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探る道標、掲げる剣


ストーリー Story

「回収して、ほしい……な?」

 水晶の中、浮かび上がる褐色の少女――【ラビーリャ・シェムエリヤ】は、小首を傾げ、静かに発した。
 ……期待と真逆の言葉。
 その真意も分からず。
 一同みな、彼女と同じように首を傾げるほかなかった。

 村近辺の森にて発見されたのは『魔物を生み出す謎の本』。
 生み出された魔物達の数は驚異的である。
 その上、経験の少ない冒険者ではとても太刀打ちできないような強力な個体も確認されているのだという。
 ほんの数か月前、魔物達の一派が討伐された。しかし、未だ安心はできない。
 一時的にではあるが、確かに今は平穏である。……そして、平穏な今だからこそ、人々は襲来に備え、警戒と調査、作戦を繰り返していた。
 その全ては、失った村を取り戻すため。あるいは、自分たちの街を守るため。
 今、作戦会議を行う数人も。そして、その中心人物である彼女――【ニキータ・キャンベル】もその1人だ。
 件の村の近隣に位置する町『シュターニャ』は、彼女の守るべき場所、守るべき人々が暮らしている。
 だからこそ、ラビーリャの言葉を鵜呑みにして素直に首を縦に振ることはできない。
「……回収したところで、脅威を拭い去ることはできないのではないか? それに、村から回収したとて、どこに保管を行う」
 近隣の街であるシュターニャには多くの傭兵がおり、多少の魔物にも対処できる。
 ……が、同時に商売の街であるシュターニャ。年中観光客が溢れるような場所にそのような危険なものを置くことは、街の人々、そして観光客達からの信用を失うことに繋がる。
(……第一、何故、回収する必要がある? 私は、封印の方法、あるいは安全に破壊する方法を聞いたつもりだったのだが……)
 専門家ではないニキータには、本の事などは全くと言っていいほどに分からない。だからこそ、不安で、未知で……。そこにあるというだけで、とても恐ろしい。
「それに、その危険なものを回収した後……あるいは護送中に魔物が大量に現れたなら……、他の集落にも被害が拡大するのではないか?」
「えぇと……、『ソレ』は多分、危険なものじゃない、よ。今は、危険になっているだけで。それに、運ぶ間だけならなんとかできると思う」
 意味が分からない。ニキータはラビーリャのその言葉に、思わず息を吐いた。
 ラビーリャ・シェムエリヤという人物は、魔法道具の専門家である。
 ニキータにとって、最もこういった未知の魔法道具に詳しい人物であり、傭兵組合と友好関係にある魔法学園の関係者だ。
 だからこそ、信頼している。……そして、だからこそ、今回の彼女の発言は理解が難しい。
 ——尤も、彼女の言動は少々言葉を選びすぎている為に伝わり辛い点もあるのだが。
 ラビーリャもその点は自覚している。
「……えっと」
 ニキータの反応を見て、結論を急ぎすぎたとその結論への過程をゆっくり語り始めた。
「水晶越しに、見せてもらった本だけど……。装飾の一部に『ガイキャックス家』の文様があった」
「ガイ……何?」
「……封印とか、結界術とかに長けた魔法使いの一族があったんスよ。めっちゃマイナーな。……んで、そいつらが魔物封印する為に置いてたんじゃないか……? っつーこと……で、あってるっすか?」
 ラビーリャの説明に補足をするのは、商人の【ピラフ・プリプク】。
 よく知ってるね。と、頷くラビーリャ。
「その本の本来の用途はきっと、魔物を頁に封じ込めて無力化すること。ガイキャックス家自体は、人々を守るため、色んな町に結界を張ったり、勇者の手助けをしていた一族。……封印自体は、ずっと放置されていたみたいだけど。……だから、きっと大丈夫だと思うよ」
「でも、本に封印されている状態ってことには変わりはないのよね? 封印が解けた魔物の様子は? 解けて直ぐに人を襲うの?」
「観察を行っていた調査員によれば、封印された状態の魔物が現れる直前……黒いスライムは本、もっと言えば本の頁……が、変形して成った物だそうだ。つまり、頁の1つ1つが何かしらの魔物と考えていいだろうな」
「その本から出てきた魔物は、本に封印されていた魔物ってことになるのよね? ……え? まって、頁に封印されていたってことは」
 【マチルダ・アベーユ】が口を開く。始めに現地調査を行った学生によれば、その本はかなり分厚いものだったという。……そうであるならば。
「うん。多分、あと千匹くらいいる……と、思うよ」
「……ッ!?」
 ラビーリャの淡々とした言葉。アベーユは思わず、声にならない悲鳴をあげる。
「数匹であれば、問題なく倒せるだろう。封印から覚めたばかりの魔物はあまり強くはなく、封印が半端な魔物も、動けるようになるまで時間がかかるらしい。……無理に攻撃をせず、距離を取ることができれば避けることはそう難しくはないだろう」
「……だから、無暗に破壊しないように。慎重に学園に届けて欲しいな。……万が一魔物が出てきても、学園ならある程度対処できると思う……多分」
「多分……ま、まぁ。保管してくれるというならありがたいが」
 思ってもいない提案にニキータは快諾をする。
「うーん、一番手っ取り早いのは、もう一冊本を持ってきて、それを使うこと。それか、その場で封印をし直すことなんだけど。それも難しそうかしら? ラビーリャさんにはできないかしら?」
 アベーユの言葉に、ラビーリャは静かに首を横に振る。
「出来ない……と、思うよ。ガイキャックス家の物なら、一族の血を持つ者にしか扱うことができない。そういう風にされているから。……逆に言えば、自然に解けるまでずっと封印は継続されている」
 下手に悪用されないように、かな? 彼女は首を傾げた。
「でも、少しの間だけ……学園まで運ぶ間くらいだったら、なんとかできると思う」


