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わがはいはケットシーである!


ストーリー Story

「わがはいはケットシーである!」
 学園窓口に入ってきた彼を、ぽかんと見下ろす。
 自分たちよりもはるかに小さな彼を、ぽかんと。
「名前はまだにゃい!」
 おい、それは大丈夫なのかと心配したくなるような、どこかで聞いたセリフを彼は続ける。
 しかし、よくよく聞けば、
「名前は『マダニャイ』」
 ケットシーの名前は『マダニャイ』ということらしい。
 名無しのケットシーかと思ったじゃないか。
 人騒がせなことである。
「わがはいは学園に依頼を持ってきたのにゃ!」
 マダニャイの続けた言葉に、窓口内がしん、と静まり返る。
 静まり返った窓口に、その声はよく響いた。
「ケットシーが、依頼……?」

「えっと、依頼内容は護衛ということで、よろしいのでしょうか……?」
 困惑した表情を押し隠す受付嬢に、二足歩行で行動する猫、ケットシーのマダニャイは勢いよく頷く。
「いかにも! わがはいはアルマレス山に咲き誇る百合の花を手に入れたいのにゃ!」
「それでは、護衛ではなく採取依頼をお勧めいたしますが」
 受付嬢の言葉に、ケットシーはかぶりを振る。
「それじゃ意味ないのにゃ。わがはいは自分自身で手に入れたいのにゃ」
 マダニャイはあくまでも自分自身で花を手に入れたいと言って譲らない。
「ご参考までに、護衛を頼んでまでご自身で手に入れたい、その理由をお聞かせください」
「うむ、よかろう! あれは雨が降る昼下がりのころ」
 マダニャイは回想を始めた。
 長く続いた思い出話を要約してみると、つまり、雨に降られて途方に暮れていたマダニャイを、暖かな家とご飯でもてなしてくれた女性に恩返しがしたい、ということらしい。
「その後は猫嫌いな家人に蹴り出されてしまったのにゃ。だけど、わがはいはあの温かさにいつも感謝しているのにゃ」
 そしてつい先日、マダニャイはその女性が結婚することを耳にしたという。
「あの人の結婚式に、あの人が好きだと言っていたアルマレス山の花でブーケを作ってプレゼントするのにゃ! それがわがはいの恩返しなのにゃ!」

「と、いうことで、皆さんに護衛依頼です。護衛対象はケットシーひと……り? 一匹? になります。護衛対象の目的はアルマレス山に咲く百合の花。麓に近い場所なので、半日もあれば往復可能です」
 学園職員はぱらぱらと資料をめくる。
「また、道中にはゴブリンの出現報告があります。ゴブリンとは小人のような体躯に醜い顔をした魔物で、徒党を組み集団で襲い掛かる魔物です。知能は低く、本能のままに動き、己の欲望に忠実な、まるで一歳から二歳児にも等しい知能レベルの魔物ですね。交渉事などはできないでしょう。
 近接戦闘型で、武器は主に棍棒や斧、剣を使用していることが報告されています。知能が低いため防御のいろはは心得ておらず、盾を持つ個体は基本的にはいませんが、稀に盾を持つ個体が存在します。その個体のいる集団は大抵他の、ゴブリンよりも格上の魔物が上位に就いていることがあります。
 上位の魔物は、ハイゴブリンが多く目撃されています」
「ハイゴブリンとは?」
 一人が手を上げて質問をすると、職員は表情を変えぬまま、説明を続ける。
「はい。ハイゴブリンとは、言ってしまえばゴブリンの強化版の魔物です。ゴブリンよりも高い知能を有してはいますが、それでもかなり低い知能になります。こちらも交渉事ができない程度の知能ですね。
 戦闘スタイルはやはり近接戦闘型で、武器はゴブリンと同じく棍棒や斧や、剣を使用します。ただ、ここに盾が装備されているという違いがありますね。盾を装備していることにより、皆さんの攻撃が弾かれてしまうおそれがあります」
 いずれの場合においても、油断をすれば危険ですし、最悪の想定だってあり得ます。
 職員が念を押すように注意を促せば、場の空気が一層引き締まる。
 それを確認した職員は、改めて現状の説明を始める。
「また、今回の道中は整備された穏やかな山道ですが、道を挟んで両側には木漏れ日が入る程度に木が生い茂っています。隠れるには絶好の地形でしょう。
 その道を抜けた先にある百合の群生地は、見晴らしの良い開けた場所で、世にも珍しい青色の百合が咲き乱れているという話です。とても美しい景観なのでしょうね」
 資料を閉じた職員は、それから、と続ける。
「今回依頼人は、自分自身の手で花を入手することにこだわっております。また、贈り物の花であるため、護衛対象の他に、花にもできるだけ気を配ってあげてください」
 それでは、頑張ってください。
 職員はそう言って、一同と一匹を送り出した。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-01-29

