【雑魔】極甘(ごっかん)の恐怖
とても簡単 | すべて
3/8名
【雑魔】極甘(ごっかん)の恐怖 情報
担当 土斑猫 GM
タイプ ショート
ジャンル コメディ
条件 すべて
難易度 とても簡単
報酬 多い
相談期間 5 日
公開日 2020-02-10 00:00:00
出発日 2020-02-18 00:00:00
帰還日 2020-02-24



~ プロローグ ~

 『ロイヤルビー』と言う蜂がいる。
 所謂ミツバチの一種なのだが、些か変わった習性を持っている。何の拘りかは知らないが、一種類の花の蜜しか吸わない。ただひたすらに、決まった花の蜜だけをせっせと集める。
 花の名は、『ジュエルドロップ』。世界で最も上質と言われる華蜜を生み出す、玉虫色の花。そんな花の蜜を、ロイヤルビーは自身が分泌する特殊な体液を混ぜて巣に蓄える。
 その成分には防腐の効果がある事が分かっているが、重要なのはもう一つ。この体液を混ぜられた蜜は不可思議な変質を起こし、七色の結晶へと姿を変える。
 『夢魔の誘惑(サキュバス・ペイン)』。
 砂糖の10倍の甘味を誇りつつ、一切の雑味・嫌味・癖を持たない透麗な味わい。まだ、加工技術が未熟であった頃。小指の爪程の結晶をそのまま食していた時分には、強烈な習慣性に囚われる者が続出した。一時は何かしらの麻薬成分が含まれているのではと疑われたが、後の研究によって可能性は消滅。如何わしい成分は何一つ検出されなかった。逆に言えば、単純な味わいだけで麻薬並の習慣性を招いていた訳で、それはそれで問題がありそうな話ではある。
 その後、加工技術の向上と商業研究が躍進。水溶させて希釈した後、規定量を守る事で安全な運用が出来る事が判明。現在では極上の甘味料として少数が流通している。



 で、時は現在。節は2月。バレンタイン。
 ご存知の通りこの催し、甘味の需要が爆上がりする。夢魔の誘惑も例外ではない。元となるジュエルドロップがシャドウ・ガルデンの高原地域にしか育たない上に、ロイヤルビーも繁殖力が強くない。生産量が少なく、高価なコレ。菓子の中に一欠片入るだけで、味の位はグンと上がる。ついでに、値段も上がる。近年では、これが入っているか否かで送る相手への想いの強さが決まるとかで、恋に戦う皆様は懐具合とも熾烈な争いを繰り広げている。
 恋って、そういうモンじゃないと思うの。
 ちなみに、元から希少品。需要が上がれば、供給は追い付かなくなる。と言う事は……。

「何ですって~!? ですの~!!」

 街中に響いた悲痛な叫びに、道行く人々は足を止めた。場所は、高級喫茶『スイートドリーム』本店前。黒いゴスロリ衣装を纏った少女……と言うか女児……と言うか幼女が綺麗な黄金(こがね)のツインテールをワナワナと振るわせていた。尚、知ってる者が見たら、引き付け起こして引っ繰り返るだろう。
 神が世に放ちし滅びの災禍。破壊と殺戮の権化にして実行者。至高のベリアル3強が一柱。『最操のコッペリア』。
 それが、彼女の真名。
「バレンタイン商戦における材料不足のため、『特性夢魔の誘惑プリン』はしばらくお休みさせていただきますぅう~!!??」
 視線の先には、店の戸に貼られた紙。
「そ、そんな……。わたくしの月一回の楽しみが……。至福の一時が……。最大の存在理由が……」
 しれっと常連らしい。聞いたら薔薇十字教会幹部達も、ついでに与えた使命よりもプリンを優先されたネームレス・ワンも、心に深い傷を負いそうだが。
「く……これも全てはバレンタインのせい……。おのれ、『バレンタインの乙女』……」
 濡れ衣である。
「しかし、こんな事でわたくしの野望を挫けるとは思わない事ですの……」
 何と戦っているのか。
「要はアレですの。夢魔の誘惑の生産量が増えれば良いですの。ならば……」
 ひっそりと展開する魔方陣。誰の目に止まる事もなく、小さな姿は街から消えた。



 所変わって、シャドウ・ガルデン。数少ない夢魔の誘惑の生産地、『ドリムズ高原』。居を構える養蜂家の方々は、『さ、今日も頑張んべぇ』と出てきた所で腰を抜かした。
 そこにあったのは、巨大な黄土色の塊。何だこれ。昨日まで何ともなかったのに。パニくる皆様。しかし、そこは専門家。鍛え上げられた蜂に関する知識は、件の塊が蜂の巣である事をすぐに看破する。巨大化した巣本体が養蜂箱からはみ出し、飲み込んでしまったのだ。かつてなかった事態。原因を調べようと近寄って、また腰を抜かした。蜂達が、異様に猛っている。殺る気満々である。大人しい筈のロイヤルビー。おかしい。しかも、刺された時の症状がもっとおかしい。色々、おかしい。幾人かの尊い犠牲の上でやっと一匹の蜂を捕獲して、ルーペで見てみる。見えたのは、蜂の体を縦横に飾る赤紋と、胸部に刻まれた魔方陣。
 ……あれ? ……これって……。
 長~い沈黙の後、到達した真実に養蜂家皆様は三度腰を抜かした。



