;
【心愛】チョコの準備は出来ていますか?


ストーリー Story

 放課後、魔法学園フトゥールム・スクエア、第一校舎『フトゥールム・パレス』の調理室前。
「ねぇねぇ、学生さん、バレンタインが近いけど、チョコの準備はしてる? していないなら、我ら料理研究クラブにお任せあれ!」
 15歳のヒューマンの女子部員が笑顔で、行き交う学生達に話し掛けていた。
「希望のチョコを作るよ! もちろん、一緒に作るのも大歓迎!」
 学生達が足を止めて耳を傾けると、女子部員は性格からか、明るく弾んだ調子で続けた。
「作れるチョコは普通に美味しい物から魔法入りとか色々だよ! 例えば空気を固めて作った太らないチョコとか。味は美味しいけど、空気だからお腹は膨れないのが少し残念だけど」
 少しでも注文が入ればと、あれこれとチョコの例を挙げた。
「それとか、等身大のチョコとか色々。美味しい以外にびっくりするようなチョコも作るよ。食べたら口の中が爆発したり食べるのではなく見るチョコとか……怪我をするようなチョコは作らないし、魔法とかで対策してるからチョコが失敗してもモンスターになって襲い掛かって来る事もないから安心して。でも、食べ物を粗末にするのは駄目だよ! 悲しくなっちゃうから」
 ただ美味しいチョコだけではない事も伝えた。
「チョコは自分で食べたりお友達や恋人にあげてね。ただし、思いを込めるのは学生さん自身にお任せするよ!」
 お茶目な笑顔で言って、チョコ作りの説明を締めた。
「さあ、どんなチョコが希望? 我ら料理研究クラブにお任せあれ!」
 そして、改めて興味を向けてくれた学生に訊ねた。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-02-22

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2020-03-03

登場人物 3/8 Characters
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《新入生》クルト・ウィスタニア
 ヒューマン Lv9 / 勇者・英雄 Rank 1
「まったく……彼女はどこに行ったんだ!」 「俺は魔法はさっぱりだけど……入ったからには、頑張ってみるさ」 「もう、だれも傷つけたくない。傷つけさせない。そのための力が欲しい」 [略歴]  以前はとある国で、騎士として活躍していた。  しかし、とある出来事をきっかけに国を離れ、パートナーと共に各地を旅していた。  その道中、事件に巻き込まれパートナーとはぐれてしまう。  人の集まる魔法学園でなら、パートナーの行方の手がかりがつかめるかもしれないと考え、入学を決めた。 [性格]  元騎士らしく、任務に忠実で真面目。常識人っぷりが仇となり、若干苦労人気質。 [容姿] ・髪色…黒。 ・瞳……淡い紫。 ・体格…細マッチョ。ちゃんと鍛えてる。 ・服装…学園の制服を着ている。が、若干イタイんじゃないかと心配もしている(年齢的に)。 [口調補足] ・一人称…俺。改まった場では「私」も使う。 ・二人称…君、名前呼び捨て。目上の人には「さん」「様」をつける。 ・語尾…~だ。~だろう。目上の人には敬語。 [戦闘] ・剣を扱う。 ・「もっと守る力が欲しい」。  そう思い、最近は魔法と剣を融合させた剣技を習得したいと考えている。
《ゆうがく2年生》ドライク・イグナ
 ルネサンス Lv14 / 村人・従者 Rank 1
「あっしはライク・・・そう、ライクって呼んでほしいっすよ」 一人称は『あっし』『ライクさん』 二人称は『そちらさん』『~のにーさん』『~のねーさん』 ドラゴニアの方限定で『未来の我が主』 ただし、レダさんに限ってはホイッパーのにーさん 語尾は~でヤンス、~でゲス、~っスと安定しない。 三下ムーブ。 笑うのが苦手 身長:180㎝ 体重:85kg前後 好きなもの:自分を特別扱いしない人、自然に接してくれる人、美味い食べ物 苦手もの :家族、集落の人々。自分を持ちあげてくる人。 嫌いなもの:まずい食事。自分の名前。 趣味は筋トレ、狩り、釣り。 サバクツノトカゲのルネサンス 感情が豊かで涙もろい・・・が種族の特徴なのか能力が暴走しているのかよく血の涙を流す。 その血に毒性はないし、勢いよく噴射することもできないが血には変わりはないく不健康そうなのは常に貧血気味のため。 シリアスはホラーにコメディではカオスになる? ちょろい。よく餌付けされる。 将来の展望は特になく卒業までに何かしらの職につけるだけの技能を習得出来たり、ドラゴニアの主君を得られればラッキーくらいにしか考えてない。 祖流還りによる必殺技は『毒の血の涙(目からビーム)』 そこそこの量の毒性を持った血液を相手に向かって噴射する。 自分は貧血になりぶっ倒れる。 相手はびっくりする。血がかかったところが痒くなる。

