなりの大物ですね」 「では、いかが致しましょう。まだこちらには気付いてはおりませんし、このままマスターと私で?」 「これ以上の被害を増やさないためには、そのほうが良いのかもしれません。いけますか? ベリル」 「了承。ですがマスター、あの『花』はなんでしょう?」 「花……?」  思わぬベリルの問いかけに首を傾げたシトリが、貸してください、と手を伸ばす。  そうして受け取った望遠鏡を再度覗いた男は、赤の瞳を軽く瞠(みは)った。 (薔薇? いや、よく見れば、他にも……)  先程覗いた時は正面から捉えた姿だったが、今スノウ・アルクトスはこちらに背を向けた姿で立っている。  だからこそ、よく見えたものがあった。白銀の巨体に絡みつくような緑の影、いわゆる蔦(つる)だ。 (ということは、あの薔薇は……つる薔薇か?)  スノウ・アルクトスから見て、首の裏側に当たる位置には、色鮮やかな深紅の薔薇が咲いている。  たった1輪ではあるが、白銀色に埋もれずに、大輪の花弁を広げるその様は、実に優雅だった。  ――それが、『魔物の体の上』でなければ。 (まさか、あれは……) 「ベリル、すぐさま学園に戻ってください。そして、援軍を呼んできてください」  言いながら、シトリは望遠鏡をベリルの手に持たせると、背負っていた両手杖を構えた。  声色、表情。いつも柔らかな雰囲気である彼らしからぬ様子に、ベリルは口を開く。 「納得できる理由を、マスター。でなければ、受理できません」 「あれは『ローズ・ブラッド』という寄生型の魔物です。ただ寄生するだけでなく、宿主を強化する力もある……なんの対策もなしに挑むのは危険です」  ですから援軍を。そう告げて前へと踏み出したシトリは、明らかに件の魔物の元へと向かおうとしていた。 「であれば、マスターも共に」  対策もなしに挑むのは危険なのでしょう。そう少女が告げる前に、シトリが首を振った。 「いえ、放っておくわけには参りません。確率は低いでしょうが、宿主がこのまま衰弱死した場合、ローズ・ブラッドは新たな寄生先を求めるのです」  シトリが『ゆうしゃの卵』たちと美味しいご飯を食べた思い出は、夏のことなのだ。  あれからもう幾月も経っている、ローズ・ブラッドが宿主の全てを養分に変えていてもおかしくはない。  そしてもしも。その寄生先を求めた先に、ヒトの集まる場所があったなら。 「ローズ・ブラッドに侵されたヒトによる、惨劇が始まるかもしれない。たとえ僅かだったとしても、その可能性を放置しておくわけには参りません」 「では、マスター。あなた1人残り、どうしようというのです」  たずねるベリルに、シトリは笑って言った。お決まりの眼鏡を外しながら、 「うかつに殺さず、殺されず。ちょうどいい相手を保ちながら、勇者候補生の皆様を待ちます。なに、私も教員の端くれ、そう簡単にはやられませんよ」 ●優雅なる傀儡者 「この場に。今すぐに、戦場へと赴けるかたはいらっしゃいますか」  声が響いた。フトゥールム・スクエアの立派な校門の前で、カルマの少女が声をあげていた。 「教師、シトリ・イエライが凶悪なる魔物を見つけました。その援軍を頼めるかたを募集しています」  何人かが立ち止まった。もしかしたら聞いたことのある名前だったのか、それとも、魔物という言葉に反応したのかもしれない。  足を止めた人影の中に、『きみ』もいた。だからだろう、少女……ベリルと目が合った。 「シトリ教官は今、その魔物と一人で対峙しています。皆さんの助けを待ちながら」 「先生だけでは危ない相手なの?」  質問が飛んだ。そんな相手を前にして、自分が力になるのだろうかという問いかけだ。  ベリルがうなずく。その顔に表情はなかったが、迷いもなかった。 「簡単に殺めてしまえるほうが、危ないのです。その魔物は、ローズ・ブラッドというまた別の、花の魔物に寄生されています」 「つまり、どういうこと……?」 「安易に宿主だけを殺めてしまった場合、ローズ・ブラッドに寄生される恐れがあります」  水を打ったような静けさに覆われた。寄生。『ゆうしゃの卵』たちに恐怖を与えるには十分なフレーズだった。  けれど、――『きみ』はたずねた。ならば、どう対処すれば良い? 「両方を平等に削っていき、できるだけ同時に葬るしかありません」  そのためには何が必要だろう? 状況を冷静に判断できる頭か、それとも相手の状態を正確に把握できる目か。  もっと情報も欲しい。しかし、今すぐにというと、事前に準備をすることも、調査することも敵わないだろう。  だから『きみ』はもう一度たずねる。本当に、自分でも役に立つのかと。  ベリルはうなずく。 「たとえ『あなた』の経験が浅くとも、シトリと私が、共に向かう仲間が、補います」  酷い怪我をすることはあるかもしれませんが。包み隠さず言うところは、カルマである彼女らしさなのかもしれない。  だが、そうだな、と『きみ』は思う。けして一人ではないのだ。ならば立ち向かってみるのも良い。  『きみ』が手を挙げると同時に、影が差した。同じ思いを抱いた、誰かの手だった。  ベリルがうなずく。うなずき、数枚の羊皮紙を差し出した。 「これはシトリ教官が纏めた魔物……白銀の狂爪『スノウ・アルクトス』に関する情報です」  ローズ・ブラッドについては道すがら、口頭で説明します。  そう告げたベリルは、では行きましょう、と――駆け出した。  恐らく今、援軍を待ちながら攻撃と防御を繰り返している彼の元へ、『きみ』を案内するように。
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-11-01
完成 2019-11-22
【優灯】きみと、大空へ。 (EX)
白兎 GM
 ――『フトゥールム・スクエア』内、職員室にて。 (ふむふむ……)  長い金の髪に、赤の瞳。ハーフリムタイプの眼鏡をいつも通りにかけた【シトリ・イエライ】は、手にした羊皮紙の束に目を通していた。  研究室を兼ねている執務室に引きこもりがちな彼も、事件が起きたとならば、ちゃんと『先生』らしいことをしに出てくるようらしい。 (といっても。この情報だけでは何もできませんがね)  各地で脅威を振りまいている怪しい三人組の出現に、魔物の大群の襲来。  そして、被害は大小さまざまだが、記憶をなくすという事件の勃発。  しかし、『記憶をなくす』とだけ聞くと大仰に聞こえるが……。 (……ひとによって、差がありすぎるんですよね。全く意図が読めないというか)  『犬の名前を忘れた』なんて小さな被害であるかと思えば、『自分の名前を忘れた』なんて、アイデンティティの喪失と言えるものまである。 (ただ世界を混乱に陥れたいのでしたら、後者に統一すれば良いものでしょうに)  何か意味があるのだろうか。それとも、こうしなければならなかった理由が?  思考の渦に入りかけたシトリは、一度首を振り、考え事を頭の外へと追いやった。 (いけませんね。数少ない情報で動くのも、推測をするのも、あまりよくない)  そう思ったシトリは、ふと目に入ったものへと足を進めた。 (これは確か、生徒の皆さんが授業内容の希望を書かれるというものでしたか)  生徒が見られる場所と、職員室の既定箇所を行き来するようにされているという『連絡帳』を、シトリは軽く開き。  それから文字の記されているページをぱらぱらと捲りながら、なるほど、なるほど、と言葉を零した。 「……そうですね、復興支援に慰問。情報不足の状況とはいえ、私達にできることはたくさんありますか」  それにグリフォンも良い案です。そう言い残したシトリは、ノートを閉じて、職員室を後にする。  その足取りは、考え事をしていた時よりも、軽かった。 ◆ 「――ということで。皆さんには復興支援及び、傷ついた方々への慰問へと向かってもらいます」  数日後。校庭では、とある課題の募集要項を見た生徒たちが集められていた。  課題の依頼主は『シトリ・イエライ』。この学校のいち教師であり、賢者・導師コースを担当するローレライの男性だ。  彼は眼鏡の奥に控える赤の瞳を緩めると、まずは、と集まった全員に地図を渡しながら、 「私たちの住まうフトゥールム・スクエアは、その地図の真ん中に描かれています」  彼による課題の詳細説明が始まる。 「そして、今回みなさんに向かってもらうのは、その周辺の赤い丸印がある部分です」  『きみ』がシトリの言葉を聞きながら地図を確認すると、学園の周りには、赤丸がぽつぽつとつけられていた。  しかし、その位置に規則性もないようだ。少し大きめの町から、辺境の小さな村まで。  対象も、並びもてんでばらばらなそれに、しかし『きみ』は眉を潜める。 「ええ、そうです。見てお気づきかもしれませんが、小さな村や町が主な被害地なのです」  つまり、自分たちの力だけでは復興が難しい状況が相次いでいる、ということだ。  『きみ』はそれに対し、どう思っただろうか。弱者ばかりを狙う悪質な行為だと怒りに震えた?  それとも、それほど大きな力を持ってはいない敵なのだろうかと推測しただろうか。  どちらにしても、真相は未だ闇の中であり、それに対して対策できることはない。  ならば今、すべきことは――。 「皆さんには、その被害があった場所へ赴き、『自分にできること』を実行してきて欲しいのです」  力自慢であるならば、壊れた家屋の撤去や、新しい建物を建てるための素材集めもいいだろう。  逆に考えることが得意であるのなら、もしまた魔物の襲来が起きた時の対策を考えることだって可能だ。 「もちろん、目に見えるものだけが全てではありません。心に傷を受けたかたも多くいらっしゃいます」  はじめて命の危険に晒された子どももいれば、記憶を失うというあやふやな状況に怯える大人だっている。  そんな相手には何が良いだろう? 優しい音楽か、話し相手か、やれることはたくさんあるはずだ。 「もしも持っていきたい道具があるのなら、私のほうで手配いたします。しかし、持っていけるのはこの荷車に積められる量だけです」  そう言って、シトリは次に1台の荷車を指で示して見せた。  『きみ』が視線を向けると、そこには手綱のつけられた一頭のグリフォンが、荷車の軛(くびき)をかけられる形で立っていた。 「クゥルル……」  鷲の翼と上半身、そしてライオンの下半身を持つその原生生物は、力強い四肢を持ち、グリフォン便という交通手段としても有名だ。 「皆さんには、グリフォンと荷車を1組ずつお貸しします。現場には彼らの背に乗って、向かってください」 「クゥ!」  任せて! と言いたげに鳴いたグリフォンは、どこか誇らしげだ。『きみ』は思わず頬を緩めそうになるが、すぐに気を引き締め直す。  なぜなら、荷車は一頭のグリフォンが引ける程度の大きさ……つまり、それほど大きくはないのだ。  これでは復興か、慰問か。目的を1つに絞らなければならないだろう。どちらもに手を出して中途半端になっては意味がない。  そんなことを考えている『きみ』の緊張を和らげるつもりなのだろうか、シトリは最後にもう1つの言葉を付け足した。 「そして皆さん、これは私からのお願いなのですが。できればいつもの制服姿ではなく、『仮装』をして頂けませんか?」  顔を上げた『きみ』は、シトリが微笑んでいるのを見る。彼はにこやかな笑みのまま、 「被害にあった村の皆様は、とても心を痛めています。ですから皆さんには、できるだけ『楽しい』気持ちを運んで頂きたいのです」  肩を落とした人に、哀しい顔で接しては、なかなか気持ちの切り替えを促すことは難しい。  たとえ敵の目論見がわからない、再発の危険性だってある状況だとしても。 「笑顔を向け、不安を追い払い、再び奮い立つ勇気を持たせる。それもまた、ひとつの『勇者』の在り方ですからね」
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-10-06
完成 2019-10-24
残照の番人 (ショート)
白兎 GM