「皆、聞いてくれ! ……これから、我々は作戦に入る」
 ニキータの透き通るような声が、村に……、いや。かつての、そして未来の戦場へと響き渡った。
 ただ今は武器を置き、静かに耳を澄ませる。
……静かに息を吸い込み、彼女はきわめて冷静に指揮を伝える。
「作戦の目標は、例の本確保! そして、被害無く村を、そしてシュターニャを救うことだ! ……目標物のある地点の危険性は、未だ未知数。調査員の報告によれば、内部には多数の封印されし魔物が多数確認されているとのこと。……洞窟内、そして外部である森内ともに、目覚めるであろう魔物との激戦が予想される。……潜入する第一部隊は当然ながら、包囲を行う他部隊共に油断せず、迎撃に備えろ」
 前回の防衛戦よりも、戦いの規模自体は小さいものとなることだろう。
 しかし、同時に屋内と屋外の戦闘ともなれば戦場の把握が困難となる。
「武器の貯蔵の確認、地の利の確保……持てる力の全てを発揮しろ。これは、我々の戦いだが、我々だけの戦いではない」
 彼女は祈る。この戦いの先に、平穏が再び戻ることを。

「――――これが、村の存続を決める最後の戦いになるだろう。我々が行うべきことはただ、力の限り戦い、そして災厄に抗うことだ。……全てはこの村のために。……そして、愛すべき、我らがシュターニャのためにッ! 剣を振るうのだ!」
 彼女は声を荒げ、叫ぶ。
 そして、その叫びに応じるように、人々は拳を掲げた。


「……いやー、マジかー……。アイツ、ただの大嘘つき野郎じゃなかったんスねぇ」
 傭兵達が去った、簡素な広場。ピラフは数日前のやり取りを思い出す。
「この場にいてくれりゃ、楽なんっすけど……」
「……居もしない奴の事を、考えても仕方がないだろう」
 重装備に身を包み込んだ戦士【ガープス・カーペンター】が静かに言葉で制し、立ち上がった。
 数年振りに袖を通す鉄鎧は、日の光を浴び、鈍く輝く。
「ま、そうなんっスけど……。いてくれりゃ、封印直してお終いじゃないっすか? ……へいへい、手も動かすッスから……機嫌直してくれませんかねぇ?」
 思わず口に出ていた言葉。明らかに不穏を見せる戦士を宥める。
「ほいっと。注文品の回復薬と、ウチの在庫武器がいくつかと……その他もろもろっス。アンタの言うとーりっスね。今は、生きているかも死んでいるかも分からねー奴よか、可愛い後輩のため、頑張るっすかねぇ」
「……あぁ」
 静かに闘気を高め、鞘から剣を抜く。
 ……あと少しで、全てが終わる。そして、自分たちの役目も終わる。
 だからこそ、力の限り手を貸すのだろう。
 ――願うはただ一つ、後輩たちの輝かしい未来のみ。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2021-03-13

難易度 難しい 報酬 多い 完成予定 2021-03-23

登場人物 5/8 Characters
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《1期生》アケルナー・エリダヌス
 ローレライ Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
目元を仮面で隠したローレライの旅人。 自分のことはあまり喋りたがらない。適当にはぐらかす。 ふとした仕草や立ち居振舞いをみる限りでは、貴族の礼儀作法を叩き込まれてるようにもみえる。 ショートヘアーで普段は男物の服を纏い、戦いでは槍や剣を用いることが多い。 他人の前では、基本的に仮面を外すことはなかったが、魔王との戦いのあとは、仮面が壊れてしまったせいか、仮面を被ることはほとんどなくなったとか。 身長は160cm後半で、細身ながらも驚異のF。 さすがに男装はきつくなってきたと、思ったり思わなかったり。 まれに女装して、別人になりすましているかも? ◆口調補足 先輩、教職員には○○先輩、○○先生と敬称付け。 同級生には○○君。 女装時は「~です。~ですね。」と女性的な口調に戻る。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に

解説 Explan

目的:魔物を封じ込めている本『ガイキャックス家の書』を洞窟から回収する。
 魔物が封印された本を洞窟から回収し、学園で管理を行うことが今回の目的となります。
 回収後、護送を傭兵組合、およびピラフ商店が行う予定です。(皆様には本の回収を行っていただきます)

●情報
 前回(『課題:迫る脅威、探る道標』より)の調査結果をもとに、調査隊が更に詳しく調査を行った。
 また、学園の協力者【ラビーリャ・シェムエリヤ】によっていくつかの情報が提供されている。
 以下は、明らかになった新たな情報である。

