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言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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ミラちゃん家――指輪はいずこ K GM

ジャンル 推理

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2021-04-12

予約期間 開始 2021-04-13 00:00
締切 2021-04-14 23:59

出発日 2021-04-21

完成予定 2021-05-01

参加人数 0 / 8
●あなたがわたしについた嘘  【カサンドラ】はアトリエで一人考えていた。【黒犬】は今、どこで指輪を捜しているのだろうと。  多分、グラヌーゼより遠くには行かない。黒犬は指輪に関する情報を、そんなに持っていないはずだから。  口では色々言っているが赤猫と比較した場合、知識の差は雲泥の差……とまではいかずとも、相当なものなのではあるまいか。であれば、自分の見知った場所から手をつけるのが、当然の流れだろう。 (見つけないと……黒犬よりも先にあの指輪を、早く見つけないと。黒犬は、信用出来ない。信用してはいけない。力を取り戻させるわけにはいかない)  カサンドラは下唇を噛む。目つきがひどく険しかった。膨れ上がる不信感が、普段の彼女とは別人のような表情を作らせているのだ。  黒犬は呪いを解除した際、自身の力が戻ることを隠している――そこはもう思い出せているし、実証されている。  しかし、それだけだったろうか。なんだかまだ、あったような気がする。彼が自分に対してついた嘘は。  ……そもそも、自分は、どこでどうして黒犬と知り合ったのだっけ?  ……一番最初にはどんな言葉を交わしたのだっけ? ●密談  少女の姿をした【赤猫】は緑色の目を光らせ鳴いた。 『わーお』  ここはサーブル城にある豪奢な地下通路。その突き当たりにある部屋。かつて【カサンドラ】も訪れたことがある、呪いの『本』の隠し場所。ノアが赤猫と黒犬へ呪いをかけた場所。  はるか昔ノアがいなくなってから、そして、赤猫が数ヶ月前足を踏み入れてからも放置されっぱなしだったそこは 今、すっかり整理されている。  ドーム型の天井、壁、床から永の年月つもり積もっていた水垢や苔が拭い去られ、もともとそこにあったものが見えるようになっている。  それは何重にも重なり合った魔方陣だ。眩暈がするほど細かな文字、数字、文様が渾然一体となっている。  床に倒れていた魔王の像は、再び台座の上へはめ直されている。  その像に寄りかかっている【ラインフラウ】が、自慢げに言った。 「どう、猫ちゃん? きれいになったでしょ」  赤猫はちっちと舌打ちする。くしゅくしゅ鼻を擦り上げる。悪臭を嗅いでいるかのように。 「きれいになると、やな感じ。ムカつくノアのつがいの匂いが、浮き出てくる」 「あら、そんなものがまだ残ってるの? 彼らがいなくなってから、優に千年以上はたっているはずでしょう?」 「魔族は強い。色んなものが長持ちする。人間とは違う。まあ人間も、色々あるけど。命だけで言うなら、かなり長持ちする種類もいる。一番駄目なのが、ヒューマン。力もないし、すぐに死ぬ。消え損なっても、やっぱり長持ちしない」  ラインフラウは一瞬、軽い痛みを覚えたかのように眉を潜めた。そして、小さく呟いた。 「そうね。でも、好きなのよ」  それを聞いた赤猫は、訝しげにラインフラウを見る。 「何の話してるの、お前?」 「いわゆる恋の話――ねえ猫ちゃん。前にも言ったように呪いを転化させるについては、黒犬の存在が必要なわけよ。だから彼をここにおびき寄せないといけないわ。そろそろその段取りについて話し合いましょ。この通り、舞台は整ったわけだから」  赤猫はラインフラウに、半開きの横目を向けた。 「そりゃ、いいけど。でも、肝心の転化させる相手について、目処はたってるの?」 