 音が、鳴っていた。それはまるで大地を揺るがすような轟音(ごうおん)で、鼓膜を圧し潰すかのような重さで。  けれどその発生源は地下であり、走る二人のすぐ後ろから、鳴り響いていた。 (『ケルベロス』……っ! いったい何故、こんなところに……っ!) 『―――― ……ッ……―――― !!』  迫りくる足音に加え、耳をつんざく咆哮(ほうこう)が、逃走する男……【シトリ・イエライ】の物思いを掻き消す。  そうだ、今は考える暇などない。とにかく、逃げなければ。 「ハッ……ァア――ッ……!」  しかし逃走していたもう一人、【ベリル・ドロン】の考えは違った。  彼女は立ち止まり、振り返り、迫りくるケルベロスへと跳躍――並ぶ3つの頭のうち1つへ、蹴りを放つ。 「チッ……」  だが、それは何の抑止にも至らない。  ごわついた黒の毛皮に全ての衝撃が吸収されてしまったことを悟ったベリルは、振り上げられた爪に串刺されるよりも早く、再度跳躍する。  そのまま後方へ、唸るケルベロスの鼻筋を蹴り飛ばすようにして、少女は再び大地へと降りた。 「マスター、やはりあれは……」 「あなたも学園で見たことがあるでしょう! 紛うことなきケルベロスですよっ!」  悠長に話し始めたベリルの手を取り、シトリが走り出す。ありありと感じられる危機感の差は、教師と生徒という知識量の差でもあった。  ――魔獣、ケルベロス。  かつてこの世界を混乱に陥れた『魔王』が、ペットとして愛玩していたともいわれている、獰猛な獣。  ヒトの何倍もの巨体を持つその獣には、犬科の頭が3つ……それらの全てに鋭い牙や優れた聴覚、嗅覚、そして知能が備わっている。  つまり、単純計算でも通常の生き物――それはもちろん、ヒト種も含まれる――よりも五感が、さらには思考力が、三倍高いのだ。  おまけにあの巨体に見合わせた体力、筋力もあり、魔獣らしい攻撃性だって備えている。 (どう考えたって、こんな状況で対峙する相手ではありません……っ!)  それは自分が、フトゥールム・スクエアにて教師の立場を預かれるくらいの導師だったとしても、だ。  仮に討伐に乗り出すのだとしたら、学園内の有力者が4人は欲しい。そんな相手を前にして、戦闘行為などもってのほかだ。 (ならば逃げるしかありません……っ!)  万に一つも勝ちのない状況だとわかっているのに、立ち向かうのはただの無謀であって、勇気ではない。  だからシトリは生き延びる方法を模索した。逃げながら、どうすればこの状況を切り抜けられるのか、思考する。  そもそもどうしてこんな状況……古い坑道の中、ケルベロスに追われることになってしまったのか。  それを話せるようになるまで、彼は暫くの逃走劇を繰り広げるほか、なかった。 ◆ 「そういうわけで。私も久しぶりに、死の危険を感じましたねぇ。あっはっは……」  いや、全く笑えないのだが。彼の話を聞いていた誰もが、そう思った。  しかしシトリの様子から、彼の言葉が嘘ではないだろうことも感じていた。  いつも笑顔が絶えず、飄々(ひょうひょう)とした様子のこの教師が、疲れを隠すことすら放棄していたからだ。  それでも休まず教壇に立っているのだから、これから説明される課題はそれほど重要だということだろう。 「シトリ教官。まずどうして、ケルベロスに追いかけられるような状況に?」  話を聞いていた生徒のひとりが手を挙げた。その表情は固く、険しい。  だからシトリも笑うのをやめた。眼鏡の奥で、赤の瞳を細める。 「あなたは、グラヌーゼのことをどれほど知っていますか?」 「この学園の北部にあり、『繁栄と存亡の交わる村』と呼ばれ。かつての魔王大戦で大きな戦禍に巻き込まれたということ、くらいです」 「充分です。故にかの村の周りには今でも多くの傷痕が残り、グラヌーゼの村に関しては復興も満足にできてはいません」  昔は美しいグラヌーゼ麦の稲穂に囲まれ、『黄金郷』などとも呼ばれていたのですがね。  そう付け足しながら、シトリは教壇を降り、集まった生徒達に数枚の羊皮紙を配り歩く。 『きみ』もその一人だった。渡された羊皮紙に書かれた内容を確認しつつ、シトリの言葉を聞く。 「このグラヌーゼ村の近郊に、古びた井戸が点在しておりまして。周辺住民はそれらを纏め、底のない井戸……『果てなき井戸』と呼んでいるのですが」  この井戸の奥にですね、やはりあったのですよ。秘密の地下道が。  続いた言葉はどこか楽しげだ。不思議に思った『きみ』は、思わず顔を上げ、たずねる。  やはり、とは? 「点在する井戸の底。そのそれぞれに、行き先の分からない通路があるという噂は、昔からあったのです」  ですが本当にあるのかは、解明されてはいなくて。告げながら、シトリは名案とばかりに人差し指を立て、 「だからその中から適当に1つ選び、飛び込んでみたのです」  なるほど、と『きみ』は思う。そうしてケルベロスに追われる事態になったのだろう。  疑問が解消された『きみ』は、再び口を開いた。ならこの課題は、ケルベロスの討伐なのか? 「いやいや、そんなことはしません、させません。ケルベロスは並大抵の相手ではありませんからね。また見つかったら、即逃げます」  迷うことなく言い切った教師に、『きみ』は再び問いかける。ならば、いったい何をする課題なのか? 「内部調査です。二枚目の資料をご覧ください」  言われるがままに、羊皮紙を捲(めく)る。そこに書かれていたのは、シトリによる手書きの地図だった。  スタート地点は、シトリが無作為に選んだらしい、井戸の底。そこから繋がる広い道をしばらく歩くと、T字路に突き当たり……。 「右か左か。分かれ道になっているようで、しかしこの道は、奥で繋がっています」  つまりは一本道だ、ゆえに迷うことはないのだが。 「この道の上を、ケルベロスは巡回しています。ぐるぐると回るように」  理由はわからない。どうしてこの場所にいるのか、どうやってこの場所で生きていられるのかも不明だ。  しかしわかることもある。この通路の狭さでは、ケルベロスは『後退できない』。 「ケルベロスはかなりの巨体です。あれでは前に行くことしかできず、後ろを振り向くことすらままならないでしょう」  優れた聴覚で音を拾うことはできるかもしれませんがね。  そう続く言葉を聞いた『きみ』は、あることに気付いた。書かれている通路上、扉のようなものがいくつか存在していたのだ。  この扉の先は? たずねる『きみ』に、シトリは首を振る。 「確認できてはおりません。ええ、だから、――皆さんに集まって頂いたのです」  書かれている扉は全部で6つ。そのうちの1つは、シトリが『ケルベロスの視界から逃げる』ために飛び込んだらしいのだが。 「他の5つの扉の先に何があるのか、未だわからない状況でして。ですので、皆さんの力を貸して頂きたいのです」  鬼が出るか、蛇が出るか。全くわからない状況だが、しかしその場所に何かが眠っているのは確かだろう。  しかもその番人が、あの『魔王のペット』であるというのなら。 「……探ってみる価値があるとは思いませんか? 多少の危険が待ち受けているとしても、ね」
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-12-01
完成 2019-12-20
きみの噂も、七十五日。 (ショート)
白兎 GM
 ――フトゥールム・スクエア内、食堂。 「いや~冬休みッスわ~」  暗い赤色の髪に、同色の獣耳を生やした青年が声をあげる。  窓の向こうでは雪がひらりと振り舞うこの季節、彼はヒマヒマオーラを出しながら、食堂の机にうつぶせになっていた。  名前を【東雲・陽】(しののめ よう)、去年の冬にこの学園にやってきた、勇者・英雄コース所属のルネサンス(レッサーパンダ)である。 「ですわねぇ……」  そんな陽の言葉に頷きを返したのは、見るからにゴージャスな雰囲気の少女であった。  ゴールデンパールを思わせるような金色の髪はミディアムで、毛先のみを縦巻きにした、清楚なお嬢様仕立て。  その上絹のような光沢を持つドレスを身に纏っているのだから、正真正銘の『お嬢様』なのだろう。  彼女……【ラスク・シュトラール】は、頬に手をあてながら、 「やはり日々の授業がありませんと、シャキっとしませんわね」 「だよなァ~。実は時間割って大事なんじゃね? ないと無限にだらけちゃう的な?」 「いやそれは……君達くらいだろう」  思わずため息をつきながら、褐色肌の青年は、眼鏡の真ん中の金具を人差し指で持ち上げる。  青みがかった黒の髪を、先の尖った長い耳にかけているあたり、エリアルの中でもエルフタイプに属しているらしい。  見るからに真面目な雰囲気を漂わせている彼は、陽とラスクの友人でもあり、同級生でもあった。  所属が違えば必修科目で会うことはそうないが、課題(直近ではグリフォンに乗って復興に回ったりもした)や選択科目で一緒になったのが運の尽き。  考えるよりも先に動くタイプの陽と、独自の価値観で突っ走りがちなラスク。  そんな二人の御守を自然とする形になった青年……【サフィール・エルネスト】は、本日二度目の溜息をつき、 「暇なら宿題でもすればいいじゃないか。長期休みなんだ、君達にも出されているんだろう?」 「あー……俺そういうのォ、ラストにばばーっとやっちゃうタイプなんで?」 「わたくしはもちろん、既に終わっておりますわ。えぇ、全て!」  全く正反対のことを言いながらも、同じくらいに堂々とした態度で言われては、返す言葉もなくなるというもの。  ゆえに三度目の溜息をついたサフィールは、『どうしてこいつらと1年うまくやってこれたんだ』と首を傾げる。  そんな物思いに気付いているのか、いないのか、陽はおもむろに体を起こし、 「そーいや。冬休みナウってことは、俺らもここに来て一年経ったってことじゃね?」 「まぁ、そうだな」 「ヤバくね? 一年って言ったら蛹も蝶になって飛び立つレベルじゃん? 人生の岐路的な?」 「人生の岐路かどうかはともかく、蛹から蝶になるくらいなら、一年もかからな……」 「まぁまぁ! ではわたくしたちも、ついに勇者として羽ばたく時が来ましたのねっ!」 「君達、僕の話を全く聞く気がないな」  だったら僕は部屋に帰るぞ。と立ち上がりかけたサフィールの腕を、まあまあと二人は引き留め、 「思い出話でもしようぜェ、サフィ。一年っていやー、結構な量できんじゃん?」 「できるって何がだ」 「Memoryよ。それにDream」 「なんだその無駄に良い発音は……」 「夢はともかく、思い出はたくさんできましたわね。去年の冬ですと、新入生歓迎会としてツリーフォレストマン様と相対しておりましたし」 「まさか今年は俺らが、メメたんセンセ側を手伝わされるとは思わなかったけどなァ」 「メメル校長には振り回されてばかりだったな。異次元お食事会もそうだし、そもそもカカオポッドの生育を命じたのだって校長先生なんだろう?」 「あれは不思議な生き物でしたわ……走り回るチョコレートだなんて、わたくし考えたこともありませんでした」 「いや、普通考えねぇっしょ。メメたんセンセっていや、水着姿がキャワたんだったなァ……コルネセンセも揺れが最高でd(*´∀`)bイイネ!」 「ヨウ……君はそういう事ばかり、よく覚えているな……」 「ですが、コルネ先生には『無垢な生徒を捕まえては干しぶどう狂になるよう調教している』なんて噂もありますわよ?」 「……マジで? それヤッベーんじゃ? 俺実はドライフルーツ系ちょー苦手なんだけど、コルネセンセにバレたら調教される?」 「いや、さすがにそれは……」  ないんじゃないか? と言いつつも、ハロウィンの頃だったろうか、干しブドウを持った生徒を追い回していた姿を見かけたサフィールは口をつぐみ。  そんな三人の会話を耳にしながら昼食をとっていた――別に聞き耳を立てていたわけではない、彼等の声が大きいのだ――『きみ』も、苦笑する。  確かに、この学園に来て、色々なことがあった。  夏にはアルチェでの臨海学校を楽しんだし、秋には記憶を失うなんていう騒動が起きて、3人の謎の人物と刃を交えたりもした。  哀しいことがあれば、楽しいこともあり。振り返ってみれば、あっという間の一年であったような気もする。  そうしてまた、新しい一年が始まる。  『きみ』がぼんやり考え事に耽っていると、ふいに聞きなれた名前を耳にして、顔をあげる。 「なぁ、そういえばさ――」  続いた話題は、どうやら『きみ』のことであるらしい。  赤、青、黄色の三人組は、この場に本人がいることにも気づかず、噂話に興じている。  このまま聞くか立ち去るかは『きみ』の自由だが、さて。  彼等はいったい、どんな『きみ』を語っているのだろう――?
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-01-03
完成 2020-01-22
ゆうしゃのふゆやすみ。 (EX)
白兎 GM
 ――時計の針を、少しだけ。巻き戻して。  冬休み最後の夜、学生寮。室内温度を心地良くする魔法に包まれた自室にて、『きみ』は明日の準備にいそしんでいた。  といっても、別に大掛かりなものではない。いつも通り、授業で必要な羽ペンやインク壺、羊皮紙の束に教科書類を鞄に詰め込み。  着慣れたいつもの服――まだ寒い日は続いているから、ウィンターコートの毛玉取りも必要だろうか――の手入れをしていただけだ。  けれど、たったそれだけのことなのに、どこか心が躍る気がするのは何故だろうか。  明日から始まる新学期で、久しぶりに学友と、憧れの先輩と、話ができるから?  それとも、何をしても良いという、『自由という難題』から解放されたから?  どちらにしても、『きみ』は思ったのかもしれない。もう冬も終わりか、と。  ふっと息をつき、窓の外へと視線を寄せれば、冬らしいクリアな空気の中、雪が降っている。  真白な月明かりを浴びながら、ひらり、ふわりと舞い遊ぶ雪は、月の光を反射してはきらりと煌めいて、輝いて。  そうして、ふと、『きみ』はユールのために飾り付けられた街並みに浮かぶ、ホワイトスノウを思い出した。  冬休みを迎える頃に始まったユールという催しは、今年もまた一年無事に過ごせたことを祝い、そして新しく来るだろう一年に感謝するものだという。  そのため年末では、レゼントの街の屋根や並木道に赤、白、黄色と、魔法による鮮やかな装飾が施されて。  『サンタクロース』が(おとぎ話かと思っていたが、実際に存在するらしい)プレゼントをくれるかも、とはしゃぐ子どもの姿を見かけたりもした。  そういえば、当たり前のように過ぎ去っていた『クリスマス』の起源が、『精霊から各種族が魔法を授かった事に感謝する日』だったことにも驚いた。  何事にも、意味があるのだろうか。もしかしたら、自分がこの学園に来たことにだって。  そうして新しい年を迎えた頃には、学園の広場からクリスマスツリーも撤去され、代わりに『カドマツ』という東方の飾り物が置かれたりもした。  そういえば、芸能・芸術コースの生徒が行う特別授業として、紅組と白組に分かれて芸を競い合う『歌合戦』などもあったようだが。  結果を聞いていなかった。今年はいったい、どちらが勝利したのだろう?  精霊が宿るといわれている大木や、神秘的な湖などの神霊スポットへお参りに行く『初詣』という行事もあったが、友人たちも行ったのだろうか。  それから、それから……――。  冬の夜空を見上げながら思い浮かべるのは、きらきらと瞬く星の輝きにも似た、思い出たち。  それは『きみ』がこの冬を過ごした証でもあり、雪の上に点々と残した足跡でもあるのだろう。  ならばこの夜、『きみ』の胸の中には。  どんな思い出が、灯ったのだろう――?