解説 Explan

【料理研究クラブについて】
 料理を作ったり研究をするクラブです。部室は、第六校舎の一角にあります。
 様々な種族の学生が所属しており、料理の腕前は上手下手、個性的だったりと様々です。

【活動について】
 部員に希望のチョコを依頼したり彼らに混じって自ら作り、誰かに贈ったり自分で美味しく食べて下さい。
 料理研究クラブが施した対策によりチョコが失敗してもモンスターなる事はありませんので、安心してチョコ作りに挑んで下さい。

【チョコについて】
 普通の物から魔法入りの不思議な物、びっくりするような物など、様々ですが安全性は問題ありません。
例)チョコのテリーヌ、キラキラ輝く粉砂糖をまぶしたチョコ、くしゃみが止まらないチョコ

 こういう学生と交流したいやこういうチョコが作りたいなどがありましたら、プランに記載をお願いします。
 チョコをあげたり貰ったり食べたりする場所はどこでも問題ありません。


作者コメント Comment
 プロローグを見て頂き、ありがとうございます。
 今回の舞台は、バレンタインです。
 チョコを依頼したり作ったり自分で食べたり誰かに贈ったりバレンタインを存分に過ごしてみて下さい。



個人成績表 Report
レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
「希望のチョコ」、おもしろそうですからいろいろつくってみたいです。

空気を固めて作った太らないチョコ、等身大のチョコ、
その作り方を料理研究クラブのひとたちにおしえてもらいながら。

まえにあった図書室の魔法の本の暴走でいっぱいでてきた魔物の姿を
まねしてみたりして。

そして、チョコがモンスターになって襲い掛かって来る事もないようにできる
魔法の対策の方法もおしえてほしいです。
それはいま、きっとやくにたつとおもいますから。

そして、そのためにもいちばんたいせつなこと、それはきっと

「食べ物を粗末にするのは駄目だよ! 悲しくなっちゃうから」という
とてもやさしいこころ。

それにもふれて、さいごはおいしくいただきますね。

クルト・ウィスタニア 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
旅をしていたころは野宿の時もあったし、ある程度料理はできると思っている……が、お菓子は作ったことがないな。
あまりそういう可愛らしい物に縁がなかったからなぁ。

まあ、これも良い経験だ。せっかくだから挑戦してみよう。

作りたいものか……そうだな。
昔、「雲のようなふわふわなチョコレート」を食べたことがあったんだが、
あれを再現してみたいな。
火の魔法と水の魔法をバランスよく混ぜることが大事だと聞いたんだが、
作り方を知っている人はいるだろうか?
教えてもらえると助かる。
今年の目標にも魔法を上達させる、と決めたばかりだ。失敗を恐れずやってみよう。

できあがったチョコは手伝ってくれた部員たちと一緒に食べよう。

ドライク・イグナ 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
バレンタインでチョコッスか~
多分貰えないんだろうなぁ貰えたとしても変な騒動に巻き込まれたりするんだろうなって思ってたとこでヤンスよ
だけど!そんなときに!このイベント!