「それはもちろんよ。最初から決めてあるの。転化させる相手は、私――」   ●縁は異なもの  呪いの要となる指輪の在処について施設関係者は、ワイズ・クレバーにて、調査を行った。  その結果、以下の情報を見つけた。 『――グラヌーゼに従軍せし騎士は、燃えくすぶる地にて美しい指輪を拾い、妻への土産にした。  妻は喜んで指輪を受け取り身につけた。  その数日後突如姿を消した。  騎士は八方手を尽くし探した。  彼女は、グラヌーゼの焼け跡にいた。騎士がかつて指輪を拾った場所に座り込んでいた。正気を失った有様で。  騎士は異変の原因が指輪であると見て、それを外そうとした。  だが引けば引くほど指輪は締まる。  その挙句妻の指は、とうとう千切れ落ちた。  指輪はそのまま地に沈み込み、消えた――』 『――かくして我が先祖は、グラヌーゼよりこの指輪を持ち帰られた。その際、次の逸話あり。祖は、この指輪とともにもう一つ、指輪を持ち帰られた。その指輪には文様もまた宝石もなかったが、見目麗しき輝きに満ちていた。しかしてその指輪は、当家に災いをもたらした。わが祖は忌まわしきものとして、その指輪をかの地に打ち捨てた――』  【ドリャエモン】は膝に手を置き、【アマル・カネグラ】の調話に耳を傾ける。 「――その二つの話に出てくる『先祖』と『騎士』は恐らく同一人物です。ならその子孫を探せば、もっと詳しい話を聞ける可能性があるんじゃないか。そう思って引き続き調べたんですが……その家、今から200年ほど前に廃絶しちゃってまして。近隣との勢力争いに負けて。今ではもう影も形もなく」 「左様か……うまくいかぬものよな」 「ですね。だけど」  アマルは不自然に言葉を途切れさせた。両手を後ろに回し、宙を飛ぶハエでも追いかけるように視線を泳がせる。  かなり長いこと彼がそうしていたので、ドリャエモンは不審がった。 「どうしたのだアマル。なんぞ言い足りないことがあるのなら、言うてみい」 「……えーと、そのう、あのですね先生、調べているうちに分かったんですけど……その騎士が持ち帰った方の指輪を、意外と近くにいる人が持っていることが判明しまして」 「なに。それは誰だの?」 「……セムさんです」 ●シュターニャ・『ホテル・ボルジア』本社 「皆さんお揃いで、遠いところまでよくお越しくださいました。いや、ちょうどよかったです。私はちょうどこれから、また出かけるところでしたから」  【セム・ボルジア】はさもうれしげに訪問者達を出迎え、椅子にかけるよう勧めた。ラインフラウは、場にいない。どこかへ行っているらしい。  自身も腰掛けた彼女は、単刀直入に切り出した。あなたがたが私に会いに来る理由はこれしかない、と言わんばかりに。 「呪いの件について、何か新しい展開がありましたか?」  鋭い印象の顔立ちに笑みが浮かぶ。  どうも心を見透かされているみたいで、聞かれた側は落ち着かない。 「まだ分からないんです。でも、うまくいけば、少しはそれに近づけるかも知れなくて。そのために、セムさんにお尋ねしたいことがありまして」 「いいですよ。なんなりとお聞きください」 「……もしかしてボルジア家には、ノアにまつわる指輪とか伝わっていますか?」 「ええ、ありますよ。何代も前にさる騎士の家から、ボルジア家に譲られたものです。多額の融資と引き換えに。もっともその騎士の家、その後すぐ廃絶してしまいましたけど。貸し付けた資金も返さずじまいでね。当方にとっては、損な取引でしたよ」  あっさり認めた。  それに勢いを得てアマルは、さらに尋ねる。 「その指輪、騎士がどこで手に入れたものか分かります?」 「グラヌーゼに従軍した際、戦利品として手に入れたそうですよ。グラヌーゼの悲劇が行われた前後ですかね」  ……そういえば資料の記述には『燃えくすぶる地にて』という一文があった。  そんなことを考える皆に、今度はセムが尋ねた。 「この情報は、呪いの指輪の所在に関係があるんですね?」  灰色の瞳に狡知が見え隠れしている。
雨ニモマケズ呪ニモマケズ 七四六明 GM
1500

