;
わびさびわさび


ストーリー Story

 早朝、まだ日も昇り切っていないころ。
 寝ぼけ眼の朝を告げる鳥が、仰天して飛び起きるような怒号が鳴り響く。
 発生源はシュターニャにあるとある宿屋。
「ちょっと、どうするのよこれぇーっ!!」
「うわ、ごめ、謝るから! 花瓶は! 花瓶は投げないで!!」
 そこは年若い夫婦が切り盛りする宿屋、名前を『朝告鳥(あさつげどり)』。
 異国の珍しい食材を扱った料理が売りで、値はやや張るが、評判のいい宿屋であった。
 若夫婦も仲睦まじく、旦那は料理を、妻は経営を分担し、バランスの取れた経営を行っていた。
 だが、時折波が立つのは、旦那の無計画な浪費癖。
 珍しい食材に目がない彼は、味も見ずに大量購入を決めてしまうことが度々あった。
 その度、妻がその大量の食材を捌くのに苦労をしていた。
 今回の怒号も、また旦那の悪癖に対してであった。
「どうするのよ! この大量の根っこ! 緑色で見た目がなんだか不気味だし、齧ってみたら、なによこれ! 唐辛子のような辛さならまだしも、鼻にツンとくる辛さ! これでどうやって料理を作ればいいの?!」
 そう言って指される木箱の中に入っている、緑色のごつごつした茎のような根のようなもの。
 外皮は乾燥し、見た目はからからに乾いた緑色のショウガのようだった。
 それにしてはやけに真っ直ぐ揃いすぎのような感じもするが。
 それが大量に詰められた木箱が、1、2……3桁箱。
 どうやら、10箱程度で収めるつもりがこの旦那。
 うっかり間違えて、桁をひとつ多く注文してしまったらしい。
 東の方の珍しい食材であるということで、値段もそこそこ高かったようだ。
 妻が怒るのも無理はない。
「これが全部売れる目処が立つまで、あんたの大好きな晩酌は禁止!」
「そんなっ!?」

「……と、いうことで、なんとか売れるようにしたいんだ」
「まぁ……。それは自業自得ですねぇ」
 さくっと切り捨てたのは、魔法学園『フトゥールム・スクエア』の教師の一人、【アキ・リムレット】。
 旦那と妻の共通の友人である彼女は、しばらく思考に耽る。
 やがて、妙案を思いついたかのように、ぽん、と両手を合わせる。
「ではぁ、こんなのはどうでしょう?」

「ではぁ、授業を始めますぅ」
「……あの、アキ先生、この格好は……?」
「エプロンとぉ、髪の毛が落ちないための三角巾ですねぇ」
「……この場所はどう見ても台所のようですが……」
「はい、授業用キッチンを貸し切りにしましたぁ」
「……これは授業ですか?」
「はぁい、授業ですぅ」
 困惑顔の生徒たちの格好は、エプロンに三角巾。
 場所は学園内にある、調理授業用の広めのキッチン。
「……今日は、連携の訓練だと伺っていましたが……」
「はい、これはぁ、未知のものに遭遇したときにぃ、いかに連携して対応できるかの訓練になりますぅ」
 最早訓練と名が付けば、なんでもありだと思っているのではないだろうか。
 生徒たちの視線をものともせず、アキは木箱からひとつ、食材を取り出した。
「本日はぁ、この食材をどれだけ協力して、美味しく調理できるかの授業になりますぅ。ここで考案されたメニューはぁ、材料を提供してくださった宿屋『朝告鳥』で採用されるかもしれないのでぇ、みなさん張り切って調理してくださぁい」
 生徒たちは食材を見て、首を傾げた。
 内、ひとりが恐る恐る挙手をする。
「アキ先生、この食材はなんという名前ですか?」
「はい、これはぁ、わびさびブランドの『わさび』と言うそうですぅ」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-03-12