〇場所について
 前回の調査後、秘密基地近くにある巨大な地割れと、森の深くにある祠は同じ洞窟内に繋がっていることが明らかになった。洞窟内の魔物の多くが封印状態、または封印が解けて間もない状態である。
 アリの巣状に空間がいくつかに分かれているようだ。調査隊により、入口近くにある空間には何もないことが分かっている。本があるのは、かなり奥なのだろう。
 以後、秘密基地近くの地割れをA、祠をBとする。
 ・A……地割れから、中に侵入することが可能。1辺が10メートルほどの空間になっているようだ。
天井は高い上に障害物となる岩が多いため、同じ場所から戻ることは困難。本が目視できる距離にある。また、本の近くには、今にも封印が解けそうな2体の『直立した牛のような魔物』の姿がある。
 ・B……森の深くにある祠。ここから、数多くの魔物が森へ出てきた様子。入口付近にも後述する封印状態の魔物が何匹かいる。

〇作戦について
 潜入ルートは2通り。
 前述のAから侵入し、Bへ脱出するAルート。そしてBより侵入し、そのままBへと脱出するBルート。
 ・Aルートを選ぶならば、すぐさま目的の本の元にたどり着くことができる。しかし、同じ入り口から脱出することはできない。目標物を回収することは容易だが、脱出が難しいルート。
 ・Bルートを選ぶならば、目的の本の元にたどり着くまで時がかかり、たどり着くまでにリソースがある程度消費されるだろう。しかし、侵入する時点で脱出までの道のりが分かるため、脱出は容易なルートである。

〇封印について
 観察・ラビーリャの協力によって判明したことは以下の通り。
・封印の解けかけた状態は、黒く細かい繭に包まれ、一見黒いスライムのような姿。
・近くを通っただけでは特に反応こそないが、外部からの強い刺激(攻撃を与える等)または、水に触れると封印が溶けてしまう。また、時間をかけ、封印から目覚める魔物もいる。
・封印から目覚めたばかりの魔物は視覚や聴覚が弱く、目立つこと(音を立てる・姿を現す)等をしなければ出口を目指して洞窟内をさ迷う。
・魔物の封印が解ける際、微小の空気振動が発生する模様。これにより、1匹が目覚めると近くで封印されている別の魔物も、刺激により目覚めることがある。この振動は、魔物が強ければ強いほど大きくなる傾向にあるようだ。

●その他
 〇傭兵組合及び、【ガープス・カーペンター】をはじめとするNPC
 洞窟内の魔物を刺激しないよう、基本的には洞窟内には立ち入らない。
 指示をするならば、ある程度は命令通りに動く。
 特に指示がなければ、洞窟の外で出てきた魔物の排除を行う。


作者コメント Comment
お久しぶりです。根来言です。
今回の課題は『弱き剣、強き枷』『弱き民、迫る脅威』『迫る脅威、探る道標』に続く4作目となります。
一応今回でシリーズは完結になる……はずです。多分。

今まで集めた情報をもとに、元凶である本を回収することが、今回の課題の目的となります。
……洞窟内に立ち入るのは、皆さまだけです。ですが、洞窟内は未知の世界。以前村を襲った時……いえ、それ以上の魔物が徘徊しているかもしれません。
正面から蹴散らすことも可能ですが、できるだけ隠密することをお勧めします。
(あるいはワザと起こして外にいる傭兵達へと託すことも可能です)

皆さまの素敵なプラン、お待ちしています。


個人成績表 Report
フィリン・スタンテッド 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:342 = 114全体 + 228個別
獲得報酬:9000 = 3000全体 + 6000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
Bルートから潜入。地割れより『ガイキャックス家の書』(以下、本)を回収する

●事前準備
過去一週間ほどの天候、地震など災害などないか確認。
(雨や地震で魔物の解放が進んでいないか警戒)
当日の天気予報も過去の傾向から予測を
(天気で解放が進みそうなら速度優先)
緊急事態でなければAの方から状況を下見。

●行動
潜入はBルートから。声と振動に気を付け忍び足、小声、戦闘は隠密で回避優先で行動。
潜入時は足跡に注意し魔物の数、動向を探る。
もし魔物を無視できそうになければ必殺技『還襲斬星断』も使い早期決着を。

ウシ型の魔物は『弱気民、迫る脅威』で遭遇した際の情報を共有。戦闘時は剛力に注意し、速度で隙をつくように

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:136 = 114全体 + 22個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
事前調査で、地割れを調べてみよう
地割れの現地と洞窟入口の位置関係を算出できればさらに探索が有利になるはずだ

その後、Bルートから突入
暗視順応と動作察知で警戒を怠らずに進もう
道中の封印された魔物は極力起こさず、目覚めたばかりの魔物もやり過ごす
暴れ回っていたり、道を邪魔して通れない場合などの場合だけ交戦
その際は主にダードを使用。敵が狭い空間にいる場合はヒドガトルで蒸し焼きにしよう

本付近の魔物は本の回収前に目覚めたら交戦、回収後に目覚めたらあくまで撤退を重視
交戦する際はダートガで攻撃。また、アン・デ・カースで味方の攻める隙を作る

本は余裕があればオカルト親和や魔法学等の知識で俺なりに手に取り調べてみよう

アケルナー・エリダヌス 個人成績:

獲得経験:136 = 114全体 + 22個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
洞窟にある本の回収

◆方針
まずはAに向かい本を確認し、Bから洞窟に侵入するBルートの予定
但し、悪天候で雨水が洞窟に流入しそうな場合や、時間をかけると敵が増え攻略に支障が出そうなら、Bへ直行

