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夏と言えば、肝試し!


ストーリー Story

 夕方、トロメイア、トロメイア大劇場の前。
「本日の公演は夜になります。演目は『肝試し』です。言葉通りお客様に肝試しをして頂く事になります。終演は夜明けとなりますが、お好きな時間に切り上げてくれて大丈夫です。この季節ですから、心から涼しくなるのもよいかと……」
「役者達は恐ろしい姿に扮装し、劇場に入ったお客さんを驚かせようとするよ。劇場の内装や販売する食べ物も不気味な感じだよ。魔法を使った仕掛けで悲鳴が聞こえたり劇場内に置かれている物が飛び回ったり、指の形をしたポテトとか血のように真っ赤なジュースとか脳みそみたいなケーキとかお客様を驚かせる気満々だよ。ただ舞台での出し物は無いので、申し訳ないけど。あと、お客さんではなくお手伝いも歓迎だよ。色々で忙しいので」
 劇場の関係者である二人組が、行きかう人達に声を掛けては宣伝していた。
 時間は進み、夜がやって来る。
「ようこそ、トロメイア大劇場へ!」
「今夜の演目『肝試し』をどうぞお楽しみ下さい。劇場内は暗くなっていますので、足元に気を付けて下さい」
 そして、劇場関係者達は恐ろし気な姿で、訪れた客達を迎えた。

 劇場内は薄暗く、女性の甲高い悲鳴、浮遊する火の玉、ぴちゃりぴちゃりと肉を食む音など、役者達が思いっきり恐ろし気な存在を演じていた。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-08-19

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2020-08-29

登場人物 3/8 Characters
《枝豆軍人》オルタネイト・グルタメート
 リバイバル Lv15 / 魔王・覇王 Rank 1
■性別■ えだまめ(不明) ■容姿■ 見た目:小柄で中性的 髪:緑のショートヘア 目:深緑色 服:生前の名残で軍服を好む。 あとなぜが眼帯をしてる。 ※眼帯に深い理由はない。 ■性格■ 元気(アホの子) 意気揚揚と突撃するが、結構ビビりなのでびっくりしていることもしばしば。 ■趣味■ 枝豆布教 ■好き■ 枝豆(愛してる) ■苦手■ 辛いもの(枝豆が絡む場合は頑張る) ■サンプルセリフ■ 「ふはっはー!自分は、オルタネイト・グルタメートであります。」 「世界の半分を枝豆に染めるであります!」 「枝豆を食べるであります!おいしいのであります!!怖くないのであります!」 「これでも軍人さんでありますよ。ビビりじゃないであります!」 「食べないで欲しいでありますー!!自分は食べ物ではないであります。」
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《2期生》シルワ・カルブクルス
 ドラゴニア Lv15 / 村人・従者 Rank 1
細い三つ編みツインテールとルビーのような紅い目が特徴のドラゴニア 元々彼女が住む村には、大人や数人ぐらいの小さい子供たちしかおらず同い年程度の友達がいないことを心配した両親にこの学校を薦められて今に至る 一見クールに見えるが実際は温厚な性格であり、目的である世界の平和を守ることはいわば結果論、彼女の真の目的は至って単純でただの村人として平穏に暮らしたいようである しかし自分に害をなすとなれば話は別で、ドラゴニアらしく勇猛果敢に戦う 一期生にはたとえ年下だとしても「先輩」呼びをするそうだ 「私はただの村人、できる限りのことをしただけです」 「だれであろうと私の平穏を乱す者はすべて叩き伏せます」 ※口調詳細(親しくなったひとに対して) 年下:~くん、~ちゃん 同い年あるいは年上:~さん ※戦闘スタイル 盾で受け流すか止めるかでダメージを軽減しつつ、斧で反撃するという、いわゆる「肉を切らせて骨を断つ」戦法を得意とする

解説 Explan

【活動について】
 客として驚いたり食べたり飲んだり、劇場の手伝いとして脅し役や商品の販売を行って下さい。
 手伝いとして活動するために必要な道具は、劇場から自由に借りる事が可能です。