周りのねーさん方もチョコを作るだろうし作る前に試食会とかチョコの交換を申し出てれば自然な流れでチョコ貰えるでゲスよね!?
ギリギリの義理だとかそこら辺ならワンチャンありッスよね!?

ってことで誰か出来上がったチョコの交換お願いするでヤンスよ!
出来れば女性希望
人数制限なし

っと、交換用のチョコ作んないとでゲスな
ここに各種果物を用意したッス
これに・・・チョコをコーティングするでヤンスよ
チョコの甘味、苦みと果物の甘味、酸味のマリアージュでゲス

リザルト Result

●1章 チョコ作りに挑もう
 放課後、魔法学園フトゥールム・スクエア、第一校舎『フトゥールム・パレス』の調理室前。
「希望のチョコですか、おもしろそうですね。いろいろつくってみたいです」
 女子部員に声を掛けられた【レーネ・ブリーズ】は、興味から参加を決めた。
「是非是非!」
 女子部員は良い笑顔で迎えた。

「バレンタインでチョコッスか~。多分貰えないんだろうなぁ貰えたとしても変な騒動に巻き込まれたりするんだろうなって思ってたとこでヤンスよ。絶好のタイミングでヤンス!」
 女子部員に声を掛けられた【ドライク・イグナ】は、これ幸いと勇んで誘いに応じた。

「……旅をしていたころは野宿の時もあり、ある程度料理はできるとは思うが」
 女子部員に声を掛けられた【クルト・ウィスタニア】は、パートナーと各地を旅していた当時を回顧しつつ言った。
「じゃぁ、お菓子も?」
 女子部員は期待に満ちた目で訊ねた。
「いや、作った事はないな……そんな可愛らしいものに縁がなかったのでな」
 クルトは僅かに頭を左右に振った。
「そっかぁ」
 途端、女子部員は断られると思ってか、表情が曇った。
「まあ、これも良い経験だ。せっかくだから挑戦してみよう……面白そうだしな」
 しかし、クルトの返答は女子部員の期待を良い意味で裏切るものだった。
 バレンタインの準備が始まった。

●2章 チョコ作りに奮闘
 調理室。
「作りたいものか……そうだな、あれを再現して……魔法?」
 クルトは作りたいチョコを思いつくも、耳に入ってきた話が魔法を学ぶ者として気になり、加わりに行った。

