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去る年、どんな年でしたか?


ストーリー Story

 快晴の朝、魔法学園『フトゥールム・スクエア』、勇者・英雄コースの授業が行われている教室。
「今年もそろそろ終わりです。今年はどんな年でしたか? やるべき事は出来ましたか? 立てた目標は成す事が出来ましたか? 新しい出会いがありましたか?」
 本日最初の授業が始める前に女性教師が、今年最後とあってか神妙な様子で話し始めた。
「という事で、突然ですが、皆さんで年越しを祝えるようにと本日の放課後から夜にかけてファンタ・ブルーム大講堂内の特設スペースで忘年会を開催します。飲んだり食べたり今年起きた事を誰かと語り合ったり新しい出会いを見つけたり今年の失敗をさっぱりと流したり、大いに騒いで下さい」
 表情は崩れ、笑顔で学生達にとって予想外なイベントの開催を知らせた。
「強制参加ではありませんので、何か予定があればそちらを優先してくれて問題ありませんからね」
 急な催しという事もあり、予定を持つ学生達を気遣うのも忘れない。誰もが騒ぐ事を好むわけではないから。
「さあ、話は以上です! 授業を始めますよ! 年越しを楽しく迎えるためにも頑張りましょう!」
 イベントの説明が一段落した所で、女性教師は声に力を込めて、学生達の緩む気持ちを正してから本日の授業を始めた。
 丁度、他のコースでも同様の話が行われていた。


エピソード情報 Infomation
タイプ マルチ 相談期間 5日 出発日 2021-01-02

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2021-01-12

登場人物 7/16 Characters
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv18 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《新入生》フェリシティ・オーバーベック
 アークライト Lv10 / 芸能・芸術 Rank 1
■性別■ 男性 ■容姿■ 見た目:活発そうな女の子 髪:オレンジの二つ結び 目:金と紫のオッドアイ 服:可愛い女性服を好む ■性格■ 元気 かわいいもの好き ■趣味■ 可愛いものを作ること 可愛いものを身に付けること ■好き■ かわいいもの ■苦手■ 男らしいものを身に付けたり、使うこと 男として過ごすこと ※男らしい人、男性は苦手にはいらない ■サンプルセリフ■ 「はろろん、フェリシティよ。どうぞよろしく」 「私は可愛いものが大好き!だから、私自身も可愛くいたい」 「私は自分を偽りたくない。私は私らしくいたい。」 「受け入れられなくたっていい、だって、これが私なんだもの」
《新入生》セオ・フォスター
 カルマ Lv10 / 教祖・聖職 Rank 1
■容姿■ 見た目:褐色系高身長の細マッチョ男子、顔が少し怖い 髪:銀髪ショート 目:紅色 服:ローブ 魔法陣:両手の甲 ■性格■ 大人しいというかややコミュ障 時折自信がなくなり「…多分」と言う ■趣味■ ガーデニング ■好き■ 静か ■嫌い■ 墓で暴れる人 ■苦手■ 虫 ■口調補足■ 独特の間がある 怒ると口悪くなり、間がなくなりやや早口 怒る理由は墓で暴れる人を見た時 怒った時の一人称→俺 怒った時の二人称→てめぇ 怒った時の敬語→なし ■サンプルセリフ■ 「…セオ。……よろしくお願い致します。」 「…静かな方が…いいです。」 「…平和。……死者が静かに…眠れます。」 『てめぇら!いい加減にしやがれってんだ!!』 『墓場はライブ会場じゃねえんだ一昨日来やがれ!!』 『うっせぇ、埋めるぞ!!』
《イマジネイター》ナノハ・T・アルエクス
 エリアル Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 その中でも非常に小柄、本人は可愛いから気に入っている。 明るく元気で優しい性格。天真爛漫で裏表がない。 精神年齢的には外見年齢に近い。 気取らず自然体で誰とでも仲良く接する。 一方で、正義感が強くて勇猛果敢なヒーロー気質。 考えるよりも動いて撃ってブン殴る方が得意。 どんな魔物が相手でもどんな困難があろうと凛として挑む。 戦闘スタイルは、高い機動性を生かして立ち回り、弓や魔法で敵を撃ち抜き、時には近接して攻め立てる。 あまり魔法使いらしくない。自分でもそう思っている。 正直、武神・無双コースに行くかで迷った程。 筋トレやパルクールなどのトレーニングを日課にしている。 実は幼い頃は運動音痴で必要に駆られて始めたことだったが、 いつの間にか半分趣味のような形になっていったらしい。 大食漢でガッツリ食べる。フードファイター並みに食べる。 小さな体のどこに消えていくのかは摩訶不思議。 地元ではブラックホールの異名(と食べ放題出禁)を貰うほど。 肉も野菜も好きだが、やっぱり炭水化物が好き。菓子も好き。 目一杯動いた分は目一杯食べて、目一杯食べた分は目一杯動く。 趣味は魔道具弄りで、ギミック満載の機械的な物が好き。 最近繋がった異世界の技術やデザインには興味津々で、 ヒーローチックなものや未来的でSFチックな物が気に入り、 アニメやロボットいうものにも心魅かれている。 (ついでにメカフェチという性癖も拗らせた模様)
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に