【公演について】
 夜に始まり夜明けに終わります。
 役者は奇怪な存在に姿を変え、脅し役を演じ、場内は魔法を使った仕掛けにより超常現象のようなものが起きています。
場内で販売する飲食物やグッズは、全て外見が恐ろしい物になっていますが味や性能は優秀です。

 こういう人物と交流したいや食したい飲食物ややりたい変装や仕掛けや遭遇したい怪奇など、希望がありましたらアクションプランに記載をお願いします。


作者コメント Comment
 プロローグを見て頂き、ありがとうございます。
 トロメイア大劇場で開催される肝試しを客や手伝いとして、楽しんでみて下さい。


個人成績表 Report
オルタネイト・グルタメート 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
〇心情
怖がらせるでありますよーおばけでありますよー

〇行動
怖がらせる役で参加
毛布をかぶりおばけになりきる
リバイバルなので、透けているのを利用して怖がらせようと考えた
【隠れ身】【聞き耳】【会話術】で物陰に潜み、お客の後ろをそっとついていく
ばれそうになったら、すっと近くの物陰に隠れる
なるべく足音を半拍ずらして違和感が出るようにする
怖がったら、喜ぶ
しかし、嬉しすぎてついつい枝豆を布教
「魔法学園:学生カバン」には、枝豆をいっぱい入れておく

知り合い(学園生)がきたら、全力で脅かしに行く
怖がらなかった場合は、遠慮なく枝豆を口に投げ込む


罠設置で、至る所に、鈴トラップとこんにゃくトラップを設置しておく

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
劇場の手伝いとして商品販売を行おう

仮面や服装のところどころに血糊をつけて見た目がアレなものを売ろうと思う
生肉に見える食品群だな
(実際はポークチョップとか赤みの強いもの)
後は元々劇場で販売しようとしていた商品に期待だ

血みどろの大鎌持った怪しい奴が生肉(っぽいの)売ってたら怪しさ満点だよな


・・・折角なんで役者達とコラボでもするか
死体系の扮装した人に時々来てもらってお客の前で○○返せとか言ってもらおうか

まぁ、販売しながらお客をびっくりさせるのを楽しませてもらうとするよ

アドリブA 絡み大歓迎

シルワ・カルブクルス 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
客として参加
講演中、小道具が浮いたり舞台にいたオルタネイトから枝豆が口抛りこまれたりなどの演出に驚かされながら、演目が終了するまで楽しむ
持っていく食べ物は指を模したポテトと血液のようなトマトジュース

リザルト Result

●1章 公演開始前
 夜、トロメイア、トロメイア大劇場の衣装室。
「罠の設置も終わったであります! 肝試しの罠と言えば、鈴トラップとこんにゃくトラップ……楽しみでありますな」
 至る所に罠を設置し終えた【オルタネイト・グルタメート】は、何やら衣装を物色していた。
「……色々あるのであります」
 どうやら罠だけでなく、自身も怖がらせ役として参加するようだ。
「……毛布でありますか……閃いたであります!」
 物色最中に毛布を発見し、閃いた。
「ここは、リバイバルの透けた体を利用して怖がらせるでありますよ!!」
 自身の体を活かす方法を。
「あとは枝豆をカバンにいっぱい入れておくであります! 枝豆があれば肝試しも乗り切れるであります!」
 変装を決めた所で、オルタネイトは何より大事な枝豆を持って来た学生カバンに、入れられるだけ入れる。何かあれば枝豆でカバーする気満々だ。
「そろそろ時間でありますな……最後に罠を確認するであります」
 オルタネイトは毛布を身に纏い、開場前の最終確認を始めた。その際、売店のやる気を目の当たりにした。