「空気を固めて作った太らないチョコや等身大のチョコの作り方をおしえてもらえませんか?」
 レーネは、声を掛けてくれた女子部員を見掛けチョコの作り方を訊ねた。
「いいよ!! この【キキ・ロック】にお任せあれ!」
 キキはどんと胸を叩いた。
「ありがとうございます」
 レーネは礼を言った。
「ボウルに風を起こして……そこにあるチョコの素を入れて混ぜて型に入れるだけ!」
 キキは、手順を教えつつ風の魔法でボウルを満たした。
「……これですね」
 レーネは消毒液で手を奇麗にしてから、瓶に入ったチョコの素である透明な液体をボウルに注いだ。
「甘い匂いが」
 僅かな風の違いさえも察知出来るレーネは、即座に気付いた。
「そうだよ!! チョコの匂いと味をつける凝固剤だよ! 何回か混ぜてから固まる前に型に入れてね」
 キキの説明を聞きつつ、レーネはしっかりと混ぜてから、好みの型に流し込んだ。
「完成が楽しみです」
 レーネはチョコに期待の眼差しを向けた。
「完全に固まったら、空気を固めた太らないチョコの完成だよ! 満腹にはならないけどね」
 同様にキキも期待に満ちていた。
「ところで、チョコがモンスターになって襲い掛かって来る事もないようにできる魔法の対策の方法もおしえてほしいのですが……きっとやくにたつとおもいますから」
 チョコ作りが一つ片付いた所で、レーネは気になっていた事を訊ねた。
「実は、私たちにもよく分からないんだ。ごめんね。でも、さっきのチョコの素とかチョコ自体は、沢山の愛情と一緒に魔法素材を混ぜて作ってはいるんだよ」
 キキは語るも申し訳無さそうに言った。
「……そうですか」
 察したレーネはそれ以上は追求しなかった。
「そういう事か」
 その時、クルトが現れた。
「そうだよ。教えられなくてごめんね」
 キキはクルトにも謝った。
「構わない。それより雲のようなふわふわなチョコレートは再現出来るだろうか」
 クルトは、気にしないどころか作りたいチョコについて訊ねた。
「ふわふわですか、ふしぎなチョコですね」
 不思議を好むレーネは、関心を向けた。
「あぁ、昔食べたことがあってな」
 クルトは、懐かしむ眼差しで答えた。
「雲のような?」
 キキは心当たりがないのか、聞き返した。
「火の魔法と水の魔法をバランスよく混ぜることが大事だと聞いたんだが、作り方を知っている人はいるだろうか?」
 クルトは手掛かりになればと、言葉を重ねた。
「ユーシさんなら知っているかも、中身おばあちゃんだから」
 キキは外見18歳のローレライの女性部員を教えた。
「そうか。ありがとう」
 クルトはキキに礼を言った後、高い位置にある素材を取ろうと必死な女性部員の元へ。
「……良かったら、雲のようなふわふわなチョコレートの作り方を教えて貰えませんか」
 そして、さりげなく女性部員を助けてから頼み事を。その口調は、キキの話を受け相手が年上だと知ってか丁寧だった。
「ありがとう。後で君を手伝おう」
 女性部員は快く引き受けてから、素材を求める参加者の元へ。
 クルトは自身の調理台に戻った。

「改めて【ユーシ・シー】だ。作業は繊細で、気は抜けないが、いいだろうか」
 程なくして、手伝いを終わらせたユーシがクルトの元に来た。
「お願いします」
 クルトに予定を変える様子はない。
(今年の目標にも魔法を上達させる、と決めたばかりだ。失敗を恐れずやってみよう)
 以前課題で立てた目標を胸に。
「ならば、私が火の魔法を加えるから、君は水の魔法を加える事と二つを混ぜ合わせる事に集中してくれ。作業の前に……」
 クルトのやる気にユーシは引き受け、早速作業を始めた。
「……チョコの暴走を防ぐ物」
 察したクルトは、ユーシが言い終える前にチョコの暴走防止剤が入った瓶を取った。
「その通りだ。これを入れてから始めよう。奇麗にむらなく混ざるように優しく丁寧に」
 ユーシの言葉通りボウルに魔法薬を注ぐ。
「……優しく丁寧に」
 クルトは手の平に水の玉を生み出し、ユーシが放った火の魔法と一緒に混ぜ合わせていく。
(今はどこにいるのだろうか、元気にやっているのだろうか……迷子の子供を魔法であやしているだろうか)
 手を動かしながらクルトが思いを馳せるは、はぐれた魔法使いのパートナーの事。
「今作っているチョコに何か思い入れがあるのだろうか?」
 ユーシは混ぜ作業を行うクルトの横顔から何かを察し、訊ねた。
「昔、パートナーが作ってくれた物なんです」
 クルトは作業を続けながら答えた。
「そうか。立ち入るようだがパートナーは?」
 ユーシは気遣い気に聞いた。
「今ははぐれてしまい、何か手掛かりがあればと学園に」
 クルトは脳裏に姿を思い浮かべながら答えた。
「……見つかるといいな」
 ユーシは口元を優しく歪めた。
 とにもかくにも、クルトは目的のチョコを作り上げた。