◆探索
洞窟内ではキラキラ石を光源にし視界確保
分岐点等あれば、脱出時の目印になるようキラキラ石を一粒置いて目印に

音を立てたり、不用意に水を溢したりしないよう注意し、極力魔物の封印を解かないように
避けられる魔物は極力刺激せずやり過ごす

◆応戦
衝撃享受で直撃を避けつつ、隙をみて剣突きで敵に打撃を与える
敵の数が多くアクラを使う必要がある場合は、周囲に封印状態の敵が居ないか確認した上で使用を判断

本を回収したら鞄に収納

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:171 = 114全体 + 57個別
獲得報酬:4500 = 3000全体 + 1500個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
ふしぎな本と封印された魔物を魔法感知と気配察知の職業技能で探します。
Bルートでいきますがその魔力や気配をしらべておくため、
可能でしたらAの地割れにもいきます。(降りません)

また、地割れがあるので探しにいくとき、種族特性の風の民で風の流れもたどります。

明かりが必要ならキラキラ石つかいますが、気配察知でまわりの魔物を警戒しますね。

闇無刃でたたかいますがアジサイリングで邪悪にはならないようにしますね。
回復はカカオポッドと菖蒲湯ボトルで種族特性の豊穣の儀Ⅱと言の葉の詩:ラブ・キャロルもつかいますね。

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:136 = 114全体 + 22個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
皆がBルートからの突入を考えているようだがその前にちょっとしたことをしておこうか

地割れからキラキラ石を落としておいて夜になっても本の辺りが暗くならないようにするのとマドーガが実用レベルであのあたりに届くのかの実験だ

実用レベルで届く用ならオレはここで待機して本の回収後撤退時に『直立した牛のような魔物』にちょっかいを出しておこうと思う
届かないようなら皆と一緒に突入だ

光源はあるが先は暗いので暗視順応で辺りを軽くチェックだ
動くものがあるとか位しかわからないだろうがそれでもないよりはマシだろう

基本的に戦闘は控えていく方針には賛成だがオレの主な役割は戦闘要員になるだろうな

アドリブA 絡み大歓迎

リザルト Result


 心もとない石の光を頼りに、一行は進んでいく。
 足を浮かせる度、辺りの黒いスライムの動きには注意を払い、そして足を下ろす度、静かに息を吐く。
 ……今まで、何体の黒いスライム―――封印された魔物達を見てきたことだろう。
 静かにただ、復活を待ち続ける魔物。あるいは、痙攣を起こしたように活発に跳ねる魔物もいた。
 いずれにしても、遅かれ早かれ封印は溶けてしまうのだろう。
 それでも、少しでも時間が惜しいと見てみぬフリをして。
 彼らはひたすらに、奥へ奥へ。
「歩幅を縮めて全身で踏み込むの……。足全体に衝撃を分散させるようにね」
 【フィリン・スタンテッド】は足先を地面に沈めるように、地に足を着く。
 後方を見やれば、他の者たちも彼女の声に頷き、倣うように歩みを進める。
 どの程度の衝撃で魔物達の封印が溶けてしまうかも分からない。
 だから、慎重に、慎重に。
 足早に辺りをさ迷うゴブリンの横をすり抜ければ、少し開けた分岐路。
 これで、何度目の分かれ道だったか。目線を動かし、辺りに敵の陰がないことを確認し、そして大きく息を吐く。
 ある程度の距離や方向は、下見で分かっている。
 しかし、こうも同じような景色が続けば……当然に不安になるというものだ。
「これで、7つめ……。かなり、深いところまできたようだね」
 コトリ。【アケルナー・エルダヌス】がまた1つ、キラキラ石を足元に置いた。
「あと、どのくらいだろう……。レーネさん、わかるかい?」
「あともうすこしです。風のおとが、きこえてきました」
 【レーネ・ブリーズ】が耳を澄ませる。
 あともう少し。その言葉に一層、彼らは気を引き締めた。
「ふむ……。方向もこちらであっているはずだ。もう少し詳しくわかるかな?」
 【クロス・アガツマ】に促されて、レーネが目をつぶる。
 声、音、魔力……。それが一番集まっている場所。……みつけました。小さく声に出す。
 彼女はゆっくりと手を動かし、1つの道を示した。
「……このさきです。みぎのつうろ、そのずっとさきからかぜのおとがきこえます」
 レーネが指さした方向を見て、クロスはあぁ……と、小さく声を漏らした。
「その先、何かいるのかい?」
「えぇ。2匹……いえ、そのおくにもう1匹。このなきごえは、ゴブリンだとおもいます」
 先が見えないと、アケルナーの言葉にレーネが答える。
「迂回は……、難しそうだな。静かに倒してしまうことにしようか」
 ゆらり。【仁和・貴人】が鎌を構える。
「了解。……素早く、一気に駆け抜けましょう」
 貴人、フィリンが助走をつけ、そして一息にゴブリンの元まで走り出す。
「―――ッ!」
 首。頭。急所をそれぞれが刃物を突き立てれば、直ぐに決着はつく。
 2匹のゴブリンは、声にもならない音を口から吐き出し崩れ落ちる。
「動かないでくれよ……、アン・デ・カースッ」
 クロスが振り上げた右手の動きに合わせるように、鎖が魔法陣から飛び出し、ゴブリンの1匹を縛りあげ、そして。
「グピッ―――」
「えいっ」
 最後に。レーネが後ろ手に持った双剣が、ゴブリンの胴体を貫いた。