ジャンル 戦闘

タイプ EX

難易度 とても難しい

報酬 通常

公開日 2021-04-05

予約期間 開始 2021-04-06 00:00
締切 2021-04-07 23:59

出発日 2021-04-14

完成予定 2021-04-24

参加人数 6 / 6
 フトゥールム・スクエア、工房の一角。  さながら、伝説に聞く選定の剣が如く、しかしてかの聖剣のような美しさはない禍々しい刀が、一行の目の前に鎮座していた。  内側に孕んだ禍々しい魔力を垂れ流し、輝かせる刀身は艶やかながら、極めて鋭利。  完成に近づくに連れ、自然と刀身に刻まれていったと言う文字は、今や廃れた昔の文故、未だ解読は済んでいない。が、刀身から鍔、柄へと通じて、ただ一言、握れ、と訴えて来るのだけは伝わってくる。  剣士であれば尚更に、強く、感じられる物があった。 「これが、例の怪物から作った刀か」  ローレライ、【ネル・シュワルツ】。クマのルネサンス、通称【クマさん】の見守る中、【灰原・焔】(はいばら ほむら)が抜刀に挑む。  剣技の練度。実戦経験値。過去、雨の怪物――驟雨(しゅうう)と名付けられた刀の怪物と戦った師匠の弟子と言う三点から、刀の使い手に選ばれた。  しかし、名人ならざる者。刀匠とも言い難き生徒らでも、理解出来る。  多くを学んで得た知識と、数をこなして得た技術とを結集させ、匠ならざるも、業物に近しい物を作り上げたと自負している。  が、良くも悪くも素材の性質故か、完成してしまった。  業物と呼ぶにはあまりにも禍々しく、妖しく、艶めかしい刀が。 「驟雨を斬る刀故、斬雨《きりさめ》と命銘した。が、見ての通り普通の刀ではない。妖刀、怨刀、とにかくそう言った類の物だ」 「それでも、誰かが取らないとならない。そうだろ?」  小、薬、中、一指、親の順で握り取る。  直後、同じ順の指を伝って刀から魔力が流れ込み、焔がそのまま項垂れた。  体に一切の力み無く。立ち尽くす姿に淀み無く。瞳に一切、光無く。 「おい、クマ」  刀を作った生徒は即座に退避。  二人は、想定していた万が一に備え、構えた。 「おい、意識はあるか。あるなら返事。ないなら無言で答えろ」  ゆっくりと、ゆっくりと、刀を抜く。  鞘は、目の前。敵は、何処。  斬れ、切れ、キレ――頭の中で反芻されし言の葉が響き、脳を構成する細胞の一つ一つに染み込むように溶けていく。それ以外の思考が、消えていく。  紙、木材、石。何でも良い。  動物、魔物、人。何でも良い。  斬れ、切れ、キレ――繰り返される言葉は、禍々しき呪いを帯びて、焔の体を蝕んでいく。犯していく。穢して行く。  ダメだと抗う理性さえ、溶けて、微睡み、落ちて、代わりに、起こされる。過去の悔恨。若気の至り。己の力に果ては無しと信じていた頃、犯した過ち。  海馬の最奥に封じ込めた、己が罪。  天上天下唯我独尊――この世に我が敵はなしと言う意味と勘違いしていた頃、連ねて名付けた剣技と共に、心に封じた記憶が燃え上がる。 「炎上蓮華(えんじょうれんげ)……唯火独占(ゆいがどくせん)……!」  捕えんと伸びた水の触手を薙ぎ斬り払い、背後から迫るクマの巨体を、剣圧が生み出す熱風が疾く、吹き払う。  刀を握る腕から肩、首を駆け抜け、顔の右半分に、水面に雫が落ちて広がったような波紋模様が広がり、刺青のように刻まれた。  淡く濁る瞳孔の内側で、水に落とされた墨汁のような細い黒が泳いでいる。 「斬る……斬る……斬る……」 「それ、殺すって意味のキルと掛かってるんじゃねぇだろうな。笑えねぇぞ、この野郎」  赫赫と、炯炯、明明と輝く妖刀にて、火の粉を払い、斬る。  燃え上がり、輝ける妖刀を握る焔の目が映すのは、斬るべき雨の怪物ではない。が、斬ると繰り返し宣う口と目に、冗談と返す様子無し。  向かわねばやられる。それだけはごめんだ。 「おい、外の連中に連絡だ。灰原は失敗した」  工房の外で待っていた一行は、連絡を受ける。  直接連絡を受けた生徒は溜息を零し、緊張の面持ちで構えていた一行に改めて告げる。 「焔くんが斬雨による精神支配を受け、暴走しました。私達四人は学園の四方に散り、彼が外に出ないよう迎え撃つ体勢を整えます。あなた方はネル、クマと共に彼の捕縛に勤しんで下さい。ですが、決して無理はしないように。あくまでも、自分の命を優先して行動して下さい」  それだけ言って、四人の先輩らは各方面に散る。  計ったかのようなタイミングで工房の出入り口である鉄扉が焼き斬られて、壺から落とされたタコが如く、太い水流の触手を操るネルが、クマを引っ張って抜け出て来る。  直後、入口より更に外側の内が焼き斬られて、崩れ落ちた瓦礫を踏み締めながら、燃える妖刀を握り締める焔が、悠然と闊歩して現れた。  灰色の眼光の中、屈折した光の中で、薄い墨の線が揺らめくようにうねり、這う。一瞥だけでゾクリと背筋を逆撫でられたような悪寒が走って、一瞬だが震えた。 「ビビるな! 後れを取るぞ! おまえ達は他三人の兄妹弟子に託されたんだ! 気を引き締めて掛かれ! 今のこいつは、加減なんて知らないぞ!」  火の粉を払い、火の粉を斬る。  斬る、斬ると念仏のように繰り返し、握る刀と反して冷酷な眼光を差す目が告げる。  おまえを、斬る。 「炎上、蓮華……!」 「来るぞ! 構えろ!」  躊躇えば斬られる。  背を向けても言わずもがな。  故に彼の兄妹弟子らは、この戦いに参加させてすら貰えなかった。  自分達は託されたのだ。  躊躇をするな。背を向けるな。決して、固めた意思を揺るがすな。己が力、全身全霊で以て止めろ。全神経を張り詰め、戦意を震え上がらせろ。  目の前にいるそれは、いつか倒すべき、雨の怪物に次ぐ怪物と思え。 「唯火、独、占!!!」  いざ、尋常に、勝負――!
春とくれば、お花見 K GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2021-03-28