解説 Explan

【忘年会参加について】
 立食形式ですが、テーブルや椅子も用意してありますので、座ってゆっくり飲食する事が可能です。
 並ぶ料理はおかず系からスイーツ系、激辛や激甘など極端な味の料理や魔法が含まれているユニークな料理にジュースからお酒まで色々ありますので、お好きな料理をお好きな量を食べたり飲んだりして下さい。
 飲食するだけでなく、料理を絶えさせないように奮闘する食堂の厨房で料理をしたり給仕をしたり忘年会を盛り上げるために一発芸や音楽を披露したり、自由に振る舞う事も出来ます。放課後から年越しにかけて賑やかに過ごして下さい。

【忘年会不参加について】
 忘年会には参加せずに放課後から年越しにかけての時間をのんびり過ごす事も可能です。
 活動場所は自室や学園や居住区域『レゼント』のみとなります。

※交流したい人物や飲食したい料理などがありましたらサンプルに記載をお願いします。ただし、公式・公認NPCに関しては夜月が担当するNPC以外とは交流出来ません。


作者コメント Comment
 プロローグを見て頂き、ありがとうございます。
 残りわずかとなった今年を思いっきり楽しんで下さい。
 来年もどうぞよろしくお願いします。


個人成績表 Report
アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:79 = 66全体 + 13個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
厨房で料理を手伝う。
皮むきから任せて。
作る料理は、まず体が温まるニンジンのポタージュ。
メインはニンジンケーキ。ニンジンクリームを挟んだスポンジ生地に、
同じクリームを塗ってデコレーション。
生地の中のクリームに、一部激甘シロップ、激辛ソースを塗る。
美味しいか、甘いか辛いか、切って食べてからお楽しみ。

オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:66 = 66全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:300
獲得努力:50
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:79 = 66全体 + 13個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
パーティの料理としてローストビーフを作りますわ。牛ももの塊肉に塩胡椒等をして味をなじませ、フライパンで焼き色を付けた後オーブンでじっくり焼き上げたら肉を少し休ませ肉汁を閉じ込め、お皿に切り分けますわ。ソースは大蒜、生姜のすりおろし、玉葱にしょうゆやみりん、酒を加えて作った和風のソースを提供しますわ

フェリシティ・オーバーベック 個人成績:

獲得経験:79 = 66全体 + 13個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
忘年会?!勿論行くよ!
可愛く可憐に皆をねぎらわなきゃいけないね
そうとなれば、どうするか考えなきゃいけないね
私は、【鼓舞激励Ⅰ】【音楽】【歌唱】で歌うよ
【踊り】【演技】で踊りながらやっちゃうよ!
疲れた皆にねぎらいの歌と踊りをプレゼントしなきゃね

