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秘密の部屋で鍋パーティ!



ストーリー Story

 魔術学園フトゥールム・スクエアにはいくつかのきまりがある。
 校則と呼ばれるそれのひとつが、夜間の活動禁止だ。つまり、学生は夜になったら寮内でおとなしくしていなさい、ということである。
 特別な理由がない限り順守されるべきその掟を、密かかつ大胆に破る五人組の姿があった。

「人影、なし!」
「よーし、走れ!」
「どこだっけー!」
「第九校舎! 二階! あそこの部屋、一室あいてんだよ!」
「やったね!」
 小声をかわしながら、ばたばたと五人の学生が走る。男性三名、女性二名だった。
 全員、魔術学園に通い始めて二年目の少年少女だ。それぞれ、大量の荷物を体に括りつけたり抱えたりしている。
 息を切らしながら第九校舎の二階に駆けこむ。鍵には事前に細工を施してあった。
 巨大な鍋を背中にくくりつけた、リーダー格の少年が開錠し、中に入る。
 カーテンがしっかり閉まっていることを確認して、最年少の少女は杖の先に最小限の光をともした。外から知られないようにするためだ。
「組み立てるぞ。まずさり気なく置いといたテーブルに、布団をかぶせて」
「はいよ」
 水鳥の羽がつめこまれた布団は二枚、縫いあわせてある。まるで巨人用の大布団だ。
 それをテーブルにかける。四方の端が床につくが、これでいい。
「テーブルの裏側にこれを貼って、発動」
 発熱の魔法を発動させるための陣を描いた紙に、指を鳴らして合図を送る。
 温度は高くないが、布団が被さっているため内部の熱は保たれる。
「んで、布団の上に板を載せてー、コタツ!」
「これがコタツ!」
「まだ終わりじゃねぇぞ。コタツの上にこれ置いてー、発動!」
 天板の裏に貼りつけたものを板にも置く。さらに鍋を載せる。
「これをもう一セット」
「ういっす!」
「鍋に出汁と食材ぶちこんでー。あ、そっち魚よろしく」
「はいはい」
「十分煮えたら、肉鍋と魚鍋!」
「いえーい!」
 ぱん、とそれぞれがハイタッチ。
 侵入者たちは実に楽しく、静かに、迅速に行動していた。
「これ、喜んでもらえるかしらね」
「さぁなぁ。そもそも見つけてもらえるかな」
「一応、張り紙しておくけど」
「あんまり目立つところに置くなよ、先生に見つかったら計画失敗なんだから」
「分かってるよ、まっかせて」
「でもさ」
 腕を組んだリーダー格の少年が、部屋を見回す。
 暗いこの部屋が射しこむ朝日で明るくなるころ、学生たちが集まって、鍋を囲んで談笑する姿を思い描く。
「いいじゃんね」
「ね」
「去年を思い出すよね」
 ふふ、と最年長の少女が笑った。
 この五人は友だち作りが苦手だった五人だ。どうにもなじめない学園生活を一か月送ったころ、張り紙を見つけた。
 第九校舎で鍋パーティ、という張り紙を。
 引っ張られるように指定されていた部屋に入り、鍋を囲んで、気がつけば仲良くなっていたのがこの五人なのだ。
「学園生活たのしー! って思ってもらえたらいいよね」
「まずは友だち作りから、ね」
「椅子を八人分しか用意できなかったのが残念だけどな」
「この部屋、思ったより狭いよね」
 去年の鍋パーティの主催、もとい主犯を彼らは知らない。
 ただ、来年は自分たちがやる、と思い続けて、今日、決行することにした。
「怒られるかなぁ、あたしたち」
「怒られるだろ。先輩たちもきっと怒られた」
「じゃー、ま、いっか」
「よし、鍋が煮えたら隠れるぞ。たまに様子見ないとな」
 食材が煮えすぎていないかとか。出汁が減りすぎていないかとか。
 確認することは色々ある。
「あたしたち、天井で見てるね」
「じゃ、俺たち食材あさってくるわ。ついでに紙貼ってくる」
「よろしくー」
 天井板を外し、二階と三階の間の空間に二人の少女が隠れる。
 三人の少年は部屋の外に向かった。

 朝を迎えた魔術学園のエントランス。
 学生や職員たちがまばらに行きかうその場所の、片隅に。
 一枚の紙がこっそりと貼りつけられていた。

 鍋パーティ開催中。肉魚野菜キノコ色々あります。
 第九校舎二階、階段右手二番目の部屋。はらぺこ集まれ!
 学園生活二年目の私たちより。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-02-05

