;
【幸便】封じられた魔物とハレの土地


ストーリー Story

 エルメラルダのとある土地の話。
 その場所は遥か昔、大樹海とまで呼ばれた場所であったらしい。
 数多の植物で溢れ、土は潤い、泉は常に透き通り、数多くの動物がその恵みを享受していたらしい。
 人々も、自然と同化するように木々の上や洞穴で豊かな生活をしていたらしい。
 ……『らしい』というのは、それが今では架空の出来事のようなものとなってしまったから。
 その地は毒々しい木々が生え、土は枯れ、雨水以外に飲み水は無く、汚染された動植物や魔物以外の生物が存在しない土地。生命は毒を含む果実や虫、あるいは魔物。常人ならば食料だとはとても思えない物ばかり。
 ただ、珍奇なことにそのような土地でも、生活する人々は存在したという話もあったそうだが、それもまた『らしい』に過ぎない。

 姿は巨大な鳥。
 10m以上もある巨大な翼。
 炎のように輝く羽とその身体。
 人々はその鳥を『神の使い』とし、畏怖し、そして信仰し。
 人々はその鳥を『不死鳥』とし、恐怖し、そして討伐していた。
 幾度も蘇り、幾度も倒され、そして再び蘇る。
 最後に倒されたのは確か……そう、10年前。


 かつて程の強大な魔力はまだ蓄えられておらず、復活したばかりといったところか。
 倒すならば、今が絶好の機会と言えよう。しかし。
(この距離でワタシの魔力を……。無意識なのでしょうがなかなかきつい)
 【ブラッド】は同行する生徒達と共に、不死鳥の行方を探っていた。
 魔物が集まる土地、人々が寄り付かない、あるいは殆ど居ないような場所。
 あるいは先代達の残した手記や地図、封印の書物を残した場所。
 ……手がかりを元にたどり着いた場所が、この地であった。
「……撤退する前に、少しでも手がかりが欲しいところではありますが」
「早く帰ろ!? このままじゃ死んじゃうよぉ!?」
 生徒は、かなり大袈裟に(本人にとっては大真面目なのだろうが)泣き喚く。名前は【アデル・ミドラ】と言ったか。
 よわ……いや、慎重そうな雰囲気がある。学園側はブラッドの生存最優先でこのような生徒を送りつけたのだろう。数分でも目を離せばすぐに死んでしまうのではと思わせるほどに頼りない。
(危険な行動は慎めというメッセージなのでしょう。死なれては学園側とこぎつけた協力関係を壊してしまう)
「……今回はここからの観察のみにしましょう」
 もう少し近づいて見てみたかったのだが、と。その姿を目に焼き付けようと観察を再開する。
「……あれは」
 不死鳥の身体に違和感を感じ、身を乗り出して凝視した。
 違和感の正体は、輝く身体に不釣り合いな、色。
 本来の柄や色とは異なり、左右対称でもなければ、均一の大きさでもない。
 蛍光色の点が幾つか散らばっているのだ。
「なんでしょうあれ。アナタは分かりますか?」
「んー……蛍光塗料っぽいかなぁ? 悪戯で何回かつけられたことがあるけど―――って、言ってる場合じゃないっ! 魔物が来てる、早く逃げよ!」
「……成程」
(バカ息子様はタダで死んだわけでは無かったワケですね。……これは良い収穫です)


「勿論キミはその不死鳥に挑むんだろ?」
「その通り、【メメ・メメル】。必ず連絡をしろという命令をされましたので、これでよろしいのでしょう? 生徒もワタシも無事帰還です」
「命令なんて、オレサマはお願いしただけだぞ♪ ブラッドたんは何をするか分からないからな! ま、無茶しなかったようでよかったよ」
「……アナタから信頼を勝ち取ることは難しそうですね」
 不死鳥の住処は、巨大なクレーター状の土地。
 その中心で蔦のような物に身を包む不死鳥。その周囲には魔物が溢れかえっている。
 1体1体はそう強くはなく、生徒達ならば撃破はそう難しくない相手だろう。
「一番厄介なのはやはり、不死鳥の存在自体。魔力を枯らすんだっけ?」
「不死鳥を討伐するにしろ、封印するにしろ攻撃を与える必要があります。しかし大抵の傷は一瞬で治ってしまう。……ですが」
 僅かに頬を緩ませ、ブラッドは続ける。
「以前挑んだ者が着けたと思われる、傷の痕を確認しました。喉元、羽の付け根に幾つか。いずれも不死鳥の弱点かと。そこを狙い撃ちできればかなりの効果があるかと」
「以前……? あぁ、もしかしてレオナルドたん? キミ達と折り合いが悪そうな事を聞いていたけど、なんだかんだ言いつつ、キミ達の為、人々の為に戦ったって感じだな!」
「……。そういえば、そちらにお世話になっていたようで」
 第2のメメ・メメル、あるいは最強の魔法使いを自称していた【レオナルド・ガイギャックス】。
 その最後は人々の敵である不死鳥と相打ちとなったということなのだろう。非常に勇者らしいものだったのかもしれない。
「優秀だったぞ。実力はオレサマに遠く及ばないがな」
「かの魔法使いにお褒め頂けるとは。バカ息子様も誉でしょう」
(功績はそこそこのものだったのでしょう。少なくとも10年は魔物を無力化できたわけですから。彼が亡くなったことでもう封印に使える血液はワタシが所有しているものだけになってしまったわけですが)

 封印の結界を張るために必要なものは3つ。
 1つ目は戦力。倒す、封印するにせよ不可欠だろう。
 2つ目は封術。封印の術式を使用するための知識、魔力、が必要だ。
 3つ目は血液。術を使用する為の触媒として、無くてはならない物である。
 1つ目に関しては、学園側との協力を結び、補う手筈になっている。
 2つ目と3つ目に関してはブラッドが補うことができる。
 ……逆に言えば、ブラッドにしかできないということなのだが。
 協力の見返りはブラッドより学園側への知識の提供。これには封術の扱い方、結界や魔物の使役が含まれている。
 血液に関しても、いずれは他の血統でも同じような魔術を行使することができるようになるだろう。……何十年も先になるだろうが。
「大事な魔法貰ってもいいの? あ、オレサマもしかしてかなり信頼されちゃったカンジ?」
「いいえ、アナタは全く。ですがアナタの育てた学園というものは信頼に値しますから」
「それもそうか。んじゃ、作戦決行まで、屋敷の構造、魔物とかの情報。後は罠とかもあれば。暫くは学園で準備をするんだろ?」
「そうですね。遺書代わりとして書き綴っておきましょうか。魔物が徘徊していますから気を付けて」
 顔色を変えずに淡々と話すブラッドに、メメルは頬を膨らます。
「もー、遺書なんて! ブラッドたんは悲観的すぎだぞ? 死ぬこと前提で準備し始めてさ! もっと夢のあることを語ってくれてもいいんだぜ?」
「アナタは楽観的です。カルマに夢を語れと?」
「誰であろうと何であろうと、だ。暗い話ばっかじゃ士気がさがっちまうぜ☆」
「……飽きました?」
「そうかもしれん! ま、士気が下がるのは本当だぞ? 色々ブラッドたんの事聞けたなら、守りたいな~みたいな感じでやる気がでるかもしれないし!」
「……ワタシはおしゃべりを目的として作られたわけではないのですが」
 メメルの飄々とした様子に感化されてか、変なことをブラッドは考える。
 偶にはバカらしく、目的のないお喋りをしてみても、なんて。らしくないことを考えてもみる。
(バカ息子様であれば、喜んでこの誘いを受けたのでしょう。……あの方の感情はよくわかりませんでしたけど、今なら理解できるのでしょうか?)
 単なる戯れとはわかっている筈。けれど。
 ブラッドは少しだけ、羽目を外してみることとした。

