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【夏コレ!】ローレライの宴


ストーリー Story

 ゆらりゆらり。
 さざめく小波ははるか頭上。
 昼は潮流が波を作り、いっそ清々しいほど爽やかな青が広がるこの海も、夜の時分。
 暗く、夜の闇ほど黒い海の中も、照らす光は青かった。
「うわぁ、綺麗……!」
 感嘆のため息を吐くのは、『フトゥールム・スクエア』の一生徒。
 その体は、水底の波に揺られてゆったり、ゆったりと揺れる。
 水底の砂は、月の光を受けて白く揺らめく。
 波にきらきらと浮かぶ、星の数ほどと見紛うランタンは、まるで風船のように浮かび上がる。
「すごいでしょ。あのランタンは、夜光虫を逃げないように閉じ込めてあるの。海の中だからできることよね」
 得意げに笑う女性――名前を【ヒュドール】と名乗った――は、海と同化しそうなほど透明感のある体を得意げに振り向かせる。
「ここの海はよく魔物が出没するけれど。私たちにそんなことは関係ないもの」
 きょろきょろと物珍しそうに見渡す生徒たち。
 空気を閉じ込めた不思議な泡を頭に被り、水中でも容易に息をしている、彼ら。
 彼らの空気泡は、今回留守番中の【アキ・リムレット】が作ったもの。
 ぽこり吐いた空気は泡となり、水面の飛沫へ消えていく。
「ヒュドールさん、今回はお招きいただき、ありがとうございます」
 代表してひとりがちょこんと頭を下げると、ヒュドールは笑いながら手を横に振る。
「いいのいいの。ひとりで行くのも、寂しいじゃない? 旅は道連れ、ってことで」
「いえ、こんなに貴重な体験をさせていただけるのに、お礼を言わないのは失礼に当たります」
「何言ってるの、私たちにとってはある意味日常だから、そこまで貴重でもないわよ」
 お礼の言葉を躱し、ヒュドールが目を向けた先。
 どんちゃどんちゃと賑やかな、色とりどりの灯りが一行を出迎える。
「ようこそ、ローレライの宴へ!」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-07-04

