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デッドリー・ライブラリー・ツアー


ストーリー Story

「もしかして新入生の方ですか?」
 その場に居たのは偶然だったのか。必然だったのか。
 第一校舎の廊下を歩いていると突然声をかけられた。
 見れば、線の細い、というか薄い青年が立っている。眼鏡奥のツリ目がキラリと輝いていた。
「良かったらどうぞっ!」
 そう言って押しつけ、もとい手渡されたチラシには『図書委員主催☆大図書館ガイドツアー』の文字。
 どうやら新入生を対象にした施設のガイドツアー案内らしい。

 膨大な数の本が放課後の優しい光に照らされている。
 豪奢な扉を開けた先に待っているのは巨大な本棚の迷宮だ。
「来てくれたんですね!」
 木目美しいカウンター前で手を振る男子生徒。よく見ればチラシを手渡して来た青年だ。
 制服には『図書委員』と書かれた腕章がついている。『ライブラリー・ツアー』と書かれた小さな三角旗を振りながら、にこやかに透けていた。
 入り口近くにはツアーの参加者と思わしき生徒たちが集まっている。
 チラシを手に目を輝かせている者、目が死んでいる者、断りきれなかったのかオロオロしている者、明らかに興味が無さそうな者。様々だ。
「皆様。この度は図書委員主催大図書館ガイドツアーにご参加頂き、誠にありがとうございます。わたし、ガイド役を務めさせて頂く【オズマー・クレイトン】と申します。それでは改めまして」
 こほん、と咳払いの音。
「知恵の源泉、探求の坑道、テスト前の駆け込み寺。ようこそ、大図書館『ワイズ・クレバー』へ!」
 見渡す限りの背表紙。確かに大図書館の名に恥じぬ驚くべき蔵書数だ。オズマーと名乗った男子生徒を先頭に一行は歩きだす。
「ご存じの通り『魔法学園フトゥールム・スクエア』には先輩たちの活躍によって世界中から様々な資料や文献が集められています。それを適切に管理し、保管する。そして時には勇者を目指す皆さんの助けとなる。それが大図書館ワイズ・クレバーの役割です」
 三角旗が案内板と書かれた巨大な地図の前で止まった。
「我々図書委員はワイズ・クレバーをもっと身近に、安全に利用して欲しいという思いから今年もそれぞれ好き勝手に様々な企画を行うことにしました。増やせ利用者減らせ重傷者」
 早口の中に図書館にあるまじき単語が混じった気もするが、それもフトゥールム・スクエアでは仕方ない。何故ならフトゥールム・スクエアなので。
「今日は皆さんの興味がある棚にお連れします。今から紙をお配りしますので、お名前と読んでみたい本のジャンルを書いてください。思いつかなければ興味のあること、悩んでいることでも構いません。参考にしてご案内します」
 紙を配り終えたところで「そうだ」とオズマーは手を叩く。
 ふと、後ろから視線を感じた。振り向くが、柱が一本あるだけで誰も居ない。疑問符を浮かべながら説明に戻る。
「案内の前に注意事項を。図書館内では勉強をしている方が大勢います。『大声は出さないように』気をつけてください」
 はい、と数人が素直に頷く。
「それから『本は勝手に持ち出さないこと』『汚さないこと』。図書館は皆が共同で使う場所です。お互い気持ちよく使うのが一番。もし違反した場合は防犯魔法が発動してしまいますからね。気をつけて下さい」
 また数人が頷く。
「あと大図書館はとても広いので闇雲に歩くと遭難します。旗を見失わないで下さいね」
 早口で軽く言ったけれど、今のはすっごく重要な注意事項では無いのか。何かがおかしい。説明の雲行きが怪しくなってきた。
「今日は人気のあるスポットをご紹介したいと思います! えっと。今日は無断の風神、汚濁の水神、咆哮の雷神の三名が来る日ですね。彼らは俗に違反四天王と呼ばれていて『受付カウンター』『飲食スペース』『閲覧室』で見ることができます。『禁書棚』にも一人いるんですがレベルが低いと近づくだけで死ぬので今回禁書棚は見送りましょう」
 遭難って何だ。人気スポットが人なのはどうしてだ。ってか四天王って何だ。禁書って何だ。死って物理的に? それとも精神的に?
 気づけば図書館の説明が魔窟やダンジョンと同じものになっている。何故なのか。しかし仕方ない。ここはフトゥールム・スクエアだ。図書館が迷宮や樹海と同レベルの非常に危険な場所だというのは常識なのかもしれない。多分。
「ところで避けたり防御したりするのは得意ですか? 苦手な方はわたしの近くにいるか、得意な方に守ってもらってくださいね! では出発ー!」
 新入生たちは互いに目配せをし、想いを伝えあう。これ、たぶん、普通のガイドツアーじゃないぞ、と。

 一方その頃。不敵に笑う三つの影が柱の陰から一行の後ろ姿を見ていた。
「ふふふ、どう思う?」
「ふふふ、何の準備も無しに大図書館にやってくるなんて。とんだオバカさんね」
「ふふふ、何も知らぬヒヨッコ共に、身をもって思い知らせてあげるよ」
 黒い影が両手を突き上げる。
「ワイズ・クレバーの真の恐ろしさ、思い知るがいい!!」
「先輩ってところを見せつけちゃうんだからっ、ちょっとはりきっていくよー!!」
「ところで早く追いかけないと見失うんじゃないかなぁ!?」
 フハハハハと高笑いが三重。何あれ、と来館者は足早に通り過ぎる。違反を察知した大図書館の警報魔法が低い音を立てて発動した。
『大声は出さないように!』
「「「ぴぎゃーっ!!」」」
 雷鳴の後に残るは丸焦げ三体。大図書館の違反四天王(本日一名欠席)と呼ばれる彼らの魔の手が、新入生に迫りつつあった……!


