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花粉死すべし慈悲はない


ストーリー Story

「くっ……! 俺はもうここまでだ……!」
「諦めないで! きっとまだ道はあるはず!」
「無理だ……! 無理なんだよ、俺にはできない!」
「なんてこと……! ああ、だれか、だれか!」
 嘆く二人の男女の元に、ひとつ、ふたつと暗い足音が忍び寄っていた。

「えー、先ほど届いた依頼です」
 学園窓口の受付のその目は心なしか赤い。
「どうしたんですか? 感動ものの映画でも見ていたんですか?」
 生徒の軽口に、かゆいんですよ。と目を擦って返す。
「くしゃみも止まりませんし、うまく考えがまとまらないんですよ……。それはさておき、依頼内容の説明をしまっしゅん!」
 くしゃみをこらえきれずに、可笑しな語尾でセリフを締めくくる受付。
 ほんのりと頬を染め、誤魔化すように書類を捲る。
「依頼者は、街の外れに家を持つご夫婦。依頼内容は、彼らの住む家に魔物が住み着いてしまったそうなので、それらの退治をお願いしたいとのことです」
「魔物の詳細は?」
 本題に入ったことにより、真剣味を滲ませたひとりが聞けば、受付も同じく真面目に返す。
「はい、住み着いた魔物は『ポーレンアニマル』。頭部に草や、人間のこぶし大程度の小さな木を生やした動物型の魔物です」
「攻撃手段は?」
「花粉を飛ばします」
「……それだけ?」
「はい。あとは体当たりもしてきますが、その攻撃能力は皆無に等しいと言っていいでしょう」
 目を中々擦れないためか、大粒の涙を浮かべた受付。
 彼の身を案じつつ、訝し気な表情を浮かべたひとりが質問する。
「とても嫌な予感しかしないのだけれど……。なにか、そう、なにか些細なことに思えて実はずっと重要だったことなんかを隠してない?」
「隠しているつもりはありませんが、そうですね、あえて付け足すとするのならばくしょん!」
 すんすんぐしゅぐしゅ鼻を鳴らしながら、懸命に続けようとする受付の姿はいじらしく哀れを誘う。
「ポーレンアニマルはっくしゅん! 頭部に草や小さな木を生やした、『小』動物型の魔物です。頭部に生やした植物の種類も、イネやスギ、ヒノキなどの植物です」
 生徒たちに冷や汗が流れる。
「ポーレンアニマルは物理的な攻撃力は皆無、加えて一般人でも、その辺りにある木の棒で一撃でも殴れば倒せる程度の脆弱さを持ちます。しかし、依頼人が対処できなかったその訳は――」
 一瞬溜め、しかしその間にもくしゃみを止められなかった受付は、悪態をつきながら一枚の書類を見せる。
 覗き込んだ生徒たちは息を呑み、あるいは頬を染め、うっとりと目を蕩けさせる。
「か、かわいいー!!」
 そこに描かれていたのは、片手で掴めそうなほどの小動物たち。
 頭部には確かに、小さな木々が生えてはいるが、その姿は愛らしい、その一言に尽きる。
 生まれたばかりで、足をぷるぷると震えさせ、立ち上がろうとするマンチカン。
 遊ぶのが楽しいと言いたげに、目を溌溂(はつらつ)と輝かせ、自分の尻尾を追いかける小さな柴犬。
 餌でも探しているのか、ぴんと耳を立ててふこふこと鼻を動かしているウサギ。
 頬袋一杯に餌を詰め、きょとんとした顔を向けているリス。
 そのほかにも、カワウソやモルモットなどなど……。
 アニマル天国かと勘違いするような風景が、そこには広がっていた。
 事実、頭部から木などが生えていなければ、動物園の小動物ふれあいコーナーだ。
「ポーレンアニマルは、その愛らしい容姿と花粉を飛ばして身を守ります。依頼人はこの可愛さにやられ、対処ができなかったようです」
 ほう、と熱っぽくため息を吐く受付に、何かを感じた生徒は一歩後退る。
「ころんと転がるぷにぷにボディ、仕草はまるでボールのよう。体当たりなんてされた日には、もふもふの感触に翻弄され、その日の仕事が手につかなくなること必至、なんてうらやまけしからん!」
 もふもふ好きなのかな。
 生徒たちの生暖かい視線に、こほんと咳払いをして取り繕う。
「ポーレンアニマルの放つ花粉は、たちまちのうちに鼻をむずむずさせ、くしゃみを引き起こします。人によっては目もかゆくなります。やがて酸素が行き渡らなくなり、思考能力が低下します。可愛いように見えて、凶悪な魔物なのです。けして、けっして許してはなりません!」
 どっちの立場で応援しているのかと問いたくなる受付の熱の籠った演説は、彼の私怨も含まれているようにも感じた。
「ぶえぇっくしょん!」
 生徒たちは彼の盛大なくしゃみを背後に聞きながら、件の家へと出立したのだった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-03-23

