;



pnkjynp GM 

初めまして! またはお久しぶりです!
pnkjynp(ぱんくじゃんぷ)と申します!
ちなみによくある間違いだと、「punk」とか「jhnp」とかがあります(笑)

何か名前が読みづらい変なヤツがいるなーくらいだけでも、
覚えていただけましたら幸いでございます!
皆様が楽しめる学校生活を提供出来るよう、
桂木さんを筆頭に、SD陣、GM陣、クリエイター陣一同、
尽力させていただきます!

●どんな人ですか?
https://www.youtube.com/channel/UCx8TntZyyAsBeGDgCZnB1hw
(youtubeフロンティアファクトリー公式チャンネル)

上記にて、生配信を担当させていただいておりました!
(現在はじょーしゃGM、瀧音静GM他、沢山の方々が
 盛り上げてくれていますので、是非ご覧になって下さいね!)

とまぁ通常のGM業務以外にも、広報であったり、
ゲーム内部のイベントなどで動く場合が結構多いので、
そちらで皆様と関わらせていただく機会が多いかと思います!
どのような形であっても、縁したPC・PL様双方が、
「『ゆうがく』を遊んでて良かったな、楽しいな」と思っていただけるよう、
粉骨砕身で臨む覚悟でございます!

担当NPC


メッセージ


自己紹介にGMとしての説明が書けなかったのでこちらに……

●執筆ジャンル
戦闘冒険ギャグホラー、一応何でも書きます!
ただ暴力・残酷描写などは、それを描く事が重要である場合を除き、通常以上にマイルドにするかと思います。
特にPCが対人で戦う場合は、明確な殺意がなければ敵を殺しません。

●マスタリング方針
当然プラン優先で物語構築は致しますが、基本的に参加PC全員で1つの物語になると考えていますので、
プランを害さない範囲で、高確率で他PCと行動を共にさせます!
その他、PCの「その時の思考・心情」を考えてリザルト作成しますので、
プラン記載の作戦を展開したら、独自に更なる作戦行動を行うなど、全般的にアドリブ多めになるかと思います!
「単独行動を貫きたい・絶対プラン通りいきたい」という方は、
お手数ですがその旨記載の上「アドリブ度:C」でお願い致します。
※A・Bの場合も、違いを考慮致しますが、もしかすると、あんまり境がないように感じられるかもしれません。一応、
Aはオリジナル設定を付与する可能性すらありなん。
Bは既に既存orプランで明示頂いた設定深める程度にアドリブがあるかも、くらいのイメージです!

●リザルト執筆にあたって
ある程度、物語毎に「楽しませたい方向性」を用意しているので、そのあたりを推測してもらうも良し、単純にやりたい事をやる、でもOKです!
(ゲームとしての楽しさもある程度重要であると思っているので「難易度:難しい」以上は、それなりにやるべき事が多いかと思います)
ただ、あくまでpnk個人は「参加者全員で楽しんで頂く」のが、執筆における目的となります。
また、登場させるNPC(人物、動物や魔物など全て)は、それぞれの思考を持ってエピ内で動きますので、
必ずしもPC達側の行動を全て擁護するとは限りません。
場合によっては裏を取られるような描写もあるかも知れませんが、その場合は必ずどこかに理由がございます。
その他、各種数値や装備も結構参考にはしています。
とまぁ色々書きましたが、何だかんだプラン値判定は甘い方でしょう(笑) 肩の力を抜いてお気軽にどうぞ!

