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《紅葉狩り:後編》紅葉の後日談


ストーリー Story

《勇者暦2019年11月8日》
 今日、弟が帰ってきた。
 3日くらい前から行方不明になっていた弟よ。
 捜索隊も出ていて、あたしも捜索に参加したかったけれど、ダメって言われたわ。
 まだ大人から見ると子供だから家にいなさいって。
 探しに行けないことで感じていた歯痒い思いを誤魔化すように、あたしはひたすら木を削ってコップを作っていたの。
 作ったコップがちょうど40個になった3日目。
 弟が帰ってきたわ。
 弟はぐるぐる巻きに、まるで腕だけがミイラになったかのように、きつく包帯を巻かれて帰ってきたのよ。
「どうしたのよ、それ」
 とあたしが言うと。
「魔物に攫われていたのよ」
 と母さんが言う。
「え? 魔物?」
 あたしはてっきり、弟は魔物ではなくて、人間に攫われていたのだとばかり思っていたのよ。
 まさか、魔物が攫うなんて思わないじゃない。
 だって魔物は、たいていが知能が幼児並みに低いって、そればっかり思っていたもの。
「腕が取れかけているから、しばらく安静にってお医者様が言っていたわ」
 なんて母さんが言うものだから。
 あたしは驚きすぎて、机の上に置いていた工具をぶちまけてしまったわ。

《勇者暦2019年11月15日》
 弟の状態は快方に向かっているようね。
 今日、お医者様がそう母さんに言っていたのが聞こえたのよ。
 あたしはよかったって、心底思ったわ。
 弟がよくなれば、きっと母さんが疲れたような顔をすることも少なくなるはず。
 あたしはそれを期待している。
 そう言えば、宿街の方の【ソムリ】さんが言ってたわ。
 騒動が終わった反動が今来ているって。
 騒動の時に来れなかった観光客たちが、わっと集まっているんだって。
 人手が足りないって、嬉しい悲鳴を上げていたわ。
 でも洒落にならない程忙しいらしいから、この皿を作り終わったら、あたしも少し手伝いに行ってみるわ。
 
《勇者暦2019年11月18日》
 今日は、温泉に行ってきたわ。
 効能なんて眉唾物の温泉だけど、天然温泉だから、弟がちょっとでもよくなりますようにって。
 あ、もちろん、弟の腕はまだくっついていないから、あたしだけ下見。
 母さんたちに内緒でね。
 下見に行くのは、天然の温泉。
 お店のじゃ駄目よ。なんとなく、そう思ったの。
 生垣も何もない、青々とした晴天に見守られながら入る温泉は、きっと格別でしょう。
 そう、ルンルン気分で行ったはいいけれど、残念ながら先客がいたみたい。
 シルエットから男性。
 誰かにバレてしまっては、あたしの弟へのサプライズが、その誰かから漏れてしまうかもしれないわ。
 仕方がないから、諦めて帰って来たわ。
 ああ、でも。
 あの男性、なんだか白銀にきらきら輝いていたわね。
 きっと、輝いて見えるほどにイケメンだったのかもしれないわ。
 ああ、もったいない!
 その顔を見ておけばよかったわ!

《勇者暦2019年11月25日》
 母さんが言っていたけれど、魔法学園の生徒たちが何回かに分けて街にやってくるみたい。
 名目は『ボランティア』。
 魔物の被害に遭ったこの街の復興をお手伝いしますってことらしいわ。
 あたしのところは、弟の腕が取れかけたけど……。
 それでも、弟は生きて帰ってきたから、そこまで悲しい空気にはなっていない。
 でも、他の家は違うわ。
 五体満足で帰った子たちは3人いるって聞いているけど、裏を返せば、それ以外の子たちは助からなかったってことだもの。
 捜索隊を出して。
 原因を突き止めて。
 討伐依頼を出して。
 ……全員、助かっていればよかったんでしょうけど。
 あたしが人ごとでいられるのは結局、弟が助かった、その一点だけが他所と違うからなのね。
 学園の生徒さんたちは、心に傷を負った子たちや、子供を失ってしまった家庭へのカウンセリングをする人たちも来るらしいわね。
 それだけでなくて、期間限定で足りない人手の補充とかもできるらしいわ。
 ……あら! ソムリさん、人手不足が解消できそうでよかったじゃない!
 あたし、俄然楽しみになって来たわ。
 一体、どんな人たちが来るのかしら。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-12-14

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2019-12-24

登場人物 7/8 Characters
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《ゆうがく2年生》ヒューズ・トゥエルプ
 ヒューマン Lv21 / 黒幕・暗躍 Rank 1
(未設定)
《ゆうがく2年生》ハイネ・セレネイド
 ヒューマン Lv11 / 黒幕・暗躍 Rank 1
怪盗紳士 物を盗むのは弱者の為に 他人を傷つけたり殺すのは絶対にせず 盗む物に対して最大限の敬意を払うべき それが怪盗紳士としての誇りであり品格である 【外見】 長い銀髪を三つ編みにしている 青い瞳 背が高く細身 【性格】 正義感が強い好青年 どんな時でも紳士を名乗り相手への最大限のリスペクトを忘れない また、フェミニストであり、女性は守るべき存在だと思っている 趣味の手品で今日も怪盗紳士は物を盗む
《甲冑マラソン覇者》ビアンデ・ムート
 ヒューマン Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
●身長 148センチ ●体重 50キロ ●頭 髪型はボブカット。瞳は垂れ目で気弱な印象 顔立ちは少し丸みを帯びている ●体型 胸はCカップ 腰も程よくくびれており女性的なラインが出ている ●口調 です、ます調。基本的に他人であれば年齢関係なく敬語 ●性格 印象に違わず大人しく、前に出る事が苦手 臆病でもあるため、大概の事には真っ先に驚く 誰かと争う事を嫌い、大抵の場合は自分から引き下がったり譲歩したり、とにかく波風を立てないように立ち振舞う 誰にでも優しく接したり気を遣ったり、自分より他者を立てる事になんの躊躇いも見せない 反面、自分の夢や目標のために必要な事など絶対に譲れない事があれば一歩も引かずに立ち向かう 特に自分の後ろに守るべき人がいる場合は自分を犠牲にしてでも守る事になんの躊躇いも見せない その自己犠牲の精神は人助けを生業とする者にとっては尊いものではあるが、一瞬で自分を破滅させる程の狂気も孕んでいる ●服装 肌を多く晒す服はあまり着たがらないため、普段着は長袖やロングスカートである事が多い しかし戦闘などがある依頼をする際は動きやすさを考えて布面積が少ない服を選ぶ傾向にある それでも下着を見せない事にはかなり気を使っており、外で活動する際は確実にスパッツは着用している ●セリフ 「私の力が皆のために……そう思ってるけどやっぱり怖いですよぉ~!」 「ここからは、一歩も、下がりませんから!」