「……誤算でしたの……」
 空から下の騒ぎを観察していたコッペリア。あちゃ~、と言った顔。
「蜂を疲れ知らずのベリアルにして、蜜の収穫量を増やすつもりでしたのに……」
 眼下で繰り広げられるのは、ベリアル化した蜂と養蜂家皆様が繰り広げる地獄絵図。
「ベリアルの殺戮本能の事、すっかり忘れてましたの」
 おい。
「にしても、人間も人間ですの。あの程度、制圧出来なくて世の中やっていけると思ってますの?」
 勝手な事言うな。
「仕方ありませんの。わたくしが使役して……」
 言いかけて、騒ぐ蜂の数を見る。当たり前だが、とんでもない数。
「めんどくせーですわね……。これ……」
 こら。
「そうですの。『アイツラ』がいましたの」
 ポンと手を打つと、何処からか紙とペンを取り出して何やら書く。書き終わると、口笛一つ。飛んできた小鳥(当たり前の様に、ベリアル)に紙を渡す。
 紙を持って飛んでいく鳥を見送り、溜息一つ。
「全く。世話が焼けますの」
 そろそろ、誰か殴って欲しい。



 次の日、薔薇十字教団のご意見箱に一通の手紙が投函された。差出人は、『匿名美少女』。内容は、養蜂場で起こった異変の事。何とかしろ。じゃないと世界中の甘党が暴動起こすぞと。
 ほぼモンスタークレーマーのそれなのだが、世界規模の暴動と言われるとほっとく訳にも行かない。手配する教団。
 後日、養蜂専門の魔女(何だそれ)である『ハニー・リリカル』と共に現場に到着した浄化師達。待っていた養蜂家皆様に、『お手伝いが先に着いてますよ』と言われ、何の事かと横を見る。
 居たのは、羽根を模した鎧で身を固めたお方一人と、何か獣と人の中間みたいな恰好のお方二人。で、お三方の胸に漏れなく刻まれる赤い魔方陣。
 どう見てもベリアル(それも、スケール4と3)です。本当にありがとうございました。
 慌てて戦闘準備する浄化師達に、『待たれよ』と声かけるスケール4。曰く。
「我ら、『虫狩り三獣士』と申します。此度は最操の御方様の命により、貴殿らの助力になるべく参りました。敵意はございませんので、どうぞご安心を」
 何か、凄い紳士。
「そうデござイます。刃ヲお納めクダさいませ。今ハ、争っている場合デハありませンわ」
「チョイ見まシたケンどなぁ。イヤ、此れハ骨でっせ。協力シまひょ」
 続くスケール3、二名。とても、朗らか。
 は? 何言ってんの、この人(?)達。
 混乱の極みたる浄化師を他所に、ハニーがポンと手を打つ。
「ああ、プロの方ですか? 助かります。未経験のこの方達だけでは、荷が重いと心配してましたので」
 え? ちょっと待って。
「いやいや、此方としても浄化師が味方とあれば心強い事この上ない。当てにさせていただきます」
 置いてかないで。お願いだから。
 狼狽しまくる浄化師達を他所に、がっしりと握手を交わすハニーとスケール4。

 かくて、恐怖と狂気とカオスに満ちた戦いが幕を開けた。


~ 解説 ~

【目的】
 謎の原因により発生した蜂型ベリアル。巣を壊し、女王蜂を捕獲して異変を終息させよ。失敗すると甘味料『夢魔の誘惑』が枯渇し、世界中の甘党が暴動を起こす(かも)。

【蜂型ベリアル】
 数:数千
 スケール:1
 詳細:嬢王蜂と働き蜂の2種類で構成される。極めて凶暴だが、致命的な驚異ではない。蜂本来の習性は残っており、蜜集めや巣作りは律儀に継続中。
 巣は現状、縦2メートル、横4メートル程の大きさ。作り手がベリアル化のため24時間戦える状態。ほっとくと何処までも巨大化していく。

【女王蜂】
 一匹。約10センチ。巣の奥にある養蜂箱の更に奥に居る。針には『死にたくなる効果』がある。一分間に一匹、働き蜂を生み出す。

【働き蜂】
 沢山いる。約2センチ。刺されると『痛い目に合う』・『酷い目に合う』・『とんでもない目に合う』の効果がランダムで起こる。簡単に言えば、総じて期限付きの行動不能効果。1ターンで治る。社会的に死ぬ可能性あり。

【駆除方法】
 巣  :道具で壊す(スコップ支給。魔喰器も可)
 女王蜂:捕虫瓶に入れる。
 働き蜂:魔喰器で叩く。

【虫狩り三獣士】
 味方。一応責任を感じていたらしいコッペリアが派遣。
 上位権限で蜂の効果を受けない。刺されると普通に痛い様だが。
 『いや、高スケールだろ! 魂食ってるだろ!』とかは気にしてはいけない。

