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あわてんぼうの、さんたくろーす。


ストーリー Story

 勇者歴2019年、11月24日。
 時刻は、皆が寝静まった深夜。
 学生寮にこもって勉強をするのも嫌気がさしてきたので、気分転換になればと外を散歩していた時だった。
 目の前に現れたのは少しだけ太り気味の、言うなれば『おじ様』。
 厚手の赤い生地に白いファーで縁取られた服、同じ色をした三角形の帽子の先端には雪のような玉がひとつ。
 そして何と言っても特徴的なのが、その顔を覆い尽くさんとする白ヒゲであろう。
 そんな男の傍にいる3匹のトナカイが、イチョウのカーペットを滑るかのように走り、その体に繋がれたソリを引く。

 あわてんぼーのっ、さんたくろーすっ♪

 ……いや、違うだろ。

 クリスマスまではまだ一ヶ月あるし、サンタクロースはせっせとみんなに配るプレゼントを準備している時期に決まっている。
 ……前言撤回。
 いくらのろまなサンタクロースでも、準備ぐらいは終わっているか。

 とはいえ、まずは目の前の男だ。
 一応正体は不明であるため、まずは控えめに声をかけてみることにした。
「あの……あなたは……?」
 男は何も言わず、顔色一つ変えず、まっすぐこちらへ向かってくる。
 そしてその距離を数十センチまで詰め、ぐぐぐっと顔を寄せ、目をカッと開き、下から覗き込むようにしてこちらを凝視してきた。
「お、おい、お前っ、お前は誰だ!」
「OH! これまた失礼! ユーシャのタマゴって人ネ!」
 ……目が悪いだけかよ、びびったよ。

 確かな不信感を抱きながら、サンタクロースと思しき男に、さらに声をかける。
「それで、はるばる北のどこかから、どうしてこの学園へ?」
 返事がない、ただのサンタクロースのようだ。
「あの、どうしてこちらへ?」
 ――返事がない、ただのサンタクロースのようだ。
「あの……」
 ――――返事が、
「OH! ナニカ言いました!? ゴメンナサイね!!」
 ……耳も悪いのかよ、もう返す言葉もないよ。

 そして問題のその男はというと。
「今日もアツいですネ!! まるでカザンのようダ!!」
「当たり前だろ! どんだけ厚着してんだよっ!!」
 聞こえないと知っていながらも、反射的にツッコミが出てしまった。
 そんな自分も、まぁ嫌いではない。
「ワタシに何て口の利き方をするんデス!」
「いや、聞こえてんのかよ!!!!!」
 めんどくさいサンタクロースに出会ってしまった。
 いや、これがデフォルトなのか……?

 とりあえず聞こえていることはわかったので、同じ問いを投げる。
「それで、どうしてこの学園に……?」
「ハァイ? みんなにクリスマスプレゼントを配るタメに決まっているじゃないデスカ!!」
 クリスマスプレゼントとは、ご存知の通りクリスマス・イブの夜にサンタクロースが配るプレゼントのことで、決してまだ雪も降らないこの11月に枕元に置かれる不審な宅配便のことではない。
「あの……大変申し上げにくいのですが……」

 ――今、11月ですよ、と。

 しかし、返事がない。
 ただのサンタクロースではないのだろうが、ここは例にならって『ただのサンタクロースのようだ』と言っておこう。
 だがこの時だけは、明らかにその男の顔つきが違った。
 表現するなれば、宇宙を背景に佇む猫のような表情。
「…………ワンモア・プリーズ?」

 ――今、11月ですよ、と。

「オーケーボーイ、ステイ?」
「エヴィバディ、セイアゲイン?」
 ……エヴィバディって誰だよ。
 まぁ、言われたからには、もう一度。

 ――今、11月ですよ、と。

「NOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」
 隠密行動が基本のサンタクロースが上げる声量ではない。
 焦っている、絶対に焦っている。
「あの……どうされました……?」
 その男は、乱暴に肩を掴んでくる。
「ジュウイチガツ!! つまりは、ノーベンバー!!」
「ええ、そうですけど……」
「ワタシは! ジューダイなミスを! おかしましタ!!」
 ……あぁ、なるほど。
「つまりは、一ヶ月日付を間違えた今日、プレゼントを配ってしまった、ってことですかね?」
 その言葉を聞いたトナカイ3匹が真冬の空を駆けているかのように震え上がる。
 あわてんぼうのサンタクロース、実在したとは。
「こうしてはいられませン! プレゼントをカイシューしなけれバ!!」
 そして、嫌な予感は思った以上に的中するもので……。

 ――アナタも、手伝ってくだサイ!!!

 こうして、あわてんぼうのサンタクロースと、一夜の共闘が始まる。



エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 8日 出発日 2019-11-14

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2019-11-24

登場人物 6/8 Characters
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《新入生》ローゼン・ムーンダスト
 カルマ Lv9 / 教祖・聖職 Rank 1
名前:ローゼン・ムーンダスト 【外見】 長い金髪の三つ編みおさげに薔薇が絡まっている 色白で華奢な美少女 右目と左手に印がある 丸関節 眼鏡 【服装】 アレンジした白のゆうがくの制服 印を隠したくて左手にレースの手袋をしてる 足に薔薇の蔦が絡まっている 【性格】 一般に対しては 偶像を壊さないように振る舞う 優しくて、可愛らしく、儚い が、BLが絡むと一気に壊れる 一般:控えめに話ながらも芯が強く 守って上げたくなるような人格を意図的に演じる 口調:~ですわ。~かしら? 私、貴方 壊れ:もはや口調すら違う BLが大好きで推しCPを皆に布教したい 圧が強い 口調:~よ。~ね。 私、君 現在の夢はゆうがくで教祖の勉強して この世界にBLを布教したくて堪らない 薔薇の貴腐人
《ゆうがく2年生》ドライク・イグナ
 ルネサンス Lv14 / 村人・従者 Rank 1
「あっしはライク・・・そう、ライクって呼んでほしいっすよ」 一人称は『あっし』『ライクさん』 二人称は『そちらさん』『~のにーさん』『~のねーさん』 ドラゴニアの方限定で『未来の我が主』 ただし、レダさんに限ってはホイッパーのにーさん 語尾は~でヤンス、~でゲス、~っスと安定しない。 三下ムーブ。 笑うのが苦手 身長:180㎝ 体重:85kg前後 好きなもの:自分を特別扱いしない人、自然に接してくれる人、美味い食べ物 苦手もの :家族、集落の人々。自分を持ちあげてくる人。 嫌いなもの:まずい食事。自分の名前。 趣味は筋トレ、狩り、釣り。 サバクツノトカゲのルネサンス 感情が豊かで涙もろい・・・が種族の特徴なのか能力が暴走しているのかよく血の涙を流す。 その血に毒性はないし、勢いよく噴射することもできないが血には変わりはないく不健康そうなのは常に貧血気味のため。 シリアスはホラーにコメディではカオスになる? ちょろい。よく餌付けされる。 将来の展望は特になく卒業までに何かしらの職につけるだけの技能を習得出来たり、ドラゴニアの主君を得られればラッキーくらいにしか考えてない。 祖流還りによる必殺技は『毒の血の涙(目からビーム)』 そこそこの量の毒性を持った血液を相手に向かって噴射する。 自分は貧血になりぶっ倒れる。 相手はびっくりする。血がかかったところが痒くなる。
《新入生》ザコバ・モブロフ
 ヒューマン Lv14 / 魔王・覇王 Rank 1
サブカルチャー大好きな34歳独身。 彼女いない歴は我が生涯である! 元居た世界ではブラック企業に勤務していたらしいが、会社で2月目の缶詰め状態に入ったある日、夜中にデスクでうたた寝してたら……この世界に転移してしまった。 とりあえず、元の世界に戻って大事なフィギュア達や薄い本を転売の魔の手から守るのが今の目標。 「そのためならば、拙者は悪にでもなれるでござるよドゥフフフ……」 でも、ファンタジーの世界にいるはずのエルフっ娘やらを生で見られるので、この世界も満更ではないようだ。 なお、大変なメタボでいらっしゃる。 健康診断はこわいけど、白衣のナースは大好物。 失ったもの:頭髪 実年齢:34歳(2020.3.22現在) 身長:151cm 体重:3桁の大台
《ゆうがく2年生》御影・シュン
 ルネサンス Lv11 / 黒幕・暗躍 Rank 1
おおっ!貴殿…初めましてでござるな!? しかも拙者と同じく新入生と見える! これは自己紹介といくでござろう! 拙者は御影・シュンでござる!あ、「ミカゲ」が苗字でござるよ。 種族は見ての通り祖流種…ルネサンスで、専攻は黒幕・暗躍科でござる! 敵地に忍び込んでの情報収集や、嫌いなあんちくしょうの闇討ちはお任せあれでござるよ! ……あ、物騒でござったか? そうでござるなー…居なくなったペットの捜索とかも請け負うのでござるよ!犬いいでござるよね!なんか親近感湧くー! 細々とした依頼は是非、拙者を頼って下され!…成功報酬は頂くかもしれないでござるがね? 拙者、ご学友の皆と比べるとちょーーっと歳が行っているでござるが、仲良くしてくれると嬉しいでござる! ◆プロフィール 狼のルネサンス 身長176cm 赤味がかった茶の短髪 素早く動く事に特化したしなやかな筋肉を持つ 顎と口元にかけて刀傷の跡が残っている 性格は明るく、社交的 表情がころころと変わり、喜怒哀楽もやや大げさに表す ただし人によっては、その感情に違和感を覚えるかもしれない 実は「ござる」口調はキャラ付けの意味で使っている ボロが出ると標準語になる 「シノビも客商売でござるからね~。キャラ付けは、大事。」 ※アドリブ歓迎でござるよ! ※フレンド申請も歓迎でござる!