難易度 とても簡単 報酬 なし 完成予定 2019-02-15

登場人物 8/8 Characters
《新入生》ルネ・フェイム
 ルネサンス Lv3 / 芸能・芸術 Rank 1
うさぎのルネサンス。 普段からぬいぐるみを抱きかかえている。 あまり喋らず、大人しい。 容姿として、耳は垂れ耳で身長は152cmと低めだ。 見た目と裏腹に歳は高く二十歳は超えているらしく、かなり童顔に見られがち。 可愛い顔をしてる。 服装は、貴族のような白を基調とした可愛らしい服装にまとっている。 性格は、大人しいが思いやりの心を持っていて、あまり戦闘向きのタイプではない。 だが、大切な人や友人を傷つけられると、無意識に憎悪が増し豹変する。 好きなものは、ぬいぐるみ・小説を書くこと・ダンス・寝ること。 絵については壊滅的に下手だ。 特技は、歌に料理といったことで、家事が特に好きらしい。 夢はモデルやアイドルになることらしい。
《新入生》もな・八重桜
 ヒューマン Lv3 / 教祖・聖職 Rank 1
性格:好奇心旺盛で色々掴み所がない、あとちょっと負けず嫌い。高慢で結構偉そうだけど、それでもみんなと仲良くしたいって思っている。 趣味:本を読んだり、写真を撮ったり。あと水泳も好きらしい 好きなもの:桜や神社と言った和風を連想させるもの、教会、それと猫。 嫌いなもの:ゴキブリと言ったゲテモノ類 座右の銘:ミスを犯さない人間には、何もできない。 外見:全体的にセクシーな体型で、髪が長めでストレート。顔つきは若く見える。
《ゆうがく2年生》御影・シュン
 ルネサンス Lv11 / 黒幕・暗躍 Rank 1
おおっ!貴殿…初めましてでござるな!? しかも拙者と同じく新入生と見える! これは自己紹介といくでござろう! 拙者は御影・シュンでござる!あ、「ミカゲ」が苗字でござるよ。 種族は見ての通り祖流種…ルネサンスで、専攻は黒幕・暗躍科でござる! 敵地に忍び込んでの情報収集や、嫌いなあんちくしょうの闇討ちはお任せあれでござるよ! ……あ、物騒でござったか? そうでござるなー…居なくなったペットの捜索とかも請け負うのでござるよ!犬いいでござるよね!なんか親近感湧くー! 細々とした依頼は是非、拙者を頼って下され!…成功報酬は頂くかもしれないでござるがね? 拙者、ご学友の皆と比べるとちょーーっと歳が行っているでござるが、仲良くしてくれると嬉しいでござる! ◆プロフィール 狼のルネサンス 身長176cm 赤味がかった茶の短髪 素早く動く事に特化したしなやかな筋肉を持つ 顎と口元にかけて刀傷の跡が残っている 性格は明るく、社交的 表情がころころと変わり、喜怒哀楽もやや大げさに表す ただし人によっては、その感情に違和感を覚えるかもしれない 実は「ござる」口調はキャラ付けの意味で使っている ボロが出ると標準語になる 「シノビも客商売でござるからね~。キャラ付けは、大事。」 ※アドリブ歓迎でござるよ! ※フレンド申請も歓迎でござる!
《新入生》メルヴィナ・セネット
 ローレライ Lv3 / 賢者・導師 Rank 1
メルヴィナ・セネット。 この学園で多くを知るのを楽しみにしている。 魔法とか精霊とか一般常識とか。色々。 これからよろしく。 ……自己紹介とはこれでいいのだろうか。 ◆好奇心旺盛なローレライの少女 素直な性格。色々と抜けており忘れっぽい所もある 顔にはあまり感情が出ないが仕草や言動の端々に表れてしまっている 入学理由はさまざま。 主な理由は学園の摩訶不思議さに心惹かれたため 魔法や精霊への興味から賢者・導師コースを選択した 雪に関わる精霊や生物がいたら仲良くなりたい ◆最近の様子 学園散策を楽しむ日々 課題を記録する職員さんがいるという ときどき職員室に行ってみている。片手にはレターセット ------------------------ 【容姿】 肩下・胸元まで伸ばした茶色のウェーブヘアー どことなく眠たげな瑠璃色の瞳 髪の周りに水を纏わせている(水分放出は髪先から) 魔法使いな服を好む 身につけている銀の雪結晶のブローチは双子の兄からの入学祝い 帽子は水のような特性をもつ魔法の帽子。らしい 【交流】 誰に対しても友好的。よく喋る 会話は楽しい&自身にはない考えや知識に触れられるので好き 人とのペースの合わせ方、会話は勉強中 (PL:交友申請等は常時大歓迎です) 【話し方】 かための口調と話し方+少しくだけた言い回し 何かを呟く、眠い時は少しゆるくなる 二人称:名前、通称、または貴方 おもな口調:~だ、だな、だろう/~。~と思う/~か、~かな
《ゆうがく2年生》ナツメ・律華
 ローレライ Lv13 / 賢者・導師 Rank 1
※アレンジ 他の人の絡み歓迎 名前:ナツメ(名前)・リッカ(名字) 目指せ大魔法使い! 追求せよ世界の真理! 【外見】 実年齢:14歳 外見年齢:10歳程度(つるぺた) ……まだ成長期は終わってませんわ! きっとあと数年のうちに素敵なレディにっ! 髪:三つ編み(しないと髪が爆発する…) 【中身】 明るく元気な性格 (よく言えば素直、悪く言えば分かりやすい) 探究心が強く、新たな知識を得るのは大好き 勉強したり本を読むのは大好き 田舎な実家では農作業や牛の世話をしていた。 大魔法使いになって世界の不思議を理解して その力で実家の畑の収穫を楽にするの! という大きいのか小さいのか分からない野望を持つ 田舎から出てきたので、お嬢様キャラで学校デビューを計ろうとするがすすぐにボロが…… 【口調】人と話す時はお嬢様(~ですわ、~かしら) 心の内や慌てたりすると素に戻る(~よ、~ね)
《新入生》バルド・ダールベルク
 カルマ Lv7 / 黒幕・暗躍 Rank 1
とある研究所の実験体として作られたカルマ。 様々な実験と教育を受けていたが、ある日突然研究所が壊滅し、身寄りがなくなり困っていたところを別の研究所の所長に保護され、助手として働いていた事がある。 学園に入学したのは、学園での生活に興味があったのと、もっと色々な知識と技能を身につけて、恩を返したいと思ったから。 保護者のことは「ばあちゃん」と呼び、慕っている。 ・性格 陽気で少々荒っぽい。 元は淡々とした性格だったが、保護してくれた人物が豪快で荒っぽかった為、その影響を受けて現在の性格になった。 ・日課 本を読む事。 ジャンルは、小説、詩、魔導書、漫画、絵本など、日によって様々。 時間があれば黙々と読んでいる。 ・身体構造 かなりヒューマン寄りに作られており、味覚なども感じるように調整されている。 ・魔法陣 左手の甲と腰にある。 ・服装・装具類 ジャケットと長ズボンを着用していることが多い。 両手は黒革の指抜きグローブで手の甲の魔法陣を隠している。 縁にアンティークゴールドのレリーフが施されたゴーグルを常に身につけて、大事にしている。
《新入生》レイヤ・トラスター
 ヒューマン Lv4 / 武神・無双 Rank 1
何時いかなる時も身なりをきれいに整え、その立ち振る舞いも相まって従者コースと間違われることも。 手袋、眼鏡で礼儀正しい言動 いかにも『なんでも出来るクールな従者』感をだしているが、実際は料理に騎馬等従者として必須なことは何もできない。 従者である父の姿を見て育ったため知識はあるはずだが 『いざやろうとしたら壊滅的に不器用』 着こなしがきれいなのは『幼少時代から躾けられてきた』という理由からである。 ただし、動きやすいようにマントや帽子はあまりつけたがらない。 (正式な場に出るときは着用する) 制服以外でも手袋をつけているのは、火傷跡があるのを隠すため。 一言で言うと『礼儀正しく計算高い不器用』 ◆髪型 髪質サラサラのショート(前髪は目にぎりぎりかからない長さ) ◆目つき ややたれ目(目元だけ見ると少し優しそうな印象を受ける) ◆メガネ フチなしのメガネ ◆着こなし <制服> マントと帽子を外して着用 グローブは愛用している黒の手袋をそのまま使用 戦闘等の汚れが目立たぬよう生地を暗めの色に改造 <私服> シャツにベストといった、シンプルだが整った服装を好む ※黒い手袋着用 ◆よく言う言葉 「こちらのほうが効率がいいんですよ」 ※本人にとって効率がいいだけで実際に効率がいいとは限らない 「幼いころに経験はあります」 ※成功体験とは限らない
《新入生》コウ・エイトクラウド
 カルマ Lv4 / 武神・無双 Rank 1
「コウ・エイトクラウド。見ての通り、カルマだ。以後よろしく頼む」 身長は凡そ180センチ以上、体重は70キロ前後のカルマ。 護身程度に格闘技を習得しており、それなりに引き締まり鍛えられた身体をしている。 切れ長の鋭い瞳で髪型はミディアム、無造作に下している。 右後方首筋と左手の甲に薄黄色の魔法陣が描かれている。 性格はどれかと言われれば「ミステリアス」が一番近いというだけで、完全にミステリアスというわけではない。 今まで不必要に関わらなかったせいか、他人にどう接すればいいのか分からないところがある。 また、その性格もズレていたりする。 淡々とした口調で話し、声を荒げることは少ない。 食事を通し魔力を取り込む傾向にあるため、食欲旺盛。 何に関しても『美味い』と感じるように設定されているため、非常に悪食。 今まで、他人に関わる事が少なかったためか友情や恋愛といった者に興味を示し、理解を深めようとしている。 ちなみに、寝起きの際に「グポーン」と目が赤く光るが、自覚はない。

