;
はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



絞込
ジャンル 難易度 GM メモピン
キーワード検索

2020年ハロウィンの乱 鶴野あきはる GM
1500

ジャンル 推理

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 通常

公開日 2020-10-27

予約期間 開始 2020-10-28 00:00
締切 2020-10-29 23:59

出発日 2020-11-04

完成予定 2020-11-14

参加人数 0 / 8
 ハロウィン。  それは、この地域ではとある古代人を起源とし、秋の終わりと冬の訪れを祝う前夜祭。  祭司たちが篝火を焚き、作物と動物を捧げ、火の周りを踊り、太陽の季節が過ぎ去り暗闇の季節が始まるのを祝うのだ。そう、それはさながら生贄を捧げる儀式――。 「トリック・オア・トリィイイイイイイイイイイーーーーート!」  しかし、そんな歴史ある由緒ある祭りを口実に、玄関先に『恐ろしいもの』除けであるジャック・オー・ランタンというカボチャでできたランプを飾り、『恐ろしいもの』の仮装を楽しみ、菓子の争奪戦を行うハロウィンの乱が、今ここに勃発しようとしていた。 ●菓子をよこせ!  儀式や習慣というものは、時代が進むにつれてイベント化されるというのが世の常である。  それがここ、魔法学園フトゥールム・スクエアとなれば、尚更だ。  マントをかぶるだけなど、生温い。プロのデザイナーもビックリな本気衣装。己の種族特性をフル活用した、もしかしたらこの日の衣装が正装なのではないかという仮装。基本的には『恐ろしい』と思われているものが選ばれるハロウィンの仮装だが、現在ではステレオタイプ化された登場人物や物語の敵役、果ては『可愛いから』という理由だけで選ばれる衣装など、そもそも本来の意味合いである『恐ろしい仮装』というより、コスプレ大会のような体をなしている。  そんな(そう、あえて『そんな』と表現しよう)『恐ろしい』仮装をした者たちは、『トリック・オア・トリート!』と叫びながら、菓子を強奪していく。本来は子どもたちが家々を周り、『御馳走をくれないと、悪戯しちゃうぞ!』という可愛らしい酒宴の習慣に似た慣しだった。それがいつの間にかイイ歳した大人たちが目の色を変えて菓子屋の菓子という菓子を買い占め、菓子業界の売り上げに貢献するようになった。  つまり、そう――祭りという名の、あらゆる菓子職人たちが腕を振るうスイーツ祭りである!  約1.6kmに渡り、菓子業界という菓子業界が、この日のためだけに作ったスイーツが列をなし、売り上げを競う。今年も気合を入れているのは、フルーツの最高峰・千箱屋か!? はたまたチョコレート菓子で不動の人気を誇るゴテンヴァーか!?  飛び入り参加も認められているこの菓子ロードは、今年もアツイ戦いを繰り広げる。 ●悪戯しちゃうぞ! 「クックック、貴様にこのリンゴが取れるかな!?」 「何おう、取らいでか!」  菓子ロードの他にも、ハロウィンは余興でいっぱいである。  その中の一つが、『ダック・アップル』と呼ばれるリンゴ食い競争だ。大きめのタライの中に浮かべた丸々1つのリンゴを、手を使わずに口でくわえ取るという、非常にシンプルな遊びだ。1回目で成功した参加者には、美味しいアップルパイが待っているとかいないとか!? 1回目を失敗した参加者には、身の毛もよだつ罰が待っているとかいないとか!? その後、姿を見た者はいるとかいないとか!? 「さぁ、寄ってらっしゃい! 見てらっしゃい! 『スナップ・ドラゴン』に挑戦しようぜ!」  別の場所では、皿が燃えていた。正確には、皿に盛った干しぶどうにブランデーを振りかけて火をつけているのである。そこから火が消えるまで干しぶどうを素手でつまみ取るという『スナップ・ドラゴン』という遊びだ。ブランデーをかけた干しぶどうは、青い炎で皿を照らす。少し幻想的に見えなくもない、ちょっとした度胸試しのような、大人の火遊びである!  他にも、ハロウィンに因んだゾンビ仮装の行列や、火を掲げた野外ステージでの歌や踊り、人形劇、墓地を描いたベニヤ板の前で記念撮影など、夜明けまで楽しめるイベントが満載だ。  もちろん、中にはお化け屋敷なるものまである。おどかし、脅かされ、目を回し、救護される吸血鬼がいたとかいないとか? 「ハメを外しすぎないようにな……」  素でハロウィンな漆黒のドラゴニア【エイデン・ハワード】も、菓子ロードでの戦利品を片手に、ハロウィンなる祭りを楽しんでいるようである。 ●夜明けの花火 「よーし、こんなもんか?」 「明るいうちに終わってよかったな」  ハロウィンの翌朝、つまり暗闇の季節の始まりとして、この祭りの締めには花火が打ち上げられることになっていた。夜通し行われる祭りで悪霊たちも追い払われるのだが、祭りの最後は花火と相場が決まっている。この日のために、花火職人たちも気合を入れて作ってきた。  魔法で打ち上げられる物もあるのだが、やはり伝統ある花火も捨てがたい。そういうわけで、約300発もの打ち上げ花火が用意されていた。  魔法のものはともかく、伝統ある点火装置による花火を住宅街のど真ん中から打ち上げるわけにはいかない。うっかりすれば、大惨事になるからだ。 「さて、あとは夜明けを待つばかりだなー」 「祭り参加したかったな。見張ってなきゃいけねーもん」 「大トリ任されてるんだ、ぶつくさ言うなって。それに、花火は火薬の塊なんだから」 「わぁかってるよ……あれ?」 「どうし……え?」  二人の視線がある一つの装置に注がれる。  それは花火の最後を飾る大玉『昇り曲付変化牡丹』があるはずの場所だった。 「嘘だろ……20号の花火は70kgあるのに!」  誰がどうやったのか。  そこにはあるはずの大玉花火はなく、嘲笑うような巨大な岩が鎮座していた。  ――Trick or Dead. 悪魔に平伏し、生贄を捧げ、祝いを述べよ。 ニルロド 「運営委員に報告だ! あんなのが街中で爆発したら……!」  花火職人たちは蒼白になる。  誰よりもその危険性を知るからこそ、彼らの動きは素早かった。 「誰か……!」  ハロウィンの長い長い夜が始まる。
闘え!! 木人拳 正木 猫弥 GM
1000