解説 Explan

【シナリオ概要】
 プレゼント回収対象は、先輩NPCたちでございます!
 なぜか鍵は開いているので、問題なくコッソーリ入っちゃってください。


【シナリオ進行について】
 基本的に以下の流れで進行します。

①先輩NPCの部屋に侵入
②プレゼントを回収して撤退
③サンタクロースが物音を立ててしまって先輩起床
④その後、先輩によっては、泣いたり怒ったり友好的だったりします。

 先輩とどんな絡みをしたいかをプランに記載してください。


【プレゼント回収対象NPC】
・パルシェ・ドルティーナ
 皆さんの姿を見てビビります、泣き出します。
 クリスマスについては、とっても夢を持っているほう。
 
・ルシファー・キンメリー
 皆さんの姿を見るやいなや、笑いながら突撃してきます。
 彼女はのーきんです、侮ってはいけません。

・フィリン・アクアバイア
 サンタクロースに色々質問責めをするかもしれません。
 クリスマスについて深く語りたい方、是非に。

・リーエル・アムフィリム
 めっちゃ絡まれるし、好奇心のままに遊び倒されます。
 プレゼントは欲しいものが多くて、決めきれないみたいです。

・アルマ・クレーティス
 精霊や神への信仰心が強いため、サンタクロースへも律儀。
 2人の温度差を楽しみたい方はこちらへ。

・ヤエガシ・メグリ
 いろんなお話を聞いてくれるご意見番です。
 質問したいこと、いっぱい聞いてみましょう。

・ミレーヌ・エンブリッシュ
 お嬢様は、お嬢様らしく怒ります。
 でもサンタクロースは信じているタイプです。

・キキ・モンロ
 基本的に話が噛み合わないけど、なんか憎めません。
 クリスマスについて教えてあげてください。


【その他補足事項】
 絡むキャラの被りは、できるだけナシでお願いします!

 空想・妄想・発想は自由!
 コメディ・シリアス・戦闘などなど、設定はなんでもOK!
 舞台は学生寮ですので、メメたんに怒られないようにご注意を。
 ――暴れたけりゃ外に行きな!


作者コメント Comment
 いやー、クリスマスですね!(すっとぼけ)
 テンションが高いサンタクロース、そして個性的な先輩方!
 そこにみなさんのキャラクター性を加えて、一夜の騒動を起こしちゃってくださいね!

 ところで皆さんは、クリスマスに夢を持っている方ですか?
 僕は昔からサンタクロースになりたい少年でして、なぜかプレゼントをしたがりな性格でした。
 PBWを通じて、皆さんに楽しい時間を提供できていれば、それが僕の誇りです。

 クリスマスへの夢、エピソード、もしくは不平不満。
 みなさんのキャラクターは、どのようなクリスマスを思い描いているのでしょうか。
 個性あふれるプランが提出されるのを、楽しみにお待ちしております。


個人成績表 Report
ベイキ・ミューズフェス 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:247 = 82全体 + 165個別
獲得報酬:9000 = 3000全体 + 6000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【フィリン・アクアバイア】
フィリン先輩のところに行って、どうすればあんなに妖艶お色気系になれるか聞いてみt……じゃなくって、こっそりプレゼント回収しますね

折角ですし、赤いコートでサンタっぽく

先輩に見つかったら、折角ですし、サンタについて語り合ってみたいところ

サンタクロースとは元々は聖人とされる方の名で、一説では、貧しさのあまり娘を売らざるを得なくなった貧しい家に、金貨を投げ込みその家を救ったのがルーツとも言われるとか
そのときに、暖炉に下げられてた靴下に金貨が入っちゃったなんて説も

一部では、いい子にはお菓子を
悪い子には炭をあげるサンタもいるとか

南の暖かいところだと、海の上を滑るサンタが居るかも

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
さんたくろーす。
西の国の文化、って名称が付いた免罪符で不法侵入するお人。だっけ。

そーんなお人お一人のために、かよわぁい3人で運搬を担わされてるなんて。
くろーすんだね、こんな面白い生物でも。角とかめきめきにおっきいね。喉元なんてもこもこのぷるぷるだし。
勘違いのなおじーさんの尻拭いするよか、3人でぬくぬく学園の暖炉の前でぷるぷるしといたら?…ダメ?えー。
そったらザコちゃん、この3人がぬくぬく出来るよーに手出しすっかな。おじーさんの手助けじゃなくて、ね。

てきとーに手出ししてさっさと3人ぷるぷるしに行きたいんだけど、早く終わるためには分担のが良さみだし。
ザコちゃんは黒い天使様(アルマ)のとこ行くかな。

ローゼン・ムーンダスト 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
皆に「BL本」を布教する

【行動】
『写法術』と『絵画』で同人誌を作る
サンタと一緒にプレゼントを回収したらこの同人誌とメモ紙を代わりに置いておく
皆が男性同士の恋愛に抵抗がなくなる為の下準備であり洗脳である