 売店。
「どこからどう見ても生肉に見えるな……それをこの姿で売れば客もびっくりするだろう」
 自身が用意した食品群を見る【仁和・貴人】(にわ たかと)の姿は、ところどころに血糊がついた服装に、手には血みどろのペリドット・サイスという恐ろし気だ。
「……人の指に見えるポテト、血のように赤いジュース……劇場の商品も期待出来るな」
 劇場が用意した飲食物にも期待しているようだ。
「お手伝いありがとー、協力してくれそうな死体系の扮装した人達連れて来たよ」
 頭に斧をぶっ刺した売店スタッフの女性が、何やら引き連れて戻って来た。
「協力って、何をしたらいいのー」
「驚かせる事をしたらいいのかな?」
「力を貸して欲しいとか」
 死体姿の役者達を。
「あぁ、その通りだ。時々、売店に来てお客の前に腕を返せだ、頭を返せだとか言って、驚かせて貰えないか」
 貴人は改めて、理由を話した。
「つまりはコラボだな」
「面白そうだな」
「腕をかじりながら、よたよたしてもいいかも」
 途端、役者達はノリノリで提案に乗った。
「むむ、血みどろの大鎌でありますか! 何とも怪しさ満点でありますな!」
 売店付近に仕掛けた罠の確認を終えたオルタネイトが、言葉を挟んだ。
「……だろう。そっちは毛布をかぶったお化けか」
 貴人は返してから、オルタネイトの姿から変装したお化けを当てた。
「そうであります! 自分が思いついた怖いお化けでありますよ!」
 オルタネイトは、至極真面目だが学園祭のお化け屋敷くらいの出来だったりする。毛布お化け以外思いつかなかったのだ。
「驚かなかった場合は、枝豆があるので大丈夫であります!」
 オルタネイトはドヤ顔で、枝豆が入った学生カバンを見せつけた。
 その時、開場の合図が劇場内に響いた。
「では行くであります! 思いっきり怖がらせるでありますよー」
「販売しながらお客をびっくりさせるのを楽しませてもらうとするか」
 オルタネイトと貴人は、それぞれの脅かし場所へと移動した。貴人の元に集まった役者達も散った。

●2章 公演開始
 肝試し開始後。
「薄暗いなぁ」
「魔物退治に比べたら楽勝だろー」
「夏と言えば肝試しだよね」
 続々と客が入っていく。
「……肝試し、ですか。結構、いますね」
 参加者の中には、【シルワ・カルブクルス】の姿もあった。
「……雰囲気がありますね」
 シルワは先には進まず、改めて劇場内を見渡し、肝試しに相応しいおどろおどろしい演出を味わった。
「さて、挑戦してみましょう」
 忙しなく視線を前方に固定し、気合の入った言葉と共に一歩を踏み出した。
「……まずは食べ物や飲み物を買いに行きましょうか……行くまでが大変そうですが」
 売店を目指してゆっくり確実に。その道のりは予想通り近くとも遠かった。

 シルワが挑戦を開始した頃。
「ひゃぁぁぁあ、何かぬるっとしたぁぁあ、な、なに、今の音、す、鈴!?」
 首筋に触れるぬるっとした感触に驚き、飛びのいた瞬間に足元に仕掛けられた鈴に驚き、派手な叫び声を上げる女性客。
「ふふふん、見事に罠に嵌まったでありますな!」
 物陰で様子を観察するオルタネイトは、客の見事な嵌まりっぷりに満足した。
「う、後ろから誰かついて……な、何か怖い」
 時には、男性客の後ろを半歩遅れてついて行き怯えさせる。
(凄い怖がりようでありますな!! 楽しいでありますな!)
 相手の驚きぶりにオルタネイトは喜んだ。
「おばけでありますよーー!! 枝豆を覚えておくでありますよ!! 枝豆は最高の食材であります!!」
 結果、隠れている事に我慢出来ず自ら姿を現し、驚かせた。会話の中に枝豆布教を入れる巧みさも見せる。
「ぎゃぁぁぁぁ」
 突然の毛布お化けに、男性客は血相を変えて逃げて行った。
「ふふん! あっ、次の標的発見であります!! 学園生には全力で挑むであります!!」
 男性客をドヤ顔で見送ったオルタネイトは、目の端に場内の仕掛けに驚くシルワの姿を捉えるなり、これまで以上のやる気を見せて、驚かしに向かった。