難易度 普通 報酬 少し 完成予定 2019-02-08

登場人物 8/8 Characters
《新入生》ミイロイ・ナミ
 エリアル Lv3 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 フェアリー的には一応大人びた見た目らしいが、 所詮フェアリーなので、見た目はヒューマンでいう 14歳くらいの可愛らしい童顔。でも成人済。 様々な森を渡り歩き、エリアル族の繋ぎ役のような仕事を おこなっていた家系の1人娘。 今までは親と一緒に行動する形にて仕事を行っていたが、 成人に伴い、1人で冒険できる知識と戦闘能力を 身につけるため、学園に入学する。 とはいうものの、フェアリーらしく好奇心が強いため、 色々な人との関係を持つことが好きであり、 学園自体に憧れを持っていた部分も大きい。 お姉さん気質で、世話焼き。元気で明るい快活娘。
《新入生》クロード・クイントス
 ヒューマン Lv11 / 賢者・導師 Rank 1
色々と考えてから行動するタイプ。 あまり感情的にはならずニッコリ笑顔を心がけている。 でも顔は笑っていても眼は笑ってない。 厳格な家庭で育ったため人間関係に疲れて孤独を好み、自立するために家を飛び出し、秘めていた好奇心をさらけて放浪癖を患う。 ※アドリブ歓迎
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《新入生》コウ・エイトクラウド
 カルマ Lv4 / 武神・無双 Rank 1
「コウ・エイトクラウド。見ての通り、カルマだ。以後よろしく頼む」 身長は凡そ180センチ以上、体重は70キロ前後のカルマ。 護身程度に格闘技を習得しており、それなりに引き締まり鍛えられた身体をしている。 切れ長の鋭い瞳で髪型はミディアム、無造作に下している。 右後方首筋と左手の甲に薄黄色の魔法陣が描かれている。 性格はどれかと言われれば「ミステリアス」が一番近いというだけで、完全にミステリアスというわけではない。 今まで不必要に関わらなかったせいか、他人にどう接すればいいのか分からないところがある。 また、その性格もズレていたりする。 淡々とした口調で話し、声を荒げることは少ない。 食事を通し魔力を取り込む傾向にあるため、食欲旺盛。 何に関しても『美味い』と感じるように設定されているため、非常に悪食。 今まで、他人に関わる事が少なかったためか友情や恋愛といった者に興味を示し、理解を深めようとしている。 ちなみに、寝起きの際に「グポーン」と目が赤く光るが、自覚はない。
《新入生》リア・カレット
 ヒューマン Lv4 / 勇者・英雄 Rank 1
リア・カレットといいます。 幼いころは孤児院で生活していました。 実は、とある絵本の物語に興味を持っているんです。 その登場人物に憧れ、冒険家になることが私の夢です。 勇者や英雄なんて私には恐れ多いですから(汗 お掃除やお洗濯は任せてください!大の得意なので!! ==========以下プロフィール詳細========= 身長:154cm 体型:細身でややある(C) 髪:焦茶色のミディアム 前髪の左目上の部分に髪留めをしている 性格:優しく真面目だが初対面相手だとよくテンパる (自分1人の時は必ずと言っていい程) 趣味:家事全般(特に掃除と洗濯が大得意) 好物:ホットミルク 寝る前によく飲んでいる 苦手なもの:虫全般 ハチに襲われたことが原因 見たり聞いたりするだけで動転し、特徴を事細かに説明する 装飾:鳥の片翼の形をした銀の髪留めをしている 物心ついた時からつけていたらしい 服装:授業時は基本制服 戦闘が発生しない授業や放課後は私服を着用 出生:物心ついた時から孤児院で生活。捨て子か孤児かは不明。孤児院は年若いシスターが院長を務め、幼児から青年までの男女が共同で生活していた。学園に入学すると決めた時は皆が応援してくれた 口調:年齢差関係なく「~です」「~ですね」の丁寧口調 二人称:英名の場合はファーストネーム、 和名の場合は名前 年齢差関係なく、どちらも「さん」を付ける
《新入生》スラフィル・ケーニヒヴルト
 エリアル Lv6 / 賢者・導師 Rank 1
ボクの御家は200年くらい続いてる魔導師の貴族家系なんだよ。 王様・貴族の専攻もあるみたいだけど、立ち居振る舞いなんて、 人となりと生まれ育った環境に起因すると思ってるし、いろいろ 思うところがあって興味のあるこっちの専攻を選択したんだ。 お父様とお母様は王様・貴族専攻の卒業生だったから色々と説得 が大変だったんだけどね~…… 仲良くしてくれる友を待っているよ! よろしくね!! ◆珍しいエルフタイプの元気っ子少女 エルフタイプのエリアルは基本的に物静かなイメージがあるが、 スラフィルは活発で元気な女の子。 喜怒哀楽がハッキリしており、直ぐに顔に出てしまうタイプ。 誰とでも基本的に仲良くなれるが、利己的な者と横暴な者とは 決してまじわろうとしない。 【容姿】 腰を超えるくらいの亜麻色の髪 虹彩異色の瞳(右側:緑 左側:青) エリアルのエルフタイプらしく少し尖った耳 母から貰った大きめの懐中時計を首からぶら下げている 私服では軍服ワンピースと呼ばれる服装を好んで着用する傾向 授業や全校集会など学校行事のときは制服も着る 【交流】 友人からスキンシップされるのも、するのも大好き。 来る者拒まず去るもの追わずのスタンスであるものの、親友や お世話になった人には義を尽くす。 【話し方】 一人称:ボク 二人称:名前、愛称、キミ 柔らかい言葉遣い 〜だよね、〜だね、〜かな、〜じゃん…など
《新入生》ロスト・ナンバー
 カルマ Lv8 / 黒幕・暗躍 Rank 1
いちいち動きがキビキビしている軍人口調のカルマ。 大半の記憶を失い、現代の常識から今までに至る歴史まで再学習中だが年齢相応の振る舞いはできる様子。 人に紛れる為に、しっかりと生物の五感は備えているので魔法陣さえなければ人と区別がつかない。 過去の自爆の影響か、敵国の修復の際に生じたものかは不明だが、無いに等しかった自我がめきめき芽生えてきている。 しかし、まだまだ表情や声の抑揚はぎこちない。 【容姿】 髪:黒髪のソフトモヒカン。デコ出し短髪。 目:瞳が漆黒すぎてハイライトがない。所謂死んだ目。 服:中世ヨーロッパの風の軍服。マント着用。黒地に金の装飾が   施されている。カッチリめ。 魔法陣:右手の甲と喉仏に黒と赤色の魔法陣。 眉と目が近く、目は死んでいるが意志の強そうな軍人らしい精悍な顔つき。体系も細マッチョと男らしさを感じさせる。 【口調】 一人称:小生、自分 「小生はロスト・ナンバー。黒幕・暗躍専攻のカルマであります。よしなに。」
《人たらし》七枷・陣
 ヒューマン Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
異世界:情報旅団テストピアという所に住んでいたが、とある仕事の最中に、この世界に強制転移してしまった。 普段は一人称おじさん。真面目、シリアスな場合はオレ。 本来は50手前のアラフィフおじさんだが、何故か30歳以上若返ってしまった。強制転移した経緯が原因と思われるが真偽は不明。 普段はいかに自分の得意分野だけで楽出来ないかを考えているダメ親父的な人間。 自分や同行する仲間が危機に陥ると気合いを入れて打開しようと真面目モードに。 厄介事に巻き込まれるのは嫌い。お金にならない厄介事はもっと嫌い。でも一度関わってしまったら何だかんだ文句言いながら根気よく取り組む。 やれば出来る人。でも基本ダメ人間。 恋愛事は興味をあまり示さない枯れ気味な人。超若返っても現状は変わらず。 どうにかして元の世界へ戻る為、フトゥールム・スクエアに入学。 転送、転移関係の魔法や装置を徹底的に調べる事が目下の目標。 魔法系の適性があったらしいので、雷系を集中的に伸ばしたいと思っている。自前で転移装置の電源を確保出来るようにしたいのと、未成熟な体躯のフォローとして反応速度メインの自己強化が主な理由。理想は人間ダイナモ。 転移直前まで一緒にいた仲間の女性3名(マナ、マリア、マルタ)の安否を心配している。 「はぁ~…どうしてこんな事になったんだ?…おじさん、ちゃんと元の世界に戻れるんだろうか…こんな厄介事は前代未聞だよ…トホホ」