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2019-04-02

登場人物 7/8 Characters
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。
《新入生》ルッシュ・アウラ
 アークライト Lv3 / 賢者・導師 Rank 1
初めまして僕の名前は【ルッシュ・アウラ】 気軽にルッシュって呼んでくれると嬉しいな 今まで様々な国を転々としてきたけど まだまだ僕の知らない事ばかり ちゃんとこの僕自身の力量を知って この学園で沢山学んで、一人でも多く仲間や友達と 出会って将来的には困ってる他者を 助けられたらいいなって思ってるんだ 好きなもの:紅茶・植物育成 嫌いなもの;雷・大きな音 2019/12~暫くお休みします 返信等遅いです。
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《過去を刻みし者》グレイ・ルシウス
 ヒューマン Lv16 / 黒幕・暗躍 Rank 1
やるべき事があり、やるべき理由もある。 だがその為の力が。知慧が、技術が、経験が足りない。 それでもやると決めた。決めて、武器を手に取った。 ならば繰り返すしかない。執拗に、着実に、徹底的に。 試行錯誤だ。事が成るなら手段は問わない。 ―――――――――――――――――――――――――――― 【外見】 灰色の髪に灰色の瞳。中肉中背の平凡な青年。 常に古びた皮鎧と要所を補強した皮兜で武装しており、 学生証の種族こそヒューマンとなっているものの 素顔を見たことがある者は極めて少ない。 また、当人もすすんで素性を明かそうとはしない。 【性格】 無遠慮で偏屈。禁欲的で真面目。慎重だが決断は早く、 まるで人間では無いかの様に作業的で事務的。 必要最低限の、自分にとっての事実しか語ろうとしない男。 ユーモアへの理解や相手への気遣い等も意識にはあるが、 とにかく不器用な性質の為、まず表には出てこない。 【戦闘】 良くも悪くも拘りがなく、見切りも選択も速度重視。 有効か、そうでないかの2択のみで物事を即断し、 場で利用出来る物を最大限利用して主導権を奪うスタイル。 その為、一騎討ちや果たし合い・決闘といった 正統派かつ王道の『対戦形式』には苦手意識がある。 【悪癖】 名前を呼ばれると大体1~半テンポ遅れ、 何処となくバツが悪そうな声音で返事をする癖がある。 また、人を呼ぶ時もあまり固有名詞を使わず、 「お前」「そこの」「そっちの」等の代名詞に頼りがち。
《新入生》ウェルカ・ラティエンヌ
 アークライト Lv15 / 王様・貴族 Rank 1
■身長:152cm ■実年齢:14歳 ■髪形:腰までのストレートロング ■容貌:ややたれ目気味の目元の、大人しそうな容貌の美少女 ■体型:身長は小柄ながら、バストやヒップはかなり大きく、非常に発育は良いが、ウェストや手足等は細めの、極端な体型 ■性格:基本的には内向的で大人しく、穏やかな性格だが、金銭面には非常に厳しく、利害が絡むと冷酷になる面も ■コンプレックス:桁違いに豊満な上、未だに発育途上の胸/[誕生日]の時点で、既に120cmに届くとのこと ■体質:体重が増えるときは、その殆どが胸に集まり、痩せるときは他から痩せるタイプ ■服装:背中の開いたドレス/色は特に決まっておらず、気分次第で変えている ■特技:経営・商売に関連する豊富な知識/一通りの礼儀作法/実は家事全般
《模範生》レダ・ハイエルラーク
 ドラゴニア Lv16 / 黒幕・暗躍 Rank 1
将来仕えるかもしれない、まだ見ぬ主君を支えるべく入学してきた黒幕・暗躍専攻のドラゴニア。 …のハズだったが、主君を見つけ支えることより伴侶を支えることが目的となった。 影は影らしくという事で黒色や潜むことを好むが、交流が苦手という訳ではなく普通に話せる。 ◆外見 ・肌は普通。 ・体型はよく引き締まった身体。 ・腰くらいまである長く黒い髪。活動時は邪魔にならぬよう結う。 ・普段は柔らかい印象の青い瞳だが、活動時は眼光鋭くなる。 ・髭はない ・服は暗い色・全身を覆うタイプのものを好む傾向がある。(ニンジャ…のようなもの) ・武器の双剣(大きさは小剣並)は左右の足に鞘がついている。 ◆内面 ・真面目。冗談はあまり効かないかもしれない。 ・立場が上の者には敬語を、その他には普通に話す。 ・基本的に困っている者を放っておけない性格。世話焼きともいう。 ・酒は呑めるが呑み過ぎない。いざという時に動けなくなると思っている為。なお酒豪。 ・交友は種族関係なく受け入れる。 ・伴侶を支えるために行動する。 ◆趣味 ・菓子作り。複雑な菓子でなければ和洋問わず作ることができる。
《新入生》アウレリア・ダウストリア
 エリアル Lv10 / 王様・貴族 Rank 1
【外見】 フェアリー型エリアル 羽は薄い紫のグラデーション 赤のゆるいロングウェーブツインテ 紫の瞳 見た目完璧ロリ 【服装】 制服のシャツを改造し、レースを付け加えワンピースに仕立てている リボン 眼鏡 【性格】 見た目は幼女、中身はおばあちゃん 老成しているせいか、物事を達観した目線で見ている 学園に紛れるにあたり猫を被る時がある 元来の性格はお人好しのトラブルメーカー 困っていれば見過ごせず回りを巻き込み解決しようとする ちなみに眼鏡は老眼鏡 ロリババア眼鏡のじゃっ子 ※アドリブ大歓迎!

解説 Explan

 一般の家に棲みついた魔物の討伐依頼です。
 攻撃力は花粉以外ほぼ皆無、加えて一般人の攻撃でも簡単に倒せてしまう程度の耐久です。
 対魔物無双ができます。
 憎き花粉を撲滅しましょう!
 ぶえっくしょい!

【魔物情報】
『ポーレンアニマル』
 頭からスギやヒノキ、イネなどの植物を生やした小動物型の魔物です。
 ぷにぷにもふもふころりんとした愛らしい容姿で人々を惑わし、身を守ります。
 攻撃手段はぷにもふ体当たり(攻撃力皆無)と、凶悪花粉飛ばし!
 花粉はたちまちのうちに、くしゃみ、目のかゆみ、思考能力の低下までも引き起こします。
 総数は不明、いっぱい。
 しかし幸いなことに、住み着いた家から外には出ていないようです。


作者コメント Comment
 花粉死すべし慈悲はない∈( ºωº )∋
 花粉をぼっこぼっこにできる課題を用意しました。
 みなさんどうぞ、花粉をばったばったと薙ぎ倒していってください!


個人成績表 Report
オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目標】
花粉滅する。奴らに慈悲は無し。
やつらの「愛の営み」で苦しむ僕の身にもなってください。(ズビビ…)

【行動前】
①簡易救急箱と仲間が持ってきた厚手の布でまずはマスクを作ってもらいます。
②マスク装着します。
③本を構えます。
④殺意を高めるために本を素振りします。

【行動】
『即断即決Ⅰ』で敵(主に頭上)を本で殴って殺します。
もしあざとかわいい攻撃を受ける場合、『通常反撃』で避けて本で殴ります。
後始末等々考えて一ヶ所で殺すよう気を付けますね。

【その他】
「え?かわいそうですか?」
文句言う人がいる場合、『重力思念』でかしこさを下げて「説得」という名の言いくるめします。


ルッシュ・アウラ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---

【目的】

屋外からの見張り&逃げてきた魔物退治


【行動】
室内で奮闘する仲間を心配しつつ、
「スコップ(大)」を使用し、
玄関口や裏口に穴を掘り落とし穴を作成。
できたら窓などに細工して開かないようにする
逃げてきた魔物を魔法で攻撃する。