解説 Explan

 エントランスの壁の隅にこっそり貼りつけられていたメモを見た皆様は、様々な理由から第九校舎の二階の部屋に向かいます。
 扉を開くとそこには、ぐつぐつと煮え立つ二つの鍋と「食べて!」と書かれた紙があったのでした。

●室内
 テーブルが二つ、椅子は全部で八脚あります。
 窓は閉まっているので室内は湯気でうっすらと白く曇っています。おいしそうなにおいがします。
 テーブルの上には大きな鍋がひとつずつ。

●鍋
『肉、野菜、キノコなど』が入ったAの鍋と、『魚、野菜、キノコなど』が入ったBの鍋があります。
 どちらも八人では食べきれない量ですので、無理に食べきらなくて大丈夫です。
 先輩たちが残った鍋に材料を足してお昼ご飯にします。
 ものすごくたくさん食べる方々が揃った場合は、完食できるかもしれません。

 肉や魚、〆のなにかなど、足したい材料があれば叫んでみてください。
 天井から降ってきます。受けとめてください。(一部の先輩たちが天井にいます)

 ひとつのテーブルを必ずしも四人で囲まなくてはならない、ということはありません。
 肉か魚。食べたい方を選んでください。

●異物混入
 残念ながらどちらの鍋も普通の鍋ではありませんでした。

・肉の鍋…カナシミ草が混入しています。春菊に似た見た目です。食べると悲しくなってきます。
・魚の鍋…ワライ草が混入しています。ほうれん草に似た見た目です。食べると楽しくなってきます。

 もしかしたら食べてしまう学生さんがいらっしゃるかもしれません。

●鍋を囲んで!
 どうして入学したのか。なにになりたいのか。
 好きな物、嫌いな物。どんなところに行きたいのか。どういうことをしたいのか。
 趣味は? 入ってみたい部活動は? 好きな人、いる?
 なんでもいいです。たくさん話してみてください。自己紹介大会が始まったって大丈夫です。
 だってみんな、貴方様のことをまだ知らないのですから。

 鍋を囲んで語りあえば、きっといい友達になれますよ!


作者コメント Comment
 はじめまして。あいきとうかと申します。

 扉をくぐるとそこは、鍋パーティの会場だった……ようです。
 そっと扉を閉めて教室に向かうこともできるでしょうが、ここはひとつおいしそうな鍋を食べてみてください。
 先輩たち、頑張りましたので。まぁこのあと怒られるんですけどね。

 ちなみに時刻は授業開始前の朝です。皆様は教室に向かう途中でした。
 
 なので、食べたら教室まで走ってください。授業が始まってしまいますからね。
 先生より早く教室に到着して席に座るまでが鍋パーティです。

 はふはふしながらおしゃべりすれば、きっと初対面でも仲良くなれるはず!
 ということで、よろしくお願いします。


個人成績表 Report
ルネ・フェイム 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
目的
初めましての人と仲良くなろうとする