難易度 とても簡単 報酬 少し 完成予定 2019-07-14

登場人物 8/8 Characters
《ゆうがく2年生》シィーラ・ネルエス
 ローレライ Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
「えぇ、私異世界から来たの」 「…そうね、そのはずなのに」 「うみにかえりたい、たまにそう思うの」 いつもおっとりした言葉遣いが特徴的なローレライの女性 おっとりとした言動とは裏腹にわりと勢いとノリがいい 自称、異世界からやってきたとのことだが… 容姿 ・海色のロングウェーブ、たれ気味の薄青の瞳 ・ゆったりとした服を好んで着ている ・胸は大きめ 性格 ・マイペースでおっとりとした性格…と見せかけてその実やりたいことはとことんやる、言いたいことはぶっちゃける ・困っている人には手を差し伸べるが、必要以上に他人と接しようとしない。あえて一定の距離を置いている節がある。人嫌い、というわけではない模様 ・ちなみに見た目よりかなり年上だが、間違っても「おばさん」とかは言ってはいけない ・笑いの沸点が低く、ちょっとしたことでもすぐ笑う ・取り繕うのは上手、なので平然とした顔で内心大笑いしていることは多々あり 好きなもの 海、歌 二人称:アナタ、~さん 仲良くなった人には呼び捨て、~ちゃん、〜くん 三人称:皆様、アナタ方
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。
《新入生》ケイ・アカツキ
 ヒューマン Lv5 / 勇者・英雄 Rank 1
母に薦められるがままに学園へ入学する事になった少年。 根は真面目であり、人並みの正義感と良識を持つ。つまりどこにでもいるような比較的平凡な少年。 周囲で困り事があればつい首を突っ込み、頼まれ事をすれば断れない性格な為、必要以上に頭を悩ませる事がある苦労人気質な面もある。 言動に関しては自身を下に見がちな根っからの「後輩キャラ」 学園生活の中でも上級生はともかく同学年に対しても「先輩」呼びで接する事が多い。 学園に入るに至って明確な目標はなく、とりあえず入学させられたという認識もあって行先に不安を感じている。 とりあえず母に薦められたし頑張ってみるかで当面はその時その時の行動で目標を決めている様だ。 母親似の為か年齢の割に幼く見える外見と中性的な顔立ちをしている。 平均よりも低めの身長と相まって男扱いよりも女扱いされる事もあったが本人はあまり気にしていない。 むしろ状況次第ではそんな自分の容貌もとことん利用する強かな一面もある。 上記にある「先輩」呼びが多いのも後輩から年上として見られた事が滅多にない環境故の処世術の一つでもあった。 「容姿とは一生の付き合いであり、持って生まれるものなのでケイさんはそんな自分を卑下する事はないのだよ」とは本人談。 ただしあんまりしつこいと流石にキレるので程々に。
《妖麗幽舞》サクラ・ブラディー
 リバイバル Lv14 / 黒幕・暗躍 Rank 1
イタズラ好きのリバイバル。 自分の名前や常識等以外記憶から抜け落ちている。 リバイバルになるための強い感情も抜け落ちておりなんで今ここに存在しているのかも本人にもわからない。(という嘘をついている) 取り敢えず毎日が楽しく過ごせればいい。 黒幕・暗躍コースなのは自分の特性がうまくいかせそうだったから 楽して成績優秀なら空いた時間は自由に使えるじゃろ? 趣味は人を揶揄うこと。 特技はなぜか舞踊、剣舞ができる。 また、占いもすることがあるようだ。 偶に変な雑学を披露する。 とある生徒の部下ではあるがそれを理由に相手をおもちゃにするために部下になってる ただ、ちょっとしたことならお願いは聞いているようだ 二人称:おぬし、または 名前殿
《ゆう×ドラ》シルク・ブラスリップ
 エリアル Lv17 / 村人・従者 Rank 1
「命令(オーダー)は受けない主義なの。作りたいものを、やりたいように作りたい……それが夢」 「最高の武具には最高の使い手がいるの。あなたはどうかしら?」 #####  武具職人志願のフェアリーの少女。  専門は衣服・装飾だが割と何でも小器用にこなすセンスの持ち主。  歴史ある職人の下で修業を積んできたが、閉鎖的な一門を嫌い魔法学園へとやってきた。 ◆性格・趣向  一言で言うと『天才肌の変態おねーさん』  男女問わず誘惑してからかうのが趣味のお色気担当。  筋肉&おっぱい星人だが精神の気高さも大事で、好みの理想は意外と高い。 ◆容姿補足  フェアリータイプのエリアル。身長およそ90cm。
《ゆうがく2年生》アリア・カヴァティーナ
 アークライト Lv14 / 村人・従者 Rank 1
 幼い頃から聞かされてきた英雄譚に憧れて、いつしか勇者さまを導く人物になりたいと願ってきた。  その『導き』とはすなわち、町の入口に立って町の名前を勇者様に告げる役。  けれども、その役を務めるということは、町の顔になるということ。この学校でたくさん学んで、いろんなことを知ることで、素敵な案内役になりたい!  ……それが自分の使命であると信じて入学したけれど、実のところ勉強よりも、花好きが高じた畑いじりのほうが好きだったりする。そのせいで、実はそこそこの力持ちだったりする。  たぶん、アークライトの中ではかなり変人なほうなんだと思うけれど、本人はあんまり気にしていない模様。  基本的に前向き……というか猪突猛進なところがある、かも。
《勇往邁進》オリヴァー・アンダーソン
 ローレライ Lv14 / 武神・無双 Rank 1
「あいつを殺す、邪魔はするな」 出身:北国の有力貴族の生まれ 身長:186㎝ 体重:80前後 好きな物:戦争、酒、チェス 苦手な物:__ 殺意:弟→無し 補足:大きな期待を受けた男は一人の男によってあっさり見棄てられた。 傲慢な男は氷のような外道だった。 補足②:斬れば早いと思ってる脳筋であり、 冷酷かと思いきや実はツンデレで心配性なところがある、ガッカリしてくれ。 補足③:彼は思う以上に不器用な男であり、 褒められたがりな所がある。
《新入生》篠村・夜露
 ローレライ Lv8 / 武神・無双 Rank 1
名前:篠村 夜露(しのむら よつゆ) 年齢:20歳 種族:日本酒のローレライ 【外見】 ざんばらな黒髪短髪(寝癖は直さない派) 両目青のつり目で眼鏡をしている 黄色人種 【性格】 生真面目な性格だがそれが自分にはあまり向けられない 故に身なりは結構適当 元来は大人しい性格で静かに読書をして過ごすのが好き ローレライとして、本当は髪に排出する水を滴らせたいのだが不器用で上手く出来ない 【服装】 赤いマフラー 黒の袴 制服のコートを羽織ってる 【一人称】 某

解説 Explan

 下見に行った夜の海。
 ローレライたちが集まり宴をするそうです。
 光源に夜光虫を閉じ込めたランタンが浮かび、キャンプファイヤーの代わりに夜光虫の立ち上る滝を囲みます。
 わいわいと賑やかなローレライたちに交ざって、飲み食いするもよし。
 喧騒から外れ、非日常的な光景を眺めるもよし。
 幻想的な光景は、友人と来ても、恋人とのデートでも思い出になることでしょう。
 もちろん、ひとりでもきっと素晴らしい思い出になるはずです。
 案内をしてくれたヒュドールさんは飲み食いしていたり、あるいは踊っていたりします。
 この宴に伝わるジンクスや、伝統として伝わっているイベントもあります。
 どうぞ、一夜限りの素敵な思い出をお作り下さい。
 ただし未成年の飲酒はNGです。