【スケール4】
 ハチクマ型。昔取った杵柄。発煙筒装備。巣を燻して蜂を追っ払う。
 特殊能力は『ビーキル』。鋭い眼光で対象にとった敵一体を即死させる。蜂限定で。

【スケール3・①】
 オオアリクイ型。蟻の専門家。大爪で巣をザクザク壊す。
 特殊能力は『メディベロ』。舌を対象の耳から侵入させて脳に直接干渉。あらゆる状態異常を無効化する。絵面が酷い。

【スケール3・②】
 ジャクソンカメレオン型。虫が好物。虫取り網装備。パシパシ蜂を取る。
 特殊能力は『スケル』。透明化して身を守る。自分限定で。


~ ゲームマスターより ~

~追加情報~

【ハニー・リリカル】
 養蜂専門の魔法を使う魔女。
 サポートとしてついて来た。しかし、保持する情報が微妙に古く、緊急用にアンモニアなぞ持ってきてたりする。ベリアル化した蜂には自分の魔法が通用しない事が分かり、プライドが崩壊。闇落ちしかける。


【防護服】
 AタイプとBタイプの二種類選択制。着ない選択もあり。

【Aタイプ】
 現地の養蜂家さん提供。
 重い。暑い。10回に1回は針が通ってしまう。
 本来大人しいロイヤルビー用

【Bタイプ】
 ハニー特製の魔術防護服。
 軽く、動きやすく、防御も完璧。
 見た目が完全にプ〇キュア。ハニーの趣味らしい。男女兼用。

 今回は特に死亡案件もなく、状態異常も最悪オオアリクイ君が治してくれます(流石に全員が行動不能になれば失敗判定になりますが)
 基本ザクザク掘ればいいので、難易度は『とても簡単』になります。

 どうやって女王蜂までたどり着くか、自由に考えてください。
 ご健闘お祈りします(色々と)





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

タオ・リンファ ステラ・ノーチェイン
女性 / 人間 / 断罪者 女性 / ヴァンピール / 拷問官
くっ……よもやベリアルと仕事をしなければならないなんて……
高スケールが3体も居るのにどうしてエクソシストは6人だけなんですかっ!

(防護服を見せられ)こっ……な、何ですかこれは!?
いくら魔術で保護されるとしても、こんなヒラヒラを着るつもりはありません!
結構です!私はこちらで行かせてもらいます!(Aタイプ)

ステラの魔術属性は火ですので相性は良いはず、巣の破壊や蜂の掃討は主にステラを頼りましょう
あの子は恥ずかしくないようですしBタイプを着て大暴れするでしょう
私も後に続き、武器で巣を片付けていきます
あっ、ステラ!拾い食いはよくないですよ

けれど美味しそうでしたから、仕事が終わったら是非頂いてみましょうか
ラニ・シェルロワ ラス・シェルレイ
女性 / 人間 / 断罪者 男性 / 人間 / 拷問官
なぁにこれ…本当になぁにこれぇ…
って思ったけど 甘味の為なら仕方ないわね!!

借りる服はBで 嫌がる相方には無理矢理着させる方針
これはいわば全人類(甘党)の未来の為の戦いよ!!
あたしはいいのよ美少女だから!
ほら早く!わがまま言うんじゃない!!

無事(?)着せ終わった後は魔術真名詠唱
女王の居場所も探るため巣を破壊
蜂が多い方に女王がいると予測
どちらかが刺された場合は相方と前後を交代
この際我慢して治療も受ける
積極的にスキル使用JM12
もし女王に刺されたら相方にひっぱたいてもらう
あたしの甘味への想いはこんなもんじゃないのよ!!
あんた達の主に言っておきなさい
甘味の未来はあたしが守ると…!
ヴォルフラム・マカミ カグヤ・ミツルギ
男性 / ライカンスロープ / 拷問官 女性 / 人間 / 陰陽師
……。
カグちゃんのかわいい服着たところが見れる!と下心もあったけど…
「カグちゃん、酷いよ…」
僕も着るとか最早罰ゲームじゃん…!
っていうか防護服なんだよね?
なんでこんなヒラヒラミニスカートなの?!(※流石にズボンタイプを着用)
っていうか、これメフィストの魔法少女とか言うのの服じゃん?
僕みたいな大胸筋と腹筋割れてるような男が着るものじゃないよね?
両手斧ぶん回す男子が着ていいもんじゃないよね?!
こんな物着た時点で僕は社会的に死んでる気がするよ!

TM10とTM4で殴る

っていうか、第一次産業の供給が安定しても
その後の第二次産業のパティシエが居なきゃどちらにしろ供給されないじゃん
黙って供給待ちしてろよ!


~ リザルトノベル ~

 運命とは、システムである。
 星が始まったかの時より巡り始めた理は、ただただ淡々と曲輪を回す。
 喜びも。悲しみも。
 希望も。絶望も。
 誕生も。そして、死も。
 全ての命を孕み、運命は回る。くるくる。くるくると。
 平等に。冷淡に。過ちなく。狂いもなく。
 ただ。
 ただ、それでも。
 巡りの悪い時と言うモノは在る様で。
 今回に限ってはその運命殿、どうにも腹の具合が悪かった様である。



「こっ……な、何ですかこれは!?!!!」
 絶句しかけた所で、何とか声を絞り出した。

 延々と夜が広がる、シャドウ・ガルデンはドリムズ高原。ここで行われている養蜂産業。起こった怪事件を解決する為、六人の浄化師が派遣されていたのだが。
 何やら、様子がおかしい。