行動
メモを見つけ匂いにつられ部屋を覗く
こっそりと覗いてると見たこともない「コタツ」発見
目を輝かせてると先輩に気づかれ手招きされ
女性先輩の手招きに釣られて向かったのは肉鍋のある炬燵
足を入れたら今まで感じたことのないぬくぬくに幸せを感じる
同じ新入生や先輩たちに自己紹介を促され、ゆっくりと始める
名前・種族・性別・コース・出身・好きなものを答える
友達であるレリー(うさぎのぬいぐるみ)も紹介する
趣味として料理しているので、昨晩に用意したお菓子を出す
鍋は肉・白菜・人参を中心に食べる
時間があと10分でHRが開始となると急いで荷物を持って駆け出す
ギリギリなんとか間に合う

もな・八重桜 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
目標:
みんなで仲良く一緒に鍋を楽しみながら食べる

台詞:
「私は聖職者であるが普通にお肉とか食べれるからな?」
「しかしみんなで食べるお鍋は美味しいものだな。」
「申し訳ないが私はゲテモノはお断りだよ。」

アドリブ度:
A(アドリブやアレンジを歓迎する)

御影・シュン 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
はらぺこ集まれと聞いて参上でござる!

…何やら天井から気配を感じるでござるね
飛んで火に入るなんとやら…いや、折角の機会でござる
皆と交友を深め、腹をいっぱいに満たすでござるよ

◆B
早速コタツに滑り込み、鍋を囲むでござ!
広場等で見知った顔も居られるでござるが、自己紹介をしておくでござるよ
何れお得意様になるかもしれないでござるからね…!

はぁ~~うんまいでござるなぁ
冬の朝の冷えた身体に染みるでござる…鍋は良いでござるねぇ

鍋にほうれん草を入れても良いんでござるか、今度やるでござるよ
…ふはっ!はははは!なっ何か楽しくなってきたでござる!
貴殿らと囲む鍋が楽しくて、拙者は…拙者はぁ…!
青春を感じるでござるよ…!

メルヴィナ・セネット 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
皆と一緒に鍋パを楽しむ事だ
あの不思議な張り紙を見て集まった仲間だ
きっと気も合うだろう。仲良くなれるといい


◆鍋
肉鍋を頂こう
授業を控えているので満腹になるのは避けるが、一通りの具は食べたいな
魚鍋もどんな魚が入っていたかは気になる。食べた者に聞いてみるか


◆最後の〆
肉鍋の方でも雑炊が食べたいのでちょっと作れるか試してみる
雑炊用の小さい鍋も探せばあるかもしれない

材料のお米と卵も……不思議な部屋だし、精霊か何かがいるのでは。鍋パの精霊
天に向かってお願いしてみる。卵は割れないように頼まなくてはな
それと、料理が得意な者がいたら雑炊が美味しくなるコツを聞きたい
味付けは各自のお任せでいこうか。うん、楽しみだ

ナツメ・律華 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
※魚の鍋

好きな具材ですか?え、えっとフォアグラとかキャビアとかっ
……あ、あら?そ、そうですわね鍋には入ってませんわね、
では今回は長ネギをいただきますわ

自己紹介…ナツメ・律華と申しますわ
賢者・導師コースで魔術を極めようかと
ええ!大気中の水のコントロールができれば実家の畑の水やり
(げふんごほん)…世界に貢献できると思いまして

鍋の中の野菜、植物図鑑で見る限りほうれん草や春菊ではない気がするのですが…毒でないでしょうし好奇心でワライ草を食べてみる

大人数で食べるのって、実家で食べていた頃を思い出して楽しくなってきた
ほらーお兄ちゃん野菜も食べないとダメよー
(………はっ!)いいいいえっ何も言ってませんわ!

バルド・ダールベルク 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
皆と楽しく鍋パしたい!

【行動】
初めて見るコタツに感動しながら中へ入り、
鍋を見て更に喜びのバンザーイ!
肉も魚も気になるが、Bの魚の鍋を食べる!!
手を合わせてイタダキマ~ス!
どんな魚、野菜、キノコが入っているか興味津々
好き嫌いは今のところ特にないので、パクパク食べる

豆腐がない場合、豆腐食いたいなぁぁと言ってみる
天井から豆腐が降ってきたら受け止めるけれど
ちょっと形が崩れるかもなので、崩れたら謝る
すんごく謝る

食べ終わったら、ちゃんとゴチソウサマでした!をして片づけをする

>ワライ草
食べたらずっと楽しそうに…って
あまり様子が変わらない気がする!
肉の鍋で悲しくなってる人に気づいたら慌てながらも宥める

レイヤ・トラスター 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
B鍋を美味しくいただく

【行動】
いい香りにつられたら…誰かは知りませんが心遣いを感じます。
ならば…食べなければ逆に失礼でしょう!
魚の気分なのでこちらの鍋をいただきます。
一緒になった方たちに、あなた方も新入生ですか?私もなんですよと話題を降りながらたべます。
〆の雑炊もたべたいので、天井に向かってご飯と卵をオーダーします。

食べ終わったら…天井に向かってお礼をば
(肉体言語で美味しかったアピール)

【セリフ】
温かい鍋をくれる人に悪い人はいません。
これを食べずに鍋は終わることはできません…ご飯と卵おねがいします!
ごちそうさまでした…!