【ジンクス】
 この宴のキャンプファイヤーもとい、キャンプ夜光虫の周りで意中の人や友人と一緒に踊ることができれば、幸せになれるというジンクスがあります。

【伝統イベント】
 宴も終わる、その間際。
 海中をずっと照らしていた夜光虫ランタンの蓋をひとりひとつ持ち、一斉に蓋を開け、夜光虫を逃がします。
 その夜光虫が、まるで流れ星のようにも、天の川のようにも見えるため、夜光虫に願い事を乗せながら放つと、その願い事が叶うかもしれない。
 そんな、伝統イベントです。
 宴の締めに、みなさんに配られますので、安心してください。


作者コメント Comment
 涼し気な夜の海の中で、ローレライたちの宴に交ざってどんちゃんしましょう。
 宇波(うぱ)です。今回は綺麗な風景の中で、各々に楽しむシナリオです∈( ºωº )∋
 ヒュドールさんはおひとりさまを楽しんでます。嘘です、ひとりは寂しいです。


個人成績表 Report
シィーラ・ネルエス 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1632 = 1360全体 + 272個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
うふふふ、いいわね!賑やかなのは好きよ!
アドリブ交流◎

ローレライ達に混じってご飯を一緒に食べたりお酒も飲んだり
あらあら、私成人してるのよ。年齢?…ヒミツ
基本的には上機嫌、何故ならこんな宴は初めてだから

しばらく楽しんだ後は人の輪を離れて景色を眺めて
自分の記憶にない美しい光景にため息をつきながら
…不思議ね、海が懐かしいだなんて
ちゃんと海を見たことはない、けれど感じる懐かしさに自分で苦笑

あらジンクス?参加しないわよ
「幸せ」の定義が分からないからね

最後の光景はそっと遠目で見守りながら
お願いごとは決まってないの
でもとりあえず願っておく
「みんなのお願いが叶いますように」

オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1632 = 1360全体 + 272個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:
ローレライが集う宴ですか!
同じ種族の方と交流を深めるいい機会ですね。

おや、ダンスをしている方がいらっしゃいますね。
…せっかくですし、一緒に踊ってくれませんか、ハナ。

行動:
他のローレライの人たちと友好を深めながら
ゆっくりお酒を楽しみますね。

夜光虫の周りで『自然友愛』で召喚した精霊と手を取り、
社交ダンスするかのようにゆっくりくるくると踊りましょう。
お世辞にも上手いとは言えないが、楽しく踊りますよ。

そういえば夜光虫に願いを乗せると叶うと言われていますね。
そうですね、僕の願いは…

「このまま、平和に幸せに過ごせますように。」

ケイ・アカツキ 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1632 = 1360全体 + 272個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【行動】
ローレライ達と雑談しながら宴会に参加している。
ローレライ特有の文化や料理について話を聞きながらと、まだ知らぬ知識に関心しつつ、宴を楽しんでいる。

一緒に飲食と会話を楽しんでいる傍ら、ローレライ達から一緒に踊ろうとも誘われるが何故か見せられるのは女物の衣装であり、どうやらそれを着てからという事らしい。
「…………ん?いや、女じゃないよ!?」
性別を勘違いされながらも、しかし周りは酒の勢いも相まって「性別とか関係ないから」と言われながら迫られたりとどちゃわちゃしながらも楽しみたい。

サクラ・ブラディー 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1632 = 1360全体 + 272個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
水の中ら鑑賞するランラン・・・
なんとも幻想的じゃの・・・幻想的過ぎて言葉もでないくらいじゃ


この宴に招かれたお礼に踊りを披露するのも一興じゃ

踊る時は番傘「桜舞」、踊り、基本剣術、運動神経を使用

見るも見ないも人次第、まぁ、わっちの自己満足じゃな

それ以外にはヒュドール殿と食事をしたり揶揄たりしてようかの

「誘ってくれたのはうれしいし、実際楽しんでるんじゃがの?
 一緒に来る異性とかいなかったのかの?」

アドリブ大歓迎です

シルク・ブラスリップ 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1632 = 1360全体 + 272個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
ローレライと文化交流。最後はランタンを開けて伝統イベントに参加を。