【感情】
まぁ、サンタクロース様…
つまりは慌ててプレゼントを配ってしまって回収するのを手伝って欲しいと?
良いでしょう
では代わりにこの我が教団の教本となる「BL本」を配ってまわりますわね
大丈夫、最初ちょっとびっくりするけどすぐに良さがわかりますわ

それにしても、慌てん坊とのんびり屋のサンタクロースがいるとか
…どちらが受けでどちらが攻めなのか!!
私、選べない!!
これは私の教団に居る渋専に聞かないと

ドライク・イグナ 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
希望する回収対象NPCは特になし

サンタに捕まって女子寮に入ることになってしまったっスよ
希望する先輩はいないっていうか誰がどの部屋かって解んないでゲスからテキトーにいくでヤンスよ

まずは無事にターゲットのとこに行かなきゃなんで暗視順応、聴覚強化、気配察知、やせーの勘で慎重にいくッスよ
・・・まぁ、行きだけでなく、帰りと回収時にも慎重にやるでヤンスけど

女子寮に入ってるのがバレたら社会的にも肉体的にも死にそうでゲスからね
女子の皆さんはこういう時怖いッスからねー

もしも誰かに気が付かれたらなんかテキトーに言い訳するっでゲスよ


さて・・・あっし、無事に帰ってこれるんでヤンスかねぇ・・・?

ザコバ・モブロフ 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【ミレーヌ・エンブリッシュ】
拙者はミレーヌお姫様の寝室に参上し、生お姫様の生寝顔をドゥフフフ……ではなかった、サンタとして本物のプレゼントは回収しプレゼントフォーユーでござる

馬を望まれるなら、拙者が馬になる覚悟でござるよ!

王たる者、馬上から手足のように一糸乱れず兵を動かし、
「さすが女王様だ!俺も女王様のお役に立つ下僕になりたいぜ!」
と慕われねばなりませぬ

ささ、この駿馬の背中にお乗りなさい(キリッ

気合いが足りぬなら、風車鞭をいただいても結構でござるよ

馬の癖に遅い?
拙者の故郷の貴人は、牛に車を牽かせゆっくりじっくり民の暮らしぶりを見聞されておられたとか
急いでは見えぬものもあり、拙者が息切れしますぞ

御影・シュン 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:247 = 82全体 + 165個別
獲得報酬:9000 = 3000全体 + 6000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
◆心情
いやはや、実在するんでござるなぁ~「あわてんぼうのサンタクロース」殿は
しかして隠密任務は拙者の十八番
任せるでござるよ

◆潜入
拙者の担当は…キキ・モンロ殿の部屋でござる

万が一バレた時の言い訳の為にサンタ服で変装しておく
赤い衣装と帽子に白いひげ、これぞサンタ
…サンタのバイトってあるんでござろうか?

拙者の隠密技術を全て活用
気配察知と危険察知で対象が起きぬ様細心の注意を払い、プレゼントを回収するでござる

ふっ…我ながら完璧な仕事でござったな
…サンタ殿が音を立てた場合は拙者、悪くないでござるよね!?


モンロ殿がプレゼントを回収される事に落ち込む様子が見られれば
お詫びとしてジャッククッキーをプレゼント

リザルト Result


 長い夜の時間をどう使うかは人それぞれ。
 それでも一人一人を見ると、決まった行動パターンというものが見えたりする。
 明日の授業に備えて準備をしていた者もいれば、穏やかな眠りについていた者もいたかもしれない。
 そう、いつも変わらない静かな秋の夜を、各々が過ごしていた。
 いや……過ごしていたはずだった。

 ――季節はずれの服装をした、赤いおじさまに呼び出されるまでは。

 『サンタクロースが一ヶ月前にプレゼントを配ってしまった』という意味のわからない話を聞いたのは、つい数分前のこと。
 幸か不幸か――いや、不幸が大半を占めている気もするが、広場に集められた6人は、胡散臭い自称サンタクロースとそれに巻き込まれたのであろう友人【パーシェ・フォカ】に詳細を説明されている最中だった。
「とりあえず、俺らの先輩に配られたプレゼントを回収しなければならないんだが……この際だから手分けしてやろうと思う。それぞれ誰の部屋に行くか、ここで決めてくれないか?」
「ハーイ、ごメイワクをおかけしマスが、ヨロシクおねがいしますネ!」
 不本意そうな声で説明をするパーシェを尻目に、『HA・HA・HA!』とサンタクロースらしからぬ豪快な笑い方をするおじさまだが、敢えて追求はしないことにしておこう。

 皆が等しく不信感を抱いている中、初めに言葉を発したのは【ベイキ・ミューズフェス】だった。
「そうですね……私はフィリン先輩のところへ行ってみたいです」
 ベイキが接触を図ろうとしているのは、賢者・導師コースを専攻しているローレライの先輩【フィリン・アクアバイア】だ。
 一口に先輩といえど、彼女は長きにわたり学園に在籍している大先輩。
 口調はとても穏やかで冷静な印象ではあるが、彼女に年齢を尋ねてはいけないというのは風の噂で聞いたことがある。
「おぉ、それはありがたいな。フィリン先輩ってすぐ決めたみたいだが……何か理由があるのか?」
 あっ……と、ベイキが反射的に答え始める。
「どうすればあんなに妖艶お色気系になれるか聞いてみた……いえ、なんでもありません。同じローレライですので、少し気になっただけです。こっそりプレゼントを回収しますね」
「なるほど……んー、なるほど? まぁ、よろしく頼むよ」
 はい、と短く返事をした後、彼女は一足先に女子寮へと向かうのであった。

「――さんたくろーす、ね」
 ベイキを視線で見送りながら、【チョウザ・コナミ】が誰に向けた訳でもない声で呟き、一人歩き出す。
「ん……? チョウザ――じゃなくて、ザコちゃん。何か言ったか?」
 風に溶けてしまった声を、パーシェは聞き返す。
「そのおじーさん。西の国の文化、って名称が付いた免罪符で不法侵入するお人。だっけ」
 振り向きざまにサンタクロースへと向けたチョウザの視線は、冷たい。
「そーんなお人、お一人のために、かよわぁい3匹で運搬を担わされてるなんて」
 チョウザが歩き出した先にいたのは、寒さに震えているトナカイ達。
 表情こそ変わらないが、その3匹を見つめる目は、どことなく穏やかだった。
「くろーすんだね、こんな面白い生物でも。角とかめきめきにおっきいね。喉元なんてもこもこのぷるぷるだし。勘違いなおじーさんの尻拭いするよか、3匹でぬくぬく学園の暖炉の前でぷるぷるしといたら?」
 トナカイはぷるぷるしながら、首を横にふるふると振る。
「……ダメ? えー」
 んー、と少し考え、サンタクロースを一瞥した後でパーシェに話しかける。
「そったらザコちゃん、この3匹がぬくぬく出来るよーに手出しすっかな。おじーさんの手助けじゃなくて、ね」
「あぁ、無理言ってすまないな。そうしてくれると助かるよ」
「ぶっちゃけ何処に行くかってのは興味なさみだし、ザコちゃんはてきとーに黒い天使様のとこにでも行くかな。めんどくさいお人ではなさそうだし」
 チョウザが言っている『黒い天使様』とは、きっと【アルマ・クレーティス】のことだろう。
 アルマは勇者・英雄コースに所属している、中性的な顔立ちをしたアークライトの少女で、生徒会に所属していたりもする。
 15歳にしてはとても落ち着いていて、神様や精霊に対しての信仰心も厚いことから、サンタクロースの存在については驚きもしないだろう。
「てきとーに回収してくっから、おじーさんは受け取りにだけきてくれればいーよ」
 行き先を決めたチョウザは、一人だけでふらっと女子寮へと向かうのだった。