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-02-07

難易度 とても簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2019-02-17

登場人物 8/8 Characters
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《新入生》メルヴィナ・セネット
 ローレライ Lv3 / 賢者・導師 Rank 1
メルヴィナ・セネット。 この学園で多くを知るのを楽しみにしている。 魔法とか精霊とか一般常識とか。色々。 これからよろしく。 ……自己紹介とはこれでいいのだろうか。 ◆好奇心旺盛なローレライの少女 素直な性格。色々と抜けており忘れっぽい所もある 顔にはあまり感情が出ないが仕草や言動の端々に表れてしまっている 入学理由はさまざま。 主な理由は学園の摩訶不思議さに心惹かれたため 魔法や精霊への興味から賢者・導師コースを選択した 雪に関わる精霊や生物がいたら仲良くなりたい ◆最近の様子 学園散策を楽しむ日々 課題を記録する職員さんがいるという ときどき職員室に行ってみている。片手にはレターセット ------------------------ 【容姿】 肩下・胸元まで伸ばした茶色のウェーブヘアー どことなく眠たげな瑠璃色の瞳 髪の周りに水を纏わせている(水分放出は髪先から) 魔法使いな服を好む 身につけている銀の雪結晶のブローチは双子の兄からの入学祝い 帽子は水のような特性をもつ魔法の帽子。らしい 【交流】 誰に対しても友好的。よく喋る 会話は楽しい&自身にはない考えや知識に触れられるので好き 人とのペースの合わせ方、会話は勉強中 (PL:交友申請等は常時大歓迎です) 【話し方】 かための口調と話し方+少しくだけた言い回し 何かを呟く、眠い時は少しゆるくなる 二人称:名前、通称、または貴方 おもな口調:~だ、だな、だろう/~。~と思う/~か、~かな
《新入生》ディオニシアス・クロムウェル
 リバイバル Lv2 / 賢者・導師 Rank 1
『嗚呼、素晴らしきかなッ世界!神秘の全てを吾輩の手中に!……ぬっ、この魔導書少々高いのである』  我輩こそは偉大なる魔術師、かっこ予定かっことじ、のディオニシアス・クロムウェルであーる!!  我が欲求はただひとぉつ!!世界から秘匿されし神秘の蒐集なのである!!故に、隠匿すべき外宇宙の知識が綴られた魔道書の閲覧が現在の行動理念といっても過言ではないのだ!!……まぁ書物を買うには値が張るのであるし、閲覧もタダではないのである……世知辛いのである。  そこで!!ティンと来た我輩、学生ならば学園の蔵書を読み放題ではないか、と!!我輩がとる選択肢はそこで決まったのであるな!!うむうむ、流石我輩である。  もし、興味深い書物や未解読の文書があれば我輩の元へ持ってくるのである!!解読し、読み解き、その深奥へといざ歩みゆかん!!
《神(仮)》ゼクト・ゴッドマイヤー
 アークライト Lv13 / 教祖・聖職 Rank 1
【外見】 超絶美形のお兄さん 藍色の髪にウェーブセミロング 両目共に青 右目の下に泣きぼくろがある 細マッチョな理由は神だから鍛えないと皆の願いが叶えられないから 【性格】 自分のこの美貌、最早神だと思ってる 偉そうでナルシスト だけど皆の幸せを常に考えている 争いも嫌い 自分は神だから下々の願いを聞いて叶えてあげる義務があると思い込んでる 自分を信仰してくれる人達にひたすら優しい あと声がでかくオーバーリアクション気味でよく劇団の人に間違えられる 【入学理由】 教祖を履き違えており、教祖というか神になりたがってる 自分の「ゼクト教」の教えを説く為に日々奔走中 ちなみにゼクト教の教えは 1、皆仲良く 2、楽しく 3、自分を崇めて だけである。 『背後理由』 神になれそうな美貌もあり、力も恐らく手にいれた(アークライトになれたから)後は信仰してもらい、自分が死ぬ事で神としての自分を全うできると考えている。 その為にも教祖としての勉強が必要だった。 ※アドリブ絡み大歓迎!
《新入生》ルネ・フェイム
 ルネサンス Lv3 / 芸能・芸術 Rank 1
うさぎのルネサンス。 普段からぬいぐるみを抱きかかえている。 あまり喋らず、大人しい。 容姿として、耳は垂れ耳で身長は152cmと低めだ。 見た目と裏腹に歳は高く二十歳は超えているらしく、かなり童顔に見られがち。 可愛い顔をしてる。 服装は、貴族のような白を基調とした可愛らしい服装にまとっている。 性格は、大人しいが思いやりの心を持っていて、あまり戦闘向きのタイプではない。 だが、大切な人や友人を傷つけられると、無意識に憎悪が増し豹変する。 好きなものは、ぬいぐるみ・小説を書くこと・ダンス・寝ること。 絵については壊滅的に下手だ。 特技は、歌に料理といったことで、家事が特に好きらしい。 夢はモデルやアイドルになることらしい。
《新入生》ウェルカ・ラティエンヌ
 アークライト Lv15 / 王様・貴族 Rank 1
■身長:152cm ■実年齢:14歳 ■髪形:腰までのストレートロング ■容貌:ややたれ目気味の目元の、大人しそうな容貌の美少女 ■体型:身長は小柄ながら、バストやヒップはかなり大きく、非常に発育は良いが、ウェストや手足等は細めの、極端な体型 ■性格:基本的には内向的で大人しく、穏やかな性格だが、金銭面には非常に厳しく、利害が絡むと冷酷になる面も ■コンプレックス:桁違いに豊満な上、未だに発育途上の胸/[誕生日]の時点で、既に120cmに届くとのこと ■体質:体重が増えるときは、その殆どが胸に集まり、痩せるときは他から痩せるタイプ ■服装:背中の開いたドレス/色は特に決まっておらず、気分次第で変えている ■特技:経営・商売に関連する豊富な知識/一通りの礼儀作法/実は家事全般
《ゆうがく2年生》御影・シュン
 ルネサンス Lv11 / 黒幕・暗躍 Rank 1
おおっ!貴殿…初めましてでござるな!? しかも拙者と同じく新入生と見える! これは自己紹介といくでござろう! 拙者は御影・シュンでござる!あ、「ミカゲ」が苗字でござるよ。 種族は見ての通り祖流種…ルネサンスで、専攻は黒幕・暗躍科でござる! 敵地に忍び込んでの情報収集や、嫌いなあんちくしょうの闇討ちはお任せあれでござるよ! ……あ、物騒でござったか? そうでござるなー…居なくなったペットの捜索とかも請け負うのでござるよ!犬いいでござるよね!なんか親近感湧くー! 細々とした依頼は是非、拙者を頼って下され!…成功報酬は頂くかもしれないでござるがね? 拙者、ご学友の皆と比べるとちょーーっと歳が行っているでござるが、仲良くしてくれると嬉しいでござる! ◆プロフィール 狼のルネサンス 身長176cm 赤味がかった茶の短髪 素早く動く事に特化したしなやかな筋肉を持つ 顎と口元にかけて刀傷の跡が残っている 性格は明るく、社交的 表情がころころと変わり、喜怒哀楽もやや大げさに表す ただし人によっては、その感情に違和感を覚えるかもしれない 実は「ござる」口調はキャラ付けの意味で使っている ボロが出ると標準語になる 「シノビも客商売でござるからね~。キャラ付けは、大事。」 ※アドリブ歓迎でござるよ! ※フレンド申請も歓迎でござる!