「お疲れ様。近くにいた魔物は無事……、起きてくる気配もないようだ」
 辺りを警戒していたアケルナーが、小さく息を吐く。
「……そして、こっちにいる魔物もまだ大丈夫そうだね。……今は、だけど」
 彼女が向く方へと自然に視線を移せば、そこには、先ほどまでよりも明るい空間が広がっていた。
 無造作に放り投げられたキラキラ石によって幾らか薄暗い穴の底。
 古い石造りの、無機質な部屋。
 ただそこにあるものといえば、これまた今にも崩れてしまいそうな台座。
 その上に、草や黒い粘液に塗れた分厚い本―――ガイキャックス家の書が1冊。
 そして。
「ここ……ね。本があるのは。それと―――」
 フィリンが睨みつけるように『それ』に目をやる。
 まるで門番かとでも言いたげに、2体の魔物が本の傍に控えていた。
 封印は殆ど溶け、辛うじて粘り気のある黒い液体が四肢を拘束し、その場に魔物を留めている。
 ぐぅるるるる。
 小さく、唸るその声。
 ……数か月前に村を襲った、直立した牛のような姿をした魔物。
「久しぶり……、あなたたちには、初めましてでしょうけど」

「本を取る前に、少し準備をしておこうか。と、言っても簡単なものしかできないが……ないよりはましだろう。」
 本を取った瞬間、そして脱出最中に襲われてしまってはひとたまりもない。
「フィリン君、手を貸して貰えるかな?」
「えぇ、これでいい?」
「……あぁ、これで大丈夫。少しだけ、力を借りるぞ」
 貴人がフィリンの手に触れると、その手がほんのりと光る。
 貴人の必殺技、『繋がりの意味』。一時的に力を借りる術だ。


「みなさん、おけがはありませんか? ……じゅんびは、できていますか?」
 レーネの言葉に頷く。
 手には剣、鎌、書物……。そして覚悟も決まっている。
「それじゃ、行きましょう。……皆、くれぐれも気を付けて」
 フィリンが声をかけ、ゆっくりと部屋に足を踏み入れる。
 その先は、魔物の領域。
 巨大な牛のような魔物の息遣いと威圧をその身に受け。
 それでも、少しずつ進む。
 自分たちの息遣い、そして微かに鳴り響く足音を鳴らして。
(ここまでは、大丈夫)
 あと半歩で、手が届く。
 短く息を吸い込み、そして。
 ガイキャックス家の書。それに、アケルナーが手を触れた。
 ―――ッ! ウォォォォッ!
「……ッ!? 来たかッ!」
 途端。胸の内に響くような振動が響く。
 体制を立て直しつつ、本だけはと胸に抱き抱えた。
「クッ……、本は、取った! ———ッ」
 震源地は、この場所だ。立つことがやっとの彼女に、更に追い打ちをかけるよう、それらも動き出した。
「アケルナー! 避けて!」
「———ッ!」
 ダァァンッ。響く衝撃。
 フィリンの言葉を頼りに、降り注ぐ斧の一撃を、転げるように身を躱したアケルナー。
 先ほどまでの封印が溶け、その身を露わにする2匹の魔物。
 侵入者を見定め、そして殺意を露わにする。
 ヴゥグルルルゥゥ―――。
「はぁぁぁッ!」
 フィリンが、斧を振り下ろしたその隙を見定め、攻撃する。
 刃が骨に当たり、武器を落とせはしないものの、魔物は雄たけびをあげながら後退した。
(前に戦った魔物より、動きは遅い……? 完全に目覚めていないから?)
 魔物が姿勢を立て直す前に、剣を構え、他の者たちの前に立ちふさがる。
「……あなたの相手は私よ。ここから先へは、いかせないわ」

 ギィィィン。鉄と、石が互いに音を響かせる。
「―――ッ!、フィリン君に聞いていたけれど、ここまで力強いのか……。持っていかれそうだ」
 貴人はとっさに鎌の長さを戻し、斧の衝撃を捌く。
 が、それでも手が痺れて鎌を持ち直すことがやっとだ。
「くっ……、やはり長くはもたないか」
 次の一撃をと、魔物が石斧を振りかぶる。
 ……その斧に、鎖が絡みついた。
 直ぐに千切れてしまったが、その隙に貴人は出口へと走り出す。
「……助かった、本は無事か!?」
「あぁ、ここに!」
 部屋の外で出ていたアケルナーが、本の入った鞄を掲げる。
「魔物がうごいているおとがします。いそぎましょう」
「……分かった! 行きましょう!」
 レーネの言葉に、交戦中のフィリンも一気に駆け出す。

「―――よし、撤収だ! 仕上げをしておこうッ!」
 出口寸前、殿の貴人が振り返り、伸ばした鎌を、勢いよく振り回す。
 ガィィィンッ!
 鈍い音、部屋の外へと飛び出ようとする2匹の魔物の姿。
 そして、重低音。
「これで直ぐには出てこれないはずだ……。思ったよりも上手くいってくれて、なによりだ」
 脆い天井が、衝撃で一気に崩れ、ほぼ唯一の部屋の入り口を塞いだ。
 悔しそうな獣の鳴き声を背に、再び走り出す。