でも、折角なら、パフォーマンス終わったら、皆にと話したいな

セオ・フォスター 個人成績:

獲得経験:79 = 66全体 + 13個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
心情
「もう…今年も…終わり…ですね…」

行動
忘年会には参加しない

夜ではあるが、花壇の手入れを行う
温室や花壇などを見て回る
きらきら石で高原を確保

こっそり育てた勿忘草を手入れして、昔の孤児院のことを思い出す

「…墓守に…なれるのでしょうかね…」
「静か…ですね…」

一人で月を見てほっこりしてから、自室に帰る

ナノハ・T・アルエクス 個人成績:

獲得経験:79 = 66全体 + 13個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
忘年会に参加、ご馳走をいっぱい食べるよ。
とりあえず手始めの前菜として1kgくらい確保して…いただきま~す♪

食べ終えたら、次のものを食べるよ。
前菜でウォーミングアップも済んだし、ドンドン食べてるよ。
キキ先輩には負けるけど、僕もブラックホールの異名は伊達じゃないって見せようかな。
よし、食べよう♪

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:79 = 66全体 + 13個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
忘年会か………

オレは年齢的にもお酒は飲めないが羽目を外してたくさん飲むやつもいるんだろうな

ってことで肝臓と胃に優しい物でも作って置くとしよう
具体的にはしじみの味噌汁等だな

作ってご自由にどうぞって会場に置いて後は食事とか楽しむことにしよう

アドリブA、絡み大歓迎

リザルト Result

●1章 賑やかなひとときを
 放課後、魔法学園『フトゥールム・スクエア』、ファンタ・ブルーム大講堂内の特設スペースで賑わう忘年会を支える厨房では、これ以上にない忙しさを見せていた。
「あーー、誰か野菜のシチューとかスープを頼むよー」
「何でもいいから、誰か肉料理作ってー」
「お酒にあうものとか、誰かお願いー。こっちグラタンで手一杯」
「デザートが足りないってー」
「面白い物が欲しいなー」
 目の前の調理に必死で、手が回らぬ生徒達が悲鳴のような声を上げていた。
 そこに現れる三人。
「シチュー、任せて」
「肉料理はお任せ下さい」
「……お酒か。羽目を外してたくさん飲む奴もいるだろう。ならば……」
 【アンリ・ミラーヴ】、【朱璃・拝】(しゅり・おがみ)、【仁和・貴人】(にわ・たかと)。
 三人は、熟考するまでもないとばかりに速やかに手助けに加わった。

「酒に合う物と言えば枝豆の塩茹でに……後は二日酔いの事も考えて肝臓と胃に優しい物も作ろう。そう考えると、酒も毒かもしれないな」
 貴人は鍋を二つ使い、両方に水を入れ、一つには砂出ししたしじみとだしを入れて、火にかける。沸騰したら水のみの鍋に塩を投入。
「続けて枝豆を」
 塩入りに塩で揉んだ枝豆を、しじみ入り鍋は弱い火で煮る。
「枝豆は完成だ……味噌汁も味噌を入れて完成だ」
 出来上がった枝豆の塩茹でとしじみの鍋に味噌を溶き入れて、完成させ給仕担当に引き渡した。
「次はデザートだ」
 貴人はクッキー作りに取り掛かる。
 それもただのクッキーではない。
「チョコ味のおからクッキーだ……美容や体重を気にする人向けだな」
 貴人は、ボウルにおから、砂糖、牛乳、溶いた卵を入れて混ぜ混ぜ。趣味が料理だけあって手際が良い。
「ここでチョコを湯煎して」
 貴人は、丁寧に湯煎したチョコをボウルに投入し混ぜ合わせる。
「……適当に型抜きしてオーブンだ」
 生地を伸ばし、型を抜き鉄板に並べてオーブンへ。
「……いい匂いだ」
 焼成中に漂って来る甘い匂いを吸い込み、貴人の期待値が高まる。
「これを運んで、そのまま食事とか楽しむとしよう」
 そして完成したクッキーと共に、会場入りした。
「おからクッキーだ、ご自由にどうぞ」
 貴人は皿を近くのテーブルに置いた。