解説 Explan

(勇者暦2019年11月25日に書かれた日記のページに、新しい筆跡で『追記』と書き足されている)
 追記
 学園生徒たちに行ってほしいって勝手に思っているボランティアの内容を書き出してみたわ。

『カウンセリング』
 被害に遭った子供たちや、子供のいなくなった家庭へのカウンセリングね。
 悲しみは、ちょっとやそっとの言葉ではすべてを無くすことはできないでしょうけど。
 それでも、聞いてもらえるだけで癒されることだってあるのよ。

『宿屋のお手伝い』
 繁忙期以上に忙しいお宿のお手伝いね。
 観光客が大挙して押し寄せているから、少しでもお手伝いをして負担を減らしてあげてほしいわ。
 配膳のお手伝いをするとか、お部屋の片づけをするとか、それだけでも助かるって、ソムリさんは言っていたわ!

『街周辺の見回り』
 あの事件があったから、しばらくの間、街周辺の見回りを強化するって話があるのよ。
 下手な人選で被害を拡大させてしまったら目も当てられないから、見回り隊の人員を選別するまでの間、代わりに見回りをしてくれると嬉しいわ。
 まだ魔物がうろついているかもしれないから、慎重に行わなくてはならないわね。

『温泉周りの整備』
 これはあたしがやってくれると助かるって、勝手に思っていることね。
 せっかく見つけた天然の温泉、弟が入るまでに、いい感じに整備したいって思っていたのよ。
 あたしひとりじゃ、時間もかかるから思うように進まないのが現状なのよね……。

(日記はここで終わっている)

※このエピソードでは、称号『正体を知った者』を入手できる可能性があります。


作者コメント Comment
 皆様、大変お待たせいたしました。
 紅葉狩りシリーズ、後編になります。
 とうとう後編までやってまいりました。
 ひとえに皆様の応援あってこそでございます!
 ありがとうございます!

 さて、今回は日記形式で物語を綴っていこうと思います。
 皆様、ボランティアの準備はよろしいでしょうか∈( ºωº )∋!


個人成績表 Report
タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【事前調査】【設計】で温泉整備の準備
一連の事件で山を歩き回った記憶と大図書館の関連書籍
依頼文の記載を付き合わせた【推測】を基に書いた
温泉整備のおおよその設計書と作業手順書
看板などの必要資材を鞄に詰め込み
現地で温泉担当の仲間に託す

捜索隊だった人の中でいい体してる数人に
弟を思う姉を助けるために温泉整備の加勢を、と【説得】【信用】

その後仲間と手分けして被害者のカウンセリング
子供を亡くした家庭を優先的に回り
子供のことや思い出を語るのを聞き家族の気持ちに寄り添う
【信用】【子供親和】
演奏と菓子も効果的に利用

最後に姉弟宅で仲間と合流
依頼文にあったサプライズを実現するため
【演技】で弟を連れ出し
温泉へご案内~♪

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
ちょっと前まで魔物が近場にうろつきさまよってたってんだし、それなりに痕跡あっかもじゃん?
ザコちゃんそのへんさーがす。【にぼし】食べつつ街の周りから温泉?の周りまで。
入りたいゆーしゃ様は折角だし入ったらいーけどね。ザコちゃんはいらない。体見られんのやだし。この服のまんま入っていーなら考え検討だけど。…服乾かすのめんどいかな。やっぱいい。


やることはたまの斥候もどきと同じだけど。【聴覚強化】な【聞き耳】で面白い音探してー、暗い場所なら【暗視順応】して【気配察知】してる。
やばげだったとしても【危険察知】してっし、なんなら【身代わりうさぎ】の用意あるしー、そもザコちゃんが何でも被害には含まれないんだし。

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
・宿屋のお手伝い
食事処・宿泊所・入浴所・娯楽施設・避難場所(避難経路)を見やすく表示&声掛け案内

行列や順番待ち、喧嘩・泥酔者などトラブル仲裁

食事の配膳と片付け・洗い物の手伝い

寝具の用意・部屋の掃除・宿泊客の案内

いい気分で利用してもらい、リピーター増加や口コミでの評判が広まる様に

客の中の医者や大工(義手やギプスの製作、手すりやスロープなど傷病者に優しいリフォームができる職人)を必要な子供のいる家へ紹介
お姉さんも器用なので状況改善の手助けや指導を依頼