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2019-03-22

登場人物 8/8 Characters
《模範生》レダ・ハイエルラーク
 ドラゴニア Lv16 / 黒幕・暗躍 Rank 1
将来仕えるかもしれない、まだ見ぬ主君を支えるべく入学してきた黒幕・暗躍専攻のドラゴニア。 …のハズだったが、主君を見つけ支えることより伴侶を支えることが目的となった。 影は影らしくという事で黒色や潜むことを好むが、交流が苦手という訳ではなく普通に話せる。 ◆外見 ・肌は普通。 ・体型はよく引き締まった身体。 ・腰くらいまである長く黒い髪。活動時は邪魔にならぬよう結う。 ・普段は柔らかい印象の青い瞳だが、活動時は眼光鋭くなる。 ・髭はない ・服は暗い色・全身を覆うタイプのものを好む傾向がある。(ニンジャ…のようなもの) ・武器の双剣(大きさは小剣並)は左右の足に鞘がついている。 ◆内面 ・真面目。冗談はあまり効かないかもしれない。 ・立場が上の者には敬語を、その他には普通に話す。 ・基本的に困っている者を放っておけない性格。世話焼きともいう。 ・酒は呑めるが呑み過ぎない。いざという時に動けなくなると思っている為。なお酒豪。 ・交友は種族関係なく受け入れる。 ・伴侶を支えるために行動する。 ◆趣味 ・菓子作り。複雑な菓子でなければ和洋問わず作ることができる。
《新入生》クロード・クイントス
 ヒューマン Lv11 / 賢者・導師 Rank 1
色々と考えてから行動するタイプ。 あまり感情的にはならずニッコリ笑顔を心がけている。 でも顔は笑っていても眼は笑ってない。 厳格な家庭で育ったため人間関係に疲れて孤独を好み、自立するために家を飛び出し、秘めていた好奇心をさらけて放浪癖を患う。 ※アドリブ歓迎
《やりくり上手》ルーノ・ペコデルボ
 カルマ Lv10 / 村人・従者 Rank 1
【外見】 褐色肌 丸関節 眼鏡 銀髪外ハネ短髪 赤目 紋章は右手の甲と左目 【性格】 感情が余り出ないが無い訳じゃない 合理的 上からの命令に従順 入学の一番の目的は『感情を理解して表に出す事』 家事が得意 【備考】 人間と同じになりたい願望があるのか普段は手に手袋をつけている 見られるとちょっとだけ罰が悪そうな顔をする ※アドリブ大歓迎!
《新入生》ウェルカ・ラティエンヌ
 アークライト Lv15 / 王様・貴族 Rank 1
■身長:152cm ■実年齢:14歳 ■髪形:腰までのストレートロング ■容貌:ややたれ目気味の目元の、大人しそうな容貌の美少女 ■体型:身長は小柄ながら、バストやヒップはかなり大きく、非常に発育は良いが、ウェストや手足等は細めの、極端な体型 ■性格:基本的には内向的で大人しく、穏やかな性格だが、金銭面には非常に厳しく、利害が絡むと冷酷になる面も ■コンプレックス:桁違いに豊満な上、未だに発育途上の胸/[誕生日]の時点で、既に120cmに届くとのこと ■体質:体重が増えるときは、その殆どが胸に集まり、痩せるときは他から痩せるタイプ ■服装:背中の開いたドレス/色は特に決まっておらず、気分次第で変えている ■特技:経営・商売に関連する豊富な知識/一通りの礼儀作法/実は家事全般
《ゆうがく2年生》御影・シュン
 ルネサンス Lv11 / 黒幕・暗躍 Rank 1
おおっ!貴殿…初めましてでござるな!? しかも拙者と同じく新入生と見える! これは自己紹介といくでござろう! 拙者は御影・シュンでござる!あ、「ミカゲ」が苗字でござるよ。 種族は見ての通り祖流種…ルネサンスで、専攻は黒幕・暗躍科でござる! 敵地に忍び込んでの情報収集や、嫌いなあんちくしょうの闇討ちはお任せあれでござるよ! ……あ、物騒でござったか? そうでござるなー…居なくなったペットの捜索とかも請け負うのでござるよ!犬いいでござるよね!なんか親近感湧くー! 細々とした依頼は是非、拙者を頼って下され!…成功報酬は頂くかもしれないでござるがね? 拙者、ご学友の皆と比べるとちょーーっと歳が行っているでござるが、仲良くしてくれると嬉しいでござる! ◆プロフィール 狼のルネサンス 身長176cm 赤味がかった茶の短髪 素早く動く事に特化したしなやかな筋肉を持つ 顎と口元にかけて刀傷の跡が残っている 性格は明るく、社交的 表情がころころと変わり、喜怒哀楽もやや大げさに表す ただし人によっては、その感情に違和感を覚えるかもしれない 実は「ござる」口調はキャラ付けの意味で使っている ボロが出ると標準語になる 「シノビも客商売でござるからね~。キャラ付けは、大事。」 ※アドリブ歓迎でござるよ! ※フレンド申請も歓迎でござる!
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《新入生》アムル・アムラ
 ヒューマン Lv3 / 村人・従者 Rank 1
〇ご挨拶 初めまして、僕はアムル・アムラ。 14歳のヒューマンだよ。 専攻は村人・従者コース、立派な村人Aを目指そうと思ってるよ。 皆さん、よろしくね!   脱獄かー。 城塞だの監獄だのって聞くと難攻不落・脱出不能に感じるよね。 だけど、たった一人内通者がいるだけで、簡単に陥落しちゃったりするらしい。 今回はどうなるかな?   〇見た目でわかる事 無造作に切った髪は灰色。 肌は薄い褐色。 やや釣り目ぎみのパッチリお目目、瞳は暗い緑。 背は低く声は高く、ひどく中性的。 そんな訳で「大人になりかけの子ども」と認識する人が多いだろう。   衣服へのこだわりはなく、基本清潔なら満足して着る。 ただ上着はブカブカの物を好む。 現在、支給された制服を愛用中。 「最近、たまに女子制服を着たりしてるけど、変装の練習だからね?」   〇目立った性分 元気で気まぐれ、マイペース。 東で走り回っていたかと思うと、南で昼寝してたりする。 モフモフ好き、可愛いも好き、甘味大好き(食い気! 泣き虫、泣くと【しぶとさ】が大幅に上がる。 「そんなの、ステータスにないっ!」   〇口癖 「うん、興味深い!」 「世知辛いっ!」   〇アドリブ 基本A、応用でもA。 つまりアドリブ大好きにんげんだった。 「人生って想像つかないくらいのが興味深いよね?」
《人間万事塞翁が馬》サティア・ブランシュ
 ルネサンス Lv7 / 王様・貴族 Rank 1
都会や華やかな社交界に憧れる田舎令嬢。 有名な学園で学べることを喜んでいるが、 入学してから見た洗練された級友や先輩達に衝撃を受け、 「自分は芋っぽいのでは」と言う悩みも。 形から入るタイプであり入学するにあたって丁寧な口調を 使うようにしたのだが、不慣れなのと適当な性格なため 咄嗟の時や気を抜いている時は元の口調(~だよ、~かな) で喋ることも。 基本的には人と話す時は丁寧に、独白・心情は元の口調。 【外見】 ・野兎のルネサンス ロップイヤー ・薄茶のロングヘア(背中まで) 白いリボン ・青色の瞳 たれ目気味 【性格など】 ・表情豊かで明朗快活な性格 ・自分本位な部分もあるが基本的には善良 ・物事を楽観的に考える事が多い ・あまり表には出さないがさみしがり屋で甘ったれな所も ・家族の事が気掛かりで心配している ・流行や有名人に弱く、知ったかぶるミーハーな一面も ・噂話やゴシップ好き