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-02-07
完成 2020-02-27
【心愛】恋するライオン (EX)
白兎 GM
 バレンタインデー。  それは、甘く優しい思いが、大陸全体を包み込むチョコレート色の季節。  もちろんそれはフトゥールム・スクエアも例外ではなく、2月を過ぎ3月に入った今でも、そこかしこでチョコレートの話題が聞こえてくる。  『気になるあの人にチョコはあげたの?』『今年は1つくらいは貰えたか?』  そんな浮足立った世間話の中を歩いていた『きみ』は、ふと聞き覚えのある声に顔を向ける。 「話は分かったのですが、しかしですね……」  どこか困ったような声音で誰かと話しているのは、【シトリ・イエライ】……この学園にて上級魔法を担当している、泡麗族の男性教師だった。  彼は、話し相手に目線を合わせるよう身を屈めながら、やはり困ったような顔をしていて。  どうしたのだろうと思った『きみ』が静かな足取りで近づくと、シトリも『きみ』に気付いたようだ、次第に表情を緩め、微笑み、 「ちょうど良い所に。どうか頼まれてはくれませんか」  突然の言葉に、『きみ』は首を傾げる。すると不意に、むにゅっとした感覚が、下のほうから――。 「お願いします~~~後生ですから~~~」  顔を向ければ、二つの後ろ足で立ち上がった猫が『きみ』の脚にへばりついていた。むにゅむにゅ。力をこめられるたびに、肉球の感触を感じる。  あぁ、『ケットシー』だと、『きみ』は理解する。  人語を解し、人間のように二足歩行をする大型の猫は、祖流族と妖精族の特性を真似て作られた魔物であるという。  時に悪戯をして困らせ、また時に猫のフリをして人間に飼われていることもあるというケットシーは、比較的悪意のない魔物であり、 「わたくし、チョコを作ってみたいんです~~~」  こんなふうに、唐突なお願いを持ってくる存在でもある。  思わず苦笑した『きみ』は、隣で似たような表情をしているシトリに顔を向ける。彼は一度頷いてから、 「彼は【レオン】と名乗るケットシーです。どうやらバレンタインの話を聞き、自分を猫として飼ってくれている女性にチョコを送りたいらしく……」 「お嬢様に感謝の気持ちを伝えたいのです~~~わたくし、ステラ様に助けて頂いたのです~~~」  聞けば、レオンはまだ子猫(というのかわからないが、とにかく大人になる前に)の頃、【ステラ】に命を助けて貰い、飼い猫となったらしい。  お腹が空いて蹲っていた時、馬車に轢かれそうになったところをステラに助けて貰ったのだそうだ。 「ですが、そのせいでお嬢様は視力を奪われ、脚も不自由になってしまいました~……」  しょぼん。両耳を下げるレオンは、心から哀しんでいるようだった。余程主人のことを大切に思っているらしい。  思わず頭を撫でてやれば、レオンは嬉しそうに喉を鳴らしながら、 「それからわたくしは、お嬢様の猫として過ごしているのですが~、『猫』ではお嬢様に感謝を伝えられず~」  なるほど、と『きみ』は思う。つまり、本当は言葉を話せる身でありながら、伝えられないもどかしさが、彼の中にずっとあったのだろう。  そんな時、バレンタインの話を聞いて、居ても経ってもいられなくなってしまった。 「ですが、どうやってお嬢様にお渡しするつもりなのです? 仮にチョコレートを作れたとして、あなたは彼女の前では『猫』なのでしょう?」 「それは大丈夫です~。お嬢様は毎日、車いすで公園にお散歩するのが日課でして~」  そこでわたくしとお話をしているのです~。  続く言葉に、ん? と『きみ』は思う。お嬢様と、お話しているって? 「はい~。公園で偶然毎日出会うお友達作戦をしているのです~」 「あぁ、なるほど……ステラさんは目が見えないから、声だけなら正体がわからない、ということですね?」 「はい~。なので、今回は『特別なお友達にチョコをあげる』という流れで、その時お嬢様にお渡ししたいのです~」  それは、『優しい嘘』だった。伝えたい、チョコをあげたい、けれど、真実は伝えられない。  どこか抜けている様子のレオンではあるが、どうすれば大好きなお嬢様にチョコを渡せるか、たくさん考えたのかもしれない。  だからだろうか、『きみ』の口から、『どんなチョコが良いの?』という言葉が零れた。  見るからに瞳を輝かせたレオンは、『きみ』の足にへばりつくのをやめ、ふわふわの両前足を大きく広げながら、 「お嬢様が幸せになれるようなものがいいです~! 数はあればあるほど、嬉しいです~!」  ならばやはり、美味しいものが良いだろう。視覚を奪われているようだから、味で勝負、ということだ。 「それなら、カカオポッドを使ったものが良いでしょう。彼等はこの時期、色々な場所に現れますし、チョコの材料になる板チョコを落としますから」  考え始めた『きみ』に、シトリが手助けする。確かに、カカオポッドを使えばより美味しいチョコレートが作れるだろう。  悪さをしていたわけでもないので多少申し訳ない気持ちはあるが、一定以上砕き倒した後に、何故か包装された板チョコが手に入る謎生物だ。  完全に命を奪わずとも、チョコレートの材料は手に入るだろう。 「しかし、やはり猫の手で料理をするのは……チョコに毛が入ってしまうかもしれませんし……」 「それなら、作るのは諦めます~~~お渡しできるだけでも、良いんです~~~どうか、どうか~~~」  お願いします~~~。涙目で再び『きみ』の脚にへばりつくレオンに、『きみ』は微笑みかける。  甘い甘いチョコレート。それはいわゆる食事とは違い、栄養素に関わらない……食べなくても生きていけるという、いわば『嗜好品』だ。  けれど、だからこそ。この世に存在する理由は、『あなたに幸せになって欲しい』という思いの、優しさの結晶。  ならば、そんな思いを守るのだって、『ゆうしゃ』のお仕事の一つだと言えるだろう。  だから『きみ』は頷いた。それなら一緒にチョコを作ろうと、提案しながら。
参加人数
7 / 8 名
公開 2020-03-01
完成 2020-03-17
七色戦隊、ニジカケ@レンジャー! (EX)
白兎 GM
●刻まれた使命が今、虹になる 「なんですかねぇ、あれ」  ぽかーん。なんて表現が似合うような顔で、彼は言った。  名を【シトリ・イエライ】。フトゥールム・スクエアにて教鞭を執る泡麗族の男は今、学園内のとある平地にて、望遠鏡を覗いていた。  ――遡ること、数十分。きっかけは、『今日は入学式ですね』なんて護衛兼補佐役である少女の言葉だ。  季節は春、カレンダーでいうならエイプリル(四月)。  東方よりエイーア大陸に広まったと言われているオリエンタル・チェリーツリー……『桜』が、固く閉じていた蕾をほころばせ、花びらを降らせるこのシーズン。  フトゥールム・スクエアでも例外でなく、薄紅色の花がいたるところで開き、学園中を淡いパウダーピンクに染めていた。  だから、そう。『新入生や在校生を誘って、お花見でもしましょうか』とシトリが言い出したのは、極々自然なことであり。 (せっかくですし、月待桜が咲く場所にしようかと思って、偵察に来ましたが……)  冒頭に戻る。 「……なんですかねぇ、あれ」 「何をぶつぶつ言っているのですか、マスター。貸してください」  シトリの隣に立っていたカルマの少女、【ベリル・ドロン】が、促すように片手を差し出す。  それに応えるようにして、てのひらに乗せられた望遠鏡を握り、持ち上げ、覗き込んだベリルは、ハッと瞠目(どうもく)し、 「あれは、『ニジカケ@レンジャー!』」 「はい……?」  珍しくも、無表情というよりは興奮に近い反応(といっても、表情は相変わらずで、雰囲気だけだが)を見せたベリルに、シトリは首を傾げる。 「えぇと、もう一回いいですか?」 「ご存じないのですか、マスター。ニジカケ@レンジャー! です」  説明しよう! 『ニジカケ@レンジャー!』とは、とある魔物の集団を差す言葉である。  見た目はコロポックルのような小人だが、しかしすっぽりと赤や青、黄色などのヒーロースーツ&マスクに身を包んでいる、謎多き魔物だ。  しかし怖がることなかれ。彼等は困ったヒトや動物の声があれば、さっそうと現れる、正義の心を持った種族なのである!  だが、お困りごとを解決し次第サッと姿を隠してしまうため、生態不明・正体不明・生息地不明と、大変珍しいモンスター? なのだ。 「ということで、これは大変貴重な機会です、マスター。ここは是非、握手を求めに」 「いやいやいや、魔物ですからね。一応警戒しましょ……こらベリル、待ちなさい」  むんず。言葉通りに突撃しようとしたベリルの後ろ襟を慌てて掴んだシトリは、ため息一つ。 「あなたがああ言うものを好むとは、知りませんでした。いったいどこで覚えたのです?」 「マスターは見たことありませんか? 『勇者の穴』にて時々行われている、ヒーローショーを」  『あれはニジカケ@レンジャー! を元にしているらしいのです』、『暴れた分だけ優しさを知る、素晴らしい物語でした』  真顔ながらも力説され、はぁ、と間の抜けた返事をするシトリ。いやいや、しかし。 「その、ニジカケ?レンジャー? が現れているということは、あの場所に何か問題がある、ということでは?」 「はっ……そうですね。確かにそうです、なんの意味もなく、あのようなポーズを決めていることなど、ありえません」  ベリルの手から望遠鏡を抜き取り、再び覗いたシトリの視界に、ビシッ! とポーズ(ベリルいわく、戦隊ポーズ)を決めている5人の姿が見える。  赤、青、黄色。緑に……藍色? なぜここで藍色? ここはピンクとか黒では? ああいや、それは一旦置いておいて。  それぞれの色のスーツを身に纏ったニジカケ@レンジャーは、シトリが花見の場所に選んだ『月待桜(つきまちざくら)』の群生地の下を陣取っている。 「うーん……参りましたねぇ」  これではお花見ができない。在校生だけならどうにかなるかもしれないが、新入生も呼ぶとなれば、話は別だ。 (入学したての子達を、魔物の群れに突っ込むなんてことは、できませんしねぇ……)  ならば自分たちが、まずはコンタクトを取ってみるべきか。そう思ったシトリは、望遠鏡をぽっけに突っ込み、掴んでいたベリルの後ろ襟を解放する。 「まぁ、近寄ってみましょうか。正義のヒーローならば、話せばわかり合えるかもしれませんし……」 ●立ち上がった数だけ、自分を知る  ――数十分後。入学式の終了したフトゥールム・スクエアの、校門前にて。 「ダメでしたねぇ」  ははっ。乾いた笑みで告げる男性教諭に、『きみ』は苦笑する。はらりと舞う桜の花びらが、くたびれたシトリのローブ――肩の辺りだ――に乗った。 「いやぁ、ダメだったというか……話す機会を作れなかった、が正しいですかね」  頬を掻くシトリが言うに、どうやら近づこうとしたら、手からビーム(左右の手刀を十字型に交差させるような仕草で)(だが怪我はないらしい、加減をされていたのだろうか)を打たれたらしい。 「で、まぁ。完全にお花見ムードで向かったため丸腰で、おいそれと近付けなくてですね……」 「おかしいです。『ニジカケ@レンジャー!』は正義の味方、意味もなく攻撃を仕掛けてくることなど、ないはずなのに」  『きっと、何か理由があったのです』。そう告げるベリルに、『ニジカケ@レンジャー!』? と『きみ』は首を傾げる。  説明しよう! 以下略。 「とまぁ、そういうわけで。今日予定していたお花見は、中止にしようかと思いまして……」  声をかけていたのに、すみません。残念そうに告げるシトリに、『きみ』は首を振る。  シトリが『きみ』に声をかけたのは、入学式が始まる前のこと。 『月待桜と呼ばれる、満月の光で花を開かせる珍しい花があるから、お花見でもどうか』、『新入生にも声をかけるつもりだ』と誘われて。  それに対して『きみ』は、新入生との交流にもなるからと、頷いたのだ。  だが、残念だが、仕方ない。そう思った『きみ』は、しかし浮上した疑問を口にする。  それでは、『ニジカケ@レンジャー!』は放っておくのか? 「そうですねぇ……近づかなければ無害のようなので、近寄るヒトがいないよう、私のほうで監視くらいはしましょうかねぇ」 「しかし、マスター。あの場所には、『ニジカケ@レンジャー!』が現れた理由があるはずです」 「……といっても、あそこには誰もいませんでしたよ?」  困った声に参上するという、ニジカケ@レンジャー。それなのに、あの場所には満月を待つ桜の木々しかなかった。  それをシトリは『魔物のすることだから』で納得しているようだが、正義に憧れを持つ少女は、そうはいかない。 「ですが、木の上に。なにか、大きな鳥の巣のようなものがありました」 「そうなのですか?」  『ニジカケ@レンジャー!』に目がいっていて、上まで注意していませんでしたね。  記憶を探り始めるシトリに、ですから、とベリルは。 「もう一度行くことを提言します。そして何か困りごとがあるのなら、手を差し伸べるのです」  それが私達、『勇者』のあるべき姿ではないのですか。  告げる少女に、ふむ、とシトリは思案する。そんな二人を見ていた『きみ』は、そっと手をあげた。  それなら自分も興味がある。自分もまた、『勇者』を志す、一人だから、と。