 心地良いと言うには些か涼し過ぎる風の中で、魂の叫びを発した『タオ・リンファ』。彼女の手の中には、衣装が一式。何と形容したら良いモノか。ピチピチにフリフリにピカピカ。完全に小さなお子様(一部大きなお友達)に人気な系統の、アレ。
「あ~?」
 グデ~と地べたに寝っ転がりながらかったるそうな声で応えるのは、蜂蜜色の帽子とドレスを着た少女。名を『養蜂の魔女 ハニー・リリカル』と言う。何か、微妙な胡散臭さが漂う肩書き。
「何って、防護服。見りゃ分かるでしょうが」
 ゴロリと転がって見上げる顔。酷く、やさぐれている。って言うか、多分見ても分からない。
「このヒラヒラの何処が防護服ですか!?」
 その態度が、余計にタオの激情を刺激する。
「あからさまに貴女の趣味でしょ!? これ!!」
 それ以外の何があると言うのか。
「いくら魔術で保護されるとしても、こんなモノを着るつもりはありません! 結構です! 私はこちらで行かせてもらいます!」
 そう言ってふん掴むのは、横にほっぽってあった防護服。微妙にボロい、スタンダードなデザイン。現地養蜂家さん提供。
「にゃにおう!!?」
 飛び起きるハニー。
「アンタ、ハニーが半日と四時間かけて作った魔法防護服よりそんなボロが良いと抜かすか!?」
「何ですか!? その微妙な所要時間は!?」
 うん。微妙。
「何時間だろうが何年だろうが、私は着ません! 断固として! 絶対に!」
「にゅ……にゅにゅ~!」
 強固極まりない意志に、唇を噛み締めて呻くハニー。
「い、いいもん! 好きにしなよ! こっちだって、アンタみたいな二十歳過ぎのB○Aに着て欲しくなんてないもん!!!」
「………」
 沈黙したタオ。無言で剣を召喚する。
「……よく言ったな……お前……」
 昏く沈んだ眼差しが、ハニーを見据える。何か、口調がおかしい。
「三枚に下ろして蒸籠で蒸して清蒸にしてやるから覚悟しろよ! このオタロリ魔女がー!!!」
 あ、これキャラ設定にある暴走口調だ(メタ発言)
「おー! やったろうじゃん! 一年と三か月引き籠って編み出した秘法・ローヤルゼリーミラクルパックでお肌ツルツルのピチピチにしてやんよ!!!」
 迎え撃つ構えを取るハニー。また、時間が微妙。そして、癒してどうする?
「お待ちください! リンファ殿!」
 本気で斬りかかろうとするタオを、背後から羽交い絞めにする影。全身を鎧で覆った異形。今回の助っ人、スケール4ベリアル・ハチクマ氏その人。
「ええい! 離せ!!」
「なりません! リリカル殿は代えがたき同胞なれば! どうぞ、剣をお納めください!!」
「武士の! 武士の情けーっ!!」
「殿中! 殿中でござるぅ!」
 ここ、外なんだけど。
「あンの~」
 混沌迷走の様相を醸してきた皆に、のんびりした声がかかる。
「そろソロ始めマヘンか? 日が(昇ってないけど)暮レテしまいマッセ」
「と言ウか、ノンビリしてるとコノ殿方達のメンタルが……」
 申し訳なさそうに申し出るのは、クマさんの同僚。スケール3の二人。
 その片方。オオアリクイが示す先を見ると。
 すでに防護服を着終えた他メンバーの姿。
『ステラ・ノーチェイン』。
 着ているのは、当然の様にハニー製。
 歳が歳なので、良く似合う。
 愛い。
『ラニ・シェルロワ』。
『カグヤ・ミツルギ』。
 やっぱり、ハニー製。
 女性だし。確か本家愛好家にも同年代がいた筈。
 防御力は確からしいし、これも当然と言えば当然。
 無問題。まあ、多少本気度は疑われるかも知れないが。
 問題はここから。
『ラス・シェルレイ』。
『ヴォルフラム・マカミ』。
 男性陣である。
 男性なのだが、着ているのはハニー製。
 ……どうした?
「………」
「………」
 絶句する、タオとクマさん。
(正気ですか!?)
(ご乱心か!?)
(何か悩みでも!?)
(自棄になってはいけませぬ!)
 両者、かけたい言葉がある。だが、胸がいっぱいで声が出ない。
 見れば、ラスとヴォルフラムの肩も震えている。
「ちくしょう……ちくしょう……」
「カグちゃん……酷いよ……」
 直接問うのも何なので、起こった事態を録音音声でお送り致します。

 ――ラス・シェルレイ氏の場合――。
「これは言わば、全人類(甘党)の未来の為の戦いよ!!」
「お前、何納得してるんだバカか!? バカだったな!?」
 (ドタバタと走り回る音。時折聞こえる、怒声)
「あたしはいいのよ! 美少女だから!」
「畜生! こんな時だけ美少女に逃げるな!! この爆走娘!!」
 (また、走る音。ぶつかる音。倒れる音。血も凍る絶叫)
「ほら早く! 我侭言うんじゃない!!」
「おい! 待てやめろ脱がすな!! あーっ!?」
 (むしり取る音。被せる音。啜り泣きの声。沈黙)