●プラン記載の際のお願い
「他人からの呼ばれ方」、「敬語使用の個別設定」に関しては、希望があれば添えていただけますと嬉しいです!
(最初は敬語だった人同士がエピでの交流を通して仲良くなってタメ口になる瞬間が大好きマン)
例)「敬語設定:あり」のキャラにて、
『PC「A」とは多くの冒険をしてきたので、砕けた口調で話す。』
このような提示を頂いていた場合、
【外見年齢>自身の実年齢 = 敬語】
【外見年齢≦自身の実年齢 = タメ口】
を基本に、
【対PC「A」=タメ口】
というセリフ方針を追加します!
後は「フレンド」のコンテンツにある呼び名設定機能とかを使うと良いんじゃないでしょうか!(ダイマ)
 ちなみに年齢的な話ですと、飲酒喫煙描写を希望されます際には、
 「外見年齢20歳以上で実年齢が年相応以上」か、
 「PCの自己紹介など設定欄に成人である旨を記載」して下さい!
 (pnkのエピにかかわらず、明らかな子供キャラは上記を希望されても
  反映できないため)

それ以外のプランの書き方、内容は、
・PC心情風 ・PL目線風 ・PCセリフ風 ・今日のPCの晩ご飯を赤裸々に語る風 等々、どのような形でもどうぞ!
(本当に晩ご飯しか書かれなかった場合はアドリブ全開になるかと思います(笑))

---メッセージ---
●直近公開済リザルト
≪「歴史証すグロリア」 ルート1、2、3、エピローグ≫
今更ですが、「歴史証すグロリア」のリザルトを公開致しました。
遅くなってしまって大変申し訳ございません……。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!
勢い余って9万字超えて書いてしまうくらいには楽しかったです!
※ちなみに「歴史」と書いて「せかい」と読みます。
 異世界との邂逅が、この世界に残る歴史の中でも最古の部類である
 霊玉の物語を紐解いていく……なんて意味があったり。

●現在事前公開/参加受付中エピソード
≪【水着】満(みつ)が欲しくば……≫
ゆうがくに二度目の夏がやってきた!
というわけでイベントエピソードです!
実は後の事を考えなくても良いエピを書くのはゆうがくでは初!
皆様を楽しませると共に、自分も楽しめるお話になればと思います!

●ファンレターを下さる/このページを見て下さった皆様へ
 「不定期置きチャット」
pnkが思っている事をただただ呟く通称チラシの裏です。
※あくまでpnk個人が一方的に喋る形になります。
※pnk自身SNSが苦手なので「青い鳥」上では、他のGM様がやられているような告知やFLへの空リプはしないです。(というか怖くて出来ない)
 その代わりと思って頂ければ…!

というわけで、SNS上では言っておりませんので、誤解されてるやもですが、皆様からのお手紙や応援のお言葉、いつも励みにさせて頂いております。
と同時に、pnkの不甲斐ない部分へのご指導ご鞭撻も、それに応えられていない自分でが申し訳ないと思うと共に、
「次はこういう風に頑張っていこう!」と別な形で励みとしております。
どのような形であれpnkに関わって下さり、ありがとうございます(*´ω`*)
最近は新しいGMさんが増えて下さっているのを感じます。
そして古くからゆうがくに関わって下さっているGMさんは、ご自身の物語に色がどんどん深まる花を開かせているように思います。
物語の出会いは一期一会。
同じGMとPCでも、プランのかみ合いや他PCの行動の影響で、「すごく楽しい!」/「ちょっと残念…」と感じる気持ちは様々あると思います。
勿論、お金の関わる事ですので「ちょっと残念」は無くなるよう努力すべきですし、いつでも最善を尽くすのがクリエイター達のやるべき仕事ですから、
最善でなかった場合には、悪い印象を持たれる事も仕方ないです。ですが、もし【PC】様が「このエピに参加したい」とあなたに語りかけたなら。
新人の方や、以前上手く歯車が合わなかった方のエピソードであっても、きっと次はまた違った景色が見られると思います。
SDとして、ゆうがくGM陣が全力を出せるよう努力していくこと、そしてGM陣が個性を光らせながら全力を尽くして頑張って下さっている事を、
ここに書いておきます。

※九州の方で、大雨による被害がかなり出ているようです。
 GM陣にも、恐らく他のクリエイター陣にも九州の方々はいらっしゃいます。
 PLの皆様もクリエイターの皆様も、「いのちだいじに」!
 まずはご自身とご家族様の事を第一にして下さいませ。
 落ち着いたら、また一緒にゆうがくの世界で遊びましょう!(*^_^*)