「売店がいつもと違う……って、これ、生肉? に見えるけど違うよね。でも……」
 売店を訪れた女性客はあまりにも新鮮でリアルな生肉に見える食べ物に、好奇心と不安を覚える。ちなみに味は、見事な料理の腕を持つ貴人作なので美味である。
「店員さん、これって、どんな味……このくちゃくちゃした音は……」
 そして、店員を呼びつけようとするが、奥から聞こえる気持ち悪い音に好奇心が小さくなる。
「…………客か。味がどうとうか聞こえたが」
 現れたのは、血みどろの姿をした貴人だ。
「ひゃぁぁあ!」
 女性客は貴人の血みどろの姿に驚き、逃げて行ってしまった。
「おいおい、買わず逃げるとは……驚かせる事が出来たのは嬉しいが」
 貴人は、販売失敗とお化け役成功に複雑な言葉を洩らした。
 この後も売店に客が多く訪れた。
「……この生肉っぽいのをくれよ」
 生肉な見た目に興味を持った男性客が来る。
「……腕を……返せ……」
 瞬間、死体系の役者が現れ、よたよたと男性客に近付き、おぞましい声を出す。
「う、腕!!」
 男性客は驚きのあまり声を裏返す。
「……活きのいい死体だ」
 奥から血まみれの貴人がのそりと登場。
「申し訳ないが、ここで処理をさせて貰う」
 眼前でペリドット・サイスを死体系の役者に向かって、振るった。相手の恐怖心を煽る演技は見事なものだ。
「うぐぉおぎゃやや」
 血飛沫と肉片をまき散らしながら、恐ろし気な叫び声と共に地面に倒れた。
「な、なんだ、これ、き、肝試しだよな、こ、こえぇぇえ」
 眼前の恐ろし気な景色に男性客は動転し、逃げてしまった。
「成功だね!!」
 むくりと役者は起き上がり、驚かせ成功にはしゃいだ。
「あぁ、次はどう驚かせようか。料理を手に持ってみるか、それとも口から血を流してみるか……驚かせるのは面白いな」
 貴人もまた同じようにはしゃいだ。すでに商品販売でなく驚かせる事が主目的になっていた。年齢的にも仕方がない事だ。
「次の客が来た。所定の位置についてくれ」
 貴人はシルワの接近に気付き、店の奥へ移動。
「はいはい。今度は這いずってみようかな」
 役者は近くの物陰に隠れ、地面にうつ伏せ状態で待機。

●3章 観客の挑戦
「……今のは悲鳴……どこから……花瓶が……」
 シルワは悲鳴が轟き、花瓶が宙を飛ぶ中をそろそろと、売店を目指して歩いていた。
「……素敵な絵が飾られていますね。この劇場の女優さんでしょうか……顔が……」
 看板女優を描いた肖像画に目を引かれ、立ち止まった瞬間、絵画の中の女優の顔が恐ろし気に歪み、びっくり。
(そのまま、進むでありますよ! 自分の罠に嵌まるであります!)
 シルワを発見し標的に据えたオルタネイトは、上手く物陰に隠れ観察している。
「……薄暗いから余計に驚きますね」
 何とか気を落ち着かせ、シルワはゆっくりと歩き出した。
(自分もついて行くでありますよ! もう少し、あと、5、4、3、2……)
 オルタネイトは、足音を半拍ずらして違和感が出るようについて行く。相手が罠に近付くのをカウントしながら。
「……ん? 誰かにつけられているような」
 気配を感じたシルワは、足を止めて振り返った。
「!!」
 オルタネイトは急いで物陰に隠れた。
「……いませんね。売店で美味しい物を買いましょう」
 誰もいない事を確認したシルワは、もう一度歩き出した。
(1、0!!!)
 オルタネイトは、聞き耳を立てて確認しつつカウントを続ける。
「今、何か落ちて来たような……み、水ですか」
 カウントがゼロになると同時に天井から水が落ちてきて、驚いたシルワが頭上を見た。
「今、ぬるっとした物が首に!!」
 瞬間、ぬるっとした感触にびっくり。
「……よし」
 オルタネイトは物陰で喜んだ。
 シルワは、何とか無事に売店へ辿り着いた。

