やあ、初めまして。 ……あ、怖がらないで、僕悪い幽霊じゃないよ!
僕はトリステラ・トラボルタ。 見ての通り、もう死んでるから人畜無害だよ。 生者は死者を恐れる必要なんかない。 だってもう何もできないもの、アハハ。
とはいえ判断材料は必要だよね。 といってもほとんど憶えてないんだけど。
出身地は……たぶん、港町。 年は……ごめん、もうわからない。 ……ん? 僕はれっきとした女だよ。 口調が妙な気がする、かい? 君たちからすると古い言い回しだったりするのかもね。
好きなことは……本を読むことと歌うことかな。 もちろん、その道の人には全然かなわないけど。
なんせ死んでるから、戦ったりとかはからっきしだけど、 古い文献とかを見つけたら持ってきて。僕は詳しいんだ。 もしかしたらそういったものの中に魔王の意外な弱点の ヒントがあったりするかも知れないだろ? 古くして残るものにはそれなりの理由があるのさ。
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◆昔々あるところに、それは大きな灯台の立つ港町がありました。
『――気がついたらそこにいて、灯台を見上げてたんだ。 灯台の根本には小さい石碑があってね。 昔あった、その灯台がらみの事故にまつわるものらしくて。 それでなぜかわからないんだけど、 すごく直感的に「あ、これは僕の墓だな」って思った。 そう、なんかもう死んじゃってたんだ、僕。 道理で地に足つかない心地なわけだ、ってね』
◆今現在の名前(仮名?)は朽ち果てた石碑の一文であった 「トラボルタ家の悲劇(トリステーザ)」と、 灯台から見た夜空に輝く「三つ星(トリステラ)」をもじったもの。
◆かつては学者か冒険家を志し(ていたような気がし)ており、 今でも古い時代の言葉、石碑などの文献の解読、 伝承や物語の知識などの民俗・語学方面の造詣が深い。
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