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-10-23

予約期間 開始 2020-10-24 00:00
締切 2020-10-25 23:59

出発日 2020-10-31

完成予定 2020-11-10

参加人数 2 / 8
「木人10号、起動確認」 「よし、成功だ!」  祭壇に鎮座している木像の瞳に赤い光が点ると、その場にいた人々の間で歓声が上がった。  村人の1人が、用意した水晶玉に両手を乗せて念を込める。すると、デッサン人形のような見た目のその木像は、人が入っているかのような軽快な動きを見せ始めた。 「村長、これで一安心ですね」 「うむ。10体もの『木人』がこうして動いてくれるのは、皆がきちんと祭壇を管理してくれたおかげじゃな。礼を言うぞ」  長い髭をしごきながら、村長の老人が村人達をねぎらう。  ここは『アルマレス山』の麓にある集落の1つ、木こりと木工職人の村『ドレスト』。高級ハチミツで名高い隣村の『ハニーコーム』に比べ、村人達の暮らしぶりはごく慎ましい。  しかし、地味で目立たないドレストの村が、10年に1度だけ大きな注目を集める日がある。  ハニーコームとは反対側の隣村、『ルガルク』と共同で開催する伝統行事『木人武闘会』。世にも珍しい『ウッドゴーレム同士の殴り合い』を一目見ようと、各地から多くの人が押し寄せてくるのだ。 「前回は不幸な事故があったからのう。今回はそんな事のないよう、ルガルクとよく打ち合わせをして――」 「事故だと? よく言うぜ。あれはお前らが仕組んだ事だろうが」  村長の言葉を遮り、祭祀場に乱入してきた若い男。それは、話に出たばかりのルガルク村の村長であった。 「……お主、なぜこんな所で油を売っておる?」  ドレストとルガルク、2つの村の村長が対峙する。村の規模も生業もほぼ同じである両村は、長年に渡るライバル同士の関係にある。 「けっ、相変わらず気に食わない連中だ。この俺自ら、わざわざ報告に来てやったのによ」  口の端を歪めながら、ルガルクの村長が言葉を吐き捨てる。 「報告じゃと?」 「ああ。耳の穴かっぽじってよく聞けよ。俺達ルガルクは、木人武闘会に生身で1名出場させる事にした。……おい、入っていいぞ!」  ルガルクの村長に促され、1人の巨漢がのっそりと祭祀場の入り口をくぐり抜けた。天井に頭をつきそうなその大男には、強面の人相も相まって凄まじい威圧感がある。 「な、何じゃその男は?」 「傭兵の町『バルバグラード』から腕利きを1人雇った。当日はこいつに武闘会に出てもらう。お前達のせいで動かなくなった、うちの木人の代わりにな」 「お、お主。一体何を考えておるのじゃ……?」 「そんなの決まってるだろ? 俺も木人武闘会を盛り上げたいんだよ。ただ……前みたいな事故は起こるかもなあ?」 「ま、待つのじゃ!」  制止も虚しく、大男を引き連れたルガルクの村長は、高笑いを響かせながら祭祀場を立ち去るのだった。 ◆ 「――今からおよそ200年前。アルマレス山の麓に、ゴーレムの研究ばかりを行う変わり者の魔術師がいた。彼がドレスト・ルガルク両村に10体ずつ授けたのが、『木人』と呼ばれるウッドゴーレムだ。伝承によると、この2つの村の間でもめ事が起こると、人の代わりに木人を戦わせて解決を図ったのだという」  魔法学園『フトゥールム・スクエア』の教師が語るのは、奇妙なゴーレムが織りなす2つの村の歴史であった。 「はっきり言って、そのゴーレムに実用性はほとんどない。数日動かすのに森の精気を10年間も充填しなくてはならない上、出せる力はせいぜい一般人と同じ程度だからな」  それでも、魔法適性のない者が木人を操作できるよう、水晶玉に特殊な処理を施した魔術師の技量には目を見張るものがある。  その魔術師が亡くなった後も、2つの村の人々は木人を大切に守り続けてきた。  10年に1度しか使えないものを、実際の紛争解決に使うのは難しい。代わりの利用法として考え出されたのが、村対抗で木人達を戦わせる『木人武闘会』だったのだ。 「競技として木人達を戦わせる事が、一種のガス抜きになったのだろうな。両村は長年深刻な対立をせずに済んだのだが、前回の武闘会で事件が起こった」  木人は頭・胴体・右腕・左腕・両脚の5つのパーツに分類される。その中で、頭だけは替えが効かないのだという。 「詳しい経緯は不明だが、ドレスト側の木人が放った突きが頭部を直撃し、ルガルクの木人の1体が故障してしまったらしい。当然、その木人を操作していた村長の息子は抗議をしたが、トラブルを恐れた当時のルガルク村長は、それ以上の追及を許さなかった」  その時はそれで収まったものの、最近ルガルクの村長が代替わりした事で状況は変わった。 「……今のルガルク村長は、木人を操っていたその息子だ。10年も前の事なのに、まだしつこく根に持っているらしい」  執念深いルガルクの現村長は、動かなくなった木人の代わりに傭兵まで雇い、復讐を果たそうとしている。 「ルガルクの村人達はともかく、村長の木人とその傭兵がラフプレーを行ってくる可能性は高い。状況がさらに悪化すれば、2つの村の全面衝突は避けられなくなるだろう。お前達は木人武闘会にドレスト側の選手として参加し、両村の木人を何としても守り通してくれ。木人を操るか、それとも生身で戦うか。それは各人に任せる。頼んだぞ」  今は悪意を向けられているとはいえ、これ以上ルガルクの木人が故障するような事態は避けたい。それがドレスト村の総意であった。  長い話を終えたその教師は、疲れた表情を浮かべながらも鋭い視線を学生達に向けるのだった。
ハロウィンナイトは夜明けまで 笹山ぱんだ GM
1000