 ベイキやチョウザが先に行ってしまったことに、慌てている人物がいた。
「あぁ、いけませんわ! あのお方に我が教団の教本をお渡しするのを忘れていました……。プレゼントの代わりに置いてきていただければと思っていましたのに!」
 そう言いながら【ローゼン・ムーンダスト】が両手で持っているのは、彼女の中で『教本』と呼ばれる、聖なる(?)書物。
 教本の表紙には『鯉はマヒマヒ』と、題名らしき何かが書かれているのだが……それだけで内容を察するのは不可能だ。
「こうなったら私自ら、我が教団を布教するしかありませんわね!」
 目的がずれてきている気がしたので、パーシェはとりあえず一言だけ入れておく。
「いや、えっと……出来ればプレゼント回収をだな……」
「慌ててプレゼントを配ってしまったサンタクロース様のため、回収をお手伝い差し上げるのはもちろんですわ!」
 よかった……と、そっと胸をなで下ろす。
「その代わりに、この教本を配って回りますの! これを期に、BL本が普及したら良いですわ♪」
 ――ん? 今、何と?
 まぁ、手伝ってくれるのであればそれでいい。
「それじゃあ、基本はみんながいく部屋へ順番について回って……その、『教本』を置いていく形でいいんだな?」
「はい! よろしくお願いしますわね!」
 その手にはどっさりと、教本『鯉はマヒマヒ』が握られている。
 訝しげに見つめるパーシェはまだ、フトゥールム・スクエアに、麻痺属性の恋がばらまかれようとしていることを知らない。

「拙者の担当は……【キキ・モンロ】殿の部屋にするでござる!」
 ここまでの話を聞いてしまったにも関わらず、【御影・シュン(みかげ・しゅん)】も手伝いに加わってくれるようだ。
 シュンが接触を図ろうとしているのは、村人・従者コース所属のヒューマン、キキ・モンロ。
 『空皿積みのキキ』という二つ名は学園内でも有名で、大食いのコンテストなどが開催されれば、どことなく現れて全てをかっさらっていくほどの吸引力。
 側から見た感じは元気で明るい子なのだが、学園随一の不思議ちゃんでもあるため要注意だ。
「話が早くて助かるよ。あくまで女子寮に入るわけだから、くれぐれもバレないようにだけ気をつけてくれよな」
 そう、今回の潜入場所は男子禁制のエデン――もとい、女子寮。
 学園長に見つかりでもしたら……想像するだけでもおぞましい。
「隠密行動は拙者の十八番、大船に乗った気分で、どどんと任せるでござるよ!」
 そう、シュンは『シノビ』や『忍者』と呼ばれるような、隠密行動に特化した訓練を受けた人物。
 彼に関しては特段大きな心配もしていないのだが……今回のメンバーにはパーシェも含め、他に3人の男がいる。
 その男性諸君の行き先をこれから決めるわけだが、不安しか残らない。
「それでは拙者、先に目的地へと向かうでござる!」
 男性メンバー唯一の希望の星が、去っていった。

 取り残された3人、どうしたものか。
「あっしは女子寮の潜入なんて自信が無いっスよ……。そもそも誰がどの部屋かって解んないでゲスから、どうしてもって言われたらテキトーにいくでヤンスよ」
 その気持ちはわかるぞ……という言葉を心の中で嚙み殺し、【ドライク・イグナ】にも潜入してもらう部屋を振り当てる。
「あぁ、すまないな。それじゃあライクには……」
「あっしには……?」
 誰の部屋を任せようかと考えるパーシェの脳裏に浮かんだのは、赤いビキニと、大きなマント。
 これから自分が発する言葉への罪悪感を、すぅーっと深呼吸で飲み込み、仏のような穏やかな表情でドライクに言った。
「――ルシファー先輩のところに、行ってくれるか」
 魔王・覇王コース所属のヒューマン、その名を――【ルシファー・キンメリー】。
 のーきん。
 パーシェが接触を最も避けたかった人物であり、のーきん。
 つまりは、のーきん。
「ルシファー先輩でゲスか!? あっし……無事に帰ってこれるんでヤンスかねぇ……?」
 ドライクの表情は、引きつった笑みを浮かべるので精一杯に見える。
「あぁ……もしものことも想定して、慎重に進んでくれ。幸運を祈る。グッドラック」
 彼を見つめる目が、なぜか戦場に送り出す息子を見ているかのように温かかった。

「そして、あぁ、なんというか……あなたは」
 パーシェにはなぜか、最初から心の中で決まっていることがあった。
 【ザコバ・モブロフ】という、これまたいかにもなサブカル男性なのだが……。
「ドゥフフ、拙者の思考を読めるでござるな」
 そう、シュンと口調は似ているが、明らかに発音する音が太く、どことなく早口で、濃い。
 これでいて、自信ありげにパーシェをまっすぐ見つめてくるのだから、考えていることは一緒なのだろう。
「はい、ザコバさんは……」
「拙者は……」
 ――【ミレーヌ・エンブリッシュ】先輩の部屋に行ってください、と。
「ドゥフ、さすがでござるな」
 ミレーヌを一言で紹介するなれば、王女様。
 もちろん専攻コースは王様・貴族コースで、種族はヒューマン。
 ブリリアントな学園生活を送る先輩だ。
 どうしてザコバがミレーヌの部屋に行きたがっているかというのは……聞くまでも無いだろう。
「それでは、集合まで時間もあると思いますので存分にお楽しみください」
 グッ、と親指を立て、ザコバ・モブロフはその巨体を揺らしながら闇夜に消えた。

「さて……こんなもんでいいですかね?」
「ハァイ! アナタのサイハイにはカンドウしましタ! ワタシも、プレゼントをカイシューしにいきますネ!」
 人の話も聞かず、サンタクロースも皆が行った方向へと歩いて行く。
 ぷるぷると震えているトナカイに、いってきますと優しく告げて、パーシェもプレゼントの回収に向うのだった。


「おーっ、生徒たちが何やら頑張っているみたいだな☆」
 学園長【メメ・メメル】は、女子寮へ潜入しようとしている男子生徒の姿をばっちりと捉えていた。
 女子生徒に関しても、夜遊びと捉えられればそれは学園のルールに反することである。
 学園内には『ウーツルの欠片』という監視システムが備わっており、生徒がどんなにバレないように悪さをしようとも、瞬時にその行動を把握できるようになっているのだ。
 もちろん、生徒はその事実を一切知らないが。
「まぁ今回はサンタクロースのお願いだしな、人助けと思って黙認黙認だぜ!」
 とりあえず、学園長からなにか行動を起こす気はないらしい。
「んー、でもちょっとぐらい、トラブルがあっても面白いかもな☆」
 前言撤回。
「あ、鍵はさっき開けておいたからな! ちゃんと回収するんだぞ☆」
 ――彼らの身に何が起こるかは、もう少し後のお話。