「それでは、旦那様が好んでいた、特製ハーブティーのお話でも」


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 8日 出発日 2022-05-27

難易度 とても難しい 報酬 多い 完成予定 2022-06-06

登場人物 6/8 Characters
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《新入生》キィ・トリークル
 ヒューマン Lv8 / 賢者・導師 Rank 1
「困ったことがあれば、ウチに相談するといいのだ!」 ■容姿■ 見た目:幼女 髪:ショートヘア ■性格■ ・長所 元気で明るい性格。好奇心旺盛。 人懐っこく、誰とでもすぐ打ち明けられる。 大人の知識をさらっと当たり前の様に語る。 ・短所 承認欲求が強く、 自分が必要とされない事を何よりも恐れる。 自分で自分の価値が分からない他者準拠な悲しい性格。 年相応の子供っぽいところ。 ■口調 ちょっと片言の様な幼い口調で話す。 話し方は偉い人であっても基本変わらない。 ~なのだ(口癖) 二人称:名前、お前(敵に対して) ■サンプルセリフ ・ウチはお腹が空いたのだ ・これが本末転倒というやつだな ・これ、知ってるか? ・気分いいな!
《イマジネイター》ナノハ・T・アルエクス
 エリアル Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 その中でも非常に小柄、本人は可愛いから気に入っている。 明るく元気で優しい性格。天真爛漫で裏表がない。 精神年齢的には外見年齢に近い。 気取らず自然体で誰とでも仲良く接する。 一方で、正義感が強くて勇猛果敢なヒーロー気質。 考えるよりも動いて撃ってブン殴る方が得意。 どんな魔物が相手でもどんな困難があろうと凛として挑む。 戦闘スタイルは、高い機動性を生かして立ち回り、弓や魔法で敵を撃ち抜き、時には近接して攻め立てる。 あまり魔法使いらしくない。自分でもそう思っている。 正直、武神・無双コースに行くかで迷った程。 筋トレやパルクールなどのトレーニングを日課にしている。 実は幼い頃は運動音痴で必要に駆られて始めたことだったが、 いつの間にか半分趣味のような形になっていったらしい。 大食漢でガッツリ食べる。フードファイター並みに食べる。 小さな体のどこに消えていくのかは摩訶不思議。 地元ではブラックホールの異名(と食べ放題出禁)を貰うほど。 肉も野菜も好きだが、やっぱり炭水化物が好き。菓子も好き。 目一杯動いた分は目一杯食べて、目一杯食べた分は目一杯動く。 趣味は魔道具弄りで、ギミック満載の機械的な物が好き。 最近繋がった異世界の技術やデザインには興味津々で、 ヒーローチックなものや未来的でSFチックな物が気に入り、 アニメやロボットいうものにも心魅かれている。 (ついでにメカフェチという性癖も拗らせた模様)
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている

解説 Explan

目的:『不死鳥』を討伐又は封印する
 不死鳥と呼ばれた魔物を討伐あるいは封印を行うことが目的です。

〇不死鳥について
 幾度も復活する鳥型の魔物です。以下のような特徴・技を持ちます。
 ・復活・再生(パッシブ)
 受けたダメージを常に回復する状態を持っています。また、体力が無くなっても十年程の時を掛けて復活します(復活するまでの間は無敵となり、あらゆる攻撃・封印が出来ない状態となります)。
 ・魔力枯渇の羽(パッシブ)
 周囲の魔力を無差別に減らします。不死鳥の近くにいる相手程減る量が多いです。
 ・聚合
 周囲に魔物を集めます。現在グレイブスナッチに似た魔物が周囲に群がっているようです。
(補足:本来のグレイブスナッチよりも弱体化しています。格3程度の敵です)
 ・業火
 周囲に炎を発生させます。この炎はなかなか消えず、空中にも一定時間残るようです。
 ・その他
 嘴や爪の物理攻撃、羽ばたきによる目くらまし等を行う可能性があります。
〇戦場について
 枯れた大地にぽっかりと空いたクレーター状の土地です。
 不死鳥の初期位置はクレーターの真ん中になります。
 殆ど不死鳥は飛行状態を維持していますが、後述する魔法により現在15m以上高く飛ぶことはできない状態です。羽を狙う、重石を着ける等の方法で少しの間なら、無理やり地面に近づけることも可能でしょう。

〇NPCについて
 【メメ・メメル】
今回、直接的に援護することはできないが、優秀な生徒たちの魔力を用いて魔法で遠隔から不死鳥の動きを魔法で閉じ込めている。(逃走不可能となっている)
 【ブラッド】
封印役。今回は不死鳥の魔力枯渇対策でクレーターの外から援護を行う。封印に使用する魔力の温存のため、自衛以外の援護は難しい。
 【アデル・ミドラ】及び皆さん以外の生徒
10人ほどの人数が集まる(10-参加人数)予定。主に周囲に現れた魔物の討伐やブラッドの護衛を行う。行って欲しい行動があれば行うことは可能。


作者コメント Comment
 以下解説の続き

〇封印の方法について
 次の順序で行われる。
 1.不死鳥の体力を減らす(行動不能の1歩手前までが理想)。
 2.クレーターの真ん中に不死鳥をおびき出し、ガイギャックス家の血と魔力を捧げる。
(魔力が多ければ多いほど、3.で必要な拘束時間が短くなる。協力可能)
 3.封印が終わるまで出来るだけ中心に不死鳥を留める。

〇その他
 不死鳥には、前回の討伐の際に付けられたと思われる『目印』が存在しています。
 受けた傷を回復してしまう特性を持つ不死鳥ですが、急所であるこの場所の傷は回復が遅く、他の箇所への攻撃よりも受けるダメージが大きいようです。

――――――
お久しぶりです、根来言です!
今回は【幸便】の最後のお話となります。
幾度も復活する怪鳥を討伐しましょう!
皆様の素敵なプラン、お待ちしています!