解説 Explan

▼『ワイズ・クレバー』は非常に巨大な図書館です。一日でまわりきることはできませんが雰囲気を味わうことができます。
 希望があればオズマーにオススメ本を紹介してもらうこともできます!

▼第一校舎「フトゥールム・パレス」にある大図書館『ワイズ・クレバー』から生きて出よう。
①~③のうち、気になる場所を一つ選んでください。
強敵に出会った時のリアクションや台詞があると楽しめるかもしれません。
非戦闘施設ですので戦闘行動を取った場合防犯魔法が作動します。

①受付カウンター
現在地点です。探している本があれば図書委員に言って探してもらえます。
大図書館『ワイズ・クレバー』へと出入りする生徒たちが見えます。
四天王『無断の風神』がポーズを決めています。

②飲食スペース
飲食物を持ち込んで本が読める、落ち着いたカフェのような場所です。
外のテラス席と繋がっています。
四天王『汚濁の水神』がご飯を食べています。

③閲覧室
勉強や調べものをしている生徒が利用している場所です。
大きな勉強机が並んでいます。
四天王『咆哮の雷神』が寝ています。

▼NPC
「オズマー・クレイトン」
大図書館を案内してくれるリバイバルの図書委員。
後輩を歓迎しているようで質問があれば答えてくれます。


作者コメント Comment
初めまして。駒米たもと申します。
魔法学園の不思議なびっくり大図書館『ワイズ・クレバー』見学のご案内です。
待ち受けるのは強敵、違反四天王(一名欠席)。
清く正しい図書館心を持ち、書を愛するものとして立ち向かってください。
ガイドツアーって何だっけ。(アドリブ過多となります)


個人成績表 Report
プラム・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
③閲覧室に向かおうかな。今後利用しそうだし。

咆哮の雷神が起きてたら
「演技」「心理学」「人心掌握学」
を駆使して、挨拶(色仕掛け)だね。
先輩との円滑な関係って何事にも欠かせないでしょ?

基本は真面目にオズマ―先輩に大人しくついて行くけど、何かあっても避けられるように「危険察知」だけは怠らないようにしておくよ。

あ、ゼクトとか警報魔法を食らいそうな賑やかな奴とは今回は離れて歩くぜ。
アイツうるせぇし巻き込まれは勘弁。
メルヴィナさんとは特に仲良くしたいから一緒に行動するかな。可愛いし。

でも自爆しないようにしつつ、他の男共に警報魔法が発動するよう持ち得る技能駆使して嵌めてやろう。警報魔法の種類も知りたいしさ。

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【受付カウンター】

先ずはカウンターで施設の概要の説明を乞うた後、文字を覚えるのに最適な書物を委員の方に探していただけたらと。以前お友達になった貴族の子に多少は習ったので子供向け程度なら読めると説明

その際周りを見回し、ポージングを決めている方を発見したら興味を持って接近。これは静かにするべき場所で音を立てず型を演じる修行ではと思い、私も無断の先輩に敬意を持って抱拳礼の後、音を立てないように拳法の型を演じますわ

他にポージングをされる方がいらしたら、負けませんわとさらに気合いを入れます

図書館の警報魔法が発動した場合は立体起動で躱すか、心頭滅却で我慢。音を立ててしまったのかと慌てて謝罪いたしますわ

メルヴィナ・セネット 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:40 = 13全体 + 27個別
獲得報酬:1080 = 360全体 + 720個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
図書館ツアーを無事に生き延びる
プラムとゼクトに同行するつもりだ
二人と一緒にツアーを楽しめたらいいな


◆閲覧室
調べ物で利用する為に慣れておきたい

「咆哮の雷神」に挨拶もしよう
プラムは雄々しいといいと言っていたが。何故だろう?
彼の事はまだ知らない事が多い。気になる

ゼクトは雷神と光神の対面だ。遠くから見守ろう
……巻き込まれたら、怖い雷降りそうなのも理由だ。ごめん


◆対策
「魔法感知」等で何が何でも危険を避けるぞ
その時は二人にも伝えよう
対雷神へは「欲望吸収装置」をぶつけて対抗
……欲を吸収して大人しくするか、吐きだした結果ちょっと変な影響出るかもだが


◆その他
禁書棚とそこの四天王についてオズマー先輩に質問を


ディオニシアス・クロムウェル 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
我輩は【受付カウンター】にて蔵書の配置場所を聞き出したいのであるな。
主に魔導書関連の場所が聞きたいのである。

それにはまずそこなポージングをキメておる貴様ァ!
我輩の邪魔をするというのであれば、このディオニシアス・クロムウェル容赦はせぬぞッ!
貴様と我輩との格の違いを、主に我輩の格が天高く大気圏突破し宙駆ける流星が如く飛び続ける様を今ここに見せつけてやろうではないか!
見よ!リバイバルである我が身でしか無しえない見事で完璧な名状し難いポージングを!!
フハハハ!畏れ慄き敬うがいい!我が溢れんばかりの才気を!

ぶつかる視線!白熱する闘志!唸りを上げる警報魔法!
――ぬ?警報魔法?
のぉああああああああああ!?

ゼクト・ゴッドマイヤー 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
③閲覧室の神に挨拶に行くよ!

【犯人の証言】
いや、私も別につっつこうとかそんなつもりは無かったんだ
ただ、同じ神として挨拶に行こうと思うのは当然ではないか?
え?そもそも私は神じゃない?