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
魔物食べに来たよぉ?ついでに退治もだけど。

追っかけるの疲れっし、お掃除面倒だし、一箇所に集めるかなぁ。
ほら、キュート愛嬌さもあの魔物の武器な訳じゃん?それを逆手にどっこいしょして、可愛がる素振り【ハッタリ】かまして、お風呂場とかの汚れてもいい部屋に魔物達を誘導してー、ある程度集まったとこで扉閉めてぽこぽこする感じぃ。

肉が痛んだらやだし頭を【ゴツンと一撃】で、兎とか味に期待できそうな個体は【基本棒術Ⅰ】で【ヒ2】の【コツンと一撃】でギリギリまで生かし生存な試み。
その後食べれそうなのは【荷物カバン】入れて調理組に渡して、他のは浴槽とか棚の上とかの魔物からはパッと見見えないとこ隠してまた繰り返すね。

グレイ・ルシウス 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
担当:退路遮断、魔物討伐

目的:鏖殺

行動:事前調査技能を使い依頼主に大雑把な間取り確認
室内に入り次第、家屋の出入可能な窓に鍵を掛けて巡り、
水を流しても問題が少ない厠や風呂場の位置確認

一通り巡ったら仲間とタイミングを合わせ討伐開始
捕まえては目星を付けた部屋へ向かい、
首筋、項、額等、脆く致命的な部位に剣を刺し
速やかに出血を極力抑え殺すと言う点を徹底
玄関は敢えて魔物が逃げられる様に手空きにしておく

「小動物。愛くるしい外観。庇護欲を誘う仕草……か」

「それがどうした。魔物は殺す。皆殺しだ」

花粉症に縁はないが、
花粉がこれだけばら蒔かれれば目に悪い
殺したら水筒で水を撒き
空中に漂う花粉濃度は抑える様にしておこう


ウェルカ・ラティエンヌ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:165 = 55全体 + 110個別
獲得報酬:4500 = 1500全体 + 3000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
さて、此方ですわね。
何やら可愛らしくて、少々罪悪感を覚えはしますが。

[可愛さの余り対処できなかった相手]が倒されていく様を、依頼主様に見せたくは有りませんわね。
現場にいらっしゃるようでしたら、[交戦に巻き込まれない様]という名目で、少々外に出ていていただきますわ。

その上で、実際の対処になりますが、此方の[魔物]の生態は、どの様になっているのか、気になりますわね。
無害になる可能性も無いわけでは有りませんし、順に捕まえて頭の[植物]を抜いてみましょうか。

無事に[討伐]が終わりましたら、後始末になりますわね。
[魔物]のお肉は焼いて調理、出来ると良いのですが。
お部屋はきちんとお掃除しておきましょう。

レダ・ハイエルラーク 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
戦闘
調理

◆使用特性・技能・道具
龍の翼
龍爪撃
精密行動
不可視気
ダガーステップ
勇猛果敢
息止め
料理Lv3
緊急回避
飛行
跳躍
応急処置
事前調査
調理道具一式

◆プレイング
・【事前調査】で下見をしておく
・戦闘には【龍の翼】【龍爪撃】【不可視気】【ダガーステップ】【勇猛果敢】【精密行動】【息止め】【緊急回避】【飛行】【跳躍】を使用
・【不可視気】で相手を錯乱
・【息止め】【緊急回避】【飛行】【跳躍】で花粉回避
・【勇猛果敢】【精密行動】で多少の花粉を無視できる可能性あり
・【龍の翼】で花粉をある程度吹き飛ばせる可能性あり
・【応急処置】は必要性が出た場合のみ使用
・【調理Lv3】【調理道具一式】は魔物の調理に使用

アウレリア・ダウストリア 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
花粉を撲滅しよう!

【行動・心情】
なんだか面白い事をしておるの!
私が手を貸してやるから光栄に思うが良いのじゃ♪(ふんぞり返り)

何やら若人が大変そうじゃのぅ
私の「厚手の布」をくれてやるから派手モブちゃん(チョウザさん)にマスクを作って貰うが良いぞ

窓を閉めて、退路を塞ぐのであろう?
ならば私が花粉共が近付かないように『権威』と『絶対王政』を駆使して近付かないようにしてやろうかの

逃げたりしたら、『鞭打ちの計』なのじゃ!(鞭を構えてニヤリと笑い)

最終的に巨乳天使ちゃん(ウェルカさん)が料理してくれるようじゃし、捕まえるなは頑張ろうかの!