個人成績表 Report
フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
●作戦
長期戦を想定して前衛。みんなと相互に支援し持久戦

●行動
「ブラッドさんが言うだけあるわ、けれど……!」

装備、技能とも長期戦に耐えるよう準備。
魔力を使用する技能・特性は極力控え、攻撃可能な時は不死鳥を優先。
注意を惹きつけつつ『部位破壊Ⅰ』で羽根の付け根→喉元と狙い、動きを封じつつ止めにもっていく作戦。
体力が低下すれば装備効果で状態異常耐性もつくので、負傷は恐れず果敢に攻撃。
(不意の大ダメージはアイテム『身代わりウサギ』と技能『九死一生』で二重に備え)

『不滅の希望』は主にブラッドに攻撃が向いた時用(危険を感じた不死鳥が狙った時など庇えるように)

ブラッドには生き延びてほしいけど、本人の意思次第…

キィ・トリークル 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
戦闘開始時:
負傷者に対する応急処置等の支援を行う。支援活動はもう一人の支援役と協力し、活動領域を二分化して行う。尚、一方の支援役が負傷した際には臨機応変な対応を。

戦闘激化後:
重傷を負ったものは回復せずに戦闘を離脱させることになる。もう一方の支援役は重傷を負ったため離脱。
キィはブラッドの支援をメインに不死鳥に対する行動制限を主に行う。具体的には、
・炎の攻撃に対する対処
・地表付近に降りてきた不死鳥に対し、杭状の風魔法を放ち攻撃をする。ここで使える魔力は少なめなため一発一発よく狙う。

封印時:
全魔力を使い竜巻状の結界を作る。全体的に味方の魔力が枯渇してきているため、結界は術者を交代させて維持する。

ナノハ・T・アルエクス 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
不死鳥の討伐・封印

■行動
僕は射撃メインで立ち回るよ。
魔術師の箒で飛びながら立体機動で縦横無尽に動いて炎を避けつつ位置取りと撹乱。
そして射線が通りそうならファイニンの銃弾を撃っていく。
狙うは翼、まずは機動力を削いでいくんだ。
空が飛べるからって、自由になんてさせないよ!

魔力が少なくなってきたらバレットリロードで回復。
魔力を枯渇させてくるのなら、粘りつつも短期決戦で攻めないとだね!

動きが鈍ってきたら、一気に攻めるよ。
自然友愛で魔力を高め、集中で狙いを定めて、必殺技を叩き込んで地上に引き摺り落とすよ。
行くよ!これが僕の全力全開フルドライブ!
タイタニアブレイカァァァァーーーーーッ!!!

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:297 = 198全体 + 99個別
獲得報酬:9000 = 6000全体 + 3000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
俺は不死鳥から距離を置き、集まってくる魔物の相手を務めよう
魔力は温存し、杖での通常攻撃や多数相手には炸裂の種を使って立ち回っていこう

数が多くなってきたら鮮血染華で一帯へ攻撃
使用前には必ず仲間に合図し、射線を空けてもらう
消耗後もフォースソウルで魔力を吸収することで、魔力を補い減少を抑える

不死鳥の炎が妨害になりそうなら、ミドガトルで鎮火か勢いを弱めることで仲間が動きやすいように援護する
他にも、不死鳥に隙が見えたらミドガトルで同じように攻撃しよう

封印段階に入ったら、アン・デ・カースやアン・デ・フィアで不死鳥を拘束してクレーターの中央で抑える
また、必要な魔力を俺からも提供することで迅速な封印を目指そう

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
魔王の問題を解決しても、ゆうしゃの戦いはまだまだ続く。
それを象徴する課題のようですね。

〇事前
ブラッドさんにご挨拶し【信用】を得て
【勇者司書】も活かし【事前調査】を手伝う
屋敷の構造は【設計】、魔物の情報は【魔物学】、【罠設置】の準備
これまで積み重ねた勇者としての学習と経験を総動員して
フラッドさんと活発に議論し情報をまとめ
作戦を練り、仲間に共有

〇当日

アデルさんと他生徒に協力を願い
【信用】を得て
連携して動く

ブラッドさんを護衛し、アデルさんと他生徒、後衛組の仲間と連携して徹底的に守る
ブラッドさんが自衛に魔力を割くリスクを0に近くし、封印に多くの魔力を残し、かつ、封印のために集中してほしいため

アドリブA

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:594 = 198全体 + 396個別
獲得報酬:18000 = 6000全体 + 12000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:幸便の祈祷師
ヒーラーとして参加。前衛のやや後方に位置し、回復支援をしつつ、後衛の術師を護衛。魔力の減少を緩和するため、なるたけ、不死鳥とは距離をとる。

不死鳥への攻撃は【白麗の閃光】で羽根の付け根の弱点を狙う。

取り巻きの雑魚に対しては、慈母抱擁て無力化するか、スプリーム・クラッシュ、火炎の息吹などの範囲攻撃で。

業火には業火纏で対抗

封印を施す段階に入ったら、所定の位置への誘う込みを確認した上で、聖鎖陣での拘束を試みる。

封印の魔力供給のため、全員の魔力が尽きかけてきたら、【大司教の聖服】
の効果を使って、魔力の回復をし、封印時間の短縮に努める

「もう少し詳しく聞きたいわね。特製ハーブティーの話。帰ったら教えてね」

リザルト Result


 グラヌーゼの幻惑の森。霧と幻覚のその奥地にて聳え立つある屋敷にて、全てが始まった。
 ある一族によって生み出された魔物『不死鳥』。
 土地を枯らし、魔物を呼ぶまさに災厄の鳥。そしてそれを生み出した一族こそが、ガイギャックス一族であった。
 
