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おお、花嫁よ!



ストーリー Story

 ――結婚……結婚は人生の墓場だ……――。
 耳元で、だれかが囁く。
 幸せな結婚式前のこの時期に、輝く未来へ墨汁を垂らす、不穏な囁きを。
 ――どうせ結婚したら化けの皮が剥がれるさ……旦那は嫌な男かもしれないぜ……――。
(そんなことないわ。彼は優しいもの)
 ――祝ってくれてても……友達は内心嫉妬してるんだ……結婚したらみぃんな離れてく……――。
(やめてよ。どうしてそんなことを言うの)
 ――やめてしまえよ……独身の方が気楽だぜ……――。
「やめてよ!」
 甲高い、自分の悲鳴で目が覚める。
(夢……?)
 荒い息を整えながら、寝室を見渡す。
 何の変哲もない寝室。
 いつも通りの風景。
 そのことに、少しだけ安心する。
「ふぅ……」
 額から流れ落ちる汗はシーツに染みる。
 彼女はもう一度眠ろうと、して。
「き」
 はた。
 横向きに入った布団。
 ベッド脇にいた、それと目が合った。
「きゃああああああ!!」

「毎日雨でじめじめして……。嫌になりますねぇ」
 魔法学園『フトゥールム・スクエア』。
 梅雨のじめっとした空気に顔を顰めながら、受付窓口まで集まった生徒たち。
 しかし、彼らよりももっと顔を顰め、一層不機嫌そうな者は、彼らと正面から対峙する受付職員。
 頭痛持ちなのだろうか。
「雨と言えば、今はジューンブライドの時期ですね」
 ジューンブライド。
 梅雨のこの時期に結婚すると、一生幸せになれると言う、幸せな言い伝え。
 職員は一層、苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。
「そのジューンブライドにかこつけて、人の幸せを踏みにじる魔物が出ているんですよ」
 なんだと、それは許せない。
 生徒たちが憤慨すると、そうでしょう、そうでしょう、と職員も何度も頷く。
「その魔物は、『ブルー・マリッジ』。結婚が決まった花嫁に、結婚に対するマイナスイメージを夜な夜な囁き、記憶に植え付ける魔物です」
 なんて悪質な。
 聞けば、中にはそれが原因でマリッジブルーに陥る花嫁や、結婚自体を取りやめた花嫁もいるらしい。
「その魔物はどういった容姿を?」
 絶対に許せない。
 怒りをそのままに特徴を聞くと、職員は指折り、特徴を伝える。
「黒いシルクハットを被り」
「ほうほう」
「手にはステッキ」
「紳士かな?」
 話を聞くひとりが、手帳にメモを取っていく。
「劇画風の太い眉に」
「劇画……」
「きりっとした濃いめの両目」
「……はい」
「くるんと外側に渦を描くちょび髭を生やした」
 メモにはいつの間にか絵が描かれている。
 なんとなく、紳士のような……百戦錬磨の猛者のような姿見だ。
 生徒たちは最後の特徴を聞いた。
「卵型の魔物です」
「イースターはもう過ぎ去ったよ!」
 生徒の突っ込みに、はっはっは、と職員は笑う。
「以上が、ブルー・マリッジの外見的特徴になります。花嫁に対する精神的な攻撃が主攻撃で、物理的な攻撃力は皆無と言っていいでしょう。割ればいい目玉焼きになりそうですね」
 朗らかに言うものの、職員の目は笑っていない。
 苦笑いで返した生徒は、そっと目線を逸らした。
「現在確認されているブルー・マリッジは8体です。奴らは、この教会をねぐらにしているようです」
 渡された地図をしっかりと確認していると、職員からそれから、と声がかかる。
「ブルー・マリッジについて重要なことをお伝えしますね。この魔物は、結婚式前の花嫁か、花嫁姿の者にしか目視できません」
 うん? 生徒たちは首を傾げた。
「なら、どうやって……」
 職員はにっこりと、無言のまま一着の服を取り出す。
 白のフリルやレースで厚みを持った、ふわっふわでふりふりな、純白のドレス。
 紛うことなき、ウエディングドレス。
「あの、これ……」
「全員分あります」
「いや、だから……」
「女性も男性もそうでない方も、全員着て行ってください」
 渡された、もとい押し付けられたウエディングドレスを手に、困ったように顔を見合わせる生徒。
 職員は笑っていない目で、ふふふふと笑った。
「検証のために私も着たんですよ……。まったく、人の幸せを祝えない魔物なんて、いなくなってしまえばいいのに」
 魔法学園『フトゥールム・スクエア』学園窓口受付職員【ウケツ・ケ】。
 彼は存外、根に持つ男だった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-06-19