【アドリブ度】
A:ワライ草もきにせずモリモリ美味しく食べます

コウ・エイトクラウド 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:1
獲得努力:1
獲得希望:1

獲得単位:0
獲得称号:---

リザルト Result

●鍋パーティ!
 第九校舎の二階にたどり着いた【ルネ・フェイム】は、かすかに漂ういい香りに緊張気味だった顔を少し緩ませた。
 大好きなぬいぐるみをひと撫でしてから、エントランスに記載されていた部屋の扉に手をかけ、恐る恐る開く。
「ひょ……っ!?」
 室内で鍋に箸を入れていた女子生徒が、文字通り跳ね上がって固まった。驚かれたことに驚き、ルネもびくりと肩を震わせる。
「あ、あわわわ」
「えっと、これ……、入ってもいいんですか……?」
 もうもうと湯気が立ちこめる室内は、どう考えても鍋パーティの会場だった。
 ぎこちなく頷いた女子生徒ははっとしたように、目を輝かせているルネを手招き、天井を指さし、ついで自身の唇に人差し指をあてた。
「上……、秘密……?」
 こくこくと彼女は頷く。直後、天井の板が一枚外れてロープが下りてきた。
 女子生徒は親指を立てて片目をつむり、するするとロープを上っていく。何事もなかったように天井板がはまるのを、ルネはきょとんと見ていた。
「ここが鍋会場か?」
「わ……っ」
「ああ、すまない。驚かせるつもりじゃなかった」
 背後から声がして、ルネは振り返る。めりはりのついた体型の、髪の長い女子生徒がかすかに苦笑した。
「鍋は肉と魚か。君、どちらにする?」
「お、お肉で……」
「私も肉がいい」
 後ろ手に扉を閉め、肉鍋の席に着いた彼女に視線で促され、ルネもおずおずと席についた。
「ここが鍋会場でござるな!」
 陽気な声とともに閉まったばかりの扉を開いたのは、狼のルネサンスの男子生徒だ。彼は部屋に一歩入るなり、天井に目をやった。
「……ふむ?」
「あ、あの、そこには誰もいません、ので……!」
 秘密、と指示されたルネは慌てる。
 人の気配を感じとっていた男子生徒は瞬き、頷いた。
「そうでござるな! 拙者の気のせいで」
「ここで間違いないようですわね!」
 男子生徒が言い終わるより早く、廊下から高飛車な声が響く。
「ごきげんよう、皆さん。もうパーティは始まっているのかしら?」
 違和感、というよりも不慣れさが見え隠れしているお嬢様口調だった。
「まだ誰も手をつけていない」
「肉鍋と魚鍋があるでござるよ」
「そうですの? では私は魚で」
「拙者も魚にするでござる」
 お嬢様口調の女子生徒が閉めようとした扉に、手がかかる。
「まだ席はあいているか?」
 髪の周りに水をまとわせた女子生徒と、切れ長の鋭い瞳が特徴的な男子生徒が部屋を覗きこんだ。
「あいていますわよ」
「よかった」
「いい匂いだ」
 切れ長の瞳の男子生徒が二つの鍋を見比べる。
「肉と魚、どっちがいいでござる?」
「肉」
 新しくきた二人の生徒の意見は見事に一致した。思わず二人は顔を見あわせる。
「おっはよーございまーす! 鍋だー! うまそう!」
「おはようございます。おいしそうな香りですね。ところで席はありますか?」
 間をおかず、元気な男子生徒と、礼儀正しそうな男子生徒が新たに入ってきた。
「魚鍋の席があいていますわ」
「肉鍋がよかったら代わるよ」
「いえ、私は魚で」
「レイヤも? 俺も魚。一緒だな~」
 知りあいらしい二人が、扉を閉めてともに魚鍋の席に着く。
 顔見知りの者たちも初対面の者たちもいる部屋には、かすかながら互いの出方をはかるような、落ち着かない空気が漂っていた。
「君、これ暖かいぞ」
 最初に会った女性から声をかけられ、緊張で身を強張らせていたルネはぴくりと耳を動かす。
 そうっとテーブルにかかった布団に足を入れると、歓声が出た。
「ぬくぬくします……!」
「コタツでござるねぇ」
「俺、コタツ初めて見た! やばい、あったかい。コレあったかくて出たくなくなる」
 冬の朝はベッドから出るのも大変なほど寒い。
 湯気が充満するこの部屋は暖かいが、コタツの柔らかな熱はまた格別だった。
「じゃ! 手をあわせて、いっただきまーす!」
「いただきます」
 最後にきた二人が早速、鍋を攻略しようとする。つられるようにそれぞれが『いただきます』と口にした。
 二つの鍋の側には、ちょうど四つずつとりわけ用の椀と箸、フォーク、スプーンが置かれている。
「野菜にキノコに、いろいろ入っていますね」
「魚鍋とりわけ希望の方、拙者がとりわけるでござるよ」
「私、お願いしたいですわ。えっと、フォアグラかキャビアとか」
「さすがに入ってないでござる」
「あ、あら? ……そ、そうですわね、鍋には入っていませんわね。では今回は長ネギをいただきますわ」
「いい出汁、出てるゥ! うまーい!」
「では肉鍋は私がとりわけようか」
「……お願いしてもいいですか……?」
「ああ。なにがいい?」
「人参と白菜と、お肉を……」
「すごい速度だな」
 ローレライの女子生徒が、一緒に入ってきた男子生徒の旺盛な食欲に感心したところで、狼のルネサンスの男子生徒がくるりと見た。
「広場などで見知った顔もおられるでござるが、どれ、ここで自己紹介などいかがでござろう?」
「いいねぇ、せっかく一緒に鍋つついてるんだし」
「皆さん、新入生ですか? 私もです」
 うんうんと他の生徒たちが首を縦に振る。自己紹介を提案した男子生徒が、箸と椀を置いて起立した。
「言い出しっぺの拙者からいくでござる。拙者は【御影(ミカゲ)・シュン】。黒幕・暗躍コース専攻でござる。親近感がわくので犬が好きでござる! 皆と比べるとちょーっと歳が行ってるでござるが、仲良くしてくれると嬉しいでござる!」
 食べながら聞いていた面々が、ぱちぱちと拍手を送る。
 照れたようにシュンが座りなおしたところで、ひときわ元気な男子生徒が立ち上がった。
「次! 黒幕・暗躍の専攻繋がりで俺行きまーす! 名前は【バルド・ダールベルク】。嫌いな食べ物はなし、日課は読書のカルマで、レイヤとはさけ部繋がりでっす。よろしく!」
 拍手が鳴りやみ、バルドが席に着いたタイミングで、その隣に座る物腰穏やかそうな男子生徒が背筋を伸ばして立った。
「ご紹介に預かりましたので、次は私が。【レイヤ・トラスター】と申します。従者コースだと思われることが多いですが、武神・無双コース専攻です。そのままもよし、炒めてよし、煮こんでよし、の白米が好きです。よろしくお願いいたします」
 優雅な一礼は、確かに従者然としていた。
 魚鍋組の三人が自己紹介を終えたということで、そういう流れだろうと把握した最年少に見える少女が立ち上がる。
「みなさま、ごきげんよう。私は【ナツメ・律華(リッカ)】。賢者・導師コースで魔術を極めようかと思っていますわ。ええ! 大気中の水のコントロールができれば、実家の水やり……げふんごほん。世界に貢献できるかと思いまして。よろしくお願いしますわ」
 うっかり出しかけた本心を咳払いで隠したが、隠しきれていなかったため、温い微笑みを受けつつナツメは着席する。シュンが少し大きめの魚をナツメの椀に入れた。
 肉鍋組はさっと視線をかわし、誰が一番手を担うか無言で相談する。意を決したように立ったのは、ローレライの女子生徒だった。
「【メルヴィナ・セネット】。賢者・導師コース専攻だ。この学園で魔法や精霊、一般常識など、多くを知ることを楽しみにしている。好きなものは……、コタツのことを好きになった。布団がふかふかしていて気持ちがいい。これでいいだろうか。よろしく」
 途中で不安になりつつも、ほとんど表情を変えずメルヴィナは座りなおす。くたくたになった白菜を食べ、ほっと息をついたのが緊張していた証だった。
 ちょうど椀が空になった、鋭い目つきの男子生徒が次を担う。
「武神・無双コース専攻のカルマ、【コウ・エイトクラウド】だ。これまであまり他者とかかわる機会なかった。不躾があれば指摘してほしい。あとは、皆でつつく鍋はうまいと今日知った。よろしく頼む」
「カルマが大食い種族というわけでは、ないのだよな?」
 バルドとコウを見比べ、メルヴィナが首を傾ける。
 大量にあった肉鍋は、ほとんどコウが食べていた。
「俺は食事から魔力をとりこんでいる。必然的に量が増える」
「俺も人並みには食べるけどね」
「そういうことか」
「肉鍋足りなくなったら魚もあるでござるよ」
 シュンの誘いにコウは浅く顎を引く。
「最後と先、どちらでもいいよ」
「えっと……、では、次で……」
 ん、と女子生徒が肉を口に入れて了承した。
 小さく息を吸って吐き出し、勇気を出してゆっくりと、ルネは自己紹介を始める。
「ルネ・フェイム、です。うさぎのルネサンスで、芸能・芸術コース専攻の男……です。前は森に住んでいました……。お菓子作りが趣味で……」
 おろおろし始めたルネに、ナツメが挙手して声をかけた。
「そのうさぎさんはどちら様ですの?」
「あ、こ、この子は、レリーっていって、僕の友だちです」
 ほわ、とルネがどこか誇らしそうに笑んだ。今までで一番、嬉しそうな表情に、その場の空気が和む。
「えっと、よろしくお願いします……」
「最後は私だな」
 レリーをぎゅっと抱きしめてルネが座り、拍手が鳴りやむと同時に最後のひとりである女子生徒が起立する。
「私は【もな・八重桜(やえざくら)】。教祖・聖職コース専攻。趣味は読書、写法術、水泳。神社や教会といった、魂を清めることができる神聖な場所が好きだ。教会関係の仕事をしていたこともある。部活動はまだ決めていない。以上だ、よろしく」
「聖職者の方がお肉、というのは大丈夫なのでしょうか?」
 レイヤの素朴な疑問に、もなは首を縦に振った。
「普通にお肉とかおいしく食べられるからな?」
 無理をしていないならいいと、安心してレイヤは微笑する。