作品一覧


わたしのおもいで (EX)
pnkjynp GM
●感応  それは何気ない日常の中にいた。  学園の廊下を歩いていて。  教室の片隅で。  校庭の木の下で。  学食の長い列の最後尾にいたこともある。  とにかく、気づいてしまったその日から意識してみれば。  学園中の至る所で『それ』に出会うのである。  君はこれまでそれに気づかなかったのかも知れない。  いや。気づいていたが本能が認識を避けたのかも知れない。  それとも。  様々な幸運や不運が結果を形成しただけで、気づくかどうかの選択肢すらなかったのであろうか。  その答えはここにはない。  だが君は、いつかのタイミングで。  確かにそれに気づいたのだ。  ソワソワしながら常にこちらの様子を伺う存在に。 ●邂逅  数日後。  ストーカーがごとくつきまとうそれに嫌気がさして来た頃。 「うううおおおおお!? ……ごほん。そっちから声をかけてくれるなんて珍しいじゃーん。それで、俺に何か用ー?」  我慢の限界をむかえた君は、遂にそれへ声をかける。  するとそれは、まるで普段同じ授業を受けていると分かっていながら特に機会も無かったので話した事のないだけで、話してみれば意外と気があって気づけば友情が芽生えてそうな男子的返答を投げかけてきた。  端的に換言すれば、些かチャラい男子生徒のノリである。  実際には話かけられると思っていなかったのか、目をまたたかせ一瞬戸惑うような素振りを見せていたのは気にかかるが。 「なになに? その『学園教師に理不尽な課題を命じられてマジでダルい。萎え萎え魔法マジダール!』 みたいな表情? 折角のファーストコンタクトだもん。楽しくいこうよ~」  しかし次の瞬間にはこれである。  精神を逆なでる言い回しとコロコロ変わる表情筋。  これが彼の編み出した(?)魔法、マジダールに必要な呪文と魔法陣なのだろう。  少なくとも、大切な第一印象に『けだるさ』という状態異常を付与する点では、この魔法は名に恥じぬ性能を持ちそうだ。 「あ、怒った? 悪い悪い!」  人によっては反射的に拳を握りしめたかもしれない。だが落ち着こう。  ここで安易に繋がりを絶ってしまえば、恐らくこれからも視界の端にちらつくこれに悩まされる。  取りあえず、自身の生活リズムを乱す元凶が意思疎通が出来る存在であることは確認できた。  自分の心にゴメンねを言いながら、もう少し分析を進めてみる。  蒼白とすら言えそうな白い肌と、前髪の隙間から覗く茶色の瞳。  ニヤリとした薄ら笑いが似合う人型のシルエット。  体躯や口調、声色からも推測するに男性だろう。  そして、最も特徴的なのは――。 「どったの? だんまり? ……まさかあんさん。『リバイバル』は生命体ではなくオカルティックな怪奇現象説を唱える過激派の方だった?! こわー。音楽性の相違やわー」  彼の身体が透けているように見えること。それだけだ。 「ちょ、そんな目で見られるとなんかバツが悪いじゃん? そこはさ、『まだ何にも言っとらんやろ! こっちに喋る隙も与えんマドガトルトークされたらシルトもできんわ!』とかさ。あとは……」  これ以上漫才の練習相手を務める必要はない。  君は、彼がいつも視界に入って気になっていること。  どうして自分の周りに出没するようになったかを問いかける。 「え、ちょ、は? 気になるって、それってまさか、こここ、こくは……?!」  違います。 「あっ、はい。分かったから武器に手をかけるのはやめよ? ね?」  こうして茶番劇に打ち勝った君は、ようやくリバイバルの青年【オッドリーク・ブロームス】と建設的な会話をすることに成功した。  といっても結論からいえば、彼もまた一般的なリバイバル同様記憶が抜け落ちているらしく、肝心なことはほとんど分からなかった。  