料理作ってくれている間、私は若人の為に部屋の掃除でもするかの

リザルト Result

「……間取りはこうなっているのか。分かった、ありがとう」
 問題の家に向かう道中、【グレイ・ルシウス】は家人に家の間取りを聞き出していた。
 円滑に作戦を進めるためである。
 抜かりなく行えば、後々有利に働くだろう。
「下見の結果、魔物が家の外に出ている様子はない」
 家にほど近い場所で、先行して家の様子を見ていた【レダ・ハイエルラーク】が戻ってくる。
 内装は外からでは分からなかったが、入り口は石畳などではなく柔らかめの土であったという報告も共に伝える。
「ううっ……緊張してきた。でも皆と一緒ならきっと成功するよね!」
 【ルッシュ・アウラ】はぎゅっと拳を握り、自身を鼓舞する。
 そうこうしている間に、問題の家が見えてきた。
 木造住宅一階建て。
 柔らかい土の庭には、趣味なのか綺麗に整えられた花壇が点在している。
 いよいよ戦闘か、と緊張感がマックスになるルッシュ。
 しかし突如、彼の緊張を緩和する声が響く。
「面白い事をしておるの! 私が手を貸してやるから光栄に思うが良いのじゃ」
 どどーんとふんぞり返るは【アウレリア・ダウストリア】。
 うさぎのフードが愛らしい、メガネが特徴、ロリのじゃ子!
 見た目年齢10歳、御年70歳!
 かけた眼鏡は老眼鏡!
 最近近くが見えにくい!
 若人の為に一肌脱ぎたいアウレリアおばあちゃん、厚手の布を取り出した!
「何やら若人が大変そうじゃのぅ。私の厚手の布をくれてやるから派手モブちゃんにマスクを作ってはくれぬかの?」
 そう言って厚手の布は、アウレリアから【チョウザ・コナミ】へバトンのように渡された。
「理解しょーちー。なんか知んないけど花粉症? ってーのがあるんじゃん? 顔面痒くなるとか地味ーに嫌な不快だし、ザコちゃんこれでマスク仕込んどくね」
 チョウザは受け取った厚手の布をマスクにするべく、ソーイングセットから針と糸を取り出す。
 マスクを作り始めたチョウザのやや後方、ぶん、ぶんっと分厚い本を素振りする【オズワルド・アンダーソン】。
 辞書並みの分厚さを持つその本、その構えは背表紙……いや、角だ、角で当てる気だオズワルド。
「やつらの『愛の営み』で苦しむ僕の身にもなってください」
 ずびずび鼻を啜るオズワルド、彼は重度の花粉症患者のひとり。
 処方箋ももらってはいるが、改善する兆しなし。
 今日も鼻声で話している。
 花粉滅する、奴らに慈悲は無し。
 花粉に対する殺意は十分なようだ。
「あ、あの……依頼した身でなんですが、できるだけあの子たちに手荒なことはしないであげてください……」
 かわいそうなので。
 オズワルドの様子を見てか、はたまた愛らしいと言われる花粉モンスター、ポーレンアニマルの様子を思い出してか、依頼人の妻がそう願い出る。
「え? かわいそうですか?」
 驚いたように小さく呟くオズワルドの横から、依頼人を気遣うように慈愛の笑みを浮かべる【ウェルカ・ラティエンヌ】が夫婦をそっと誘導する。
「今からここは危険になりますので、離れたところにいたほうがいいですわ」
 今から、依頼主曰く愛らしい花粉たちとの対戦となる。
 倒されていく様を見せたくないと思うと同時に、邪魔されて、そのせいで依頼主が危険に陥ることの無いように、ウェルカはそっと背中を押した。

 マスクができたと声を上げるチョウザからマスクを受け取り、いざ決戦と玄関へ。
「魔物食べに来たよぉ? ついでに退治もだけど」
 普通逆ではないかと突っ込みは入らない。
 ポーレンアニマルたちにとっては物騒な言葉を吐きながら一番乗りするチョウザ。
 続いてウェルカが、玄関先でころころしている、ポーレンアニマルの姿を見る。
「さて、此方ですわね。何やら可愛らしくて、少々罪悪感を覚えはしますが」
 ウェルカはそっと鞭を構える。
 彼女たちの前に出るグレイは、家の中の窓という窓の鍵を閉めて回る。
「水場は……ここか、聞いていた通りだな」
 窓を閉めながら、グレイは風呂場の位置を確認する。
 確認し終えたグレイは、足元にぽてぽてころんと纏わりついてくる、ポメラニアンのようなポーレンアニマルを蹴り飛ばす勢いで玄関に戻った。
「窓を閉めて、退路を塞ぐのであろう? ならば私が花粉共が近付かないようにしてやろうかの」
 ツタを構えてにやりと笑うアウレリアは、近くの窓に陣取る。
「逃げたりしたら、鞭打ちの計なのじゃ!」
 アウレリアの放つ迫力に、ポーレンアニマルたちは蜘蛛の子を散らすように、『きゃー』と逃げていく。
「追っかけるの疲れっし、お掃除面倒だし、一箇所に集めるかなぁ」
 チョウザはグレイが調べた風呂場に向かう。
 途中、ころころしたポーレンアニマルを可愛がりつつ、風呂場へ誘導する。
「よーしよしよしー。マジかわいいキュートじゃん?」
 愛らしさを武器としているポーレンアニマル。
 愛でられ本領を発揮していると思っているのか、チョウザに懐いた風に纏わりつく。
 だがしかし! チョウザはポーレンアニマルの可愛らしさは趣味ではない!
 ハッタリかまし、ポーレンアニマルに事実を伝えないようにしている。
 見た目は小動物を可愛がるザコちゃん、しかし内心は……。
(ふふっ、ゴブリンとかは未だ食べ損ねてっけど、こーいうのも食べたことないしでいーよねぇ。食糧難の解決にも繋がり道筋? 不味いならそれはそれで面白い知識経験になるし)
 辟易としつつ、ポーレンアニマルの下部分、動物の方を食べる算段を付けていた。

「みんな大丈夫かな……」
 一方その頃、ルッシュは玄関の前の柔らかい土に、大きめの穴を掘っていた。
 これで玄関から転がり出てきたポーレンアニマルは一網打尽にする心積もりのようだ。
 ポーレンアニマルほどの小ささであれば容易に登ってこられないであろう穴を掘り終え、一息つく。
「……みんな、大丈夫かな」
 室内で奮闘する仲間を心配しつつ、開かれない玄関の扉を見る。
 ルッシュが心配しているみんな。
 彼らがいる屋内はというと。
「なんで彼らの生殖行為で苦しまなければいけないんですか? ねえ?」
 花粉に憎悪をたぎらせたオズワルドが、風呂場に溜められたもふも……ポーレンアニマルたちをぼっこぼっこと、本の角を使って殴っていく。
 本には『入門』と書かれて……待ってそれ参考書!
「参考書は鈍器です」
 アッ、ハイ。
 その横ではチョウザがポーレンアニマルの頭をゴツンと一撃。
 棒を振り回し、ぶん殴り、息の根を止めていく。
 中々に凄惨な、グロテスク描写になるはずのその現場。
 しかしそこはコメディ補正。
 ぶん殴られたポーレンアニマルはぶわりと背後に花を背負い――どこから出てきたのかは不明――花は花粉を撒き散らし、儚く散っていった。
「ふきゅぅ……」
 きゅーん、と切ない声を出して、目を回したようにぽてりと倒れるコツメカワウソ型のポーレンアニマル。
 花は幻影のようでどこにも見当たらなかった。
 当然、飛んだ花粉も幻影ではあるが、見るだけで心なしか目がかゆい。
「ぶっくしゅん!」
 重度花粉症患者のオズワルド、たまらずくしゃみでポーレンアニマルを吹き飛ばす。
 ころころと転がるウーパールーパー型のポーレンアニマルは、こつんと壁にぶつかり呆気なく目を回した。