 踏み入れた暗闇の中でベイキが最初に思ったのは、部屋の香りがとてもいいことだった。
 お風呂上がりなのか、それともそういうお香なのか。石鹸のような香りをまとっている。
 誰も見ていない場所にも関わらず、こういう細やかな部分に気を使えるところが、フィリン自身の美しさを演出する要素の一つであることには違いない。
(こういうところも妖艶お色気系になるために大切なのですね。勉強勉強です)
 そしてあたりを見回すまでもなく目に飛び込んできたのは、白を基調としたシングルベッドで安らかな寝息を立てているフィリンの横顔だった。
 穏やかな海に浮かぶ月のような、静けさの中に神秘を感じさせる表情。
 トレードマークの赤い眼鏡を外していることもあってか、思ったよりもあどけなさが残る少女、といった印象の方が強い。
(さすがフィリン先輩……! お眠りになっている姿もお色気の塊です……!)
 もっと眺めていたい気持ちを抑え、その枕元に置かれているプレゼントに手をかけようとしたその時だった。
 誰も触れていないはずの本棚から急に天球儀が落ちてきて、サンタクロースの頭を直撃する。
「――ホワット!?」
 反射的に声が出てしまうのも頷ける……が、こうしている場合ではない。
 フィリンがもぞもぞとしている姿を横目で見ながらプレゼントを掴み取り、出口へ向かう足を早める。
「……んー、何の音じゃ……?」
 目覚めてはしまったが、出口はすぐそこ。
 気づかれる前にドアノブに手をかけて外に出ようとするが――なぜか開かない。
 ガチャガチャ、と不自然な音に気づいたのか、フィリンが部屋の明かりとして使っていたロウソクを灯してしまった。
「お主ら、妾の部屋で何をしておった?」
 バレてしまっては仕方ない、とベイキは謝罪を交えながら、事情を説明するのであった。

 フィリンは事態の飲み込みも早く、特に怒ることもなく冷静に話を聞いてくれた。
「ほう……それでプレゼントを回収していたわけじゃな。……して、妾のプレゼントは何だったのじゃ?」
 えーっと……と、ごまかす話題を考えるベイキだったが、サンタクロースが先に内容を言ってしまう。
「ハァイ! あなたハ『おサケ』がスキだときいていましタので! ヒガシのクニの『ニッポーンシュ』というおサケをいれていましタ!」
 あぁ……と、思いながらベイキはフィリンの顔を見る。
「――嫌じゃ」
 ……え?
「嫌じゃ、と言っておろう」
 フィリンは真っ直ぐベイキを見つめ、その脇に抱えられたプレゼントをがっしりと掴んで離さない。
「あの……これは間違って配ってしまったプレゼントですので、申し訳ありませんが今日お渡しするわけにはいかないのです」
 それもそうじゃな……と、力なく箱を掴む手を離し、少し悲しげな表情でベッドに腰掛けた。
 せっかくの機会なので、ここで話題も振ってみた。
「フィリン先輩は、サンタクロースについてどう思っていらっしゃいますか?」
 ふむ……と、フィリンが真剣な表情に変わったのを見て、ベイキはさらに話を続ける。
「一説では、貧しさのあまり娘を売らざるを得なくなった貧しい家に、金貨を投げ込みその家を救ったのがルーツとも言われるとか。そのときに、暖炉に下げられてた靴下に金貨が入っちゃったなんて説もありますよね」
 そうじゃな、と一呼吸挟み、フィリンが答える。
「色々調べておるようじゃが、それはあくまで説に過ぎぬ。お主の目で見たものだけが全てとは言わんが、隣に本物らしき人物がおるのじゃから、まずは目の前の事実を集めることからはじめてみることじゃな」
 多くの本を読み、たくさんの知識を蓄えた上でのフィリンの答えは、ベイキの思考に基点となる何かを与えたのかもしれない。
「逆にお主は、クリスマスプレゼントに欲しいものはないのかや?」
 悪戯に聞いてくるフィリンは、クリスマスなんだから考えすぎずにもっと楽しめ、と暗に言っているようだった。
「そうですね……(釣)竿が欲しいです。太くて長くて強いのが」
 フィリンがはっとした表情を浮かべるが、ベイキにはその理由がわからない。
「なんと……太く長く強い竿とは、お主も好き者じゃな」
「はい、とっても(魚釣りが)好きです! 毎日でもいいぐらいですね」
 『毎日でも』というところで、ベイキが言っていることが釣竿の話だと理解したフィリン。
「お主よ、言葉というものは時に多大なる誤解を生むことがあるのじゃ。十分に注意するのじゃぞ?」
 ベイキの頭には『?』マークが浮かび続ける。
 この後しばらく談笑に浸り、フィリンと別れた後で、皆が待っているはずの広場へと戻って行くのだった。


 ベイキと入れ替わりで、ローゼンがフィリンの部屋にやってきた。
「回収は無事に終えられたようで、よかったですわ! 私は先輩の部屋にお邪魔して、私が製作した『教本』をプレゼントしてまいりますわね!」
 コンコン、と扉をノックし、部屋の中へと足を踏み入れる。
「今日は賑やかじゃな、お主は何の用じゃ?」
「大したものではありませんが、回収されたプレゼントの代わりになればと思いまして、オススメの本をお持ちいたしましたの!」
 妖艶な目でローゼンを見つめながら、特に嫌がる素振りも見せず、教本『鯉はマヒマヒ』を受け取り、ざっと目を通す。
「ほう……酒が薔薇に変わってしまった、というわけじゃな。中々に興味深い本じゃが……要件はこれだけかや?」
「はい! よろしければお友達にも布教……ではなくて、オススメしていただけると嬉しいですわ!」
 それだけ言い残して、ローゼンは次の部屋へと向かうのであった。


 チョウザ・コナミの目的はプレゼントの回収ではなかった。
 アルマの部屋の前に来ては、特にノックもせずに部屋へと入っていく。
「ふーん、部屋の鍵は戸締り施錠されていると思ってたけど、不自然だよね。ふふ」
 夜遅いにも関わらず部屋の明かりは灯っていて、そこには、真剣に勉強へと取り組むアルマの姿があった。
 チョウザの視線と、その横に佇むサンタクロースの姿に気づいたアルマは、取り乱すことなく訪ねてくる。
「おや、こんな時間に客人とは珍しいですね。ノックぐらいはしていただきたかったものですが……でも、これで納得しました」
 アルマは小包を取り出して、それをこちらに手渡しながら話を続ける。
「これ、もしかして。あわてんぼうのサンタクロース様がプレゼントを配ってしまった……ってことですかね? お返しいたしますよ」
「さっすが天使様。話が早いのはありがた感謝なんだけど。驚かないんだね、やっぱり」
「普通なら音も無く忍び寄る者には警戒すべきでしょうが……他ならぬ彼なら、それが普通でしょうから」
 ふーん、と興味なさげに話を聞き流し、プレゼントを受け取ってからサンタクロースに手渡す。
「ありがとうゴザイマス! デハデハ、またクリスマスにおジャマしますネ!」
「はい、いつかゆっくりお話できるといいですね。またどこかで」
 アルマは祈りを捧げるようにして、部屋を出る二人を見送った。