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-04-05
完成 2020-04-23
【新歓】『私』から、『あなた』へ――。 (マルチ)
白兎 GM
●桜、ひとひら  ひら、り。        ふわり。    は       ら         り。 ●それは『彼女』の、気紛れ  春が来た。それはフトゥールム・スクエアを中央に配する、エイーア大陸も例外ではないようで。  東方よりこの地に広まったと言われているオリエンタル・チェリーツリー……『桜』が随所で花開き、お祭りムードの学園を淡いピンクに染めている。  そんな桜色を見上げながら、『きみ』はどう思っただろう。一期生であるならば、今年もまたこの季節が、と感慨深く思っただろうか。  二期生であるのなら、ひらり、はらりと舞い降りる桜を受けつつも、周囲の賑やかさに少しだけ、圧倒されたのかもしれない。  『Magic of Delight(マジック・オブ・ディライト)』――学園長の一声で開催が決まったという三日限りの新入生歓迎会は、それはもう、賑やかだった。  見渡す限りのヒト、人、ひと。新入生だけでなく、各出し物の準備に勤しむ在校生や教員、来場客である『レゼント』(学園が内包しているという、住居区画……いわゆる、学園都市である)の住民達など、様々な種族のヒトでごった返している。  それはある意味では、人間も七選(人間族以外のことを、古来よりこう呼んでいる)も関係なく、多種多様な種族が混在して暮らしている現れだと言って良いだろう。  貴族や平民、奴隷といった貧富格差のある地はエイーア大陸の随所にあるが、少なくともこの学園では、ヒトは皆平等であり、理由を付けて差別されることはない、ということだ。  『きみ』はそんな状況を見て、どう思っただろう? 村人・従者コースであるなら、ようやく安寧の地に出会えたと、胸を撫でおろしただろうか。  もしくは、勇者・英雄コースを選んだ者なら、この平和を世界中に届け、守っていきたいと。  黒幕・暗躍コースや王族・貴族コースを選んだのなら、こんな安息を、自分の住んでいた場所でも実現したいと、願ったのかもしれない。  様々な思いを胸に秘め、『きみ』は学園の正門をくぐり、目的の場所……歓迎会による喧騒の中へと向かう。  魔王・覇王コースや武神・無双コースなら、特別闘技場『ブラーヴ・オブリージュ』での模擬戦が。  芸能・芸術コースであるなら、『ファンタ・ブルーム大講堂』(学園中心部にある大きな講堂だ)にて、在校生や卒業生による出し物に興味が湧くだろうか。  大図書館『ワイズ・クレバー』(ここならあらゆる知識が揃うと誉れ高い、フトゥールム・スクエアが内在する図書館だ)では『エイーア大陸基礎知識講座』や簡単な授業のオリエンテーションも開かれているので、教祖・聖職コースや賢者・導師コースを選んだヒトの知識欲を刺激したのかもしれない。  『きみ』はどうだろう? 同じ場所、同じ景色であれど、思うことは十人十色だ。  だからこそ、この学園での生活に夢を、楽しみを……『希望』を抱いてくれたのならば、――『わたし』は、嬉しい。  ◆  それは突然の出会いだった。  『きみ』はふと、歓迎会の賑やかさから切り離されたような、静けさを纏う場所に辿り着いたのだ。  快晴の青空を背に、枝垂れ桜の大樹が一本だけ生えているその場所は、学園内マップに目を通しても見つけられず、どこか神秘的な空気を漂わせている。  不思議に思った『きみ』が近付いて見ると、さらに不可思議な状況に出くわした。  誰も使った気配のない机が枝垂れ桜の下に設置され、その上には『タイムカプセル、承ります』と書かれた紙が無造作に置かれていたのだ。  ご丁寧に、『タイムカプセルとは、未来のあなたに向けて贈る決意表明や、エール、ご褒美みたいなものです』なんて注意書きも記されている。  なんだろう、これは。と首を傾げる『きみ』の耳に、くすくすと小さな女の子の笑い声のようなものが聞こえたが、辺りを見回しても、人影はない。  ……なんだろう、これは。まあここは魔法学園であるのだし、こういった『常識からかけ離れた現象』は、日常茶飯事なのかもしれない。  考えている間にも、ひらひらと零れ落ちる花弁は、まるで時間の経過を示すように、『きみ』の足元に降り積もっていく。  そんな中、『きみ』は。満開の枝垂桜の下、何を思ったのだろう?
参加人数
16 / 16 名
公開 2020-04-23
完成 2020-05-10
【新歓】幕間:君がための、プレリュード (EX)
白兎 GM
●幕間  魔法学園『フトゥールム・スクエア』。  今ではエイーア大陸の者なら誰もが知っているその学園は、『次代の勇者』育成を掲げる、巨大教育機関である。  昨今では、時世の流れもあり。勇者としての教育以外にも、この世界で快適に生き抜けるような技術(魔法や知識、芸能など)をカリキュラムに組んでいたりもするのだが。  それこそ魔王が封じられた直後、『フトゥールム・スクエア』という機関が創立されたばかりの時は、魔王が封じられた後に残った『魔物』という脅威に立ち向かうべくして集まった、有志による『ギルド』という体裁であり、規模も今ほど大きいものではなかったらしい。  それが今や、都市1つを丸ごと内包したり、ここならあらゆる知識が揃うと言われれる程の大図書館を持つようになったのだから、ヒトの力……特に『団結力』というものは、侮れないものだ。  だから、なのかもしれない。フトゥールム・スクエアでは、種族、身分、性別、年齢……いかなる理由でもっても優遇や差別をされることはなく、ある意味では、実力主義の成果主義ともいえるのかもしれない。  とはいえ、その中立さは、門戸の広さにも影響を与えている。  いったいどんな魔法を使っているのか。学園に興味を持つ者の前に、どこからともなく表れるという『入学願書』にサインし、提出さえすれば、――『きみ』はすぐに、この学園の生徒のひとりとなるのだ。  ●Prelude  そんな『きみ』が。この学園に入学してから、どれほどの月日が経っただろう?  二期生であるならば、まだまだ入学したばかりのこの学園の広大さに、慣れない日々が続いているのかもしれない。  一期生であるのなら、少しずつ自分の中に蓄えられていく力に喜んだり、逆に自分の不得手を発見したりして、悔しい思いをしているのかもしれない。  いずれにしても、『きみ』はこの学園に辿り着き、それぞれの人生……自分だけの物語を紡いでいる最中だ。  ならば今日は、『Magic of Delight(マジック・オブ・ディライト)』の喧騒に乗じて、少しばかり後ろをふり返ってもいいだろう。  ――『きみ』はどうして、どうやって。この学園にやってきたのだろうか。  叶えたい夢があったから? 果たしたい思いが、野望、決意が、胸にくすぶっていたから?  そして『きみ』は。この学園に来たばかりの時、まず何を思い、何を為したのだろう。  これは、『あなたのための物語』。その前奏曲を、今日は少しだけ、聞かせて欲しい。
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-05-01
完成 2020-05-20
【新歓】きみと僕らの即興曲 (マルチ)
白兎 GM
●こんなハレの日、だからこそ  ひらひらと。快晴の空を、桜の花びらが舞い遊ぶ今日。  メメル校長の一声で唐突に始まり、賑やかに続いた『Magic of Delight』――マジック・オブ・ディライトも、終わりへと向かっていた。  三日目ともなれば来場客は減り、学園関係者(在校生や新入生、職員など)が主な参加者となる。  とはいえ、入学に年齢制限もなければ、卒業も本人の希望により延期されるフトゥールム・スクエアでは、そもそも在校生の人数が桁外れなのだ。  ゆえに、最終日であっても新入生歓迎会の熱気は健在で、むしろ『明日からは通常授業だし』、『ハメを外すなら今!』なんて強い意志(しかもこれが生徒に限らず、教職員達も混ざっているのだから、この学園らしいともいえるのかもしれない)が爆発しているこの日、予想外の出来事(事件ともいう)が至る所で頻発するのは、仕方のない事だった。  そして、そんな事件に『きみ』が巻き込まれるのもまた、当然のことであろう。 ●始まりの鐘は、突然に  事件は、唐突に起こった。  ガシャーンッ! キャーッ! 人が倒れたぞ! 誰でも良いから、先生呼んできてっ!  そんな騒々しさが耳に届き、『きみ』は急いで足を向ける。  すると、そこには死屍累々といった表現が似つかわしい光景が広がっていた。  どうしたんですか、と思わず尋ねた『きみ』に、彼等は答える。 「スペル湖で開かれている、『激辛カレー大食い大会』には、気を付けろ……」  ガクッ。残された遺言に、間違いなくそれが、この状況の理由だろうと気付いた『きみ』は、安堵の溜息をひとつ。  蹲っている面々は痛みに苦しんでいる様子ではあるのだが、原因がただの刺激物の食べ過ぎであるのなら、いずれ時間が解決してくれるだろう。  ならば、誰か先生がやってくれば大丈夫だな。……と思っていた『きみ』の思考は、すぐに引っ繰り返されることとなる。 「おや、あなた達は。もしや『即興劇』を申し込まれていた、有志のかたがたでは?」  騒ぎを聞きつけてやってきた【シトリ・イエライ】(賢者・導師コースを担当する教員の一人である)が尋ねると、弱々しいながらも『そうです……』なんていう言葉が聞こえてくる。  それを確かに聞き届けたシトリは、『公演前に激辛カレーは駄目でしょう』、『舞台はどうするのですか』、と質問を続けながら、介抱にあたっている。  そんな様子を見ていた『きみ』へ、蹲っていたひとりが手を伸ばした。 「たのむ……舞台を……成功させてくれ……!」  えっ。突然の申し出に驚きを隠せない『きみ』に、倒れていた面々の視線が集う。 「たのむ……! 俺達の代わりに……! この日の為に、たくさんの衣装を、芸能・芸術コースの奴らが作ってくれたんだ……!」  『いや、ならば尚更、ご自分のコンディションには気を付けなければ』と教育的指導をしているシトリの言葉は最もなのだが、『きみ』は引っかかることがあって、質問を返した。  もし、このまま中止になったら、どうなる? 「衣装代とかは、全部俺達でなんとかするから、大丈夫。ただ、手伝ってくれた奴らは、たぶん……悲しむ」  ――悲しむ。それはこんなにも賑やかな晴れの日に、とても似つかわしくない言葉だ。 「元々台本のない、即興劇の予定なんだ。だから、何をしてくれても良い。いやもういっそ、劇じゃなくたっていい!」  俺達の代わりに、用意された衣装を使って、好きにやってくれ!  真っ直ぐな瞳で懇願されて、『きみ』は思う。自分に何かできることはあるだろうか、と。  即興劇という題目を見て客席が埋まるのなら、やはり劇に即したものがお客さん的には違和感はないのだろうが。 「いっそアイドルライブなんていうのも楽しそうですよね。ようは、用意された衣装をお披露目できれば良いのですから」  『きみ』の考えに気付いたのだろう、シトリが微笑んだ。  人差し指を唇にあて、どこか悪戯にウインクした男性教諭は、 「あなたが挑まれるのでしたら、私も出来る範囲で応援しますよ。派手な演出の魔法とか、舞台映えするでしょう?」  なんて言いながらも、どこか楽しそうなのは、意外にそういったものが好きなのかもしれない。  さて、ならば、――『きみ』はどうするのだろう。  時刻は刻々と迫っている。まずは用意された舞台に向かい、並べられた衣装から、自分に何ができるかを考えなければならない。  そして、必要であれば、友人・知人に声をかけ、『きみ』の思い描いた舞台の構想を話す必要もあるだろう。  繰り返す。時刻は刻々と迫っている。  ゆえに台本もなければ、練習時間だってない。ないない尽くしのこの状況で。  この空白ばかりのステージを、『きみ』はどんな色に染め上げるのだろうか。
参加人数
16 / 16 名
公開 2020-05-19
完成 2020-06-06
【体験/新歓】フェスティバル・オブ・チキン (マルチ)
白兎 GM