解説 Explan

〇目標
依頼者であるケットシーを護衛し、百合の花を採取させてあげてください


今回の目的である百合の花は、トロメイアにあるアルマレス山、その麓に近い場所に咲いています
その場所に向かうまでは比較的緩やかな山道になっており、敵がいなければ休日のピクニックなどで親子連れが利用しそうなほど、穏やかな道のりです
道中はゴブリンが発生していることが報告されています
報告によれば、ゴブリンが使用していた武器は、剣と棍棒の二つを主に使用していたそうです
しかし、数体、盾を装備しているゴブリンがいたことが報告されています
ハイゴブリンの部下の可能性もありますので、注意をして向かってください

ゴブリン、ハイゴブリンはともに近接戦闘型の魔物です
魔法を使えば、大体大ダメージを与えることができます
また、ケットシーは進んで攻撃をしません
したとしても、爪で引っ掻く、噛みつく程度の攻撃になります

【PL情報】
ケットシーは、助けてくれた女性に恋心を抱いています
本人もそれは自覚しています
今回は恩返しの他に、花を贈るという口実の元、幸せそうな女性の結婚式を見て、自身の気持ちに整理を付けたいと思っているようです


作者コメント Comment
初めまして、宇波(うぱ)と申します∈( ºωº )∋
今回は温かくも、少し切ないお話を目指してみました。
楽しんでいただけますと幸いです。


個人成績表 Report
ミイロイ・ナミ 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
道中は仲間達と集団行動を維持しつつ、先行してゴブリンなどの出現がないか警戒。「エ:1」や「気配察知1」で相手よりも先に気づけるよう注意するわ。
勿論、道中に危険がなさそうであれば、皆と楽しくお喋りもできたら良いわね。

戦闘になったら「プチフド」と剣を使った攻撃で援護。
私はフェアリーで体が小さいから、トドメを狙うよりも
ゴブリンと直接戦う人の手助けができるように、
足下を攻撃したり武器を持っている手を狙ったりできれば良いのだけれど。

最優先は「他の人の邪魔にならず」、かつ「マダニャイさんとお花を守る事」。
その為には体を張って盾になることもためらわないわよ!

ケガなどしていなければ、花のブーケ作りもお手伝い。

クロード・クイントス 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
まずは仲間とケットシーに挨拶
「クロードと申します、よろしく」


ゴブリン戦では盾持ちをメインに狙う
主に魔法プチマドを、ハイゴブリンには魔法マドガトルも使用

ブーケについては他の方が色々思案されているようなので同意しつつ手伝えるのであれば手伝う流れで
あと百合の群生地はとても美しい景観(なのでしょうね)らしいのでウロウロしつつベストポジションを探し景観を眺める

最後のブーケを渡した後、マダニャイに
「彼女は幸せになれるよ」
「良い出会いは人を幸せにするものさ」
と言う

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
アルマレス山へ向かう道中、私は隊列の先頭に就き、嗅覚強化を用いてゴブリン達の匂いを警戒。マダニャイ様は隊列の真ん中にいてもらった方がよいでしょうか

ゴブリンの存在を感知乃至襲撃が起きたら挑発を用い注意を惹きつけ立体起動を用いてゴブリン達の周囲を前後左右に動いたり、街道傍の木を蹴って不意の角度から襲い掛かったりして攪乱、仲間の魔法攻撃をアシスト

敵の攻撃が当たりそうな時は心頭滅却で耐え、機会があれば祖流還りを用い気合いを込めた一撃をハイゴブリンに叩き込みますわ

戦闘後、お花を摘んだらブーケを作る際、飾り紐で「結びつき」を意味するあげまき結びで装飾し、マダニャイ様の花嫁様へのお祝いの気持ちを強調しますわ

コウ・エイトクラウド 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
戦闘行動は、囲まれないように常時周囲を気にして細かく移動しながら、構えを撮りながらヒットアンドアウェイ戦法
一対一なら攻撃、相手が複数なら攻撃せず防御や回避に専念。土や砂をすくい、目つぶしの様に投げつけることも検討

人型である以上、ゴブリンの臓器は人間と同じと思われるので、鳩尾や胃の周辺を狙ってボディブロウや膝蹴りを入れる

戦闘が開始してしばらくした後、投擲(小物)で装備している油を、敵の足元を狙って投擲
足を滑らせるならそれでよし、直撃して味方の雷魔法の導電体になるならそれもよし

また、「試したい事」として、プチラドで掌から雷球を出して、それを掌底ごと相手に叩きつけるという「技」を行ってみたい

リア・カレット 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
移動中は周囲の警戒を、戦闘中は護衛をします。