予約期間 開始 2021-03-29 00:00
締切 2021-03-30 23:59

出発日 2021-04-06

完成予定 2021-04-16

参加人数 6 / 8
 空は白みを帯びてかすみ、水はぬるみ、野に花は咲き――本格的な春がやってきた。  この季節にはどうしても、人間浮かれ調子になる。外に出て、楽しいことがしたくなる。  学園においてもそれは例外ではない。  『リリー・ミーツ・ローズ』の一角にある桜の園では今、大規模なお花見が行われている。  参加しているのは学園関係者+外部から来た人間多数。『あらゆる方面からの飛び入り参加歓迎』がコンセプトなのだ。  楽しみ方は人それぞれ。飲めや歌えをわいわいやりたい、花より団子をたらふくやりたい、好きな人とこの機に乗じて親睦を深めたい、一人で春の美しさを愛でたい――いずれも行えるだけのスペースが、桜の園には十分確保されている。 ●学生達はにぎやかに  花見会場の中でも最も賑やかな一角。来場客を当て込んだ飲食屋台がずらり乱立している場所。  花より団子派に属する【アマル・カネグラ】は、鯛焼きがはちきれんばかりに詰まった紙袋を持参し、場に来ている。  彼の周囲には結構な数の生徒達がいた。  ぱっと見て圧倒的に女性が多い。多分本人が、そちらに重点を絞って声をかけたのだろう。 「わー。桜満開。きれーい」 「アマルくん、ほんとになんでもおごってくれるの?」 「うん、いいよ。皆思う存分楽しんで行ってよ」 「きゃー、ふとっぱらー♪」 「ありがとー♪」 「やっぱり育ちがいい子は違うわねー♪ 体中から余裕が滲み出てるわ♪」 「今度こういう機会があったらまた声をかけてよね♪」  抜け目なき行動力を備えた女性の幾人かは、アマルへボディータッチを乱発した。アマルの鼻の下の伸びること伸びること。ピンク色の垂れ耳をぱたぱた、くるりん巻いた尻尾をふりふり。 「うん、絶対声をかけるよ♪」  そんな光景を苦々しげに見ている人(おおむねモテない男子)達もいないではないではないが、誰もアマルにちょっかいをかけようとしない。理由はアマルが、外見に全く相応しくない豪腕の持ち主だから。  本人に聞こえぬよう舌打ちしまくるのが、せいぜいといったところ。 「チッ。なにが『余裕が滲み出てる』だよ。滲み出てるのは脂肪だろ」 「なあ。金があるからってよくあんなチビデブにくっついて行く気になれるよな」 「ろくな女どもじゃねえよ、あそこにいるのは」 「俺たちはあんな腐った女願い下げだよな。もっと性格のいい、男を外見や財力じゃなくて、中身で評価してくれる子がいいよな」   ●おじいちゃんとピクニック  【ドリャエモン】は花見へ、【トーマス・マン】と【トマシーナ・マン】を連れ出した。呪いや黒犬といった不穏な問題から一時離れさせ、のんびり過ごさせてやろうと。  何と言っても両者まだ子供なのだ。施設へ来るに至った経緯を考えれば、そういう機会は、なるべく多く作ってやりたい。  家族連れらしき姿の人々が多く見受けられる一角。  トマシーナは咲き誇る様々な品種の桜を見上げ気もそぞろ。どうかすると一人先走って進もうとする。  