説明してあげよう!
私はゼクト・ゴッドマイヤー!
ゼクト教の教祖であり、そして、神である!(どやぁ

あ、はい。神です。
疑わしい?いやいやこの美貌、この羽を見たまえ!
神っぽいであろう?(ふふん

まぁ、挨拶に行こうと思ったのだよ
そしたらなにか…怪しい雰囲気になっていたようだったんだ(ゲンドウのポーズ

どうすればいいか判らないから逃げたよね
まぁ、逃げたら追いかけてくるよね
必死だったよね

犯人はいずれも支離滅裂な発言を繰り返している

ルネ・フェイム 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
目的
飲食スペースにいる四天王と仲良くなること

行動
図書館ツアーということで、何かあった時のためにサンドイッチとマカロンを用意していく
ツアーが始まり、飲食スペースがあると知りワクワクしながら行く
そこには四天王『汚濁の水神』がご飯を食べてるので、気になって声をかけてしまう
もし、脅かされるような意地悪をされたら、真面目に答える
そして、一緒に食事に誘う
面を食らってる四天王にどういうご飯が好きなのか、なぜこの図書館にいるのか聞き出そうとする
それでも無理ならば、手作りサンドイッチとマカロンを美味しそうに食べる
欲しいと言われれば、多く作りすぎたサンドイッチを差し出す
楽しそうに話して、四天王と仲良くなるのが目的

ウェルカ・ラティエンヌ 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
オズマ―様の注意事項は気になりますが、きちんと従いますわ。
『飲食スペース』をご案内いただけると有難いですわね。
テラス席も有るとのことですし、楽しみですわ。

『飲食物の持込み』が出来るとのことですが、[売店]等は有るのでしょうか?
無い様でしたら、[飲み物]と[軽食]の販売所を設ければ、それなりに売れそうですわね。
有る様でしたら、品揃えを見てみたいですわ。

此方には、「四天王」の「水神様」がいらっしゃるのでしたわね。
どの様な方か興味も有りますし、一先ず御挨拶させていただきましょう。
お食事中とのことですが、名前からしますと、良くこぼされるのでしょうね。
……それにしても、「4人目の方」が気になりますわね?

御影・シュン 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
ええー…何とも不穏なツアーでござるなぁ…早計でござった?
ともあれ、後学の為この巨大な図書館を利用せぬ手は無いでござる!
…無料でござるし!

◆1
書籍の探し方には明るくないでござるから
ルールを守り受付カウンターで本を探して貰うでござるよ

「魔物の構造、弱点」について書かれた本はあるでござろうか?
人型の魔物は人間の急所と殆ど同じでござるが、スライム等は勝手が違うでござろう
物理攻撃での倒し方が充実していると尚嬉しいでござる

あー、なるべく触れずに置きたかったでござるが…
何で無断持ち出しするんでござる…手続きの時間も惜しいんでござるか
あと何で風神なんでござる?

…魔法使いはやはり、変な御仁が多いんでござるかね?

リザルト Result

 すでに大図書館を利用した者もいるだろう。しかし誰かと一緒に赴くという機会は少ない。
 【朱璃・拝】(しゅり おがみ)にとって図書館という場所は未知の領域。しかし学校で学ぶ上で避けては通れぬ場所でもある。
「今日はしっかりこの施設を把握いたしますわよ!」と遂に一歩を踏み出した。
 【ウェルカ・ラティエンヌ】の双眸がじっくりと館内を観察する。一部の視線は小柄にして雄大なウェルカに釘付けだったが慣れたものだと彼女が気にする様子はない。
「このツアーにて大図書館の内部を把握し、次は我輩が案内役となろうぞ!」
 学友の顔を思い浮かべ【ディオニシアス・クロムウェル】は不敵に笑う。が、警報魔法の発動を恐れてか慌てて口を閉ざした。
「何とも不穏なツアーでござるなぁ……早計でござった?」
 今までのやり取りを見ていた【御影・シュン】(みかげ シュン)の顔には不安の色が。荒事を渡り歩いていた彼の危険察知能力は高い。出るのは鬼か、蛇か。
「皆で一緒に食べられたらいいなぁ」
 こっそりと【ルネ・フェイム】が呟く。友情の証として作ってきたサンドイッチとマカロンは自信作。そっと抱えなおして後を追う。
「本がいっぱいだ」
 動かない表情。しかしキラキラと輝く目と声色は確かに感動を乗せていた。はずむ足取りで【メルヴィナ・セネット】は図書館を進む。
「やぁ」
 振りかえった先には四枚羽の美しいアークライトの青年。
「こ、こんにちは」
「私の名は【ゼクト・ゴッドマイヤー】! ゼクト教の教祖であり、神である! ところで君はゼクト教に興味はないかな?」
「おい、困ってるだろ」
 低音。超絶美形の背中に蹴りを入れたのも美しい顔の青年だった。【プラム・アーヴィング】の柔らかく切れ長の目がメルヴィナに向かって微笑む。
「良かったら一緒に行かない?」


●受付
 以前、友人となった貴族の子に教わっていたお陰で簡単な読み書きはできる。しかし、もっと文字を学びたい。
 朱璃の言葉に感銘を受けたのか。話を聞いていたオズマーは変な声をあげて目頭を押さえた。
「少々お待ちください」
 朱璃はやたら優しい目を向けてくる図書委員たちに頭を下げ、壁際へと寄った。
 ここなら通行の邪魔にならない。紙の音や天窓から差し込む淡い午後の光、変なポーズのフェアリーの少年が見えるだけだ。
「えっと」
 戸惑う朱璃の脳裏に閃き走る!
(こ、これは静かにするべき場所で音を立てず型を演じる修行、もしくは挨拶の一種なのでは?)
 ならば敬意を払わなくては。スッと姿勢を正して抱拳礼にて一礼。相手が礼を返したことにより朱璃の疑問は確信へ変わった。
 一の型、龍。続くは蛇。虎、豹と型を変え、鶴の型より荒ぶる鷹のポーズへ。型を決める度にぷるんっと元気に胸が動く。開いたスリットからは健康的な太ももが覗く。見えそうで見えないチラリズム。遂に緑髪のフェアリーの脆弱なる鼻の血栓が崩壊した。
「おのれ新入生、脚は高く上げないでね。お願い!」
 顔を真っ赤にして飛び去る思春期の少年に朱璃は首を傾げる。
「何だったのでしょう」
「朱璃さん、どうかしました?」
 『身体で覚える文字(ルネサンス初級)』と書かれた絵本を持ってオズマーが戻ってくる。
「それが、足を高くあげないようにお願いされてしまって」
 不思議そうな朱璃の足元へ視線が下がる。開いたスリット。紛うことなき脚線美。
「そうですね。上げたら大変です」
 図書館の規則とは何と難しいのだろう。 
「分かりました。以後、気をつけますわ」
 ぐっと胸元に力を入れて拳を握る。朱璃の胸が揺れ、通りすがりの何人かが出血した。