解説 Explan

〇概要
 未知の(人によっては既知のかもしれませんが)食材、『わさび』を使ったメニューを考案し、実際に作ってみてください。

 『わさび』は、真っ直ぐに揃った緑色のショウガを、さらにごつごつさせたような見た目です。
 味は、唐辛子のような辛さとは異なり、鼻にツンとくる、独特の辛みをしています。
 好みは分かれそうです。

 今回は、みなさんで協力し、この『わさび』を攻略してください。
 考案するメニューはひとつだけでなくても問題はありませんが、最低限ひとつ以上は考案できるといいでしょう。
 メニューを考案するときの絶対のルールとして、『わさび』を必ず使うこと。
 他に合わせる食材は、よほど無茶苦茶なものでなければ、ある程度はアキ先生が揃えました。
 お米もあります、お味噌もあります。
 考案されたメニューは、宿屋『朝告鳥』に採用されるかもしれませんので、張り切って作っていきましょう。

 また、今回アキ先生は味見役になります。
 みなさん、美味しいものを食べさせてくださいねぇ。

【PL情報】
 今回使う『わさび』は、みなさんお馴染みであろう、お寿司屋さんなどで使われる『わさび』と同じものです。


作者コメント Comment
 料理は好きかあぁ!!
 食べるのは好きかあぁ!!
 ……よろしい! ならばわさびを食べようぞ!
 と、そのようなノリで出来上がりました∈( ºωº )∋
 既存のメニューでも、創作メニューでも、みなさまの美味しそうなレシピを楽しみに待っております!



個人成績表 Report
レダ・ハイエルラーク 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
◆行動
料理
交流

◆技能
料理Lv3

◆プレイング
以下料理を作る
雑談・絡み歓迎
アドリブ歓迎
泡立て器必須

◆ワサビバニラシェイク
バニラアイス
牛乳
ワサビ

ボウルにバニラアイス・牛乳(数回に分けて投入)・ワサビ(少量)を入れ、泡立て器でかき混ぜる
冷やしておく
飲む時好みでワサビを追加する
(※現存レシピをアレンジしているが、問題あるなら削除または改変可)





◆PL心の声
時間足りなかったァァァ

クロード・クイントス 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
鼻にツンとくる独特の辛み、という事はスパイスかハーブと類かな?
だとすると刻むかすりおろろして使うべきかな

まず細かく刻んでみて少し齧ってみる
「…これはスパイス」と黙祷
すりおろして齧る
…おろすと辛味が増す様だ、鼻の奥が痛い

男の料理なんで簡単嗜好

オリーブオイルにわさびを加えてみた
パスタ、まあ合う
サラダ、合うけど生乗せは危険
タコ、合うけど鼻が痛い
結論、もうちょっと何か加えれば、でもこれソースかドレッシングだ

バターとわさびでどうかな
魚料理、合う
サンドイッチのスプレッドにも合うな、マヨネーズの方が良いかも

ん?(…あー、なんだか試食がバツゲームみたいになってる)
ニッコリ(後で謝っておくか)と心の声

ルーノ・ペコデルボ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
依頼主のオーダーに応える

【行動・心情】
依頼主のオーダーは山葵料理ですね
山葵とは、確か東の国にある薬味として使われる物
少量おろして使うのが主流ですが
大量消費する必要がありそうですね

また、バイトで手伝う人が出来ないようなものは難しいでしょう
ということで

・山葵大量消費
・技術がいらないレシピ
・店の名前を覚えて貰えるようなメニュー

オーダーに応えられるように頑張ります

作る料理は
・山葵のチョップドサラダ
・アボガド山葵醤油のペースト
・茎山葵の醤油漬け

醤油漬けはお酒の当てになりますし
お茶漬けにそえても美味しい
個人的には

『山葵稲荷』を推したいです
酢飯に醤油漬けを混ぜるだけでアクセントになります

ウェルカ・ラティエンヌ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
山葵、ですか。
いただいたことは有りませんが、聞いたことは有りますわね。
どの様なものか解らなくては料理のしようも有りませんし、少しいただいてみましょう。

こ、これは、何とも刺激的ですわね。
この様な辛さですと、[肉類]と合わせてみると良いでしょうか?
多少脂の強いお肉でも、さっぱりといただけるかもしれませんわ。
ご提供下さいました[御店]でメニューにするかもしれないということですから、出来るだけ安価且つ入手し易い食材が良いですわね。

取り敢えず、しっかりとグリルした[肉類]を、何種類かご用意させていただきましたわ。
此方を、[山葵]を使ったソースにつけていただく形ですわね。
先生、皆様、お味は如何ですかしら?