ドリャエモンとトーマスは、それを止めるのに忙しい。 「トマシーナや、あまり離れてはいかんぞ」 「はーい、おじいちゃん」 「トマシーナ、勝手にどこかへ行っちゃ駄目だ。人が多いんだから迷っちゃうよ」 「はーい」  そうこうしながら三人は、特別大きな枝垂れ桜の所まで来た。  木の根方に敷いてある花ゴザに、恰幅のいい着物姿の夫人が座っている。  外見年齢は初老。種族はドラゴニア――何を隠そう彼女は、ドリャエモンの妻だ。その名は【ドリャコ】と言う。 「あなた、こっちですよ」 「おお、もう来ておったか」 「ええ。場所を取られてはいけませんもの。その子たちが、トーマスと、トマシーナですか?」 「そうじゃ。トーマス。トマシーナ、この人がわしの奥さんじゃ。お前達にとっては義母となる――わしが『おじいちゃん』じゃから、『おばあちゃん』と呼べばよかろう」  トーマスはドリャエモンと同じぐらい大きさと横幅のある相手に、しゃっちょこばって頭を下げる。 「始めまして、ドリャコ――さん」  彼もいささか照れが入る年頃。初対面の相手をいきなり『おばあちゃん』とまでは呼べなかった。  しかしトマシーナは全然てらいがない。 「はじめまして、おばあちゃん! わたし、とましーな!」  力いっぱい友好を宣言し、頼もしきお腹に飛びつく。  ドリャコは一ミリも動じず、ほほほと上品に笑った。 「こちらこそ初めまして。これからよろしくね、トマシーナちゃん。トーマスくん。さあさ、何はともあれ皆座って頂戴。お弁当を作ってきてますからね。一緒に食べましょう。桜餅もあるのよ」 「それはありがたいのう。トーマス、トマシーナ、おばあちゃんはとても料理上手なんじゃぞ」 ●ほんのちょっとの立ち話  【ガブ】【ガル】【ガオ】は花見に出かける道中で、【セム・ボルジア】に呼び止められた。聞けば、学園長と少し話があったので、学園に立ち寄っていたのだとのこと。  あなたたちに会えたのは真に都合が良かった。そんなことを言って彼女は、こう続ける。 「そのうちまた依頼をしたいと思うのですが、かまいませんか?」  三兄弟は心なし不安そうに顔を見合わせ、セムに聞いた。なるべく自分たちがびびっていると見えないように。 「そりゃいいけどよ」 「望むところだけどよ」 「それ、赤猫関係か?」  セムは気さくな様子で『ええ』と答え、軽い調子で続けた。 「あの後私、独自に調査しましてね。その結果赤猫は、接し方さえ間違えなければ対応可能な相手だと結論づけました」  結論づけましたと言われても……な表情をするガブたちへ苦笑を示し、ここだけの打ち明け話をするみたいに声を潜める。 「大丈夫、あなたたちには危険がないようにしますよ。可能な限りね」 ●今日はお留守番  ドリャエモンがトーマスとトマシーナを連れ出したので、本日保護施設には【カサンドラ】と【ミラ様】しかいない。  カサンドラは窓辺に座り、所在なげに庭を行き来するミラ様を眺めている。そして、ぽつりと呟く。 「静かねえ……」  庭に植わっているリンゴの花は、蕾は丸く膨らんでいる。もうそろそろ開きそうだ。
偽勇者を捕えろ! こんごう GM