 ……可哀想ですね。

 ――ヴォルフラム・マカミ氏の場合――。
「カグちゃん、カグちゃん! ねぇ、どっち着るの?」
 (下心丸見え)
「ん……。お仕事だし、不安なく遂行するならハニーの防護服がいい、かな……」
「うん! うん! そうだよね!」
(心の中でガッツポーズ)
「けど……」
「ん?」
「1人だけ着るのは恥ずかしいから……」
「うんうん」
「ヴォルも、着てね?」
「うんう……え゛……?」

 多少の邪心があったとは言え、これ程の罰を受ける罪過とも思えない。
 うん。可哀想。

 タオ女史とクマ氏何て声をかけたら良いのか、分からない。己の無力を痛感する。
 響くのはただただ、二人の男性の慟哭だけ。
「ちくしょう……何で、何でこんな事に……」
「……僕みたいな大胸筋と腹筋割れてる様な男が着るものじゃないよね? 両手斧ぶん回す男子が着ていいもんじゃないよね?! こんな物着た時点で僕は社会的に死んでる気がするよ!」
 言わずもがな。これが線の細い中性的な美少年だったら『男の娘』と言う新境地の逃げ道もあったのだが、生憎二人共大事な女性(ひと)を守るために日々の鍛錬を欠かしていない。
 自認するヴォルフラムは元より、比較的細身であるラスも相応に男らしい体格。つまりは何と言うか、その……。
 と、咽び泣く二人の前に立つ人影一つ。
 視線を上げると、そこには二人をジッと見つめるハニーの姿。しげしげと見て、視線を逸らす。そして、ボソッと一言。

「……キッモ……」

 お前だけは、言っちゃいけない。

 悪鬼の形相で武器を構える二人。
「乱打暴擲―!!」
「地烈豪震撃―!!」
「殿中でござるぅうううー!!」
 トテテと逃げるハニーを、斧振り回して追いかける二人。さらにその後を懸命に追いかけるクマ氏。
「あいつら、楽しそうだな。マー」
「……ステラ。どうか、その澄んだ目をなくさないでください……」
 一番苦労と心労を被ってるのがベリアルって、どういう状況なのだろうか。
 無邪気な顔で笑うステラにそう言って、タオは頭を抱えた。



「と、とにかく仕事を終わらせましょう! そうすれば、全てから開放されるのですから!」
 結局意思を貫き通し、普通の防護服を着たタオが叫ぶ。気を引き締めて向かうは、到着時よりも明らかに二回り大きくなった蜂の巣(どうやら、揉めてる内に増設されたらしい)
「全く。こんな事で凹むなんて。軟弱なんだから。見なさい! 馬鹿な事やってる間に手間が増えたじゃない! どうしてくれんの!?」
「……分かった。つまり、ぶ っ 壊 せ ば い い ん だ な」
 相方の言葉が聞こえない振りして武器を構えるラス。もはや、ツッコむだけ気力の無駄と判断したらしい。
 賢明である。
 一方。
「……って言うか、第一次産業の供給が安定しても、その後の第二次産業のパティシエが居なきゃどちらにしろ供給されないじゃん……。黙って供給待ちしてろよ!」
 今だに踏ん切りがつかないヴォルフラム。ブツブツと行き先のない恨み節を綴っている。
「大体、何でこんなヒラヒラミニスカートなの?! って言うか、これメフィストの魔法少女とか言うのの服じゃん!?」
「むぅ!?」
 何気なく吐かれた言葉に、ハニーの目が光る。
「ちょっと! 何馬鹿な事言ってんの!?」
 猛然と詰め寄ると、凄い早口でまくし立てる。
「メフィスト様の『アレ』は『魔法少女』でしょ!? ハニーのは『少女戦士』! 全然違う! ウナギとチンアナゴくらい違う! 無知! 不敬! 愚物! 弁解して撤回しなさい!!」
「ええ!?」
 驚きはしたものの、流石に愚物まで言われたらカチンと来る。溜まってた鬱憤も手伝って、つい反論。
 この手の相手には、一番の悪手なのだが。
「何言ってんのさ! こっちはヒラヒラキラキラ!」
 スカートの端を掴んで強調すると、今度は遥か空の向こう……正確にはその下の何処かにいるであろう『彼ら』を指差す。
「あっちはフワフワピカピカ!」
 そして、拳を握って叫ぶ。
「そこに何の違いもありゃしないじゃないか!?」
「違うのだ!!!」
 間髪入れず返ってくる。予定調和。
「ホントに、これだから理も真理も知らないオッサンは! ここに緊急用に持ってきた『アンモニア』があるから、鼻にぶっ込んであげようか!? 無駄な雑学がぶっ飛んで、無垢なる真理に近づけるかもよ!?」
 酷い罵詈雑言。取り合えず、さっきから二十代の方をB○Aやオッサン呼ばわりするのは止めて欲しい。色んな人に刺さる。
 しかし、今度は彼女が地雷を踏んだ。
「……アンモニア?」
 反応したのは、カグヤ。神速の勢いでハニーに詰め寄る。怖い。
「へ? な、何!?」
 狼狽するハニー。構わず、問い詰める。
「アンモニア……? 蜂の刺傷対策に、アンモニアを……?」
「は、はい。そうですけど……」
「どうして?」
「え、だ、だって、常識じゃん! 蜂の毒は酸性だからアルカリ性のアンモニアで中和……」
 カグヤ、じっとハニーを見る。穴が空く程、見る。そして――。
 はぁ~~~~~~~~~~。
 溜息。深く。そして長い溜息。思いっきし、色んな意味が篭っている。主に、負の方向で。
「ちょ、ちょっと! 何よ!? そのあからさまに『この知ったかが……』って言いたそうな溜息は……」
 ガシッ!
 抗議しようとしたハニーの肩を、カグヤが掴む。
「……座って」
「は? 何で……」
「いいから。座って」
「は、はい……」
 圧が凄い。座る。カグヤも座って、『いい?』と話し始める。
「……アンモニアによる治療は、根拠のない民間療法」
「え……そう、なの……?」
 あからさまにショックを受けるハニーに、頷くカグヤ。
「だから、アンモニアは破棄して、水又は氷を……」
「毒嚢を潰さない様にナイフの背等でそぎ落として、体内に入った毒は口で吸い出したりしない様に。……口内に傷があったら意味がないから……」
「流水で洗い流すか氷で冷やして、専門医に受診を……」
 淡々と語られる、最新医療情報。打ちのめされていく、ハニー。『養蜂の魔女』を冠しておきながら今までの人生を何に費やしてきたのだろうか。この小娘は。
「……腫れが酷いなら、アレルギー反応かもだから……私が四神浄光で、治す」
「わ、分かりました……」
 完全論破。ガックリと崩れ落ちる、ハニー。
 所詮、過去と大地にしがみつく旧式。日々アップデートを重ねる教団最強の雑学お化けに勝てる道理なぞ、ありはしないのだった。