ジャンル ハートフル

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 少し

公開日 2020-10-22

予約期間 開始 2020-10-23 00:00
締切 2020-10-24 23:59

出発日 2020-10-31

完成予定 2020-11-10

参加人数 0 / 8
●ハロウィンの準備  それはフトゥールム・スクエアにほど近い村のお祭りの話だった。  秋の収穫を祝い、冬のはじまりにやってくる魔物や悪霊を追い払うための行事、それが収穫祭、ハロウィンだ。  起源は昔に遡り、色々あったようだ。だが今は子供たちが魔物の仮装し、近隣の家を巡る。その子供たちにお菓子とハロウィンメダルを渡す、という儀式が行われている。今年もまた、その収穫祭が行われるのだ。  今回フトゥールム・スクエアに話を通してきたのはとある村の村長だ。秋を彩る収穫祭。それを手伝う村人が今年 は少ないのだ、という。この村も過疎化が進み、高齢の村人の数の方が多くなってきたのだ。  そこで村長はフトゥールム・スクエアの学生たちへ頼んだのだ。 「……よければ収穫祭の手伝いをしてくれないでしょうか」  そしてその夜の収穫祭。楽しいお祭りが始まる。大人も子供も老人も、楽しく収穫祭の夜を過ごす。それがこの村の風習だ。  この村では村人たちは全員仮装し、騒ぎ賑やかにお菓子とハロウィンメダルを配り歩くのだ。  お祭りの準備をした学生たちもこのお祭りに参加して良いらしい。  その村『ヘーロウ村』は主に農作物を育て生計を立てている村人が多い農村だ。  村人たちはそれぞれの家で育った農作物を削り顔を作る。細かい作業は集中力が入り、これにも手伝いが必要なのだ。  祭りの食べ物も用意が必要だ。この村で採れた南瓜のコロッケはとても美味しいのだとか。他にもたくさんの料理を作り、村人全員で食べるのが風習らしい。  村の飾りつけも大事な仕事の一つだろう。お祭りらしい派手な飾りは場を盛り上げてくれる。学生たちの若き感性も村人たちは歓迎してくれるだろう。  それが終われば夜となり、収穫祭の始まりだ。  各々好きな仮装に身を包み、お祭りを楽しむのだ。美味しい料理を食べてもよし、他の誰かと呑み明かして(未成年はジュース)も良し。  勿論村人たちもお菓子やハロウィンメダルを用意しているので話しかけお菓子とハロウィンメダルをもらってもいい。合言葉は『トリックオアトリート』だ。  お菓子がいい? それともいたずら? 悪戯はしてもいいが……、人を傷つける行為は止めた方がいいだろう。  ヘーロウ村の収穫祭は一晩中行われる。楽しく過ごすのが一番だ。
contraband 桂木京介 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 通常