「皆さんに喜んでいただかなくては!」
 朱璃はぐっと拳を握り気合いを入れてから、牛ももの塊肉をまな板に載せる。
「さあ、ローストビーフを作りますわよ!」
 塩胡椒などの香辛料をまぶし馴染ませるためにすりこみ、フライパンに油を注ぎ熱してから、強火で肉に焼き色を付ける。気合いだけでなく、見事な料理の腕前を見せる。
「あぁ、いい音ですわ」
 肉の焼ける音が耳に心地よい。
「オーブンでじっくり焼き上げますわよ」
 とどめはオーブンだ。
「いい匂いですわ。なんだか私のお腹もなりそうですわ」
 鼻をくすぐる肉の焼ける匂いは、口の中に沢山の唾を呼び、空腹を意識し始める。
(エレガントな女性なら我慢しなくては)
 だが、朱璃は唾を飲み込み、お腹に力を入れて本能を押し込む。
 まだやるべき事がある。
「ソース作りが残っていますわ」
 ソース作りだ。
「和風ソースがいいですわね」
 にんにく、生姜のすりおろし、玉葱にしょうゆやみりん、酒を加えていく。
「……匂いは強烈ですが、滋養たっぷりですわ」
 朱璃は、強烈な匂いにクスリと口元を歪める。
「最後は肉を休ませて、肉汁を閉じ込めて完成ですわ」
 オーブンから取り出し、肉を休ませる間に朱璃は大皿を準備。
「どれも美味しそうですわね」
 手持ち部沙汰になった事により周囲の音や匂いに意識が向かう。
「そろそろ切り分けましょう」
 少し目を遊ばせた所で、頃合いとなったローストビーフを切り分けて大皿に盛りつけた。
「会場に運んだら、そのまま私も♪」
 朱璃は大皿を持って会場入りし、客に転じた。

(……体が温まるポタージュとケーキを作ろう)
 作る物を決めたアンリは料理を始めた。
「ニンジンを、使おう」
 メインの食材に大好きなニンジンを選び、皮を剥いて切っていく。生まれ育った村で収穫した野菜の皮剥きや切る事をしていたためか、鮮やかな手際だ。
(……柔らかくして)
 ケーキ分を含め、多めにニンジンをペースト状にして一部を水を入れた鍋に投入し、牛乳、塩コショウを振る。
(食べた皆が楽しめるように喜んでくれるように……)
 口下手なアンリは想いを込めて、祈りながらゆっくりと混ぜる。
「……味見を」
 頃合いを見て火を止めて味見をする。美味しかったのか、馬のルネサンスの特徴が出ている耳と尻尾が反応した。
 完成したニンジンのポタージュは給仕に任せて、ケーキに取り掛かる。
「……これからが……メインだ」
 と言って、アンリはボウルに粉、卵、牛乳を入れて混ぜて手際よくスポンジケーキをいくつか焼き上げる。
「クリームも、ニンジンに」
 先に作っておいたペースト状のニンジンに砂糖、生クリームを混ぜ合わせニンジンクリームを作る。
「ん……丁度いい甘さ……」
 甘さを確認するために味見をした。これまた納得のいくものだったのか、アンリの耳と尻尾が反応した。
「……面白いもの……激甘? 激辛? 美味しいか、甘いか辛いか、切って食べてからお楽しみ」
 アンリは厨房に入った時の事を思い出し、生地に挟むクリームを工夫した。
(食べた人、胃が壊れませんように)
 自身の料理を食べるだろう人の無事を祈りつつ、普通の他に、激甘シロップ、激辛ソースをクリームの一部に塗り込んだものの三種類を作り上げた。
「仕上げは……」
 最後は丁寧にスポンジ全体をニンジンクリームでデコレーションして完成だ。
「楽しんでくれると、嬉しいな」
 アンリは完成したケーキを持って、会場入りをし、客として混じった。