御影・シュン 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
ワサビは昔に一度食べた事あるでござる
鼻にツンとくる…ちょっとクセになる味でござるよね
適量を考えれば美味しく頂ける……筈!

拙者にも得意な料理はあるでござるよ!
そう……おにぎり!!!!

では無駄に精密行動Ⅰを使用しつつおにぎりを握りまーす
今回は具を入れないでござるが、お好みで具を入れても大丈夫でござる。鮭とか梅とか
おにぎりの表面に少量のみりんを加え練った味噌を塗り、グリルへ投入し焼きおにぎりにするでござる
焼いている間に海苔にワサビを少量塗り塗り…あ、焦さない様に細心の注意を払うでござるよ?
今回は試作品なので塗るワサビの量を変えつつ複数用意

朝食やお弁当は勿論、呑んだ後の〆にもピッタリの一品でござろう!

プラム・アーヴィング 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:165 = 55全体 + 110個別
獲得報酬:4500 = 1500全体 + 3000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的:わさびを食べる
■行動:
緑の根っこが中々独特な味と聞いて、自分も味見したいなぁなんて思ったらまさか調理する側だったなんて。
んー、料理なんてしたことないし…。

それに、齧った時に今までにない刺激を感じて楽しくて一本丸ごとそのままで食べれちゃったからな…。

うーん、料理中の味見役でいい?
ほら、【協力して】だし一人くらい客観的意見を言える実験台が居てもいいでしょ?
毒じゃなければ、ヤバいモノ食わされても大丈夫だし。

あとは…そうだなぁ。
食材洗ったり、料理する皆の雑用に徹するよ。
作業効率と品質向上に貢献。

以上で~す。

アムル・アムラ 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
〇目標
みんなと協力して、美味しいワサビ料理を作ろう!

〇お料理
・デザート「ちょこワサビあいすくりん」
丁寧にすったワサビと生クリームでアイスクリームを作り、更にチョコチップを混ぜたパステルグリーンの「なんちゃってチョコミントアイス」。
隠し味は、滑らかになるまでよーく練ったアボカドとクリームチーズだよ。
ここぞの調理には【ヒ2】を使うよ。
料理には【ヒ3】は効果あるかな?

・食間・食後「すっきりワサビ茶とワサビ酒」
お茶にワサビをちょっと入れた物。
剥いたワサビの皮を蒸留酒に漬けて置いた物。
口直しにさっぱりした飲み物、ほしくない?

〇手が空いたら
みんなのお手伝いをしよう。
ワサビすりおろし係、風味よくねっとりと!

サティア・ブランシュ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
●目的
みんなとわさび料理を作って堪能する

●行動
以前「読書」で読んだ基本的な料理本のレシピから
アレンジして考えたスープを作る
・わさびや葉物野菜をすりおろして牛乳を加えた
 冷製グリーンスープ
・わさびや山椒、唐辛子などを煮詰めた激辛スープ

調理時は連携訓練という事で、わさびをすりおろし
たり簡単な食材を切る、食器の準備など料理素人でも
出来そうな事で協力、ついでに邪魔にならない
程度に料理のコツなど教えて貰う

>事前
わざびについては本の知識しかないため好奇心から
味の確認のため一齧りしてみる

>激辛スープ
同じような考えの方が居ればそちらに任せてお手伝い

>完成後
劇物があった場合胃薬を先生に要望して
アフターサポート?

リザルト Result

「えぇっ、連携の訓練が料理ですの?」
 教師、【アキ・リムレット】から告げられた、連携の訓練。
 その内容に【サティア・ブランシュ】は驚きの声を上げる。
(料理そんな得意じゃないし簡単なのでいいかなぁ。出来る事を手伝った方が良さげだよね)
 彼女は実はそんなに料理は得意ではない。
 しかし何か協力できることはないかと、辺りを見渡す。
 そんなサティアの目に飛び込んできたのは、アキに紹介された緑色の根っこ――わさびだ――をばりぼりと齧る【プラム・アーヴィング】。
 まるでスナック感覚だ。
 イケるイケる、どんどん食べられる。
 もしかして:わさびは齧るもの?
 Yes! 齧るもの!
 そんなプラムの姿をお手本に、サティアは好奇心を湛えた瞳でわさびにかぶりつく。
 てん、てん、ちーん。
 撃沈。
 わさびはまるかじりするものじゃない、サティアおぼえた。
 垂れ耳をしょんぼりとさせ、サティアは机に突っ伏して悶えた。
(緑の根っこが中々独特な味と聞いて、自分も味見したいなぁなんて思ったらまさか調理する側だったなんて。んー、料理なんてしたことないし……)
 内心ぼやきながら、ぼりぼりとわさびを齧るプラム。
 だがしかし、ちょっと待ってほしい。
 先ほどサティアが撃沈したそのわさび、けしてお菓子ではないはずだ。
 にもかかわらず表情を変えずに齧る彼の内心やいかに。
(うん、今までにない刺激。楽しい。これは一本丸ごとそのままで食べられちゃうね)
 だがけっして味覚が狂っているわけではない。
 しかし毒じゃなければヤバいものでも食べられる、そんな彼は料理の味見役に立候補した。
「……ん? 突っ伏してるけど、どうしたの?」
「なんでもありませんわ……」
 プラムを真似したサティアは、変わらず耳をしょんぼりプルプルさせていた。