公開日 2020-10-21

予約期間 開始 2020-10-22 00:00
締切 2020-10-23 23:59

出発日 2020-10-28

完成予定 2020-11-07

参加人数 6 / 8
 木の根にでも乗り上げたか、馬車は縦に大きく跳ねた。  幌車の内も無事では済まない。積み上げられた木箱がかしぎ、ひとつが【ルガル・ラッセル】の足元に落ちている。  この世のあらゆるものを罵る言葉を短くつぶやくと、ルガルは額の脂汗をぬぐった。  ますます効きが悪くなってきやがった。  少しでも気を抜けば一気に戻ってしまいそうだ。  ――獣(けだもの)の姿に。  手を伸ばせば届く場所に例の仮面はある。白く、穏やかな表情をした聖女をかたどったものだ。あれを顔につけ数呼吸もすればたちまち、この苦しみから解放されることをルガルは知っている。  だが仮面に頼りたくはなかった。  かつて仮面の効果は高く、一度かぶれば数日は穏やかな気持ちでいられた。なのに現在ではもって半日、下手をすれば数時間せぬうちに新たな発作が襲ってくる。  少しずつ、少しずつ仮面に異存せざるを得なくなっているのだ。  待ち構えている運命はおそらく二つしかない。  獣か。  隷従か。  燃えさかる石炭の上を素足で歩くがごとく、破壊衝動に灼かれつづける獣人に逆戻りするか。  人の姿ではあれど仮面――それはとりもなおさず仮面の作り手【ナソーグ・ペルジ】とイコールである――に隷従するか。  いずれかを選ぶしかないのだろう。  吐き気を抑えるようにしてこらえる。仮面に伸びそうになる右手首を左手でつかむ。汗がしたたり落ちた。いましばらくだ。いましばらくこらえれば衝動は消える、そう信じながら。 「ルガル」  音もなく幌をめくり、小男が馬車に這い入ってきた。  御者台から器用につたってきたようだがルガルはとくに何も言わない。 「顔色が悪いな。大丈夫か」 「……じき収まる」 「そうは言われてもな」  小男は片目をすがめた。  小男はヒューマンだ。中年というより初老、頭はまことに髪が少なく山芋のようにこぶだらけ、目ばかりぎょろついていて歯並びもひどい。ずいぶんな悪相だ。着ているものも麻の粗衣で風体のあがらぬことこのうえなかった。しかしどことなく愛嬌があるのも事実だった。 「肝心なところで役に立たないようじゃ困るぜ」   男――【アーチー・ゲム】は言うも、ルガルは無造作に手を振る。 「給金に見合う働きはする」  ようやく発作が鎮まりはじめた。ごろりと横たわってつづけた。 「蛟(ミズチ)が数体と言ったな。その程度なら案ずるには及ばん」 「けどよ……」  不審顔のゲムを片手を挙げて制し、ルガルは言った。 「ずいぶんあるな」  背後の木箱を眼で示す。ぎっしりと積み上げられたものだ。これを輸送することが旅の目的である。 「中身は薬草だぜ」 「よく言うぜこの悪党が」  苦み走っていたルガルの顔に皮肉な笑みが浮かんだ。 「ただの薬草運びにこんな危ねぇルートを使うやつがいるかよ。しかも俺みたいな男を用心棒に雇って」  禁制品だろうが、と断じるもそれ以上ルガルは追求しなかった。破格の報奨金に口止め料も含まれていることは百も承知だ。 「悪党? 俺は商人、求められて荷を運んでるだけだ。需要あるところに供給ありさね」  ゲムもクックと喉の奥で笑って、 「それに薬草って言ったのはある意味嘘じゃない。常用性はねぇが痛みや憂さを晴らしてくれる。どうだルガル先生よ、ご所望ならひとつ、格安で譲ってもいいが」 「いらん」 「病気なんだろ? 少しはマシにしてくれるぜ」 「俺の『病気』には効かねえ」  そんなものでごまかせるのであれば苦労しねーよ、と言いながら無意識のうちに、枕代わりにしているザックに手が伸びている自分にルガルは気付いた。  舌打ちして手を引っ込める。  仮面を取り出そうとしていたのだ。  またひとつ、大きく馬車が跳ねた。  しかも斜めに傾いて制止する。 「ちっ……!」  なんだ、と立ち上がろうとしたゲムにルガルは鋭い一瞥をくれた。  人差し指を立て唇に当てる。 「父様(とうさま)!」  ばっと幌がはためき少女が飛び込んできた。剽悍(ひょうかん)と表現したくなる鋭い目つきに赤い髪、よく日焼けしている。右手には弓、背に矢筒があった。 「罠です。車輪が沼に……包囲されています!」 「包囲!?」  娘を押しのけてゲムは幌をはね上げて首を突き出し、すぐに首を戻した。 「マジかよ……やつら、待ち伏せしてやがった」  おい、とゲムが目を向けたときにはすでに、ルガルは片膝立ちの姿勢となっていた。腰の剣も払っている。 「ゲム、てめぇ言ったよな。蛟が出る地域をかすめるかも、って。……なにがかすめるだ馬鹿野郎! 生息地のど真ん中じゃねーか!」 「早く着くにはこれしかなかった」  ゲムは蒼白だ。ルガルは返事を待たずゲムの娘に言った。 「小娘、やつらは何匹だ」 「小娘ではない。あたしには【ヒノエ】って名がある」 「うるせぇ! 何匹だ!」 「三十……はいる。もっとかも」  蛟(ミズチ)は爬虫類から派生したと思しきモンスターだ。顔はトカゲそのもので鱗に覆われ、鋭い牙、そして長い爪を有する。沼沢部に生息し二足歩行し身長は150センチ程度、黒ずんだ灰色でずんぐりとしており、亀のような甲羅を背負っている。  ゴブリンよりは知性があるがコミュニケーションを取るのは不可能に近く、性質はきわめて残忍とされている。  五、六体の小規模集団で行動するのが常だというが、今回ばかりは例外のようだ。複数の部隊が待つところに飛び込んだだけかもしれないが。  ひゅ、と音がして馬車の車体に何かが突き立った。矢だ。 「相手が多すぎる。しかも馬車は動かねぇと来たか」  厄日だな、とつぶやいてルガルは幌に手を掛けた。 「娘、てめえはオヤジを守れ。俺が突破口を切りひらく。そこを抜けて走るんだ」 「積み荷は」  ゲムが口を挟んだ。ルガルは即答する。 「あきらめるんだな」 「やつらを追い払おう! あたしも戦える!」  ヒノエが意気込むもルガルは大喝した。 「くたばる気か! 相手の数を考えろ!」  わかったな! と言って車外へ飛び出さんとしたルガルだが、幌から半身を出したところで身を強張らせた。  ミズチたちが動揺している。一角では戦闘が始まっていた。  見覚えのある制服姿。きらめく刃と魔法。 「フトゥールム・スクエアかよ……積み荷を追ってきたのか」  疫病神め、とルガルは毒づくとゲムに顔を向けた。 「雇い主はお前だ。選べ」 「選べ?」  そうだ、とルガルは言った。 「先に蛟を始末するか、亀どもに乗じてフトゥールム・スクエアを始末するか」
メメル先生のブートキャンプ初級編 こんごう GM
1000