「すみません、この指を模したポテトと血のように真っ赤なジュースと生肉のような物をお願いします」
 売店を訪れたシルワは、購入する物を選んでから無人のカウンターの前に立ち、注文する。
「すぐに用意をしよう」
 奥から貴人の声。
「!!」
 シルワは突然びっくり。
「うぐぅわぁわゎああ」
 なぜなら、足元に這いずる死体が自分の足首を掴んでいたのだ。
「な、何ですか!?」
 恐ろし気な声と形相に、シルワは恐怖を感じてしまう。
「お待たせした」
 そこに注文された料理を手に貴人が現れた。
「あ、ありがとうございます」
 シルワは貴人の外見にぎょっとしたり足元の死体に怯えつつ、料理を受け取った。
「あぁ、厨房から逃げ出してしまったようだ」
 貴人はカウンターから出ると、ペリドット・サイスを持ちながら死体を抱え、厨房へ消えた。
「ぎゃぁうわぁわぁ」
 そして、奥からは悲鳴と肉を切り裂く鈍い音が響く。
「…………怖いですね」
 売店と役者のコラボに心を掴まれたシルワはぶるりとしてから、売店を出た。
(そろそろ、行くでありますよ!!)
 オルタネイトも再び尾行開始だ。

●4章 恐怖料理のお味は
「……やはりおかしいです」
 先ほどから遅れてくる足音についに堪らず、シルワは立ち止まり振り返った。
「誰もいませんね。確かに……」
 だが、誰もおらず納得いかぬまま前方を向いた。
「!!」
 瞬間びっくり。何せ目の前に毛布お化けが何の予告も無く現れたのだから。
「びっくりしました……毛布のお化けですか、素敵な変装です!」
 忍耐力のあるシルワはすぐに落ち着きを取り戻し、オルタネイトの変装をしっかりと見て称賛した。
(むむ、怖がるのがすぐに終わってしまったのであります。ここは枝豆の登場でありますよ!!)
 シルワの反応の変化にオルタネイトは、がっかりするも脅かし役としてまだ引けない。頼るは至高の食材の枝豆。
「枝豆は至高であります!!」
 オルタネイトは声を張ったと思ったら、学生カバンに入れていた枝豆を鷲掴みし、称賛を送るシルワの口に、遠慮なく投げ込んだ。
「わはははははは、万能食材枝豆を覚えているのであります!!」
 そして、オルタネイトは高笑いと共にどこかに去った。枝豆布教を忘れないのは、さすが枝豆軍人だ。
「…………美味しいです」
 残ったシルワは投げ入れられた枝豆を咀嚼し、美味しさを堪能した。
「……あのベンチでゆっくりと食べましょうか」
 それから近くのベンチに腰を下ろし、落ち着いて飲食をする事にした。

「……改めて見ると凄いヴィジュアルですね。どう見ても指や血に見えますし」
 ベンチに座ったシルワは、食い入るように飲食物を観察。
「これは完全に生肉ですよね。本物という事は無いとは思いますが……」
 顔には戸惑いと不安だ。美味を期待するが、料理の見た目からは信じられない。
「……ポテトですね……味は……美味しいです……」
 意を決したシルワは、そろそろと鈍い動作で、ポテトを一つずつ口に運ぶ。
「これは……トマトジュースですか」
 ジュースもゆっくりと飲む。
「…………これはどんな味でしょうか。見た目が……」
 次に取り掛かるは、赤みが強く生肉っぽい物だ。
「…………もしかしてポークチョップ……」
 あまりの見た目に先ほどよりも戸惑いを見せつつも、口に運ぶと程よい酸味と甘みが広がり、表情から警戒が失せた。
「……美味しいです」
 そして、料理を口に運ぶ手の速度が上がった。
 飲食物を食べ終えたシルワはベンチから立ち上がり、夜明けまで存分に肝試しを満喫した。
「よく来たな」
「ばぁぁああ!!」
 貴人とオルタネイトも脅かし役を最後まで完璧に勤め上げた。
「……素晴らしい演目でしたね」
 夜が明けると眠そうな顔で、シルワは目をこすりながら自分の寮へ帰った。
 トロメイア大劇場で開催された肝試しは、無事に成功し劇場関係者は大層喜んだという。



課題評価
課題経験:44
課題報酬:1200
夏と言えば、肝試し!
執筆:夜月天音 GM


《夏と言えば、肝試し!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 1) 2020-08-15 12:05:21
いそふらぼんぼんー
怖がらせるでありますよー