「後学の為、この巨大な図書館を利用せぬ手は無いでござる!」
 無料でござるし! ツアーへの不信感は一度忘れシュンは受付カウンターへ向かう。
「『魔物の構造、弱点』について書かれた本はあるでござろうか?」
「ありますよ。どんな魔物について知りたいですか」
「ところでオズマー殿。鼻に栓をしている理由を聞いても良いでござるか?」
「不慮の幸運です」
「? 承知した」
 顎に手を当て考える。治にいて乱を忘れず。未知を減らせばその分、安全が手に入る。
「人型の魔物は人間の急所と殆ど同じでござるが、スライム等は勝手が違うでござろう」
「はい、不定形の生体や本能を知っていて損はないと思います。流石ですね」
「物理攻撃での倒し方が充実していると尚嬉しいでござる」
「いま持ってきます」
 本を待つ。そろそろ誤魔化せなくなってきた。
「じー」
 諦めと共にシュンは振り返る。視線の先には軟体動物のような緑髪のフェアリーが居た。
「先程はルネサンスのレディに後れをとったが、勝負だ!」
「ええー、なんででござるかっ?」
 困ったというのがシュンの正直な気持ちである。受付カウンター前は人が多い。周囲に迷惑をかけないためには……先手必勝。
 次の瞬間、シュンの身体は宙を舞っていた。春風のような柔らかさで宙を駆けたかと思えば、旋風のように廻る。重力すら味方につけた着地。一切の無駄が省かれた動きで膝を床に付けると指で印を結ぶ。
「シノビとして、アクロバティックさなら負けぬでござるよ」
 好戦的な笑い。観衆から歓声が沸き起こる。
「くっ、覚えていろよ! 凄いものを見せてくれてサンキュー!」
「いやこれ何なんでござる!?」
 捨て台詞を残して飛び去るフェアリー。
「いやはや、凄い御仁でござったね……」
 後ろ姿を見送りながら呆然とするしかない。
「お待たせしました、シュンさん。こちら『個体数の多い不定形モンスター図鑑(初級)』で、何かありました?」
「あったと言えばあり、無かったと言えばなかったでござる」
 思わず眉を下げるシュンだった。

 書架棚案内図の前に陣取るディオニシアス・クロムウェルの口が弧を描く。
「大図書館に収められし膨大なる書物の数々。必ずや読みつくし、我輩の偉大なる理念への階としてくれようッ」
 魔導書を求めるディオニシアスにとって大図書館はまさに宝の山。見渡す限りの蔵書。魔法や精霊、魔導へ至る教本が文字通り山とある。しかも無料。およそ無料。ここ重要。これだけで入学した甲斐があったものだと地図を仰ぎ見る。むやみやたらとでかい案内図を。
「しかし肝心な部分が大雑把過ぎて思わず途方に暮れる我輩であった」
 10魔法学(この辺たま~に魔法学棚→)
 11精霊学(この辺日替わり精霊学棚↓)
「結局どこ!?」
 HEY、誰か今すぐヘルプミー! 近場で聞けそうな人は、と視線を走らせれば、息をきらしながら白鳥の舞をしているフェアリーが一人。
 よし、見なかったことにしよう。我が道を拓くにあたり話が聞けそうな人物を探さねばならないのだから。無用な争い避けるべし。
 逸らした視線の先にまたフェアリー。「地図も読めないの」と言わんばかりの笑い方だ。
 これ、あれだよね。我輩、喧嘩売られてるよね?
 温和穏健過激派のディオニシアスも流石にキレた。キレたは言い過ぎた。凄く怒った。
「そこのポージングをキメておる貴様ァ! 何者だぁ!」
「ボクは【無断の風神】!」
 ポーズを決める風神(自称)。
「ふん、事前に聞いていた違反四天王とやらは汝か」
「その通り。ボクと同じ気配がするキミ、名乗ることを特別に許してあげるよ」
「我輩の名を知らんとは」
 哂うディオニシアス。人類の骨格的にギリギリかつ絶妙なバランス感覚のポーズが決まる!
「このディオニシアス・クロムウェル。いかに先達と言えども敵対するものに容赦はせぬぞッ!」
「ありがとう神様。ようやく身体能力低そうな新入生に巡り会えた」
「失敬な!」

「むっ?」
 ゼクトの第六感に閃き有り。
「どうした、ゼクト」
「神である私の名が呼ばれた気がしてね」
「気のせいだろ。それよりもう少し離れて歩けよ。お前が騒いでメルヴィナさんに警報魔法が当たったらどうする。責任とれるのか、ア?」
「どうして初っ端から喧嘩腰でメンチ切られてるのかな、私は!?」
「そ、そんなに警戒しなくても大丈夫だと思う。プラムも心配してくれてありがとう」

 一方、ディオニシアスの爛々とした双眸は今や世界を捉えていた。
「今こそ見せてやろうッ。貴様と我輩との格の違いを!」
「漠然とした動きで宇宙を表現しつつ流星の速度を模するだと?!」
「その通り。だが気づいた所でもう遅い! 畏れ慄き敬うがいい! リバイバルである我が身でしか成しえない名状し難きポージング!」
「ヒューマンでも可能なポーズだけどそれ!」
 遂にディオニシアスはパラダイム変換をその身で体現しようとしていた。
 ぶつかる視線、白熱する闘志!
 唸る警報魔法、収束する白い稲妻!
「図書館では静かにしましょう」
「あ」
 重なる二人の視線と声。降り注ぐ雷の柱。悲鳴。しびしびする身体。
 淡々としたアナウンスが妙に物悲しかった。

「こんな雷撃を毎回食らっても治らないんでござるか?」
「う」
「なるべく触れずに置きたかったでござるが。何で無断の風神なんでござる?」
「うぅ」
「別にポーズを決めていただけで無断でも風神でも無かったでござるし」
「そうですね。私とお会いした時もポーズだけで」
「そ、その辺で勘弁してやって欲しいのである……」
 シュンと朱璃のコンビネーションにより完全に沈黙した風神。思わず隣で正座していたディオニシアスがフォローをかけた。
「くっ、ボクは本にかけられた防犯魔法に興味があってね。発動条件や解除方法を研究していたのさ。そのための無断持ち出しだ!」
「いやダメでござるよ」
「研究者気質なのであるな。気に入ったぞ!」
「混ぜたら危険ズ、反省してください」
「……はい」
 風神(自称)とディオニシアス(初犯)は同時に項垂れる。
「それでポーズ勝負は結局何だったのですか?」
「趣味」
「魔法を使う御仁には変な人が多いんでござるかね?」
 シュンの疑問が正座する二人の胸を抉った。