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-10-20

予約期間 開始 2020-10-21 00:00
締切 2020-10-22 23:59

出発日 2020-10-29

完成予定 2020-11-08

参加人数 0 / 8
 学園の憩いの場――広場。  午後のうららかな日、学生達は思い思いに余暇を過ごしていた。  友人同士でおしゃべりに興じる者、木蔭で読書にふける者、講義の予習にいそしむ者、過ごし方は様々だ。  そんな学生達の穏やかな時間は、何の前触れもなく、唐突にぶち壊された。 「チミたち、最近弛んでるんじゃないかね~?」  突然姿を現した学園長【メメ・メメル】は、何の脈絡もなくそうのたまった。  喧騒がピタリと止み、学生達の視線がメメルに集中する。 「チミたちは、最近弛んでおるんじゃあないかね~?」  彼女は同じセリフを繰り返すと、学生一人一人の顔を見つめるようにして見渡した。 「平和は良い。尊いものだ。だが、考えてもみたまえ。今の平和は、先人達の血と汗と涙と努力の結晶で成り立っておるのだ。チミたち自身の手で勝ち取ったものではない! 平和は尊ぶべきだが、それに胡坐をかいて日々の鍛錬を怠ることなどあってはならない! 先人達から受け継がれた平和は、チミたち次世代の若人が守り抜く義務があるのだー!」  突如として大演説をぶちかまし始めたメメルは、身振り手振りを交えつつ、偉そうな説教を長々と語りはじめた。  呆気にとられつつも、学園長の演説に耳を傾けているのは、入学したばかりの新入生達だ。  しかし、学園長の人となりを少なからず知っている2年生以上の在校生達は、彼女が自分の演説に酔っている間に、面倒事は御免とばかりに、そそくさと立ち去る準備を始める。 「……というわけで、最近平和ボケしているチミたちに、このおれさまが、直々に特訓カリキュラムを用意したのだー!」  早口でそう捲くし立てると、一仕事やり終えたみたいな満足感で、胸をそらしてあたりを睥睨する。  睥睨と言っても、学生の大半はメメルより身長が高いので、どちらかというと、見上げるような感じではあったが。 「さあ、全員今すぐ校庭に向かうのだ! ちんたら歩いてるんじゃあないっ! 3歩以上は駆け足だ! そらいけー!」  有無を言わさぬメメルの迫力に押され、新入生と運悪く逃げ遅れた在校生達は、追い立てられるようにして校庭へと向かった。  抵抗も逃走もかなわず、校庭に連行されてきた運の悪い学生達。  筋トレでもやらされるのかと思っていた彼らの予想は、完全に裏切られた。  校庭のど真ん中には、プレハブ小屋というかユニットハウスというか、そんなかんじの、積み木でも積み上げたかのような建造物が出来上がっていたのだ。  いったい、いつの間にこんなものを、校庭なんて目立つ場所にでっち上げたのだろうか。 「これからチミたちには、このおれさま謹製の特設訓練場で戦闘訓練を受けてもらう」  この建物が、その特設訓練場とやらなのだろう。  しかし、なぜよりにもよって、こんなものの中で訓練をする必要があるのだろうか。  学生達の誰もが、そんな疑問を抱いた。 「今回学んでもらうのは、閉所での戦闘訓練だ。勇者の戦場は屋外だけではない。ダンジョンの探索とか、山賊のアジトに潜入して人質を救出するとか、そんな状況もあるだろう!」  したり顔のメメル。  言っていることは間違ってはいない。 「そこで! 狭い場所での戦闘に慣れる意味も含めて、今回の特訓を考案したのだー!」  得意げにメメルは話をつづけた。 「ルールは簡単! この中にチームを組んで入り、どこかの部屋にある宝箱の中身を回収して戻ってくる! それだけなのだー!」  学生達は困惑した。  それだけなのだー、と言われても、室内の構成はもとより、中に潜んでいるのがどんな連中なのかも情報が一切ない。 「心配しなくても大丈夫だ! チミらの実力なら、問題なく倒せるような相手だ! たーだーしー」  メメルは悪戯っぽく笑いながら、人差し指を振った。 「考えなしに突っ込むと、ちょーっと痛い目をみるかもしれんぞー?」  学生達は、ますます困惑した。  正直、さっさとこの場から逃げ出したい気分でいっぱいだった。 「よーし、それじゃあー、最初の突入班は、チミとチミと、それから……」  そんな学生達の心の内を知ってか知らずか、メメルは嬉々として突入チームの編成を始める。 「よーし! では、これよりメメたんのブートキャンプ初級編を始めるぞー!」  初級編? 初級編ってことは何か。中級編や上級編もあるのか。 「第一班突入せよー!」  置いてきぼりの学生達をよそに、メメルのノリノリの号令が校庭にこだました。
ゴブリンを捕まえて―― K GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-10-17