「この通路のすぐ先が階段となります。足元にお気を付けを」
 一族にかつて仕えてきたカルマ、【ブラッド】の案内により数人の生徒がその後に続いていた。
 隠し部屋、隠し通路、罠等。ブラッドがいるうちに屋敷の内部を把握し、一族が残した成果物を学園側で保有することを目的とし、結成された数人の即席パーティだ。
 生徒達はそれぞれが、回収用の鞄を背負い見知らぬ建物を警戒しながら歩みを進めていく。
 屋敷内部では、つい最近まで巨大な魔物が暴れていたらしい。……その痕跡は嫌でも目に入るほどに大きなものばかりだ。爪跡、焼けた壁……、その全てが、魔物がいかに獰猛なものであったかを物語っているようだ。
 ―――———つい先日その魔物も倒されたという知らせこそ届いたものの、生徒達の様子はどこか落ち着きがない。……他にもいるのでないか? 等という嫌な妄想を掻き立て、変に警戒してしまうのも無理はないだろう。
(そして、この爪の主より更に大きな魔物と僕達は戦うことになるんだよね……)
 【タスク・ジム】もこの即席の探索隊に参加した生徒の1人だった。そして、彼は数日後に迫った不死鳥の封印儀式にも参加する予定である。
 ……ついでにこの探索で新たな不死鳥の弱点でも出てこれば……、なんて僅かに期待をしつつ。
 乱雑に荒らされた部屋を見回す。
本棚にあったであろう本は床に散らばり、司書が見れば悲鳴を上げそうなほどの酷いありさまだ。
 タスクは床に落ちた本を1冊拾い上げ、ページを捲る。も、期待していた内容なんてものは毛ほども存在しておらず、その中身は意味のない文字の羅列、パッと見は本ではあるけれども……、よく見なくても直ぐに分かる。この本に意味などを求めても無駄ということに。
「大よその書物はダミーです。メインは地下3階のとなります」
 ダミー……。偽物、それをこれほどまでにここから先の情報は一族にとって知られたくはないものだったのだろうか。
 階段を降り、扉を開く。カビと埃の混じったような匂いが広がり、タスクは思わず鼻をつまんだ。
「なんとまぁ、見事な荒れようですね。何もかもがぐちゃぐちゃだ……それで、どれを持ち帰ればいいんですか?」
 階段の先には、部屋が1つだけ。殆ど物の入っていない棚と、床に散乱した本と何かの道具ばかり。
 この部屋は元々、資料室のような扱い方をされていたらしい。そのためか他の階層にあった本を全てここに集めたのではないかと思えるほどに本の数は多く、また明らかに背表紙も装飾も整っていた。
 タスクは本を踏まぬよう、慎重にしゃがみ込み簡単に埃を払った。
 どこか遠い国の文字なのか、あるいは昔の書き方なのか。数ページ捲っただけで眩暈がしそうなほどに意味の分からない文字の羅列が空白を埋め尽くしているようだ。
(これは辞書が必要そうだなぁ……。あ、これは少しわかる! 分類は……)
 未知の本に浮かれつつ、他の本へと手を伸ばす。未開の本の仕分けをしているような感覚に、タスクは気が付くと夢中になっていた。
「明らかに壊れているもの以外は持ち帰っていただいて結構です。……あぁ、本の取り扱いには注意を。魔物が入っている物もありますので」
「あっ、はい! ……そうか、危ない本もあるんだよなぁ」
 夢中になっていた。本を慌てて閉じ、1冊1冊を丁寧に鞄に詰めていく。
「……あ、そうだ。因みに不死鳥に関する本とかってあったり……します?」
 この探索の目的はこの家から資料を持ち帰ることである。けれど、今回のタスクの本当の目的はこちらだ。
 ……魔王ほどではないとはいえ、強大な敵を相手どるのは間違いないのだから、少しでも情報があるのならば知っておきたい。
 ブラッドは少しだけ考え込むような仕草をし、タスクの顔を覗き込む。
「……ふむ」
「……っ! え、えぇとどうでしょうか?」
 ブラッドと目が合う。暫し、見つめあうような奇妙な時間に、タスクは少し困惑しつつも笑顔を返した。
「……、アナタも封印に参加する生徒でしたね。では、ある程度の知識を知っておいた方がいいでしょう。……アナタも参加される以上、アナタのことも信頼しなくてはいけませんので」
 恐らく、ブラッドは他人を信用するという行為にあまり慣れていないらしい。かといって信用したくない……ということでもないらしいが。
「こちらに」
 落ちた本から数冊拾い上げ、タスクに手渡す。不死鳥と、それを囲むような茨で出来た鳥籠の様な紋章。幾度も見てきたガイギャックスの紋章だ。
 安心してください、魔物付きの本ではないので。そのように言われて、恐る恐る数ページ捲る。
 本の内容は、不死鳥を始めとした合成獣の作り方、そしてその対処法。封印方法と対処方法。
 そこに書かれていたものの殆どは、事前知識として以前の調査や他生徒達の課題報告で見かけた内容ばかりであった。
「魔物を呼び寄せる声……、直ぐに回復する身体……。僕の知っている情報と同じではありますが……。でも、知らないことも幾つか。炎は他属性攻撃に弱く、不死鳥が声を上げなければ魔物は増えない……?」
「以前……、過去に挑んだ者や研究を行ってきた一族からの情報をまとめた書です。造った者を問い詰めれば詳細は分かるのでしょうが、もう生きてはいないでしょうね。100年以上前のことですので……。不死鳥について、最も詳しいモノといえばそれになります」
 よく見れば、落下や月日の経過だけでついたと思えないような染みや書き直した跡。頁を折り曲げ、付箋を貼り、書き込み、貼り付け。
 数十人の思いと、数百年の希望の詰まった1冊だ。
 タスクには、幾人の願いが込められたのか、知ることは出来ない。けれど。
「……。ありがとうございます、僕達にお任せください!」
 タスクはそれらの願いを胸に、ブラッドに笑顔を向けた。


 かつて森だった場所は、もはや草木も生えぬような汚染された土地となっていた。
 魔力が枯れ、そこにあるのは荒れた場所。そして、奇妙に抉れたような地。
 ……その巨大なクレーターの中心に、その魔物は鎮座していた。
 左右に広がる10mはあろう巨大な羽、燃えるように輝く身体。
 それが呼吸する度、火の粉のように土地いっぱいに舞い散るような細かな、無数の羽。
 ―――ッ!。
 時折高い、鳴き声のような振動が空気を揺らし、その度に周囲の土地から黒い影が産まれ、次第に死神のような姿―――グレイブスナッチへと変貌していた。

「偵察したときよりも、明らかに魔力の増幅を感じます。―――が、完全復活は未だしていません。叩くならば今がチャンスでしょう」
 クレーターを覗き込む一行に、ブラッドは静かに言った。
 逆に言えば、今を逃せば更に強大になった不死鳥が勢力を伸ばし、他の土地に飛び立ってしまうことだろう。
 ……ここで終わらせる。生徒達の拳には、いつの間にか力が入っていた。
「なので、宜しくお願いします。……皆様の力、信頼していますので」


 生徒達は前衛、後衛の2手に別れ封印へと挑む。
 クレーターの内部へ前衛組。不死鳥の体力を削り、封印の準備を行う者達。
 クレーターの外部へ後衛組。周囲の魔物の討伐を行いつつ、ブラッドの護衛を行う者達。
 互いに激励を飛ばしつつ、それぞれが位置についた。