お忍びで来てるのは、ブレンディンドサーガさんだと思うけれど、人に知られると騒ぎの元になりそうだし、仲間にもそれとなく注意して他人の前でバラさないように

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
負傷した子供達や捜索隊の方達の手当てを兼ねて、私はカウンセリングに向かいますね
負傷されてる方には、簡易救急箱を使って包帯を替えたり傷を消毒し直したりしながら、今の様子や怪我が治ったらやりたいこと等訊ねて

傷の治りが悪かったり、膿んで毒を持つようなら祈祷、デトルで回復

時間が許すなら、我が子を亡くした方達のお宅にも向かって、どんな子で、将来どんな夢を抱いて居たのか等、お話を聞いて……その子が生きていた証を、心に刻みたいですね

一通りカウンセリングが終わったら、タスクさんと合流
弟さん宅で弟さんを誘い、
「ずっと家の中だと気が滅入るでしょうし、気晴らしに散歩にいきませんか」
等と誘って、温泉にご招待しましょう

ヒューズ・トゥエルプ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
温泉の整備を行う。

取り敢えず、彼女のサプライズは成功させてやりたいな。
つっても整備か…ちびっ子が入るから加水した方が良いのか?
あーいや…温泉の効能を損ねちまうか。
湯をしっかりかき混ぜとくか。どうせ、俺も後で入るしな。

少年は両手が無いってことだったな。
湯までの通路が滑らないように、乾かしとくか。【プチフド】で。

しっかし、ロケーションもバッチリってか。
なにすっかな。取り敢えず、ハイネさんと連携を取るか。

とりあえず「たまご」を湯に沈めて
作るか、温泉たまご。へへ、コイツに勝るモンはねーだろ。
皆にも振る舞うか。
俺は「酒」と一緒に頂くぜ。どうか極楽浄土に導いてくれ。

ハイネ・セレネイド 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
生き残った子供達の為に温泉を整備していつでも入れるようにする

【行動】
『温泉の整備』
ヒューズ君と協力する
森で使えそうな木材を調達
ついでにそこまで行く為の道の整備
歩きづらそうな木や石を除去して道をならす

木材を使用して男性用、女性用脱衣室を作成
雨風を凌げ、視界を遮れるような作りに
足裏に土がつかないように床も設置
棚を設置して籠を置けるようにする

温泉は天然温泉という事だったので
必要があれば石を置いてゴミが入って来ないようにする

出来上がった風呂はちゃんと機能してるか入って確かめる

『子供達に』
≪隠密≫と≪隠密影縫≫と≪立体起動≫≪気配察知≫で夜に見つからない様に家の窓辺に行き招待状を置いて行く

ビアンデ・ムート 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
*目的
街周辺の巡回などして街の安全を守るために力を尽くします

*行動
事件の元凶であるダルマは倒しましたが、他にも危険な魔物はいるかもしれません
せっかく街が復興の兆しが見えてきたのに、それを挫かれるのだけはなんとしても防ぎましょう

巡回ルートは人気があまりなく、子供達の遊び場になりそうな場所
今回の事件は子供達が遊んでいる間に攫われたケースがありましたが、おそらくそういった場所に魔物が忍び込んできたから起こった事だと思うのです
そういう場所を探し、見回り隊の方々に引き継げば再発防止に役立つはず

現場では【気配察知Ⅰ】を使い魔物がいないか警戒。遭遇したら『リター』で防御しつつ【盾刺し】で攻撃して撃退します

リザルト Result

《勇者暦2019年11月30日》
 今日から学園生の人たちが来ているみたい。
 だからあたしは野次馬になってみたの。
 とても真面目そうな人。
 でも、彼の周囲に、彼の同級生らしき人たちはいないわね。
 あたしはみんな一斉に来るって思っていたけれど、そういうわけではないのね。
 聞こえたのは、彼の名前が【タスク・ジム】くんであること。
 タスクくんは周囲をガタイのいい男の人たちに囲まれて、何かを話しているみたい。
「それでは、よろしくお願いします!」
 ぺこりと頭を下げた彼は、その足でたかたか忙しそうにどこかへ向かってしまったわ。
 彼らに渡したあの紙は何だったのかしら?
 なんだか、そこそこ厚かったようだけれど……。

《勇者暦2019年12月1日》
 今日は【ソムリ】さんの経営するお宿のお手伝いね。
 学園生もお手伝いに来てくれたわ。
 お手伝いに来てくれたのは【エリカ・エルオンタリエ】さん。
 ソムリさんの宿の制服がよく似合う人ね。
 あたしも着替えないとって思って、更衣室で着替え始めたけど、鍵をかけていなかったのは申し訳なかったわ。
 誰も入っていないと思って入ったら、目の前で着替えているの、それはびっくりするわよね。
 ところで、学園って、接客のお勉強もするのかしら?
 だとしたら、すごくいろんなことを勉強するのね!
 だってね、エリカさんの手際がすごくいいの。
 混雑しているお客さんたちが分かりやすいように、宿内の各施設を案内したり、あっちこっちに行きがちなお客さんをまとめ上げて、列を作らせたり。
 時には泥酔したお客さんや喧嘩を始めるお客さんもいたけれど、それとなく別室に移動させるとあら不思議!
 次に出てきたときには喧嘩していた人たちは仲直り、泥酔客はぐっすり就寝!
 きっと中ではエリカさんによるOHANASHIがされていたのね!
 そんなエリカさんだけど、時々特定のお客さんに声を掛けていたわ。
 話を聞く限り、大工を職にしているおじさんたち、息抜きに旅行に来てくださったお医者様。
 それ以外には、何をしているのか分からない人にも声を掛けていたわね。
 紅葉ダルマ、とか、人工生命体、とか、穏やかではない単語も聞こえてきたけれど……。
 何をしているのか聞いてみたら、エリカさんてば、照れながらこう言ったのよ。
「傷病者に優しいリフォームができる人や、義手なんかが作れる人に、今回のことで困っている子供たちのお手伝いをしてくれないか聞いてみたのよ。何人かは快く受けてくれたわ」
 あたしはとても感動したわ。
 だから、何かできることがないか尋ねてみたの。そうしたら。
「なら、あなたも改善の手助けをお願いできないかしら」
 もちろん、お安い御用だわ!