 春がどんどん深まる。風の匂いが変わる。新しい季節を迎えようとしている。  今日がマジック・オブ・ディライト最終日。夜になっても華やかさは少しも薄れることはない。  祭りが終わってしまう一抹の名残惜しさを感じつつも、これは終わりではなく始まりなのだ。  広場では後夜祭『フトゥールム・ディライト』のメインである打ち上げ花火を見ようと人でごった返していた。  喧噪に佇むステージ。その中心に凛と立つのは【テス・ルベラミエ】だ。 「皆様のおかげでマジック・オブ・ディライトも最後を迎えます。初めての試みでしたが、楽しんでいただけたでしょうか?」  テスが音声拡張魔法でそう話し出すと、観客席からワッと歓声が上がる。 「それでは後夜祭のフィナーレ打ち上げ花火が始まります。では、学園長」 「うむ。チミたち楽しんでるかー! ヒック……楽しい時間ほどあっという間だな、それもよきかな。……だが、我々には後夜祭が残っとる!」  テスに促されて前に歩み出た【メメ・メメル】校長は酒の瓶をマイク代わりに演説を始めた。  すでに酔っぱらってるぞ、この学園長。  出来上がった声に、酒の匂いまで伝わってきそうな酔いっぷりだ。 「……学園長、こちらがマイクとなります。しばしお酒は預かっておきますね」 「ううん? おっとオレサマとしたことが間違えちった☆ ところでテスたん、今日は無礼講だ。お酒を飲みながらでもいいと思わないかね」  ダメに決まってんだろ、メメたん。  テスは駄目ですよ、と楚々たる微笑みで、メメルからさらりとお酒の瓶を取り上げて下がっていく。その手際の良さにさすがテス先輩! と拍手を送りたくなる。 「ちぇー、テスたんはお堅いな。そう思わんかね、チミたち?」  酒を取られふてくされた表情を浮かべたメメルは広場に向かって呼びかける。 「もおーメメたん分かってるんだからなあ。これから花火を背景にフィーバーしたり、イチャイチャしたりするんだろ♪ そう、それこそが若者の真のあるべき姿! こういうときこそハメを外すさんでどうする!」  そうメメルが握りこぶしを作りながら力強く訴えられると、なんだかそんな気がしてきてソワソワ。  だが、教職に就く者としてその発言はどうなのか。 「というわけでぇ、オレサマがとっておきの花火を用意したぞ☆」  メメルはまるで手品のように杖を取り出したかと思うと、 「いでよ、コッコたん!」  突如メメルの周囲に巨大な魔法陣が現れる。魔法陣は強烈な光を放った。夜だというのに眩くて一面が真っ白になった。  恐る恐る学生たちが目を開けるとそこには――。  あ、あれはもしや……!?  かの伝説のフェニックスでは!?  フェニックスといえば勇者の前に現れ試練を与え、ときには勇者の命すら救ったとされる伝説の存在。  炎が祝福するように舞い踊る。全てを灼き尽くさんとする炎はメメルの体を傷つけるどころか守っているようにさえ見えた。  幻想的なまでに美しい火の鳥はメメルの腕へ羽休めするように止まった。  新入生どころか在校生すらも固唾を呑んで見守る。  普段不真面目極まりないあの学園長がまともな魔法使いに見える!  まるで物語に登場するような偉大な魔法使いのようだ。あの学園長が! 実力はあれどメメ・メメルという人物を知るものならばどれだけの異常事態か分かってもらえるに違いない。  おぼろげだった火の鳥がより明確に姿をかたどっていく。  生徒たちのざわめきが大きくなる。  メメルの腕にいたのはフェニックス――ではなく、燃えさかる鶏だった。そう燃えるチキンだ。 「コッコたん整列☆」  いつの間に現れたのだろう。メメルに従うようにずらりと並ぶ鶏が並ぶ様は圧巻だった。さながら軍隊のような規律正しさで並ぶ鶏。なんだか鶏がゲシュタルト崩壊を起こしている。  この鶏、目つきが悪い。まるでマフィアの眼光だ。一般人がいればひと睨みで逃げ出してしまいそうだ。  コッコッコッコ……、と鳴いているが、鶏の鳴き声と言うよりも猟犬の唸り声のようだった。  え、あれが伝説のフェニックスなの!?  勇者を助けたという伝説の不死鳥が鶏……。  心なしか会場のテンションが下がった。  その反応を見て燃えさかる鶏が憤慨するように炎をまき散らす。 「チミたち素直でよろしい! コッコたんはな、フェニックスの一種なんだぞ。キング・オブ・チキン! 弱肉強食を乗り越えたニワトリの中のニワトリ! そう、君の名はフィニクスコッコなのだ☆」  とはいっても、伝説のフェニックスとは別物だがな、とのメメルの言葉に生徒たちは胸を撫でおろす。  夢が壊されなくてよかった。  不機嫌そうなフィニクスコッコは鶏と思えぬ尊大な態度で睥睨した。 「どーどーコッコたん。チミの素晴らしさはこれから見せつけてやればいいのだ」  メメルが勢いよく燃える鶏を宥めると、 「行け、コッコたん1号! 発進だ☆」  その号令に勇ましくコケッコッコー! と鳴いたかと思うと、鶏は燃える羽を威嚇するように広げ空へ羽ばたいた。  え。鶏って空を飛ぶっけ?  そんな疑問が頭によぎりながらも呆気にとられたように空を見上げる。  そして、鶏は空のお星さまとなった――自爆したのだ。  美しい花火だ。これが鶏の生命の輝きだと知らなければ文句なく美しい。  赤や黄や緑の色とりどりの光をぶちまけて消えた後、しんと空が静まりかえった。ついでに地上も静まりかえった。 「なんだなんだ揃いも揃ってお通夜みたいな顔をしおって。安心せい、コッコたんは空からチミたちを見守っておるぞ」  鬼かよ、メメたん! 「ふーむ、チミたちは素直な花丸良い子だな! 安心ちたまえ! 種明かしするとだな、コッコたんは明日の朝になれば蘇っとる。コッコたんにとって爆発は新陳代謝みたいなもんだからな」  メメルの言葉を聞いてホッとした空気が流れる。そもそもの元凶は目の前にいる学園長なのだが。 「話は終わりじゃい。さあて酒飲むぞ! テスたん返しとくり」  メメルはステージから立ち去ろうとして、不意に何かを思い出したように振り返った。 「おっと言い忘れとったな。逃亡したコッコたんがあっちこっちで爆発するかもしれんが、メンゴ☆」  チミたちなら大丈夫だ、と取って付けた言葉を吐き、メメルは誤魔化すようにウィンクを決めた。  ドカンッ! という大音響とともに丸く大きな花火が夜空に開いた。  次々と絶えることなく鶏が空を飛び、花火となって消えていく。  つまり花火があがる度に燃えさかる鶏が自爆しているということを意味している。  夜空に咲く刹那の大輪の花。それとは裏腹に地上はいろんな意味でざわめいていた。
参加人数
17 / 16 名
公開 2020-05-08
完成 2020-09-17
仮初のJune bride (EX)
白兎 GM
●妖精猫の見る夢は  晴れやかな空の下、広がる花畑の中心で。お嬢様が笑みを零した。  絹糸のような白銀色の髪をきらきらと煌めかせ、澄んだサファイアの色をした両目を細めるお嬢様は、それはもう美しくて、可憐で、麗しくて。 「ねぇ、【レオン】……」  微笑みを湛えたお嬢様が、真っ直ぐにわたくしを見る。  いつもなら魔法式車椅子の上でピクリとも動かない両脚が、しっかりと大地を踏みしめているのを見るだけで、わたくしは泣きそうになってしまう。  そんなわたくしを『見た』――普段なら、盲目であるお嬢様の瞳は、閉じられているのに――【ステラ】様は……、 「私、レオンのことが大好きよ。あなたと出会えて本当によかったって、思っているの」  まるでこの恋心すら許してくださるような、慈愛の眼差しで、わたくしに微笑んでくださる。  だからわたくしは、もうどうしようもなく、耐えられなくてしまって。 「ステラさま~~~っ!!! わたくしも、ステラさまが、だいっ、だいっ、大好きなんです~~~!!!」  ぎゅっと抱き着いて。何度でも、何度でも、口にするのだ。  ――現実世界では、きっと許されないだろう。お嬢様に捧げる、この気持ちを。 ●グリモワール:『ジューン・ブライド』 「はぁ……ステラお嬢様……」  有り余るほどの多幸感や、胸の痛みと共に零れたのは、淡いため息。  明らかなる恋心をその声に宿した、茶トラ柄のケット・シー(ケット・シーとは、祖流族と妖精族の特性を真似て作られた、二足歩行をする大型猫のような魔物である)……レオンは、まあるい猫の両手を器用に使って、その本を閉じた。  時刻は昼、場所はフトゥールム・スクエアの中庭……の隅っこにある、草むらの中。  この日レオンは、最近始めたお仕事――彼の飼い主でもあるお嬢様が入学したその日から、毎日のように学園へ忍び込んでいたレオンは。その度に、この学園で教師をしている金髪の導師に注意され、ついには『いちおう魔物の括りなのですから。うっかり退治されないよう、私の使い魔として、申請しておきましょうか』と苦笑され、そのお礼として手伝いをするようになったのだ――でもらった、初めてのお給金で、あるものを購入していた。  まるで天鵞絨(ビロード)のように艶やかな、赤色の装丁を施されたその本は、グリモワール:『ジューン・ブライド』という名前で知られている、魔生族に向けて造られた魔導書である。  未だに謎の多いカルマという種族は、それが良いか悪いかの話はさておき、『感情』らしきものを発現させない者が殆どであるらしい。  そんなカルマ達が抱く、マスターの『心』をもっと理解したい、という要望に応えた魔導書群の一冊が、この『ジューン・ブライド』なのである。  だが、しかし――。 (まさか、自分が『恋愛小説の主人公』になれる本が存在するなんて。魔法使いってすごいんですね~)  正確に言えば『他者に向ける恋や愛、自身に向けられる愛を擬似的に体感し、学べる本』なのだが、既に感情を知っている生物にとっては、『疑似恋愛が楽しめる本』として扱われ、学園内でも『一度は読んでみたい本』と話題に上がることも多い。  ゆえにレオンが、初めてのお給金を握りしめ。レゼントの街を駆け回り、この本を手にしたのは、必然でもあった。  なぜなら彼は……未だ猫と偽ったままであるお嬢様に、身分違いどころか種族違いの、『恋』をしているからだ。 (でも、この本があれば。擬似的ではありますが、ステラ様とお話ができます~)  しかも回数無制限だなんて、素敵ですね~。  たとえ夢のようなものであるとはいえ、現実にはけして叶えられないことを体感させてくれるこの魔導書は、レオンにとっては間違いなく『幸せな時間をくれる。素晴らしいもの』であった。  ゆえに、そんな彼が。『そうです~、この幸せを、皆さんにもお裾分けしたいです~』と考え、購買を担当する職員に入荷の検討をお願いしにいったのは、言わずもがなであり。  『確かに、カルマの生徒や、愛を与えられない過酷な状況を過ごしていた生徒もいるだろうし。心の癒しとしても、並べてみるのはアリかもしれない』なんて会議の末に、購買部の魔導書コーナーに並んだのも、当然の結果だったのである。 ◆  だからこそ、『きみ』がこの魔導書を手にしたのも、必然だったのかもしれない。  『購買部に入荷されたという話を聞いて』、『そもそもどんな本かは知らず、見たことのない物だから購入した』などなど、理由はそれぞれに、色々とあるのだろうが。  今『きみ』は、自室にて購入したばかりの魔導書……『ジューン・ブライド』の表紙を開こうとしている。  ――そうして始まるのは、『きみ』を主人公として取り込んだ、恋物語だ。  ハッピーエンドも、メリーバッドエンドも。全ては『きみ』の中にある、愛の形次第だろうか。  時間にして1、2時間。けれどその間、確かに恋をし、愛をその胸に抱いていただろう『きみ』は。  いったいどんな表情で、どんな言葉で。『愛しいヒト』との時間を過ごしているのだろう。
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-06-05
完成 2020-06-25
泡沫のJune bride (マルチ)
白兎 GM
●Azalea  痛い、いたい、イタイ。  どうしてこんなことになったのだろうと。朦朧とする意識の中、思う。  今日はいつも通り、この場所に、薬草を摘みに来ていたのだ。私はしがない薬草売りで、それで生計を立てていたから。  けれど、この日。いつもの場所に、アイツがいたのだ。赤い目をした、狼のような、魔物が。  それで、私は。逃げようとして、でも、追いつかれてしまって。  ぐちゃぐちゃに、されて。痛くて、いたくて、堪らなくて。  泣いていたら、アイツは飽きたのか、何処かへ行ってしまって。  だから、今のうちに村に帰ろうと思っても、体が、ぜんぜん、動かなくて。  あぁ、私は。死んで、この世界に、還るんだと。  そんなことを、まるで他人事のように、思って。  なみだが、あふれて。  いやだ、嫌だ、イヤだ――死にたくない。  私には約束があるのだ。数か月後に、結婚の約束を、しているのだ。  幼い頃から憧れて、大好きだった、あのヒトと。  やっと、結ばれて。これから幸せな毎日を、贈る予定、だったのに。  どうしてこんなことになったの? 神様、どうして、私をこんな目に合わせるの?  どうして私は、あなたを置いて、消えてしまうの?  いやだ、イヤだ。  嫌だ、いやだ、イヤだ……! (消えたくない……っ!)  あなたに、会いたい。あなたに、愛していると、言いたい。  ずっと憧れだった花嫁衣裳を着て、あなたに、綺麗だと、笑われたい。  きっとあなたは、照れくさそうに言うんだろう。ぶっきらぼうに、でも、優しそうに。  いやだ。  嫌だ、イヤだ、いやだ嫌だイヤだ……っ! (わたしは、あなたと。生きて、いたい……っ!) ……… …… … 「あれ、わたし。……わたしは、だれ?」 ●Tatarian aster 「さて。今回の依頼について、なのですが……」 「私がリバイバルになった理由……失くしてしまった『何か』を、一緒に探し出して、欲しいのです」  六月のある日。雨を受けた紫陽花が、きらきらと涙を零す、その日。  『きみ』はある教室に来ていた。本日参加する予定の、課題の概要を聞くためだ。  教卓の前には、担当教官である【シトリ・イエライ】と、薄紅色の髪をした女性が立っている。  【アザレア】と名乗ったそのヒトは、リバイバルだった。体全体が薄らと透けている彼女は、穏やかな表情で、言葉を紡ぐ。 「それが原因で、私は消えてしまうかもしれないと、シトリ先生より聞き及んでおります。ですが、どうしても、私は思い出したいのです」  どうして? と誰かが言った。女はゆるりと、微笑んで、 「わかりません。