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勇者流?雪合戦


ストーリー Story

 季節は冬。窓の外に見える景色は白銀の世界。勇者の学校ことフトゥールム・スクエアも例外ではなく雪が積もった。
 今日の授業は終わり、降り積もった雪を踏みしめ、この後何をしようか。と学友話しながら屋外練習場を歩いていると、一人ポツンと猫耳の少女が立っていた。あんなところで何をしているのだろう。
 少し気になり防寒着に身を包んだ少女を眺めていた。すると突然、屋外練習場の端まで届くような、しかしウキウキとした声色の大音声で叫んだ。
「みんな! 雪合戦しよう」

「私は【ニット・グルード】。気軽にニットって呼んでね。君たちは新入り君かな」
 雪の上に座り第一試合を眺めていると、こちらを向き笑顔で駆け寄り声をかけるニット。周りには同じように興味本位で集まった生徒もいる。
「もう第一試合が始まってるけど、試合を見ながらこれからルール説明をするね!」
 テニスコートほどの大きさのフィールドの上では、生徒達が二つのチームに分かれ雪玉を投げ合っている。中には雪の壁に隠れている生徒もいるようだ。
「まずはフィールドから。自陣と敵陣の二つに分かれていて、両陣地とも、雪でできた壁が四つずつあるのは見てわかるかな」
 ニットが指を指す横長のコートを半分に区切るように引かれた赤いライン。それを基準に左右対称に壁が設置されている。
 壁はラインと並行する向きで、ラインの近くに二つ一直線上に並んでいる。その後方、自陣のエンドラインの近くにも同様に設置されている。
 シールドというらしい壁は、一般的な体型の者なら二人は楽に隠れられるような大きさで、試合中の生徒はうまく隠れて雪玉を避けている。
「それで、攻撃方法は雪玉をぶつけるだけなんだけど、普通とは違うところがあるんだけどわかるかな」
 そう言われコートを見ると、ひとりが木製のような片手剣で雪玉を弾いている。その向かい側、敵チームの中にはリーチの長い両手槍を持った選手もいる。飛んできた雪玉を弾いたり、地面に突き刺した両手槍を軸に移動をしたり用途は様々なようだ
「みんなに使ってもらうのは競技用の武器で、叩いても痛くないけど、ちゃんと技能は使えるから安心してね。それから、普段使ってる武器の種類から選んでね」
 持っている武器を指さしながらこちらを見るニット。コート内には武器を持っていない生徒もいる。持ち込みは自由なようだ。さらに解説が続く。
「今の子みたいに、武器は防御、回避、のために使ってください! 攻撃したら即負け扱いです! 妨害とかできたら試合はもっと楽しくなるかも! もし雪玉に当たっちゃったら、あの子みたいに雪玉づくりでチームを支えてあげてね!」
 再び指さした先にはコートの外で雪玉をひたすら作り続ける生徒が数人確認できる。作った雪玉は投げて渡しているようだ。
「ルールはこれくらいかな。さぁ、君たちは第二回戦であの子たちと戦ってもらうよ!今回は四チーム参加のトーナメント戦だ。二回勝つと優勝! 私からほんのささやかな景品が出るよ」
 目線の先には大柄の男がこちらに向かって歩いている。すでに競技用の武器を手にしている様子だと、初心者ではないようだ。
 男たちはニットの前まで歩くと笑った。
「こいつらが俺の対戦相手か! よろしくな。俺は【ビルダ・ケプラー】。ビルダって呼んでくれ。見たところ初心者か? こりゃ万年負けチームも負けてられないな!!」
 ガハハハと豪快に笑うビルダにニットが近寄る。
「またまた来たんだねー。待ってたよ! 今回は勝てるかな?」
 挨拶をしに来ただけなのだろう、「お互い頑張ろうぜ」と手を振りながら去っていった。それを見送ったニットがこちらに振り返って小声で話す。
「君たちは初めてだから少しだけヒントあげちゃうね。ビルダ君は体格がいいから、シールドに隠れていても少しだけはみ出ちゃうんだ。武器で防がれない限りしっかり狙えば倒せるよ。それと、彼のチームはビルダ君がひとりで指揮を執っているから彼を先に倒すと簡単に勝てるかもね!」
 更に今対戦を終えた第一試合の勝利チームを眺めながらこうも呟く。
「勝ったチームのリーダーは【ソニック・ローレンス】。ソニックのチームはみんな素早い動きが特徴だから上手く妨害できれば勝機はあるよ! さあ試合だ。私がレフェリーをするから一緒にコートに行こうじゃないか」
 ニットについていくようにしてコートに入る。
 各自シールドに身を隠したり、コート上で準備運動する。ホイッスルが試合開始を告げた。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-03-15