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2019-06-29

登場人物 8/8 Characters
《模範生》リコリス・ライト
 エリアル Lv9 / 賢者・導師 Rank 1
初めまして 賢者・導師専攻のリコリス・ライトです。 身長153㎝ 体重43㎏ 好きな事は、読書とお菓子作り(後片付けします) お掃除です。 嫌いな物 汚い部屋 性格は、優しく、余程な事がないと怒らない 自衛ができ騙され難い 口調 中の良い友人には、~よ~ねと言う 他の人には、敬語で話す 体系 胸はぺったんこ足がすらっとしてる アドリブ大歓迎です
《新入生》ケイ・アカツキ
 ヒューマン Lv5 / 勇者・英雄 Rank 1
母に薦められるがままに学園へ入学する事になった少年。 根は真面目であり、人並みの正義感と良識を持つ。つまりどこにでもいるような比較的平凡な少年。 周囲で困り事があればつい首を突っ込み、頼まれ事をすれば断れない性格な為、必要以上に頭を悩ませる事がある苦労人気質な面もある。 言動に関しては自身を下に見がちな根っからの「後輩キャラ」 学園生活の中でも上級生はともかく同学年に対しても「先輩」呼びで接する事が多い。 学園に入るに至って明確な目標はなく、とりあえず入学させられたという認識もあって行先に不安を感じている。 とりあえず母に薦められたし頑張ってみるかで当面はその時その時の行動で目標を決めている様だ。 母親似の為か年齢の割に幼く見える外見と中性的な顔立ちをしている。 平均よりも低めの身長と相まって男扱いよりも女扱いされる事もあったが本人はあまり気にしていない。 むしろ状況次第ではそんな自分の容貌もとことん利用する強かな一面もある。 上記にある「先輩」呼びが多いのも後輩から年上として見られた事が滅多にない環境故の処世術の一つでもあった。 「容姿とは一生の付き合いであり、持って生まれるものなのでケイさんはそんな自分を卑下する事はないのだよ」とは本人談。 ただしあんまりしつこいと流石にキレるので程々に。
《やりくり上手》ルーノ・ペコデルボ
 カルマ Lv10 / 村人・従者 Rank 1
【外見】 褐色肌 丸関節 眼鏡 銀髪外ハネ短髪 赤目 紋章は右手の甲と左目 【性格】 感情が余り出ないが無い訳じゃない 合理的 上からの命令に従順 入学の一番の目的は『感情を理解して表に出す事』 家事が得意 【備考】 人間と同じになりたい願望があるのか普段は手に手袋をつけている 見られるとちょっとだけ罰が悪そうな顔をする ※アドリブ大歓迎!
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《ゆうがく2年生》ドライク・イグナ
 ルネサンス Lv14 / 村人・従者 Rank 1
「あっしはライク・・・そう、ライクって呼んでほしいっすよ」 一人称は『あっし』『ライクさん』 二人称は『そちらさん』『~のにーさん』『~のねーさん』 ドラゴニアの方限定で『未来の我が主』 ただし、レダさんに限ってはホイッパーのにーさん 語尾は~でヤンス、~でゲス、~っスと安定しない。 三下ムーブ。 笑うのが苦手 身長:180㎝ 体重:85kg前後 好きなもの:自分を特別扱いしない人、自然に接してくれる人、美味い食べ物 苦手もの :家族、集落の人々。自分を持ちあげてくる人。 嫌いなもの:まずい食事。自分の名前。 趣味は筋トレ、狩り、釣り。 サバクツノトカゲのルネサンス 感情が豊かで涙もろい・・・が種族の特徴なのか能力が暴走しているのかよく血の涙を流す。 その血に毒性はないし、勢いよく噴射することもできないが血には変わりはないく不健康そうなのは常に貧血気味のため。 シリアスはホラーにコメディではカオスになる? ちょろい。よく餌付けされる。 将来の展望は特になく卒業までに何かしらの職につけるだけの技能を習得出来たり、ドラゴニアの主君を得られればラッキーくらいにしか考えてない。 祖流還りによる必殺技は『毒の血の涙(目からビーム)』 そこそこの量の毒性を持った血液を相手に向かって噴射する。 自分は貧血になりぶっ倒れる。 相手はびっくりする。血がかかったところが痒くなる。
《やりくり上手》フィアナ・フォレスター
 エリアル Lv3 / 王様・貴族 Rank 1
●外見 サラサラとした金髪のストレートロングヘアー 肌の色は色白 スタイルはグラマー 外見年齢は20歳くらい 身長は168㎝とやや高い 体重は…普通より軽め ●内面 比較的おおらかで優しい性格をしている 実際の年齢は18歳 交友関係がほぼないので友人を欲しがっている傾向にある 当然恋愛なんてものは知らない
《ゆうがく2年生》アリア・カヴァティーナ
 アークライト Lv14 / 村人・従者 Rank 1
 幼い頃から聞かされてきた英雄譚に憧れて、いつしか勇者さまを導く人物になりたいと願ってきた。  その『導き』とはすなわち、町の入口に立って町の名前を勇者様に告げる役。  けれども、その役を務めるということは、町の顔になるということ。この学校でたくさん学んで、いろんなことを知ることで、素敵な案内役になりたい!  ……それが自分の使命であると信じて入学したけれど、実のところ勉強よりも、花好きが高じた畑いじりのほうが好きだったりする。そのせいで、実はそこそこの力持ちだったりする。  たぶん、アークライトの中ではかなり変人なほうなんだと思うけれど、本人はあんまり気にしていない模様。  基本的に前向き……というか猪突猛進なところがある、かも。

解説 Explan

 結婚式前の花嫁に対し、卑劣な精神攻撃を行う魔物、『ブルー・マリッジ』の討伐をお願いします
 ブルー・マリッジは結婚式前の花嫁か、花嫁姿の者にしか目視できません。
 そのため、結婚衣装の定番、ウエディングドレスを着て、討伐してきてください。
 ええ、女性も、男性も、どちらでもない方もです。

【魔物について】
『ブルー・マリッジ』
 結婚で幸せになろうとする女性に対し、不安を抱くよう夜な夜な囁き続ける魔物。
 黒いシルクハットを被り、ステッキを手に持ち。
 劇画風の太い眉にきりっとした両目とくるんとしたちょび髭を持つ、卵型の魔物。
 ウケツ・ケ曰く、いい目玉焼きになりそう。
 物理的な攻撃力は皆無。
 耳元で、花嫁の不安を誘うような囁きが主攻撃。
 とある教会をねぐらにしている。
 全部で8体。


作者コメント Comment
 ウエディングドレスの時期ですね∈( ºωº )∋。
 この時期は、じめじめしていてアジサイが綺麗です。
 今回はウエディングドレスを着る依頼になります、違います。
 綺麗な花嫁を見たい方は、ぜひ!
 ネタ的花嫁を見たい方も、ぜひ!
 とにかくウエディングドレスを着せたいという方も、ぜひ!