【行動】
移動中:「気配察知Ⅰ」で周囲を警戒し、敵の気配を感じたら敵に気づかれないよう仲間に伝えます。

戦闘中:依頼者と魔法で攻撃を行う方に敵が近づいてきたら、武器で攻撃します。
依頼者に危険が及ばないようにするため、戦闘時は依頼者の近くで待機します。
戦闘中も死角からの奇襲に備えて「気配察知Ⅰ」で周囲を警戒します。
敵からの攻撃は回避優先で、「基本回避Ⅰ」や「ランスステップ」で避けます。


【その他】
誰かがケガをした場合は、「簡易救急箱」で応急処置を行います。
また、目的のお花を手に入れた後に、
ブーケ作りのお手伝いができればいいなと思っています。

スラフィル・ケーニヒヴルト 個人成績:

獲得経験:52 = 52全体 + 0個別
獲得報酬:1600 = 1600全体 + 0個別
獲得友情:1
獲得努力:1
獲得希望:1

獲得単位:0
獲得称号:---

ロスト・ナンバー 個人成績:

獲得経験:62 = 52全体 + 10個別
獲得報酬:1920 = 1600全体 + 320個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
《戦闘前》
マダニャイ殿を護衛する皆と離れ、隠密状態にて道の脇の森の中を哨戒するであります。
感覚を研ぎ澄まし、ゴブリンを発見次第皆の元へ戻り奇襲を回避し先制が出来るよう報告。

《戦闘中》
戦闘開始前に森の中へ戻り身を潜めて盾を持つゴブリンに狙いを定め、戦闘開始後にゴブリンが仲間に気を取られている内に仲間の魔法攻撃の巻き添えにならぬ様十分注意しつつ、後ろからサイレントスラッシュで一体は確実に撃破出来るよう努めたい所存。

ただ、マダニャイ殿の元へ向かうゴブリンが出た場合は優先してこれを阻止するであります。

《戦闘後》
花を綺麗に摘み取れる様、所持しているサバイバルナイフをマダニャイ殿にお貸しするであります。

七枷・陣 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:156 = 52全体 + 104個別
獲得報酬:4800 = 1600全体 + 3200個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
道中のゴブリン達を撃退。集団の一番格上な盾持ちの個体を狙って倒し、群れを瓦解させる。


【行動】
事前準備として、水筒に塩水を満タンに入れる
基本的にマドガトルの魔法攻撃のみ使用して遠距離から牽制。群れに、これしか使えないと錯覚させる。
牽制しつつ、群れの一番格上な盾持ちの個体を探る。
発見したら、マドガトルをガードさせつつ水筒の塩水をかけられる距離まで近付き、盾を含め、身体全体に塩水をぶっかける。
通電しやすくなった状態で、初見のプチラドを叩き込み、感電死レベルなえげつない攻撃として大ダメージを与えてやろう
スキル:集中は、塩水をかけること、プチラドを命中させる事に対して使用

リザルト Result

 ケットシー、マダニャイの依頼を受け八人の生徒たちが学園の入口に集まった。
「クロードと申します、よろしく」
 【クロード・クイントス】は共に護衛する仲間、そして依頼主であり護衛対象であるケットシーのマダニャイに挨拶をする。
「ケットシーの依頼か、些か興味がある。迷惑でなければ、俺も同行させてもらおう」
 興味深そうにしながら一行に加わるのは【コウ・エイトクラウド】。
 彼らの傍らで、静かにやる気をみなぎらせている【リア・カレット】。
(今まで自習や自主練しかしていませんでしたが、きっとできます。今こそ成果を見せるときです!)
 そんな彼らとマダニャイを少し離れた水場から眺めているのは、【七枷・陣(ななかせ・じん)】。
(恩人への恩返しの花は自分で取りたいねぇ…。多かれ少なかれ、恋慕とかの情でもあるんだろうな)
 などと考えながら、一体何に使うのか。
 手に持った水筒に水を入れ、塩を混ぜ、塩水で満タンにしている。
(マダニャイ様の恋は実らないとしても、花嫁様を祝福したいというお気持ちが伝わるようにお手伝いいたしたいですわ)
「その為にもしっかり護衛してお花を摘んでいただかなくては!」
 と、【朱璃・拝(しゅり・おがみ)】は意気込み、拳を握った。

 朱璃を先頭に、一行は学園を出立する。
 彼女の提案により、マダニャイは隊列の真ん中に配置され、四方から守られている。
 やがて、目的地に続く道である、アルマレス山が見えてきた。
「……道は整備されてはいるが、周囲の森林が遮蔽物になっているな」
 周囲を見渡すコウが、地形を把握する。
「身を隠すには絶好、と地形についてはあらかじめ言われていたし、待ち伏せは確実だろう」
 その言葉に、一行はさっと周囲を警戒する。
 【ミイロイ・ナミ】は、真っ先に動作察知Ⅰを使い、周囲を警戒する。
 しかし護衛対象であるマダニャイを不安がらせないためか、その顔には笑みを浮かべている。
 その隣では、同じくマダニャイの護衛のため近くに待機している【スラフィル・ケーニヒヴルト】がさりげなくマダニャイを庇うように体を動かす。
 マダニャイの護衛から離れ、道の脇にある森の中にて警戒状態にあるのは、【ロスト・ナンバー】。
 彼が軍人然とした口調で一行に報告をしたのは、気配察知Ⅰを使い、周囲を警戒しているリアが何やら気配があることに気が付き、こっそりと傍にいた仲間に伝えたのとほぼ同時だった。
「報告、向かっている正面の方向、左右森の中、ゴブリンを4体発見。内1体が盾を所持。まだこちらに気が付いていない様子。この距離であれば魔法攻撃による奇襲も可能かと」