「グッジョブでス! お嬢様!」
「最大の邪魔者ガ沈黙したデ!」

 喝采を贈るベリアル達。ハニー、完全に障害物扱い。
 誰だ。コイツ付けてよこしたの。

「チャンスです! 今の内に、巣を!」
「く……ベリアルと協力するなど……。だが、やむをえません!」
「あんた達の主に伝えなさい! 甘味の未来はあたしが守ると! 罪を抱えて震えて待てと!」
「ぶっ壊す!(そして早く終わらせる!)」
「全部、お前らが悪いんだぁあああ!」
「どっかーん!! わははー! オレは最強だぞー!!」

 ここぞとばかりに雄叫びを上げて襲いかかる勇者達。道程は長かったけど。
 ドッカンバキボキベッキン!
 幾らベリアル作とは言え、巣は普通。魔喰器の攻撃であえなく壊れていく。この調子なら楽勝と思われるかもしれないが、そうは問屋が卸さない。
 怒りに燃えたのは、住まう蜂ベリアル達。
 不眠不休で作り上げた安寧の居住を、理不尽(?)に破壊される気持ちは如何ばかりか。当然と言えば当然と言える憤激を、ベリアル特有の殺戮衝動が煽る。たちまち体制を整えると、一族郎党猛然と反撃に転じる。
「うおおおお!?」
「わひゃーだゾ!」
「ちょ! これ、スゴ……!」
 取り囲んでチクチク……などと言う生易しいモノではない。一匹一匹が針を向けて、弾丸の様にぶち当たってくる。それが、一秒数千匹単位。ほとんど、機銃掃射。
 何とか耐えられるのは、身に付けたハニー製防護服のお陰。何だかんだ言っても高性能。張り巡らされる防御結界が、雪崩くる蜂を弾く弾く。……まあ、こんくらいは役立ってくれないと、真面目にハニーが来た理由がなくなるのだが。
 しかし、忘れてはいけない。メンバーの中に、この恩恵に与れない者がいる事を。
「きゃー!!」
 響く絶叫。思わず、目を向けると、そこには――。
「痛い痛い痛い! 痛いですー!!」
 蜂の大群に追い掛け回されて悲鳴を上げる、タオの姿。そう、彼女の防護服は市販タイプ。十回に一回は針が通るのだ。
「マー!」
「やばい!」
 急いで駆けつけるステラとラス。暴撃とグラウンド・ゼロで蜂の群れをぶっ叩く。ベリアルとは言え、所詮は虫。あっさり潰れて、襲撃は一旦収まる。
「す、すいません……。とんだ、失態を……」
「マー、だいじょぶか?」
 ゼエゼエと息をつくタオを気遣うステラ。カグヤとハニーが駆け寄ってくる。
「大丈夫?」
「ほらほら。だから大人しくハニーのコスプレ衣装を……」
「絶対嫌です! って言うか、今はっきり『コスプレ』って言いましたよね!?」
 頑なである。無理もないが。
「いいから。早く治療を……」
「あ、いえ。確かに刺された時は痛かったのですが、今は別に……」
「へ?」
 タオの言葉に、首を傾げる二人。はて、毒の影響はないのだろうか。そう思ったその時。
 ヒュ~ン。
 上から聞こえてくる、妙な音。『ん?』と上を見た瞬間。
 カ~ン!
 甲高い音を立てて、落ちてきた『タライ』がタオの脳天を強打した。
 声も上げずにぶっ倒れるタオ。カグヤとハニーとその他皆さん。呆然と落ちてきたタライを見る。
 タライ。そう、タライである。一昔前のコントでよく見た、あの『タライ』である。
「い、一体何が……?」
 ヨロヨロと起き上がろうとするタオ。しかし。
 カ~ン!
 カ~ン!
 カ~ン!
 連続で落ちてきたタライが、やはり連続でタオの頭に当たる。狙いが無駄に正確。頭押さえて悶絶するタオ。
「何……? これ……?」
 ラニの疑問は、皆の疑問。
「こ、これは!」
 タライを拾ったハニーが驚愕する。
「このタライ、オリハルコンで出来てる!」
 ……は?
 オリハルコンとは、世界の何処かに存在すると言う正体不明のなまら固い物質。何でそんな激レアな代物がタライとなって降ってくるのか。
「そうか! 分かった!」
 ハニーが叫ぶ。
「この蜂の毒の効果は、『因果集約』!」
「!????!!!???????」
「つまり、この毒に侵されると、世界に存在するあらゆる可能性をランダムに呼び寄せる体質になるんだよ!」
「………」
 周囲を包む沈黙。ハニーは止まらない。
「それなら分かる! 頭にオリハルコンのタライが連続して降ってくる可能性だって、人知で思いつく以上十分に存在する!」
 同意出来ない。いや、したくない。
「いやいやいや! おかしいでしょ!?」
 噛みつくラニ。流石の彼女も、向き合いたくない現実というモノはある。
「こいつら、低スケールでしょ!? スケール1でしょ!? 何でそんな3強連中も腰抜かす様なチート能力持ってんのよ!!?」
「『能力』ではない!」
 バッサリ。
「これは『毒』! あくまで『毒』の『効果』! 動悸や呼吸困難、患部の腫れなんかと同じ! その証拠に、ほら!」
 バッと示す先には、恐怖に震えるタオと彼女をなだめるカグヤの姿。
「四神浄光・壱で、治った!」
 治るの!?
「大丈夫! これは決して攻略不能な負けイベントなんかじゃない! あなた達なら、これまでの戦いを乗り越えてきたあなた達なら! 勝てる! 必ず、勝てる! 立ち上がれ! 奮い立て! 若き浄化師達! 世界の、世界の甘党の願いは、その手に託されているのだから!!」
 ……逃げたい。
 熱く語るハニーを前に、心の底から思う浄化師達だった。