 ―――クレーターの外部に群れるは、死神を模したような敵。グレイブスナッチに似た魔物。
 闇を操り、鎌を振るう魔物。力を付けてきた生徒達からすれば強敵ではないものの、群れを作られてしまえば少々厄介だ。
 だからこそ、こちらも集団を作る。
 殲滅をする必要はない。魔物退治は目的ではない。
 今はただ、封印の邪魔をされないこと。そしてブラッドを封印が終わるまで守り切ること。
 それが後衛組の生徒に課せられた課題であった。
 
 声を張り上げ、少女が叫ぶ。
「西方角、また出てきたのだ! 空いている人は向かうのだ!」
 生徒達を指揮するのは、【キィ・トリークル】。
 彼女は高台から周囲を覗き込み、声高々に的確な指示を出していく。
 負傷者は隔離、衛生担当の生徒達に治療をしてもらう。
「回復した人は西の方角へ! えっと、そこ炎が来てるのだ! 後方へ下がって」 
 植物1つ生えていないような土地は、見通しが良く戦場としては申し分なく指示が通りやすい。
 彼女の指示は的確に生徒達に届いていたようだ。
「はぁぁぁっ!」
 西方面で剣を振るうのは、タスク達だ。
  先頭にタスク、背にブラッドをかばいながら、その周囲に魔法攻撃をメインとした他生徒達が、タスクのサポートを行っていた。
「こっちこないでぇ! フドッ!」
 【アデル・ミドラ】を始め、数人の生徒が周囲の敵を牽制しつつ、一対一、または数人体一の体勢へと作り上げる。討伐のスピードはあまり早くはないものの、確実に倒し、次の敵へ。
「少しくらいでしたら、ワタシも手助け出来るのですが……」
「あなたは魔力の温存に努めていただきたい。全員離れろっ! 弾けるぞッ!」
 【クロス・アガツマ】が叫ぶや否や、蜘蛛の子を散らすように散らばる生徒達。
 ―――バチンッ! バンッバンッ!
「ガァァァッ―――ッ!?」
 そこら中から破裂音と共に魔物の悲鳴が木霊する。
 クロスが魔力の温存のために持ち込んだ炸裂の種だ。
 彼が周囲にまき散らす度、それは直ぐに炸裂し、周囲の魔物へと鉱石の欠片が勢いよく弾け飛んでいく。
 数を減らす、広範囲を攻撃するにはもってこいのアイテムではあったが、無限というわけにはいかず……持ってあと2回というところか。
「クロスさん、助かります! ……けど、数は大丈夫ですか?」
「このくらいなら、問題はない。後2回分はある……。魔物の方がどうかな? 随分数も減らせたと思うのだが……、追加の魔物が現れる気配は?」
「不死鳥は、あちらの相手で鳴き声すら上げる余裕がないのかと。皆さんのおかげで、ワタシ自身の魔力の節約もできています」
 クロスの言葉に、ブラッドが返した。
(そういえば、鳴き声と共に魔物が現れるのだったな。……ならば、不死鳥側を攻めるのもいいかもしれないな)
 なるべくなら短期決戦が好ましい。幾ら対策をしてきているとはいえ、魔力もリソースも無限と言うわけではない。
 タスクも同じ考えのようで、彼もまた、不死鳥のいるであろうクレーターの方を見据えていた。

「クロス、魔力の貯蔵は問題ないのだ?」
「あぁ、俺は自分の分はなんとかできるさ。……問題は、ッまた来たな!?」
 ―――ブワァッ。
 肌を撫で上げるかのような、生暖かい熱風と共にクレーターの内部から出現した巨大な炎の塊。
 先ほどから幾度か見てきたが、頻度は明らかに多くなっている。
 現れる魔物の数は減り、その代わりのように不死鳥が内部の侵入者の排除に集中しだした、ということだろうか。時折現れるそれは、流れ玉のようなモノなのだろう。
「―――ミドガトルッ!」
 クロスがその言葉を唱えると、彼の持つ杖の周囲に水の球が生み出され、収束すると同時に炎の塊へと吸い込まれていく。
 ジュゥウウウッ……。
 大量の水蒸気を吐きながら、炎はまるで溶けるように霧散していった。
 
「……タスクさんの情報通り、か。属性系の攻撃に炎の塊は弱いのだったな。……そうなると、魔力は出来るだけ温存した方がいいが、火は早めに消した方がいいだろう。属性攻撃が出来る者はどのくらいいるかな?」
「……ウチとクロスを合わせて、後衛組は4人なのだ。前衛組の火消に回すのだ?」
「うん、ここまで流れ弾が来ているということはあちらはかなり戦いづらい状況になっているだろう。敵の増援がない今のうちに動くべきだ」
「……わかったのだ。でも、水や氷の魔法は控えた方がいいと思うのだ。蒸気で視界が悪くなるのだ」
「わかった、色々試してみることにしよう。対応策は幾つあってもいいからね」
「あ、あの! でしたら僕が持ってきたものを使ってください!」
 タスクが差し出したのは、丸い、手のひらサイズの玉……のようなもの。
 掴むとぶよぶよと形を変え、あまり強く触れば直ぐに壊れてしまいそうなほどに不安定だ。
「タスク……これ、なんなのだ?」
「炎を消す魔法の球、です! えへへ、学園からもってきちゃいました」


 轟轟と、炎を纏いながら。それはゆっくりと瞳を開けた。
 不死鳥が羽を広げると更に舞い散る羽と炎。
 ……侵入者の姿に気が付いたのだろう、ゆっくりと身体を揺らし、その全貌を生徒達へと見せつけるように立ち上がった。