●飲食スペース
 飲食スペースは開放感のある温室に似ていた。丸テーブルの間には成長した観葉植物の葉が茂り、タイルの間を流れる水の音に勉学に勤しむ羽根ペンの音が重なる。天井まで届くガラス張りの壁の向こうにはオープンテラスが広がっていた。
「売店などはあるのでしょうか?」
 ウェルカの質問に一行は観葉植物に囲まれた小屋へと向かう。ショーケースの中には様々な菓子や軽食が並べられていた。泡を吐き出す湯と瓶に詰められた茶葉の行列。果汁や蜜を水で薄めたものが涼しげな音と共に注がれていく。
「わぁ、美味しそうだなぁ」
 ルネは顔をほころばせた。
「値段はそれほど高くありませんね。購買層が学生だからでしょうか」
 カフェを兼任した学生用のパン屋。ウェルカはそう判断を下す。
「ウェルカさんは経営に明るいんですね」
「それほどでは」
 ルネの褒め言葉に謙遜するが、彼女の観察力やカリスマ性は優れている。
「飲食スペースや売店は大図書館内に幾つかあるんですよ」
 それぞれが売店を満喫し出てきたその時。
「よく来たわね」
 背もたれが動く。回転式椅子が回転しているのだ。座っていたのはエリアルの少女。水色の髪とフェアリーという点に嫌な予感しかしない。
「歓迎するわ。アタシこそ四天王が一人。豊満な、あわ、止まらない?」
 回転式椅子にブレーキはない。そのままゆるやかに動き続ける。椅子はちょうど一回転して止まった。背もたれを新入生に向けて。
「ふんっ!」
 手動で椅子を回しつつ、再びフェアリーの少女が現れた。
「もう一度言うわ。アタシこそあばっ」
 椅子の上に立ち上がった拍子に卓上のグラスが倒れジュースが零れる。慌てて布巾へ伸ばした手が皿をひっくり返し、一帯は大惨事となった。
「これが【汚濁の水神】たる理由?」
「そうです。しかし彼女の真骨頂は此処から」
「大丈夫ですか?」
 あまりのことに思わずルネが手を差し出すと。
「大丈夫じゃないもん!」
 顔面から水分を絞り出す勢いで流れていく涙と鼻水。それを汚濁、と言うのはさすがに可哀想だと心優しいルネは思う。
「三時間はあのまま号泣します。終わるとケロッとしているんですが」
 困ったようにオズマーが言えば。
「あ、あの」
 ルネがとりだしたのは皆で一緒に食べようと持って来ていたサンドイッチとマカロン。外からの陽射しを受けて輝いている。野菜や果実の瑞々しさを閉じ込め、宝石のような彩りを残したそれを見て水神は固まった。
「これ、気になりますか? 僕のお手製なんです」
 ふわりとした笑顔。相手を安心させる微笑みだ。相手の喉がごくりと鳴る。
「多く作り過ぎちゃって。良かったら一緒に食べませんか?」
「食べる!」
 即答。満面の笑みであった。

「ところで風神。何でアンタはそっちにいるの?」
「最初からキミたちの仲間になった覚えはないよ」
「まぁまぁ、サンドイッチのお味はいかがですか?」
「マカロンも美味しかったけどこっちもすごいわ!」
「見た目も綺麗だし、いくらでも食べられそうだよ」
「飲み物のおかわりもありますから、遠慮なく言ってくださいね」
 温和なルネが緩衝材の役割を果たし外のテラス席では平和なお茶会が開かれていた。
「ウェルカちゃん、テラス席には情報紙があるよ」
「ルネ、ルネはこういうの好き?」
 風神は経済紙をすすめ、水神に至っては『季節のパーティー料理図鑑』や『妖精テラスのお茶会レシピ』といった料理本をぐいぐいと押しつけている。菓子屑の汚れがついている辺り、水神の愛読書なのであろう。
「汚濁の水神様はうっかり本を汚してしまう泣き虫さんだったんですね」
 ウェルカの感想に水神は頬を膨らませた。
「汚濁じゃないわ、豊満なる水の天使よ!」
「ウェルカちゃん見ても、それ言えるの?」
「当たり前!」
 風神の挑発を受けた水神はウェルカの傍に近づいた。
「どうかなさいましたか」
 見えない。勝機すら見えない。ただでさえ神々しいオーラを纏って直視し難しいというのに、更なる難関が待っていたとは。
 年齢以上に育った豊かな何か。双丘。否、双球と呼ぶべきか。それに視界をどーんと遮られている。水神の身長ではウェルカの顔すら見ることは叶わない。
 しょぼしょぼと元の席に座る。視界に入るのは丸テーブルの上に乗せられたダブルラージサイズ。
「火神が喜びそうだわ」
「もしかして禁書棚の火神様ですか?」
 疑問を表情に乗せたウェルカが首を傾げる。
「禁書棚というか」
「ある意味禁書棚よ」
「お二方の傾向とお名前からして、火遊びばかりしている方かと推察したのですが」
「ご明察」
「ウェルカ、気をつけて。あと朱璃とプラムって子も」
 神妙な顔で違反四天王を自称するフェアリーズは目を伏せた。