ですが、今の私は、とても大切な『何か』を、失ってしまったように思うのです」  そして自分は、その『何か』のために。リバイバルとして、この世界に残ったような、気がして。  答える彼女に、『きみ』は尋ねる。思い出して、この世界から消えてしまっても、良いのかと。 「消えてしまうのは、怖い……と、思います」  ……ですが、私は。 「このまま、心にぽっかりとした穴が。空いたままでいることも、とても、辛いのです」  何か、なにか、とても大切なことを。どこかに置き去りにしているような、気がして。  呟く彼女は、哀しげに、瞳を伏せた。困惑、悲哀、そして、どうしようもない、喪失感。  様々な影を落とす彼女の隣で、シトリが声を発する。 「皆さんもご存知の通り、リバイバルは『死んだ瞬間の記憶や思い』を持つことは出来ません。思い出した瞬間、魂がその重みに耐えられず、崩壊してしまうからです」  命あるモノは皆、死を迎えた後。その体や魂ごと、光の粒子(魔力の残滓)へと姿を変え、この世界から消えてしまう。  ヒトによってはそれを『世界に還る』と言ったり、『次の輪廻への、準備に入った』と考えるようだが。  人間族の中では、極まれに。消滅を免れる――正確に言えば、消滅するよりも前に。『消えたくない』という思いが周囲の魔力をかき集め、自らへと補い、この世界に魂だけをの残した状態で存在してしまう――ことがあるのだという。  それが即ち、リバイバル……『魂霊族』と呼ばれる人達だ。  だからこそ、リバイバルは不安定な在り方をしていると言っても、過言ではない。  その体は普通の人間族とは違い、魔力で構成されているため、実体としては存在していないのだ。  ゆえに、思わぬ場面で。自分がどのように死んだのか。そしてその時、どのように、思っていたのか。  そういった、自分の死に纏わる強い想起に直面することで、突然消滅してしまうこともあるのだという。  まるで、ふわふわと浮いていたシャボン玉が、ふいに弾けて、消えてしまうように。 「それでも……私は、思い出したいのです」  アザレアは懇願した。『きみ』の顔を見て、迷いのない眼差しで、告げる。 「消えるまでの、束の間でも良いのです。どうか、私に、……わたし、に」  何を失ったのかもわからない女は、そのまま口を噤む。眉を顰める彼女は、精一杯に言葉を探しているようだった。  けれども彼女は、それきり何も言わずに、頭を下げた。  ――何を失ったのかも、わからないが、ゆえに。   ◆   アザレアが教室を出た後。  一人の男――フードを目深にかぶったその人は。壁にもたれる様な形で、ずっと室内にいたようだ――が教壇に立った。  そして、ゆっくりとした動作で、フードを脱ぐ。ドラゴニア特有の黒い角が、姿を現した。  シトリが口を開く。 「そして、彼が。今回の課題の、もう一人の、依頼主です」 「俺の名前は【紫苑】(しおん)、生前の彼女の婚約者で、恋人だ」  彼女とは、結婚の約束をしていてな。  続くその言葉に、『きみ』は、気付いてしまった。  あぁ、それが。アザレアがこの世に残した未練、消えたくないと願った、想いなのだろうと。  だから、そんな『きみ』を見て、紫苑は苦笑する。 「恐らく、君たちが想像した通りだと思う。彼女は数か月前、不遇にも魔物に襲われて、リバイバルになったようなのだが……」  紫苑が語るに、事は中々、複雑なようだった。  数か月前にリバイバルとなった彼女は、偶然通りがかった冒険者に保護され、彼女と紫苑が暮らしているのとは別の村で日々を過ごしていた。  しかし、彼女を必死に探していた紫苑が、彼女の居場所を見つけ、出会ったことで、歯車が回り始める。 「彼女は、俺に会って、今までの記憶を思い出し始めているようなのだ」  自分はアザレアという名前で。故郷の片田舎で、薬草を売って生計を立てていたこと。  家族には先立たれていて、既に天涯孤独の身の上であること。  けれど、とても大切で、大事な、『誰か』がいたこと。 「だが、その誰かが俺であることには気づいていないようだ。恐らく、リバイバルになった原因と、深く関わりがあるからだろう」  ゆえに、自分はアザレアには、それ以来会っていない。  けれど、アザレアは。全てを思い出したいと、最近、生まれの村に帰ってきたらしい。 「だから、手を貸して欲しい。俺は彼女に……消えて欲しくない。生きていれば、きっと、新しい思い出も、別の形の幸せも、手に入れられると思うから」  そのために、彼女にバレないように村を出る、手伝いをして欲しい。  男は頭を下げ、教室の中が静まり返る。  だから『きみ』は、何かを言おうとして、口を噤んだ。  ――自分の言葉が、行動が。選択が。二人の未来を、まるで違うものにしてしまう可能性に、気付いたからだ。
参加人数
13 / 16 名
公開 2020-06-19
完成 2020-07-08
【体験/水着】流星のメモリア (マルチ)
白兎 GM
●学園長の一声、および、思いつき  ――フトゥールム・スクエア、学園長室。 「ほう、ほうほう! 流星雨とな!」  元気いっぱいの声が頷くたびに、青のとんがり帽子が揺れる。  見るからにふかふかな椅子に腰かけ、サファイアのような青の瞳を瞬かせる【メメ・メメル】は、この学園のトップに位置する存在であり、『精霊賢者』の異名を持つ、大変優秀な魔法使いである。  しかし、性格は突飛で自由奔放。  彼女を快く思う者が聞けば、『そんな中にも、ちゃんと、学園長なりの考えがあるんです』なんてフォローも入るのだろうが、最近は適当な所ばかりが前面にでているため、一部の生徒達からはSSM!(※『そこまでにしておけよメメたん』の略である)なんて言われることも多い。  そんな彼女は今、学園教師の一人である、【シトリ・イエライ】からの報告書を読んでいた。  内容は、『数日後に、流星群が観測されそうだ』という、彼による天体予測だ。  しかし、この世界において、流星群はそこまで珍しいものではない。  『星の降る夜に、スペル湖にて愛を語り合うと。真実の愛に巡り合える』なんていう噂が生徒間で飛び交う程にはポピュラーで、頻度としては月に一、二度あることなのだ。  それなのに、わざわざ報告書を認めたということは、 「今回の流星群は、通常とは少々異なり、かなりの量になりそうです。まさに『雨』といって良いでしょう」 「シトりんはそれを、天変地異とか異常気象……つまり、凶兆ではないかと感じているのかえ?」  「はい。近頃は魔物の脅威も増えていますし、魔王を信奉している魔族が暗躍している節もございますので」 「んん~……そうだなぁ」  告げながら、メメルは椅子の背もたれに寄りかかる。木の軋むような音がする中、彼女は浅い息を吐いた。  確かに、占星術という言葉があるように。『星』は占いや魔法にも取り入れられ、『世界』そのものから様々な啓示があるとも考えられている。 「でもなぁ~……オレサマ、流星雨はスキなんだよな~、キラキラ綺麗だし、これも吉兆じゃないかな~」 「そんな判断の仕方で、良いのです?」  苦笑するシトリに、メメルは笑う。シトりんは頭が固いなあ、なんて言いながら。 「ま、仮に凶兆だとしても、人生楽しんだもの勝ちだゾ☆ これから何か起こるかもしれないのなら、今は羽根を伸ばして、英気を養う時だとオレサマ思うな~」  と、いうわけで。 「しょく~~~~ん!! 星降る夜に、キャンプをするぞ~~~~!!!」  メメル校長お得意の『学園全体に声を響かせる』魔法が、突然の野外活動を高らかに宣言したのであった。 ●星の降る夜に  そんなわけで。  今『きみ』は、掲示板に突然現れた(恐らく魔法の類だろう)、『スペル湖で流星雨を楽しもう! 水着で水遊びしたり、浴衣でキャッキャウフフにあ~れ~なこともできるゾ☆』なんていう張り紙を見ていた。  やたらと長い題目ではあったが、つまり『思いっきり、夏を楽しもう!』ということであるらしい。  確かに、授業や課題の毎日ばかりでは、息が詰まるというもの。  『きみ』がもし新入生であるのなら、慣れない環境への対応も相俟って、尚更疲れが出てきていることだろう。  ならば、こういった催しでゆっくりと疲れを癒すのは、とても良いことなのかもしれない。  そう思った『きみ』は、概要を読み進めてみる。なになに……? 『場所はスペル湖だ! この日は流星雨が流れるらしいので、恋人が欲しいチミは、存分に愛について語らうと良いゾ☆』  スペル湖といえば、広大な学園の敷地内の西側に広がる、これまた広大な湖だ。  湖畔には公園もあり、生徒や近隣の住民の憩いの場にもなっているのだが、今回はキャンプイベントで貸し切り状態になるらしい。  泳ぎの授業にも使われる場所なので、夏の暑さが厳しくなってきている今日この頃、水遊びにはちょうど良いのかもしれない。 『水着や浴衣を持っていないチミ達! 安心したまえ! 貸し出しスペースを用意したので、みんなでキャッキャウフフと選ぶのだ!』  キャッキャウフフはさておき、借りることが出来るなら、お財布にも優しいだろう。  気に入ったものはそのまま購入もできるようなので、気になるあの子がいるのなら、コーディネート&プレゼントも出来そうだ。 『というわけで、服装は自由だゾ☆ 一日水着で過ごすもよし、夜だけ浴衣に着替えるもよし。自分なりの楽しいを満喫するべし!』  なるほど、なるほど。やはり暑いからだろうか、行程にはテント設営や夕飯(カレー)作りなどもあるが、そういった時間も服装は自由であるらしい。つまり、オール水着でも問題ないわけだ。 『そういえば、この時期のスペル湖では、たま~~~にファイアフライ(東の方で『蛍』とも呼ばれている奴だな!)も来るみたいだな。運が良ければ見られるかもしれんのう』  ファイヤフライ……蛍といえば、淡い黄色の光を灯す、とても美しい原生生物だ。  空には流星雨、そして湖のほとりに蛍まで現れたら、まさに絶景であるのかもしれない。  ゆえに『きみ』は、誘われるように、参加チケットに手を伸ばす。  この学園らしい、賑やかな夏の始まりを、感じながら。
参加人数
16 / 16 名
公開 2020-07-10
完成 2020-08-15
【想刻】空蝉の随に (EX)
白兎 GM
●揺らぐ空蝉  エイーア大陸の最東端。  北にエルメラルダ、南にトロメイアを置いたその場所には、『幻灯(げんとう)』という名の國(くに)が存在する。  歴史としてせいぜい200年程度のこの國は、同じく大陸の最東端に位置する港『来々(ライライ)』を所有し、今も発展を続けている貿易都市だ。  そして、その名前からも想像できるように、幻灯はエイーア大陸の中でも珍しい、東方の文化に満ちた場所である。  というのも、幻灯は元々、この大陸に住まう東方民やその子孫が集って、作りあげた國なのだ。  エイーア大陸に住まいながらも、東方に縁の在る者達が、遠き故郷を懐かしんで創設した、仮初のふるさと。  だからだろうか、建物や食べ物、服装に至るまで。オリエンタルな雰囲気に包まれているこの場所は、エイーア大陸出身者にとっては、異国情緒が楽しめる観光地ともなっている。  たとえば、繁華街『灯火(ともしび)』。  東西南北それぞれに、東方にて祀られているという四頭の獣の像を置き。  それらにちなんだ名前を持つ門が建てられた繁華街は、主に東方から輸入された食品や工芸品、生活雑貨などで溢れている。  もちろん東方の料理を得意とする飲食店も豊富なため、『食通ならば、一度は足を運ぶ』とまで言われている。  しかも、四つ辻……二つの通りが交差する場所であり、繁華街の中央には、見るからに立派な旅館が、荘厳な存在感を放っている。  『雀の宿』(東方に伝わる御伽噺が、名前の由来らしい)という高級旅館は、東方では『楼閣形式』というタイプの建物であり。  空にそびえる五枚の屋根は、それぞれに地・水・火・風・空を表しているというのだから、なんとも幽玄だ。  その他にも、幻灯には様々な東方文化が散らばっており。故にこの國を訪れた東方の民は、口を揃えてこう言うそうだ。 「あぁ、懐かしい。たとえ今は遠くとも、我が心は。あの美しき桜の都(みやこ)を、忘れてはいない――」 ●消える陽炎 「じゃあ、そこに行ったら、カズラのことも何かわかるのか?」  ひょこり。ベンチの影から突然現れるような形で、【フィーカ・ラファール】は、そう告げた。  その隣には、マフラーを引っ張られるようにして、フィーカに連れ回されていたらしい【カズラ・ナカノト】の姿もある。  突然の介入者に『きみ』は――夏休みに入り、時間のゆとりも出来た『きみ』は。中庭にて偶然出会った【シトリ・イエライ】との世間話に興じていた――、記憶の糸を手繰り寄せる。  そういえば、カズラという名前以外、何も覚えていないというこの青年が。学園内で空腹に倒れていたのを発見したのも、フィーカであったと聞いている。  あの時は『鬼』が出たなどの騒ぎにもなったのだが、今ではすっかり、カズラも学園に通う生徒の一員だ。  そしてその傍には、だいたいフィーカの姿があったようにも、『きみ』は思う。  考えてみれば、幼い頃に故郷を焼き払われたというフィーカ(確か、それが原因で『カリドゥ・グラキエス』という翼竜が暴れる事件が起きたはずだ)という少年もまた、カズラと同じように、過去を『失くした』と言えるのだろう。  