自分のことは、気楽に『オッド』と呼んでほしいこと。  彼が目覚めた時には既に学園にいたこと。  色々と校舎を回ってみたり先生達に尋ねたりしたが、知り合いに出会えなかったこと。  学園長から『期待の学園生』達がいるから相談してみると良い、という助言を受けたこと。  人見知りだから自分からは中々声がかけられなかったこと。  要点をまとめれば、大体こんなところだろうか。  一応彼が必要以上に強調するため組み込んだが、特に最後のひとつについては正直納得がいかない。  けれど思い返せば、確かに壁や柱など、いつも何かしら障害物に隠れるようにしてこちらの様子を窺っていたのは確かだ。 「というわけで。俺の記憶を取り戻すのに協力してほしいんだよね」  様々な紆余曲折があったものの、こうしてみればシンプルな依頼に思えた。  リバイバルが自身の記憶を探す。  そのための手助けというのは、魔法学園と呼ばれるここ『フトゥールム・スクエア』では日常茶飯事だ。  これを解決すれば、授業の合間にこちらを覗き込む物欲しそうな視線から逃れる事ができる。  もしくは、単純に人助けに熱意を燃やす者もいれば、ただただこの男の過去に興味を持っただけの者もいるだろう。  理由はともあれ、彼からの依頼を受けることにした君達は、後日呼び出しを受ける事となったのである。 ●回想  『皆はなんで学園に辿り着いたのかを教えてほしい』。  それはあまり大きな音ではなかった。  だが、放課後の教室で理由も分からず待機する面々の注目を集めるには十分すぎるもの。  リバイバルの青年が発した開口一番。  突然投げかけられたそれに、集まった面々は困惑の視線を交わしあう。 「って、こんな風に言ったらそりゃ困るよな。えっと、助けてほしいってお願いした身分でこんなこと言うなんて、申し訳なさで胸がはち切れそうなんだけどさ。なんてーか……俺自身、何を忘れてるのか。何をしたいのか。正直曖昧で……」  へへへと頭をかく仕草は、情けなさを感じさせた。  だが、普段のおちゃらけた雰囲気とは少し違う。  記憶がないことへの負い目だろうか。  ばつが悪そうに目を逸らす姿は、彼なりの精一杯の姿にも見受けられた。 「取りあえず、まずは俺に気づいてくれた皆の役に立つ事がしたいと思ったわけ。皆も、顔見知り同士なら互いにやりたいことを手伝いやすいだろうし、初対面なら初対面で、互いの目標とかを知れるのはいいきっかけになるっしょ? てか俺天才じゃね!?」  なるほど。  彼に対して各々の自己紹介は済んでいるであろうが、それぞれの関係性や、これまで繰り広げてきた冒険の思い出などは、当然伝わってはいないだろう。  彼のいう通り、紹介ついでにここで振り返るのは悪くはないかもしれない。  間違いなく調子に乗るので、絶対に言ってやらないが。 「勿論、学園に入る前と今で変わってるならそれも面白いだろうし、俺みたく見失っちまってんなら、ここで新しい目標を決めてもいいかもな」  こうして放課後の教室では、ささやかな懇談会の会場へと変化する。  オッドが用意した軽食や飲料を片手に、君達は何を語らうのであろうか。 ●感情  時は常に流れる水のようなもの。  岩をも砕く激流のような一瞬もあれば、穏やかで優しいせせらぎだったこともある。  それらは思い出という名の生きた証となって心に降り積もる。  思い出に善悪はない。  得たことも失ったことでさえも平等に記憶される。  ならば。  重ねた記憶はどうして価値が異なるのであろうか?  ……過ぎ去れば早かった、と感じたその先に。  どうせなら。  いつかの未来で楽しく笑い合えるように。  彩りを与えられますように。
参加人数
4 / 4 名
公開 2021-02-02
完成 2021-02-19
