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【優灯】ハロウィンを演じよう!


ストーリー Story

 朝、魔法学園フトゥールム・スクエア。
 各コースの最初の授業を始める前に、教師達は一つのお知らせを伝え始めた。
「現在、子供を中心にハロウィン自体を怖がるような現象が発生しています。その恐怖を払拭したくトロメイア大劇場で、子供達が楽しめるハロウィンの催しをするそうです。その催しへの参加のお願いが先程入り、受け入れました。開演は夜だそうです。催しはハロウィンを含んでいる物であれば、何でも構わないそうです。どうか参加を考えてみて下さい」
 お知らせが終わると、いつも通り授業が始まった。
 学園での一日が終わると、協力を決めた学生達は夜が訪れた『八色の街』トロメイアに建つトロメイア大劇場へ向かった。

「……怖いこと、起きないよね。起きたらやだなぁ」
「今日は夜更かしをしていいって、お父さんとお母さん言ってたけど」
「ハロウィンって、楽しいと思ってたけど、本当は怖いものだったのかな」
 夜を迎えたトロメイア大劇場では、ハロウィンを怖がる子供達で観客席は満席となっていた。
「ハロウィンを楽しんでくれるといいんだけど」
「子供達が怪我をしないようにしないと、トロメイア大劇場の名に傷がつく」
「観客を巻き込んだ楽しい物にしたいけど、出来るかな」
 トロメイア大劇場の関係者達は、緊張気味に観客席を見ていた。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-10-16

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2019-10-26

登場人物 3/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《ゆうがく2年生》ドライク・イグナ
 ルネサンス Lv14 / 村人・従者 Rank 1
「あっしはライク・・・そう、ライクって呼んでほしいっすよ」 一人称は『あっし』『ライクさん』 二人称は『そちらさん』『~のにーさん』『~のねーさん』 ドラゴニアの方限定で『未来の我が主』 ただし、レダさんに限ってはホイッパーのにーさん 語尾は~でヤンス、~でゲス、~っスと安定しない。 三下ムーブ。 笑うのが苦手 身長:180㎝ 体重:85kg前後 好きなもの:自分を特別扱いしない人、自然に接してくれる人、美味い食べ物 苦手もの :家族、集落の人々。自分を持ちあげてくる人。 嫌いなもの:まずい食事。自分の名前。 趣味は筋トレ、狩り、釣り。 サバクツノトカゲのルネサンス 感情が豊かで涙もろい・・・が種族の特徴なのか能力が暴走しているのかよく血の涙を流す。 その血に毒性はないし、勢いよく噴射することもできないが血には変わりはないく不健康そうなのは常に貧血気味のため。 シリアスはホラーにコメディではカオスになる? ちょろい。よく餌付けされる。 将来の展望は特になく卒業までに何かしらの職につけるだけの技能を習得出来たり、ドラゴニアの主君を得られればラッキーくらいにしか考えてない。 祖流還りによる必殺技は『毒の血の涙(目からビーム)』 そこそこの量の毒性を持った血液を相手に向かって噴射する。 自分は貧血になりぶっ倒れる。 相手はびっくりする。血がかかったところが痒くなる。

解説 Explan

 ハロウィンをテーマにしたものであれば、歌ったり演奏したり踊ったり料理を振る舞ったり仮装させたり、観客を巻き込んだ出し物も可能です。とにかく、子供達がハロウィンを楽しむ事が出来れば何でも構いません。
 出演だけでなく、裏方として活動したり観客として子供達と交流しても構いません。
 出し物に必要な物は、大劇場の方で用意していますので、自由に利用して下さい。
 こういう人物と交流したいなど希望がありましたら、プランに記載をお願いします。
 例)恐がりの5歳のヒューマンの双子の兄弟、お菓子が大好きな20歳のフェアリー


作者コメント Comment
 今回の舞台は、トロメイア大劇場になります。
 観客である子供達に、素敵なハロウィンをプレゼントして下さい。


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
人々の勇気と連帯感を引き出し、一致団結することで困難に立ち向かうことの大切さを伝えたい。

・出し物の内容『ヒーローショー』
自分の役
黒く長くなびいたローブをまとい、顔の見えないフードを目深に被った【黒衣の魔道士】
街を征服する手始めとして劇場を支配しにやってきたと宣言。

演技やセリフは厨二。偉そうに重々しく持って回った難解な言い回しを多用。
最初は高圧的で強気。大げさに観客を脅かし、神武王へは闇の魔法で攻撃する演技。
神武王が観客の心を掴んで盛り上がってきたら
形勢が逆転して弱気になり、最終的には捨てセリフを残して逃走します。

闇の魔法
・希望を見えなくする絶望の霧<ダークミスト>
照明を少し下げて風を吹かせる。

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
エリカ部長さんと仲間たちで、中2病ヒーローショーを、
中2用語満載の遠大かつ熱血な台詞回しで、ノリノリで演じる!