難易度 簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2019-03-25

登場人物 4/8 Characters
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《新入生》アルバリ・サダルメリク
 エリアル Lv13 / 黒幕・暗躍 Rank 1
【外見】 糸目だが開いた目をよく見ると緑色 黒い短髪 エルフ系エリアル 見た目怪しい中国人 【性格】 腹黒守銭奴 お金をくれるなら大体なんでもやってくれる いつもなにか含みがある事を言ってる 金を稼ぐのは最早趣味 『口調』 ~ヨ、~ネ。 エセ中国人風 【服装】 中華系の袖の広い服を好んで来ている。 ※アドリブ大歓迎!
《不屈愛の雅竜天子》ミサオ・ミサオ
 ドラゴニア Lv18 / 魔王・覇王 Rank 1
「ミサオ・ミサオ。変な名前だろう。 この名前は誰よりも大切なあの子からもらったんだ。」 名前はミサオ・ミサオ。無論本名なわけがない。 外見年齢は20代、本年齢は不明。 本人曰く100越えてんじゃないの、だとか。 職業はギャンブラー。 学園に入る前は彫刻師、薬売りなどいくつか手に職を持っていた。 魔王コースを選んだのは、ここが楽だと思ったからだそうだ。 遠慮なくしごいてくれ。 性格はマイペースで掴み所がなく飄々としており、基本滅多に怒ることがない。 面白そうなことや仲の良い友人が居れば面白そうだとついて行き、 好きな人や大切な人にはドロドロに甘やかし、自身の存在を深く刻み付け、 飽きてしまえば存在を忘れて平然と見捨てる外道丸。 いい子には悪いことを教えたり賭け事で金を巻き上げ、 そして悪友のオズワルドや先輩先生にこってり絞られる。 恋愛したい恋人欲しいと言っているが、一途で誰も恋人を作ろうとしない。 たくさん養ってくれる人大好き。 趣味は煙草と賭け事。 特技は煙草芸、飲み比べ、彫刻。
《新入生》フェル・バルカローレ
 エリアル Lv2 / 教祖・聖職 Rank 1
【人物】 エリアル・エルフタイプの青年(実年齢不明) うっかり死にかけて以来記憶があちこち飛んでいる 記憶を取り戻す方法を探している途中でフトゥールム・スクエアに迷い込んだ。現状手がかりもないため学園に滞在している 教祖・聖職コースを選択した理由は「死にかけた時に色々あってねー、参考になるかなーって。あと興味ー!!」と語る 見た目に反してうるさい、ゆるい性格 名前は思い浮かんだものを適当に並べた(本人談) 【挨拶】 初めまして、でいいかな。違っていたらごめんね 僕は……あー、フェル。フェル・バルカローレ 最近ようやく入学したばかりなんだ 迷惑はかけないようにするし、まあ、教室か何処かで会ったらよろしく。どうぞお見知りおきをー ん、種族?見ての通りエリアルだよ。エルフだよ。耳とんがってるでしょ? 逆にいえばとんがってなかったら判断つかないよねー分かる分かる。僕も僕も。記憶なくした当時なんて「僕ってヒューマンなのリバイバルなのどっちなの?どっちかなの?」って思っててさー。リバイバルに賭けてたんだけどもー、鏡見たらまさかのエリアルだよね。外れたー!