 その後、凄まじい分析(妄想)力を発揮したハニーによって、毒の効果は『痛い目に会う』、『酷い目に会う』、『とんでもない目に会う』の3パターンである事が判明。
 肩書き変えた方がいいだろ。この魔女。
 しかし、凄まじく漠然とした内容故、皆の不安は1mmも緩和されなかった。

「ほら。もう大丈夫だから。しっかりしなよ」
「毒は消したから……」
 恐らくは『痛い目に会う』効果をカンストしたであろう、タオ(なお、あの後さらに弱点であるお尻を刺され、悩ましく悶絶した挙句に重ねて数発喰らってたりする。彼女の尊厳を守るため、描写は割愛するが)を、両脇に座ったカグヤとハニーが慰める。
「……見ましたか……? 見ましたよね……? 見たんですよね……?」
 乾いた笑みを浮かべる、二人。
「忘れてください……今日見た事、全部忘れてください……お願いですから……後生ですから……じゃないと……じゃないと、私……」
 ワッと泣き伏せるタオ。完全に、折れている。
「泣かないで。敵は皆が討ってくれるよ。だから、ね?」
 言いながら、ハンカチを渡すハニー。受け取りながら、タオは彼女を見る。
「ありがとうございます……。貴女が、こんな良い方だったなんて……」
「いや、それほどでも~。防護服、着る?」
「嫌です」
「ガ~ン」
 凹むハニーに、カグヤも問う。
「本当……。さっきは何で、あんなにやさぐれてたの……?」
「いやだってさ~。蜂(あいつら)、ハニーの魔法効かなかったんだよ? 長年培った成果が全然。プライド大崩落。そりゃ、闇落ちもするっしょ~」
「ああ、確かにそれは……ん?」
「……え?」
 何か、不吉な言葉を聞いた。
「あの……今、何と?」
「へ?」
「だから……魔法が、何て?」
「いや、だから全然『効かなかった』って……ん?」
 固まる三人。
 そのまま、そ~っと奮戦する皆の方を見る。途端。

「うぎゃあああああ!!」
「いった~い!!」
「や、やめろ!! そこは……あっ~!!」
「イテテ。皆、だいじょぶか~?」

 蓋を開ける、地獄の窯。
 とりあえず、ハニー。お前は、帰れ。



「きゃ~!! 魔女殺し~!!!」
「ラ、ラニ……待て……落ち着け……」
「うっさいうっさいうっさ~い!!! 殺すのぉ!! コイツ殺してぇ、あたしも死ぬのぉ~!!」
「だから……待て……殺るなら……殺るなら……オレも、混ぜろ……」
「い~や~!! た~す~け~て~!!」
「カ、カグちゃん……違うんだ……違うんだよ……アレは……アレは……アレはぁあああ……」
「(絶え絶えの息で)……わ……かった……分かった、から(ゼーハーゼーハー)……ヴォル……(ゼエゼエ)ちょ……黙って、て……(チアノーゼ寸前)」
「大騒ぎだな~。マー」
「……何で貴女は平気なんですか……? ステラ……」
「蜂の子とかオヤツにしてたからな。ハチにはなれっこだゾ」
(自然育ちって凄い……)