「忘年会開催と聞いたからには参加しなきゃね」
 【ナノハ・T・アルエクス】が参加者として登場。
「さぁ、ご馳走をいっぱい食べるよ!」
 眼前に溢れる沢山の料理に大興奮のナノハ。
「まずは、前菜をいただきま~す♪」
 ナノハは、手始めに野菜と枝豆の塩茹でを取り皿に盛った。ただし、量は1kgと、何とも大食漢だ。
「んー、新鮮! 枝豆の塩加減も最高! これでウォーミングアップも済んだし、ドンドン食べよう!」
 ナノハは、サラダと枝豆をあっという間に平らげた。
「締めって感じの食べっぷりだね!」
 近くにいた女子生徒が声を掛けて来た。
「ありがとー! 締めと言えば、今年は異世界から来た技術は衝撃的だったなぁ、特にロボットの浪漫と言ったらもう凄かったよ♪」
 ナノハは女子生徒の言葉を受けて、去る年を振り返った。
「いい年だったみたいね」
 女子生徒が楽しそうに指摘する。
「もちろん! あの技術を直接見る機会はなくなったけれど、その残滓は残っていて、そのまま再現は無理でも、アレに匹敵するものをいつか創りたいなって……そのためにもっと頑張らなきゃだけど」
 ナノハは声を弾ませた。
「ふふ、お互い様にね」
 女子生徒は他のテーブルへ行った。

「わぉ、クッキー!」
 女子生徒を見送ったナノハが挑むのは、クッキーだ。
「いただきまーす」
 まずはと一枚、パクリ。
「あっ、これチョコ味のおからクッキー! しかも出来立て!」
 ヘルシーな味でほんのり温かい。
「あぁ、出来立てだ。好きなだけ食べてくれ」
 まだテーブルを離れていなかった貴人が言った。
「じゃぁ、遠慮なく食べちゃうよ♪」
 ナノハは容赦なくクッキーを頬張っていく。
「あら、美味しそうですわね」
 朱璃がローストビーフを置きながら言った。
「ほう、ローストビーフか。少し貰おう」
 貴人はローストビーフを数枚、取り皿に盛った。
「ん~、この匂い、よだれが出ちゃう」
 ナノハは、堪らぬ匂いに口の中はよだれでいっぱい。
「是非、食べて下さいませ。私はクッキーを頂きますわ」
 朱璃は二人の反応を喜びながら、チョコ味のおからクッキーを一枚取り皿に取った。
「あら、これはおからクッキーですわね。美味しいですわ」
 朱璃はサクサクとおからクッキーを頬張る。
「このローストビーフ、美味しいよ♪」
 ナノハは、ローストビーフをたっぷりと食べる。
「これは和風ソースだな……なかなかだ」
 貴人はゆっくりとローストビーフを味わった。
「…………美味しそう」
 そこに賑やかさが気になったのか、アンリがやって来た。手にはしじみの味噌汁があった。
「えぇ、美味しいですわよ。その味噌汁も美味しそうですわね」
 朱璃がにっこりと、クッキーを食べながら言った。
「味噌汁、体が温まる」
 アンリはしじみの味噌汁をすすってほっこり。
「わぁ、僕も!」
 気付いたナノハもしじみの味噌汁を椀に盛り、美味しく食した。
 丁度その時、ライブが始まった。

「こういうのは参加しなきゃって思って来たけど……」
 【フェリシティ・オーバーベック】が参加者として登場。
「賑わってるなぁ。色んな所からご馳走の匂いがするし、お喋りも楽しそうだし」
 きょろきょろと会場内を見回す。食べたり飲んだりをする前だというのに、気持ちがわくわく弾んでいる。
「まずは可愛く可憐に皆をねぎらわなきゃ! ……どうやってねぎらおうかなぁ」
 楽しい空気にフェリシティも何かしたい気持ちになり、頭を巡らす。
「そうだ!」
 何やら思いついたのか、フェリシティは会場が見渡せる場所へいそいそと移動。