しかし、カズラの場合は、ただ過去を見失っているだけに過ぎない。  ならば――。 「何か、思い出せるか? そしたらまた、家族にも、会える?」  『きみ』の物思いを継ぐように、フィーカは言葉を繋いだ。  かぞく。それはきっと、フィーカがもう決して取り戻せない温もりであり、彼にとってとても大切な思い出だ。  隣に立つカズラはピンと来ない様子ではあったが、もしも家族と離れ離れになっているのなら、会わせてあげたいとフィーカが思うのは、必然なのかもしれない。  だからだろうか。彼の手には、カズラが学園に来た経緯と身体的特徴を書いた紙の束――そういえば、最近レゼント内でこれを、よく見かける気がする――があり。  そんな彼へ、シトリはやんわりと微笑みかける。 「それは……私には、わかりません。ですが、確かに『カズラ』とは、つる草を指した東方の呼び名です」  行ってみる価値は、あるのかもしれませんね。  そう続いた言葉に、フィーカは満面の笑みを見せ、そして、 「いこう、カズラ! 家族のこと、何かわかるかもしれないぞ!」 「……フィーカが、いきたい、なら」 「いきたい! きまり!」 「こらこら、お待ちなさい。まさか今から、向かうつもりで?」   カズラのマフラーを引っ掴んだまま走り出そうとしたフィーカの外衣を、シトリの指が掴む。 「……だめか?」 「駄目ではありませんが、あなたがた二人だけでは、危険です。せめて何人か、護衛を雇ってから……」  ふいに、言葉を止めたシトリが、そのまま『きみ』へと顔を向ける。そうだ。 「せっかくですから、社会科見学も兼ねて、頼まれてはくれませんか? 依頼料は私が払いますし」  ちょっと大目に包んでおくので、お小遣いとして、どうぞお使いください。  なんて笑うシトリの向こうでは、きらきらとした瞳でこちらの返答を待つ、フィーカがいる。  だから『きみ』は苦笑して、けれどしっかりと、頷いたのだった。 ◆  それから、『きみ』は。同じくシトリに声をかけられた学友たちと共に、幻灯に降り立つ。  ちなみに、グリフォンを使った移動は野盗に襲われる心配もなければ、幸運にも空を縄張りとする魔物に遭遇することもなく。  ゆえに、多少距離があったとはいえ、『きみ』達にとっては快適な旅路となった。  だからこそ、『きみ』は。シトリの言った『危険』という言葉をいささか不思議に思ったが、そんな疑問は賑やかな声を前にして掻き消える。  何故なら右も左も、視界いっぱいに行き交う人、ひと。ヒトの波が、『きみ』達を迎えたからだ。 「すごいぞ! 色んな種族のヒトが、いっぱいいる! これなら、カズラを知っているヒトがいるかもしれないぞ!」  興奮しているのか、白猫の尾を揺らすフィーカに対し、カズラはやはり、ぼんやりとするだけ。  けれどそんなことは気にもせず、フィーカは『きみ』たちに頭を下げてから、こう言った。  「護衛、ありがとな! おれたちはまず、こちょーらんゆうぎりせんせーってひとに、会ってくる!」  【胡蝶蘭・夕霧】(こちょうらん ゆうぎり)。  その名前は、『きみ』達が出発する前、シトリがフィーカに教えていたものだ。  なんでも、幻灯の国境警備施設に籍を置いている女性で、フトゥールム・スクエアの黒幕・暗躍コースの先生でもあるという。  『といっても。夕霧はもう随分と長い間幻灯に居り、学園を目指して入港した東方民のサポートをしているので。会ったことがない方のほうが、多いかもしれませんが』。  なんていうシトリの表情はどこか爽やかで、もしかしたら苦手な相手なのかな、なんてひそひそ声を『きみ』は聞いたような気もしたが。  ともあれ、シトリから頼まれた護衛の任務は幻灯に着いた時点で達成しており、今からは、自由時間の始まりである。  このままフィーカ達の動向を見守ってもいいし、気の向くままに街を歩いてみるのもいいだろう。  耳に聞こえる言葉や目に入る看板の文字を見るに、幻灯では大陸共通言語と東方で主に使われてる言葉のどちらもが使われているらしい。  ならばコミュニケーション上の心配はなさそうだ。そう思った『きみ』は、心の赴くままに、足を動かし始める。  ちりん。どこかの軒下に吊り下げられた風鈴が、涼やかな音を立てた。
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-08-07
完成 2020-08-28
【想刻】忘却の勇戦 (EX)
白兎 GM
●アリアドネの糸口  ――【カズラ・ナカノト】が。『オスカーという人物に、奴隷として買われた』という情報を、バグシュタット王国にて入手してから、数日の間をおいて。  【フィーカ・ラファール】とカズラは、学園教師である【シトリ・イエライ】に呼ばれ、彼の執務室に来ていた。  その場には『きみ』を含め、今までのカズラの捜索に手を差し伸べた生徒や、シトリに声をかけられる形で、今回初めて協力する者達も多く集っている。  そんな中、シトリは今までの経緯を纏めるように、質問を重ねていく。 「つまり、カズラさん。あなたは純種ドラゴニアに近いその瞳が原因で、仲間として受け入れられず」 「……うん」 「その結果。経緯は不明だが、奴隷となり。【シュリヒ】と言う男により、【オスカー】という商人へ売られた、と」 「……ん。でも、父さんと母さん、は……幸せを願って、『ナカノト』って名前をつけてくれたかも、しれなくて……それ、で……」 「もしかしたら、弟さんがいるかもしれない、ということでしたね。……そして、フィーカさん」 「はい」 「あなたの御父上は『オスカー』という名前で、ご自身もリストニアルタの出身であることを覚えてはいるが、それ以外のことは……」 「おぼえてない。そもそも『オスカー』が父さんの名前だってことも、聞いたときに、ふっと思い出しただけで」 「では、お母様の名前も?」 [……おぼえてない。『きっと、ショック過ぎて、色々忘れちゃったんだめぇ~』って、メッチェせんせーはいってた」 「なるほど。では、その『ショック』の内容については、お話できますか?」  気遣うようなシトリの言葉に、フィーカは少しだけ視線を彷徨わせてから、こくりと頷く。 「……おれの村……リストニアルタ、は。でっかいドラゴンに燃やされて、なくなったんだ」  それは遠い、子どもの頃の思い出。フィーカの話はやはり不鮮明だったが、それでも忘れられない記憶であるからか、その声には熱が籠っていた。 「なんでそうなったのかは、覚えてない。そいつがどうして村にやってきたのかも。でも、そいつがおれたちの幸せをぶち壊したのは、覚えてる」  あの日、あの夜。見たこともないほど大きくて、恐い目をしたあいつが。何もかもを壊して、燃やし尽くしたんだ。 「おれが覚えているのは、そいつを見上げて、『お前のせいだ!』って叫んでたこと。……動かなくなった母さんを、抱えて」  でも、子どもがいくら喚(わめ)いても、ドラゴンには何の痛手にもならない。  そいつは笑うように鳴いてから、悠々と飛び去って。自分たちの前から、姿を消した。 「だから、強くなって。復讐してやろうと、剣を取って。……おれ、『カリドゥ・グラキエス』って奴が、その竜だと、思って」  でも、間違って。ひどい迷惑を、いっぱいかけた。 「おれ、まだ、謝ってない。……あのときは、ごめんなさい」  俯くフィーカに首を振って応えたのは、きっと『あの時』あの場所で、炎と氷を纏いし竜の翼を折った者達だろう。  ゆえに、ふっと微笑んだシトリは、フィーカの頭を軽く撫でててから、片手をあげる。 「ベリル、地図を」 「はい、マスター」  呼び声に応えたのは、【ベリル・ドロン】と名付けられたカルマの少女だった。  シトリの補佐役であり、武神・無双コースの先輩にもあたる彼女は、指示された通りに地図を持ち、机の上に広げる。  そうして目の前に現れたのは、エイーア大陸の縮図だった。その上……円で丸く囲まれた部分――それはシトリが、とある女生徒と共に。流星雨を観測した時につけられたものだ――を、シトリの指先が押さえる。 「フィーカさん。あなたの言うリストニアルタとは、かつてこの地点に『あった』、村の名前です」  『あった』という言葉から、今はもうないのだろうと、『きみ』は気付いた。恐らくはフィーカの言う、ドラゴンの影響で。  同じように、誰もが思ったのだろう。しんとした沈黙の中、シトリは言葉を続ける。 「位置としては、グラヌーゼとエルメラルダの間となります。この村は、なんの魔力反応も観測されない夜に、突然更地となり。生存者もいないとされていましたが……」  なるほど、その原因はドラゴンの襲来であり。そしてあなたが、あの村の、生き残りだったのですね。  静かに告げるシトリは、フィーカに視線を戻した。改めて、自分の生まれた場所を知った少年は、食い入るように丸のついた部分を見つめている。 「そっか……いくら地図を探しても、見つからなかったのは。もう、村が完全になくなって、記される必要がなかったから、なんだ」 「はい。そしてこの話を知っているのも、学園長を含む、各領地の有力者に限られています。一般の方が知れば、無用な混乱を招きますからね」  ですから皆さんも、この部屋で聞いたことは、内密に。  人差し指を唇に寄せたシトリは、まるで内緒話をするかのように、集う生徒達へ笑って見せた。  けれどすぐに、その表情を真面目なものに入れ替えると、 「……いかがしますか? どうやらカズラさんの過去をさらに探るには、フィーカさんの過去をも取り戻す必要があるようです」  向かいますか? あなたが全てを失った、あの場所へ。  その言葉に、フィーカは顔をあげた。あげて、カズラを見る。青と緑の視線が、交わった。 「……カズラは、『思い出したほうが良いのか、悪いのか。わからない』っていってた。そっか、それは。こんな気持ち、なんだな」  でも。カズラは。 「自分自身に向き合うって決めた。なら、おれも……」  向き合うよ。それが答えで、次に進むべき、道だった。 ◆  しかし、リストニアルタの跡地に辿り着いた彼等を迎えたのは。歓喜の言葉だった。 「まぁ、あのヒトの言う通り! また会えて嬉しいわ、『鏡の目を持つドラゴニア(わたくしのダイヤモンド)』!」  歌うように、女が告げる。仮面により表情は見えなかったが、陶酔すらをも感じさせるその声は、どこか場違いで。  だからこそ、『きみ』は前に出る。その腕でカズラとフィーカを、庇うように。 「いやだ。わたくしの宝石に虫がついてる、潰さなきゃ」 「……だれ?」 「まぁ! 覚えてないの? わたくし、忘れたことなんて、一度もないのに!」  カズラの言葉に、女が反応する。そして何故か、べらべらと、喋り始めた。  女は『イストラトス』という犯罪集団を率いる首領であること。  そして過去に、美しい宝石であるカズラの瞳を奪うため、手下たちと共に襲撃したこと。  しかしその時、返り討ちに遭い。半分以上の手下を失ったこと。 「けれど、でもでも! それでもあなたの美しさが、わたくし、忘れられなくて!」  願い、祈り、憎んだ末に。――力を貸してくれる、『あのヒト』に出会えたこと。 「えぇ、だから! 今日が収穫祭なの、おわかり?」 「全く分かりませんが。あなたが私の大事な生徒達に、危害を加えようとしていることだけはわかります」  トン、と。シトリが大杖で地を叩く。そうして広がる魔法陣は、瞬く間に光の壁を発生させた。  その向こうには、女と、その取り巻きである男達……恐らくはイストラトスの残党だろう姿が見える。 「……今のうちに、フィーカさんは探索を。しかしこの壁も、攻撃が始まれば、長くは持ちません」 「わかった! おれの家があったあたり、探してみる!」 「お願いします。そして皆さんは、私と共に」  迎撃を。その言葉に『きみ』は、武器を構える。  ミシリと、光の軋む音がした。
参加人数
7 / 8 名
公開 2020-10-02
完成 2020-10-22
【想刻】慟哭の残響 (マルチ)
白兎 GM