 ロストの報告にある者は武器を構えたり、またある者は魔法発動の準備をしたりと身構える。
 報告者であるロストは再び森に戻り、機を伺うために身を潜める。
 幸いにもゴブリンたちは、まだこちらに気が付いていない。
「グギャッ?!」
 無防備なゴブリンたち、その1体を、空気を震わせ勢いよく放たれた無属性魔法の球体が襲う。
 正体は陣の放ったマドガトル。
 マドガトルはゴブリンの腹を貫き、空気中に霧散する。
 強烈な一撃に地に伏すゴブリン、その体を押しのけ、臨戦態勢に入るのは、3体のゴブリン。
 そのうち1体は、報告通りに木の盾を持っている。
 マドガトルを撃ち終わった陣はその手をプラプラとさせる。
 先ほどの攻撃しか使えない、そのように誤解し油断したゴブリンは陣に狙いを定め―――。
「私を倒せるものなら倒して御覧なさいな!」
 その言葉とともに、ゴブリンの死角、斜め上。
 木の幹を蹴り上げ強襲する朱璃。
 陣とゴブリンの間を裂くのは硬く強烈な拳。
 立体起動を使用しながら、縦横無尽に動き回る朱璃にゴブリンは翻弄される。
 時折舌を出し、馬鹿にしたような態度で行われる挑発に、単純な知能しか持たないゴブリンはまんまと乗せられヘイトを一挙に朱璃へと集める。
「グガガッ!」
 怒りに任せて繰り出される、木でできた剣の一撃。
 それは真っ直ぐに朱璃へと向かっていく。
「援護するわ!」
 その剣の切っ先を逸らしたのは、柄に学園の校章が刻まれた片手剣。
 それを握りしめ、小柄な体を精一杯広げて、背後にいるマダニャイを守るよう立つのはナミ。
 彼女の背後にはスラフィルとリア、そしてマダニャイがいる。
 通すわけにはいかない。
 ナミはぐっと、剣を握る手に力を込めた。
「助かりましたわ!」
 朱璃がナミの隣に立つ。
 ナミは目の前のゴブリンを見据えながらその手の平に小さな魔法の球を作る。
「ここを通すわけにはいかないの」
「今度はこちらが援護しますわね」
 互いに目配せをしひとつ頷き合うと、朱璃がだっとゴブリンに向かい駆けだす。
 突然の動きに驚いたゴブリンは、朱璃の背後にいるナミの動きが見えていない。
「さあ、倒れなさい!」
 ナミの手から放たれた小さな球は勢いをつけ、ゴブリンの体を抉った。

 2体目になるゴブリンが地面に倒れた時、倒れたゴブリンと挟み撃ちにされる形で、マダニャイ、そしてマダニャイを守るリアとスラフィルの元に、もう1体のゴブリンが忍び寄っていた。
 背後から忍び寄る気配を、周囲を警戒していたリアはいち早く察知する。
 ばっと振り向いたその先、ゴブリンが振り下ろそうと構える剣の刃が目に入る。
 槍で弾くべく、その柄を振りぬき、刃の軌道を逸らす。
 衝撃で後退したゴブリンとリアの間にできた空間。
 その距離を縮めようと一歩踏み出したゴブリン。
 その動きに、リアは再び槍を構え、スラフィルはマダニャイの前に立つ。
「マダニャイさんのことをお願いします!」
 リアの声に、スラフィルは右手の親指を立てサムズアップをする。
 深呼吸を一つ。
 続いて繰り出されるゴブリンの攻撃。
 何度も繰り返し練習してきた、基本の型。
 見事なランスステップを踏み、回避していく。
 時折、ふっとマダニャイの周辺に攻撃が掠めるという、冷や汗をかく場面もあった。
 しかしその度、マダニャイの前に位置するスラフィルが、自身が持つひのきでできた杖で弾くという抜群のコンビネーションを見せた。
 そうして幾度目かの攻防の末にできた距離。
 彼女たちとゴブリンの間、その空間にさっと滑り込んだ影は、コウだ。
 彼は細かく移動を繰り返し、隙の無い構えを取る。
 繰り返される細かい移動は、徐々にゴブリンへと近付き、ゴブリンを彼女たちから遠ざける。
 人型であるゴブリンと、人間の臓器の位置は同じだと予想を立て、その拳が鳩尾へと唸る。
「ギャッ!」
 体をくの字に折り曲げ悶えるゴブリンに、コウは攻撃の手を休めることなく膝蹴りを入れる。
 胃の周辺に放たれた強烈な蹴りに、リアやスラフィルの攻撃ダメージの蓄積もあったのだろう。
 いとも呆気なく、ゴブリンは白目を剥き、泡を吹いて倒れた。

 一方、3体のゴブリンを各々が相手取っているとき、ロストは脇の森の中に身を潜めていた。
 狙いは盾を持ったゴブリン。
 正面からの攻撃は盾で弾かれてしまい、苦戦してしまうだろう。
 しかし、背後からの攻撃であればダメージが入りやすいのでは。
 ロストは虎視眈々とその時を待っていた。
 時折飛んでくる、敵から外れた魔法攻撃は最小限の動きでかわす。
 味方にも注意を払い、じっと盾を持ったゴブリンから目を逸らさない。
 やがてその時は来た。
 ロストの潜む木の正面で、ゴブリンが背中を見せた。
(今が勝機と見たり……っ!)
 この機会を逃すことなく放たれる、双剣の剣戟、サイレントスラッシュ。
 素早く振るわれる石の双剣の音は、ほとんど、ない。
 奇襲に気付かず、無防備にも背中を見せたゴブリンは、その一撃を食らい、よろめく。
 しかし、踏ん張る。
 あと一歩、仕留め損ねた。
 背後からの攻撃にようやく気が付き、ロストへ盾を向け正面へと対峙する。
 だが、そのゴブリンが相手取らなければならないのはロストだけではない。
 ロストばかりを気にして、疎かになった背後。
 その背後に音もなく立つのは、クロード。
 手の平に浮かぶものは小さな魔法の球、プチマド。
 手の平の魔法陣は光り輝く。
 その上で育つ無属性魔法の小さな球は、出番を今か今かと待っている。
 ゴブリンは未だ、背後に気が付くことはない。
 やがて魔法の準備が終わる。
「だめだよ、背後を疎かにしちゃ」
 ゴブリンの背中に付けられた、双剣の傷。
 クロードの手のひらから放たれた球は、それをさらに抉り取り、貫く。
 ゴブリンは何が起こったのか理解が追いついていないように、しばらくその場に硬直する。
 やがて、忘れていた時間を思い出したかのように、力なくその場に崩れ落ちる。
 からん、と乾いた音を立てて転がった木の盾を乗り越え、クロードとロストは、他のゴブリンも倒しきった一行の元に合流した。