《勇者暦2019年12月9日》
「さーて、今頃は他の仲間が、あっちこっち奔走している頃ですかねっと」
 今日新しく来てくれた学生ふたりは、怪我をした子たちの家にも、お宿にも、見回り隊のどこにも寄らず、真っ直ぐ街の外に出て行ってしまったわ。
 だから気になって、尾行してみることにしたの。
 ようやく追いついたと思えば、冒頭のセリフ。
 場所はあたしが見付けた天然温泉。
 彼らは掃除道具や工具や、その他色んな道具を持ってやって来たわ。
 学園から渡された名簿によれば……彼らの名前は【ヒューズ・トゥエルプ】くんと【ハイネ・セレネイド】くん。
 特徴を見る限り、さっき言葉を発したのはヒューズくんの方みたいね。
「なら、私は木材を採ってくるよ」
 ハイネくんは鉈を片手に、近場の木を切り始めたわ。
 それを横目に、ヒューズくんが周辺の掃除を始めて……。
 もしかして、ここの整備をしてくれているのかしら?
 とても嬉しいわ。
「しっかし、ロケーションもバッチリってか」
 掃除があらかた終わったヒューズくんが感嘆したように呟けば、ハイネくんが微笑んだの。
「……そういえばこの辺りは、ブレンディンドサーガの領域になるのか。なら、彼が入るかもしれないね。景観を損ねないようにしておこうか」
 あたしは、彼が言ったブレンディンドサーガなる固有名詞が気になったわ。
 それは魔物なのかしら? だとすれば、ここは危ないのではないのかしら。
 ……でも、ふたりは警戒していないみたい。
 もしかしたら、ふたりはその魔物に前に会ったことがあるのかも。
 ……魔物にも、いい魔物がいるのかもね。
 あたしは木の陰からふたりの前に出て行ったわ。
 もともとあたしがやること、ふたりだけに任せてはおけないものね。
「手伝うわ」
 って言ったら、ふたりは驚いた顔をしたわ。
 いきなり木の陰から現れたら、誰だって不審に思うわよね。
「お嬢さんも手伝ってくれるのかな?」
 ってハイネさんが言った時、がやがや賑やかな人の話し声と足音が聞こえてきたの。
 見れば、ガタイのいい男性ら数名がここまで登ってきているじゃない。
 彼らの手には工具。
 ああ、サプライズが漏れてしまいそうだわって、内心がっくり落ち込んでいたら、男性の一名が、その白い歯を見せて豪快に笑い、あたしの肩を叩いたわ。
「俺らもサプライズに協力させてくれ」
 だって。
 彼ら、よく見たら数日前にタスクくんが何事か頼んでいた人たちじゃない。
 あたし、胸がジーンとするのを感じたわ。
 人って、こうやって繋がっていけるのね。
「人手か、ありがたいな」
 なんて、ヒューズくんが頬をパシッと叩いて気合を入れるものだから。
 あたしも腕捲りをしたの。
「手分けをして……そうだな、更衣室をまず作ろう。そこの姉ちゃんは材料を運ぶのを手伝ってくれ」
「はい!」
 あたしと学園生徒と、名前も顔も知らなかった男性たちと。
 だれかと協力して何か一つを作り上げるって、こんなにも心躍るものだったのね。

《勇者暦2019年12月14日》
「あー、悪いけど、ザコちゃん街の皆みなさんが期待ご期待しているよーなこと、できないから。そこんとこよろしくー」
 今日は少し不思議な生徒さんがやって来たわ。
 【チョウザ・コナミ】さん。
 彼女は制服ではなくて私服、それも、派手なアクセサリーをじゃらじゃら付けてあたしたちの前に現れたの。
 飄々とした笑みであたしたちから向けられるすべての感情を受け流し、彼女は我が道を行くと言わんばかりの態度。
 生徒さんの中にはこういう人もいるんだと、驚きよりもまず興味が向いたの。
 だから、彼女の行動が気になってしまったのね。
 あたしは彼女を尾行することにしたわ。
 チョウザさんは街の周りを周ってから、山の方へ歩き出す。
 道中、なぜか煮干しを食べながら。
 こっそり着いて行った先は、洞窟。
 ……あれ、待って。ここって、弟を含む子供たちが攫われていったって場所じゃ……?
 急に怖くなってきたの。
 足はガタガタ震えるし、弟たちの体感した恐怖を間近に感じて、吐き気はするし。
 なのに、チョウザさんはそんなこと気にもしていない足取りで、軽やかに洞窟内に入っていったわ。
 まるで、ピクニックか何かに行くときのよう。
 行こうか行くまいか悩んでいると、チョウザさんがいきなりあたしの方へ振り返ったの。
「で? ザコちゃんのこと尾けまわってきたお人はいつまでそこにいる予定ー?」
 ……なんだ、バレてたのね。
 気恥ずかしくなって姿を現したそこには、やはりチョウザさんが飄々とした笑みを崩さないでいて。
「ここでなにを?」
 と聞けば。
「温泉街のお人こそ、何かしようと企みあったんじゃん?」
 って言われたから、素直に謝ったわ。
 チョウザさんは何も気にしていないような風に、洞窟の奥を見たの。
「腕もぎ達磨が手ずから子供攫いしたわけじゃないんじゃん?」
 彼女がいきなり話し出した内容は、きっとこの間の魔物のこと。
「お話し語り聞く限り、別の魔物達がわちゃったんでしょ? そのへんまるっと退治したわけじゃないんじゃん?」
 なんて言うから、あたしでも気付いてしまったの。
 もしかすると、まだ終わっていないのかもしれないって。
「子供だけ狙い直撃で攫いまくってたあたり、常習の慣れっこだったんだろーし。そのへん場所の見切りつけたいなーって。魔物が入れ食……今後の被害のどーのこーの的なあれで」
 あれ? あたしはふと、チョウザさんの顔を見る。
 もしかしたらさっきのは、あたしの最初の質問に答えてくれていたのかしら?
「……ふふっ」
 笑みが零れたあたしに、不思議な顔をしたチョウザさんが奥の方で何かを見つけたわ。
「……これ」
 あたしはびっくりして、その欠片を見たわ。
 どう見ても、陶器の破片。
 それが、洞窟内にたくさん、たくさん散らばっている、異様な光景。
「どうして破片になってるんだろーね? 共食いでもしてるんかな」
 チョウザさんの呟きに、ああ、どうして気が付かなかったんでしょう。
 魔物はあれ一体ではない可能性のこと!
 もしかすれば、あの魔物の他に天敵足りうる魔物がいる可能性のこと!
「チョウザさん、街に戻って報告しましょう。ここにいると危ないわ」
 あたしの必死の申し出に、チョウザさんも頷いてくれたわ。
 不穏な空気を醸し出す洞窟を背にして、街に真っ直ぐ戻ったの。