 とりあえずの任務を終えたチョウザは、ぷるぷる震えているトナカイのところに戻って来ていた。
「おじーさんにもう用はないし、どっか他のゆーしゃ様のとこに行ってくれていーよ」
 ただその前に――と、チョウザがサンタクロースを横目で見ながら言う。
「この3匹のぷるぷるの待遇はちゃんとしよーね。お給金……給餌出してる? 感謝は? 功績への報いはある? 供に伴なうのが当然のことだと慢心してない? 文化の2文字がそこまでの効力を示す訳じゃないんだろーからさ」
 サンタクロースの顔から笑みは消え、真剣な眼差しをチョウザに向ける。
「もちろんデス。タイセツなパートナーたちですカラ! このコたちもサイショはワタシといっしょにソラをかけマワるなんて、おもってナカッタとおもいもすヨ。それでもこうヤッテついてキテくれるのデスから、ソウオウのカンシャはしているつもりデス」
 ――チョウザの口元が、少しだけ緩んだ気がした。
「ならいーんだけどさ。でもここに置き去り放置してたらかわいそーだし。ザコちゃんゆーしゃ様が帰ってくるまでこのぷるぷるたちをぬくぬくさせとく」
 サンタクロースと別れ、その場を離れたチョウザ。
 トナカイ3匹を連れて暖炉の前でぬくぬくさせ、無心に彼らの喉元をくすぐっていた。
「……てかほんと喉元ぷるぷるだね。たのしい」


 チョウザが部屋を離れた後、ローゼンはアルマの部屋にもお邪魔をしていた。
「今日は客人が多くて楽しいですね。貴女も勘違いのクリスマスですか?」
「いえ! 私は回収されてしまったプレゼントの代わりに、ささやかながらオススメの本を配って差し上げてますの!」
 そう言ってローゼンは、アルマにも教本を渡す。
「鯉はマヒマヒ……ですか。表紙を見る限りではどういう本かはまだわかりませんが……」
 青年が鯉を持ち上げているという、謎を極めた表紙をゆっくりとめくり、興味深そうに最初の数ページを読む。
 そして、隠しきれない苦笑いを浮かべた。
「あはは、これは独特な本をお書きになる人ですね。僕の知り合いに好きそうな人がいたら、教えておきます」
「はい! よろしくお願いいたしますわね!」
 それだけを伝えて、ローゼンはアルマの部屋を後にした。


「……女子寮へ潜入完了でござる」
 ――御影・シュン、困難なくキキ・モンロの部屋の前。
「あとはプレゼントを回収するだけでござるな。サンタクロース殿はまだでござろうか……?」
「ワタシをよびましタか!?」
 急な呼び出しに声を上げそうになるのを、グッとこらえるシュン。
 『シノビ』の業を習得している者すら気づけなかった隠密ぶりは、さすがサンタクロースと言ったところだろうか。
「おどろくコトではないデス! パパっとカイシューしてしまいまショウ!」
 そう言って躊躇いもなく部屋に入っているサンタクロースの後を、文字通り忍び足で追いかけて行った。
 見回したキキの部屋はいたって質素で、部屋が割り当てられたときのそのままの姿を保っているだけのような印象だ。
 簡易的なベッドに無防備な姿で眠っているキキの姿は、邪気を一切感じさせない純粋無垢な姿。
(うむ、ぐっすり眠っているでござるな……今なら大丈夫でござる!)
 キキの枕元に置かれたプレゼントをしっかりと回収し、サンタクロースに手渡す。
(ふっ、我ながら完璧な仕事でござったな)
 あとは部屋から出るだけ、という状況でアクシデントは起こる。
 キキがぬくぬくと包まっていた毛布が突然宙に浮き、ベッドの外まで飛んでいく。
 ――明らかに不自然に。
「んー、なんか寒いの、毛布がどこにもないの……」
 眠気まなこを擦りながら、キキがあたりを見渡す。
 もちろん、部屋から出ようとしていたシュンたちも見つかってしまった。
 サンタクロースに変装しているはずだから大丈夫……だと、思いたいが。

「ん~、朝ごはんの時間なの? でもまだ暗いの」
 キキの頭上には明らかに『?』マークが浮かんでいるので、シュンは自分たちがここにいる理由を説明することにした。
「サンタクロース殿が間違えてクリスマスプレゼントを配ってしまったでござるよ……だから拙者たちは、そのプレゼントを回収しにきたでござる」
「ん~? くりすます、って何なの?」
 ――あぁ、なるほど。
 シュン自身も、幼い頃はサンタクロースが来るような環境に置かれていたなかったという。
 キキがクリスマスについて知らないことを悟ったシュンは、正しい知識を身につけた上でクリスマスを楽しいんで欲しいという願いで、優しいお兄さんのような表情を浮かべながら、彼女に優しく諭し始める。
「一年間いい子にしていると、12月24日の夜にプレゼントが届くのでござるよ。今回はちょーっと慌ててしまったのでござるが……」
 シュンに続き、サンタクロースも言葉をつなげる。
「なんデモ、ほしいモノをプレゼントするのデース! サスガにおおきすぎるモノはムリですガ!」
 その言葉に、キキがすぐに反応した。
「キキ、おいしいごはんがいっぱい欲しいの!」
 ――と言ったところで、キキの食いしん坊センサーが発動してしまった。
「そういえば、今日のプレゼントは何だったの?」
「ハァイ! アナタに用意したのは『ガクショクのムリョーケン』でしタ!」
「でも今日はお渡し出来ないのでござるよ……申し訳ないでござる」
 ごはん、たべれないの……と、キキが明らかに悲しげな表情を浮かべる。
 ここでシュンが事前に準備していた差し入れが光る。
「学食には敵わないでござるが、モンロ殿には拙者から『ジャックッキー』をプレゼントさせていただくでござる!」
 表情が、一気に明るくなった。
「クッキーなの! キキ、クッキーだいすきなの! ありがとうなの!!」
 うんうん、と満足そうに頷き、シュンはもう一言だけ付け加えた。
「サンタクロースのお仕事は皆が寝静まった頃じゃないとダメなのでござる。クリスマス当日は夜更かしせず、しっかりいい子にして寝るのでござるよ? そうすれば、学食無料券もちゃんといただけるはずでござる!」
「わかったの! キキ、いい子にして待ってるの!」
 話がひと段落したところで、シュンたちはキキに手を振りながら部屋を後にした。


 例に漏れず、キキの部屋にもローゼンはやってくる。
 ローゼンがドアノブに手をかけた音で、キキは先ほど教えてもらったことを思い出した。
「さんたくろーすがやってきたの! ごはんなの! でも、寝てなきゃもらえないの……」
 毛布にくるまって、寝たふりをするキキ。
「おじゃましますわ! ……って、お眠りになっていらっしゃいますのね。それでは、教本は枕元に置いておきますわ♪」
 そっと枕元に『感動系純愛ラブロマンス教本(自称)』を置き、ローゼンは次の部屋へと急ぐのであった。
 ――キキが目を輝かせながら、学食でこの本を提示する日が来るとも知らずに。