●行動
お酒は交流の足しになる程度でそこそこに(弱いのでなく、記憶を残しておきたい)
ローレライたちと歓談しながら、文化……特に服飾、どんな服を着てるとか、水の中ではとかを中心に盛り上がれれば。
自分からはエリアルの踊りや歌を披露、また可能なら自分の『服飾』で作成している小物……ハンカチやリボンなどを交換したり、飾ってあげたりできたら

●伝統イベントに願う
願いは『最高の武具職人』一つ。
幻想的な光景をも衣装の中に込めてみたいと願いを込めて

アリア・カヴァティーナ 個人成績:

獲得経験:66 = 44全体 + 22個別
獲得報酬:2040 = 1360全体 + 680個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
わたくしの使命は、勇者さまに村の名前をお伝えすることですわ!
でもでも、その時はただ名前を言うだけじゃなくて、村の特徴を簡潔に説明したり、名所を紹介したりもできなければなりませんわ!
ですので…この宴のすばらしいところをたくさん見つけて、いつでもご案内できるようになりたいですわ!

…そんなわけで、まずはこのお祭りの由来とか歴史とかを、その辺のローレライの方に訊ねにゆきますわ!
「わたくし……初めて参加するのですけれど、素敵な光景でびっくりしましたわ!
もっと知りたくなってしまったので、あまり知られていない逸話などをお教えいただけると嬉しいですわ!」
お答えいただいた際の表情や声色…わたくしの糧にしますわ!

オリヴァー・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1632 = 1360全体 + 272個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:…

行動:
真ん中に座って他の奴らと話したり食事をするのは好きじゃねえ。
人気が少ない場所…見下ろせる場所に座り、
酒と食事を手にこの幻想的な風景を楽しませてもらおうか。

そういえば、酒と食事を渡されたときに合わせてランタンを渡されたが…
願いを乗せて空に飛ばすとか。
ハッ、こんなちっぽけな虫けらに願いを乗せるなんて変な奴らだな。

……俺の願いはただ一つ、

篠村・夜露 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1632 = 1360全体 + 272個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
宴を楽しむ

【行動】
宴に参加する

会話は苦手なので他の人の話を聞いて相づちをうつ
同じくローレライの人だとそんなに緊張しないかもしれない

静かにただ酒を飲んでいる
ただし下戸

酔ってきたらちょっとずつ自分の事を話し始める

【心情】
某、ローレライの侍

篠村 夜露と申す
以後お見知りおきを

某の話なんて面白味もない
皆の話を聞かせて欲しいでござる

(酔ってきたら)

…某はただ居場所が欲しいだけでござった
本来は力等どうでも良い
ただ、師匠の元以外に居場所が無かった
某が今力を示す為にこの学舎に来たが
本当はただ居場所に縋りついているだけなのかもしれぬな
脆いと笑うなら笑えばいい
そんな事は、某が一番分かっている事でござるからな

リザルト Result

「水の中から鑑賞するランタン……。なんとも幻想的じゃの……。幻想的過ぎて言葉もでないくらいじゃ」
 水底から水面を見上げる【サクラ・ブラディー】は、ほう、とため息にも似た吐息を吐き出す。
 ふわりふわりと波間に揺蕩うランタンは青白い輝きを放ち、懐古の知己も、突然の来客も、平等に歓迎する。
「うふふふ、いいわね! 賑やかなのは好きよ!」
 光に照らされ、楽しげな声をあげたのは【シィーラ・ネルエス】。
 光を纏い、楽しそうにひらりひらりと幾度か回転する。
 その度、風に舞うかの如く波に服の裾が揺蕩う。
「ローレライが集う宴ですか! 同じ種族の方と交流を深めるいい機会ですね」
 【オズワルド・アンダーソン】は、同族である彼らが賑やかに楽しむ様を、きらきらと輝いた目で追いかける。
 輝くのはランタンの灯りのせいか、彼が楽し気にはしゃいでいるせいか。
「皆様、この【アリア・カヴァティーナ】が、この宴のご案内をさせていただきますわ!」
 一足先にローレライたちに宴の由来などを聞いていたアリアが先頭に立つ。
 まるで道行案内人。
 アリアは案内人らしく先導しながら賑やかな広場へ向かう。
「このローレライの宴は、ずぅっと昔に少数のローレライたちが始めたそうですの。夜光虫のランタンをひとつ囲み、お酒を飲み、食べ物を食べ、楽しい時間を過ごしたのですわ。そうして宴の最後には夜光虫をランタンから逃がすという行動が、伝統として現在まで残っているのです」
 ローレライたちへの取材の結果を、余すところなく伝えていく。
 ちょっとした豆知識に、知らず、感嘆の声がどこかから漏れた。
「そんな伝統を毎年繰り返していると、少しずつ参加人数が増えてきたのですわ。そして今、このように多くのローレライが集まるイベントとなったのです。それが!」
 ばっと大きく腕を広げたアリアの背後。
 青白く立ち上る滝は、キャンプファイアーのように煌々と明るく広場を照らす。
 水面には、先ほどまでと比べ物にならないほどのランタンが漂っている。
「ローレライの宴ですの! 皆様、どうぞお楽しみくださいませ!」

