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勇者流?雪合戦
(ショート)
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vurebis GM
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季節は冬。窓の外に見える景色は白銀の世界。勇者の学校ことフトゥールム・スクエアも例外ではなく雪が積もった。
今日の授業は終わり、降り積もった雪を踏みしめ、この後何をしようか。と学友話しながら屋外練習場を歩いていると、一人ポツンと猫耳の少女が立っていた。あんなところで何をしているのだろう。
少し気になり防寒着に身を包んだ少女を眺めていた。すると突然、屋外練習場の端まで届くような、しかしウキウキとした声色の大音声で叫んだ。
「みんな! 雪合戦しよう」
「私は【ニット・グルード】。気軽にニットって呼んでね。君たちは新入り君かな」
雪の上に座り第一試合を眺めていると、こちらを向き笑顔で駆け寄り声をかけるニット。周りには同じように興味本位で集まった生徒もいる。
「もう第一試合が始まってるけど、試合を見ながらこれからルール説明をするね!」
テニスコートほどの大きさのフィールドの上では、生徒達が二つのチームに分かれ雪玉を投げ合っている。中には雪の壁に隠れている生徒もいるようだ。
「まずはフィールドから。自陣と敵陣の二つに分かれていて、両陣地とも、雪でできた壁が四つずつあるのは見てわかるかな」
ニットが指を指す横長のコートを半分に区切るように引かれた赤いライン。それを基準に左右対称に壁が設置されている。
壁はラインと並行する向きで、ラインの近くに二つ一直線上に並んでいる。その後方、自陣のエンドラインの近くにも同様に設置されている。
シールドというらしい壁は、一般的な体型の者なら二人は楽に隠れられるような大きさで、試合中の生徒はうまく隠れて雪玉を避けている。
「それで、攻撃方法は雪玉をぶつけるだけなんだけど、普通とは違うところがあるんだけどわかるかな」
そう言われコートを見ると、ひとりが木製のような片手剣で雪玉を弾いている。その向かい側、敵チームの中にはリーチの長い両手槍を持った選手もいる。飛んできた雪玉を弾いたり、地面に突き刺した両手槍を軸に移動をしたり用途は様々なようだ
「みんなに使ってもらうのは競技用の武器で、叩いても痛くないけど、ちゃんと技能は使えるから安心してね。それから、普段使ってる武器の種類から選んでね」
持っている武器を指さしながらこちらを見るニット。コート内には武器を持っていない生徒もいる。持ち込みは自由なようだ。さらに解説が続く。
「今の子みたいに、武器は防御、回避、のために使ってください! 攻撃したら即負け扱いです! 妨害とかできたら試合はもっと楽しくなるかも! もし雪玉に当たっちゃったら、あの子みたいに雪玉づくりでチームを支えてあげてね!」
再び指さした先にはコートの外で雪玉をひたすら作り続ける生徒が数人確認できる。作った雪玉は投げて渡しているようだ。
「ルールはこれくらいかな。さぁ、君たちは第二回戦であの子たちと戦ってもらうよ!今回は四チーム参加のトーナメント戦だ。二回勝つと優勝! 私からほんのささやかな景品が出るよ」
目線の先には大柄の男がこちらに向かって歩いている。すでに競技用の武器を手にしている様子だと、初心者ではないようだ。
男たちはニットの前まで歩くと笑った。
「こいつらが俺の対戦相手か! よろしくな。俺は【ビルダ・ケプラー】。ビルダって呼んでくれ。見たところ初心者か? こりゃ万年負けチームも負けてられないな!!」
ガハハハと豪快に笑うビルダにニットが近寄る。
「またまた来たんだねー。待ってたよ! 今回は勝てるかな?」
挨拶をしに来ただけなのだろう、「お互い頑張ろうぜ」と手を振りながら去っていった。それを見送ったニットがこちらに振り返って小声で話す。
「君たちは初めてだから少しだけヒントあげちゃうね。ビルダ君は体格がいいから、シールドに隠れていても少しだけはみ出ちゃうんだ。武器で防がれない限りしっかり狙えば倒せるよ。それと、彼のチームはビルダ君がひとりで指揮を執っているから彼を先に倒すと簡単に勝てるかもね!」
更に今対戦を終えた第一試合の勝利チームを眺めながらこうも呟く。
「勝ったチームのリーダーは【ソニック・ローレンス】。ソニックのチームはみんな素早い動きが特徴だから上手く妨害できれば勝機はあるよ! さあ試合だ。私がレフェリーをするから一緒にコートに行こうじゃないか」
ニットについていくようにしてコートに入る。
各自シールドに身を隠したり、コート上で準備運動する。ホイッスルが試合開始を告げた。
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参加人数
4 / 8 名
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公開 2019-03-07
完成 2019-03-25
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