「此方の魔物の生態は、どの様になっているのか、気になりますわね」
 頭は草が生えているが、下は小動物。
 動物型の魔物なのか、はたまた植物型の魔物なのか。
 小動物に植物が寄生している可能性もなきにあらず。
 無害になる可能性もないわけではない。
 捕まえて頭の上の植物を抜いてみようと思い立ったウェルカは、ポーレンアニマルの体当たり攻撃を受ける。
「え、きゃっ!」
 攻撃力の無いポーレンアニマルの攻撃。
 柴犬型のポーレンアニマルは、ぽよんと一回、二回バウンドしてその場にもふっと収まる。
 ――そう、ふわっふわのボリュームのあるウェルカの胸の谷間に。
 きょとんとした邪気の無い瞳でウェルカの顔を見上げつつ、バランスを取るためにその場でふみふみする。
 ふみょんふみょん。
 何がとは言わないが、非常にふみょんふみょん。
「えい」
 がしっ。
 好機とばかりに柴犬の頭に生える、イネをむんずと掴む。
「きゅ?」
 むんずと掴まれたイネは、ささやかな抵抗虚しくずぼっと抜かれる。
「ぎゅーっ?!」
 引っこ抜かれたイネからは僅かに花粉が飛散し……。
「へくちっ!」
 ウェルカの可愛らしいくしゃみとともに、ポーレンアニマルは目を回し、くたりとなった。
「なるほど、ポーレンアニマルは植物と動物が一体となっている魔物ですのね」
 納得した顔のウェルカは、その体にふみょんふみょんと多くのポーレンアニマルを纏わりつかせ、風呂場へと向かっていった。
 ウェルカが向かった風呂場では、尚もチョウザとオズワルドがポーレンアニマルの頭部を集中的に狙っていた。
 きゅーきゅー切ない叫びが風呂場中に木霊す。
 しかしやられっぱなしのポーレンアニマルではない。
 一匹のモルモット型ポーレンアニマルが、高くお尻を上げて突進のポーズ。
 次いでぐぐーんと頭を一気に持ち上げ、その頭部に生えたスギの木から、花粉を一気に撒き散らす。
「えっくし! えっくしょん!」
 これは堪らない。
 オズワルドは激しくくしゃみをし、咳き込む。
「うー、痒い不快じゃん?」
 チョウザは目のかゆみに、堪らずごしごしと目を擦る。
「くしゅんっ! へっくちっ!」
 ポーレンアニマルを連れてきたウェルカは巻き添えで花粉を吸い込んでしまう。
 知ってるか? 花粉はマスクを貫通する(こともある)。
 花粉攻撃に続けて、ぽーん、ころころころと可愛あざとい体当たり攻撃を仕掛けてくるポーレンアニマルたち。
 ぶちっ。
 オズワルドの、主に頭部の方から何かが切れる音がした、気がした。
 先ほどまでと同様、いや、それ以上に重い攻撃を繰り出すのは、ひとえに花粉への深い恨み故か。
「花粉のせいで果物が食べられなくて困ってる人だっているんですよ!」
 八つ当たり? いいえ正義の鉄槌です。
 オズワルドが八つ当……正義の鉄槌を下している最中、風呂場の扉が開き、グレイが勢いよく入ってくる。
 ダァンッ!
 掴んだポーレンアニマルの首を、壁に思い切り打ち付ける。
「ぷきゅっ?!」
 その勢いで、リス型のポーレンアニマルはかくりと首を垂れる。
 背後に散った花は、花粉の幻影を撒き散らす。
「小動物。愛くるしい外観。庇護欲を誘う仕草……か」
 目を回したポーレンアニマルをその場に放り、グレイは甲冑の中から呟く。
「それがどうした。魔物は殺す。皆殺しだ」
 魔物殺すべし、慈悲は無い。
 グレイの故郷を滅ぼした魔物は、彼にとってすべてが粛清対象である。
 一匹たりとも残すものか。
 忘れはしない、忘れるものか、絶対に忘れるものか……!
 魔物が全て死に絶える事以外、何も望みはしない。
 躊躇など、微塵もあるわけが、ない。
 たとえそれが愛らしい小動物であったとしても。
 彼は躊躇なく、その手に掛けられるのだろう。
 花粉症に縁がない彼は、しかしばら撒かれた花粉が目に悪いと、風呂場の水で洗い流すのだった。

 一方廊下では、レダが逃げ回るポーレンアニマルとの追いかけっこをしていた。
「ちょこまかと……っ!」
 基本的に小動物は、自分より大きい者を見ると委縮したり逃げ出したり、あるいは威嚇したりする傾向にあるという。
 一種の防衛反応だろう。
 今回はレダの翼がその大きな者の対象になったようで、レダは今、全力で逃げられている。
 ポーレンアニマルに。
 レダは自前の翼を大きく広げ、廊下を滑るように飛んでいく。
 その羽ばたきで、ポーレンアニマルが飛ばす花粉は払い除けられた。
「ぅっぐしゅっ!」
 しかし、僅かに鼻から吸い込んでしまったようで、マスクからくぐもったくしゃみが吐き出される。
「ぴきゃー!」
 ばっと一撃、鋭く伸びた龍の爪がポーレンアニマルを切り裂く。
「ぽぽぽぽぽーん」
 倒れたポーレンアニマルから謎の叫び声が漏れ、背後に花を散らして、ばたりと倒れていく。
 レダの爪から逃れたポーレンアニマルは、逃げ出そうと玄関や窓の方へ向かっていく。
 しかし、窓の前にはアウレリアがツタを構えて立っていた。
「最終的に巨乳天使ちゃんが料理してくれるようじゃし、捕まえるのは頑張ろうかの!」
 近付いてくるポーレンアニマルには、宣言通りに鞭打ちの計っ!
 ひゅんっ! しなるツタに、ポーレンアニマルは巻き込まれて放り投げられる。
 壁に、天井に、床に叩きつけられるポーレンアニマルたちは、次々と目を回していく。
 窓に近付くことさえ許されない。
 そのツタ使い、まるで女王……。
 これ以上はやめておこう、いろんなところから怒られる。
 そんなじょお……アウレリアから逃れるために、玄関へ脱兎のごとく向かっていくポーレンアニマルたち。
 だが、彼らは気が付かない。
 玄関先に向かう彼らを追い立てるレダの勢いが弱くなったこと。
 窓を守っているとはいえ、アウレリアが玄関先へは向かわないこと。
 小動物部分を食べると意気込み、うさぎ型他、美味しそうな部位を鞄に詰め込んでいるチョウザが、美味しそうなうさぎを追わないこと。
 ウェルカが体に纏わりついたポーレンアニマルたちをもふもふしながら、倒しきれない分はこっそりと玄関先へ誘導していたこと。
 風呂場に籠り、日頃の花粉への積もり積もった恨みをぶつけるオズワルドが、玄関へ向かおうとする個体をあえて見逃していること。
 魔物を滅すると息巻いているグレイが、あえて玄関に隙間を開けていたこと。
 彼らは気が付くこともなく、開いた隙間から雪崩のように外へ飛び出す。
「わぁっ! 来た、え、えっと!」
 そこにはルッシュと、彼が作った落とし穴が待ち受けていることを、ポーレンアニマルたちは知らなかった。
 空中に一瞬浮遊する感覚に目が点になった彼らは、ぽてぽてぽてーと、次々に穴の中へ落ちていく。
 後続に伝える術もなし、外が唯一安全と思い、家の中からわらわらと雪崩れてくる。
 やがてその勢いは段々と弱くなり、ついに倒しきれていなかった最後の一匹が、穴の中へぽってんと落ちた。
 穴の中でうごうごと蠢くポーレンアニマル。
 きゅるんとした目が、穴の上にある空を見上げていた。
「恨みはないけど、みんなのために倒れてねっ!」
 穴の中へ放つ、水色に輝く無属性魔法。
 下手な鉄砲もなんとやらと言うが、狙いは的確に、ポーレンアニマルたちを屠っていく。
 次々と咲かせ散っていく花の幻影(ついでに花粉)。
 それはまるで、地上の花火のようだった。
 花火はいつか終わるもの。
 地上の花火は煙(花粉)を残し、その場にいる者のくしゃみを引き起こしながら散っていった。