解説 Explan

 雪合戦に武器の持ち込みを可能にしたエピソードになります。ただし直接の攻撃、シールドを壊すことはできません。それ以外でしたら、防御、回避、妨害にある程度自由に技能を使うことができます。
 シールドに身を隠していた時は雪玉は当たりません。その間雪玉を作るなど可能です。
 相手チームの人数はPCと同じ数になります。一試合目はリーダーのビルダを倒すと残りのメンバーを倒すことが容易になります。
 ビルダはシールドに隠れ続けて支持を出し続けているため倒すときは工夫が必要になります。
 二試合目のソニックチームは一人ひとりの動きが素早く、通常では雪玉は当たりにくいので、妨害等の戦略が必要です。
 武器を持ち込まずに試合を開始した場合、雪玉を早く作れる、荷物がないのでシールド間を素早く移動できるなどのメリットがありますが、シールドの外では雪玉を防ぎにくくなります。
 以下にコートの配置を大まかに記載します。プラン作りのお役に立てれば幸いです。※PC、NPCの数は八人で試合をする場合です。

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❚            ❚          ❚
❚ ●|      ●| ❚ |〇    |〇 ❚
❚ ●|      ●| ❚ |〇    |〇 ❚
❚            ❚          ❚
❚            ❚          ❚
❚            ❚          ❚
❚ ●|      ●| ❚ |〇    |〇 ❚  ❚←中央ライン、エンドライン
❚ ●|      ●| ❚ |〇    |〇 ❚  ●←PC
❚            ❚          ❚  〇←NPC
------------------------------------------------   |←シールド


作者コメント Comment
 今エピソードが初になります。vurebis(ブレビス)と申します。お手柔らかにお願い致します。
 雪合戦に武器を持ち込んだ競技ですので、より展開が激しく、楽しいものになるかと思っていますのでプランお待ちしております。
 初心者ですのでアドリブの有無など細かく伝えていただくと大変助かります!


個人成績表 Report
プラム・アーヴィング 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:49 = 16全体 + 33個別
獲得報酬:1350 = 450全体 + 900個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
■ビルダ戦
俺ビルダさんをシールドから出す方向で頑張るね。
【心理学/演技/人心掌握学】を駆使し
「そこに隠れているのはゴーレムなのかッ!?」「シールドよりシールドしてるッ!」
等と褒めてポージングを決めたくなるように仕向けて出てきた所を仕留める。

■ソニック戦
アルバリに一枚噛んで貰おうか。
中央ラインに近いシールドにアルバリと身を隠し【演技】で「んっ、雪が服の中に…取ってくれない?」から始まり「あっどこ触って…」と思わず如何わしい想像をせざるを得ない意味深な会話を繰り広げる。
健全な興味に負け、シールド内を覗き込もうとする相手を【集中】【気配察知】でタイミングを見計い【精密行動】で仕留めよう。

アルバリ・サダルメリク 個人成績:

獲得経験:19 = 16全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
手段を選ばず雪合戦に勝つ

【行動・心情】
アイヤー、なんか面白い事してるネ
ワタシも参加するヨ

あ、プラムも居たネ?
ヨロシク

さて、勝負するなら勝たなきゃネ
まずは『沈黙影縫』でシールドを移動して相手を撹乱しつつビルドに近づき雪玉を投げる
多分体が出るくらいデカイなら奇襲みたいなもんだから当たるデショ

問題はソニックネ
中央ラインのシールドに隠れて
「アイヤー、雪取ってあげるからおいで」
「ふふ、どこが違うのかちゃんと言わないと判らないナー」
と意味深な会話を続けるネ
気が散ってそれどころじゃなくなったら投げ時ヨ
随時そんな会話をして相手に精神的な揺さぶりを掛けて雪玉を投げるネ
ふふ、本当の関係?それは秘密ヨ

ミサオ・ミサオ 個人成績:

獲得経験:19 = 16全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【心情】
ギャンブラーたるもの、強い敵と戦うのは嫌いじゃない。
むしろ好きなんだぁ。
大丈夫大丈夫、新参だけどオレらなら勝てるって。
フトゥールム・スクエア雪合戦界のダークホースにでもなろうで。
あと景品は欲しいねぇ!