「あっし……本当に生きて帰れるんでゲスかねぇ……?」
 と、不安を吐露しながら女子寮への歩を進めるドライク。
 向かう先は、『のーきんちゃん』の異名を持つルシファーの部屋である。
 幸い部屋の前に来るまでは誰と遭遇することもなかったが、問題はこれから先である。
「ナニをなやんでいるのデスか? ハヤくいってカイシューしてしまいましょう!」
「と、とりあえずバレないように進むでヤンス……」
 そう言いながら、部屋の扉を開け、中に入る。
 見渡した部屋の内装は赤色で統一されていて、明るいところで見るとなんとも目が痛そうだ。
 その中にポツリとあるベッドで眠るルシファー。
 この寒さなのに毛布なんて蹴飛ばして、いつもの赤ビキニ姿で仰向けになり、文字通り爆睡している。
(女の子の部屋に侵入してるなんて、誰かバレたら本当に殺されるでヤンス……)
 全くと言っていいほど起きる素ぶりを見せないルシファーの枕元から、プレゼントを回収してサンタクロースに手渡す。
(よし……あとはバレないように帰るだけでゲスね……)
 ――と、その瞬間。
 ルシファーの枕元にあったティッシュペーパーが一枚宙に浮かび、細長く捻られた形になり、彼女の鼻をくすぐる。
 明らかに、実に明らかに不自然だ。
「へっ、へっ……ひぇっくしょい!」
 結果はもちろん、くしゃみによる起床。
 寝ぼけているのかそうでないのか、ルシファーはドライクの姿を確認するやいなや、笑顔で愛用の大鎌を握りしめる。
「――アタシのへやに、しんにゅーしゃ! ぶっとばしてあげるね!!」

 やばいやばいやばい、明らかにやばい。
 サンタクロースは……もういない。
(やっちまったでゲス! 早く逃げるでヤンス! ってか、明らかにおかしい状況じゃないでゲスか!?)
 狭い部屋の中を転がるように逃げるドライク。
 命からがらドアの前――もう少しで、というところで……鍵が開かない。
 そして大鎌を振りかぶり、大きく飛び上がるルシファーの影。
 彼女の小さな体が、世界を支配する魔王のように見えた。
(あっし……社会的どころか本当にここで死ぬでヤンスね……)
 と天を仰いだとき、『ゴツン!』という鈍い音とともにルシファーがこちらへ自由落下してくる。
 どうやら、飛び上がりすぎて天井で頭を打ったようだ。
 落ちて来るルシファーの体を扉にもたれかかりながら受け止める――と、先ほどまで開かなかったはずの扉が開き、ルシファーの体がドライクの上にかぶさるような形で、廊下の方へ倒れ込んでしまった。
 最悪なのは、そこに通りかかった2人の女子生徒がいたこと。
 『キャーッ!』という悲鳴や『なんで男子がここにいるの!』という怒号。
「ち、違うでヤンス! プレゼントを回収しに来たのはいいもののサンタには逃げられてルシファー先輩に襲われるしそもそも不自然なことがいっぱいおきてたまたま倒れたりなんだりでそこに先輩たちがいたでヤンスがかくかくしかじか……」
 怒涛のマシンガントーク。
 逆効果だったのか、女子生徒の怒号は止まない。
「お詫びでもないでゲスが! コレを受け取って落ち着いて欲しいでヤンス!」
 ドライクが差し出したのは、なにやら怪しいお通し。
「なによこれ! ほうれん草といんげんのおひたしじゃない!」
「私たちをなんだと思ってるの!」
 状況は圧倒的不利――だが、なんだかんだ一口ずつ食べてくれた。
 そこから数十秒後の出来事。
「なんだか眠くなってきちゃったし、今日は見逃してあげるわ……ふあぁ……」
「ふあぁ……次会ったら、許さないんだからね」
 魔法か奇跡か、どうにかこの状況を切り抜けることが出来たようだ。
 気絶したルシファーをベッドに戻し、どっと疲れた表情をしながらドライクは広場へと戻っていった。


 眠そうに歩いている女子生徒たちとすれ違いながら、ローゼンはルシファーの部屋を目指す。
 扉は開け放たれていて、中に入ると部屋の中に、ところどころ鎌で切りつけたような傷が残っていた。
「こ、この部屋……何が起こったんですの……?」
 ベッドを見ると、大きなタンコブを作って、気絶しているかのように眠っているルシファーの姿。
「きっとプレゼントが回収されるのが嫌で暴れたのですわね……代わりと言っては何ですが、この教本を置いておきますわね」
 ルシファーの枕元に、そっと置かれる教本。
 やたら睫毛が長い美青年と美青年が何故か巨大な魚を持ち上げている絵が描かれた表紙。
 ――この本に感化されたルシファーが、スペル湖で巨大魚のわし掴みに挑むのはまた別のお話である。


 ――不肖、ザコバ・モブロフ。
 女子生徒に数多の悲鳴をあげられながらたどり着いた、ミレーヌの部屋の前。
「デュフ……御免!」
 取っ手に手をかけ、ミレーヌの部屋へと、その重い一歩を踏み出した。
 まずは深呼吸、お嬢様の部屋の香りを存分に楽しむ。
(ん~、この香りはバラの香りでござるな……さすがお嬢様でござる)
 そして、ミレーヌが寝息を立てているエレガントでブリリアントなお嬢様仕様のベッドに目を向ける。
(生お姫様の……生寝顔をドゥフフフ……)
 起きる素振りも無いので、荒い鼻息を抑えながらプレゼントを回収して、引き気味に立っているサンタクロースへと手渡す。
 あとは引き返すだけというところで、明らかに不自然な光魔法が部屋中に炸裂し、一気に日中のような明るさになる。
 サンタクロース殿! と目で訴えるザコバだが、サンタクロース自身もワタシではアリマセン! と目で訴えてくる。
 そして、一番危惧していた事態が起きてしまった。
「んー……なぜこんなに明るく……って、貴方はどなたですの!?」

 ザコバは叫ぶ。
 さながらフィクション作品の主人公のように。
「ここは拙者に任せて、サンタクロース殿は逃げるでござる!」
 ――決まった、と後ろを振り返ると、サンタクロースの影はもうその場所には無い。
 逃げ足の速さはさすがサンタクロースといったところだろうか。
 その空虚を見つめていた目をミレーヌに滑らせると……もちろん、鬼のような形相。
「わたくしを誰だと心得ての行いですの!? 不法侵入ですわよ!」
「いや、拙者はお嬢様にプレゼントを渡しにきただけでござるよ」
 この状況で、なぜザコバは凛とした目が出来たのであろうか。
 よほどメンタルが強くなければありえないことだろうが、彼はこの事態を想定……いや、待っていたようにも見えた。
「プ、プレゼントって、何ですの……?」
 その言葉を聞いた瞬間、ザコバはさながら騎士のように跪き、ミレーヌの左手を取ってから告げる。
「――拙者で、ござる」
 彼の意思は、ミレーヌに困惑する暇も与えない。
「女王たる者、馬上から手足のように一糸乱れず兵を動かし、『さすが女王様!』と慕われねばなりませぬ」
 拙者もお嬢様の騎士に……と言いかけたところで、いや、と首を横に振った。
「馬を望まれるなら、拙者が馬になる覚悟でござる! ささ、この駿馬の背中にお乗りなさい!」
 キリッ、という効果音がつきそうなキメ顔。
 しかしお嬢様として気高く生きるミレーヌに、その言葉は通じなかった。
「貴方が言うことも確かに一理ありますわ。でも、その言葉と貴方に乗ることには全く関係がありませんわ!」
「一人の哀れな民衆の、ささやかな願いと思い……受け入れてはくれぬでござろうか」
 ザコバは彼女を穏やかな目で見つめ、願うように言う。
 民衆を幸せに導きたいと、そう思いながら生きるミレーヌには、その願いを受け入れざるを得ない何かが心の中にあった。
「わかりましたわ……仕方なく、ですわよ」
 ニヤァ……と、その顔はミレーヌに見せないようにしながら、馬のように四つん這いになる。
 さぁ! と声をかけるが、なにやらミレーヌは跨ることに戸惑いを覚えているようだ。
「この名馬、ザコバ・モブロフ。腰掛けるだけで優雅な旅路をお届けするでござるよ」
 それぐらいなら……と、彼の背中に腰掛けるミレーヌ。
(お姫様のスレンダーボディが拙者の背中に密着してると思うと……ドゥフフフ……)
 たまに歩が遅いと言われながら、部屋の中をぐるぐると這い回る。
「拙者の故郷の貴人は、牛に車を牽かせゆっくりじっくり民の暮らしぶりを見聞されておられたとか。急いでは見えぬものもあり、ですぞ」
 運動不足のザコバは息切れを隠せなかったが、この至福の時を存分に堪能する。
「拙者がお姫様のヒップを独り占めでござるよ! さぁ! この哀れな馬に女王様からのムチを!」
 パシンッ。
 ――あぁっ!!