 ―――クレーターの淵にいてなお、じりじりと肌を焼くような風。その不快さに、彼女達は思わず眉を顰めた。
 何もしていなくとも、汗が噴き出し、心臓が激しく脈動する。
 熱だけではない、これが魔力を枯らしていくという感覚なのだろう。
「こちら、アルフィオーネ。映像は見える?」
 【アルフィオーネ・ブランエトワル】は水晶を掲げ、その表面に不死鳥を映し出した。
 ……この水晶は、学園側とこの場所を繋ぐ、ほぼ唯一の通信手段となっている。【メメ・メメル】の手筈により、不死鳥の逃亡を防ぐこと。戦闘の記録……そして万一……生徒達の全滅、そして唯一の封印の魔術の使用可能な存在であるブラッドの絶命した後、不死鳥の完全復活の経過を観察するためのものである。
 鈍い光を放ち、ゆっくりと水晶が浮かび、一定の経度で動きを止める。
 『―――、応答。こちら学園側――――――です』。
 少しして、ノイズ交じりの声が水晶から響く。
 『標的―――確認し―――た。座―――固定に入り―――』。
 この場所の特性上、魔力の波が乱れているのだろう。
 しかし、それでもなお、水晶の向こう側の生徒は魔法を続行する。
 『―――ッ!』。
 声こそ聞き取ることは出来ないが、何かしらの術が発動したのだろう。
 水晶から溢れる光が空を覆い、光はやがて半透明の膜となる。
 不死鳥が逃げないように張られた膜だ。
 『強―――衝撃があれば壊れ――――――ますので、お気をつけを』。
「わかった。……皆、準備はいいわね?」
 【フィリン・スタンテッド】が剣を抜き、【ナノハ・T・アルエクス】も愛機のリロードを終え、上体を起こした。
 これから始まる戦いに向け、ゆっくりと息を吸い、そして敵を見据える。
 目視できる場所、首の付け根、羽。蛍光色に光る跡。
 ……先人に心の中で黙祷し、そして祈る。
 願わくば、これが最後の『不死鳥狩り』となることを。
 ―――ッ!
 振動が響く。肌を震わせるような声。
 けれど、怯むことはなく。
「……ッ行くわよ!」
 フィリンの声を合図に、3人の少女達は空を飛ぶ。
「先ずはその羽、落とさせてもらうッ!」
 初めに動くのはナノハだった。器用に箒を操縦しつつ、不死鳥の眼前を掠めるように飛ぶ。
 ギュォォッ―――。
 その前方から吹き荒れる風。舵を切ろうと調整を行うも。
「―――っぷはぁ!? ッ、離脱!」
 不死鳥の羽ばたきの影響をモロに受け、一瞬箒から離れ、そして地面すれすれのところで体勢を立て直す。
「はぁぁっ!」
 しかし、その直後。頭上から舞い降りたのはフィリンだ。
 ―――ッギャォォォッ!
 フィリンが不死鳥の首元に剣を突き立て、羽目掛けて薙ぎ払う。も、羽の弱点までは届かずに吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。
「がぁっ……ッ! クソッ……―――ッ!?」
 不死鳥の方角を睨み、そして―――、思わず息を飲む。
 頭上から降りるは、数個の巨大な炎の塊。
 そしてその間に立ちふさがるアルフィオーネの姿。
「すぅ……ふぅーッ!」
 アルフィオーネが息を吐き、炎と炎がぶつかり合う。業火纏 。炎を操るドラゴニアの技だ。
「……助かったわ。―――もう一度、やってみる」
「フィリン……、無理してない?」
「していないわ。……出来なければ次の手、それが出来なかったら更に次の手よ」
(確かに相手は強い……けど、あの戦いが予行練習だったのなら)
 フィリンの目には、諦めや怖気は一切なかった。
「……そう、それなら。わたしも諦めない。あの子もそうみたいだし」
「まだまだぁっ! いっけぇ―――ッ!」
 宙を舞うヒーロー……ナノハは、不死鳥より、そして炎の球よりさらに高く、遠く。
 ファイニンに魔力を込め、一気に解き放った。
 バビュンッ……。
 風を切る音が一瞬耳を通り抜ける。そして
 ―――ズギュン。
 彼女の放つ光線にも似た銃撃が、不死鳥の両羽を貫いた。
 ……瞬時に回復される。けれど、隙を作るには十分すぎる一撃だ。
 機動力を失い、真っ逆さまに地面に落ちていく巨体。
 それでも、そのまま落ちぬと不死鳥は炎の球を周囲にまき散らした。
 轟轟と焼きつくす炎を受け、朽ちる身体。
 その先にあるのは、焼きつく匂い、焼け焦げた―――身代わり替わりのぬいぐるみ。
 そして炎を切り裂く、2つの光。
「白麗の閃光ッ!」
「スタンテッドキャリバーッ!」
 光線と閃光が同時にその首を捉えた。


 生徒達が炎の球を幾度も退けつつ、クレーターの淵へとたどり着いた頃には。
「……熱いのだ。それに、魔力が消えていく感じがするのだ」
 キィの言葉の通り。まさに戦場は激化の一方だった。
 炎の球が幾つも中へ浮かび、搔い潜りながら生徒達が己の武器を振るう。
 不死鳥は炎をまき散らしながら、羽ばたきや鍵づめで確実に仕留めにかかる。
「炎の鎮火、順調だよぉ! えっと『水風船』が無くなるまでは頑張ってみるよぉ!」
 他の生徒達はタスクが学園から持ち出した、水魔法が込められた袋を使い、戦場の消化を優先している。
 魔法程直ぐに消火できるわけではない。が、属性魔法が使えない者も使用できるため結果としてはかなり消火のペースは上がってきているようだ。
(魔力の貯蔵、クリア。視界も良い、不死鳥の消耗も問題ないでしょう)
 クレーターの底には、幾度も蘇る鳥と、幾度も攻撃を止めぬ生徒達の姿がそこにあった。
 生徒達は大分消耗しているようには見えるが、不死鳥も再生しているとはいえ、再生速度は明らかに遅くなってきている。回復へ魔力を回す余力が無くなってきたと見るべきだろうか。

「―――封印を開始します。どうか、もうひと踏ん張りお付き合いを」
 ブラッドの声と共に、クレーター内部が幾何学模様に変化していく。
 呪文の文言を並べつつ、目を動かし周囲を警戒する。
 ただ事ではない。悟ったのは生徒達だけではなかった。
 ―――ィッ!
 耳を劈くような高い音が、不死鳥の声だと分かるまで、時間はそうはかからなかった。
「み、みんなぁっ! 魔物、魔物が復活してきたよぉ!」
 その声に振り返れば、クレーターの周囲から押し寄せる、新たな魔物の影。
 それは次第に数を増やし、術者……ブラッドの方へと迫っていた。
 前方の不死鳥、後方の魔物……。
「は、はは……。数が多いな。でも……。皆さん、ここが正念場です!邪魔はさせませんよ!」
 タスクの剣を持つ手が震えた。けれど、それをごまかすように、支える手で無理やり掴む。
「―――属性魔法が使える者は炎の消化を! それ以外は守りを固めるのだ! 耐え抜くのだ!」
 キィが皆を鼓舞し、散らばった生徒達を集め、ブラッドを守るような陣形を作り上げた。
「……俺の魔力も役立ててくれ、世界を壊そうとした男の魔力は一味違うぞ?」