【戦闘】
妨害メインで戦いつつ、
『竜の翼』で空を飛び高いところから雪玉を投げましょうかね。
もし誰かが自身に雪玉を投げてきたら『竜の翼』で避けたり、武器で雪玉を弾くよ。

妨害で
厚手の布やを敵陣地にいる敵にかぶせて視界を遮ったり
『殴打の構え』で注目を集めたり
『威圧感』で敵を怯ませたり等々、性格の悪さを生かしましょうかね。



フェル・バルカローレ 個人成績:

獲得経験:19 = 16全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
武器が持ち込める雪合戦かー。珍しいね。この学園では普通なのかな
目的は勇者流?と噂の雪合戦を体験と、勝つ事!
あ、景品はなんだろうね、雪玉トロフィー?表彰状?

>雪合戦
協力第一でー。味方の作戦、行動で対戦相手に隙ができたら雪玉を投げて攻勢に転じるよ
ポジションは妨害かな。いざってときは僕を壁にしていいよーって味方に言っておく
武器は木槌、もといハンマー。案外使い道あって便利なんだよね
雪玉かっきーんって返せるし大きいのも地面で転がしてそいやーってできる。牽制に活かせそうじゃない?

雪玉当たったらサポートに回って味方に渡す雪玉作り。固めまくって圧縮した雪玉も雪玉だからー!投げやすいし相手もびっくりしていいよね

リザルト Result

 時は少し遡り試合前の作戦会議。専用の武器に交換を終えた四人の生徒が円陣を組むように話し合う。コートは前回の試合の後片づけをしている真っ最中。先程レフェリーをしていた生徒とニットがせっせと雪を均しシールドを固めている。
「まずは自己紹介と軽く作戦決めをしようヨ。ワタシは【アルバリ・サダルメリク】って言うヨ。隠密行動が得意だから奇襲をするときはワタシに言うといいネ」
 初対面特有の静けさを壊すように黒髪で糸目のエルフ、アルバリが自己紹介を終える。そのまま隣の生徒へ、次はアナタの番ネ、と声をかける。
「俺は【プラム・アーヴィング】。みんなよろしくね? アルバリとは友人だよ。演技が得意かな。色仕掛けが効きそうなら試してみるのも悪くないんじゃないかなあ? 俺は退屈がキライなんだ。俺と一緒に雪合戦を引っ掻き回そうね」
 アルバリの隣に立つ、白髪のベリーショートのヒューマンで修道服を纏ったプラムは、蠱惑的な言葉遣いで自己紹介を終える。
「次は僕かなー! 【フェル・バルカローレ】っていうよ。好きに呼んでねー! 多分みんなよりうまく動けないけど僕なりに協力はするよー。僕にできそうなことは何でも言ってね! あとは、このハンマーで雪玉を打つのも牽制には役立つと思うんだー。それにしても景品って何だろうね。気になるね。次は君だよ」
「最後はオレだね。オレは【ミサオ・ミサオ】。見ての通りドラゴニアさ。この翼で上空から攻撃をしてみるよ。あとは相手によっては脅してみるのもありかもって思ってるところ。相手は自分よりこのゲームに慣れているみたいだしむしろ燃えて来たよ。ギャンブラーたるもの景品は見逃せないねぇ」
 陽気に話し終えたアップルグリーンの髪を後ろで束ね、片手にはハンマーを持ったフェルと、翼を羽ばたかせゲームへのやる気を見せているミサオは、景品が気になるのか、あれこれ予想を立てている。
「景品は俺たちが貰うとして、少しは打ち合わせをしないとね。みんな集まって」
 プラムの声で全員が一歩歩み寄り少し話し込む。ある程度作戦が決まったところで雪合戦の主催者【ニット・グルード】の声が聞こえる。
「おーい! 試合開始するから両チーム集まってー!」