《勇者暦2019年12月18日》
「街の安全を守るために力を尽くします」
 そう言って礼儀正しくお辞儀をした彼女、【ビアンデ・ムート】さんは、巡回をしてくれるみたい。
 彼女の持つ白くて大きな盾が、彼女をより小柄に見せている気がするわ。
「事件の元凶であるダルマは倒しましたが、他にも危険な魔物はいるかもしれません。せっかく街が復興の兆しが見えてきたのに、それを挫かれるのだけはなんとしても防ぎましょう」
 そう言ってやる気を見せる彼女。
 あたしは先日の、あの得体のしれない恐怖を思い出すの。
「……気を付けて、くださいね」
 念を押したあたしに、ビアンデさんは微笑んでくれたわ。
 今日もこっそり着いて行きたいところだったけど、残念なことに、お使いを頼まれていたの。
 ビアンデさんは、子供たちの遊び場になりそうなところを中心的に見回ってくれると言ってくれたから、大人たちは是非に、とお願いしていたわ。
 お使いの帰りに様子を見ることはできないかしら、と思って、あたし、いつもより遠回りのルートを選んだの。
 街中だけでなくて、街の外まで通るルート。
 そうしたら、大当たり。
 彼女の見回り姿を見かけたわ。
 街の外、よく子供たちが大人に内緒で遊びまわる雑木林にゴブリンが現れたけれど、ビアンデさんは恐れることなくゴブリンに盾を突き刺しては倒していたわ。
 その戦闘姿の鮮やかたるは、さすが学園生徒さんね、と感嘆したわ。
 そんな彼女が、何かに気が付いたように身構えたの。
「どうしてここに」
 なんてビアンデさんが言うから、彼女の視線を追ってみると眩く白銀に輝かんばかりの人影。
 きっと、あの温泉にいた人だわ。
 角度が悪くて顔が見えないでいたあたしは、ビアンデさんと白銀の人が何かしら話していることに気が付いたの。
「特別な事をやってほしいわけではないんです。ただ、散歩感覚で街の近くへ来て適当にうろついてもらい、街に好感を持ってる雰囲気を出すだけでいいんです。お願いします」
 そんなことを言いながら頭を下げ、白銀の人に何かを渡しているのが見えたわ。
 あれは……クッキーと、お酒? かしら。
 どうしてなのかは分からないけれど、学園生が頼んでいることだもの。
 きっと、悪い方向にはいかないでしょう。
 白銀の人はしばらく考えた後に、何事か呟いたわ。
 そして、お酒とクッキーを受け取ったの。
 何か、契約成立したときのような、そんな雰囲気。
 ビアンデさんがどことなくほっとした顔をしているから、ああ、うまくいったのね。なんて、勝手にそう思ったの。
 その後のことは知らないわ。
 遠回りしたせいで、時間が迫っていたから。
 うまくいくといいわね、なんて思いながら走ったあたしは、約束の時間に遅刻したわ。