「依頼主のオーダーは山葵料理ですね」
「山葵、ですか。いただいたことは有りませんが、聞いたことは有りますわね」
 緑色の根っこ、わさびを興味深げに観察するのは【ルーノ・ペコデルボ】。
 その隣で、伝聞のみで知っていたわさびの実物を見て、目を輝かせるのは【ウェルカ・ラティエンヌ】。
「山葵とは、確か東の国にある薬味として使われる物。少量おろして使うのが主流ですが、大量消費する必要がありそうですね」
 ルーノは思案に耽り、ウェルカはわさびを小さく切る。
「どの様なものか解らなくては料理のしようも有りませんし、まずは少しいただいてみましょう」
 ルーノの、『少量を使う』という言葉に従い、ほんの少しを口に含むウェルカ。
 つーんとした、唐辛子とは似ない爽やかな辛みが、口から一気に鼻に抜けた。
「こ、これは、何とも刺激的ですわね」
 涙腺が刺激され、思わず涙目になってしまったウェルカは、取り繕うように腕組みをする。
 腕に乗せられた重量のある胸が、持ち上がりたゆんと揺れる。
「この様な辛さですと、肉類と合わせてみると良いでしょうか? 多少脂の強いお肉でも、さっぱりといただけるかもしれませんわ」
「なるほど。肉と合わせやすいのはソースですね。……ああ、そうだ、思いつきました。僕は醤油を取ってきます」
「醤油とわさび……。合うのでしょうか」

 醤油を取りに行くウェルカとルーノのひとつ向こうの台。
 【クロード・クイントス】が先ほどのウェルカと同じように、わさびを細かく刻んでいた。
「鼻にツンとくる独特の辛み、という事はスパイスかハーブの類かな? だとすると刻むかすりおろして使うべきかな」
 呟き、刻んだものを口に含めば、たちまちのうちに黙祷の体勢。
「……これはスパイス」
 わさびの刺激につぅ、と涙が頬に伝う。
 場所が場所ならば、一体何を想い祈っているのだろうと、周囲の感動を誘うこと請け合いの姿。
 実情はわさび。
 ただのわさび。
 続けて登場、すりおろし器。
 ……おろすと辛味が増す様だ、鼻の奥が痛い。
 思わず片手で口と鼻を覆い隠す。
 涙と相まって、一体何を想い嘆いているのかと、お涙頂戴のその姿。
 元凶はわさび。
 ただのわさび。

「ワサビは昔に一度食べた事あるでござる! 鼻にツンとくる……ちょっとクセになる味でござるよね。適量を考えれば美味しく頂ける……筈!」
 おっとそれはフラグだ【御影・シュン(みかげ・しゅん)】。
 俺、帰ったら結婚するんだ……張りのフラグをコメディ方向に建てたシュンの手元にあるのは米。
 湯気の立つ、炊いたばかりのホッカホカのご飯。
「拙者にも得意な料理はあるでござるよ! そう……おにぎり!!!!」
 ばーん。
 ではあっつあつのご飯を握りまーす。
 今回は具を入れないでござるが、お好みで具を入れても大丈夫でござる。
 鮭とか梅とか、美味しいでござるよ。
 某クッキング番組に出てきそうな説明を心の中で行うシュン。
 彼の握るおにぎりは……精密ッ! 無駄に精密ッ!
 1ミリのズレさえ許さないその精密さッ!
 一体彼は、おにぎりに! この精密さに何を賭けているというのか!
 え? 元社畜系独身男性の意地?
 お弁当用に毎日作っているおにぎりに対するプライド?
 ちょっとなにをいっているのかわからない。
 シュンは、みりんを加えた特製味噌をおにぎりに塗り、グリルの中へと投入した。

 すりすりすりすり……。
 すりすりすりすりすりすりすり……。
 すりすりエンドレスリピートでもされそうなほど丁寧にわさびをすりおろしていく【アムル・アムラ】。
 風味よくねっとりと、丁寧に、それはもう丁寧に……。
 ……ちょっと待って、少しばかり多すぎない?
 他の人のお手伝い? あっはい……使い切れるかな。
 アムルは使い切れるか不安なほどのわさびをすりおろしていく。
 すりおろしながら、ふと傍にいたアキへと会話を持ちかける。
「このわさびを提供してくれた宿屋って、先生が昔働いてた所なんですか?」
「いえ、違いますよぅ。でも、宿屋の繋がりで、朝告鳥の夫婦とはお友達なんですぅ」
「へぇ! 宿の場所がお向かいさんだったとか?」
「いえいえ、そんな繋がりじゃないですよぅ。夫婦のお嫁さんのおじいちゃんが、先生の同い年の幼馴染なんですぅ」
 のんびりと話す見た目年齢20代後半アキ・リムレット。
 彼女は一体何歳なのか。
「へ、へぇ……。そ、そうなんだ」
 アムルは覗いてはいけない深淵を覗いてしまった気がして、じり、と一歩後退った。