 お互いのチームが中央のラインに沿って並び試合前の挨拶を済ます。そのまま各自シールドに身を隠す。
 こちらのチームは前方のシールドにプラムとアルバリ。後方のシールドにフェルとミサオが隠れる。
 対する【ビルダ・ケプラー】のチームはビルダが後方向かって右のシールドでメンバーに指示を飛ばす。各々大声で会話をしているおかげで位置も作戦もバレバレである。
「これは一回戦はワタシ達の勝ちネ」
「油断はするなよアルバリ。ちゃんと作戦通りにだ」
 ふふっと笑うアルバリをプラムが制す。そんな会話をしているとどうやらビルダは会話を終えたらしい。

「準備は終わったみたいだね。じゃあ、一回戦はじめー!」
 ニットは始めの合図と同時にホイッスルを吹く。それと同時にビルダの大声が響く。
「全員雪玉を作って【シャリル】に渡すんだ!」
「了解!」
「俺に任せてくれ!」
 シャリルと呼ばれたヒューマンの敵はこれまた大きな返事で返す。
「わぁ、まさか作戦もメンバーの名前も叫んじゃうなんて僕から見ても万年負け続ける原因がわかったよ」
「勝負事が下手な証さ。敵の意標を突かないといけないものさ」
 あまりにもわかりやすい伝達を繰り返すビルダにあきれるフェルとミサオ。会話をしながらも雪玉を作り続け、数十個は出来た。アルバリとプラムの様子を見ると、彼らも会話をしながら雪玉を作り終えていた。
「ワタシが仕掛けるヨ! まずはシャリルさんネ」
 受け取った雪玉を一心不乱に投げ続けるシャリルはシールドから身を大きく出している。隙を狙えばアウトにできるだろう。
「オレが隙を作ろう。よっ!」
 短く返事をしたミサオは翼を広げ、そのままジャンプ。
「当てれるなら当ててみるといいよ!」
 シールドを悠々と超える高さまで飛ぶと、そのまま声を上げながらプラムの居るシールドまで飛ぶ。
「うわぁ! ひぃい! 空飛ぶのとかありかよ!」
 驚き、持っている雪玉を落とすシャリル。その隙をアルバリは見逃さない。
「上ばっかりじゃだめヨ。コッチコッチ」
「んぎゃ!」
 投げた雪玉はそのままシャリルの顔に当たりシャリルは短い悲鳴を上げてアウトになった。
「アルバリ! うまく決まったな!」
「ミサオさんのおかげヨー!」
「あはは! こんなにうまく決まるなんてびっくりだよ」
「やったー!これで有利になったねー!」
 チームでの初アウトがいとも簡単に取れたことにチームは沸き立つ。一方ビルダは慌てているようだ。
「シャリルがやられた! うちの主戦力が!」
「ビルダさんどうしましょう!?」

 シャリルがやられてから、とりあえずの作戦で雪玉を作っては投げているビルダたち。投げ込まれる雪玉は多いが、狙いは定まっていない。
「どうだ俺の考えた『数投げれば当たる作戦』は! 俺の筋肉から投げられる雪玉は恐ろしいだろう!」
 暫くシールドに隠れるとビルダの声が響いた。その言葉を聞いたプラムはにやりと笑う。そしてコートにプラムの声が響く。その声は驚き、焦りが込められた声だった。
「シールドが一つ増えた? いや、あれはビルダ! あんな筋肉から投げられる雪玉なんて恐ろしくてシールドから出られない!」
「作戦変更ネ。あんな筋肉を前にワタシ達じゃ戦えないネ」
「これは逆鱗に触れちゃったかなー」
「敵の実力を見誤ったかなぁ。オレとしたことが」
 ほかの三人からも動揺の声が上がる。しかし声とは裏腹に敵から見えないところで雪玉を丸めている。四人ともその時を待っている。
「ん?なんか様子が変だぞ」
 雪玉を投げまくっていたビルダもさすがに異変に気づいたようで、手を止める。
「ビルダさん、相手が恐れています! ビルダさんを褒めてる? 恐れているみたいです」
「お、効果ありか! オレの作戦が効いたみたいだな! はっはっはっは!」
 シールドの裏で立ち上がり両手を挙げ勝ちを確信したビルダ。周りの生徒も立ち上がり喜ぶ。このまま制圧すれば勝ちは確実になるであろう。しかしプラムが考えた作戦はここからメインに移行する。