予約期間 開始 2020-10-18 00:00
締切 2020-10-19 23:59

出発日 2020-10-26

完成予定 2020-11-05

参加人数 3 / 8
●赤猫は城にいる。  サーブル城にある客間の一つ。薪がないのに暖炉ではずっと火が燃えている。暖かい。  だから【赤猫】と猫たちは、そこをたまり場にしている。  空ビンが幾つも転がり絨毯は擦り切れ毛だらけシミだらけ。カーテンは千切れてぼろぼろ。壁紙はあちこち剥がれ、腰板も床板もあますことなく引っ掻き傷がついている。部屋に置かれているグランドピアノは、蓋が壊れ鍵盤が陥没し全ての弦が千切れている。表面に施されていた重厚な螺鈿細工もはげちょろになり、見るに堪えぬ有り様。  暖炉の前の長椅子で丸くなっていた赤猫が、体を伸ばし起きてきた。  癖の強い赤毛をかき、緑の目をしばしば瞬き、うああ、とあくびをする。それから周囲を見回し、中身の詰まったビンがないことを確認する。  不満そうにうう、と声を上げ彼女は、客間を出て行く。  それに気づいた何匹かの猫がついていく。ほかの猫たちは暖かさの中にまどろみ続けている。 ●人間たちの話。  シュターニャ。  ビジネスタウンの一角にある高層建築――各地で観光業を展開している『ホテル・ボルジア』の本社だ。  社長室には社長の【セム】がいる。これは珍しいことだ。不在社長と呼ばれるほど、現地視察を好む人だから。  椅子に腰掛け書類を見る彼女の肩越しに【ラインフラウ】が顔を出している。  ローレライの露を含んだ青い髪が、ヒューマンの乾いた灰色の髪へ、絡み付くように覆いかぶさる。 「学園から、例の遺品の鑑定結果の連絡が来たのね」 「ええ、やはりノア一族のものらしいとのことです。鎧も、宝飾品も、たやすく壊せる代物ではないそうですよ。魔法の強化処理が施してあるそうでね。こういうことは、あなたの方が詳しいと思いますが」 「そうね。あれを壊せるとしたら、それは普通の人間じゃない。そして、普通の魔物でもない」 「じゃあ、シャパリュがしたということですね?」 「証拠はないけどその可能性は高いわ。気になる? セム」 「なりますとも。あの城に眠っている貴重品は、他にもまだたくさんあるはずです。それが軒並みあんなざまにされでもしたら、目も当てられない――ラインフラウ、聞きたいことがあるんですけどね」 「何かしら」 「魔物というのは、生物というカテゴリーに入るということで間違いないですか?」 「そうねえ……少なくとも血肉のあるものについては、そういう理解でいいと思うけど」  そこへノックの音が響いた。 「社長、お話が――」 ●猫、お出かけしない。  赤猫は地下の奥深い場所にいた。  数限りない瓶が奥の奥まで並んでいる――ワインセラーだ。 「うふ」  満足げに喉を鳴らした赤猫はそこから、手当たり次第に瓶を引っ張り出し、抱え、客間に戻っていく。台所に入り込んで勝手に持ち出したクリスタルのゴブレットに中身を注ぎ、ぐい飲みする。それから、長椅子の上に放置していた書き付けを眺める。それは、つい最近この城に入り込んできた人間が残していったものだ。  そこには【黒犬】が現在、魔法学園フトゥールム・スクエアの近郊に潜んでいるようだと記してある。 「ふうん、ゆーしゃの学校……ゆーしゃ……」  赤猫は切れ込みのようになるまで両目をすがめた。  彼女は黒犬のことが大嫌いだ。さりとてその動向に対し無関心ではいられない。なぜならその死が自分の死に直結するからだ。 (そもそもあのポンコツが、肝心なところで臆病風をふかすなんてポンコツなことさえしてなきゃあ、あいつらが呪いをかけ終える前にバラバラに出来てたのに)  苛立ち紛れに赤猫は、しゅうっと息を吐いた。怒った猫がそうするように。細かな電流が絨毯を焦がす。長椅子の表面も同じく。  しかし彼女は、すぐさま書き付けが指定する場所に行ってみようとは考えない。感じるのだ、どうやらもう少ししたら、雨が降りそうだということを。  赤猫は猫をベースに作られた魔物なので、濡れるのがすこぶる嫌いなのである。こんな日に遠出する気には、さっぱりなれない。 ●社長、出掛ける。  セムは入ってきた重役から、つい最近底値で買い叩いた土地の整備が中断したとの報告を受けた。  原因はその周辺界隈に、ゴブリンの群れが出没したからだという。  幸いにもその土地はシュターニャに近い。なので、すぐ救援の傭兵が駆けつけてきた。だから深刻な人的被害はなかった。  だが困ったことに追われたゴブリンどもは、『ホテル・ボルジア』の所有地に逃げ込んだ。 「私有地に他人が勝手に踏み込むことは出来ません。なので、立ち入り許可を願いたいと、傭兵側から連絡が来ています。ゴブリンにつきましては、現在周囲を包囲し逃がさないようにしているので――」  そこまで聞いたところで、セムが話を遮った。 「ゴブリンは何匹ぐらい残っています?」 「ええー、と、10~15匹くらいだそうです」  セムは素早く目を動かした。何事か考えているようだった。ほんの少しの間を置いてから重役に、こう言う。 「先方には私が現場に行って許可するまで、そのまま動かないように伝えてください」  その命を受け重役は、退室して行った。  ラインフラウがセムに流し目を送る。 「セム、何かいいこと思いついた?」 「いや、思いついたというか――確認をしたいと思いましてね」 ●三兄弟、初めての実戦。  狼ルネサンス三兄弟、【ガブ】【ガル】【ガオ】は大きな廃屋……廃業して久しい古式旅館の前で、ドラゴニア老教師【ドリャエモン】に文句を垂れていた。 「なあ、なんでさっさと踏み込まねえんだよ」 「ゴブリンどもが逃げちまうぜ」 「ここまで来たなら、一気に片付けねえと」  兄弟たちの鼻息は荒い。それもそのはず、先程まで20人の傭兵たちに交じって首尾よくゴブリンを追い散らしたものだから、気が大きくなっているのだ。  ドリャエモンは彼らをたしなめた。鍛えるのに格好な課題が見つかったので参加させてみたのだが、難易度がいまいち低かったかなと思いつつ。 「ここは私有地だ。許可もなく勝手に入ってはいかん。所有者が来るまで待てい。そして目標から目を離すな。敵はもう後がない。死に物狂いになっておるはず。何をどう仕掛けて来るやもしれんのだぞ」  廃屋の周囲はぐるりと囲まれている。ほとんどがシュターニャの傭兵だが、三兄弟同様課題として討伐に参加してきた学園生徒の姿もある。彼女は何故か、分厚い手袋をはめている。そしてその手の中には、褐色の小瓶がある。  馬車がやってきた。廃屋の前で止まった。セムが中から降りて来る。ラインフラウと、それから数人の傭兵を伴って。  彼女は居並ぶ討伐隊に、こう言った。 「立ち入りを許可します。ただし、ひとつ条件があります。全部とは言いませんので、ゴブリンを2匹か3匹、生かして連れてきてくれませんか? なるべく傷をつけないようにして」  彼女は何故か、分厚い手袋をはめている。そしてその手の中には、褐色の小瓶がある。
そうよ私は蛇使い座のヲンナ 七四六明 GM

ジャンル シリアス

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-10-15

予約期間 開始 2020-10-16 00:00
締切 2020-10-17 23:59

出発日 2020-10-24

完成予定 2020-11-03

参加人数 2 / 8
 魔法学園フトゥールム・スクエア学園長【メメ・メメル】の学園長室が開けられる。  突然の来訪者に驚いたのは最初だけで、入って来た人の顔を見るなり、メメルは嬉しそうに顔を綻ばせた。 「おっすおーっすお疲れさん☆ 景気はどう? ってか、成果はどうだった?」 「相変わらずお元気そうで何よりだわ、学園長。でも三か月間も遠征に行ってた生徒に、もう少し労いの言葉があっても良いんじゃなくて?」  もう、と【紫波・璃桜】(しば りおう)は不満そうに髪を掻き上げ、ソファに深々と腰掛ける。荷物持ちで付き添っている二体のシルキーが、代わりに深々と頭を下げた。 「成果も何も、私怒ってるのよ学園長。私がアジトを突き止めるため長く出ていたって言うのに、こっちの何の関係もないところで、アジトの手掛かりを見つけちゃうだなんて」 「んー、何のことだったかな?」 「アルチェで炸裂の種の密売人を捕まえた時、情報を吐かせたんでしょう? 当人から聞いてるわよ、まったく……」 「あちゃー、バレてたか。さすが、あのお爺ちゃんのお弟子さんだ。一体どこで知ったのやら」 「偶然よ、偶然。奴らのアジトを探してる時に聞いただけ。それに私が今日戻って来たのは、直接文句を言ってやるためだけじゃないわ」 「おぉ! 何かしら情報を掴んでくれたんだねぇ。さすが璃桜たん♪ やる時はや、る、お、と、こ♪」 「生物学的にはね。私はそう、言うなれば蛇使い座のヲンナ……そんなヲンナが手にした情報によると、近々とある盗賊が堂々と店を貸し切って、とあるお店で酒宴を開くそうよ。私としてはそこで、一網打尽にしたいのだけれど……」 「人手の問題ってわけか! 任せろ! すぐ募集してやる!」 「助かります……彼らは例の集会においても、外の警備を任される。彼らを捕まえて、正確な場所はもちろん、作戦当日の防御を薄くしたいの。まぁ、メメ・メメル学園長なら、これくらいの事はすぐ思いついたから、奴らが簡単に手配出来たんでしょうけど?」 「えぇ、どうかなぁ。買い被り過ぎかもしれないぜぇ?」  食えない人ね、と璃桜は立ち上がる。シルキーに剣を渡し、無言で任務の終了を報告した。 「ではメメ・メメル学園長? 人選はお任せします。驟雨(しゅうう)の討伐も大事ですけど、個人的にはこちらを急いで貰いたいわ。せっかく盗賊や山賊、海賊らが一気に集まる機会を見つけ出したのですもの」 「わかってるってぇ♪ もう、璃桜たんってば、そんなに眉間に皺寄せてると、刻まれちまう、ぜ♪」 「刻まれたら、それはお爺ちゃんのせいよ。この世で最も怖いのは、爪を隠せる能ある鷹と、武器を隠せる能ある人、だなんて教え込んでくれたんですからね」 「そういえば君の他のお弟子くんは、最近後輩と仲良くやってるみたいだぜ? 璃桜たんも、ようやく戻ってこれたんだし、後輩と交流でもしたらどうだい☆」 「……失礼したわ」  部屋を出た璃桜は、シルキーから鏡を受け取る。  メメルに言われた眉間の皺が気になって見ると、確かに厳つい皺が年輪として刻まれつつあるように見えた。  ――最近後輩と仲良くやっているみたいだぜ?  仲良くやっているうち、腕が鈍っていなければいいのだが。それとも弟、妹弟子らと仲良くしているその後輩とやらが、自慢の腕前を見せてくれるのか。  さすがに眉間の皺を消してくれるまでではないだろうが――。 「お手並み拝見、と行きましょうかね」  ヲンナの舌が、さながら蛇のうねる二又の舌の如く、唇を啜り舐めた。
温泉シャバダ! ことね桃 GM