 かくして町外れの一軒家で起こった花粉騒動は、ここに幕引きとなった。
 ……のだが。
「廊下に花粉が残っておるの」
 アウレリアは廊下に上がり、足裏のさりさりした感覚に顔をしかめる。
「料理作ってくれている間、私は若人の為に部屋の掃除でもするかの」
 濡れた雑巾を手に、廊下を拭き始めるアウレリア。
 しかしわずかに疑問が残る。
 ……料理?
「無事に討伐が終わりましたら、後始末になりますわね。このお肉は焼いて調理、出来ると良いのですが」
 血抜きを終えたうさぎ型のポーレンアニマルを手に、手際よく捌いていくウェルカ。
 場所は庭。
 あるものは既に皮の剥ぎ取りを終えた、どこからどう見ても肉にしか見えないポーレンアニマルの成れの果て。
 ここまで来れば、もう食材としか見えず、ポーレンアニマルに情が移りかけていた依頼主たちも目を覚ます。
 そう、いくら可愛かろうと所詮魔物であり、彼らにとっては食糧でもある……!
 うさぎなどの味に期待できそうな形以外の、例えば食べるに躊躇する猫型などのポーレンアニマルは、落とし穴をそのまま使い、火葬と埋め戻しをして処理をした。
 元からポーレンアニマルを食べる気でいたチョウザは、せっせか分離させた頭部の木を集め、上部が開いた鉄製の箱に入れる。
 火を熾し(おこし)、網を置けば即席バーベキュー会場の完成である。
「準備おっけぃ完璧ぃ」
 ウェルカとルッシュがぶつ切りにした肉に串を刺す。
 チョウザはそれをどんどんと網に並べていく。
 いい匂いが辺り一面に漂い始めた。
「焼き肉のタレはない。ならば作ればいい」
 そう言ってケチャップや醤油、はちみつなどの材料を自前の泡だて器で立て始めたレダ。
 そして出来上がるはバーベキューソース。
 泡だて器がなければきっと出来なかった。
 泡だて器バンザーイ!!

 着々とバーベキューの準備が進んでいく中、離れたところに腰かける人影がふたり。
 そのうちのひとり、グレイは調理するウェルカの手元をよく観察している。
「……魔物はすべて滅ぼそうと考えている。……が、それはそれとして、魔物の遺体を有効活用すると言う。魔物には未知も多いと聞く。通常の動物と何が違うのか、学んでおいて損はない。少なくとも、これは俺にはない視点だ」
 しっかり観察しても、見れば見るほどただの肉。
 どこからどう見てもただの肉。
「では、食べに行かないのですか?」
 どこか楽し気に問いかけるオズワルド。
 彼の言葉に、グレイは首を振る。
「……いや、言っておくが俺は喰わんぞ」
 お前は? と問えば、オズワルドも首を振る。
「僕も食べませんよ。食べ物には嫌な思い出がありますし……何より花粉ですし」
「違いない」

 わいわいとした賑やかさが、一層大きくなる。
 どうやら肉が焼けたようだ。
「アウレリア様、お肉どうぞ」
 ウェルカは掃除を頑張ってくれた労いのために、アウレリアに自分の分の肉を一本渡す。
 きょとんとしたアウレリアは渡された串に目を近付け(老眼)、そして段々と目を輝かせ始めた。
「巨乳天使ちゃん……! いいやつじゃの……!」
 見た目10歳、御年70歳アウレリア。
 ご飯くれたら懐きます(多分)。
「みなさん、今日は私共の依頼を受けていただきありがとうございます。お疲れ様でした。飲み物はありませんが、乾杯をしましょう。それでは、乾杯!」
 依頼主の音頭とともに、手に持った串に齧り付く。
 じゅわっとあふれる肉汁は口の中を満たしていく。
 発見。
 花粉(型の魔物の下部分)は焼いたら美味かった。



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
花粉死すべし慈悲はない
執筆:宇波 GM


《花粉死すべし慈悲はない》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 1) 2019-03-19 02:36:52
魔物って魔王様に生み出されたんだよねぇ?ってことはゴブリンとかと同じ作者のはず?
…デザイン形状に統一感とか考えなかったのかな。多様性を感じて面白いけど。

好き勝手に棒振り回しに来たザコちゃんであった。
参加するゆーしゃ様はよろしくよしなに。

てかほんとにこの頭から植物がこんにちはしてる魔物、ぶっ潰して良さげ?
後で依頼主に恨まれたり逆恨みされたりで嫌がらせされない?追い出したらそれはそれで、別宅に被害が感染侵食しかねないけど。
ぶっ潰すにしても、お心大海原対応で追い出すにしても、どーにか効率よくこなせるといーんだけどねぇ。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 2) 2019-03-19 06:32:37
魔物退治か……魔物退治だな。ならば全滅させぬ理由もない。
見知った面々も多いが、黒幕・暗躍コース専攻。
……グレイ・ルシウスだ。魔物殺すべし。慈悲は無い。