「……感謝します。それでは手をお貸しください」
 クロスの掌から零れ落ちるのは、光の粒子。
 やがてブラッドの持つ本へと吸い込まれていく。
 即座に魔力を使用し、クレーターの中心が更に強い光に包まれ始めていた。
「あと10分……いえ、5分ください。……閉じます」
 空気の流れが変わるのを感じる。
 広がっていた幾何学模様が、風呂敷を包むように動き出し、クレーターの中心に向かって動き出していた。
(……でも、大人しくまってはくれないわよね)
 アルフィオーネは小さく息を吐き、武器を地面に置いた。
 諦めではない。これは、最後の足掻きだ。
 胸元に手を置き、大司教の聖服を脱ぎ、大司教の本の上に置く。
 周囲は生徒達が守る。ならば、今だ。
「君の相手は僕だよっ! こっちだぁ!」
 大きく羽を広げ、再び炎の球を作り出す不死鳥の眼前にナノハが降り立ち、眉間へと弾を打ち込む。
 不死鳥が身を翻し、ナノハへと敵意を向けた。
(僕が囮になる! さぁこい!)
 カートリッジを差し込み、魔力の補給。そして再び、高度を上げていく。
 スピードにそれほど差がないため、かなり大廻りな回避を続けてはいるが、それでも注意を引き付けることはできる。
 不死鳥の注意が向いていることを確認し、アルフィオーネも祈祷を始めた。
「そは、生命のきらめき。そは、魂のささやき。暁より眩きもの、宵闇の帳を巡るもの」
 祝詞を読み上げるにつれ、生徒達の身体が光に包まれていく。
「まだまだぁ! はぁ……っ、近づかせはしない! 還襲斬星断ッ!」
 フィリンは近くにいた魔物へと飛び出し、一突き。
 そして、更に畳みかけるようにその剣は止まらず。
「ッ! ―――まだまだぁっ」
 魔物が消え去るその前に、剣筋はフィリンが身を捩じる動きに合わせ、鞭のようにしなり、周囲の魔物を巻き込んでいく。
 少しずつ、少しずつ消えていく魔物達。体力を減らす、不死鳥。
 ……そして同じく、体力も魔力もすり減らす生徒達。
 生徒へ、過去の先人たちへと思いを込め。
 アルフィオーネは、静かにその言葉を続けていく。
「とこしえの誓約、いにしえの盟約、今ここに、星の光よ。始まりの時に産み落ちし、原初の光を顕現せよ。かの光蓑に秘められし力を、目覚めさせよ」
 アルフィオーネの祝詞が終わる。
「……ふぅっ、みんな。後はできるわね?」
 アルフィオーネは膝から崩れ落ち、頭上を見上げる。
 光の幾何学模様は空を覆い、徐々に狭まっていた。
(魔力が再び溢れる……、これで)
 溢れた魔力を一気に、封印の中に注ぎ込む。
 ―――ッ!
「うわっ、こ、こっちだってば! ―――そっちは!?」
 空気の違いを感じ取ったのか、不死鳥が吠えた。
 ナノハを吹き飛ばすように大きく羽ばたき、空中から一気に急降下する。
 その先には、詠唱をするブラッドの姿があった。
 不死鳥が最後の力をふり絞り、ブラッドのほうへ突っ切る。
「まずいな……ッ! アン・デ・フィア!」
「マドっ! ここで止めないと行けないのだ!」
 クロスがとっさに唱えると、巨大な腕が地面から生え、脚や羽へと手を伸ばし、掴みかかる。キィの魔法が数発不死鳥の動きを僅かに遮る。
 腕は千切れ、魔法は掻き消え。
 それでもなお、動きを止めない。けれど。
 僅かに、動きを鈍らせた。
「―――まだ、まだぁぁぁッ!」
 盾を前に、身体を前に。視線も、決して反らさない。
「はぁぁぁっ! 天晴灰陣―――だぁぁッ!」
 タスクが間に入り、身体を使い不死鳥をせき止めた。
 手は痺れ、千切れそうなほど痛い。でも。
「うおぉぉぉっ! これで、終わりだぁぁっ!」
「ここで、仕留めるッ!」
 身体のあちこちが痛むけれど、その剣を手放しはしない。
 精いっぱい叫び、剣を振るった。そして―――。
 フィリンの剣が羽の付け根を、タスクの剣が首の付け根を貫いた。


 ―――っ。
 声とも言えぬような。
 音とも取れるような。
 空気の振動と共に、鳥の周囲に現れた物は、闇色をした植物の蔦のようであった。
 それはやがて不死鳥を囲むようにうごめき、そして閉じ込める。
 ……鳥籠。それはまさしく、そんな姿をしていた。

 やがて不死鳥を閉じ込めた鳥籠は不死鳥ごと小さく、小さく伸縮していき……。
 ぽとん。
 最後には、掌ほどの小さな黒い球となり、地面に零れ落ちた。
 周囲に漂っていた羽も、魔物の姿も霧散し、後に残るものは戦いの跡と、生徒達のみ。
 終わった。誰かが、口にした途端に体中から力が抜けていくのを感じる。
「終わりましたよ、えぇ、終わりましたとも。……これで、不死鳥が蘇ることはないでしょう」
 ブラッドの声に武器を下ろす。
 今、何年もの時を経て、災厄の魔物は消えたのだ。


 封印されし魔物は、幾重にも厳重に封印されて学園で管理されることになった。
 掌サイズの小さな球。厳重に鎖で縛り、箱に入れられ、更にその上からも鎖で巻き付けられ。
 仰々しいこの封印は、もう二度と解かれることはないのだろう。
 生徒達は封印された魔物を護衛しつつ、労いの言葉を掛け合いながら、グリフォンの背に揺られていた。
 先の激闘中の疲れからか、眠りに着いているものも数人。体力も魔力も、そしてプレッシャーから精神にも疲労は現れたらしい。