個人成績表 Report
リコリス・ライト 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
目的
ブルー・マリッジの殲滅(料理)

手段
動き安いドレスにきがえて、待ち伏せて現れたらマドガトルで威嚇、
倒せたら僥倖
倒せなかったら援軍が来るまで耐えるよ
戦闘終了後に救急箱、リーラブで怪我人の治療をします

心情
幸せになるはずの花嫁を不幸にするなんて許せない
お仕置きしなくちゃね


アドリブ大歓迎です。

ケイ・アカツキ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【準備】
ウェディングドレス着用
ハイヒールは一度試してみたが断念し、ヒール無しのものを履く(予想以上に動き難かったらしい)
膝上ほどのミニ丈のスカートでデザインされている(ミニスカなのは動き安さ重視)
上は胸元が開いてるのみ、肌の露出は少なめである。(当然詰め物なぞしないのでペッタンコである)

【行動】
接敵時、基本的に一対一で戦える様に誘導する。
恐らく協会内での戦闘になるので「立体機動」を利用し、屋内戦を行う。(ミニスカだけどそこにチラリズム)
剣の投擲も積極的に狙う、回収が間に合わないなら「徒手空拳Ⅰ」を使用。
出来るだけ攻勢を絶やさない様にし、敵の精神攻撃が動きを乱す前にケリをつける事を目指す

ルーノ・ペコデルボ 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
でっかい卵を使い美味しい料理を振る舞う

【行動】
事前に風呂場にめんつゆを入れておく

ミニウェディングドレスを着て寝て女性の出現状態を再現
出てきたら優しく手を取り風呂場に連れていく

体を綺麗に洗い、めんつゆを張ったバスタブに卵を入れる
出てきそうになったら実力行使でいれ続ける

煮卵になるまで待ちましょう

【心情】
無料で卵が貰えるんですね
ならウェディングドレスに着替えて調理しますか
出会った女性の条件を再現して
卵を旦那様としてもてなし
めんつゆ風呂を薬湯と称して入れます
出てこようしたら実力行使
火力が足りないなら『プチヒド』です

入れる前に卵の体を洗います
衛生的な意味で(真顔

旦那様、体を洗いましょ?(首傾げ

プラム・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
言葉で花嫁を攻撃をするなら、言葉で人を導く修道士として俺も言葉で戦いを挑むよ。

先ず、マーメイド型のウエディングドレスを着て【化粧品セット】【変装】でメイクを施し白の長髪ウィッグを被る。

そして、ブルー・マリッジと1対1で相対する為に皆と別の部屋で一晩過ごす。

後は花嫁の【演技】をする為に仮想花婿としてアルバリを設定しよう。
アルバリは俺の友人。今回居ないけど。

後は、ブルー・マリッジが現われたら【心理学/人心掌握学/会話術/早口】で敵の心を言葉で殻ごと砕いてしまおう。
中身が飛び散ってドレスが汚れないように【危険察知】で警戒しておこう。

だって、すべてが終わったら花嫁は花婿の元へ向かわないだからね?フフ。

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
幸せそうな人になんてことを…それは退治しないとね
……え?俺もドレス着るの?マジで?

・着る服
前がミニ、後ろはロングの前ミニウェディングドレス
頭には白のヴェール
膝上までのストッキングに花レースのガーターベルト
靴は白をベースに翡翠色の花飾りがついたヒール

なお戦闘前にタップシューズ(靴底に鉄の板がついたもの)に履き替える

・行動
敵出現時に【ダガーステップ】
囁きを一通り聞いてから靴でおもいきり踏む
「あぁごめん、あまりにも耳障りだったからつい」
【純白笑顔】後、サイレントスラッシュ
「踊り」「緊急回避」を応用した動きでドレスを傷つけないように
ダガーでダメージを与えながら蹴りも取り入れる(靴の耐久実験)

ドライク・イグナ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
その場に居合わせただけなのにウェディングドレス着る羽目になるとは思わなかったっスよ
それもこれもブルーマリッジって言う得体のしれない魔物が悪いでゲスな!
逆に嫌な気分にしてやるっスよ
・・・にしてもここにいる大半が男だと思うんすけど皆に合うっスね
新しい何かがち、違うっス!
あっしはノーマルでヤンス!

取り敢えず普通にドレスで横になっておびき寄せた後に逆に結婚してから起こるかもしれない男性目線で嫌なことをいうでゲスな!
嫁さんに預金通帳って言われたり、娘が出来てもパパ臭いだとか、洗濯物一緒に洗わないで!だとか言われたり・・・
なんか自分でいってて心が居たくなってきたでヤンスよ

その後槍で一突き出来たらいいなぁ

フィアナ・フォレスター 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
・ルーノ様の所へ連れていく

◆プレイング
・軽くて薄いピンクのレースのウェディングドレスと、白いハイヒールを履こうと思っています(普段からドレスを着ているので大丈夫です)
・ベッドに横になって出てくるのを待ちます
・魔法感知でゆっくり起き上がります(びっくりする事はないと思います)
・魔法感知できなくても起き上がります
・ルーノ様がお風呂場で何か行うそうですので、抵抗されないように優しくゆっくりと連れていきます
・ルーノ様がお風呂場で何かを行っている間は、外に出て見ないようにします
・ルーノ様の作業が終わった後は、ルーノ様についていきます
・その後はルーノ様を手伝います

アリア・カヴァティーナ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
素敵な結婚式は、みんなの憧れですわ!
ですのに、そんな嘘八百で花嫁をおどかすなんて、質の悪い魔物もいたものですわ!