「そこら中から魔物の声が聞こえるわ。……アケルナー、レーネ。案内お願い」
「勿論。石を拾いながら進もう。できる限り時間も稼げるはずさ」
「わかりました。がんばりますね」
 フィリンの声に、2人が頷く。
 1つ、2つ、3つ。
 石を拾いながら、魔物を避けながら一行は走る。
「……、少ない」
 誰かの言葉が漏れた。
「きたときよりも、魔物のこえがすくなくなっているきがします」
 耳を澄まし、レーネがその言葉に答えた。
 彼らが魔物を倒していたから?
 否。行き道、できるだけ戦闘を避けて通っていた。
 では、魔物が勝手に消滅した? それとも単に出会わなかっただけ?
 ……それも、否。気配すらも、音すらも聞こえないなんてことはないはずだ。
「まさか、外に―――」

 嫌な予感に、無意識に足が速くなる。
「……あ」
 不意に、レーネが歩みを止めた。
「……だいじょうぶ。しんぱいはいらないみたいですよ」
 入口から光が差し込む。


「―――皆、ご苦労! たった今、生徒たちが帰還した! 全員無事だ!」
 光のその先で、女性の吠えるような声が響き渡った。
 外には、疲弊した何十人もの傭兵達。そして、魔物の血肉が散らばる。
 帰還した生徒たちのその姿を確認し、彼らは皆安堵の息と共に力を抜く。
「……っ、ニキータさん、魔物が外に」
「あぁ、……我々が引き受けた。大きな地震が起きた後、一斉に入口から溢れ出した」
 クロスのその言葉に、先ほどまで傭兵の指揮をしていた女性―――【ニキータ・キャンベル】は、だが、と言葉を続ける。
「強い魔物は君たちが引き受けてくれたのだろう、こちらの被害もない。安心してほしい」
 彼女の言葉に嘘はないのだろう。彼女自身も安心したように、穏やかにほほ笑む。
 強い魔物……、おそらく祠の最奥にいた牛のような姿の魔物のことを言っているのだろう。
「その魔物は、最奥の部屋……本が置いてあった場所に2匹、閉じ込めています。あの部屋の入口から出ることは難しいと思いますよ」
 貴人の報告を聞き、小さく頷く。
「……そうか。亀裂をふさぐなり、魔物を頭上から倒すなり……、あぁ、こちらで今後の対策を考えよう。……では、一先ず本の確認をさせてくれないか?」
「……はい、こちらです」
 アケルナーが取り出した本を受け取ると、確かに、とつぶやき、短い鎖を本に巻いていく。
「封印をするのですか?」
「学園までの間の応急処置だ。【ラビーリャ・シェムエリヤ】から預かったものだから、まぁ大丈夫だろう。……あとは、我々の組合と、そこの商店に任せてくれ。」
 クロスの言葉にニキータが答える。
 と、ほぼ同じく
 遠くから馬車を引く馬の嘶きが聞こえる。
 護送車がこちらへ向かっているのだろう。
「これで、終わり……か」
「クロスさん? どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもないよ。……もう少しゆっくり、あの本を調べておきたかったな、と」
 殆ど、鎖に巻かれて姿が見えなくなった本を残念そうに、眺め、そしてぽつり。
(ふうむ……正直、ラビーリャ君や学園に渡すのがもったいないとさえ思える。……仕方がないとはいえ、名残惜しいな)
「そうですね。ふしぎな本、そして封印。学園でもっとよくみれるようになるのでしょうか?」
「……あぁ、成程」
 あの校長にでもいえば、大抵のことは叶えてくれるかもしれない。
 レーネの言葉に、思わず手を叩く。
「……いっしょに、たのんでみましょう」
「そうだね。……楽しみができた」


「んじゃ、確かに頂きましたーッ! しっかし、こんなのにあーんなバケモノ入ってたんスねぇ……。魔術ってこえーっすわ」
「傭兵も数人、組合から同行させるが……くれぐれも輸送中は気を付けろ」
 商人【ピラフ・プリプク】は、ニキータより受け取った書を、馬車に取り付けられた檻の中に入れ込む。
「ウチのピラフ商店は、こういう魔物とかの護送は慣れてますんでお気遣いなくっス。あ、あと新聞やらでこのこと出すんなら『協力:ピラフ商店』なんて乗せといて欲しいっスね!」
「……ウチの傭兵組合は、そのようなことをしていないからな。ただ、取材があればそれとなく言っておこう」
 先ほどまでの緊迫した雰囲気との違いに、つい苦笑いを浮かべる。
「後の連絡は、学園についてから……。で、いいっすか? 幾ら封印してるつっても、ちょい不安なんで早く届けてしまいたいんスわ」
「……、速さだけならグリフォンを使えばいいんじゃないのか? 金がないわけではないのだろう?」
「あー……、まぁ? 何かあって、グリフォンが封印されちまったら困るんで?」
「……何故疑問形なんだ。仮にも、元魔法学園の人間だろう」
「……オレ、正直魔術とか封印とか。そういうの、あんまり信用してない人間なんスよ。慎重派っつーんスかね?」
「あぁ……、まぁ」
 それは、少しわかる。ニキータは小さく笑った。
 ニキータ自身もそう言ったよくわからないものに対して苦手意識があるからだ。
「とりあえず、くれぐれも、気を付けて。未遂とはいえ、1つの村を滅ぼしかけた書物だ。何かあれば、馬車1つの犠牲だけではすまないだろう」
「……りょーかいッス!」
 少々の不安が残るものの、ニキータに見送られて馬車は走り出す。
 これで一先ず、危険は去った。
 ……そして、これで。彼女の愛するシュターニャの平和も守られた。
「ニキータ、生徒達が帰ったようだ」
「……あぁ、ガープスさんか。お疲れ様、貴方もよく戦ってくれた」
 生徒達を見送った【ガープス・カーペンター】が、静かに告げる。
「貴方の後輩たちは、よく戦ってくれた。……流石、といってもいい。傭兵達は戦いにこそ慣れてはいるが、如何せん柔軟性はあまりない。今後の訓練のメニューにも加えておこう」
「あぁ。……先の戦い、対人、集団戦……。今回は潜入、か。手広く、活躍しているようだ」
 息を吐く。懐かしむように、羨ましそうに。
「後輩達の活躍を見るのは、懐かしくもあり、嬉しいものだな」
 剣先を地に落とし、そして、もう一度大きく息を吐く。
「……ニキータ、そして傭兵組合にも。改めて礼を言わせてもらおう。……貴方方がいてくれて、本当に助かった」
「……あぁ、こちらこそ。貴方方の協力がなければ、シュターニャを危険に晒すことになっていただろう。ありがとう」
 固く手を握り、礼を言い合う。