ジャンル 日常

タイプ マルチ

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-10-12

予約期間 開始 2020-10-13 00:00
締切 2020-10-14 23:59

出発日 2020-10-20

完成予定 2020-10-30

参加人数 3 / 16
●あらまぁ、びっくり遠足 「お前ら、毎日授業と課題で疲れてンだろ。たまにゃ温泉行こうぜ温泉ー」  武神・無双コースを担当している教師【ペトラ・バラクラヴァ】は学園の昇降口で学生達を集めると偉そうに腰へ筋骨隆々とした手を当てた。 「温泉……ですか? 温泉というとトルミンの?」 「それ以外にどこがあるってんだよ。なんかさぁ、トルミンの温泉周辺に魔物が出たってゆーからまずそいつらブッ倒してさ。で、その後に謝礼として温泉を自由に使ってほしいってさー。アタシも同行するからボランティア兼湯治に行こうぜー」  その提案に学生たちは顔を見合わせた。  魔物といえど千差万別、その辺の森にいるゴブリンのような弱い者ならともかく狂暴極まりない魔物がいるなら危険だ。  そんな彼らに対しペトラは『ははっ』と笑う。 「今回暴れてる奴らはそんなに強かねぇんだと。ただ、数が多いから自警団や傭兵だけだと心もとないってんで手を貸してほしいそうだ。だからまだ戦闘経験の少ない奴らもどんと来いって話になってる」 「……それなら良かった」  ほっとする新入生。そこでペトラは続けて指を3本立て、トルミンの温泉の特徴を紹介を始めた。 「トルミンの魅力、まずひとつめ。トルミンの中心街にほど近い大温泉郷『ギンザーン』の共同露天風呂はなんと混浴。水着着用前提で、集団で入っても問題ないぐらいの広さがある。水着も貸し出しているそうだから気兼ねなく利用してほしいそうだ」 「こ、混浴!?」 「でも変なことは考えんなよ。もし何かあったら監督責任でアタシの拳を飛ばすぜ?」  筋張った拳を力強く突き出すペトラ。  それにぶるりと震えながら学生達は黙って話の続きを聞く。 「で、ふたつめは中温泉郷『ザ・ウォウ』。ここはトルミン中心部から北東に離れた位置にある小規模な温泉郷で、白く濁った泉質が特徴の共同露天風呂がある。湯温がちっとばかり高いから長湯には向かねえが、静かな場所でのんびり休みてえって奴には向いてるかもな」 「なるほど」 「で、問題はみっつめだ。マルカス・デガラス内に秘境温泉地『セミナルーゴ』って地域があるんだが……そこは間欠泉があって熱湯が噴き出すことがあり、慣れていないと危険だ。おまけに魔物も当たり前のように居やがる。だから今回はそこの利用だけは禁止する。セミナルーゴにはギルッチ団の屯所もあることだし、治安維持は奴らに任せた方がいいだろう」  とにもかくにも、今回はトルミン周辺からザ・ウォウまでの魔物を駆逐すれば十分らしい。  ペトラは『ま、そんなに離れたとこに突っ込まなきゃ丁度いい体慣らしと息抜きになんだろ』と不敵に笑うと指の関節をゴキゴキ鳴らした。 ●温泉に着いたら何をしよう?  魔物討伐の課題は思いのほか呆気なく終了した。  それは魔物の多くがさほど強くないものだったのと、学生達に負けるまじと傭兵達が奮起したことも大きな理由である。  いずれにせよ学生達には大きな時間が与えられたわけで。  彼らは『これからどうしよう?』と顔を見合わせた。  トルミンはかつて火山活動のもとで『死した領域』とまであだ名されるほど荒れた地だったという。  しかしある修行中の勇者が温泉を発見、そこで傷を癒したことから今や見事な温泉街として発展していた。  今の学生達の目の前に広がる風景は立ち並ぶ温泉宿や土産屋、その後ろに広がる雄大な山々。  秋色に染まり始めた山の木々は少しだけアンニュイな彩りだが、それもまた美しい。  ……ヴド・ベルゲだけは火山灰の影響で殺風景な山肌を晒しているが、それもこの街ならではの光景だろう。  そんな中でさすがに遠出こそできないが、湯に浸かりながら何か物思いに耽るのはいいことかもしれない。  または親しいひとと言葉を交わし、楽しい時間を過ごすのも。  商店街でまだ見ぬ土産品やグルメを探してみるのも面白そうだ。  ――さて、あなたは帰還までの時間をどうやって過ごされますか?
【体験】メメたん秋の美味祭り 橘真斗 GM