 泡だて器がきらりと光る。
 ボウルに入ったバニラアイスと牛乳。
 それをガッシュガッシュとかき混ぜるは、【レダ・ハイエルラーク】。
 なめらかなシェイクを作っていくのは、彼の分身、泡だて器。
 泡だて器こそ我が分身――。
 わさびを加えたシェイクを、出番まで冷やしておく。
 冷蔵庫に入れたところで、何やら悩まし気な声を上げるクロードを見つける。
「ううーん……。オリーブオイルとわさび……。パスタは、まあ、合う……けどなぁ……」
 クロードはオリーブオイルとわさびを合わせ、様々な食材にかけては味を見ていた。
 パスタにかける前は、タコやサラダに合わせては試食に出していたのだが。
「から、辛いですぅ!」
 くぴー、とお茶を飲み込みながら、その糸目に涙を浮かべるアキ。
 なんだか試食が罰ゲームみたいになっていた。
 クロードはにっこりと笑みを浮かべ、心中で呟く。
(後で謝っておくか)
 だが、それはまた後で。
 目下の問題は、この、何かが物足りないパスタである。
「ふむ……。なんだか物足りないな。なにか加えてみるのはどうだろうか」
 クロードのパスタを一口食べてみたレダは、そうアドバイスをする。
「あ、この調味料はどうかな」
 同じく横から味見をしたプラムが、柚子胡椒やマヨネーズ、砂糖や醤油などの調味料を持ってきた。
 パスタに柚子胡椒をどさっ。
「んんっ! かっ、かっら!」
 それは適量ではない。
 悶えるクロードは、辛味を緩和させるべくマヨネーズを投入する。
「うーん、今度はなんだか酸味が増したな。お砂糖でも入れてみる?」
 プラムはひとり冷静に、あれやこれやと調味料を足すことを提案する。
 しばらく腕を組み、静観していたレダがおもむろにフライパンを取り出す。
「さっきのわさびオリーブオイルのアイデア、借りるぞ」
 レダはまな板と包丁、具材にしめじとキャベツを用意して、手慣れた様子で切っていく。
 しばらく温めたフライパンから立ち上る香りは香ばしいにんにくの香り。
 わさびをどこに使うのかと見ていれば、取り出したるは別のボウル。
 わさびとともに入れられるのはバター、そして昆布出汁。
 茹で上がったパスタが炒められた具材と一体に。
 温められたわさびのバターソースが、つやつやとパスタを彩っていく。
 皿に盛られたパスタからは、オリーブとバターの濃厚な香りにわさびの刺激的な香りが乗せられ、漂う。
「しめじとキャベツのわさびパスタ、完成だ」
 お見事。
 一口食べてみたクロードは、アイデアを閃いたのか、目を見開く。
「バターと合わせる、その手があったか」
 その様子を見てレダはふっと笑う。
「なにか思いついたのか」
「うん、借りてもいいかな」
 先ほどわさびオリーブオイルのアイデアを借りると言ったレダ。
 似たような言い回しに、どこか楽し気に首肯する。
「好きに使うといいさ」
「ありがとう」
 お礼を言ったクロードは、早速魚を手に取った。

「ご提供下さいましたお店でメニューにするかもしれないということですから、出来るだけ安価且つ入手し易い食材が良いですわね」
 ウェルカは豚肉をグリルで焼く。
 じわじわ焼けていく豚肉からは、じゅわっと油が溶け出していた。
「バイトで手伝う人が出来ないようなものは難しいでしょう」
 同じ机では、ルーノがアボカドをペースト状にすり潰している。
「わさびと醤油は、意外と合っていたのですわ」
「驚くことに」
 つい先ほど醤油にわさびをほんの少し混ぜて味見をしたふたりは、まるで結ばれるために生まれてきたとでも言いたげなその味に、しばらく感動していた。
「わさび醤油の他にも、ソースをいくつか作ってお肉に付けてみますわ」
「では、僕はわさび自体を醤油に漬けてみましょう」
 ルーノはアボカドにすりおろしたわさびと、少量の醤油を加えたペーストを作り終えた。
 すぐに彼は、わさびの頭についている茎を切り落とす。
 蓋つきのタッパーに醤油を流しいれ、わさびの茎をその中に漬けた。
 一晩ほど置けば確実に味は染みるのだろうけれど。
 せめて試食の時にほんの少しでも染みているように、祈りながら蓋を閉めた。
「まあ、このアボカド、わさびの辛みがあまりないですわね!」
「ドリアやサンドイッチにしたら美味しいと思いまして」
 ウェルカは肉に付けるソースを作りながら、ルーノはサンドイッチ用に食パンの耳を切り落としながら、平和に作業を進めていった。