《勇者暦2019年12月20日》
 今日は学園生徒さんの仕事ぶりを、尾行することなく見ることができたわ。
 だって、今日の活動はカウンセリングを中心として周っているらしいのですもの。
 当然、あたしの家にもカウンセリングに来てくれたわ。
 正しくは、弟のカウンセリングに、だけどね。
 来てくれた学園生徒さんは、初日に見かけたタスクくん。
 それから新しく見えた人で、ローレライの女生徒さんが来てくれたわ。
 名前を、【ベイキ・ミューズフェス】さんというみたい。
 ベイキさんは弟の包帯を取り換えながら、弟に怪我が治ったら何をしたいか、なんて問いかけていたわ。
 それが随分と弟の気を紛らわしていたみたいね。
 いつもなら消毒液が染みるのか傷口を見たくないのか、包帯を変えるときはぐずる弟だったけれど、今日に限ってはそんなことは全くなかったの。
 むしろ、嬉々としてやりたいことを語る様子は、ここ数日で一番楽しそうだったわ。
「手当、終わりました」
 ってベイキさんがほっとした様子でお知らせしてくれて、あたしたちはお礼を言ったわ。
 それでね、あたし、図々しくも他のお家にも様子を見に行くって言ったから、着いて行ってもいいか、って聞いてみたの。
 答えはイエス。
 あたしは急いで身支度を整えてふたりに着いて行ったわ。
 あたしが着いて行った先は、二件お隣のお宅。
 弟とも、よく遊んでいた子が、亡くなった家。
 家の中は深い悲しみに沈んでいて、重苦しい雰囲気だったの。
 母ひとり、父ひとり、子ひとりの三人家族。
 大切に育てていたひとり息子が、友達と遊びに行ってくると見送った息子が、あんなことになるなんて、どうして予想できただろう。
「優しい子でした。動物の怪我に心を痛めて、踏んだ草花に懺悔をして、与えられた僅かなおやつを友達と分け与えることのできる、とても優しい子でした」
 体重を夫に預ける奥さんは、とても疲れた様子で無理矢理微笑んだわ。
「将来は、お医者様になると張り切っていたのです。お医者様になり、痛い思いをしている人や、苦しい思いをしている人を助けたいと。それが、あんな」
 堪えきれず漏れる嗚咽に耳を塞ぎたくなる衝動にかられながら、あたしはタスクくんを見たの。
 びっくりしたわ。だって、タスクくんまでぼろぼろ泣いていたから。
 ご夫婦は、タスクくんの堪えるような涙を見て、気持ちに寄り添ってもらえたと、救われたと後から聞いたわ。
「泣いて我を失うのと、寄り添って自然と涙が流れるのは違うってことだと思います」
 それを伝えた時、タスクくんはそう言っていたわ。
「父の受け売りですけどね」

《勇者暦2019年12月24日》
 今日はサプライズがあったの。
 学園生の皆さんが温泉街の至る所で見かけられた今日。
 一体何事かしら、と思いながら編み物をしていた夕食の後。
 窓際に一通、招待状。
『満天の星空の下、素敵な温泉旅行にご招待!』
 同封されていた地図に示されていた場所は、なんとあの天然温泉。
 誰が出したのか書いていないけれど、なんとなく、ハイネくんじゃないのかなって。そんな気がするの。
 それとほぼ同時に玄関先がノックされたわ。
 出てみると、そこにはタスクくんとベイキさん。
「ずっと家の中だと気が滅入るでしょうし、気晴らしに散歩にいきませんか」
 そう言って連れ出してくれた夜の街。
 見慣れた温泉街の夜の姿を小走りに駆け抜け、向かう先は街の外。
 人の光が消えていき、代わりに増えたのは自然の光。夜空に瞬く満点の星々。
 見えてきたのはこの間、一生懸命に作った更衣室と仕切り板。
 辿り着けば先に待っていたのは生徒たち。
「さて、入る順番をどうしましょうか?」
 ビアンデさんが問いかけたわ。
 たしかに、今ここには女性と男性が混在しているもの。
「入りたいゆーしゃ様は折角だし入ったらいーけどね。ザコちゃんはいらない。体見られんのやだし」
 とチョウザさん。
 名案を思い付いたように、ベイキさんが手を打ったの。
「足湯をしましょう」
 名案ね。
 それなら、時間も気にせずにゆっくりできるもの。
 弟の腕については……また時間を作ってここに来ましょう。
 弟も、助けてくれていた生徒の皆さんと温泉をご一緒できるのが嬉しいみたいだから。
 あたしたちが温泉に足を浸けると、静かに波紋は広がっていくの。
 ひとつ、ふたつ、みっつ……ここのつ、とお。
 ……とお?
 おかしいわ。ここにはあたしと弟を含めて9人しかいないはず。
 なんて思ったの。
 次の瞬間、ベイキさんが一点にお湯をかけるまでは。
「わぷ」
 お湯のかかった先は、白銀に輝く……イケメンさん。
「あ、ごめんなさい、不審者かと思って」
 慌てたように謝るベイキさんに、お湯が滴るイケメンさん。
 他の人たちも、このイケメンさんと面識があるのかしら?
 エリカさんはお湯を手で弄んでいるし、ヒューズくんは沈めていたたまごがいい塩梅になったのか、温泉たまごを配り始めているし。
 本人は日本酒を飲んでご満悦なようね。その日本酒をイケメンさんに掠め取られたけど。
「……湯の前では争いは生まれない。誰かの言葉だったな」
 なんて言って、ヒューズくんはお猪口をもうひとつ出して自分の分を注いでいたわ。
 様子を見ている限り、少なくとも、悪い人ではないみたい。
 だからあたしは安心して、弟に『楽しい?』って聞いてみたわ。
 返ってきた答えは、『楽しい』。
 よかったわ。最高のクリスマスプレゼントね。
 あたしは夜空を見上げて、呟くの。
 メリークリスマス。
 今年クリスマスを迎えられなかった、全ての子供たちへ。

 最後の一文を書き終え、日記を閉じる。
 皮造りの表紙、そのくすんだ艶がランタンの炎に浮かぶ。
 羽ペンを机に置き、ふと、思案する。
(……そういえば)
 たった今、思い出した風に外の景色を見る。
 その脳裏には、初めて出会ったときのエリカの姿。
 そして、更衣室で着替えた時に驚いていた風の、その顔。
(エリカさんが、あたしを見た時ちょっと驚いた風だったの、その理由がようやくわかったわね)
 自分のことを『お姉さん』と呼んでいた学園生の面々の反応を見れば、理由は明らかであった。
『女の人だと思ったけれど、男の人だったのね』
 彼は面白そうにふふふ、と笑う。
「一体、どうしてあたしが女の人だと思っていたのかしら?」



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
《紅葉狩り:後編》紅葉の後日談
執筆:宇波 GM


《《紅葉狩り:後編》紅葉の後日談》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 1) 2019-12-09 00:07:36
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします。
紅葉狩り最終章、被害にあった皆様に寄り添い、少しでも良い結果に導けるよう、
みんなで頑張りましょう!