ジャンル シリアス

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2021-03-28

予約期間 開始 2021-03-29 00:00
締切 2021-03-30 23:59

出発日 2021-04-06

完成予定 2021-04-16

参加人数 6 / 6
 それは、街道沿いのとある村での出来事だった。  この村では、数週間前、土砂崩れによって街道から孤立してしまい、『フトゥールム・スクエア』から派遣された学生達の救援活動によって、街道へ通じる道が無事に復旧したばかりだった。  その村に、二人の若い男女が訪れた。  どちらも、学園の制服に身を包んでいる。 「こんにちは~」  にこやかに笑みを浮かべながら、若い男女二人は農作業中の男性に声をかけた。 「おお、あんた達は。学園の生徒さん達だね。この前は助かったよ! 有難う!」  農作業の手を休め、村の男性は二人組の男女に笑顔で挨拶を返した。 「この前の依頼の追加徴収に来ました」 「つ、追加徴収……?」  予想もしなかった一言に、男性は目を丸くした。  男性の反応に、男子学生のほうが眦を釣り上げた。 「おいこら、おっさん。俺達にあれだけの事をやらせておいて、払えねえってのはどういう了見だ!? あァ!?」 「アタシ達は、天下のフトゥールム・スクエアの学生だぞ!? わかってんのか!?」  豹変した二人組は、血走った目で、動揺する男性を口汚く罵り始めた。  何事かと、傍で作業をしていた人々も彼らの元に集まって来た。 「払わねえってのは、つまり、勇者の活動を妨害するってことだな! そんなことが許されると思ってんのか!」 「アタシらフトゥールム・スクエアの学園長が黙っちゃいないよ!」  呆然と見守る村人達を前に、学生服の男女は、恫喝じみた声を上げ続けた。 「いいか! 次に来るまで用意しておけよ! 俺達フトゥールム・スクエアの勇者に逆らうとただじゃ済まねえからな!」  幾度もフトゥールム・スクエアの名を連呼し、呆然と見送る村人を尻目に立ち去って行った。 「一大事だよ、みんな!」  息せき切って、【コルネ・ワルフルド】が教室に駆け込んで来た。 「近隣の村に、学園の生徒の偽物が現れたんだ!」  コルネによると、過去に依頼を受けて、学園が解決に乗り出したいくつかの村に、『依頼料の追加徴収に来た』などと言って、金品を要求しているのだという。 「拒否すると『学園長が黙っていない』とか『勇者の活動を妨害するとはいい度胸だ』などと恫喝めいたことを仄めかすらしいんだ……!」  握りしめた拳を小刻みに震わせながら、コルネは絞り出すような声で言った。  恫喝に恐怖を覚えて、言われるがままに金銭を支払ってしまった村もあったらしい。  今まで発覚していなかったのは、二人組がさもフトゥールム・スクエアから報復されるかのような恫喝をしていたかららしい。  この情報が学園にもたらされたのも、当事者からの苦情などではなく、学園の購買部に商品を卸している行商人からのものだったのだ。 「行商人からの話だと、その偽学生が着ていた学園の制服は、この前の広報館開設で来場者に貸し出していた試着用のレプリカ制服らしいんだ」  コルネは表情を曇らせた。 「実はね、広報館開設記念行事終了後、試着用に貸し出していたレプリカの学生服が、何着か行方不明になっているんだ」  偽学生は、どうにかして手に入れたそれを使って学生を装っているらしい。 「キミ達にやってもらいたいのは、単純明快! そいつらを捕まえることだよ!」  学園の名を騙って悪事を働く者を、このまま放置しておくわけにはいかない。 「学園長は、かなり本気で怒っててね。自分自ら尋問するって息巻いているんだよ」  そう言った後、コルネは何かにおびえるように、視線をさまよわせた。  どうやら、学園長【メメ・メメル】は、相当ご立腹らしい。  普段の彼女が彼女なだけに、怒り心頭のメメルというのが学生達には想像もつかなかったが、コルネの怯えぶりを見る限り、かなりのものなのだろう。  しかし同時に、メメルの怒りは尤もだとも思う。  学生達自身も、日頃の勉学や活動を不当に貶められて、良い気分でいられるはずがない。 「そんなわけで、頼むよ! そんな奴らに、これ以上好き勝手させるわけにはいかないからね!」  コルネの言葉に、学生達は一斉に力強く頷くのだった。
嘘つきはメメたんの始まり 正木 猫弥 GM