「さて……ここが最後の部屋ですわね」
 ローゼンは最後の一冊を握りしめ、ミレーヌの部屋の扉を開く。
「お邪魔しますわ……って」
 眼前に広がるのは、四つん這いになった男の上に跨ってムチを打つお嬢様の姿。
 あちらも、こちらの存在に気がついて硬直していた。
「あはは……こ、この本だけ置いておきますわね。よければお楽しみの後でお読みください♪」
 足早に部屋を去るローゼン。
 ミレーヌさんが男の子だったらなぁ……と考えながら、広場へ戻って行くのであった。


 他のプレゼントを回収し終えたパーシェも、広場へと戻っていた。
 サンタクロースを含めた他の面々も、しっかり揃っている。
「いろいろあったようだが……とりあえずプレゼントを回収は出来たみたいだな、ありがとう」
 達成感に浸る者、満足げな顔をしている者、少しばつが悪そうな者などそれぞれの感情が渦巻くが、全ての元凶は最後まで呑気だ。
「ハァイ! ミナサンのおかげでたすかりマシタ! またクリスマスに、おあいシマショウネ!」
 そう言って、暖炉の前でぷるぷるしているトナカイを連れていこうとする。
 3匹のトナカイは、チョウザから離れたくなさそうにしていた。
「またクリスマスに来るんでしょ? その時にぷるぷるすれば良さみじゃない?」
 悲しさと寂しさが入り混じった顔をしながら、トナカイは首を縦に振った。
 そして彼らは、サンタクロースを乗せて空へと飛び立っていく。

 本当のクリスマスには何が起きるのだろうか。
 それぞれ自分の部屋へと戻り、今夜起こったことを思い返しながら眠りにつくのだった。



課題評価
課題経験:82
課題報酬:3000
あわてんぼうの、さんたくろーす。
執筆:じょーしゃ GM


《あわてんぼうの、さんたくろーす。》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 1) 2019-11-06 00:04:49
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
私はフィリン先輩のところに忍び込みたいですが、早めでしたら調整もできると思います。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 2) 2019-11-06 12:32:05
…西の国の文化になってる人なんだっけ。あの赤い白ひげのおじいさん。
文化、の3文字が老若男女その他問わずの不法侵入への免罪符になるなんて。
いー身分してるよねぇ。特権階級の極みぃ?ふふ。

ザコちゃん、あのおじいさんに言いたいこととやりたいことあるだけで、
ぶっちゃけどの先輩の部屋に行きたい訳でもないから。
そもそも他人の領域に踏み込むのが正直好きくないし。そんな詮索したいことある?

なんせよそんな感じで、ザコちゃんは気にせず、好きな先輩のとこ行ってくれていーからね。

《新入生》 ローゼン・ムーンダスト (No 3) 2019-11-06 21:03:06
ごきげんよう?
教祖・聖職コース所属

ローゼン・ムーンダストと申しますわ。
どうぞ、よしなに。

私、誰に何するとか全く、これっぽっちも興味無いのですけど。
プレゼントを回収するのでしょう?

私、代わりに皆様に素敵な物を配ろうかと思いますわ。

我が「Buddy rose教」略してBL教…あ、rじゃないけど瑣末な事ですから気にしないで下さいな。

我がBL教で作成したこの「BL本」を代わりに置いて布教させて頂きますわね?
えぇえぇ。お代なんていりませんわ。
ただ、是非、読んで欲しい。
それだけですもの。

オホホホ(

《ゆうがく2年生》 ドライク・イグナ (No 4) 2019-11-10 10:40:25
男なのに女子寮に入ることになってしまったライクさんッスよー。
特に目当ての先輩はいないんでそこら辺はご自由にでゲスよ。

・・・あっし、無事に帰ってこれるんでヤンスかねぇ・・・?
社会的に。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 5) 2019-11-10 19:36:26
とりあえず、私はフィリン先輩のところに行って、どうすればあんなに妖艶お色気系になれるか聞いてみt……じゃなくって、サンタについて語り合ってみたいところです。

《新入生》 ザコバ・モブロフ (No 6) 2019-11-11 06:24:35
魔王・覇王コースのザコバと申す。よろしくお願いするでござるよ。
拙者は折角の機会でござるし、ミレーヌお嬢様の寝室に参上して生お嬢様の生寝顔をドゥフフフ……ではなかった、サンタとしてプレゼントフォーユーでござる。

馬を望まれるなら、拙者が馬になる覚悟でござるよ!

《ゆうがく2年生》 御影・シュン (No 7) 2019-11-12 21:54:44
凡そは潜入任務と聞いて参上!
黒幕・暗躍科所属、御影・シュンでござる!
皆々方、よろしくお願いするでござる!

任務先の希望はそうでござるなぁ……。
キキ・モンロ殿の元へ向かおうかと思うでござる。
一筋縄では行かぬ気配がとてもするのでござるが……妙に騒ぐのでござるよ「ツッコミをせよ」と……。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 8) 2019-11-13 05:45:09
てか、そろそろ誰がどこ行くかー、って決めとかないとだよね。
誰でもいいっても、同じなのはだめらしーし。
プラン調整の諸々はあるし、早めに進言宣言しといてよね。あとからめんどくなんじゃん?

(指先でクルクルとペンを回しつつ、掲示板の授業詳細の端スペースに書き込み)
フィリン・アクアバイア→ベイキ・ミューズフェス
ザコバ・モブロフ→ミレーヌ・エンブリッシュ
御影・シュン→キキ・モンロ
ザコちゃん→未定
ドライク・イグナ→未定
ローゼン・ムーンダスト→未定

とりま現状こんな感じ?
何回も言うよーに、ザコちゃん何処でもいーから…
……あー、でも片目包帯のエリアル様(リーエル)と素肌黒角のまおー様(ルシファー)のとこは避けたいかも。
あっち側からこっちにやたらこられっと、あのおじーさんにちょっかいかけにくくなりそうだから。
今の人数的には、どっちみち別に影響ないけどさ。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 9) 2019-11-13 22:24:27
特に宣言ないけど、さすがにプラン投げとかないと危うげだし。
そったらザコちゃん一応、黒い天使様(アルマ)のとこ行くようにしとくね。

なんせよ、出し忘れとかは無いよーにね。

《ゆうがく2年生》 御影・シュン (No 10) 2019-11-13 23:53:33
さて、拙者の方はプラン提出完了致したでござ候!
授業に参加するのは如何せん久方ぶり過ぎて大変でござったが……。
皆それぞれ、良い一夜になればと思っているでござる!