「先輩、ありがとう」
「いいえ! これも案内人になるための第一歩。お困りでしたらいつでもお声をかけていただけますと嬉しいですわ!」
 先発から少し遅れてやって来た後発の生徒たち。
 その中の【ケイ・アカツキ】はアリアに礼を言い、アリアは誇らしげに胸を張っていた。
「宴の一つにしても種族ごとの特徴みたいなのは出るみたいだからね」
 ローレライという種族が集まって行う宴があるらしい、それを聞いたのは教師である【アキ・リムレット】から。
 ローレライの文化や、料理に興味を持った彼は、二つ返事で参加を決めた。
「飲み物……オレンジジュースはあるかな?」
 オレンジジュースを探しに行ったケイの背後では、【シルク・ブラスリップ】がローレライたちと談笑していた。
「服飾には水着も含まれてるし、興味あるのよね。ローレライは服と水をどう親和させるかって」
 しげしげと、自分よりもだいぶ背丈の大きなローレライの着ている服を眺めるシルク。
「色々なファッションがあるんですね。興味深いです」
 少しずつお酒を飲み進めるシルクは、記憶を失わないよう自己管理を徹底している。
(会話の内容を覚えていないのは、もったいないからね)
 もう一口、シルクの喉を酒が通った。

「おや、お酒を飲んで平気なんですか?」
「あらあら、私成人してるのよ。年齢? ……ヒミツ」
 シィーラが上機嫌に食べ、お酒を飲み、会話を楽しんでしばらく。
 少し疲れたのか端に寄ってひとりで飲んでいるところを、オズワルドが声を掛ける。
 オズワルドはほろ酔いなのか、機嫌もよさそうにシィーラを茶化す。
 シィーラも満更でもなさそうにオズワルドに返事をする。
「隣、いいですか?」
「どうぞ」
 オズワルドがシィーラの隣に座る。
 シィーラはしばらく、非現実的な美しい光景に魅入る。
 ため息を吐きながら、手に持ったグラスの酒をくるくると回す。
「……不思議ね、海が懐かしいだなんて」
 シィーラはちゃんと海を見たことがなかった。
 しかし感じるのは懐かしさ。
 シィーラは苦笑する。
「異世界から来たのに、ここの言葉と文字を使う、この世界のローレライ。でも知らない景色が頭の中にあるの、愛しいと感じる子の姿がちらつくの。……でも、それも、本当はよくわからない」
 シィーラの独白に黙って聞き入るオズワルド。
「ここの人間でもない、でももしかしたら異世界人でもないかもしれない。……なら私の居場所は、本当はどこにもないのかもね」
 しんみりとオズワルドが見送るのは、群れからはぐれた夜光虫。
 ふよふよ慌てたように水面へと昇っていく。
 しんみりとセンチな雰囲気に、シィーラは茶化すようにオズワルドの背をばん! と叩く。
「ちょっとなぁにしんみり聞いてるの? 酔っ払いの戯言なんて聞き流しなさいな。折角の宴よ、私のことは構わず楽しんでいらっしゃい」
 勢い良く叩かれ、前につんのめったオズワルドは背中を摩る。
 若干涙目になりながら、でも、と背後に振り返る。
「居場所なら、学園があるじゃないですか」
 ぱちくり。
 シィーラが瞬きをしている間に、オズワルドは賑やかな集まりの方へと走って行ってしまった。
「居場所、ね……」
 シィーラは酔いのせいか、ほんのりと口元を綻ばせた。