ジャンル 推理

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2021-03-28

予約期間 開始 2021-03-29 00:00
締切 2021-03-30 23:59

出発日 2021-04-05

完成予定 2021-04-15

参加人数 5 / 6
「おっすおっーす! 遅かったじゃ~ん。メメたんすっかり待ちくたびれちまったぜ☆」  相変わらずの明るい調子で、『フトゥールム・スクエア』学園長【メメ・メメル】が部下である【コルネ・ワルフルド】に話しかける。 「………………」  対するコルネは、メメたんを見つめたまま微動だにしない。顔面蒼白で口をつぐみ、今にも泣き出しそうな表情を浮かべている。 「んも~、何か暗いなあ! スマイルスマイル! 教師がそんな辛気臭い顔してたら示しがつかないぜ!?」 「示しがつかないのはどっちですか! 何で逮捕されてるんですかああああああっ!!」  2人の間を隔てる鉄格子を両手で握りしめたコルネは、泣き叫びながら膝から崩れ落ちたのだった。 ◆ 「――いや~、びっくりしました。いつかこんな日が来るかもとは思ってましたけど、実際目の当たりにした時の衝撃が大きくて。でも、学園長の容疑が晴れて本当に良かったです」 「……コルネたん、さりげなく酷い事言ってない?」  数分後。学園長から説明を受けたコルネは、『メメたん逮捕』の知らせが誤報であった事に胸をなでおろしていた。 「それにしてもいい度胸してますね。学園長の名を騙って無銭飲食するなんて……」  メメ・メメルの『偽者』が、街中を手玉に取った。犯行のあまりの大胆さに、コルネは感心せざるを得なかった。  現在2人がいる場所は、煙と極楽の街『トルミン』を守る自警団、『ギルッチ団』の屯所である。  今回学園長がトルミンを訪れたのは、知り合いの旅芸人一座の座長から、街最大の温泉郷『ギンザーン』での公演を観に来て欲しいという招待状を受け取ったためであった。  トルミンに到着して早々、学園長は詐欺の容疑で捕まる羽目になった。しかし、被害者の1人である宿の仲居が犯人は学園長とは別人であると証言してくれたため、すでに濡れ衣であった事が判明している。 「偽者が泊まってた『馬閣楼』の女将とは顔見知りだから、オレサマの名前で別人が好き勝手してたらすぐにバレるはずなんだけどな! 生憎今はトルミンを離れているとかで、まんまと騙されちゃったみたい。……んな事より、メメたんちょ~っち気になる事があるんだよね」  手招きをした学園長が、コルネに小声で話し始める。 「実はその偽者、数日前から行方不明らしいぜ! しかも荷物をそっくりそのまま、宿に置いたままなんだって!」  「……なるほど。状況から考えて、性質の悪い連中に捕まった可能性がありますね」  コルネは理解した。メメたんが牢から出ない理由は、『本物』がいる事を誘拐犯に知られないようにするためだったのだ。 「コルネたんはすぐに学園に戻って、捜査に参加してくれる学生を集めて。頼んだぜ!」 「分かりました!!」  学園長の命を受け、力強く頷いたコルネは外へと飛び出していった。 「今日は1日、芝居を観たり温泉に入ったりしてのんびりするつもりだったんだけどなあ。人気者は辛いぜ☆」  牢屋の壁に背中をもたせかけながら、独り苦笑いを浮かべるメメたんであった。
ホワイトデー・アフター・トゥモロー 橘真斗 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 少し