花嫁の幸せと悲しみを力に変えるため、丸太に白チョークで顔と礼服を描いて花婿人形に仕立てて、小脇に抱えて愛する2人になりきって待ちますわ!
(空想上の)彼との愛と信頼の力が現実としてここにある以上、魔物の囁きに忍耐するのなんて簡単!
それどころか逆に、2人の初めての共同作業アタック(=丸太で殴打)で通常反撃ですわ!

わたくしたちのラブラブっぷりは、魔物たちを嫉妬させ、集中攻撃される原因になってしまうかもしれませんわ!
でも、愛には自己犠牲がつきもの!
哀れな2人の姿が皆さまを奮わせるはずですわ!

リザルト Result

「幸せそうな人になんてことを……」
 ブルー・マリッジの悪行に絶句したのが昔のことのよう。
 それは退治しないとね。そう決意を固めた【シキア・エラルド】の目の前に突き出されたウェディングドレス。
 ぱち、ぱち。理解が追いついていない頭で、まばたきを何度かする。
「……え? 俺もドレス着るの? マジで?」
 ようやく理解した頃には、彼は更衣室に押し込まれていた。

「その場に居合わせただけなのにウェディングドレス着る羽目になるとは思わなかったっスよ」
 【ドライク・イグナ】はずーん、と背後に縦じまの青暗い背景を背負う。
 ドライクが着ているのは、【ウケツ・ケ】に渡されたフリルたっぷりの可愛い系正統派ウェディングドレス。
 がに股で着るドライクは、雄味たっぷり、似合って……なくはない。
 ただ、周囲の花嫁(男)たちに比べると、雄感が全面に出されているだけで。
「それもこれもブルー・マリッジって言う得体のしれない魔物が悪いでゲスな! 逆に嫌な気分にしてやるっスよ!」
 嫌なことがあってもある程度は平気だもん! 忍耐で耐えられるから!
 血涙の幻影を流すドライクは、それにしてもと、着替えが終わった面々を見渡す。
「ここにいる大半が男だと思うんすけど皆似合うっスね」
(それにしても大半が男性なのにみんなノリノリでドレス着てるっスよね。あっしが普通っすよね? 普通、嫌がるもんっすよね?)
 新しい何かが開きそう。
「ち、違うっス! あっしはノーマルでヤンス!」
 ひとりで自分に突っ込みを入れるドライクは、既に面々が行動を起こし始めたことに気が付かなかった。
「……はっ! 皆はどこに!」
 ドライクは慌てて教会の入口、みんなの後を追った。

「うん、やっぱりヒールなしの方が動きやすいな」
 【ケイ・アカツキ】は、教会内の鏡を前に、ひらりと一周ターンを決める。
 露出の少ない、上品ながらも愛らしいミニ丈ウェディングドレス。
 ケイのぺったんこのロリ体型を殊更愛らしく見せてくれる。
「我ながら着こなせてるじゃないか」
 満足げに頷くケイ。
 ただし男だ。
 ただし男だ(大事なことなので二回)。
 鼻歌でも歌いそうな愛らしい様子で、くるくる回り、ふわふわ裾を浮かべるケイ。
 その背後に不審な影が。
「来たっ!」
 ばっと振り向くケイの視界に入ってきたのは、大きな卵がふたつ。
「嗚呼、可哀想に! その年で人生の墓場に入らなくてはならないとは!」
「アア、トテモ哀れダ! まだ幼いのニ、ソノ身を家庭に捧げなくてはならないトハ!」
 卵のひとつは渋いバリトンボイスで語り、卵のひとつはきんきんと甲高いソプラノボイスで悲哀を歌う。
 とても耳障りな、下手なオペラを聞いている気分だ。
 ケイはそっと耳を塞ぐ。
(二体、厄介だな……)
 耳を塞いだその表情の下で、ケイは勝算を計算する。
(先手必勝!)
 ひらり。裾を翻し、軽やかに逃げ出すケイ。
 目論見通り、ブルー・マリッジは追いかけてくる。
 ……が。
「二体同時じゃなくていいんだよ!」
 一体でいい、一体で。
「ああ、もう!」
 こうなったら、まとめてやるしかない。
 ケイは振り返り、すらり、剣を引き抜く。
「可哀想に!」
「カワイソウに!」
 耳障りな二重奏は、ケイの眉間にしわを寄せる。
 剣を持つ手に力を入れた、その瞬間。
「なーんであっしのところには来てくれなかったんっスかね!」
 ドライクが槍をぶん回しながら乱入してきた。
 相変わらず雄味の激しいドレス姿だ。
 ブルー・マリッジの姿が見えているところによれば、一応対象のようだが。
 ドライクはベッドに横になり、出現状態を再現していたのにもかかわらず、ただの一体も枕元にも足元にも出現しなかった。
 どうしたことかと様子を見に来れば、なんのことはない。ケイに二体群がっていた。
 花嫁姿が似合いすぎるのも男としては複雑なのだが、似合わなすぎるのも血涙ものということが身に染みる。
 ドライクが間に入ったことにより、ブルー・マリッジは狼狽える。
 その隙に、ドライクは槍でがつんがつんと突いていく。
 卵型の体躯を存分に生かし、ころんころん転がるブルー・マリッジ。
「中々男勝りな花嫁哉! さては旦那は弱気だろう! 稼げるか不安であろう?」
 そんな中でも悪印象を植え付けようとするブルー・マリッジはさすがと言うべきか。
 ドライクは憤慨する。
「結婚は悪いもんだって花嫁に言いふらしているらしいっスけどねぇ! 男側にだってキッツいことはいっぱいあるんっスよ!」
 がんっ!
 槍が卵のすれすれを通過する。
「例えば嫁さんに預金通帳って言われたり、娘が出来てもパパ臭いだとか、洗濯物一緒に洗わないで! だとか言われたり……!」
 うっ。ドライクは自分の胸を抑える。
「なんか自分で言ってて心が痛くなってきたでヤンスよ」
 よく見ると、ブルー・マリッジも同じ動作をしている。
 同じ痛みを共有して、『お前とは仲良くなれそうだ。展開』が待っているのか。
「それはそれとして、討伐対象なんでゲス」
 ぱぁん。
 ブルー・マリッジは慈悲なく割れた。