 先の戦闘で、切り傷等、小さいながらも怪我を負った者には、リアが甲斐甲斐しく手当てを施す。
「はい、手当終わりました」
 擦り傷のついた腕に絆創膏をペタリ。
 手当を行っている場所は、先ほどの襲撃を切り抜けて到着した百合の群生地。
 一体どのような環境なのか、そこに咲き乱れる青い百合は目に鮮やかで、美しい景観を形作っていた。
 護衛対象であるマダニャイは、しばらくその景色に魅入っていた。
 それを横目に、クロードはその景色が一等美しく見えるポジションを探し、眺める。
 視覚を強化し、より鮮明に見える景色をゆっくりと魔力に染み込ませていく。
「しかし、この群生地……依頼ではなくピクニックなどで来ても良かったかもな」
 感嘆の言葉を漏らしたクロードの声に、魔法から解き放たれたようにはっと我に返るマダニャイが、照れたように振り返る。
「この百合の花を摘んで帰るのにゃ!」
 この場に来た目的を口に出したマダニャイに、スラフィルがブーケを作ってみてはどうかと提案をする。
 それに初めに同意を示したのはナミ。
「こんなにきれいなお花だもの。ブーケにして、花嫁さんに渡してあげましょう」
 一同はそのアイデアに肯定をする。
 マダニャイはそれに、照れたようにはにかんだ。
「小生にそういう繊細な美醜はわかりかねるものでありまして…」
 ロストはブーケを他の面々に任せる代わりに、綺麗に花を切り取ることができるようにサバイバルナイフをマダニャイに渡す。
 切り取る花選びに迷っているマダニャイに、朱璃は強化した嗅覚で一等香りのいいものをマダニャイに示す。
「ブーケに、あげまき結びで飾りを付けるのはどうでしょうか」
「あげまき結びにゃ?」
 朱璃は首を傾げるマダニャイに、あげまき結びの説明をする。
 あげまき結びとは、結びつきを意味する飾り結びであることを説明すれば、マダニャイはそれで飾りを作りたいと目を輝かせる。
 リアとクロードは零れそうになった花を支えたり、飾り結びの手伝いをしたりと、ブーケ作りの手伝いをする。
 しばらくしてマダニャイが作り上げたブーケは、不格好ではあるものの、頑張ったことがとてもよくわかる出来上がりになっていた。
 思いはきっと伝わるだろう。
 マダニャイは腕にブーケを大切そうに抱えた。
「なるほど、こういうものを皆は喜ぶのでありますな。はー……なるほど……」
 このような美醜に詳しくはないと言ったロストは、貸したサバイバルナイフを受け取りながら、ブーケをじっと観察する。
 そんな中、コウはやって来た、そして戻る際にも通る道をじっと睨む。
「まだ、報告にあったハイゴブリンが出現していない。行きでは襲撃されなくとも、帰りで襲撃されるかもしれんし、行きも帰りも常に気を張っておこう」

 僅かな懸念と花束を胸に抱え、行きと同じくマダニャイを中心に隊列を組み、元来た道を引き返す。
 だが、そこに、群生地からさほど離れていないその場所で、3体のゴブリンが立ちはだかる。
 先ほどの群れの生き残りか、あるいは別の群れか。
 今来たのか、隠れていたのか。
 どちらにしても、厄介極まりない。
 なぜならば、3体のゴブリンは、皆盾を所持している。
 加えて、1体は他のゴブリンに比べ、ずいぶんと大きい。
 心なしか、風格も違う気がする。
 これがハイゴブリンかと、直感する。
 牙を剥き、荒く吐き出される息は熱を持つ。
 迂回するルートは、今回の計画には残念ながら、無い。
 突破するしか方法はない。
 覚悟を決め、動き出したとほぼ同時に、ゴブリンたちも反撃の挙に出た。
 
 突然に現れたゴブリンたちに怯えたのか体を強張らせ、せっかくのブーケを強く握りしめるマダニャイ。
 その手を、ナミは優しく包む。
「大丈夫よ。だから、そんなに強くお花を握りしめないで。しおれちゃうわよ」
 ゆっくりと落ち着きを取り戻すマダニャイの横では、リアが待機をしている。
 マダニャイをリアとサンドするように反対側に待機しつつも油断なく目を光らせているのはスラフィル。
 彼女たち3人は、優先してマダニャイの護衛を務めるようだ。
 そこに、盾を前面に押し出すように構えながら突っ込んでくるゴブリン。
「はぁっ!」
 リアが構えた槍を盾に突く。
 貫きはしなかったが、その勢いに僅かにゴブリンの体が傾ぐ。
 その隙をリアは逃さない。
 弧を描くように回した槍先が再びゴブリンの正面を狙う。
 鋭く振り下ろされた槍は、ゴブリンの盾を弾き落とした。
 ゴブリンは落とした盾を拾おうと手を伸ばすが、スラフィルがその盾を踏みつける。
 丸まってガラ空きの背中に、振り下ろされるのは石の双剣。
「ご無事でありますか!」
 マダニャイへ突撃しようとしたゴブリンの阻止に、僅かに出遅れたが、結果的には間に合ったロストの攻撃。
 悶えながら地面を転がるゴブリンに、せめてもの情けか、2つの石でできた剣は深々と急所へ吸い込まれていった。