●閲覧室
「閲覧室です。解放スペースと個室タイプがありますから好きな方を利用してください」
 珈琲色の書き物机の上に夕焼け色の卓上灯が浮いている。古びた紙をめくる音。静かな空間だ。ただ一ヵ所を除いて。
「ZZZ」
「よく、眠っている。彼が【咆哮の雷神】なのか?」
 小声のメルヴィナが覗き込んだ先には熟睡する金髪のフェアリーの姿が。
「起きたら煩いですよ」
 その一言に「そっとしておこう」と判断したプラムとメルヴィナ。そろり通り過ぎようとした、その時だった。
 眠れる少年の頬をプニる一陣の風。
「ゼクト!」
「神同士だし挨拶しようかと」
 幸いなことに雷神は起きていない。涎を垂らして健やかに爆睡中だ。
 その寝顔に今までブレーキ役に徹していたプラムの悪戯心に火がついた。
「まったく起きる気配を見せないのだが本当に大丈夫なのだろうか」 
 メルヴィナが心配そうに言えば、プラムは熟睡する雷神に近づき彼の耳元で何事かを呟く。
 瞬間、耳を押さえて雷神が飛び起きた。顔を真っ赤にしてしきりに周囲を気にしている。
「ふふ、おはようございます。貴方が咆哮の雷神……先輩? 俺、プラム・アーヴィングって言います」
「いまのなに!?」
 唇に指を当てて微笑むプラムと頬を赤く染めたフェアリー。
「プラムは何と言ったんだろう。先輩は混乱しているし、そうだ」
 メルヴィナは善意から『欲望吸収装置』を取り出し、怪しげな雰囲気になりつつある二人の間へ歩み寄った。
「二つ名の通り雄々しい先輩に会えて嬉しいです。フフ」
「あの。プラム君? よければ今度一緒にお茶でも」
「えい」
 メルヴィナの掛け声と共に装置が起動する。残されたのは欲望を吸い取られ、顔を青と赤、交互に変色させている雷神。
「今の見たか?」
「なんのことだ?」
 メルヴィナは首を傾げた。
「見たとも!」
 ゼクトが胸をはった。
 対象が決定した瞬間だった。
 投げつけられた本を間一髪で避けるゼクト。雷神は真剣だ。真剣と書いて「ヤるき」と読む。
「お前諸共ここで散る!」
「よし逃げよう」
 さりげなくプラムは警報魔法の電撃からメルヴィナをかばえる位置へ移動した。
「図書館ではお静かに」
「ぎゃーっ」
 プスプス煙をあげながらゼクトは不思議そうに両手を見下ろした。
「む、回復魔法が発動しない?」
「図書館内では基本的に戦闘用の魔法が禁じられている。もちろん、回復魔法もだ!」
「ノー!」
 神は再び走った。風のように駆け颯爽と転んだ。足元に巻きついた白い紙がぐるぐると這い上がってくる。
「驚いたか。警報魔法は一種じゃない」
「自分も巻きつかれているのに冷静!」
「慣れだ!」
「走らないでください」
 白い紙が大小の蓑虫を作りあげる。
「助けなくてもいいのだろうか」
「反省するまでもう少し置いておこう」
 椅子に座ったプラムとメルヴィナの前に本が差し出される。分厚い本と絵本。
 タイトルは『ハニートラップ大全』と『雪の結晶と青い小鳥』。
「プラムさんは人心にご興味があるようなので。心理学は『1哲学・宗教』の棚にありますよ。そしてメルヴィナさんには少し変わった趣向の絵本を」
 ページをめくればメルヴィナの周りに雪の結晶が舞い始める。触れようと両手を伸ばせば宙を切る感触。
 幻の雪に青い羽根が混じり、新しい読者を歓迎するようにフワフワと漂っていた。

「またのご利用をお待ちしています!」
 大図書館の扉が開く。
「あとディオニシアス君とゼクト君にはちょっとお話が」
 掲げた題名は『反省文の書き方』。



課題評価
課題経験:13
課題報酬:360
デッドリー・ライブラリー・ツアー
執筆:駒米たも GM


《デッドリー・ライブラリー・ツアー》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 1) 2019-02-03 00:34:18
武神・無双コースの朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

さて、どちらへ参りましょうか?

《新入生》 ディオニシアス・クロムウェル (No 2) 2019-02-03 01:56:01
賢者・導師科のディオニシアス・クロムウェルであーる!!

うーむ、我輩としてはまずカウンターにて魔導書関連の書物が何処に収められているのか確認しておきたいのであるな。
深淵と崩壊の先に全知へ至る道がある故に、難儀なロードの近道として色々と知っておりそうな先達へ情報収集へと行くのである!

《新入生》 ウェルカ・ラティエンヌ (No 3) 2019-02-03 08:37:30
皆様、ご機嫌良う。
王様・貴族コース専攻のウェルカ・ラティエンヌと申します。
宜しくお願い致しますわ。

私は、「飲食スペース」へ向かう予定ですわ。
ゆっくりと読書を楽しみたい時など、お邪魔させていただくことが多くなりそうですので。
あとは、「お勧めの本をご紹介いただける」とのことですので、何かジャンルが思いつきましたら、尋ねてみたいですわね。

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 4) 2019-02-03 13:52:27
賢者・導師コース専攻のメルヴィナ・セネットだ。よろしく。

私は閲覧室に行くつもりだ。
調べ物で利用する機会は多いので、図書館のどの辺りにあるか、どんな設備があるか知っておきたい。
あと噂の四天王にも挨拶したい。

……禁書棚も気になるな。オズマー先輩に話だけ聞いてみるか。

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 5) 2019-02-03 16:34:56
賢者・導師専攻のプラム・アーヴィングだよ。
よろしくね?

俺も閲覧室かなー。
心理学とか一般技能の参考になる本とか置いてないかな?
あと四天王?名前からして強そうだけど…雄々しい人だと嬉しいなぁ。フフ。

《新入生》 ルネ・フェイム (No 6) 2019-02-03 17:38:41
芸能・芸術コースのルネ・フェイムです。
よろしくお願いしますね……?

僕は飲食スペースに行くつもりです。
四天王の方に少しでも美味しいものをと思って、色々と用意するつもりです。
あとは、料理の話など出来たらいいなと……。

《神(仮)》 ゼクト・ゴッドマイヤー (No 7) 2019-02-03 17:52:06
諸君!
最早紹介は必要ないかな?
あ、いる?

(こほん)
教祖・聖職コースの美形の神!
アークライトの四枚羽!
ゼクト・ゴッドマイヤーとは私の事である!(どやぁっ

どうやら私の他にも神が居るようだからね!
是非挨拶に行ってくるとも!

PLより
(閲覧室の眠ってる咆哮の雷神に間違った方向に挨拶してきます☆)

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 8) 2019-02-03 18:47:28
メルヴィナさんとゼクトが今のところ行先一緒?
よろしくね~先輩に挨拶しにいこ~

あとゼクトは俺らより離れて歩いてね、巻き込まれでペナルティ食らいたくないから…

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 9) 2019-02-03 19:06:03
>ゼクト
ほら、あれだ。神様の紹介はいつ聞いても有難い。そんな感じ。
四天王は一人欠席のようだが……ある意味新たな四人目が揃ったな。

>行き先
ゼクトとプラムは行き先が同じか。
せっかくだ。良かったら二人に付いていってもいいか?
どうして「咆哮の雷神」なのか。一緒に顔を見に行こう。

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 10) 2019-02-03 19:26:17
>メルヴィナさん
勿論だよ、メルヴィナさんとなら一緒に居ても安全そうだし楽しそう。
この機会に交友を深められたら嬉しいな。
でも、ゼクトとは少し離れて歩こうね?安全のために。(念押し)

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 11) 2019-02-03 19:28:10
私は図書館という所が初めてですし、勝手も解りませんからカウンターでお話を聞いたり本を探してもらったりしようかと思いますわ。

そういえば神様?達は二つ名だけが示されていますけど、どういった人達なのでしょうね?無断の風神様は何やらポーズを決めていらっしゃるようですが・・・?