「……」
 青白く照らされた、賑やかにカラフルな宴を離れた場所から眺める【オリヴァー・アンダーソン】。
 その手には酒の入ったグラスが握られている。
 透明な液体、ショットグラス。液体を光に透かしては宴と重ねて眺めている。
「隣、よいでござるか?」
 静かに酒を嗜むオリヴァーの隣に腰かけたのは【篠村・夜露(しのむら よつゆ)】。
「交ざってはこないので?」
「真ん中に座って他の奴らと話したり食事をするのは好きじゃねえ」
 ニヒルな笑みを浮かべるオリヴァーを、夜露は酒を飲みながら眺める。
「……それ、酒か?」
「酒でござるよ」
 オレンジジュースで何倍にも希釈した酒である。
「申し遅れた。某、ローレライの侍。篠村 夜露と申す。以後お見知りおきを」
 片手を差し出す夜露に、オリヴァーはふん、と鼻で笑い、そっぽを向く。
「お見知りおく気はない」
「そうでござるか」
 無言。
 お互いに何を話すでもなく、ただ酒を飲む音だけが鳴る。
「……某はただ居場所が欲しいだけでござった」
 いきなり語りだす夜露に、オリヴァーは思わず視線を向ける。
 夜露の頬はほんのりと赤い。
 まさか、酔ったのか。
 あのジュースにも近い酒で酔ったのか。
「お、おい……?」
 困惑したオリヴァーの声も気にも留めず、夜露の語りは尚も続く。
「本来は力等どうでも良いのでござるよ。ただ、師匠の元以外に居場所が無かった。某が今力を示す為にこの学舎に来たはいいが、本当はただ居場所に縋りついているだけなのかもしれぬな」
 ぐいーと夜露は手の酒を一気に飲む。
「……酔ったのか」
「酔ってないでござるよー」
 ぐでんぐでんに体を揺らし、その不可思議な動きにオリヴァーはやや引いている。
 と思えば、夜露は三角形に立てた膝に自身の頬を乗せた。
「脆いと笑うなら笑えばいい。そんな事は、某が一番分かっている事でござるからな」
 オリヴァーはしばらくの無言の後、はっ。と鼻で笑う。
「何を笑っているでござるかー」
「笑えと言ったのはそっちだろう」
 ぐでんぐでんに酔っ払い、今にも寝落ちてしまいそうな夜露の横で、オリヴァーはもう一口、酒を煽った。

「誘ってくれたのはうれしいし、実際楽しんでるんじゃがの? 一緒に来る異性とかいなかったのかの?」
 【ヒュドール】と食事を取っていたサクラは、にやにやと揶揄いを含んだ笑みで彼女に問いかける。
「へ?! 異性?! いないいない、いないよ?」
 サクラの揶揄いに、ヒュドールは途端慌て出す。
 頬がほんのりと染まっているのは、酒の酔いだけではなさそうだ。
 にまにま笑むサクラは、フォークに刺した肉を頬張り、飲み込む。
「ま、いいんじゃがの」
 すっくと立ち上がったサクラは、傍に寝かせていた番傘を手に取る。
「この宴に招かれたお礼に踊りを披露するのも一興じゃ」
 鳴らされる音楽は、来た時よりもずっと盛り上がっている。
「使う音楽は違うが、まあ、問題ないじゃろ」
 ぱぱっ。
 広げる傘は見事な桜吹雪。
 肩にかけ、ちらりとヒュドールへ振り返る。
「見るも見ないも人次第、まぁ、わっちの自己満足じゃな」
 たたん、軽やかにつま先でターンを決め、サクラは妖艶に笑った。
「ご覧あれ」

 ひとりで踊り出したサクラを見付けたのはオズワルド。
「おや、ダンスをしている方がいらっしゃいますね。……せっかくですし、一緒に踊ってくれませんか、【ハナ】」
 彼は召喚した精霊、ハナに手のひらを差し出す。
 ハナはきゃっきゃと楽しそうにその手を取り、踊り出すように夜光虫の滝へ向かう。
「わっ。……ハナ、速いですよ」
 オズワルドは仕方ないなぁ、と苦笑して、ハナをエスコートする。
 夜光虫の青白い光に照らされ他二人は、楽しそうにくるくる踊る。
 ゆったりと回り回るその姿は、社交ダンスでも見ているかのよう。
 二人は夜光虫の滝を踊りながらぐるりと一周した。

 踊り踊るのは楽しげな表情を浮かべる者たち。
 男も女も関係なく、この宴を楽しんでいる。
 中にはきっと、男なのか女なのかわからない者も紛れているのだろう。
 オレンジジュースをちびちび飲んでいる、ケイ・アカツキもそのひとり。
 ケイは参加しているローレライたちと談笑し、食事を食べ、オレンジジュースを飲んでいただけだった。
 そのはずだった。
「…………ん? いや、女じゃないよ!?」
 叫んだケイの目の前に差し出されるのは、女物の衣装。
 ひらひらふりふり、際どいところがところどころ透けた、可愛らしくもセクシーな踊り子の衣装。
 キラキラ輝いた目でそれを差し出すローレライの女。
 多分彼女は確信犯。
「いいじゃない、一緒に踊りましょうよ」
「性別なんて関係ないわ! 可愛い子は可愛く着飾ってこそ!」
 さあ、さあ、さあ!
「だ、だれかー!」
 ローレライのお姉様方に押し切られたケイは、ケイくんちゃんになってしまうのか!
 なってしまうのだろうな……。
 賑やかな宴、そこでローレライのお姉様方と踊ることができたケイには、きっと幸せが来るはずだ。多分。
 