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 2) 2019-12-09 06:05:03
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
色々やれることはありそうですが、何をするのがいいかな……と考え中です。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 3) 2019-12-09 06:54:18
黒幕・暗躍コースのヒューズ・トゥエルプです。
温泉に浸かりたいです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2019-12-09 23:39:42
ベイキさん、ヒューズさん、宜しくお願いします。

僕は、使命感が燃える(訳 キャラ的にやりたい)カウンセリングか、
【設計】を活用できそう・かつ、本命っぽい(「彼」の正体に迫れそうな)温泉で、悩んでいます。

ヒューズさんと温泉男旅も、企画としては悪くないですね♪

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 5) 2019-12-10 00:28:59
ザコちゃんは前と似たよーなことしてる。おもし……魔物の痕跡探し回り。
街から温泉までぐるぐるしてっかな。魔物に注意ーっても、むしろザコちゃんは遭遇したい側だけど。
後ちょっと気になってるところあっから、それ探しに歩くかもって感じ。おわり。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 6) 2019-12-10 07:25:55
>タスクさん
お、構わねーですぜ。
それじゃあ、仕事の後に落ち合いますか?
温泉の整備に入って、一番風呂を狙うってのも良いですが。

俺はカウセリング以外なら、オッケー。

《ゆうがく2年生》 ハイネ・セレネイド (No 7) 2019-12-11 01:03:38
黒幕・暗躍コース所属
怪盗紳士、ハイネ・セレネイド!
ここに推参!
…なんてね♪
最後まで責任を持ちたかったからね。
来てみたが…私はどうするかな。

正体が気にならない事も無いが、あの子供達も気になるし。

人数が少なそうな所を手伝ってみようかな。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 8) 2019-12-11 06:26:00
確かに温泉も魅力的なんですよね。
まあ、さすがに混浴は先生方からストップが掛かりそうですし、男性とは時間をずらして仕事後にとか、服着たまま足湯だけでも楽しめるかもですが。

カウンセリングや宿のお手伝いの後とかなら、地元の方から穴場を教えて貰えるかもですし。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2019-12-11 08:26:23
ヒューズさん、仕事後の風呂いいですね~!
大図書館の異世界書架で読んだ「ビジネスマン」と呼ばれる異世界の戦士たちの物語を思い出しますよ。

それに、ベイキさんのおっしゃることももっともなので、僕たちは仕事後に時間を決めて、落ち合うことにしましょう。

そんなわけで、仕事はカウンセリングを希望します。
また、【事前調査】【設計】を絡めて、温泉作業組を間接的にアシストできるプランを考えてみますね。

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 10) 2019-12-11 15:40:15
勇者・英雄コースのビアンデ・ムートです。皆さんよろしくお願いします。

カウンセリングなどは不得手なので、周辺の見回りへ行こうと思います

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2019-12-12 03:44:26
ビアンデさん、よろしくお願いいたします!

ベイキさんのおっしゃったのは、
女性は「男性とは時間をずらして仕事後に」ということですね。
そうすると、男性陣は温泉整備からの一番風呂のほうがいいのか…
同じ仕事後でも、きちんと打ち合わせて時間をずらせば問題ないのか…

そもそも、弟さんに温泉を楽しんでもらいたい主旨を考えると…

・男組で温泉整備
・弟さんの状態が良ければ、カウンセリング兼ねて一番ぶろにご招待
(整備に付き合わせることになるが、「看板の位置どこがいーかな?」「全体のバランスどーかな」など、体を使わない範囲でお手伝いをお願いして参加した感を味わってもらう)

みたいなことはどうでしょうか。

僕自身、(キャラとしては)カウンセリングを希望するので、まだ悩み中ではありますが。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 12) 2019-12-12 05:30:17
>希望
現状、宿のお手伝いをされる方がいないようですし、必要ならそちらに回ろうかと。
と言っても、今回の作業で優先順位をつけるとしたら、宿のお手伝いは優先順位低めだとも思います。

私見ではありますが、やはり状況的には街周辺の見回りとカウンセリングが優先度高めに思えますし。

あ、でも弟さんのカウンセリング兼ねて温泉にご招待するなら、弟さんの手は治療中でしょうから……私も同行して容態の急変がないか備えておいた方がよさそうでもあったり……。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 13) 2019-12-12 06:39:04
家族風呂を楽しみたいんなら。
仕切りを作るっていうのも野暮な気がするな。
混浴の夢は潰えたか…いや〜残念。

助かるよ、タスクさん。
どうやら露天風呂は姉ちゃんからのサプライズプレゼントみたいだし
その場所まで上手いこと言って誘導してやるくらいで良いんじゃねーかな。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2019-12-12 08:40:00
優先順位については、ベイキさんの見立てどおりだと思います。

弟さんと温泉の取り扱いについては、ヒューズさんのおっしゃるとおりですね。
ベイキさんの見立てと合わせて考えると、例えば、
カウンセリングの方が姉弟宅を最後に回り、姉(サプライズ仕掛人側)と協力して
弟を連れ出し、ついた頃には整備済みの温泉が待っている、というのはどうでしょう。

ベイキさんがカウンセリングに回ってくだされば、
弟くんの容態見るのも兼ねることができそうなので、ご検討いただければと思います。

ヒューズさんには是非とも温泉整備をお願いしつつ、
僕はカウンセリングを希望するので、温泉組もう一人、求人募集します(笑)
希望者がいなければ、僕が入ります。

温泉男旅は是非ともやりたいので、
僕がカウンセリングなら、やはり仕事後に時間を決めて落ち合いたいです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2019-12-12 21:48:06
ザコちゃんさん、ハイネさん、ご挨拶が遅れましたが、よろしくお願いいたします。
ザコちゃんさんとビアンデさん、見回り組は何気に最強コンビかも。