ジャンル イベント

タイプ マルチ

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-10-09

予約期間 開始 2020-10-10 00:00
締切 2020-10-11 23:59

出発日 2020-10-20

完成予定 2020-11-17

参加人数 8 / 16
●食欲の秋  ―フトゥルーム・スクエア中庭― 「いやぁ、すっかり秋だねぇ~」  【メメ・メメル】が中庭の気が紅葉を見せている。 「メメたん先生! こんにちわなの~!」  落ち葉を放棄で集めて掃除をしている【キキ・モンロ】が手を振ってきた。 「掃除にせいをだしていて、えらいねぇ~学生の鏡だよ。うんうん」 「落ち葉を集めて~、これから焼き芋するの~。学園の畑で収穫できたの~」  中庭の中央には気づけば焼き芋を焼くための準備がはじまっている。 「そうだ! このままでは勿体ないよ、キキたん! 新入生の歓迎会として秋の味覚祭りをやろうじゃないか!」 「秋の味覚祭り~? 名前を聞くだけでも美味しそうなの~」  メメル学園長は『いい考えがある』といった顔で、協力者を探しに駆け出すのだった。 ●メメたん秋の美味祭り 「えー、ということで、新入生の歓迎を兼ねての食事会を開くことになったんだよ」  学園長からの指示を受けて【コルネ・ワルフルド】は疲れた様子で返ってきた生徒達に話をしはじめる。 「タイトルは『メメたん秋の美味祭り』ということで、秋の味覚を君たちには取りに行ってきてもらっていたんだ」 「妙な課題だと思ったら……そういう魂胆だったのね」  【アスカ・レイドラゴ】は背中の籠に大量のキノコをもってジトーとした目でコルネを見る。  課題が終わったかと思えば次の課題であるが、せっかくとってきたものなのだから、確かに使わねば損だ。 「疲れているだろうから開催は明日、焼き芋とキノコ鍋の用意はできているけど、他にふるまいたいモノがあれば存分にやってよいと学園長から許可はもらっているんだよ」  コルネの言葉に腕に自信のあるアスカの目が光った。 「いったわね、これでもね。料理は得意なのよ。レイドラゴ家秘伝の味を見せてやるわ!」 「当日はただ飲んで騒ぐもよし、料理を作ってふるまうもよし、とにかく楽しくやるんだよー!」  コルネの言葉におー!とアスカ達は腕をあげ、楽しい明日に向けて英気を養うのであった。 
夏の夜空に歌を響かせ 海太郎 GM

ジャンル 冒険

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-08-02

予約期間 開始 2020-08-03 00:00
締切 2020-08-04 23:59

出発日 2020-08-09

完成予定 2020-08-19

参加人数 8 / 8
●Scat Catsを探せ! 間をつなげ!  ヴェリエーダ街の夏祭りを楽しむ勇者候補生たちの前に、その男はバタバタと現れた。  丸メガネにくしゃくしゃのくせっ毛。身なりは良いが着こなしはどこか崩れている。大人には違いないが、どこか子どもに似た無邪気さの抜けない表情。 「あ、君! 確かうちの生徒だよね!?」  勇者候補生によっては、この男が学園教師の【ジョニー・ラッセル】だと気が付いただろう。 「良かった……! 助けが必要なんだ……!」  と、ジョニーは夏祭りを楽しむ勇者候補生たちに頼み込んだ。  曰く。 「今日の夏祭りのステージに立つ予定だった『Scat Cats』がいなくなっちゃったんだ! 君には、彼らを探すか、ステージに立って間をつなぐかしてほしい!」   随分な無茶振りに、勇者候補生たちは顔を見合わせた。 「先生、Scat Catsって……?」  不思議そうに尋ねる勇者候補生の一人に、ジョニーは、 「えっ、知らないの!?」  と目を丸くする。 「ケットシー4匹のカルテットだよ! 【ビック・ジョーンズ】って君たち知らない? 有名な楽団長なんだけど、その人がプロデュースしたジャズ界期待の新進気鋭バンドで……」  勇者候補生によっては、その曲を聞いたことがあるかもしれない。  ピアノ、ベース、ドラム、ボーカルで編成されたケットシー4匹のジャズグループ、Scat Cats。  もふもふと愛くるしい姿は女性に人気を博する一方、実力は本物であり、猫らしい自由奔放な演奏はジャズファンの心をつかんで離さないという。 「その4匹が、演奏の直前、どこかに消えちゃったんだ! 演奏を放り投げてどこかにいくような子たちじゃない……なにかトラブルに巻き込まれたのか、誘拐されたのかも……」  そう話すジョニーのそばに、関係者らしい男が息を切らせて駆け寄ってくる。 「ジョニー先生……! これ!」  関係者が手渡したのは、乱暴な筆跡の脅迫文だった。 「……猫どもは預かった。命が惜しければ、秘蔵の名酒『リルド・エーダ・ガッティ』をもって森の奥にある広場までこい……バング盗賊団」 「バング盗賊団か……厄介だな……」  居合わせた勇者候補生の一人は、関係者を見遣った。  最高級の蒸留酒、リルド・エーダ・ガッティ。換金すれば、遊んで暮らすには事欠かない。 「このお酒は出せないの?」 「リルド・エーダ・ガッティは王族に奉納する特別なお酒です。たとえこの場をしのいだとしても、この脅迫に屈してしまえばまた同じようなことが起きるでしょう。……絶対に、本物のリルド・エーダ・ガッティを持っていくことはできません」  ジョニーは勇者候補生たちをじっと見つめた。 「これを、課外活動とする。二組に分かれて活動してほしい」  勇者候補生たちは神妙に頷いた。 「一組は、舞台に上がって祭りにきたお客さんたちにScat Cats不在をさとられないようパフォーマンスを披露すること。もう一組は、この犯人たちの根城に踏み込んで、見事Scat Catsを奪還すること」  ジョニーの目は、怒りをたたえていた。 「せっかくのお祭りを、台無しにしようとするなんて。絶対に許しちゃいけないよ」