「わたくしの使命は、勇者さまに村の名前をお伝えすることですわ! でもでも、その時はただ名前を言うだけじゃなくて、村の特徴を簡潔に説明したり、名所を紹介したりもできなければなりませんわ! ですので……この宴のすばらしいところをたくさん見つけて、いつでもご案内できるようになりたいですわ!」
 意気込みを通りすがったローレライのひとりに語り、温かい目で頭を撫でられたアリアは、行われている踊りの由来を聞いていた。
 意外にも詳細に語られる由来に、アリアの目は輝きっぱなしだった。
「では、この素晴らしい踊りの由来、きちんと広めて参りますわ!」
 駆け出したアリアの狙いは、ひとりでお酒を飲んでいるシィーラ。
「あら、どうしたの?」
 ほんのりと赤い顔で、シィーラはアリアを手招きする。
「はい! わたくし、この宴の踊りについて広めようと思っておりますの!」
 ふんすふんす。
 意気込むアリアに、シィーラは優しい笑みで頭を撫でる。
「あらあらそうなの。この踊りにはどういった意味があるのかしら?」
「はい! 昔、この宴がまだ少人数で行われていた頃の話ですわ!」
 ちょこんと隣に腰掛けるアリアの話を、シィーラは聞く。
「とある男女のカップルがいたそうですの。そのカップルは、夜光虫のランタンの前でプロポーズをし、受け取ったそうですわ。カップルのお二人は、嬉しくてその場で踊ったことが、この踊りの始まりになっているのです!」
 ですよね? とちらちら背後を確認するアリア。
 そこには、伝承を教えてくれたローレライが親指を立ててにっこりと微笑んでいた。
 合っていたことに安堵したアリアは、ですので! と続ける。
「以降、この宴で仲良しさんたちと踊ると幸せになれるというジンクスが広まったのですわ!」
 ご静聴、ありがとうございました! と頬を興奮で赤くしたアリアに、シィーラはパチパチと拍手を送る。
「ステキなジンクスだったのね。なら、その幸せを掴みに行かないと」
「そうですわ! では、行って参ります!」
 アリアは足早に夜光虫の滝へ向かう。
 見送ったシィーラの目の前に、アリアが伝承を聞いたローレライがやってくる。
「あなたは踊らないの?」
「あらジンクスのことを言っているの? 参加しないわよ。『幸せ』の定義が分からないからね」
「そう?」
 シィーラはくるくると楽しげに、ローレライたちに踊ってもらっているアリアを見る。
「それに、見ているだけでも楽しいわ」
 隣のローレライはそうね。と同意した。

「……なるほど、ローレライの中ではそういう服飾が流行っているのね」
「そうですね。着やすいんですよ」
 踊る人たちで賑わう夜光虫の滝、その傍ら。
 シルクはローレライの男女に囲まれながら、服飾談議に盛り上がっていた。
 その中のひとり、恐らく同年代と思われる男性のローレライは、物腰穏やかにシルクの質問に答えている。
「ありがとう。とても興味深かったわ」
「こちらこそ。エリアルの装飾品を知ることができて、とても有意義な時間でした」
 男性と握手を交わしたシルクは、さて。と立ち上がる。
「とても楽しいお話をありがとう。お返しと言っては何だけど、エリアルの踊りを披露させて」
 彼女の言葉に反応した男性は立ち上がり、視線を合わせるために少し屈む。
「それ、僕も一緒に踊ってもいいですか?」
 シルクは快諾する。
「それじゃあ、踊り方を教えるわ。あっちに行きましょう」
 シルクは男性の手を引いて、夜光虫の輝く滝へ足早に駆けていった。

 踊り疲れた人たちがひとり、またひとりと座り込んでいくタイミングを見計らい、あれだけ賑やかだった音楽は徐々に小さくなっていく。
 やがて掻き消えた音楽。
 音楽が消えたタイミングと共に、水面に漂うランタンのひとつひとつが参加者に渡されていく。
 オズワルドにもランタンは渡された。
 簡易的な留め具のついた、夜光虫の閉じ込められているランタン。
「そういえば夜光虫に願いを乗せると叶うと言われていましたね」
 オズワルドは留め具を外した。
「そうですね、僕の願いは……」
 夜光虫が水面へ浮かび上がる。
 オズワルドはふわりと浮かぶ夜光虫に、そっと願いを乗せた。
「このまま、平和に幸せに過ごせますように」