敵は脆弱だが、最低限退路は絶ちたい。
平屋なのであれば家の玄関、あるならば裏口を塞ぎ
家屋侵入後に窓などを塞いで巡りながら道中鏖殺、が適当か。
今のところ外には出ていない様だが、外見張りを置くかも決めねばな。

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 3) 2019-03-19 16:04:43
見覚えある顔が何人かいらっしゃって僕はほっとしております。
初めましての方は初めまして、僕は賢者・導師専攻のオズワルド・アンダーソンです滅します。

容赦のよの字は必要ありません。
彼らのせいで僕に相談してくる案件がそればかりで
さらに僕もお鼻ズビズビでもう限界なんです。(ズズ…)
あ、もしマスク作れるようでしたらお願いしてもいいでしょうか。

そういえば、花粉の対策の一つに化粧をするという案がありましたね。
微々たるものかもしれませんが、花粉が顔にくっつかなくなるそうです。
…花粉飛ばしの対策くらいしか案を出せず申し訳ない。

《新入生》 ウェルカ・ラティエンヌ (No 4) 2019-03-19 16:40:38
皆様、初めまして、もしくはご機嫌良う。
王様・貴族コース専攻のウェルカ・ラティエンヌと申します。
宜しくお願い致しますわ。

何と申しますか、不思議な生物ですわね。
そもそも「動物系の魔物」なのか「植物系の魔物」なのか、何とも言えませんわ。
ただ、「どうやって増えているのか」を考えますと、「頭の[植物]が本体で、下の[動物]部分が擬態」という気がしますわね。
一応、「寄生系の魔物(下はただの動物)」という可能性も無いわけでは有りませんから、一度「頭の植物を引っこ抜いてみる」つもりですわ。
その上で、下側が「ただの動物」なら動物だけ放せば良いでしょうし、それで倒れるなら「[花粉の害]のある魔物」として対応すればよいと思いますの。

ただ、チョウザ様の仰いますとおり、「依頼人」は「可愛さにほだされて討伐出来なかった」わけですから、討伐の場面を見せたくは有りませんし、邪魔をされるかもしれませんわ。
出来れば、討伐の間、何処かに離れていていただけると有難いですわね。
「人手」等を考えますと、少々微妙かもしれませんが、上記の「確認」の後「依頼主を連れて出る」という方向で動きましょうか?

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 5) 2019-03-20 14:52:48
マスク?ザコちゃんが作んの?いーよぉ。
そん代わり、材料になるだろう【厚手の布】なり【簡易救急箱】のなかにある包帯とかは持ち込み所持ね?
ザコちゃん【ソーイングセット】持ってったらそれで両手ぱんぱかいっぱいだし。
なんだったら誰か布ちょっとザコちゃん分のマスクのもわーけて。校則的に無理無理判定なら諦めっけど。

(はたと何かに気づいたように目を丸くして)
…商家の天使様、一応頭の植物抜いてく感じ?
え、ならさならさ。その抜いた植物集めとくじゃん?植物なら燃えんじゃん?
花粉を根絶させる名もk…目的で焚き火するついでに、倒した魔物焼いて食べられるよねぇ?
ほら、兎型もいるし。兎肉美味しいし。犬も地域によっては食べるらしーし?

魔物とはいえどーせ倒して放置して命を無駄お粗末にするよか、美味し…いかは知らないけど食べた方が、ねぇ。
料理の心得なんてなしなしだけど、焼くくらいなら許されんじゃん?許されてほしい。
…ダメ?

《新入生》 ウェルカ・ラティエンヌ (No 6) 2019-03-20 17:55:30
>チョウザ様
成程、言われてみれば確かに、ですわね。

出現した場所が「民家」ですから、「魔物の死体」をそのまま放置しておくわけにも参りませんし、何らかの「後始末」は必要ですわ。
「魔物の死体の状態」が解りませんから、確実なことは言えませんが、「可能であれば食べる」というのは良いかもしれませんわ。

それでは、少々流れを変更しまして、「先に理由をつけて[家主様]を避難」→「順に頭の植物を抜いて回る」という流れで進めることにして、ご協力させていただきますわね。
一応、「基礎的な料理(1Lv修得)」は出来ますので、お入り用でしたら仰って下さいませ。

《新入生》 アウレリア・ダウストリア (No 7) 2019-03-20 21:21:05
たーのも~♪

王族・貴族コース所属、エリアルのアウレリア・ダウストリアじゃ☆
皆、よしなに頼むのじゃー!

面白そう、もといけしからん花粉退治を一緒に楽しむ…じゃなかった。
戦闘に参加して倒してやらんとのぅ。
鼻ズビらせとく訳にもいかんし!

鞭くらいなら私も腕に覚えがあるし、やっつけるなら手伝うのじゃ!
んふふふふふふ♪

…毛か…セーター編むくらいあるんかのぅ。
編み物の為の生け贄には最適じゃの!
量どんくらいあるか分からんが!

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 8) 2019-03-20 21:35:19
……食うのか。魔物を。
……まあ、止めはせんが。では殺す際も、
ある程度までは原型を留めておいた方が良さそうだな。
流石に汚物とミンチでは食欲も沸かんだろう。

植物と動物を分ける。と言う試みは今後も鑑みれば面白い。
腑分けや骨抜きから学べることも有るだろう。
とは言え初期数が多い以上、減れば逃げる危険も無いではない。
俺は先じて退路を絶つ事を優先しよう。幸い戦闘力は低いらしいしな。

《新入生》 ルッシュ・アウラ (No 9) 2019-03-20 22:51:38
初めましての方は初めまして!
僕は、賢者・導師専攻のルッシュ・アウラと申します。

僕も被害の状況と今後の影響を考えると
共存できないならやはり
滅してしまうのがいいかなって考えてます


グレイさんの言う通りまずは、逃げ出して
被害が拡大しないように退路は塞いでしまった方がいいなって
思いました。



周囲の警戒が必要なら僕が屋外で見張っておきましょうか?
発生原因を探りつつ、逃げ出してきた残党を頑張って退治したいな

あとは逃げ出しそうな出入り口の前にスコップ(大)で
大きな落とし穴を作って厚手の布で穴を隠し底に落ちたところを一網打尽に
してみるのもありかな・・?