〈キャスト〉
『神武王(キングジム)』タスク・ジム
『黒衣の魔導士(ブラックマジシャン)』エリカ・エルオンタリエ
『司会の兄貴(グレイテストショーマン)』ドライク・イグナ

〈ストーリー〉
前半 【黒衣の魔導師】の襲撃に【神武王】が立ち向かい、こてんぱんにやられる。
幕間 【神武王】が「仲間を集める」と称して、ウィッシュ記載の企画。客席から少年少女を集める
後半 仲間とともに【黒衣の魔導師】に立ち向かい、勝利!

仲間
熱血だがうざい少年
優しいけど内気な少女
力持ちだが臆病な男子
聡明だが意地悪な女子
他多数

アドリブA

ドライク・イグナ 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
エリカのねーさんとタスクのにーさんと一緒にヒーローショーでヤンスね
あっしがするのは司会のおにーさんなんでゲスが

『司会の兄貴(グレイテストショーマン)』ってがらじゃないっスけどもせっかく考えてもらったんで少しは近づけるよう頑張ってみるっすかねぇ…

あ、丁度いいタイミングでトリックオアトリートって言葉と意味を教えて言ってくれた子供にボーンキャンディーをばら撒くっスよ


リザルト Result

●1章 舞台袖
 夜、『八色の街』トロメイア、トロメイア大劇場の舞台袖。
「今日は頑張りましょう」
 勇ましい衣装を纏った【タスク・ジム】が、共に舞台に立つ二人に声を掛けた。
「もちろんでヤンス。司会のおにーさんとして、ヒーローショーを盛り上げるっス」
 洒落た衣装の【ドライク・イグナ】が返した。
「えぇ」
 黒く長いローブを纏った【エリカ・エルオンタリエ】も頷いた。
「……初舞台だけど緊張しなくても、大丈夫よ。わたしがいるから」
 それから動物が大好きなエリカは、傍らの悪役メイクを施された大型犬の頭を優しく撫でた。
 大型犬は、劇場が初舞台を踏ませたくて用意した子だ。魔法学園フトゥールム・スクエアの学生である3人を信頼しての事だ。
 丁度その時、劇場関係者が開幕を伝えに来た。
 いよいよ、開幕だ。