公開日 2021-03-14

予約期間 開始 2021-03-15 00:00
締切 2021-03-16 23:59

出発日 2021-03-22

完成予定 2021-04-01

参加人数 3 / 8
「我が忠勇なる風紀委員の同志諸君よ! バレンタインで学園の風紀は大きく乱れた!」  風紀委員の会議室で【レオン・ザビーネ】は拳を振り上げで大きな声で叫んでいた。  レオンはオールバックに固めた髪に鋭い眼光、そしてフレームのない眼鏡とまさに風紀委員らしい様相である。 「そして、今! ホワイトデーがやってくる……これはまた学園の風紀の乱れが予想されるであろう!」  集まっている風紀委員たちはレオンの言葉に耳を傾けながら、演説のような話を聞きつづけた。 「そう、我らは学園の風紀を乱すものを許してはならない、チョコを貰えなかった腹いせではなく、これは正義の証である!」  この言葉に涙を流す風紀委員たちもいる。  会議室に集まっている風紀委員たちはつまりはもらえなかった者たちである。 「三倍返しを強制するなどもってのほか! 礼に礼を返すに倍返しなどを要求するなど、あえて言おう……傲慢であると!」  ダンッ! と演説台をレオンがたたくと拍手が起こった。 「よって、このホワイトデーは徹底的に学園の風紀を正していく! 手段を択ばず徹底的にだ! 立てよ、同志諸君!」 『レ・オ・ン! レ・オ・ン! レ・オ・ン!』  妙な一体感を醸し出して盛り上がる。  その様子を眺めている存在に気づくこともなく……。 ●平和なホワイトデーのために 「……というわけなのよ。彼らも頭に血が上ってしまってしまっているから発散してあげる部分もあるのよね」  困った様子で【ユリ・ネオネ】は風紀委員の会議室で起こっていたことを集まったゆうしゃ達に説明していた。 「ということで、演技でもいいのでホワイトデーを楽しんでいるいわゆるリア充になって風紀委員の注意をひきつけて対処をしてほしいのよ」  面倒くさい依頼だなぁとゆうしゃ達の表情は苦々しい。 「場所は校舎裏が被害が少なくてすみそうだから、そのあたりでね。私やコルネ先生がやると色々問題だから、【キキ・モンロ】や【アスカ・レイドラゴ】も囮として協力してもらうわ」 「まぁ、仕方ないわね。ゴブリン依頼もないし手伝ってあげてもいいわ」 「三倍返しのお菓子がもらえるんだよね~。たのしみなんだな~」  ユリに呼び出されたアスカとキキはそれぞれの想いを口にしながらでてくる。 「遺恨なくスッキリさせてあげて頂戴、風紀委員のレオンも義理チョコすら貰えなくてひがんでるところがあるだけだから」  結局、私情じゃないか! と心の中でゆうしゃ達は突っ込みをいれながらも、風紀委員対策を講じるのであった。