《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 10) 2019-03-21 22:07:07
玄関なり裏口なり、分かりやすいルートに罠を仕掛けるのは有効だな。
窓など塞げばより効果が出やすい。見張りを頼めるなら是非頼む。

それと、余計な世話だがプランは明日一杯だ。忘れずにな。

《新入生》 ルッシュ・アウラ (No 11) 2019-03-22 00:03:33
グレイさん>成程!そういう場所なら有効かもしれませんね

お知らせ有難うございます!忘れないうちにプラン提出させて頂きますね。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 12) 2019-03-22 00:34:44
え、だってどんな味か興味ない?魔物だよぉ?あんなに数いるのにむしろ何で食べられなかったのか。
食料問題に一石…って程でもないけど、一砂くらいは投げ入れ投じる感じで。
ゴブリンも食べてみたいのに、なんだかんだ機会に恵まれないまいちだし。まずは手頃なのから。
味もない癖に香りだけ持て囃されて高騰する石炭みたいなきのことか、黒くて生臭くてたっかい粒とかより健全じゃん?

ミンチは肉団子に出来っからいーとして、汚れてんのは味に関わりそーだもんねぇ。
何より、血みどろへどろになるよーに倒しまくっちゃうと、後で家の中お掃除清掃すんの手間じゃん?
ザコちゃんは棒で殴るだけだからあんまそのへん考えないでいーけど。
なんだろ、お風呂場に呼び寄せ集結させてぐさぐさしとけば、血酷くても水流して終わっから楽かも?
と、思い付いたことはとりあえず言っとくザコちゃんであった。

お肉の美味しさには関わっから、お肉が美味しそうな兎とかの個体は、なるべくさっさと血抜きしといてほしーな。
出来ればだけどね。軒先にでもぶら下がりつるしとくとかして。
ま、ザコちゃんお料理は専門外だし、細かなところは心得技術のあるっぽい商家の天使様とかにおまかせ案件。

あといっこ思い考えたのはー、あの魔物達はキュート可愛さも武器的な存在なわけじゃん?
ザコちゃんの趣味とはちょっと合わないけど、それはそれとして。
だから、可愛がり愛でる様子だけ見せたら、ある程度1箇所に集め誘導出来るかもなんじゃん?
それこそお風呂場にでも集め集結しようか。扉閉めたら退路絶てるし、開ける知能もないだろーし、楽だし。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 13) 2019-03-22 00:48:40
そっから、一応リマインド再確認なんだけどぉ。
ザコちゃん【ソーイングセット】持ち込みで確定しとっから、
マスク類が需要ご入用のゆーしゃ様はザコちゃんまで【厚手の布】か【簡易救急箱】の包帯持ち込み所持ね。

ザコちゃんのレベルがたかたかだったら、んなこと言わなくっても作って配り配布出来んだけどねぇ。
残念ながらそんな二桁レベルまでは、まだまだ先々なのであった。次回以降へ続く。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 14) 2019-03-22 11:32:19
ふむ。生き物を殺す依頼を出しておいて室内は清潔に。
などと言う無理難題を突きつけられても流石に困るが、
まとめて一網打尽に出来るならば、それに越した事はない。

場所は町外れ、浴槽を完備しているほど裕福かは分からんが、
少なくとも下水の端くらいには引っ掛かっているだろう。
ただ、集めている最中が難だな。
扉を開け閉めする度に抜け出されては集めるだけで日が暮れる。
入れたら殺す。次を探す。と言う流れで、
殺害場所を固定する。遺体を集める。位が妥当なラインだろう。


《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 15) 2019-03-22 15:38:11
ありがとうございますチョウザさん、マスクの存在はありがたいです。
救急箱持ち込むので誰か厚手の布を持ってきてくださることはできますでしょうか。
花粉はどうもだめですね(ズビビ)
…クラブ活動で最初にアイテムを開発するならマスクにすると決めました。
あ、殺す側に参加しますね。ええ。お任せください。


調理ですか…うう、花粉の魔物というのもあるので
食については活動含めて僕は遠慮させてもらいますね。

もし依頼主に文句言われるようなことがあれば
重力思念でかしこさを減らして、誰かが言いくるめられたらいけるんじゃないかなと思う自分がいます。

《新入生》 アウレリア・ダウストリア (No 16) 2019-03-22 16:07:38
>厚手の布
あ、じゃあ私が厚手の布を用意しておくのじゃ。
んふふふふふふ!

>食べる話し
滅して再利用はよくよく人類が成してきた事じゃし。
食べれると分かれば狩りに行く人が増えるかもしれないじゃろ?
良き!(満面の笑み)

狩りである程度数が減ればいいんじゃがのぅ。

料理作ってくれるなら私も食べるのじゃー♪

>部屋の掃除
んー、最悪私がある程度部屋の掃除というか、後片付けくらいはしてみようかの。
なぁに、若人が頑張っておるのに私がなんもせんのも年長者としてはいかんともせんじゃろうし。

あぁいや。
私はピチピチの7(じゅっ)歳じゃけどの!(ふふーん)

《新入生》 ウェルカ・ラティエンヌ (No 17) 2019-03-22 18:48:53
了解致しましたわ。
一応、「[血抜き]等の処理」と「調理」、「終了後の清掃」については記載しておきましたわ。
あとは、「これが食べられる魔物かどうか」ですわね。

魔物も種類が豊富ですから、「食べられる個体」はいるみたいですわね。
先日、お持ちになっている方をお見かけしましたわ。

《模範生》 レダ・ハイエルラーク (No 18) 2019-03-22 21:20:35
挨拶が大幅に遅れてしまったが…レダだ。宜しくな。

食べる話になっているようだな。
私にも一枚かませてくれ。

《過去を刻みし者》 グレイ・ルシウス (No 19) 2019-03-22 21:37:27
では後始末はのじゃ娘に任せる。
調理は2名体制か。では殺害後の輸送は頼む。
恐らく鮮度まで気にしてはいられんだろうからな。

医師見習いの賢者とモブは魔物狩りだな。
こちらも最善は尽くすが、極力一ヶ所で殺すようよろしく頼む。
退路の遮断は俺と見張りが担当。と、こんなところか。