 これは、勇者の卵たちにとっては、ほんの小さな出来事の1つ。
 同時に、救われた者たちにとっての、歴史の1ページである。
 そして彼らにとって、決めてとなった最後の一手となった。
 ……きっと、卵たちはなることができるだろう。
 ―――彼らが成ることのできなかったただ1つの光。『勇者』という存在に。



課題評価
課題経験:114
課題報酬:3000
探る道標、掲げる剣
執筆:根来言 GM


《探る道標、掲げる剣》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 1) 2021-03-08 06:58:35
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。
よろしくおねがいします。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 2) 2021-03-08 22:53:13
勇者・英雄コースのフィリンよ。今回もよろしく。
本は放置できないし、学園に回収はまぁ妥当かな…

亀裂からモンスターたちがどう出てきてるか謎だったけど、別の所に通じてたわけね。

問題は私たちもどちらからいったものか…

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 3) 2021-03-09 06:19:02
やあ。私は勇者・英雄コースのアケルナー。よろしく頼むよ。
今回は本の回収が目的だけど、どのルートで行くかで作戦も変わりそうだね。

個人的にはBルートが安全側だとは思うけど。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 4) 2021-03-09 19:52:40
賢者・導師コースのクロス・アガツマだ。よろしく頼む。
本自体には興味をそそられるが、今は回収が先決か。

俺も現在の情報では、どちらかといえばBルートの方がいいと思っているが……
時間経過で敵が増える可能性もあるね、もし出口を技能などで探す策でもあればAルートから行くのも悪くないと思う。
どちらにせよ、暗視順応は持っていく予定だ。
Aなら出口、Bなら本を、素早く探すのが大事になってくるか……

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 5) 2021-03-09 22:45:24
ルートにつきましてはわたくしはそれ自体にこだわりはありません。
ですからスタンテッドさんのご意見次第ではありますが、わたくしもBルートで問題ありません。

ただ、その前にAの地割れにも行ってみたいです。

ふしぎな本をはやくさがす方法としてですが、「魔法感知」、「気配察知」で、Aでかんじた魔法や気配をBからはいってさがす……くらいしかおもいつかないものですから。
とどくかどうかわかんないですけど。

あとふしぎな本ですから、アガツマさんに「オカルト親和」とかもつかっていただけるといいのかなっておもってます。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 6) 2021-03-09 23:02:40
>ルートについて
考えてみたけど、やっぱりBがいいかなと思うわ。
Aルートは片道な以上、トラブル発生した時の猶予…要はいったん引くみたいなのが一切できないのよね。
一刻を争うなら検討の余地ありだけど、今回はそうじゃないし。Aを選ぶメリットはだいぶ薄いと思うわ。

>地割れからの調査

あ、そうね。
別に急ぐわけじゃないんだし、地割れから調査してBルートというのは十分ありだと思うわ

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 7) 2021-03-10 09:03:23
>地割れ調査
個人的には反対かな。
時間を掛けたら、新たな敵が湧いたり、目覚めて時間が経つことで力を発揮できる状態になる懸念がある。

だけど、情報収集という点では魅力的だとも思うのも、理解できるよ。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 8) 2021-03-11 00:46:45
ふうむ……課題の行動として地割れを調査しに向かうと確かに時間をかけてしまうかもしれない。
だが、効果的なのも間違いない。技能の事前調査で調べておくくらいは問題ないだろう。俺も、それでうまく本の位置を算出できないか試してみるよ。

それじゃあ、満場一致でBルートということでいいね。
洞窟内では……極力戦闘は控え、セオリー通り隠密行動する感じでいいだろうか?
交戦条件はこちらを認識し、かつ逃走が困難な場合を提案しよう。

本を見つけたらレーネ君の言うようにオカルト親和や自身の知識で色々調べてみる予定だ。
まああまり悠長に調査もできないだろうが、多少は得るものもあるのではと。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 9) 2021-03-11 08:07:39
>地割れの事前調査について
そうね…
時間を掛けた時の懸念は考えておくのはいいと思うわ。

ただ今のところ(註OP時点)で一刻を争うような兆候はないようだし
ひとまず地割れ調査をする方向で進めつつ、ABルートの分岐するあたりで異変が生じてたら断念、くらいでどう?