 距離が離れたその隙に、ケイはもう一体を片付けにかかる。
 縦横無尽に、立体を利用して動き回るケイに、ブルー・マリッジは翻弄される。
 飛んで、跳ねて、逆さになって。
 ひらりひらりとチラリズム。
 タイツ越しとはいえ、ミニスカで足をさらけ出してるケイ。
 気にはするけれど、だが見えない!
 これが噂の鉄壁スカート!
「別にどうこうはならないけれど、つい気にしてしまうのはこんな格好故か」
 思案気に呟くケイの、視線は眼下のブルー・マリッジへ。
「これでも喰らえ!」
 ブルー・マリッジの間を通過する、本日何度目かの投擲剣。
 からん、床に落ちる剣は、ブルー・マリッジの遥か向こう。
「あ、回収が」
 回収が間に合わない。
 ケイはぐ、と拳を握る。
「投擲が間に合わないなら!」
 だっと走り出す。
 すれ違いざまに、ブルー・マリッジに拳を叩き込む。
「物理で!」
 ぐしゃり。ブルー・マリッジは潰れた。
 物理は最強。はっきりわかんだね。

「お疲れっス」
「お疲れ様です」
 お互いにハイタッチ。
 ところで。ドライクは神妙な顔で問う。
「ケイのにーさん、男っスよね?」
「え、はい」
 ドライク、無言でドレスを剥ぎ取りにかかる。
「ちょ、先輩?!」
 性別を確認したいらしい。気持ちはわかる。
 当然のようにケイ、全力で抵抗する。
 しかしスカートを抑える手の仕種、脚が内股な所などやけに女子っぽい気もするが、男である。多分。
「あっしはノーマルなんっス! 性癖歪めないで欲しいでヤンスよー!!」
「やめ……やめろー!」
 ごつん。
 ケイの拳がクリーンヒット。
 きゅう。倒れるドライク。
 ケイは拳を宙に掲げた。
 物理は最強。はっきりわかんだね(二回目)。

 何物にも染まることの無い純白のドレス。
 ドレスから覗く、褐色の肌の対比が艶めかしい。
 短い丈のドレス、愛らしいその裾から、ちらりと太ももを覗かせる。
 熱くなる身体、じわりと浮かぶ汗。
 つぅ、と額から伝う汗が目に入る。痛みで浮かぶ涙は生理的なもの。
 ぐ、と手の甲で涙を拭う花嫁は、めんつゆを手に、湯の温度を確かめる。
 褐色の花嫁、【ルーノ・ペコデルポ】は現在、風呂場にいた。
「……よし、いい温度」
 温度がお気に召したらしいルーノは、めんつゆを湯船にだばぁする。
 香ばしい、かつおだしの香りが浴室に充満した。
「旦那様、お手をどうぞ」
 戸惑いながら浴室へ入ってきたのはでかい卵。
 何を隠そう、ブルー・マリッジその者だった。
「カツオ出汁の匂いがするナ」
「カツオダ=シオイシ草という薬草を使った薬湯です。疲労回復によいと聞いて、ぜひ旦那様に使ってほしかったのです」
 ほんの少し前、隣の寝室で、波打つシーツに包まれて寝転がるルーノの元に姿を現したブルー・マリッジ。
 ルーノは彼を旦那様と呼び、戸惑うブルー・マリッジを浴室へと連れてきた。
「旦那様、体を洗いましょ?」
 こてん。首を傾げるルーノの言うままに、ブルー・マリッジは磨き上げられる。
 もちろん、衛生的な意味で。
 磨き上げられたブルー・マリッジは、そのまま浴槽へ入れられる。
「……ム、熱くはないか?」
「いいえ、ちょうどよい温度と思います」
 こっそり小さな火の玉を湯に足してさらに温度を上げる。
 熱い、熱くない、熱い、熱くないの応酬の末、ついにブルー・マリッジは動かなくなった。
「……旦那様、とても硬くなっておいでですね……」
 ルーノはす、とブルー・マリッジであった卵に手を触れる。
「とても美味しそうな、煮卵になっておりますね」
 湯にも花嫁にものぼせ上ったブルー・マリッジの末路は、美味しそうな煮卵だった。