 一方、ハイゴブリンを相手に、少々苦戦しているように見受けられる面々。
 理由は簡単、ハイゴブリンを攻撃しようにも、もう1体のゴブリンが邪魔をしているためだった。
 膠着状態の続く中、すっと陣が先攻する。
 陣の放つマドガトルは、真っ直ぐにハイゴブリンへと向かう。
 しかし、それは難なくハイゴブリンの持つ盾に弾かれてしまう。
 その行動によりできた、一瞬の隙。
 その隙は、陣にとっては十分な時間だった。
 片手で届くほどの距離に近付いた陣。
 その手に持つのは持ち物の中に紛れ込ませていた、あの塩水。
 彼はそれを思い切り振りかぶり、ハイゴブリンへと目掛けて振りかける。
 その水量はゲリラ豪雨もかくやといった勢いだ。
 ダメージもなく、強いて言うのなら塩水特有のしょっぱさと、肌に与えられる不快な刺激は、時間をおいてハイゴブリンを怒らせた。
「あ、しまった」
 怒り心頭で横薙ぎに振られた剣は、陣の胴体に直撃する。
 放り投げられる形で陣はごろごろと地面を転がる。
 それを見て、コウは所持していたランタン用の油を撒く。
 気を引くためか否か、撒かれた油は独特なにおいを放つ。
 ゴブリンはその油に、足を取られ、転ぶ。
 好機とばかりに、体勢を立て直そうとするゴブリンにコウは拳を叩きこむ。
 何度か躱され、何度か当たり。
 繰り返しているうちに、いつの間にかハイゴブリンから距離を取ることに成功したようだ。
 これで随分と戦いやすくなることだろう。
 完全に体勢を立て直し、油まみれになりながらもコウを睨みつけるゴブリン。
 隙あらばいつでも攻撃してきそうなゴブリンに、ふっと口角を上げ、笑う。
 コウのその手の平にバチバチと光り、作られていく小さな雷の球、プチラド。
 コウはそのまま、掌底ごとゴブリンの顔面に叩きつける。
 ゼロ距離で与えられた雷に、ゴブリンは後ろへとゆっくりと倒れていく。
 もう起き上がることはないだろう。
「んむ、雷珠掌と名付けるか」
 構想していた技が成功し、コウは満足げに拳を開閉した。

 邪魔をしていたゴブリンがコウによって離され、立ち回りがしやすくなったハイゴブリン戦。
 弾き飛ばされ転がった陣の後に続くよう、クロードはその手に渾身の力を籠める。
 魔法陣が浮かび上がり、光を放つ。
 プチマドよりも大きい、魔法の球、マドガトルがハイゴブリンを狙う。
 それは盾に弾かれてしまう。
 しかし、角度を付けたマドガトルはハイゴブリンの頭頂部へと跳ね返り、抉るようにダメージを与える。
「グアアアアア!!」
 怒りに任せ、型も何もないただ力任せに振るわれる剣。
 ハイゴブリンの体から流れ出る体液に、自分自身の視界を潰され、その剣はまぐれでも誰に当たることもない。
 見えない視界で振り向いた正面、そこに先ほど吹き飛ばされた陣が立っていた。
 彼はその手に雷の球を作っていく。
 バチバチと鳴る音に気が付いたのか、反射的にハイゴブリンが盾を構える。
「そうそう、塩水ぶっかかった盾と身体でさっきみたいにガードしなよ。マドガトルと違って弾けないけどねぇ」
 塩水は電気を非常に通電する。
「触れた瞬間、一瞬で全身を電気が駆け巡る! ……感電しちまいなよ!」
 その声とともに放たれた雷の球は、塩水の効果も手伝ってバヂバヂバヂィ!とハイゴブリンの体に激しく流れる。
 だが、ハイゴブリン。
 満身創痍ではあるが、かろうじて立っていられるようだ。
 しかし、その場の誰もが、敗北など考えていなかった。
 なぜならば。
 魔法を放った陣の頭上を飛び越えやってくるのは、日の光に輝く銀色の毛並みを持った狼。
 否、祖流還りでおよそ短い時間ではあるが、それに近い姿に変化した朱璃だ。
「猫の恋路を邪魔する奴は狼に蹴られて死んじまえ! ですわ!」
 彼女は気合を込めたハイキックを、ハイゴブリンへと叩きこんだ。

 幸せの象徴である白いドレスを身に纏い、花嫁は集まった人たちの前へ笑顔で教会から現れる。
 一人一人に挨拶をしていく中、彼女は1匹の猫を見つける。
 忘れもしない、雨降る昼下がりに助けようと手を伸ばした、あの猫だ。
 まさか、祝いに来てくれたのか。
 信じられない思いで涙を浮かべ駆けよる花嫁に、猫は口に咥えたブーケを花嫁に渡す。
 青い百合だった。
 渡されるとき、ほんの一瞬だけ、不思議と花嫁の大好きなあの群生地の風景が広がった。
 気が付けばあの猫はどこにもいなかったけれど、手元には確かに青い百合のブーケが握られている。
「……ありがとう」
 どこかで猫が、にゃあと鳴いた。



課題評価
課題経験:52
課題報酬:1600
わがはいはケットシーである!
執筆:宇波 GM


《わがはいはケットシーである!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 1) 2019-01-25 00:03:48
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。皆様どうぞよろしくお願いいたしますね。

《人たらし》 七枷・陣 (No 2) 2019-01-25 00:24:47
やぁ、賢者・導師専攻のおじさんだよ…今は元、がつくけどね、ハハハ…。
道中のゴブリンは魔法が良く効くって話だから、おじさんの出番かもね。…盾持ちを優先して倒した方がいいのかな?

《新入生》 ミイロイ・ナミ (No 3) 2019-01-25 01:24:27
私はミイロイ・ナミ。フェアリータイプのエリアルよ。みんな宜しくね。
取りあえず盾を持ってる「ゴブリン」と、
それを指揮する同じ盾持ちの「ハイゴブリン」がいる、って感じかしら?

私はフェアリーだから直接戦闘はあんまり得意じゃないけど、私にできる事があったら言ってね。

《新入生》 スラフィル・ケーニヒヴルト (No 4) 2019-01-25 06:12:01
やぁやぁ同級生諸君っ
ボクはスラフィル・ケーニヒヴルト、賢者・導師専攻のエリアルだよ!

ボクもあまり戦闘は得意ではないけど頑張るね!