●2章 ハロウィンヒーローショー・前半
「こんばんはー、あっしは司会の兄貴(グレイテストショーマン)っス。どうぞお見知りおきを!」
 ドライクは舞台中央に立って、観客席に挨拶をした。
(……がらじゃないっスけども、せっかく考えてもらったんで少しは近づけるよう頑張ってみるっすかねぇ……)
 自分の持てる力を発揮させようと思いつつ。
「みんな、今日は何の日か知ってるでヤンスか?」
 ドライクは、子供達に訊ねた。
「ハロウィン!!」
 子供達は元気一杯にドライクに教えた。
「さすがでヤンス!! 合い言葉は知ってるッスか?」
 ドライクは手をパチパチ叩いてから、さらに訊ねた。
「トリックオアトリート!!!」
 子供達は皆口を揃えて、大きな声を会場に響かせた。
「大正解ッス! あっしからのトリートでヤンス!!」
 ドライクは観客席目がけて、景気よくボーンキャンディーをばら撒いた。
「わぁぁあ、キャンディーだぁ」
「今日はお菓子を夜食べてもいい日だもんねー」
「悪戯とお菓子の日、だーい好き!」
 受け取った子供達は、嬉々として頬張り幸せな顔。
「!!」
 突然、響く犬の遠吠え。観客席に流れていた和やかな空気は、一瞬にして凍り付いた。
「ふはははははははは」
 続けて、舞台に煙が吹き出て高笑いが響く。もちろんエリカの笑いだ。
「な、何でヤンス!!」
 ドライクは、大仰に怯えた。
「今の怖い声なぁに」
「何かこわぁい」
 子供達はドライクに煽られ、おどおど。
「なかなか、よい街だな」
 煙が晴れ、姿を現したのはフードを目深に被り顔が見えないエリカだ。
「そう思わぬか、我が下僕よ」
 傍らの大型犬に声を掛ける、その姿はどう見ても悪役だ。
(悪そうに怖そうに、観客にはバレないように悪役らしく高圧的に重々しい感じで。これもショーの成功のため、人々の勇気と連帯感を引き出し、一致団結することで困難に立ち向かうことの大切さを伝えるため)
 だが、心の中では優しい娘さんだ。
「手始めにこの劇場を支配してやろう。我が名は、黒衣の魔導士(ブラックマジシャン)。その小さき胸に深く刻む事だ」
 エリカは偉そうに名乗った。精霊にローブをなびかせ雰囲気を出して貰う。
「今宵はハロウィン故、我から、トリックを送ってやろう!」
 杖技の基礎となる動きを心得るエリカは、三日月の杖クレセントムーンを悪くて強そうに振りかざした。
「やだぁぁあ」
「こわぁあい」
「帰りたい」
 子供達は何かされると思ったのか、一層怯える。
「そこまでだ、黒衣の魔導士!」
 ここで劇場の入り口からタスクの声。
「僕は、神武王(キングジム)! この街を、この劇場を、ハロウィンを護る守護者だ!!」
 タスクは勇者らしく正々堂々と名乗り、衣装に相応しい格好いいポーズをノリノリで決めた。
「おおお、ハロウィンの守護者、救世主の登場っス! みんな、拍手で応援でヤンス!」
 ドライクは、すかさず観客席を煽り舞台の盛り上げに務める。
「わぁぁあ」
 子供達は恐怖はどこへやら元気に拍手をした。
「覚悟しろーー!!」
 タスクは、勇ましく客席を駆け抜け舞台に上がり、魔物の知識を活かして狼系、猫系、鳥系など、格好良い獣をどんどん空間に写法筆で描き出し、けしかける。
「ほう、勇ましいな」
 エリカは揺らぐ風の如く、次々と襲うタスクの攻撃を巧みに避け続けた。
「闇魔法、希望を見えなくする絶望の霧、ダークミスト!!」
 そして、幾度目かの攻撃を回避した所で、クレセントムーンの先をタスクに向けた。
「な、何だ、これは……」
 すると照明が少し下げられて精霊の補助もあり妖しい風が吹き、タスクを追い詰める。
「負けないでーー」
「頑張れーー」
 子供達はすっかりショーに夢中になり、タスクを応援する。
「護ると大きな口をきいた割には大した事がないな、我が覇道の障害にもならぬわ!」
 エリカはすっかり演技に集中しており、悪役らしい悪い顔が板に付いてきた。
「ふふふふははは、笑止、笑止、自分の内に隠された『チカラ』に気が付いていない者など恐れるに足りん」
 高笑いを響かせ、タスクに背を向けるエリカ。
「さあ、行くぞ下僕よ」
 傍らの大型犬に声を掛け、偉そうに舞台袖に向かって歩き出した。
「まあ、ひとりひとりは弱くても、全員で立ち向かってくれば事情は違うがな」
 さらにエリカは自発的に協力して立ち上がるように誘導しつつ、消えた。
 こうして前半が終了し、幕間に突入。