 その陰で、メルヴィナは密かに悩んでいた。
 しいたけだ。
 うっかりとってしまったしいたけのやり場に、非常に困っていた。顔には出さないまま、苦手な食べ物を前に動揺する。
 周囲に目を向け、閃いた。真後ろにいるシュンの椀に放りこめそうな気がする。魚鍋にもしいたけは入っているだろう、ひとつふたつ増えたところできっと怪しまれない。
 さっとシュンの椀にしいたけを移した。
 急速に申しわけなくなってきて、お詫びに肉も入れた。
 そうするように、シュンが自身の椀の位置を調節していたことは、秘密だ。

「な、鍋の材料は足してもらえるのだろうか?」
 出汁ばかりになり始めた肉鍋を前に、メルヴィナが声を上げる。ルネが反射的に天井を向いた。
「材料を足してもらえるなら、〆の雑炊もお願いしたいかな」
「どう……でしょう、ね……?」
 ちらちらと上を気にするルネに、もなは閃く。
「お願いしてみればいいだろう」
「豆腐が食いたいなぁぁぁ」
「そういえば入っていませんね、豆腐」
「肉鍋の方には入っているが」
 微妙に具材が違うらしい。
 しかしそんなことも吹き飛ぶような異変が起こった。
 叫んだバルドのちょうど真上にあたる天井板がばこんと開き、平たいザルに載せられた豆腐が落ちてきたのだ。
「ええぇ!?」
 想像とちょっと違う登場方法に驚きながらも、バルドはどうにかザルを受けとめる。
 しかし衝撃で豆腐が少し崩れてしまった。
「ああああ! せっかく豆腐くれたのに、ごめんなさい見ず知らずの親切な人!」
 全力で謝りながら豆腐を鍋に投入するバルドを横目に、もなも天井に要求する。
「私はしらたきとしいたけとまいたけと豆腐を追加でほしい!」
 しばらく間があき、やはりザルに載せられた材料がもなの上に降ってきた。きちんと受けとめたもなは、それを肉鍋に投入する。
「拙者は餅巾着がほしいでござるー!」
 丁寧に掃除がされているのか、保護魔法が張られているのか、開け閉めしても塵ひとつ落ちてこない天井板の向こうが、少し騒がしくなった。
「もしかして動揺していますの?」
「想定外だったのでしょうか、餅巾着」
「だめならいいでござるよ!」
 しかしばこんと天井板が開き、器に盛った餅巾着が落ちてくる。
「用意できたらしいな」
「ありがとうでござる!」
 投入した具材の具合を確認しながら、もなはちらりと天井を見た。
「天井にはなにがいるのだろうな」
「鍋パの精霊では。不思議な部屋だし」
 しいたけをとらないよう注意しつつ、メルヴィナが応じる。
「精霊、か」
 天井裏の何者かの正体に気づいた面々が曖昧な反応をして、まだ気づいていない面々は納得したようなしていないような顔で椀の中の具材を食べた。