「……死にませんでしたね、死ぬつもりだったのですが」
 誰に言うでもなく、ただ彼は呟いた。
 フラグも立てて、まさに死地へと赴いたつもりだったのに。そのように言ってのけるブラッドはやや不服そうだ。
「……死ぬつもりだったのですか?」
 建前で、フィリンは尋ねた。そこに意外性なんてものは全くなく。けれどなんとなく、死ぬ気で、いや死にたいと考えているような素振りを節々から感じ取っていた。
 その真意を知ってか知らずか、目を細め、話を続けた。
「こう見えて、一応ワタシ、カルマにも夢があったのです。……一族の悲願を果たし、本家の墓の隅でひっそりと機能を停止するなんていうものが」
「理想の死、か」
 その言葉に、クロスが反応を示す。
 死の瞬間を思い出してしまえば、そのまま消えてしまう存在。それが彼だ。
 【マガツ・クローズベルク】の最期がどのようなものだったのか。
 ……未練があるからこうしてあるのだろう。世界を救った今でも、恐らく。
「あぁ、アナタはリバイバルでしたね。それなら、もう経験済みですね、死。ヒューマンではありませんが、ワタシは未練を残さずに綺麗に死にたいと考えています。……それが悔いのないいえ、理想の未来があるように、理想の死というものを考える」
「けれど、それは俺達に邪魔されてしまったと。くくっ、しかしあなたは、そこまで悲しんではいないだろう? それは何故?」
「……おや、分かりますか?」
「あぁ、結構分かりやすいな」
「……ふむ、ポーカーフェイスには自信のあったつもりでしたが」
 初めて戦った模擬戦の時よりも、本人は無意識なのだろうが声色や表情が分かりやすくなっている。
 1人ではない、という安心感か。それとも単に人と協調するために変化してきているのか。
 それは本人にも分からないこと。けれど、ブラッドは明るい口調で話を続ける。
「そうですね、まだ死ぬなということなのでしょうか。魔王もなく、災厄も消えてもなお戦う理由のある勇者のように。……まったく、面倒ですね。役目を終えてなお生き続けろなんて」
 声色は弾み、謳うように愚痴を連ねるその姿は酷く滑稽で、酷く、楽しそうなものだ。
「ワタシはカルマにしてはかなり生きた方だと言えるでしょう。一時期は機能停止していたとはいえ、左腕を無くし、魔力の殆どを封印に捧げ……それでもまだ生きているのですから。……何時死んでも良いように、そう考え生きてきたつもりでしたが、まだワタシの寿命は尽きないようですね。我ながら、割とタフなものです」
「……ブラッドさんは、まだい(逝)かれないですよね……?」
「……っ」
 フィリンの言葉に、ブラッドの少し驚いたような息を吸う声。
 グリフォンの背から互いの表情を読み取ることはできないが、多かれ少なかれ、学園についたその後の事を考えていたのかもしれない。
「まだ、生きて欲しいです。生きる理由が無くなっても、新しい理由を探して、作って。……もうあなたの持ち主さんはいなくなってしまったけれど。封印も終わってしまったけれど。それは、アナタの死ぬ理由にはならないでしょう?」
 それに、と。フィリンは付け加えた。
「それに……、一瞬でも、知り合った人を亡くすのは、もう懲り懲りですから」
「……、ふふ。それもそうですね。ワタシを一瞬でも必要としてくれるというならば、……では、少なくとももう少しだけ生きてみましょうか」
「えぇ……。きっとあなたにも死ねない理由が沢山、見つかると思います」
 安堵したような返答に、フィリンは胸をなでおろし。
 そして、揺れるグリフォンの暖かな背中に抱き着いた。


 魔王が消えても、災厄が消えても。
 勇者達が勇者である限り、必要とされる限り。彼らは戦い続けるのだろう。
 それは盗賊や魔物退治としての荒事かもしれない。
 または人探し、猫探しの雑務かもしれないけれども。
 人々の救いの星、憧れの人。……そうであれと願う人がいる限りは。
 彼らは勇者として、生き続けるのだろう。

 さて、新たな勇者達の次のお話は―――。



課題評価
課題経験:198
課題報酬:6000
【幸便】封じられた魔物とハレの土地
執筆:根来言 GM


《【幸便】封じられた魔物とハレの土地》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 1) 2022-05-20 05:51:36
勇者・英雄コースのフィリンよ、よろしく。

いよいよ不死鳥狩りね。
ダメージになりそうなのは喉元か、羽根の付け根の古傷だけ…
決定打を与えられそうなのは喉元だけど、魔力減少とモンスター召喚、
それに残留する火炎が邪魔をする。

…たしかに難物だわ。

まずは羽の付け根を狙って動きを鈍らせないと、喉元に食らいつく…食らいつき続けるのは難しいかしら。
それに変えんと配下モンスターへの対処、どれも技能に頼らず行わないといけない……

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 2) 2022-05-26 01:42:49
賢者・導師コースのイマジネイター、ナノハ・T・アルエクスだよ♪
ギリギリの参加だけど、よろしくね♪

僕は射撃メインで立ち回るよ。
不死鳥の羽を銃撃して、機動力を削いで地上に引き摺り落とすつもりで仕掛けるよ。

自己回復と魔力枯渇…厄介な相手だよね。
長期戦はジリ貧だろうから、短期決戦で行く感じかな?
攻められる時には一気に攻めて行かないとだね。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 3) 2022-05-26 02:23:26
賢者・導師コースのリバイバル、クロス・アガツマだ。よろしく頼む。

魔法メインである俺は不死鳥にはあまり近づかず、後衛に徹していたほうが良さそうだな……
だが、種族固有の拘束する技は持っている。不死鳥を弱らせたら俺は拘束を担当しよう。
近づくと魔力が減らされてしまうので、ここぞってとき以外は魔物の対応がメインになると思う。
鮮血染華や、魔力を必要としない炸裂の種なんかも持っていこう。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2022-05-26 12:29:46
遅刻帰国~!ご無沙汰瘡蓋~!
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。ギリギリの参加で恐縮ですが、よろしくお願いいたします!

魔王の問題を解決しても、ゆうしゃの戦いはまだまだ続く。
それを象徴するエピソードのようですね。

会議を見させていただき、自分が必要そうな行動について、
以下のように考えてみました!

・生徒10名の指揮
誰かが専任でプランを書くことで柔軟に動かせることを期待し、良かったら僕が担当できればと思います。

・ブラッドさんの護衛
封印の魔力を最大限温存することと、生徒10名が護衛以外にも柔軟に動けることを狙ってのアクションです。

・「業火」の消火
「なかなか消えない」とありますが「消せない」とは書いてない点に着目し、生徒10名の一部に消火活動に当たってもらうようお願いするアクションです。
消火の道具やスクロールをあらかじめ借用するなど、プランを工夫したい考えです。

・その他
何かお役に立てそうなことがあれば、どしどしご相談ください!
夜にプラン作成を開始し、ギリギリまで対応可能な予定です。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 5) 2022-05-26 16:52:25
アルフィオーネ・ブランエトワルです。ヒーラーとして参加します

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 6) 2022-05-26 21:55:45
ちょっと心配だったけど、だいぶ埋まったわね。
みんなありがとう、よろしくね。

私はこれまで通り前衛ね…長期戦を想定して準備しつつ『部位狙い』で古傷を狙って動きを封じていこうと思うわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 7) 2022-05-26 22:55:14
プラン案を書けました!

上で上げた内容のほかに、ブラッドさん、アデルさんとの連携
魔物がいなくなったらフィリンさんに助太刀することを書きました!

出発前にまた見に来ますね!