●3章 ハロウィンヒーローショー・幕間
「僕一人では黒衣の魔導師には勝てない。みんな、僕に力を貸して欲しい」
 タスクは観客席に向かって、協力を訴える。
「共に戦ってくれないだろうか!!」
 勇者らしく熱く。
「力を貸してくれるお友達は元気に手を上げるでヤンス! おにーさんが舞台まで案内するッス!」
 ドライクが呼び掛けた。
「オレにまかせろっ!! 行くぞティッケ!」
 真っ先に高々と手を上げた熱血少年は、隣席の友人を誘った。
「僕はこわいからやだよぉ、お菓子食べてる」
 臆病なティッケは渋り、ドライクに貰ったキャンディーを舐めていた。
「オレの熱い魂とティッケの怪力で悪い奴を倒すぞー、オレ達がこの街を護るんだ!!」
 少年はやる気満々にティッケの腕を掴み、ドライクが来る前に舞台へと駆け出した。
「えぇえ、やだぁあ、ルッカ、離してよー」
 ルッカの熱さにティッケは、少しうざそうにしていた。
「リリもお兄さんを助けたいなぁ……でもリリとろいし……」
 手を上げようとして引っ込め、俯く少女。
「大丈夫でヤンス! 助けを神武王が待ってるッス! 優しさは凄い戦力でゲス!」
 聞き逃さなかったドライクが近付き、言葉を選び優しく説得を試みた。
「……リリを待ってるの?」
 リリは顔を上げて、ドライクに聞いた。
「待ってるッスよ」
 ドライクが躊躇いなく返した。
「…………うん」
 リリは小さく頷き、ドライクに導かれ舞台へ。
「観客を巻き込む劇なんて、面白いですわね」
 年齢の割に聡明そうだが、どこか意地悪で高飛車な口調の少女が、手を上げた。
「あっしが、エスコートするでヤンスよ!」
 ドライクが気付いてやって来た。
「えぇ、きちんとするのよ。淑女なんだから」
「もちろんでヤンスよ、お嬢様!」
 少女は偉そうに言って、当然のようにドライクの後ろをついて行った。
 4人が舞台に上がった所で、舞台に上がる仲間集めは終了した。
「僕もお手伝いしたい」
「応援したいな」
 だが、観客席の子供達は神武王を助けたくてうずうず。
「観客席のみんなもお手伝いするでヤンスよ! 大きな声で応援して、神武王に勇気を与えるでヤンス!」
 察したドライクは、観客達が楽しめるようにと配慮する。
「みんなの応援があれば、黒衣の魔導士がどれだけ強くても負けないよ」
 タスクは、先程の勇ましい勇者の顔ではなく、にっこりと優しい顔で言った。
「やるよーー」
「応援するーー」
 子供達は元気一杯に答えた。
「ふははははは」
 その時、再びエリカの高笑いと大型犬の鳴き声が響く。
「この声は!!! みんなーー、神武王を応援してくれでヤンスーー!!」
 ドライクが煽ることも兼ねて、真っ先に怯えてみせた。
「神武王、頑張れー」
「今度は倒せー」
「負けるなー」
 子供達が全力で応援する。
「黒衣の魔導士が来た! 勝つために名前と得意な事と苦手な事をこの羊皮紙に書いてくれ!」
 と言って、タスクは羊皮紙と劇場に借りた普通の筆を子供達に渡した。