 事件は唐突に起きる。
「はぁ~。うんまいでござるなぁ……。うんま、ふはっ!」
「シュン?」
 様子がおかしくなったシュンに、バルドがきょとんとした。
「はははは! なっ、なんか楽しくなってきたでござる! 貴殿らと囲む鍋が楽しくて、拙者は、拙者はぁ……っ!」
「うんうん、俺もさっきから楽しいぞ」
 笑うシュンの双眸から、ぶわ、と涙があふれた。
 狭い部屋で起こった異常事態に、一同は狼狽える。
「ど、どうした? なんか悲しいことでも思い出したのか? それとも喉につまったか?」
「お、お菓子、食べますか……? 僕、作ってきていて……っ」
「私のお茶も飲むか? おいしいと思うぞ」
「グラス、あったよ」
 棚に置かれた箱に八つのグラスがを冷められているのを見つけ、もなが持ってきた。メルヴィナは水筒に入れたお茶を注いでいく。
「青春を感じているでござるよぉぉ。いただくでござるぅぅ」
 喜びの表情のまま涙がとまらないシュンの肩を、ナツメがぽんと叩いた。
「ほらお兄ちゃん、しっかりして。たくさん食べましょ。野菜も食べなきゃだめよー」
「お兄ちゃん?」
 お嬢様口調が消し飛んだナツメに、もなが瞬く。
 常に大人数だった実家での食事を思い出し、楽しくなっていたナツメは我に返った。
「いいいいいえっ、なにも言っていませんわ!」
「もしかして、このほうれん草のような具材が原因でしょうか?」
 コウに負けず劣らずの食欲を発揮しているレイヤが箸で掬い、平然と食べたのは緑色の葉っぱだった。一見すればほうれん草だ。
「毒ではないと思って、私、それ、食べましたわ」
「拙者も食べたでござる」
 シュンもようやく落ち着いてきた。
「こちらの鍋にも、そういったものが入ってたということか」
 ぼろぼろと涙を流すメルヴィナに、一同は再び慌てる。
「涙がとまらない」
「こちらの原因はこれだろうな」
「春菊、ではありませんわね?」
 肉鍋には春菊に似ているが少し形の違う葉が混ざっていた。もなはゲテモノの気配を察知して避け、ルネは本能的に食べなかった食材だ。
 それを掬いとったコウも食べていたが、あまり変化はなかった。
「あの、そこにタオルがあったので……どうぞ……っ」
「ありがとう」
 部屋の隅に綺麗なタオルが置かれていることに気づいたルネが、メルヴィナに一枚差し出す。
「気をつけて食べた方がよさそうですね」
「見える分はとっとくか」
 肉鍋の怪しい具材はレイヤとバルドが、魚鍋の方はルネともなが協力してとり除いた。
 毒ではないようだが、率先して食べるべきではないだろう。
 ひと段落したところで、コウが魚鍋を見つめた。気づいたバルドが笑みを深める。
「お、鍋交換するか? 俺も肉鍋ちょっとほしいなって思ってたんだ」
「私も魚鍋、気になっていた」
「拙者も肉鍋、食べたいでござる」
「私も食べたいですわ」
「私もいいですか?」
「私も少しもらおうか。ルネは?」
「……じゃあ、僕も、少し……」
 それぞれ器を交換しあい、残り少なくなってきた肉鍋と魚鍋をよそって返す。
 鍋と器があいたところで、やはり我慢できないとレイヤが声を張った。
「これを食べずに終わることはできません……。ご飯と卵、お願いします!」
「私もお願いする。だがそこまで量はいらないから、小鍋を……、いや、やっぱりそのままの量で」
 ひとり分の雑炊を作ろうとしていたメルヴィナだったが、コウの視線に気づいて訂正する。
「〆に雑炊、食後にフェイム殿のお菓子。いいでござるなぁ」
「朝からぜいたくだなぁ」
 落ちてきた生卵と冷えた白米を、注文者たちがどうにか受けとめるのを見ながら、シュンとバルドがほのぼのとお茶を啜った。