 ところで、この授業のお題目はわさび。
 つまり、平和に作業をしている台もある中、平和そうには見えない台もあるわけで。
 サティアはわさびの辛みからなんとか解放された後、本で読んだ知識をもとにスープを懸命に作っていた。
「ちょっと違いますけどあのレシピどおりに作れば、まろやかになりますわよね」
 わさびの辛みをどうにかするために考えた品は、葉物野菜とわさびをすりおろし、牛乳を加えて作る、冷製グリーンスープ。
 わさびの辛みを野菜の甘みと牛乳のまろやかさが調和し、爽やかな風味のみ際立つ一品。
 見た目にも美味しそうで、これだけ見れば平和そのもの。
 問題は、彼女が作るもうひとつのスープにあった。
「あの辛さを活かした料理も欲しいですわ。いっそ辛さを追求した方が辛党の人には受けるのでは! いや、わたしは辛いの苦手ですが!」
 ごぽ、ごぽと魔女の薬鍋のように煮詰められる、緑色のスープ。
 冷製スープが薄緑とすれば、こちらは鮮やかな新緑の緑。
 しかし香ってくるのは、木々の爽やかな匂いではなく――。
「んげっほげっほ!? 息がつらっ……」
 スープの香りをもろに受けてしまったのはシュン。
 わさびや山椒、唐辛子。
 その他ありとあらゆる刺激的なスパイスを煮詰めた激辛スープ。
 その刺激的な匂いは、嗅覚の敏感な狼ルネサンスであるシュンには厳しいものがあった。
 え? なんでサティアは平気なのか?
 同じルネサンスなのに?
 答え:鼻を摘まんでいます。
「げっほ、んぐっ! ……あ、やっちゃったでござる」
 海苔にわさびを塗る作業。
 咳ごみ、顔を背けた拍子に、他のよりも少し……少し多めの……。
 正直に言いましょう、大量のわさびをずしゃっと塗りたくってしまった。
「……まぁ、1個ぐらい大量のワサビを仕込んでも問題ないでござろう」
 シュンは見なかったふりをし、培った隠密技術でそっと焼けたおにぎりに巻いて隠した。

「洗い物あったらちょうだい」
「あ、これもお願い!」
 全体の作業効率が上がるよう、洗い物や雑用に徹していたプラムに、つい先ほど使ったばかりのボウルを手渡すアムル。
「あ、なんだか甘い匂いがする。アイスクリーム?」
「うん! 『ちょこワサビあいすくりん』だよ!」
 アムルが丁寧にすりおろしたわさびと生クリーム、それからチョコチップを混ぜて作るアイスクリーム。
 見た目はチョコミントアイス。
 しかし中身はわさび。
 この組み合わせ、意外にもわさびの辛みと生クリームが調和して、爽やかな甘みで実に美味い。
 ボウルに付いた残りを指で掬い、ぺろりと舐めてみたプラムは、わさびと生クリームだけではないまろやかさを味わう。
「これ、隠し味に何か入れた?」
「ふっふーん。ご名答! まろやかさの秘密、それはよーく練ったアボカドとクリームチーズなんだ!」
 なるほど、言われてみればたしかに。
 ほのぼのと会話をしながらアムルは、手に持っていたタッパーを冷凍庫へと入れる。
 凍らせてソルベにするつもりのシャーベット液。
 緑色の鮮やかな、見た目だけなら抹茶。
 しかし中身はわさび。
 しかも100%。
 きんきんに冷やすべく張り切っている冷凍庫の傍の机。
 そこには、持ってきたはいいけれど、ちょこワサビあいすくりん以外に少しも使われていない砂糖。
 砂糖は寂し気に忘れ去られていた。

「はぁい、それではぁ、みなさんのお料理をいただきましょぉう」
 出来上がった品を机に並べる。
 品数もあり、中々に壮観である。
 ……中にヤバいものがちらほらとあるのは否定しないが。
 そのヤバいものをちらっと見たサティア――彼女もヤバいものを作り出したひとりである――は、アキに胃薬を要望した。
「用意してますよぉ」
「アキ先生、想定済みですの?」
 間延びした声で、アキの胸の谷間からにゅっと出てきた薬の瓶。
 錠剤薬の入っていたそこは、まさかブラックホールなのか。
 少し微妙な表情になってしまったのはきっと誰にも責められない。
「美味しい……美味しいでござるよこれぇ!」
 シュンが絶賛しているのは、クロードの作ったムニエル。
 バターがわさびをマイルドにしつつ、時折ピリッとした辛味が走るソースは、白身魚に芳醇なコクを与えている。
「それはよかったよ」
 褒められて、クロードは照れくさそうに微笑む。
 微笑むクロードが味わうのは、豚肉グリルと3種のソース。
 ウェルカが作ったソースは、わさびを使ったドレッシング、マヨネーズに生クリーム、さらにわさびを加えたクリームソース、それからわさび醤油の3種類。
 豚の油はわさびの辛みを抑え風味を際立たせる。
 どのソースも甲乙つけがたく、いっそのこと3種類すべて出せば喜ばれるのではないかと、クロードは思う。
「うん、ショーユ? に付けて食べると美味いね、本当」
 プラムはそこそこ味の染みた茎わさびの醤油漬けを咀嚼する。
 ルーノ曰く、一晩も漬ければ味がしっかり染みるだろう、とのこと。
 これは、酒飲みには堪らないつまみだろう、と評価した。
「あっ、これはイケる……? ……!?」
 ムニエルを食べ終わったシュンは、手近なところに置いてあった緑色のソルベを口に含む。
 一瞬美味しいかと思った直後、爆発的に鼻に抜けるわさびの辛み。
 狼のシュンにこれはつらい。
 もんどりうって口と鼻を抑えるシュン。
 それでもお残しはしません、絶対に。
「あ、お砂糖入れるの忘れちゃった☆」
 砂糖を入れ忘れたことに気が付いたアムルは、てへぺろ、と舌を出す。
「わ、これヤバいね、テンション上がる―」
 プラムはサティア作、激辛スープを平気そうな顔で啜る。
 味覚は一体どうなっているのか。
「ーっ?! ーっ!!」
 ウェルカはシュンの仕込んだロシアンルーレット焼きおにぎり~大量のわさびを添えて~の当たりに、見事当たってしまった。
 そんな嬉しくない当たりを作ったシュンは悶えている。
 彼を見ながら、サティアはぼんやりと考えていた。
(何回か喋った事あるけどいい人っぽいよね。学園の狼族はあいつらとは違うのかな)
 故郷の狼族。
 嫌な記憶しかないが、学園の狼族に触れていけばきっと、何かが変わるはず。
 淡い期待を抱きながら、サティアはそっとお茶を渡した。
「あ、それ、わさび茶だよ。口直しにさっぱりした飲み物、ほしくない?」
「あー、今はちょっと、タイミングが悪かったですわね……?」
 アムルが用意したわさび茶は、悶えるシュンに追撃を加える。
「先ほどよりは、マシでござるよー、うおぉ……」