●4章 ハロウィン・ヒーローショー・後半
「さあてと、ゆるりとこの劇場を我のものにするとしよう」
 エリカが重々しく再登場し、クレセントムーンをびしっとタスクに向けるや、漆黒の風を差し向けた。
「攻撃は僕が防いでいるから、その間に書いて、僕に渡してくれ。『王の仲間』である君たちならきっと出来る」
 タスクは、黒衣の魔導士の方に写法筆の先を向けて、結界を張り苦しくも攻撃に耐えてみせる。当然舞台の演出も使って。
「頑張れでヤンス!」
 ドライクが率先して応援する。
「頑張れー」
「負けるなー」
 観客席から必死の応援。
(『真名』に『とりえ』を誇張した技名と『じゃくてん』を克服できる技名を即興で考えてと)
 タスクは、頭をフル回転させつつ写法筆を構え続ける。
「ルッカだ。オレは足が速いんだぞ!! 泳ぐのは苦手だー」
 ルッカの得意はかけっこで弱点は泳ぎ。
「ティッケだよ。僕は重たい物持てるけど、こわいのは嫌だよぉ」
 ティッケの得意は力持ちで弱点は臆病。
「……リリ、得意な事なんか無いよぉ、思ってる事もっと言いたい」
 リリの得意は観客席で見せた優しさで弱点は内気。
「わたくしはミレーヤですわ。得意ってほどはありませんけど、賢くて可愛いですわよ。苦手は子供らしくする事ですわね」
 ミレーヤの得意は聡明さで弱点は意地悪。
 子供達は、無事に羊皮紙をタスクに渡した。
「君たちは『王之名簿(キャラクターリスト)』に記録されし神武王の仲間だ。これに記録されたすごい『チカラ』で、君たちのハロウィンを成功させてみせる。この神武王が請け合うぞ」
 4枚の羊皮紙を無事に受け取ったタスクは、凛々しく子供達と劇場関係者を含む大人達を鼓舞するかのように言った。
「筆よ、今こそ神武王の力を見せよ!」
 続けて、羊皮紙に書かれた事を元に閃いた必殺技を宙に書き付け、舞台演出と共に次々と繰り出す。
「すげぇ、オレの必殺技だー」
「……すごい」
 ルッカとリリ。
「ぐっ、我が下僕よ、この身を、護るのだ」
 続けざまに喰らう必殺技に形勢が逆転して弱気になったエリカはよろめきつつ、大型犬に命じた。
「はぁぁっ!!」
 タスクはティッケとミレーヤの必殺技を叫び、写法筆で宙に書き付けて、大型犬に向かって放った。
 きゃうん、と大型犬は一鳴きすると床に倒れた。
「僕が教えたのが凄い技になったよーー」
「当然ですわ」
 ティッケとミレーヤ。
「おおおっ、神武王の必殺技が炸裂でヤンス!! さあ、出るか、出るでゲスか。超必殺技!!」
 ドライクは大いに煽り、観客の期待を高める。
「トドメだ!!」
 タスクはそう言って、皆の技を一度に描出し、超必殺技として炸裂させる。
「兄ちゃん、やっちゃえぇーー」
「頑張れー」
「…………頑張れ」
「負けるわけありませんわ」
 ルッカ、ティッケ、リリ、ミレーヤのタスクを応援する声と観客席の声とが重なり、地鳴りとなり会場を包む。
「……ぐっ、こ、こんなはずでは……ここは撤退だ」
 エリカは苦虫をかみつぶした顔で、傍らで弱って伏している大型犬を一瞥してから撤退を決めた。
「覚えておるのだぞーー。行くぞ、下僕よ」
 エリカは捨て台詞と共に大型犬と逃走し、舞台袖に消えた。
「黒衣の魔導士が逃げるでゲス! みんなのおかげでヤンス!」
 ドライクが明るく観客席に言った。
「ありがとう、皆の力で黒衣の魔導士に勝利する事が出来た」
 続けてタスクが、力を貸してくれた4人の子供達に礼を言った。
「君たちの名は、神武王の仲間として永久にこの『王之大辞典(キングファイル)』に記録され、この日が伝えられるだろう」
 そして、速やかに羊皮紙に書かれた物の写しを取ってから、原本は『王之大辞典(キングファイル)』に綴じる。
「『王之名簿謄本(キャラクターシート)』だ。今日の記念に」
 タスクは写しを子供達に差し出した。
「おおおーー、すげぇ」
「ありがとー」
「……ありがとう」
「まあ、気が利きますわね」
 ルッカ、ティッケ、リリ、ミレーヤは嬉々と受け取り席に戻った。
「きゃぁぁぁ」
 その時、会場の外から女性の悲鳴が響いて来た。
「この神武王が今行く!」
 タスクは急いで舞台を降り、子供達の声援を受けながら客席を駆け抜け、会場を出た。
「無事にハロウィンは護られたッス! 感謝でゲスよ!」
 ドライクは司会者として、最後を締めた。

●5章 公演を終えて
 ハロウィン公演は無事に終了した。
「面白かった」
「お菓子も美味しかったし、劇も面白かったなぁ」
「あたしもお兄ちゃんのお手伝いして、悪いお姉ちゃんをやっつけたかった」
 子供達は、迎えに来た家族と一緒に今日の出来事を喋りながら帰路を急いだ。

 一方、劇場。
「さすが、学園の学生さんだ。頼んで正解だった」
「観客も楽しそうだったよ」
「本当にありがとう!!」
「あの子、みんなのおかげで役者犬として素敵な初舞台になったわ」
 劇場関係者達がエリカ、タスク、ドライクに精一杯の感謝を送った。



課題評価
課題経験:52
課題報酬:1600
【優灯】ハロウィンを演じよう!
執筆:夜月天音 GM


《【優灯】ハロウィンを演じよう!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2019-10-11 00:44:16
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。
ヒーローショーみたいなわかりやすい劇をやって、観客を楽しい気分にできたらと思ってるわ。
よろしくね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2019-10-11 06:19:59
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします。
僕は、大変な事件が相次ぐ中で、子供や若者を勇気づける内容にしたいな、
と思っています。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 3) 2019-10-11 13:00:15
わたしが考えているのは、観客参加型の劇よ。
悪役の演者が劇場を支配しようとするけれど、観客にそれを阻止してもらうことで
みんなに連帯や互いの信頼の大切さ。自分たちの持っている力に気が付いてもらえればと思ってるわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2019-10-12 09:49:47
すごくいいですね!
例の事件に端を発する、今の不穏な状況下では、
うまくいけば、観客の皆さんの大きな励みになりそうです。