●慟哭  勇者になりたい少年がいた。  彼は幼い頃、幸せな毎日を唐突に奪われ。であるがゆえに、力を求めた。  それは復讐でもあり、たった一人生き残ってしまった自分が抱えるべき、使命だとも思っていた。  しかし勇者に『なりたかった』少年は今、己がすべきことを見失い、ただ。  泣いている。 ●残響 「どうですか、フィーカさんの様子は」 「駄目だメェ。食事も全然食べないし、起きてる時は母親の日記を開いて、泣いてばっかだメェ~」  ――フトゥールム・スクエア内、『保健室』前の廊下にて。  【シトリ・イエライ】に声をかけられた【メッチェ・スピッティ】は、声色通りの表情で首を振った。  彼女はここ最近、【フィーカ・ラファール】というルネサンスの少年の介抱にあたっている。 (とはいえ、体にもう異変はないメェ。でも心が、ボロボロなんだメェ~……)  無理もないな、とメッチェは思う。彼女はフィーカが、どんな気持ちでこの学園にやって来たのかを、よく知っていた。 『おれ、最初は復讐したくて、剣を取ったんだ。でも、強くなって、なにをすればいいか、わかんなくなって』  そんな時に、みんなに出会ったんだ。おれを助けてくれた、『ゆうしゃ』に。 『だから、おれ……みんなみたいに。かっこよく、なりたいんだ』  そう笑っていた少年は、さりとて忘れてはいなかったはずだ。  奪われた悲しみ、全てを消し炭にされた憎しみ、……昇華されなかったその気持ちは、矛先を得ることで、再び燃え上がる。 (だからこそ。何をすれば良いのか、わからなくなってしまったんだメェ~)  だって、憎むべき相手が、最近友人になったばかりの青年だったから。  しかも、恨むべき相手は。大好きな兄で、大切な家族で、絶対に剣を向けたくないヒトだと、思い出してしまったから。 (許せない気持ちと、恨みたくない気持ち。今のフィーカは、きっとその2つに、圧し潰されているんだメェ) 「む~……シトリ先生。本当に、カズラがフィーカの、親の仇なんだメェ?」 「わかりません。ですが、フィーカさんはそのように記憶していると、言っています。……それに」  苦笑したシトリは、手に持っていた布切れを持ち上げる。  それはいつも、カズラが大切そうに首に巻いていたマフラーの、切れ端だった。 「メッチェ先生。……この紋様に、見覚えはありませんか?」 「? ……あっ! フィーカが持ってる日記帳の背表紙に、似た刻印があった気がするメェ」 「えぇ、私もそう思います。もしかしたらこのマフラーは、フィーカさんのご家族が、カズラさんに贈ったものなのかもしれません」  だとしたら、カズラさんは。 「記憶を失ってなお、家族との思い出を。大事なものだと感じていたのかもしれない」  そんなヒトが、本当に。  途切れたシトリの言葉に、メッチェは息をつく。  この教師は確信のない事を口にしない主義だと知っているから、代わりに。 「あっちも、カズラがそんな酷いことをしたなんて、思いたくないメェ~」  だから、ちゃんと。 「……飛んでった本人をとっ捕まえて、話を聞かないとだメェ~」  何が真実で。どこまでが、本当なのかを。 ◆ 「おうおう、やっとるのぉ~」  ――フトゥールム・スクエア内、校庭。『対巨竜用バリスタ製作区画』。  トンカントン、と小気味よい音が響く中、青いとんがり帽子の少女……【メメ・メメル】は腕を組む。  そんな彼女の姿を目にした『きみ』は、思わず声をかけた。  『きみ』の言葉を耳にした学園長は、青色の瞳をぱちりと瞬かせてから、いつも通り笑っただろうか。 「そりゃ、オレサマだって、学園長サマだ。今回の件については、色々動いているんだぞぅ?」  メメルが言うに、行方をくらませた【カズラ・ナカノト】に対してはもう、幾つかの手が打たれているようだった。  まず、突如現れた『青銀色の巨竜』についての目撃情報が、既にフトゥールム・スクエアにも舞い込んでおり。  その情報を元に、現在多くの卒業生や、教員たちによる居場所の特定が始まっているらしい。 「もちろん、その竜がカズラたんであることは伏せてるぞ! 知っているのはチミを含め、一部の関係者だけだ」  とはいえ、各都市の有力者からの追求を煙に巻くのは、骨がいったわぃ。  なんて言いながら肩を回す精霊賢者は、言葉とは裏腹に楽しげだ。  いったいどんな口車を使ったのだろう、なんて『きみ』が思っている間にも、学園長の話は続く。 「それに、このバリスタ計画もそうだ。『飛んでいるなら撃ち落としましょうか』なんて言葉がシトりんから出るとは思わんかったが、なるほど、理に適ってるな!」  というわけで、オレサマも一肌脱いで、専用の魔弾を用意しておいたぞ。  そう言って少女が杖で指し示す地面の先には、透明な水晶を思わせる巨大な杭のような物が、ごろりと転がっている。  どうやらそれが、『魔弾』と言われるもののようだ。数にして4つと少な目ではあるが、命中すればかなりの抑止力にはなるだろう。 「でもなぁ……オレサマ達ができるのは、やっぱり、これくらいだと思うのだ」  ひゅぅ、と風が吹き、少女の銀の髪を揺らす。  青の瞳はどこか懐かしそうに、バリスタ製作に励む学園生達を見据えている。 「カズラたんを助けたい。その気持ちをチミ達が持っているのを知っているから、オレサマ達は出来るだけのことをする」  けれど、最終的に。 「発見したカズラたんに挑むのは、チミたちだ。きっと、今のカズラたんに、オレサマ達の言葉じゃ届かんからな」  恐らく、カズラたんに着いているだろう仮面が、邪魔するだろうし。  続く言葉に、『きみ』は声を返す。結局あの仮面は、なんだったのか。  そう問いかける『きみ』に、少女は僅かに瞳を細め、 「チミ達が持ち帰ってくれたものを解析している途中だから、まだ何とも言えん。ただ、あれは全てのモノに宿る『魔力』に干渉し、暴走させる力があるのかもしれん」  そして、もし。その予想がアタリだとすれば。 「……今のところ、ドラゴンが町や村を襲っているなんて情報はない。つまり、カズラたんは」  まだ抗っている最中なのかもしれない。『仮面』からの、干渉に。 ●深淵  彼は思う。あぁ、だから忘れたんだと。  彼は嘆く。あぁ、だから逃げたんだと。  けれど、――自分は、思い出してしまった。 『ぜんぶ、お前のせいなのかよ……っ!』  悲愴と非難に満ちたその言葉が、散らばっていた記憶のピースを繋げる。  そうだ、自分のせいだった。自分が居たから、あんなことになってしまった。 『けれど、本当は、嬉しかったんでしょう』  声が聞こえる。 『あなただって、憎かったんでしょう? 自分が持っていない幸せの全てを持った、あの少年が』  違う。 『だから、燃やしたんでしょう? 壊したんでしょう?』  違う。違う。違う。 『全てが灰になって、すっきりしたんでしょう?』  違う……っ! 『違わないわ。じゃあどうして、自分から、忘れたの? 捨ててしまったの?』  それは。 『あなたが自分から、望んで、手を離したんでしょう?』  ……それは。 「うぅ……」  ずるずると、青年は膝をつく。荒い息を吐くその表情には、苦悶が広がっていた。  しかし、それすらも面白いのか。彼の肩に張り付いたままの仮面は、歪んだ笑みを浮かべている。  荒野に花開くリンドウの花が、哀しげに揺れた。
参加人数
13 / 16 名
公開 2020-11-07
完成 2020-11-26

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サンプル


「おや……お帰りなさい、ベリル」
「ただいま戻りました、マスター」
 開けっ放しだった扉をくぐり、薄茶色の髪をボブカットにした少女が姿を現す。
 いつも通りに無表情な彼女を見留めた金髪の男性教諭は、磨かれたハーフリムグラスの向こう側で、ルビーレッドの眼差しを緩めた。

 時刻は午後、お昼ご飯の時間を過ぎ、そろそろ小腹が空いたかなという頃合い。
 その日は綺麗な夏晴れで、窓の外ではこの季節特有の澄んだ青空が、太陽の光を湛えていた。
(これほど明るければ、灯りをともす必要もありませんか)
 そう考えた泡麗族の導師……【シトリ・イエライ】は、ソファに腰掛けたまま、唇だけで呪文を唱えた。
 内側から生じていた強い照明 ―― 魔法道具によるものだろう ―― が消え、代わりに自然の織り成す真っ白な光が、室内を照らしだす。
 そうして、ぼんやりと視界に浮上するのは、古びた本やスクロールが乱雑に置かれている彼の執務室だった。
 本で埋め尽くされているブックシェルフを両側に、部屋の奥に備えられている大窓の前には、木製のオフィスデスクが置かれている。のだが。
「マスター、紅茶をお淹れしました。ですがティーカップを置く隙間がありません」
「では、この辺りにでもお願いします」
 告げながら、目線は書類に向けたままに、男性教諭の腕が『この辺り』へと伸ばされる。
 けれど、その手は近くで積みあがっていた本の山にぶつかり、微妙なバランスで成り立っていたそれらに衝撃を与え、
「あっ……」
「―― マスター。ティーカップを置く場所はできましたが、これでは身動きが取れません」
「あぁ、すみません……痛くはありませんでしたか、ベリル」
 かさついた音を立てながら、ティーカップを持っていた少女……【ベリル・ドロン】の足元に散らばった本の群れを見て、シトリは眉を下げる。
 声色通りの申し訳なさそうな様子に、ベリルはただ頷きを返した。夜闇を広げたような黒の瞳には、何の表情も映ってはいない。
(ここは怒るところでしょうに。『カルマ』は感情表現が薄いとは言いますが、それらを感じる『心』が、そもそもないのでしょうか)
 どうなんでしょうね。自らの問いに首をひねったシトリは、ソファから腰をあげ、少女の足元に散らばった本を拾い始める。
 そんな導師を静かに見下ろしていた魔生族の少女は、まだ熱のあるティーカップとソーサーを持ったまま、
「マスター。マスターはこの学園の教師です。コースは賢者・導師、担当は『上級魔法全般』だと伺っています」
「ええ、そうですね。それがどうかしましたか?」
「ならば、マスターは生徒の模範となるべきです。なのに、この部屋は汚い。教師失格です」
「はっきり言いますね……あなたも知っているでしょう、私、片づけるのは苦手なんですよ……」
 身長も、恐らくは年齢も。少女よりも高いはずのシトリではあるが、受け答えはまるで親に叱られた子どものようなそれで。
 全てを拾い上げてようやく立ち上がった男性教諭は、苦笑いのまま自分の席へと戻る。どさりと、再び本の山ができあがった。
 けれども、不慮の事故にてぽっかりとできた空間がそのままにされていれば、ベリルはようやくその場所へとティーカップを置き、
「では、ベリルが片付けます。マスターは邪魔なので、隅にいてください」
「……邪魔……、ベリル、言葉を飾らないのはあなたの美点ではありますが。もう少しオブラートに包むことも覚えましょうね……?」
 さすがの私も傷つきますよ。苦笑したシトリは促されるままに立ち上がり、部屋の奥から入口へ、来客を迎えた折に使うスペースへと移動する。
 その際、確認中の書類を小脇に抱えながら、少女が淹れてくれた紅茶のカップに口をつけた男教諭は、おや、と声をあげた。
「ミルクもいれてくれたのですか? それに砂糖も。いつもはストレートなのに、珍しいですね」
 ダイニングテーブルを囲むような形で置かれているカウチに座り、カップの中で揺らぐミルクティーを見る。
 飴色の紅茶とは少し違う、柔らかな薄茶色は、彼女の無表情を飾る髪色にも似ていて。
 思わず視線をベリルへと寄せたシトリは、自然と浮かんだ笑みのまま、
「それに、随分と。紅茶を淹れるのも『自然』になりました。あなたと出会った頃は、『必要性のない行為』であり、『理解不能』だと言っていたのに」
「マスターは泡麗族……ローレライは、水気が大事だと学びました。この時期、路上でよく見られるミミズのように、うっかり干からびられては困りますので」
「あの、うっかり干からびることなど、そうそうないのですが……前にもお話しましたが、私たちは空気中の水分をですね……」
 あんまりなものを想像させられて、シトリは眉を寄せる。けれど続いた彼女の言葉に、赤の瞳を瞬かせた。
「また、マスターは。紅茶を口にしている時、空気が和らぎます」
「そうでしょうか? 気にしたことはないのですが」
「はい。夕霧さまに尋ねたところ、それは紅茶が好きで、口にする時間が心地よいからだろう、という答えを得ました」
「はぁ……そうですか」
 突如として話題に出た名前に、男教諭は片眉を持ち上げる。
 【胡蝶蘭・夕霧】(こちょうらん ゆうぎり)……、昔の教え子であり、今では同僚にあたる彼女の高らかな笑い声が聞こえた気がして、小さく首を振った。
 そんなシトリの様子を気にもせず、ベリルは積み上げられていた本を所定の位置に戻しながら、
「ですから、マスターは紅茶が好きだと覚えました。本日ミルクと砂糖をいれたのは、マスターが連日忙しそうにしているからです」
「確かに最近は、様々な業務に追われていましたが、どうしてそれがミルクティーの理由に?」
「甘いものは疲労を回復するのだと、書物で読みましたので」
「あぁ、なるほど……ええ、ヒューマンはそうらしいですね」
 短い返答に隠されている気遣いに、シトリは自然と頬を緩める。
(それはつまり、ここ最近忙しくしていた私を、案じてくれたということですよね)
 表情はいつも通りの『無』だ。それでも、彼女の中にも温かなものがあるのだと、願ってはやまない。
 たとえ傍目にはわからなくても、彼女の中にある確かな心の種が、いつか大輪の花を咲かせてくれたらと。
(そんな絵に描いた奇跡も、この学園でなら。見られるような気がするのです)
 そんなのは確証のない、絵空事だとわかっている。けれど学び舎は、色が交わる特別な場所なのだ。
 かけがえのない仲間と出会い、時に喧嘩し。自分だけがうまくできないのではないかと悩んだりもする。
 選択肢を前に、この道が正しいと。確固たる意志で選ぶひともいれば、小さな勇気を振り絞り、震える指を伸ばすひともいる。
 そのどれもが正しくて、間違いではない。学び舎とはそういうものであってほしいと、シトリは思う。
(そうして、誰もが最初は真っ白だったキャンバスに。少しずつ、色が塗られていく)
 それは自分以外の誰かという個性であり、悲喜こもごもな感情であり。新しく触れた知識であり、ようやく見つけた将来の夢という場合もあるのだろう。
 カルマである彼女が多くの経験を経て、少しずつ変わってきているように。この学園に来た生徒たちもまた、自分なりの色を塗り重ねていってくれるといい。
 思考の流れるままに、そんなことを考えていたシトリの意識を、少女の無機質な声が攫った。