 ッカァン!
 ヒールの音が甲高く鳴る。
 教会の一室、彼らはそこにいた。
 白く長い髪を揺らす花嫁は、マーメイドラインのウェディングドレスを美しく着こなす。
 ステンドグラスの色とりどりのガラスが、月明かりに透ける。
 美しく、幻想的なこの部屋で、一対一で相対する、純白の花嫁と卵のブルー・マリッジ。
 なんと美しい風景だろう。まるで絵画のようだ。
 だがしかし。忘れる事勿れ。
 かの純白の花嫁は、【プラム・アーヴィング】、その人。
 そう、男なのだから――!
「なぜ結婚しようとする? 結婚なんて、何もいいことはない」
 始まった、ブルー・マリッジの精神攻撃。
 プラムはすぅ、と息を吸うと。
「結婚、結構! 月光輝く、夜中に何か用?」
 純白の花嫁、プラム! いきなりラップバトルを仕掛けてきた!
「引きこもりエッグモンスター。引き続き一生ネンネしてな!」
 韻を踏むプラム、その迫力にブルー・マリッジも押され気味だ。
 プラムのその手には。
「チキン以下! 殻を破れないなら、ママの中に戻りな」
 チキンが握られている!
 拡声魔法石の代わりなのか、夕飯の残り物、骨付きチキン(一本298G)が握られている!
 なぜだ! なぜチキンなんだ!
「ヘイヘイ、ちょっと待てやお嬢さん。若い身空で身投げか? 似たようなもんさ!」
 ブルー・マリッジ、こちらも負けていない。
 手にはステッキ、拡声魔法石の代わりに口元に持って行く。
「若妻! ロリコン! ろくでもねえ旦那! 持って苦労するぞ、常考!」
 ぴき。
 イラっとした音がした。
 プラムのこめかみから、そんな音が聞こえそうなほどには、目に見えてイラっとしている。
 細目のあの笑みを思い出し、プラムは不敵な笑みを保ち、チキンを構えて応戦する。
「花婿、不敗、底なしの商人! お前、腐敗、中身なしの商品!」
 ブルー・マリッジにビシっと指を向ける
「陳列されねえ陳腐な物体、相手にされねえ醜悪な身体! 期限切れ、即廃棄ダストボックス! 十字切れ、即破壊Egg shell!」
 上がる息。
 互いの顔には達成感。
「ヘイ、マイブラザー」
 がっしり。固い握手を交わし、感動的な雰囲気を残す。
「まあ、倒すんだけどね」
 プラムに情け容赦はなかった。
 放った魔法の球は殻を貫通する。
「アギャア!」
 一度の悲鳴。
 それきりブルー・マリッジからの返答はなかった。
 まるでただの卵(顔付き)のようだ。
「と、汚れないように踏まないでおこうか」
 だって、すべてが終わったら花嫁は花婿の元へ向かわないとだからね? フフ。

「意外と、重い……」
 前方は短く後方は長い、全体的に布量は少なそうに見えるフィッシュテールスカートでも、思った以上の重量がある。
 シキアは吹っ切れた。
 現在の彼は、最早好奇心で動いていると言っても過言ではない。
(それにしても、ドレスって色んな種類があるんだね。勉強になるな……)
 女装の勉強だろうか。
「いや普段でも女装しないよ!?」
 教会の一室に、シキアのノリツッコミが響いて消える。
 否、拾った招かれざる客が一体。
「花嫁生活は楽しみですかー?!」
 奇声を発しながら、ブルー・マリッジが天井から落ちてきた。
 そのまま潰れてしまえばよかったのだが、卵型という重力に対して抵抗が難しい形状をしておきながら、綺麗にくるくると弧を描き綺麗に着地した。
「お楽しみにしているところほんっとうに申し訳ない! わたしは結婚生活のつらい現実を伝えに参りました!」
 きんきんと耳障りな声で捲し立てるブルー・マリッジ。
 シキアはそれを黙って聞く。
「まず男女平等を謳いつつ、家事を押し付けられるのは大体嫁側! 旦那は帰宅後、飯、風呂、寝る!」
 シキアの口角が上がっていく。
「そんな我慢の生活が、バラ色の結婚生活と果たして言えるのだろうぶげらっ!?」
「あぁごめん、あまりにも耳障りだったからつい」
 シキアの履くヒールが、翡翠色の花弁を揺らし、ブルー・マリッジの顔面を踏みつける。
「というわけで、俺の短剣術の練習台になるのと、タップシューズの耐久実験に付き合うのとどっちがいい? ちなみに俺のオススメは両方」
 脚力には自信あるよ? ……なんてね。
 シキアは笑顔だが目が笑っていない。
 返答は、ブルー・マリッジの悲鳴に掻き消えた。