観客参加型というなら、ちょうどいいギミックを思い付きました。
僕、いや「彼」の能力であるキングファイルを活用するんですが…

観客の中の少年少女を集めて、
名前と【とりえ(とくい)】【じゃくてん(苦手)】を紙に書いてもらいます。
それに、僕たちで【真名】、【とりえ】を誇張した技名、
【じゃくてん】を克服できる技名を即興で考え、書き付けてあげるのです。

そして写しをとり、【王之名簿謄本(キャラクターシート)】として本人にプレゼントします。
そして原本はキングファイルに綴じ、
「君たちは【王之名簿(キャラクターリスト)】に記録されし、神武王の仲間だ!
君たちはこれに記録されたとおり、すごい「チカラ」を持っている!
さあ、「チカラ」を解放し、みんなを助け、君たちのハロウィンを成功させるんだ!
「王の仲間」である君たちならきっと出来る!神武王が請け合うぞ!」

…とこんな感じで、少年少女そして周りの大人たちを鼓舞する結果につなげられたらな、と。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2019-10-12 18:12:39
面白いアイデアをありがとう。
タスクさんがみんなの『チカラ』を呼び覚ますヒーロー役をやってくれるのなら、
わたしはやられる側の悪役をさせてもらうわね。
最初のうちは威勢がいいけど、だんだん形勢が悪くなって、
最後にはみんなの『チカラ』で退散させられてしまう展開でどうかしら?

《ゆうがく2年生》 ドライク・イグナ (No 6) 2019-10-12 20:00:02
村人・従者コースのライクさんっスよっと。

なにやらヒーローショーをやるみたいでヤンスね・・・
でしたらあっしはそれに便乗して司会のお兄さんでもやらせて貰えたら嬉しいっすね。

・・・トリックオアトリートって教えてお菓子ばらまこうと思ってたんで丁度いいでゲスし。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 7) 2019-10-12 20:58:13
ありがとうドライクさん。
司会進行役がいると、とても助かるのでよろしくね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 8) 2019-10-12 23:49:22
ドライクさん、来てくれてありがとうございます!
よろしくお願いします!

ヒーローショーはお約束が浸透してないと成立しにくいので、
司会者がいてくれると本当に助かります。

そして、エリカ部長さん、まさにそれをお願いしようと思ってました。
本当にありがとうございます!
【黒衣の魔導師】との再戦、「彼」も僕自身も楽しみにしています!

そこで、今のところ僕が考える流れはこんな感じです。

前半 【黒衣の魔導師】の襲撃に【神武王】が立ち向かい、こてんぱんにやられる。
幕間 【神武王】が「仲間を集める」と称して、前述のキャラクターシートの企画
(ドライクさんが客席から少年少女を集めてくださると大変助かります)
後半 仲間(観客参加者)とともに【黒衣の魔導師】に立ち向かい、勝利!

もちろん、色んなアイデアあり得るし、人数が増えたらまた変わってきますよね。
出発までの間に、楽しく考えましょう。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2019-10-12 23:49:38

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2019-10-14 22:13:27
仮プランを書いてみましたよ。
珍しく文字数が余ったので、キャストなんか書いてみましたよ。

〈キャスト〉
『神武王(キングジム)』タスク・ジム
『黒衣の魔導士(ブラックマジシャン)』エリカ・エルオンタリエ
『司会の兄貴(グレイテストショーマン)』ドライク・イグナ

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 11) 2019-10-15 01:00:45
流れはタスクさんの案に合わせるわ。
最初はわたしが優勢だけど、後半に観客が立ち上がれば逆転して
わたしは逃げ出してしまうという感じでいいかしら?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2019-10-15 16:41:48
そうですねぇ~・・・
倒したあと改心するほうが僕は好みではありますが・・・
子供向けにシンプルに行くなら、おっしゃるとおり「おぼえてろよ~」と逃げ出すほうが分かりやすいですね。

「やーらーれーたー」と炸裂の種で爆発演出というのも捨てがたいですが(笑

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2019-10-15 22:25:57
プラン完成しました!

参加してほしい少年少女を、以下のように記述してみました。
・熱血だがうざい少年
・優しいけど内気な少女
・力持ちだが臆病な男子
・聡明だが意地悪な女子

また、写法筆と写法術を取得し、みんなの真名とチカラを描写する演出を追加しました。

エリカ部長さん、ドライクさん、ご一緒いただきありがとうございました!
結果が楽しみですね!
見に来てくれた人が、どうか希望を取り戻せますように。