「今年頑張った皆に労いの歌と踊りをプレゼントしちゃうよっ♪」
 と口上を言ってから一礼し、フェリシティはライブを始めた。
「♪♪」
 賑やかなこの場に相応しい曲を愛らしく通った声で見事に歌う。
(全力で盛り上げるよ! 何たって自分が楽しければ周りも楽しめるはずだから!)
 という忘年会を盛り上げたいという思いを込めて。
「♪♪」
 歌だけでなく歌に合わせてキレのある体捌き、軽やかなステップを踏み、笑顔をこぼしながら踊る。
「何か楽しいねー」
 ナノハはもぐもぐしながら、しっかりとライブを満喫する。
「ですわね。きっと楽しそうに歌っているからですわ」
 朱璃も楽しそうにライブを見ている。
「盛り上がっているな」
 貴人は見回し、周囲の賑やかさを見て取る。
「……楽しい……」
 アンリもライブに夢中だ。
「♪♪」
 フェリシティは、誰が見ても本当に楽しそうに歌い踊る。
 程なくして、フェリシティはライブを終わりとした。
「聴いてくれてありがとー♪」
 フェリシティは皆に一礼してから舞台を降りた。
「さあ、食べるよー、みんなと話すよー」
 そして、ただの客に転じた。

 ライブが終わった後。
「……ニンジンのポタージュも悪くないな」
 貴人はニンジンのポタージュをゆっくりと味わう。
「枝豆も、美味しい」
 アンリは塩茹での枝豆をぱくぱく。
「わぁあ、オレンジ色のケーキなんて可愛い♪」
 そこにライブを終えたばかりのフェリシティが現れた。オレンジカラーのケーキに可愛さを見出したらしい。
「あら、お疲れ様ですわ」
 朱璃は笑顔で労った。
「楽しかったよー♪」
「……楽しかった」
 ナノハとアンリが続いて感想を伝えた。
「歌ったり踊ったりで喉も乾いたろう」
 貴人は冷たい飲み物を差し出した。
「ありがとー!」
 飲み物を受け取り一口してから、フェリシティは笑顔で皆に礼を言った。
「一つ、食べちゃおう!」
 それからフェリシティはニンジンケーキを一切れ、皿に載せた。
「僕も食べる!」
 ナノハは、三種類を一切れずつ皿に載せた。
(……楽しく食べてくれたらいいが)
 作り手のアンリが見守る中。
「んーー、甘くて美味しいよ♪」
 フェリシティは程よい甘さに顔を崩した。どうやら普通の味だった模様。
「すごくあまーーい……これ、辛いよぉぉ」
 ナノハは激甘入りを平らげ、激辛入りに舌を震わせた。
「お水ですわ!」
 ナノハの様子から察した朱璃は、冷たい水をすぐに調達した。
「ありがとー……これは普通に甘くて美味しい♪」
 水を飲んだ後、ナノハは激辛入りを食べ切り、最後の一切れに至福の顔。
「私も一切れ、頂きますわ」
 朱璃は、普通味のケーキを一切れ皿に載せて頬張った。
「ニンジンの甘味も感じられて美味しいですわ」
 朱璃は程よい甘さに表情を緩めた。
「確かに美味しいな」
 続けて貴人も普通味のケーキを食した。
「このポタージュもニンジンだよね! 食べちゃおうっと!」
 ニンジンケーキを食べ終えたフェリシティは、ニンジンのポタージュを目にとめ、椀に一杯分入れた。
「はわぁあ、あったまるよ♪」
 フェリシティは一口飲み、口内に広がるニンジンの甘さ、温かさにほっこりした。
 こうして、参加した皆、食べたり飲んだりお喋りをしたりと忘年会を存分に楽しんだ。