「隙だらけだよ。俺の演技なかなかだったでしょ?」
「今が攻め時ネ!」
「勝負事ってのは油断しちゃだめだなのさ」
「当たれー! 特製雪玉!」
 プラムの声を合図に三人はそれぞれ雪玉を投げつける。
 アルバリは正面の生徒。ミサオは飛び上がりその後ろの生徒。フェルは二回りほど大きな雪玉をビルダに投げ見事全員命中。これで敵チーム全員をアウトにすることができた。

 ニットが吹くホイッスルの音が鳴る。試合終了の合図だ。あまりに突然の出来事だったのかあっけにとられるビルダ達。ようやく事態を飲み込んだビルダは驚き声を上げる。
「え、俺たち負けたの!? このまま勝てると思ったのに!」
 肩を落とすビルダがこちらにトボトボと歩み寄る。
「まぁ、負けは負けだ。こうなったら優勝してもらうからな!」
 こうして一回戦は危なげなく終えることができた。


 二回戦開始前、相手のリーダー【ソニック・ローレンス】が声をかけに来た。
「ビルダとの試合見事だった。だが俺たちを褒めたところで手は緩めるつもりはないぞ」
 ただ一言いうとそのまま去っていった。
「プラムの演技作戦効きそうになかったねー」
 フェルは肩を落とす。
「大丈夫だよ。とっておきがあるからね」
 唇に手を添え笑う。
「さあ、作戦を考えましょうかね」


 二回戦の準備が整い全員コートに並ぶ。今回もレフェリーはニットだ。
「まさか二回目の試合がソニック君のチームとはねぇ。頑張ってね!」
 挨拶を終えると先程の試合と同じ配置につく。対するソニックのチームは全員が前方のシールドに隠れた。
「よーし決勝戦開始ー!」
 ニットがホイッスルを吹くとソニックたちは、シールドからシールドへ素早く移動しながら雪玉を投げてくる。
 どうやら二人が雪玉を作り、二人が攻撃を仕掛けているようだ。
「思ったよりきつそうだねぇ。アルバリ、何かできそうか!」
「ゴメンネー、なかなか早くて捉えられないヨ。演技も聞いてくれそうにないネ」
 顔を出せばすぐさまアウトにされそうな雪玉の猛襲に手も出せないでいると、後方から声が聞こえる。
「たまには思いっ切って行くのもギャンブルだよね! そりゃ!」
 ミサオはその場で羽ばたくと一回戦で見せた時のように飛んだ。
「ビルダの時に見せた戦法だ! 当てに行け!」
 ソニックの号令とともにミサオに向かって雪玉が飛んでくる。
「やっぱ雪玉飛んでくるよねぇ。避けるけどさぁ!」
 空中でうまく身を翻らせたミサオは雪玉をかわす。
「ミサオさん、ナイスガッツネ。こっちもいくヨ」
 敵の意識が上空に向いたとき、アルバリとプラムはありったけの雪玉を一人に向かって投げる。
「っ! っくそ!」
 当たったのだろう。悔しそうな声とホイッスルの音が鳴る。
 一方ミサオは降下中だった。元居たシールドとは反対側のフェルがいる方向へと降りてゆく。
 しかしやられたまま見逃すほど相手も甘くない。
「着地を狙え!」
 一人が投げた雪玉が今から地面に足をつけようかというミサオに迫ってくる
「こいつは計算外だろう!」
 ソニックの声が聞こえる。迫る雪玉にミサオはそれを見ることしかできない。
(こいつは流石に……『外しちまった』かねぇ)
 そんなことを考えながらあきらめて自分に当たる雪玉を受け入れようとしたとき、ミサオでも、ソニックでもない声がコートに響く。
「カッキーン!!!」
 何が起きているかわからないミサオだったが、体に雪がついていないことに気付くとすぐさま近くのシールドへ隠れる。
「あははー! やっとハンマー使えたよー! たのしいね」
 シールドでミサオを迎えたのは満足そうに笑うフェルだった。
「まさかフェルが」
「そうだよー。僕がカッキーンって雪玉を打ち返したの」
 ピーっとホイッスルの音がなった後ニットの声が聞こえる。
「今のすごいよー! かっこよかった! あと、フェル君が打ち返した雪玉が当たったから君はアウトね」
 ビシッと指さされた生徒は自分の雪玉が自分に当たっていることに気付きコートから出て行った。
「たまたまだけどやったー!」
「まさかミサオさんの動きで二人もアウトにできるなんてね。俺も頑張らないとだね」
「あとは二人ヨ」
 はははっとプラムも笑う。
 予想外の形で二対四になった雪合戦。ソニックも動揺を隠せない。
「偶然にしても出来すぎている。今回も優勝するつもりなのに」
 ありったけの雪玉を持つと最前線まで躍り出て雪玉を投げる。全力で雪玉を投げようと振りかぶったその時、誰かわからないが、如何わしい声が聞こえる。

