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ワシズアユム GM 

はじめまして、ワシズです。このたびGMとして参加する事となりました、よろしくお願いいたします。
小さな日常の大きな事件(あるいは大きな悩み)が大好物ですので、そんな雰囲気のシナリオが多めになるかと思います。どうぞお楽しみいただければ幸いです。

ーーーー以下随時追記

担当NPC


メッセージ


根が野次馬かつ何でもやりたがるという悪癖を持っていますので、小説賞の公募や小説関連のオンラインイベント、各種小説投稿サイトやSNSなど、あっちこっちに出没しています。
1.「ワシズアユム」あるいは「わしず」名義である
2.連絡先にワシズのツイッターIDの登録がある
(3.ツイッターのアイコン画像を各種アイコンに使用している)
以上の条件が二個以上重なっている場合、ほぼ間違いなくワシズ本人です。人見知りはありませんがけっこうなビビりですので、見かけました場合は生ぬるく見守っていただくか、ちょっと様子を確認したのちお声がけいただければ幸いです。

作品一覧


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サンプル


 相当に古い木箱にうやうやしく収まったそれをしばらく眺め、学園教師、リアナ・エスペルは思わず息を吐いた。まったく気の進まないこと甚だしい。だが、引き受けたからには全うするのがプロの仕事としたものだろう。
 かたん、と音を立てて木箱の蓋はリアナの手により閉じられる。と同時に、ノックの音がして、リアナの在室を確認する若い声がした。
「入りなさい」
 リアナが声をかけると、失礼します、と声にして、彼女の教え子が数人入室した。雇われたはいいものの、リアナは週の半分、否、もしかすると大半は学園にいない。教師とあおいでくれているのかはさておくとして、そんなリアナの呼びかけに応じてくれた彼ら彼女らには感謝しかなかった。
「諸君、よく集まってくれた」
 いえ、と謙遜する声には微笑みひとつを返し、リアナは要件を教え子に告げた。
「今日は諸君に頼みがある。学園教師、リアナ・エスペルからの依頼だ。まずはこれを見てほしい」
 そう言ってリアナが木箱の蓋を開けると、わあ、と堪えきれなかったのだろう歓声が一音響いた。目が感動にきらきらと輝いている。その初々しい感性に、リアナは思わず、もう一つ「ふふ」と微笑んだ。
「綺麗な石だと思うだろう。ルビーのような、炎のような、琥珀のような。だが、これは卵だ」
 え、と一同の目が丸くなる。また戻ってきた気の進まなさをなんとか表情までと押し殺して、リアナは説明を続けた。
「私の知人に、首都の豪商、ハーメル・ダニエソン氏の親族がいてね。これはそのダニエソン氏から預かったものだ。これは氏の屋敷の屋根裏から出てきたもので、氏はこの卵の正体が知りたい、とおっしゃっている。正体がわかった暁には、たっぷり謝礼を出すと豪語しているそうだ」
 堪えきれなかった気の重さが、ため息となってこぼれた。せめてこれ以上はと、木箱の蓋と一緒に、リアナは感情に蓋をした。
「まあ、たっぷり、という部分は眉唾だと思うがね。それでも仮にも貴族様だ、我々の思う相場よりは、多めに支払ってくれるだろう」
 先生、と声がした。リアナがそちらを見ると、見覚えのあるようなないような生徒(申し訳ないが教鞭を振るう時間が少なすぎて、だいたいの生徒にはそんな認識しかない)が、おそるおそるという風情でリアナに問うた。
 先生は、ハーメル氏に、何か思うところがあるのですか。
 なんとも率直な、とは思うが、これもまた、恐れを知らない初々しさゆえだろう。
「……君は鋭いね。そうだ、私はハーメルを快く思ってはいない」
 一度こぼれてしまうと、本心はぽろぽろとあふれだすものだ。諦めて、リアナは自身の心境を吐露した。
「あの男は金のためなら、法に触れないが非人道的なことも、平気で行う男だから。この卵も、見ての通り、高価で希と一目でわかる品だから、正体がわかれば更に値を吊り上げられる、一儲けできると踏んでの依頼だろう」
 はあ、と息を吐いて、リアナはこの辺りで愚痴を止めることとした。
「この卵にとって、ハーメルに正体を知られることが幸せなのかとは思うが、依頼は依頼だ。受けることにしたはいいものの、今日になって火急の懸案が入ってね。下調べをしている時間がなく、諸君らを呼び出した、という訳だ」
 リアナは自身の教え子を見た。彼らの表情は、ぴりと張り詰めた、真剣なものに切り替わっていた。微量の緊張が混ざっているのが全く初々しいが、頼もしいことだとリアナは三度笑んだ。
「生徒を顎で使うようで恐縮だが、諸君には私の代わりに、この卵の正体を探ってほしい。私はだいたい二日ほどで戻る。戻ったら、まずは私に、卵の正体を伝えてくれ」
 にっ、と笑い、リアナは最後にいたずらっぽく付け足した。
「この件が一段落したら、私からも謝礼を出そう。検討を期待しているよ」