>探索
私は魔法関連は強くないし、調査はお願いするわ。
探索は隠密行動でOKよ。隠密や忍び足はそこそこできるから、技能ない人の支援もできると思う。

あと一本道ならいいけど、分岐があるようなら挟撃も注意した方がよさそうね。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 10) 2021-03-11 22:56:58
なやんじゃいますね。
時間はかけたくないですけど、てがかりなしで迷子になっちゃうのも時間かかっちゃいそうですし。

情報では

・近くを通っただけでは特に反応こそないが、外部からの強い刺激(攻撃を与える等)または、水に触れると封印が溶けてしまう。また、時間をかけ、封印から目覚める魔物もいる。

ということがあって、

・魔物の封印が解ける際、微小の空気振動が発生する模様。これにより、1匹が目覚めると近くで封印されている別の魔物も、刺激により目覚めることがある。この振動は、魔物が強ければ強いほど大きくなる傾向にあるようだ。

という風になってるみたいなので、時間がかかると魔物の封印がとけることからまわりの魔物の封印もとけちゃうことがあるみたいなんですよね。

ですからいそぐ必要はあるとおもいます。
ほかに「ふしぎな本のありかのてかがり」をみつけられる方法があればいいんですけど、おもいつかなくて。

それでこの「微小の空気振動」って「音」のことですよね。

そうしますと、わたくしも回復の楽器とかはやめておきますね。
さすがに魔法の詠唱とかまでは大丈夫だとおもいますけれど……お薬とか回復効果のある種族特性とかを工夫した方がいいかもしれません。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 11) 2021-03-12 05:30:22
地割れから本の様子を確認後、Bルートから攻略の流れだね。
そうと決まるなら従うよ。

魔物の封印は、強い衝撃や水濡れで解けるようだし、私もアクラとかの使用は控えるか、封印状態の魔物が居ない場所でのみ使う等、注意した方がよさそうだね。

あと、本のそばに控える『直立した牛のような魔物』は、私達が辿り着いた頃に封印が解けるのはお約束だろうね。
避けられるなら避けたいけど、交戦を想定しておいた方がいいと思うよ。

そういえば、洞窟内だし明かりも必要かな。キラキラ石なら、道中に目印として置いていくこともできそうだし、キラキラ石を用意しようかと思ってるよ。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 12) 2021-03-12 07:39:43
>魔物の封印について
これで思い出したけど、出発前後の天候も気にした方がいいかも?
地震とか、落雷とか、地割れに水が入り込むような大雨とか、自然要因で大きな開放が起きそうなら急ぐ必要があるんじゃなかなって。

>技能について
液体を扱うものはないけど、『勇者宣言』とかの発声や大きな音を伴うスキルは控えておいたほうがよさそうね…そうするとグロリアスブースターも危ないかな

明かりは……熱の影響はわからないけど書物だし、キラキラ石の方が無難そうね

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 13) 2021-03-12 17:12:34
では、地割れを事前に調査後、Bルートから突入ということで。

そして色々と案が出たね、いずれも有効そうだ。
キラキラ石による目印と天候のチェック、二人に是非お願いしたい。

空気振動は音とは限らないかもしれないが、やはり大きな音は洞窟内の目覚めている魔物を避ける意味でも極力控えた方がいいだろうね。
封印が解けた際に関しては、大気が揺れる……そういった例えのものかと俺は考えている。
この、『直立した牛のような魔物』が仮に強力だとしたら帰りは少し心配だね……
本の回収前に目覚めたら交戦、回収後に目覚めたら撤退がいいと思うが、どうだろうか?

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 14) 2021-03-12 17:13:04
では、地割れを事前に調査後、Bルートから突入ということで。

そして色々と案が出たね、いずれも有効そうだ。
キラキラ石による目印と天候のチェック、二人に是非お願いしたい。

空気振動は音とは限らないかもしれないが、やはり大きな音は洞窟内の目覚めている魔物を避ける意味でも極力控えた方がいいだろうね。
封印が解けた際に関しては、大気が揺れる……そういった例えのものかと俺は考えている。
この、『直立した牛のような魔物』が仮に強力だとしたら帰りは少し心配だね……
本の回収前に目覚めたら交戦、回収後に目覚めたら撤退がいいと思うが、どうだろうか?

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 15) 2021-03-12 21:55:45
ギリギリになってしまったがよろしく頼む。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 16) 2021-03-12 22:14:16
>クロス
まとめありがとう。今、プランを提出したわ。
天候のチェックと緊急時の直行について触れておいたわ。

>直立した牛のような魔物
ごめん、ギリギリだけどコレ…以前の防衛線(『弱き民、迫る脅威』)で一度戦闘したやつかも。
(PL註.『『直立した牛』のような姿』と地の文であったので、おそらく)

遭遇した時のは全高3mほどで石斧を武器にしたパワー型、破壊力はすごいけど隙が多い…って感じだったわね。
プランの方でも情報共有する旨を触れておいたけど、参考までに上げておくわ。