「んっ、雪が服の中に、取ってくれない?」
「アイヤー。取ってあげるからおいで」
「あっ、どこ触って、そこは違うから」
「ふふ、どこが違うのかちゃんと言わないと判らないナー」

 そんな声に一瞬だがソニックの思考は完全に停止する。振りかぶった体勢で固まってしまう。
「はい。アウトネ」
 そんな隙を逃す訳もなく、アルバリがあっさり雪玉をぶつける。
「はぁぁぁぁ!? そんなのありかよ!」
「ソニック君アウトだよー」
 ニットは苦笑いでアウトを告げた。
 テンポよく脱落者が続出したソニックチームの残り一人は雪玉づくり担当で戦闘能力は皆無の為、戦意喪失。あっさりアウトになり決着がついた。


「優勝はプラム君、アルバリ君、フェル君、ミサオ君の殴り込みチームだよー! まさにダークホース誕生の瞬間だねっ」
 雪で作られた表彰台の上で四人はお互いの健闘を称え合う。
「ミサオさんの翼がなかったら俺たち負けてたね。とても楽しかったよ」
「あのタイミングで演技をかますプラムもなかなかのギャンブラーさ」
「フェルさんのハンマーかっこよかったネー。あれはマネできないヨ」
「アルバリこそ冷静にプレーしててかっこよかったよー! また遊びたいね!」
 そんな会話をしていると表彰が始まる。
「今回の優勝賞品はこれでーす!」
 ニットから渡された箱は雪のように白く、赤いリボンが特徴的だった。
「開けてみて! きっと気に入るから!」
 そういわれ箱を空けると、中にはかわいらしい三段の雪だるまのぬいぐるみが入っていた。目はボタンが縫い付けられ、腕と鼻はしっかりと別の布をつかっているようでカラフルな仕上がりになっている。もちろん帽子もかぶっている。
「どうどう! 気に入った!? 私の手作りだから大切にしてあげてね!」
 こちらに向き合った状態のニットはクルリと振り返り。集まった生徒全員に聞こえる声で叫ぶ。
「今年の優勝はまさかの初参戦チーム! まだ雪合戦やってない人も優勝できるってことだね! 来年も雪合戦しようね!」
 そういった後再びこちらの方を向いたニットは
「最高の思い出をありがとう!」
 と満面の笑みで言った。



課題評価
課題経験:16
課題報酬:450
勇者流?雪合戦
執筆:vurebis GM


《勇者流?雪合戦》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 1) 2019-03-12 22:37:31
俺、本メインなんだけどやばくねえか?
え?雪玉に石入れていい?だめ?だよなー。あっはっは

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 2) 2019-03-13 13:01:11
やぁ。魔王・覇王専攻のミサオ・ミサオだよ。
よろしくたのむねぇ。

威圧感や暴君誕生で妨害の役に立てるかなぁ。
竜の翼で攻撃を回避することもできなくは…
というより、役に立つといえば竜の翼でビルダを見つけて当てることくらいしか?