人数多い少ないの判断基準として、今の状況をまとめてみますね。

カウンセリング タスク(第一希望) ※優先度高め
宿の手伝い ベイキさん(必要なら可)
見回り ザコちゃんさん、ビアンデさん ※優先度高め
温泉整備 ヒューズさん(一番ぶろ狙いを検討中)、タスク(第二希望・間接サポートも可)

検討中の方、手薄なとこでいいよと言って下さる方もいる関係で、
まだふわっとした感じの布陣ですね。
引き続き、みんなで検討してみましょう。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 16) 2019-12-12 22:38:57
タスクさん状況おまとめ感謝します。

>希望
では、負傷した子供達や捜索隊の方達の手当てを兼ねて、私もカウンセリングに向かいますね。
時間が許すなら、我が子を亡くした方達のお宅にも向かって、どんな子で、将来どんな夢を抱いて居たのか等、お話を聞いて……その子が生きていた証を、心に刻みたいですね。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 17) 2019-12-13 00:22:16
わたしは宿のお手伝いに行くわね。
仕事がひと段落ついたら温泉にも入ってみたいけれど、時間があるかしら?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 18) 2019-12-13 10:32:12
エリカ部長さん、お待ちしてました~♪
宿のお手伝い了解しました!助かります。

温泉と弟さんについてご相談なのですが、
ハイネさん、手薄なところへと言ってくださったのですが、
良ければ、ヒューズさんと一緒に温泉整備をお願いできないでしょうか?
僕は事前調査で設計書を作る、捜索隊でガタイのいい人に助っ人依頼、
というサポートを考えてます。
(温泉はサプライズとのことですが、直接の知り合いじゃない、街の人数人なら、巻き込んでも依頼者の意に反することにはならないかな、と思うので)

そして、カウンセリングは、ベイキさんと僕で分担できればと思います。
ベイキさんが生存者、負傷者フォローから回るのであれば、
僕は…、…、我が子を失った皆様から先に、回っていくというのはどうでしょう。

そして、弟くん宅で落ち合い、温泉へご招待。
家族風呂を堪能してもらったあと、
僕たち学園生で入りたい人は男女交代で入る(順番は、女性陣のご希望通りで!)

例えばこんな感じは、いかがでしょうか?

もし、この仮定どおりなら、の、状況をまとめてみます。

カウンセリング タスク、ベイキさん →最後に弟さん連れ出し
宿の手伝い エリカ部長さん
見回り ザコちゃんさん、ビアンデさん
温泉整備 ヒューズさん、ハイネさん、タスク(間接サポート、人手集め)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 19) 2019-12-13 17:31:30
出発に備えて、経歴を書き換えて見ましたよ。
何かの足しになると良いのですが…

皆さんにも見ていただけたら嬉しいので、
良かったら、学生寮に遊びに来てくださいね!

《ゆうがく2年生》 ハイネ・セレネイド (No 20) 2019-12-13 18:35:08
タスク君は纏めありがとう。
そうだね。なら、私も温泉整備に行かせて頂こうかな。
弟君は生存者でもあるしね。
その後の経過も見たいから丁度いい。

ついでに、怪盗を名乗るなら顔はあまり知られたくないしね!(今更感

という事で、天然温泉みたいだし、入ったら気持ち良さそうだ。
仕事が終わったら入ろうか(まったり

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 21) 2019-12-13 20:51:51
>カウンセリング
タスクさん流れのおまとめ感謝します。
では、私は負傷した子ども達と捜索隊の負傷者のところを先に回って、時間が許せば子を失った方のところを回りますね。

終わったら、弟さんと合流の旨も了解しました。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 22) 2019-12-13 21:15:13
ハイネさん、ベイキさん、ありがとうございます!

ところで、実は、温泉整備の間接サポートとカウンセリングで
文字数がパンクしてしまいました!

仕事後の温泉については、「温泉男旅はアドリブA」とだけ書いた時点でちょうど300文字。これ以上ビタ一文字書けません(笑)

そこで、どなたか、家族風呂の後仲間内で温泉を楽しむ流れを記載していただけませんでしょうか?
特に、男性陣と女性陣を順番を決めて交代で入ることを明記しないと、思わぬ事故につながりかねないので…(赤面)

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 23) 2019-12-13 23:01:52
>温泉
一応、男女で順番を決めて、交代で入るように記載してます。
その際に思ったのですが、もし弟さんを誘う際に、お姉さんも同行を望まれたなら、一緒にお誘いしますか?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 24) 2019-12-13 23:15:52
ベイキさん、お姉さんもお誘いするつもりでした!
その旨も書いていただけたら助かりますが、お願いしてよいでしょうか?

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 25) 2019-12-13 23:19:08
では、弟さんを誘う際にお姉さんも希望されるなら、一緒にお誘いするようにしておきますね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 26) 2019-12-13 23:40:08
ありがとうございます!助かります!

温泉男旅、僕はアドリブAとしか書けなかったので、どうなってしまうのか全く読めません!
文字数に余裕のある男子は、男子らしい温泉タイムを演出してくださると嬉しいです。
おちょこを傾けて語り合うとか…(未成年の場合、中身は「おちゃけ(お茶芥)」でしょうか?)

皆さん、いよいよ出発ですね!
ゆうがく初(でしたっけ?)、3部にも渡る大長編、
どんな結末を迎えるか、楽しみです。

皆さん、ご一緒いただき、本当にありがとうございました!