「素敵な結婚式は、みんなの憧れですわ! ですのに、そんな嘘八百で花嫁をおどかすなんて、質の悪い魔物もいたものですわ!」
 【アリア・カヴァティーナ】は激怒した。必ず、かの邪悪を除かねばならぬと決意した。
 ふん、とその肉の薄い胸を張り、傍らには丸太を携えている。
 普通の丸太ではない。顔と礼服の書かれた丸太花婿だ。
「彼との愛と信頼の力が現実としてここにある以上、魔物の囁きに忍耐するのなんて簡単!」
 それどころか。
「まだ親の庇護下にあるような娘ではないか! さては旦那は幼女趣味でも……」
「せいやっ!」
「うぉっ?!」
 いきなり床下から現れたブルー・マリッジを殴打する。
「二人の初めての共同作業アタックですわ!」
 殻には当たらなかったが、ブルー・マリッジのステッキを吹き飛ばすことができた。
 丸太を背負う幼女花嫁、アリアにブルー・マリッジは戦々恐々と後退る。
 丸太(花婿)強い。
「わたくしたちのラブラブっぷりは、魔物たちを嫉妬させ、集中攻撃される原因になってしまうかもしれませんわ!」
 どごっ! 丸太は床を殴る。
「でも、愛には犠牲がつきもの!」
 がしゃっ! ブルー・マリッジの上部を削り取る。
「哀れな2人の姿が皆さまを奮わせるはずですわ! 見ていてくださいませ!」
 ぐしゃっ! 殴られ続けたブルー・マリッジは最早白目。
 中身も若干出ている。あれは白身か。
 アリアは無我夢中に丸太を振り回す。
 大人っぽいからと選んだマーメイドラインのドレスは邪魔だからとたくし上げている。
 大人っぽさとは(哲学)。
「あら?」
 丸太の殴打音しか聞こえなくなったころ、アリアはそうっと床を見る。
 ブルー・マリッジは物言わぬ卵と成り果てていた。
 アリアは丸太(花婿)を高々と掲げる。
「最後に愛は勝つ! ですわ!」
 とても激しい愛(物理)だった。

 教会の廊下、十字路の陰。
 そこには【リコリス・ライト】が待ち伏せをしていた。
 動きやすいようにと、比較的フリルやレースが少ないドレスを着用している。
 しかしシンプルすぎることもなく、ところどころにあしらわれた、花の刺繍が上品な一品。
 いつでも魔法を放てるようにと、神経を研ぎ澄ませる。
「幸せになるはずの花嫁を不幸にするなんて許せない。お仕置きしなくちゃね」
 じっと息を潜めて待つ。
 花嫁の気配を感じて、リコリスの待つ角の正面。
 ブルー・マリッジが現れた。
「花嫁の気配がするが……さては結婚がいやになって逃げだしたか? それはとてもいいことだ」
 ブルー・マリッジの呟き後、間髪入れず手のひら大の魔法の球を発射する。
「あうちっ!」
 悲鳴を上げるブルー・マリッジ。
 曲者はどこだと周囲を見渡す。
 リコリスはブルー・マリッジを追い立てる。
「お前、鬼嫁か! それではすぐ旦那に愛想尽かされるぞ!」
 もう一度、魔法の球が通過する。
 それはじりじりとブルー・マリッジを追い詰めていく。
 その時、リコリスの背後から声がかかる。
「お待ちください」
 ブルー・マリッジに注意を向けつつ振り向くと、薄いピンク色のレースをふわふわと纏う、【フィアナ・フォレスター】が、白いヒールをかつん、と鳴らしながらやって来た。
 さすが、普段着慣れているだけある。ボリュームのあるドレスを、難なく着こなしている。
 その片腕には、もう一体、ブルー・マリッジを携えて。
 フィアナの制止は、ブルー・マリッジにとって果たして救いか。
「できることなら傷付けずに、ルーノ様のところまで連れていってほしいのです」
「分かりました。……どこにいますか?」
「お風呂場です」
 お風呂場。
 フィアナは首を傾げた。

「ルーノ様、連れて参りました。……そちらの卵は?」
「ああ、大きいのがふたつも。ありがとうございます。こちらの旦那様はつい先ほど、美味しそうな煮卵になりました」
 風呂場。ルーノは煮卵となってぷかぷか浮かぶ元ブルー・マリッジを一瞥し、フィアナとリコリスが連れてきたブルー・マリッジ、もとい大きな卵に目を付ける。
「では、料理をしましょうか。手伝っていただけますか」
「もちろん」
「えっと、私でいいのなら」
 ルーノの問いかけに、フィアナは頷く。
 リコリスも、ぎこちないながらも頷いた。
 身の危険を感じ、逃げ出そうとするブルー・マリッジの正面にリコリスは立つ。
「逃がさないよ?」
 フィアナがじり、とにじり寄る。
 ルーノが卵を割る準備をしていた。
 ブルー・マリッジは身を寄せ合った。

「あー、つっかれたー。美味しそうな匂いがする」
 教会の外、疲れてやって来たプラムは目敏く料理を見付ける。
「お疲れ様でした。大きな卵がみっつも手に入ったので、たくさん作れましたよ」
 ルーノは手に持っていた料理を机に置く。
 フィアナもそれを手伝う。
 リコリスは救急箱の用意をし、ケイの手を手当てしている。
「卵の殻を物理で殴ったって」
 そんな声を背景に輝く、オムレツ、ニラ玉、プリン。
 美味しそうな料理は、疲れた体にはきっと染みることだろう。
 真ん中には、でーんとでかい煮卵がそのまま鎮座している。
「疲れたでゲス……もうあっしは、普通には戻れない気がするでゲス……」
 悲哀を背負うドライクは、プリンを食べて回復している。
 最後までダメージを与えていくブルー・マリッジ。
 とても恐ろしい魔物だった。
 それはそれとして卵うめぇ。



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
おお、花嫁よ!
執筆:宇波 GM


《おお、花嫁よ!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《やりくり上手》 フィアナ・フォレスター (No 1) 2019-06-14 00:14:58
皆様、初めまして。
王様・貴族コースのフィアナ・フォレスターと申します。
以後宜しくお願い致します。(ぺこり)

《模範生》 リコリス・ライト (No 2) 2019-06-14 00:56:00
皆さん、初めまして。
今回から、初参加になります。
専攻 賢者・導師コースのリコリス・ライトです。
よろしくお願いします。

《ゆうがく2年生》 アリア・カヴァティーナ (No 3) 2019-06-14 01:37:26
ウェディング……!
わたくしも、いつかは素敵な方と結婚したいですわ! でもでも、まだ大人じゃないわたくしが花嫁姿になっても、花嫁扱いでいいのでしょうか!
きっとブルー・マリッジ、わたくしのことを子供扱いせずに、立派な花嫁扱いしてくださるんですわ! うれしいですわ!