《新入生》 リア・カレット (No 5) 2019-01-25 21:19:00
勇者・英雄コースのリア・カレットです。
広場で顔を合わせている方もいますが改めてよろしくお願いしますね。

魔物との戦闘はこれが初めてですが、皆さんのお役に立てるように頑張りたいと思います。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 6) 2019-01-25 22:42:56
さて、流れとしてはお花を取りにいく道中でゴブリン達の襲撃がありますので、それを凌いでマダニャイ様をお守りする事、その後マダニャイ様がお花を摘んだ後ブーケを作る事、そのブーケを花嫁様にお渡しする事、という感じになりますのでしょうか?

ゴブリン達との戦闘では、私は物理で殴る形になりますので盾で防がれると厄介ですわね。魔法を使える方が多くいらっしゃいますし、立体機動でゴブリン達を翻弄して隙を作ってそこに撃ち込んでいただいたりはできますかしら。

あとブーケも素敵な物になるように何かアイデアを出せればいいですわね。

《新入生》 ロスト・ナンバー (No 7) 2019-01-25 23:34:18
作成会議中失礼します!
黒幕・暗躍専攻のカルマ、ロスト・ナンバーであります!

味方が遠距離攻撃ができるのは心強いでありますな。

相手に隠れる場所がある、という事であれば小生も闇討ちがしやすそうであります。

《新入生》 リア・カレット (No 8) 2019-01-26 00:16:51
ロストさんの言う通り、相手は身を潜めていきなり襲い掛かってくるかもしれません。
私は「気配察知Ⅰ」で奇襲を受けないように周囲を警戒しておきます。

それと、摘んだお花はただ贈るのではなく、受け取った方が喜ぶように装飾を施したいですね。

《新入生》 クロード・クイントス (No 9) 2019-01-26 08:30:03
出遅れてしまった…
賢者・導師専攻のクロードです。

両手杖使いなので一応回復役でと考えてますが戦闘も大丈夫。
ただし両方は無理なので他に回復役希望の方がいれば戦闘役に回りたいと思います、よろしく。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 10) 2019-01-26 23:32:52
狼のフレーバー的な意味もあって嗅覚強化を取りましたので、これで私も隠れたゴブリンの警戒をさせていただこうと思いますわ。

攻撃自体は私は拳で殴る事しかできませんけれど。

あとはブーケ、束ねる時のリボンの結び方を色々工夫してみてもいいかもしれませんわね。リボンではありませんが、飾り紐でむすぶあげまき結びというのは結びつきという意味があるそうで、ご夫婦の結びつきを表す事もできそうですし、そういった感じの物ができればと思いますわ。

《新入生》 ミイロイ・ナミ (No 11) 2019-01-27 01:53:51
あんまり相談出られてなくてごめんなさいね!

人数比で言うと、

勇者:リアさん
武神:朱璃さん・コウさん
暗躍:ロストさん
賢者:七枷さん・クロードさん・スラフィルさん・私

という感じね。取りあえず賢者組だと、
私とスラフィルさんが戦闘苦手を自認している感じですから、
クロードさんと七枷さんに、盾持ちの攻撃をお願いしても良かったかしら?

私とスラフィルさんはエリアルだから、
何かしらゴブリンの襲撃を察知したりはできそうね。
取りあえず、何か気づいた事があったら随時知らせていくのと、
お花のブーケ作りに応用できそうなソーイングセットを持っていこうと思うわ。

《人たらし》 七枷・陣 (No 12) 2019-01-27 03:05:22
取りあえず、プラン完成させたよ。

おじさんの行動は、盾持ちの格上ゴブリンを倒して、群れを瓦解させる方向で。
予め、水筒に塩水満タンにして持って行くよ。
マドガトルのみ使って遠距離牽制しつつ盾持ち個体を探る。
見つけたら、マドガトルをわざとガードさせながら、塩水ぶっかけれる距離まで近付いて、盾ごと全身を塩水に濡らせる。とても通電しやすくなった状態にさせた所で、初見のプチラドを叩き込んで感電の大ダメージを狙って倒すって所だね。
盾を持って防御しても、防御無視で貫通出来る…と、思う。思いたい。

《新入生》 クロード・クイントス (No 13) 2019-01-27 09:22:41
なるほど、では私は戦闘の方へ回りましょう。
魔法の方は無属性を使用、盾持ちを狙う方向で行動します。

《新入生》 コウ・エイトクラウド (No 14) 2019-01-27 16:10:06
む……出遅れたか。
武神・無双コース所属のコウ・エイトクラウド。
今回はよろしく頼む。

俺のやる事は、ゴブリンとの戦闘時に、魔法攻撃までの足止めやかく乱を行う……と言ったところか。

《新入生》 ミイロイ・ナミ (No 15) 2019-01-28 11:12:54
私もプランを提出してきたわ。
やることは前と変わらず、周辺の警戒とブーケ作りのお手伝いがメインね。

今日は夜に相談に来られるか微妙だけど、もし何か作戦などがあれば、
そちらに合わせる旨も書いておいたわ。

初めての授業、皆で成功させられると良いわね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 16) 2019-01-28 21:06:01
プランは提出しましたわ。戦闘時は先述の通りゴブリン達を攪乱して魔法攻撃のアシストをいたしますわ。もしチャンスがあれば攻撃もしてみようかと。

あとはブーケのお手伝いですわね。

PBW自体は別の物もやっているのですが、アクションプランとウィッシュプランという風に分けて書くのはこのゲームが初めてですので早く慣れないとですわ。

《新入生》 ロスト・ナンバー (No 17) 2019-01-28 21:19:46
あまり会議に参加できず、申し訳ありません!

小生のプランは、哨戒を担い敵を発見次第皆様へ報告することを第一に行動する所存であります。
ゴブリンには魔法が有効であることから、戦闘は主に賢者の方々に積極的に行っていただくのが良いかと考えます。

《新入生》 リア・カレット (No 18) 2019-01-28 21:39:29
出発まで恐らくあと数時間でしょうか。
私も先程プランを提出してきました。

移動中は周囲の警戒を。
戦闘の方は前に出る方がいる様なので、
前には出ずに魔法で攻撃する方とマダニャイさんの護衛をしようと思います。

皆で力を合わせれば必ず成功できるはずです。