●2章 静かなひとときを
「もう……今年も……終わり……ですね……」
 【セオ・フォスター】は、年の瀬を感じながらキラキラ石の輝きを頼りに夜道を歩いていた。
「……花の様子が……気になります」
 散歩ではなく花の世話をするために。ちなみに忘年会の話は聞いているが、園芸が優先のため不参加にしたのだ。
 まず訪れたのは温室だ。
「……あたたかい……」
 セオは、入室と同時にもわぁっと迎える熱気に思わず安堵。
「……温度は……これで……いいでしょうか……」
 冬らしい外気に触れて冷えた体が少しずつ温まる中、セオは寒さに弱い植物達の様子を丁寧に見て回った。
「……大丈夫……ですね……」
 植物達の確認を終えたセオは、口元を優しく歪めてから温室を出た。
 再び、キラキラ石を明かり代わりに向かったのは花壇だ。
「……綺麗に……咲いていますね……」
 花壇を訪れたセオは、光りながら咲き乱れる美しい花々に心を和ませた。
 その後も、キラキラ石と共にあちこち花を見て回った末に辿り着いたのはセオにとって大事な場所。

「……勿忘草……」
 自分がこっそり育てている勿忘草の元だ。
「…………皆と過ごした時間……仲良くなって……」
 勿忘草を手入れしながらセオは、過ごした養護施設での事を思い出していた。
「……花の育て方も……教えて貰って……」
 思い馳せつつも花の手入れをするセオの手つきは丁寧であった。なぜなら、ガーデニングは養護施設の子供達と自分を繋ぐ唯一のものだから。
「でも何人も看取って……なぜか体が上手く……動かなくて……」
 仲良くしてくれた子供達、短命が故に亡くなっていく子供達を前に何も出来ないでいた自分。
「……墓守に……なれるのでしょうかね……」
 セオは思わず呟きを洩らした。現在、施設長の言葉で、学園に通い勉学に励んでいる。
「…………手入れは……終わりです……」
 花の世話を終えたセオは、一息入れる様に頭上を見上げた。
「……綺麗……です……それに……静か……ですね……」
 目に映るのは、優しく輝く満月。何より夜の静寂が心地よい。
「……戻りましょう……」
 ほっこりしたセオは、自室に帰った。

 勿忘草の花言葉は『私を忘れないで』。セオの心には、しっかりと養護施設の彼らとの思い出が刻まれていた。

 放課後、【オズワルド・アンダーソン】は、年の瀬もあってか先輩達に頼まれて保健室の掃除の手伝いに加わり忙しくした。
 手伝いの傍らふと彼は、窓の外が気になり手を止めた。
 窓の外には、冷え切った夜空に大きな満月が輝いていた。
 浮かんでは消える今年の思い出を胸に仕舞い、オズワルドは休めていた手を動かし、先輩達の手伝いに励むのだった。



課題評価
課題経験:66
課題報酬:0
去る年、どんな年でしたか?
執筆:夜月天音 GM


《去る年、どんな年でしたか?》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 1) 2020-12-29 00:12:48
教祖・聖職コース、アンリ・ミラーヴ。よろしく(尻尾ぶんぶん)
行動、まだ未定。厨房に、興味ある。

《新入生》 フェリシティ・オーバーベック (No 2) 2020-12-30 21:16:49
はろろん、芸能・芸術コースのフェリシティよ。どうぞよろしく。
今回は、歌で参加しようと思うよ。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 3) 2020-12-31 17:39:19
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

何をするかはまだ決めかねておりますわね。

《新入生》 セオ・フォスター (No 4) 2020-12-31 22:41:14
セオ…1人で…のんびりする予定…

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 5) 2021-01-01 09:04:37
ギリギリですが、厨房の料理のお手伝いをいたしますわ。ローストビーフを作ろうかと思っております。

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 6) 2021-01-01 11:40:32
賢者・導師コースのナノハ・T・アルエクスだよ♪

忘年会でご馳走を食べるよ。
厨房担当の人もいるみたいだし、ちょっと本気で食べても大丈夫そうかな…?