 クルトが去った後。
「チョコが固まったようです」
 レーネは型から取り出し、空気を固めたチョコを完成させた。
「……目には見えなくともチョコの匂いがしますね」
 鼻をくすぐる甘い匂いにレーネはにっこり。
「でしょー。次は等身大のチョコだね! どんなのを作る?」
 キキはレーネが希望したもう一つのチョコを思い出した。
「まえにあった図書室の魔法の本の暴走でいっぱいでてきた生き物の姿をまねしようと思います」
 レーネが手本にするのは、大図書館での騒ぎで最近出会った生き物だ。
「どんな生き物?」
 キキが聞き返す。
「火を吐いたり、水を吹いたり、他には……」
 レーネは、対峙した生き物を筆頭に見かけた生き物を次々と挙げた。
「じゃぁ、大きなチョコを切り出して作ろう」
 と言って、キキは巨大なチョコを準備した。
 それから、作業に取り掛かった。
(よく見て、造形を合わせて)
 レーネは、キキの手元をよく見て造形に違和感が出ないようにしていく。
「削ったチョコはこの容器に入れ……痛っ」
 そんな中、キキが誤って自分の手を削り顔を歪めた。
「すぐに手当てを」
 レーネは、痛みを和らげる魔法薬を生成し、癒した。
「ありがとう。うっかりしちゃったよ。でも、みんなで料理は楽しいね」
 キキは治療を終えた手に触れながら、心底楽しそうに笑った。
 この後、レーネは見事な等身大チョコを作り上げた。

「面白そうだから参加したけど、あげる相手どうしようかなぁ」
「義理大量生産に励むとしますか」
「自分で食べるのもいいけど、折角のバレンタインだから誰かと交換したいなぁ」
 イベント柄か、女性参加者が多く華やかである。
「周りのねーさん方もチョコを作る気満々でヤンスね」
 ドライクの耳は、あちこちの女性の楽しげな声を拾う。
(作る前に試食会とかチョコの交換を申し出てれば自然な流れでチョコ貰えるはずでヤンス! こういう事は配る量にも左右してくるッスからね)
 と思ったら、耳が捉えた女子生徒達に声を掛けに行った。
「このライクさんと試食会とかチョコの交換をお願いするでヤンス!」
 そして、手をこすり上目遣いに下僕よろしく心身共に低姿勢で、お願いを始める。
「えと……」
 多くは良い返事だったが、中にはドライクの必死さに戸惑い言葉を濁す女子学生もいた。
「ギリギリの義理だとかそこら辺ならワンチャンありッスよね!? あっしも美味しいチョコを作るでヤンスから! 後生でヤンス!」
 対して、ドライクは一層腰を折り、深くへりくだり、諦める様子は露もない模様。
「いいよ」
 結果、必死さに胸を打たれたのか女子学生は引き受けた。
 そうして、何人かの女子学生とチョコの交換を取り付けてから、作業に取り掛かった。

 調理台。
「さてと、交換用のチョコを作んないとでゲスな」
 やるべき事を終えたドライクは、チョコ作りに取り掛かった。
「まずは、各種果物を用意ッス」
 様々な果物を手際よく揃え、切っていく。
「見ていたが、すごいな。貰う予定が無くて自棄で参加したんだけど、なんか虚しくて」
 隣の17歳のルネサンスの男子学生が、尊敬の眼差しと共に声を掛けて来た。
「確かに虚しいッスよ。それでも義理だろうが、かわいい女の子からチョコを貰いたいんでヤンス。もてない男の虚しい行動だろうと」
 ドライクは作業の手を止め、チョコを欲する三下の逞しさを見せた。
「分かる分かる。本当、もてたいよなぁ」
 男子学生は幾度も頷いてから、チョコ作りに戻った。
「お次は果物をチョコでコーティングするでヤンスよ」
 男子学生を見送ってから、ドライクは作業を再開した。
「普通に頑張るッス。交換持ち掛けるのにこっちのが美味しくなければ良いものは貰えないでヤンスからね」
 果物の処理を終え、様々なチョコを揃える。
「足りない甘さはチョコで補って……こっちは果物の良い匂いを活かしたチョコの配合に……」
 ドライクは、味覚と嗅覚を存分に働かせて配合されたチョコを果物に纏わせていく。
「この果物は少し難しいッスね。部員に相談してみるッスか」
 時には、チョコ配合に困り、近くにいた料理研究クラブの部員に相談する事もあったが、チョコは無事に完成した。
「交換する前に、ちょっと味見をするでヤンス」
 ドライクは、念のためにとチョコを一齧りした。
「んー、チョコの甘味、苦みと果物の甘味、酸味のマリアージュでゲス。これならねーさん方もきっと満足するッスね」
 途端、チョコと果物が手を取り互いを活かし合い、ドライクの口内を至福に満たした。
 味見を終えたドライクは、順調にチョコを作り上げていった。