……思わず調子に乗って、喋りつづけてしまいましたわ!
わたくし、アリア・カヴァティーナと申しますわ! よろしくお願いいたしますわ! 結婚が人生の墓場だなんて、そんな大嘘つきは丸太で吹っ飛ばしてしまいますわ!

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 4) 2019-06-14 08:12:25
おはよう、何時もは結婚式を取り仕切る側のプラム・アーヴィングです。
たまにはバージンロードを歩いても良いよね?フフ。

夜な夜な...って事は、近くの宿か教会に泊まり込む感じなのかな。
それとも皆で夜に教会に乗り込むのか...。
俺は前者だと良いなと思ってる。
言葉で惑わすなら、俺も言葉で返してやろうみたいな?
ブルー・マリッジは俺のバイブス下げれるかな?

《やりくり上手》 ルーノ・ペコデルボ (No 5) 2019-06-14 18:32:35
村人・従者コース所属
カルマのルーノ・ペコデルボです。

…この依頼、タダで大きめの卵が手に入ると聞いて来たんですが。
まぁ、何はともあれ。

皆さんは卵料理何がお好きですか?

ウェディングドレス?
あぁ、狩りをする為の作業着ですよね。

ウェディングドレスを着たら相手から来てくれるなんて
なんていい獲物でしょうか。

皆さんに美味しい卵料理をお出し出来るように頑張りますね。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 6) 2019-06-14 20:41:31
芸能・芸術コースのシキア・エラルドです。
みんな、今回はよろしくね

花嫁姿なら男でも関係ないって…不思議ないきものだね?
とはいえ、それで花嫁さんを困らせてるなら退治しないとね

…さて、例のタップシューズどこにいったかな…(ごそごそ

《新入生》 ケイ・アカツキ (No 7) 2019-06-15 19:31:45
勇者・英雄コースのケイ・アカツキだ。よろしく先輩方。

要は外見しか見ていないという事と変わりないのではないかな。
当人が結婚するとかしないとか実際は関係ない愉快犯のようなものなのかもしれないね。

ああ、それとウエディングドレス自体は全体で共通のデザインなのか。
もしくは各自細かい箇所のデザインはあれこれ弄れるものなのかな。

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 8) 2019-06-15 20:46:30
え、だったら俺、マーメイドドレスがいい。

因みに身長とか体形とかで似合うウェディングドレスの形変わってくるから、拘るならしっかり調べると良いよ。
こんな機会中々無いしね。

《ゆうがく2年生》 アリア・カヴァティーナ (No 9) 2019-06-15 22:15:55
マーメイドドレス……先を越されてしまいましたわ!
すらっとして大人っぽく見えるので着たかったですわ!!

……といっても、別に同じのを選んではならないなんてことはないはずですわ!
わたくしもマーメイドドレスを選びたいですわ!

《模範生》 リコリス・ライト (No 10) 2019-06-16 10:26:07
私は、vネックのミモレ丈、靴はヒールの低い物で
動きやすいドレスがいいです。
何かあった時直ぐに援護できるように。

《新入生》 ケイ・アカツキ (No 11) 2019-06-16 17:53:33
乗り気だな先輩方。

じゃあ…俺も動きやすさ重視で選ぶか。
資料を見てみれば、膝上ほどの短いスカートのドレスもあるんだな。
なるほどなるほど…。

ヒールか、動き難そう…だが、背丈を高く見せれると…ほうほう(

《やりくり上手》 ルーノ・ペコデルボ (No 12) 2019-06-16 19:54:17
僕も動きやすいのがいいですね。

こう、逃げられた時に狩る為に。

ミニウェディングドレスと呼ばれる物で
ノースリーブタイプだったら動きやすいかな。

一応バレないようにベールをしておこうかなと。

あと靴は…添い寝してくるなら必要無いかも?
と思ったけど花嫁姿ならどんな状態でも出現しそうですね。

ヒール、いざとなったら踏み潰せるか(ぼそっ

《やりくり上手》 フィアナ・フォレスター (No 13) 2019-06-16 21:54:31
私はどう致しましょうか…。
あまり長くなくて軽い生地のドレスが宜しいでしょうか?

私はヒールで行こうと思います。
普段から履き慣れておりますから。
俊敏には動けませんが…プチコードが使えます。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 14) 2019-06-16 22:09:35
うーん、動きやすい方がいいけどあんまり短いのもなぁ…
…あ、前だけ短いのとかあるんだ。俺はこれにしようかな(カタログ見ながら)

俺は後学のためにヒール履いてみるつもり
普段よりは動きにくいかもしれないけど、そんな中でも動けるようになりたいなぁ…

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 15) 2019-06-18 01:40:48
ヒールはいいよ、足が美しくより魅力的に見えるから。

だけど、ヒールは初めて履くと相当痛いから擦れたりマメが出来ないよう気を付けてね。
男子諸君は特に。