●お開き!
 満腹感とコタツの暖かさ、穏やかな会話にふわふわした気持ちでいたルネが、真っ先に気づいた。
「あ……、時間……」
「ンっ、ホームルーム!」
 美味しいお菓子を慌てて飲みこんだナツメが立ち上がる。
 壁にかかった時計をはっと見た面々も、同じように席を立った。遅刻はまずい。
「えっまだ食べているのですが?」
 鍋に少し残っている雑炊を完食する気でいたレイヤは、手にしたおたまと時計を見比べた。同じく肉鍋側の雑炊を平らげたいコウも、悩むそぶりを見せる。
「さっと食べたら間にあう!」
「分かりました」
 バルドに急かされ、レイヤは雑炊を猛然と食べ始めた。急いでいても気品の漂う食べ方を、ナツメは今後の参考にするためしっかりと観察する。
「……お菓子は、お土産に持って帰ってもらえると……嬉しいです……」
 おずおずと申し出たルネに、大食漢二人が頷く。
「拙者、近道を知っているでござる!」
「案内してくれ」
 満腹になって油断していたシュンが席を立ち、もなもお茶を飲み干してから立った。
「片づけを」
「片づけいいから走って!」
 天井と窓の外から声が聞こえ、使用した食器を一か所にまとめていた一同は目を丸くする。
 さっと顔を見あわせ、ここは鍋パの精霊さんに任せることにした。
「ごちそうさまです!」
「おいしかったわ!」
「ありがとうございました!」
「あの、これ、お菓子です……! 精霊さんたちに……」
「精霊さんたちも遅刻しないように!」
 口々に『ごちそうさま』と『ありがとう』を、大声や肉体言語で放つ新入生たちを、鍋パの精霊たちは急かす。
 続々と扉から廊下に出た一同は、廊下にたまった冬の朝の冷気に体を震わせた。
「さむい……」
「走っているうちに温まるわ!」
「コタツが恋しいな」
「あれ、自室に用意できないでござるか?」
「みんなで食べる鍋、おいしかったな」
「また食べたいですね」
「次は妙なものが入っていない鍋がいい」
「あれはあれで楽しかったぞ」
 笑いあいながら、新入生たちは走る。授業にはどうにか間にあうだろう。
 空の鍋に喜ぶ声が、遠くから聞こえた。



課題評価
課題経験:0
課題報酬:0
秘密の部屋で鍋パーティ!
執筆:あいきとうか GM


《秘密の部屋で鍋パーティ!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 1) 2019-02-01 18:30:39
……鍋とコタツがある。あの貼り紙は本当だったか。
授業まで時間はまだまだあるし。鍋パしよう鍋パ。

あ、私含めて全員新入生かな。よろしく。
私はメルヴィナ・セネット。
好きな具材は味が染みた白菜。鍋は肉鍋派だ。

《新入生》 ルネ・フェイム (No 2) 2019-02-01 19:38:59
鍋は知ってます。
コタツというのは知らないので……、ちょっと楽しみなのです。

あ、僕はルネ・フェイムです。
好きな具材は、白菜とお肉ですかね……、あ、共食いじゃないですからね?
鍋は肉鍋派です。

《新入生》 もな・八重桜 (No 3) 2019-02-01 19:51:43
私は八重桜もなだ、よろしく頼むよ。
しかしどちらも美味しそうな鍋ではあるが…肉か魚といえば肉かな?
好きな具材はしらたきにしいたけに豆腐だな、ただこの世界には存在するものなのか?

《新入生》 バルド・ダールベルク (No 4) 2019-02-01 21:00:04
バルド・ダールベルクだ。
よろしくお願いします!

おぉ、肉と魚で鍋が分かれてるんだな。
そうだなぁ。どんな魚が入ってるか気になるから、魚鍋を食ってみたい。
あ、好きな具材は豆腐だな♪豆腐、豆腐♪

《新入生》 レイヤ・トラスター (No 5) 2019-02-01 22:39:27
レイヤ・トラスターです。よろしくお願いします。
肉と魚…どちらも甲乙つけがたいのですが、いまは魚の気分ですのでそちらをいただきます。
魚卵とかも美味しそうな気配がするのですが、どんなものが入っているのでしょうか?楽しみです。
好きなのは、様々な具材の旨味が溶け出したスープでいただく〆の雑炊ですね。

《新入生》 コウ・エイトクラウド (No 6) 2019-02-02 10:08:25
コウ・エイトクラウド、よろしく。

好きな具材は白菜と白身魚が特に好きだな、嫌いなものはこれといってない。
肉鍋と魚鍋は、どちらも同程度と言ったところだ。

《ゆうがく2年生》 御影・シュン (No 7) 2019-02-02 20:57:00
拙者は、御影・シュンと申すでござる。
皆々方、よろしくお願いするでござるよ!

タダで食事が出来ると聞いてー…げふんげふん、交友を深める会でござるよね。
鍋パなるものには初めて参加するので、とても楽しみでござる。

好きな具材も、嫌いな具材も特には無いでござるから、苦手な具材があればこっそり拙者のお椀に入れても大丈夫でござるよ…!
今回は…魚鍋を頂こうと思うでござる。

《ゆうがく2年生》 ナツメ・律華 (No 8) 2019-02-02 21:36:58
こんにちは…あら、本当にこたつと鍋が。
新入生のナツメ・律華ですわ、皆様よろしくお願いします

今回はお魚の方にしようと思いますわ
好きな具材は、え、えっとフォアグラとかキャビアとかっ

……………………白状します、長ネギです。

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 9) 2019-02-03 14:40:51
コタツはいいぞ。きっと皆気に入る。

ふむ。見た感じ、嫌いな具は入ってないが。
もしもの時はこっそりシュンのお椀に入れるかも。任せた。

>〆の雑炊
あ、雑炊いいな。食べたい。
……作れるかな?
材料なら、魔法のような部屋だし叫べば降ってきそうな気もする。お米!とか叫ぶか。

《新入生》 レイヤ・トラスター (No 10) 2019-02-03 22:55:58
>〆の雑炊
きっと、ご飯!卵!とさけべば降ってきそうな気がしますね。
魚鍋のほうは、私の方でこの材料を叫ぼうかと思っています。

…ここで話すだけで、なんだかおなかがすいてきますね。

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 11) 2019-02-04 20:21:58
私も肉鍋のほうで雑炊を試してみる。
材料と道具なら大抵何でも揃う気がするのだよな、この部屋。不思議だ。
あ、それと。料理が得意な者には美味しくなるコツとか聞くかもしれない。

……おなかすいてきた。
もう少ししたら頃合いかな。楽しい鍋パにしよう。