●3章 チョコを食べよう
「貰ったチョコの味は最高でヤンス」
 ドライクは、事前に約束した女性参加者達とチョコを交換し美味しく食した。計画は上手くいったようだ。
「こちらの方こそ、果物によって甘さが違う。すごい凝ってるわねー」
「交換してくれてありがとー」
「バレンタインを楽しめましたわ」
 交換相手の女性達は、皆ドライクのチョコに満足していた。

「おわっ、立派なチョコでヤンスね」
 約束していたチョコ交換を終えたドライクの目に入ってきたのは、等身大の生き物達を象ったチョコだ。
「よろしかったら、どうぞ」
 気付いたレーネが笑顔で声を掛けた。
「交換ってことで、あっしのチョコもどうぞでゲス」
 と言って、ドライクはチョコがコーティングされた幾つもの果物を差し出した。
「……どれもおいしいですし、果物によって甘さがちがいますね」
 レーネはドライクのチョコを幾つか頬張り、甘味、酸味、苦みのハーモニーを満喫した。
「美味しいでゲス」
 ドライクも等身大チョコの一部を美味しく食した。
「ふわふわですね」
 レーネはクルトのチョコに興味を示した。
「よければ……その皿からチョコの匂いがするが、もしや魔法か」
 クルトはチョコを勧めようとした時、レーネが作ったチョコに気付き状況から魔法が含まれている事も察した。
「そうです。どうぞ」
 レーネは、笑顔でチョコを勧めた。
「おいしいです」
「ん、美味しい」
 互いにチョコを交換し、レーネは不思議を味わい、クルトは無自覚に直球で褒めた。
(かわいいと言っていたが、いまいちピンと来ないな)
 クルトはふと、作って貰った当時パートナーが口にした言葉を思い出し、口元を歪めた。
「今日を素敵にしてくれた皆に感謝を込めて、チョコをどうぞー」
「美味しく食べてくれ」
 キキとユーシが感謝のチョコを配って回った。
「もしかして……」
 レーネは、振舞われたチョコに心当たりを見せた。
「等身大チョコの削った部分だよ。粗末にするよりも美味しく食べて貰う方がチョコも嬉しいはず。料理は皆を笑顔にするものだから」
 途端、キキは満面の笑顔でレーネが察した通りの事を言った。
「いちばんたいせつなことですね、そのやさしいこころは」
 レーネはふんわりと笑みながら言った。誘われた時に聞いた粗末云々も思い出しつつ。
「えと、ありがとう」
 キキは、照れながら返した。
 この後も、レーネ、クルト、ドライクは部員と共にチョコを美味しく食べてバレンタインのひとときを素敵なものにした。



課題評価
課題経験:52
課題報酬:1600
【心愛】チョコの準備は出来ていますか?
執筆:夜月天音 GM


《【心愛】チョコの準備は出来ていますか?》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 1) 2020-02-18 19:39:29
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。よろしくお願いします。

《新入生》 クルト・ウィスタニア (No 2) 2020-02-19 23:55:52
勇者・英雄コース、クルト・ウィスタニアだ。
お菓子作りはあまり得意ではないが……頑張ってみるか。
よろしく。

《ゆうがく2年生》 ドライク・イグナ (No 3) 2020-02-21 21:46:01
村人・従者のライクさんッスよー。
よろしくでヤンス。