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 12) 2019-02-03 19:48:51
>プラム
お、やった。広場以外でも話してみたかったんだよな。嬉しい。
宜しくな。勿論安全第一で。
……ペナルティは雷だという。避けたい。ローレライ的にも苦手だ。

>朱璃
二つ名の水とか風とかは種族を表すのだと思う。
朱璃の向かう受付にいるのは「無断の風神」か。エリアルかフェアリー、かな。
無断は……なんだろう。無断に変なポーズを決めているのか?

《新入生》 ルネ・フェイム (No 13) 2019-02-03 19:50:34
ウェルナさん、一緒に飲食スペースに行くみたいですから、よろしくお願いしますね。
一緒にお茶会をしませんか?
四天王の方を巻き込んでのお茶会、楽しそうです。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 14) 2019-02-03 22:05:34
>メルヴィナ様
なるほど、種族を表していると。それはありそうですわね。だとすると無断の先輩は無なのでヒューマンかもしれませんわね。けれどポーズを決めているのなら私も何かポーズを決めてみた方がよいのでしょうか?(真剣に悩む)

《新入生》 ディオニシアス・クロムウェル (No 15) 2019-02-03 23:41:22
成程、違反四天王――こやつら只のロクデナシ連中なだけであるな!
無断は貸し出しを無断でしておるだけであるな!
汚濁は本を汚し、咆哮は図書館で叫ぶ連中なのである。
……締め上げて叩き出した方が良いのではないか?

《ゆうがく2年生》 御影・シュン (No 16) 2019-02-03 23:52:13
おおっ!賑やかでござるねー。
拙者も、このツアーに参加させていただくでござるよ。
黒幕・暗躍科専攻の御影・シュンと申すでござる。
無事にこのひと悶着もふた悶着もありそうなツアーを乗り越える為にも、よろしくお願い致す!

拙者はカウンターで本を探して貰おうと思っているでござる。
「無断の風神」なる者は…どうすれば良いんでござるかねぇ…?
スルーも出来なさそうでござるよね…。“圧”を感じるでござるよ…。

《新入生》 ウェルカ・ラティエンヌ (No 17) 2019-02-04 17:07:28
確かに、「違反四天王」の皆様方は、ディオニシアス様の仰る通り、「違反の内容に関連する異名」の可能性が高そうですわね。
「咆哮の雷神」様は「叫び声(若しかしたらいびき?)が雷の様にうるさい」という可能性もありそうですわ。
この場合、「無断の風神」様は「風の様に素早く逃げる」、「汚濁の水神」様は「良く水物をこぼして本を汚す」等の理由も考えられますでしょうか。

こうなりますと、四人目が気になりますわね。
「風」「水」「雷」と来ておりますから、有りそうなのは「火」、「禁書棚」にいらっしゃるとのことですから、「よく手出ししてはいけない本に手を出して火傷している[火神]様」あたりでしょうか?

何方にせよ、「人気スポット扱い」の様ですから、見世物的な意味かも知れませんが、楽しい方々では有りそうですわね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 18) 2019-02-04 19:39:24
あ、そもそも風神なのですから無でヒューマンとかないですわね。どうやら頭が混乱していたようですわ。

無断の先輩はやはりポージングで対抗するしかないのでは。某奇妙な冒険でよく出てくる三次元的に再現不可能なアレとか。

《新入生》 ディオニシアス・クロムウェル (No 19) 2019-02-04 20:27:55
【受付カウンター】
ふむ、ポージングで対抗――在りであるな!
香ばしいポージングで我輩が格上であると認識させるにはいい機会である!(初対面)
なれば早速、平面二次元では表現不可能な超エキセントリックな立体美の練習へといざ参らん!!
(ポーズビシィ!!)

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 20) 2019-02-04 21:28:47
私も風神はエリアルのエルフかフェアリーと言ったつもりが何か抜けてた。
四天王が混乱させるせいだな。

>ウェルカ
違反は困るが、愛嬌があって楽しい方々なのだろう。
しかし四人目は火神で危ない禁書の本に手を出してる説は、なるほど。
レベル低いうちに会うと死ぬってそういう……。

【受付カウンター】
受付がポージング勝負の場になる。なってしまうのか。
ルネサンスなら運動神経を、リバイバルなら生身では無理な表現を活かせそうだな。健闘を祈る。

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 21) 2019-02-04 23:57:37
入り口から刺激的だねー。
先輩たちって何か薬キメてたりする?
それとも禁書で正気度が……。

受付に行く皆はどういうリアクションするのか、凄く気になる。

《神(仮)》 ゼクト・ゴッドマイヤー (No 22) 2019-02-05 15:36:00
>四天王
その通り!私も入って四天王!
え?もう一人の四天王を倒さないと四天王に入れない?

……………………。

この神は唯一無二にして絶対!
つまり私は多分ただ一人の神!(どや顔でさっき言ってた事とは掌を返したように発言を撤回し)

>ペナルティ
ん?大丈夫大丈夫。
私は神であるから!
罰はきっと多分メイビー無い!(どやぁっ仁王立ち

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 23) 2019-02-06 20:10:26
プランは提出いたしましたわ。ポージングは奇妙なアレは少し難しいので普通に拳法の型を。多分無断の先輩は演武をしているのだと勘違いしての行為になりそうですわ。

《ゆうがく2年生》 御影・シュン (No 24) 2019-02-06 22:37:40
>無断の風神
やはりスルーは出来ず、対決する感じなんでござるかね…?
ポーズでござるかぁ。やるなら徹底的にやるでござるよ!違反しない程度に!

とまれ、プランは提出完了したでござる。
皆々方が無事にツアーを終えられる様願っているでござるよ。
……図書館ツアーにかける意気込みじゃないでござるなぁ…?

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 25) 2019-02-06 23:37:30
>ゼクト
メイビー無いならいいが……。
神様パワーで何とかなるかな、うん。

私も先程プランの最終確認してきた。
皆がツアーを楽しめることを祈っている。この図書館を生きて出ような。