「今日は、ありがとう。これ、お礼になればいいのだけれど」
 シルクは踊りに付き合ってくれたローレライの男性に、自身が作ったハンカチを渡す。
 装飾品に興味を持っていた男性は、それをとても喜ぶ。
「充分にお礼になります。……ああ、そうだ」
 男性は自分のハンカチを手渡す。
 まだ使われていない、洗剤の匂いがするハンカチ。
 『M・J』と刺繍のされたハンカチを、シルクはそっと受け取った。
 その時、夜光虫の滝で青白く照らされていた顔が、一層白く輝く。
「ああ、そろそろお開きですね」
 男性は眩しそうに目を細める。
 シルクは幻想的な景色に目を奪われる。
「綺麗」
 夜光虫が水面へと昇っていく景色は、さながら空に数多と輝く星々の煌めき。
 そこは夜の星空だった。
「……なにか、願い事はありますか?」
 手渡されたランタン。
 ランタンの蓋をいじりながら、シルクは水面を見上げる。
「この美しさを描いてみたい。ううん、きっと」
 最高の武具職人になる。
 いつかは、この幻想的な光景を衣装の中に込めてみせる。
 決意を新たに、シルクはランタンの蓋を開けた。

「……綺麗なもんじゃの」
 サクラはあちこちから立ち上る夜光虫の筋を見て、感嘆のため息を吐く。
 踊りに使っていた傘は畳まれ、夜光虫の青白い光に照らされる。
「願い事か……。そうじゃな」
 サクラはぱかりと蓋を開ける。
「願わくは今の楽しい生活が続くことを」
 青白い光を顔に浴び、水面を見上げていると、サクラの足元で呻き声のようなものが聞こえた。
「ん?」
 見下ろすと、夜露が大の字になって寝転んでいた。
「おーい、酔っ払っているんか?」
 サクラが声をかけてもむにゃむにゃと幸せそうな寝言を吐き出すだけ。
「しょうがないのう」
 サクラはよっこらせ、と夜露に肩を貸す。
「手伝うよ」
「お手伝いいたしますわ!」
 ぷるぷると脚を震えさせながらなんとか支えようと苦労しているところに、ケイとアリアが手を貸す。
「助かるのじゃ。女三人、頑張って運ぼうかの」
 はい! と元気よく返事をするアリアの傍ら。
 ケイはサクラの言葉に首を傾げ、自身の服を見る。
 まだ踊り子姿のままだ。
 そして。
「お、俺は女じゃない!」
 ケイの叫びは夜光虫に乗せて水面へと消えていった。

 喧騒から外れたなだらかな砂の丘。
 オリヴァーはランタンを目の前に掲げる。
「そういえば、さっきランタンを渡されたが……」

 喧騒から外れたなだらかな砂の丘。
 シィーラはランタン膝の上で抱える。
「さっきランタンを渡されたけれど……」

 手の上で光を放つ夜光虫を見て、オリヴァーは嘲るように笑う。
「ハッ、こんなちっぽけな虫けらに願いを乗せるなんて変な奴らだな」

 手の上で光を放つ夜光虫を見て、シィーラは慈しむように笑う。
「小さな虫でも、願いを乗せるなんて素敵ね」

 願いを乗せて空に飛ばすとか。
 オリヴァーはランタンを放り投げる。
「本当に叶うなら、叶えてみせろよ夜光虫」

 願いを乗せて空に飛ばすなんて。
 シィーラはランタンの蓋を開ける。
「お願い事は決まっていないけれど」

 ……俺の願いはただ一つ。
 がしゃんと地に落ちたランタンにひびが入る。
 
 でも、とりあえず祈っておくわ。
 空いた蓋から、夜光虫が立ち昇る。

「みんなのお願いが叶いますように」
 シィーラは水面に祈りを込める。

「俺の復讐を果たす」
 オリヴァーは水面を睨みつけた。

 賑やかな喧騒も、誰かの涙も。
 輝かんばかりの希望も、墨を落とした真っ黒な願いも。
 夜光虫は変わらず運ぶ。
 夜光虫の青白い光は、水底を照らし続けた。



課題評価
課題経験:44
課題報酬:1360
【夏コレ!】ローレライの宴
執筆:宇波 GM


《【夏コレ!】ローレライの宴》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《新入生》 篠村・夜露 (No 1) 2019-07-03 22:16:14
お初お目にかかる。

武神・無双コース所属のローレライ。

姓を篠村(しのむら)名を夜露(よつゆ)と申す。

ローレライの宴…酒を飲んで静かに話を聞こうかと思っていた。
某は若輩者故、対した話も出来ぬかもしれぬが。
参加する方々は宜しくお願いするでござる。

《ゆう×ドラ》 シルク・ブラスリップ (No 2) 2019-07-03 22:57:50
村人・従者コースのシルクよ、よろしくー。
あたしはローレライの宴に参加してお話を聞いてみようかしら?
あのランタンの光のような衣装を作れたら素敵よね。