「うーん、このわさび酒、美味いなーっ!」
 旦那は、授業では蒸留酒がなかったために、レシピのみを伝えられたわさび酒を一気に煽る。
 晩酌禁止令はどうしたのか。
 それは会計帳を手に上機嫌な妻の様子を見れば容易に察することができる。
「まさかあのわさびをこうも上手に調理してくれるとはねぇ」
 アキと生徒さんに感謝だね。
 そう言って視線を向ける先には、可愛らしくリボンをあしらわれた布包み。
 中身はわさびの皮。
 曰く消臭効果があるようで、今では各客室と玄関に置かれている。
 明らかにヤバい、しかしわさびを大量消費できるメニューは、罰ゲーム用裏メニューとしてそこそこ人気が出ているようだ。
「これ、夏にも人気が出そうね」
「そうだな! 夏用のメニューも新しく考えないと」
 インスピレーションをもらったのか、台所へと向かう旦那。
 妻はその後ろ姿を嬉しそうに見ていた。
 春はすぐ過ぎ、夏がやってくる。
 それはきっと、食後のわさび茶とともに。



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
わびさびわさび
執筆:宇波 GM


《わびさびわさび》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《模範生》 レダ・ハイエルラーク (No 1) 2019-03-07 00:10:31
レダ・ハイエルラークだ。
…料理は好きだ。

今回はわさびということだが…確か菓子に出来た覚えがある。
料理と交えて菓子も作ってみよう。

《やりくり上手》 ルーノ・ペコデルボ (No 2) 2019-03-07 00:28:48
初めましてと、部長はちょっと前振りです。
村人・従者コース所属、カルマのルーノ・ペコデルボと申します。

オーダーは、未知の食材『わさび』を使った料理ですね?
承りました。

不肖ルーノ・ペコデルボが、全力で取り組ませて頂きますね。

今ぱっと思い付いているのは
『おかずにもおつまみにもなる品』
にしてみようかと。

宜しくお願い致します。

《新入生》 クロード・クイントス (No 3) 2019-03-07 11:17:50
クロードです、よろしく。

簡単お気楽で大雑把なものしか作れませんがなんとかしてみましょう。

《新入生》 ウェルカ・ラティエンヌ (No 4) 2019-03-07 16:05:57
皆様、初めまして、もしくはご機嫌良う。
王様・貴族コース専攻のウェルカ・ラティエンヌと申します。
宜しくお願い致しますわ。

山葵ですか。
話に聞いたことは有りますが、実物は初めてですわね。

現状、私の方で検討しておりますのは「肉料理」ですわね。
出来るだけ「入手しやすい素材」を使いたいと考えておりますわ。

《ゆうがく2年生》 御影・シュン (No 5) 2019-03-09 22:54:34
拙者、黒幕・暗躍科専攻の御影・シュンと申す者でござる。
皆々方よろしくお願い致す!

拙者…料理は得意ではないのでござるが、捻り出そうと思うでござるよ…!
皆々方が作られた料理は試食できるんでござるかね?それも楽しみでござるなぁ。

《新入生》 アムル・アムラ (No 6) 2019-03-10 00:08:11
僕はアムル、村従コースのヒューマンだよ。
はじめまして&何度目まして、みんなよろしくねっ!

ワサビってツーンってするアレだよね、アイスクリームでも作ってみようかな?
被ってたら教えてね。

後、「わさびってコメディに使える思う」っていうメモを拾ったんだけど、どうしよう…(ひきつった笑顔で)

《人間万事塞翁が馬》 サティア・ブランシュ (No 7) 2019-03-10 00:34:48
遅くなりましたが皆さまごきげんよう。
王様・貴族専攻のサティア・ブランシュですわ!
お初にお目にかかる方もどうぞよろしくお願い致しますわね。

わたしも料理は得意じゃないけどまぁ何とかなりますわよね~
コメディ…えぇと、胃薬も必要ですかしらね?

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 8) 2019-03-11 19:10:57
こんにちは、プラム・アーヴィングです。
どうもー、本当は自分も味見役で来たんだけど…調理する側だったなんて、寝ぼけた頭で願書提出すべきじゃないね~。

さて、俺全く料理出来ないから困ったなー。