 ……起こったのは、まさに阿鼻叫喚の無間地獄。
 ある者は時空を越えて召喚された自作ポエムをバラ蒔かれ(酷い目)、またある者はこっそり書き溜めていた想い人と自分主人公の夢小説(ちょいエロ)が朗読され(酷い目)、時にはいつかの世界戦争で某国の最終兵器が放った反物質縮退魔力砲が降り注ぎ(とんでもない目)、更にある者は異世界フェミランの姫に破滅の邪神ゾーマデーマに脅かされる民人を救う為に勇者に転生してくれと社会……と言うか、この世界での存在を抹消されかけた(とんでもない目……ここまで来ると、お空の上のロクデナシが余計なチョッカイ出してんじゃねぇかと思えてくるが……)。

 そして、仲間と世界を救う為に一人走り回ったカグヤは全ての魔力を最後の一滴まで使い果たしたと言う次第。

 力尽きたカグヤを抱き抱え、ヴォルフラムが慟哭する。
「ごめん……ごめんよ、カグちゃん。僕が、僕が無力なばっかりに……」
 ラニは拳を地面に叩きつけ、悔しさの涙を流す。
「何て事……。これじゃあ、あたし達に託された世界(の甘党)の願いが……」
「私達は、私達は何の為に……」
 と、肩を震わせるタオを誰かがつつく。
「あンのぉ~」
「はい?」
 振り返ると、そこには申し訳なさそうな顔の虫狩り三獣士の姿。
 そう言えば居たな。こいつら。
「一応、捕まえマシたケんど」
 そう言って差し出すのは捕虫管。中には、ゴソゴソ動く10cm程の虫。
 女王蜂である。
 ……へ?
 一斉に振り向く皆。そこには、剥き出しになった養蜂箱が。
「な、何で……?」
「いや。ワテら、上位権限とか言うヤツで、連中ノ毒効きマせんデナ」
「貴公らが気を引いてくれたお陰で、上手くいきましたよ」
「刺されリャ普通ニ痛いデスから。助かリましたワ」
 凄く、爽やか。
「では。役目も終わりましたし、我らはお暇しましょう」
「次ニ会う時は、戦場デしょなァ……」
「出来れバ、お会いシタクないものデスワ」
「ご息災を、願っております」
 そう一礼して、背を向ける。遠ざかる彼らの声。楽しげに響く。
「結局、ワタクシ達の能力使イませんでしたワね」
「何、刃など抜かずに済むのならそれに越した事はない」
「違いアリませんナぁ。ハッはっはっ」
 薄闇の向こうに消えゆく背中。それに、ステラとハニーが声を送る。
「元気でなー」
「道中、お気をつけてー」
 呆然と見送りながら、皆は思う。

 会いたくない。ああ、会いたくないとも。会えばきっと、この日の悪夢を思い出すから。

 中天に昇った月の下、力尽きた戦士達がバッタリと倒れる音が響いた。



 この後、養蜂家の皆さんが慰労として夢魔の誘惑たっぷりのミルクティーを淹れてくれました。
 とっても美味しかったとさ。

 とっぺんぱらりのぷぅ。



【雑魔】極甘(ごっかん)の恐怖
(執筆:土斑猫 GM)



*** 活躍者 ***

  • ヴォルフラム・マカミ
    カグちゃーん、ごはんだよー
  • カグヤ・ミツルギ
    ・・・ん、解った。

ヴォルフラム・マカミ
男性 / ライカンスロープ / 拷問官
カグヤ・ミツルギ
女性 / 人間 / 陰陽師




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2020/02/10-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[3] タオ・リンファ 2020/02/16-03:18

すみません、諸事情でご挨拶が遅くなってしまいました……
断罪者のタオ・リンファと、拷問官のステラ・ノーチェインです。
よろしくお願いします。
しかし、ベリアルと隣り合わせで仕事をすることになるとは……
居ると分かっていれば準備も出来たものを、今回は勝算も薄く民間人を巻き込む可能性もあり……我慢するしかありませんか……

防護服は勿論、養蜂家の方から頂いたものを使用します。
いくら魔術によって守られるとはいえ、このようなヒラヒラした服を着るなど……着るなど……!  
 

[2] カグヤ・ミツルギ 2020/02/15-20:51

陰陽師のカグヤと、拷問官のヴォル
……よろしく、お願い、します。

……ロイヤルビーは、高原地域にだけしかいないから、かしら…冬でも採蜜する、のね…
夏の最盛期と比べると、千単位だから少ない方だけど…
蜂に刺されて刺さったまま残った毒針と毒嚢、又は毒液を吹きかけられると、それらの匂いに反応して更に刺されるから、注意が必要、かな…

あとは、ミツバチの巣材は蜜蝋のみだから、火に弱いと思う。

…それにしても、『とんでもない目に合う』って、何かしら……