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 3) 2019-03-13 22:59:44
っつォ!??!?(OFFモードだった為、動揺)
…こんばんはミサオさん。
竜の翼で相手の雪玉投擲を妨害はできるかもね。

とりあえず、一回戦は特に凝った作戦はいらないかなあ。
ビルダさんを煽って姿を見せないかなあーなんて考えてたり。

ソニックたちは、とりあえず動きを止めないとだから…。
うん、思わず動きを止めてしまうような事を俺がしてみようかなぁと思うよ。

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 4) 2019-03-14 15:57:31
まぁソニックら以外は煽るなりして顔を出させて当てる範囲を広げることはできなくもないかな。
オレぁ、【竜の翼】で妨害しつつ【威圧感】で怯ませてみるかねぇ。
妨害の一つに厚手の布を敵陣地で敵にかぶせる方法もありかなぁ。

そういえば、今持ってる武器の一つに【奏風のオカリナ】があったことを思い出した。
これ、「射程内であれば自分を除く味方全員のすばやさを2増やす」みたいだから
しょっぱいけれどないよりはましだと思うから使ってみるねぇ。

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 5) 2019-03-14 16:02:42
あ、そういえば競技用の武器配布だからオカリナの意味なかったわ…

《新入生》 フェル・バルカローレ (No 6) 2019-03-14 21:37:33
話はところどころ聞かせてもらったー!ごめんね!
滑り込み参加のフェル・バルカローレだよ。よろしくー。

誇れる技能がないレベル1だけど僕なりに雪合戦するつもり。
妨害と賑やかし要員かな。たぶん退場しそう。そしたら雪玉作って渡すね。雪を圧縮したかたーいやつ。

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 7) 2019-03-14 22:59:23
あと1時間だけど、一応プランはこんな感じだよって貼っとくね。

【心情】
ギャンブラーたるもの、強い敵と戦うのは嫌いじゃない。
むしろ好きなんだぁ。
大丈夫大丈夫、新参だけどオレらなら勝てるって。
フトゥールム・スクエア雪合戦界のダークホースにでもなろうで。
あと景品は欲しいねぇ!

【戦闘】
妨害メインで戦いつつ、
『竜の翼』で空を飛び高いところから雪玉を投げましょうかね。
もし誰かが自身に雪玉を投げてきたら『竜の翼』で避けたり、武器で雪玉を弾くよ。

妨害で
厚手の布やを敵陣地にいる敵にかぶせて視界を遮ったり
『殴打の構え』で注目を集めたり
『威圧感』で敵を怯ませたり等々、性格の悪さを生かしましょうかね。

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 8) 2019-03-14 22:59:59
ウィッシュは自分の性格くらいしか書いてないや

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 9) 2019-03-14 23:20:55
俺はとりあえず、無理矢理正攻法で行くのはつまんねーなーって思ったから

・ビルダの筋肉を称えて思わずポージングを取りたくなりシールドから出てくるようにする(所謂ボディービルダーのアレ)
・ソニックが思わず動きを止めてしまう行動を取り隙を作る

って感じのプランにした。
隙ができたら二人には雪玉投げてくれたら嬉しいかなー。
もう1時間切ってるんだけど...

《新入生》 フェル・バルカローレ (No 10) 2019-03-14 23:54:05
さっき言った以外はハンマーで雪合戦するだけだなあ僕……。邪魔にならないようにはするね。

ん、了解。プランに「味方の作戦、行動で隙が出来たら雪玉を投げて攻勢に出る」って書いてきた。協力は惜しまないよ。
さて、残り数分で出発だね。あらためて試合ではよろしくー!