拝啓、見知らぬ貴方様へ (EX)
pnkjynp GM
 肌をなでる風の感覚。  耳を和ます規則的で安定した翼の羽ばたき。  一行を乗せた巨大な荷車を引く2組のグリフォン便は、真昼の空を駆けていた。 「風が気持ちいいですねぇ~」  【シルフィア・リタイナー】の小さな声が、風にのって荷車中に伝わる。  随分呑気なものだ。そう思った人もいたかもしれない。  だが、普段からゆるゆるとした雰囲気の彼女には似つかわしくない、憂いを帯びた瞳を印象的に感じた者もまた、そこにいたのかもしれない。 「あっ、到着したみたいですぅ」  シルフィアの視線の先、もう1つのグリフォン便から、こちらに手を振るのは【パルシェ・ドルティーナ】。  彼女の合図に従い、シルフィアが指示を出すと、グリフォンは乗組員に負担の無いようゆっくりと降下し始める。 「ここが今回連絡があった、『ベカジボ村』ですぅ」  眼下には、ごくありきたりな緑溢れる村の風景……ではなく、まるで戦場跡。  災害にでも見舞われたような、倒壊した家屋や焼けただれた植物が目立つ、異様な光景が広がっていた。  そこに、降り立つ一行を迎え入れるように、2人のエルフが姿を現す。 「お待ちしておりました。皆様」 「こんな辺境の村までようこそー♪ 長旅お疲れ様でーっす♪」 「あ、ルミネさん。ランテさん。こんにちはぁ~」  シルフィアはどうやらこの2人と顔見知りのようだ。  気になってそっとパルシェに尋ねると、彼女は少し驚いた表情を浮かべたが、やがて得心がいったのか、笑顔で応えてくれた。 「そっか、学園だと今みたいなマント姿じゃなくて、メイド服姿だもんね。あっちの物静かで切れ長の目をした人が【ルミネ・パロクベリル】さん。もう1人の元気でおっきな目が特徴的なのが、【ランテ・パロクベリル】さんだよ」  彼女の話によれば、2人は学園でお騒がせフェアリーとして知られている【リーエル・アムフィリム】の従者で、両者ともに学園の暗躍・黒幕コース、村人・従者コース、双方を修了認定できるだけの単位を認められた存在らしい。  よくよく思い起こせば、確かにリーエルの周りには、綺麗なライムグリーンの髪をした従者達がいつもついていた。 「それで、被害の方はどうでしたでしょうかぁ?」 「う~ん。もう片付けるのが面倒だから全部壊してゴミにしちゃえー♪ ってくらい派手にやってますねぇ!」 「ラン。もう少し言い方というものを考えて」 「ぶぅー。だって見渡す限りの焼け野原だったじゃん」 「確かに村としての機能はほぼ壊滅。けれどケガの大小はあるとはいえ、村人はほぼ命を失ってはいない。全てが消えてしまった訳ではないわ」  そしてベカジボ村に関してルミネから詳細な説明を受けるパルシェ達。  調査報告曰く、この村が襲われたのは昨日の夜。  来るハロウィンに向けて、カボチャを収穫したり、飾り付けを作ったりと、多くの村人が準備のために夜遅くまで起きていたという。 「そして宵も深まって来た頃、突如魔物の集団が大挙して襲ってきたとのことです」 「魔物自体はほとんどがジャバウォックとかゴブリンとか、大した敵じゃなかったらしいんだけど、そいつらを指揮してたのが、なななんと! 噂のお化け3人組だった! ということだそうです♪」  それはつまり……。  1人が疑問を呈すれば、ルミネは静かに頷いた。 「はい。村中の人々が、大半の記憶を失っています。それも主に家族との記憶や、友人との約束、大切にしていた物への執着など」 「でも逆に、襲われた時の怖ーいって記憶は、台所で繁殖して1年経ったカビくらいこびりついている人もいるみたいですよ! どうせなくなるなら、逆だったら良かったんですけどねー♪」 「うぅ、そんな状況だったんですかぁ……。なんとかしてあげたいですぅ」  シルフィアの言葉に、今度はランテが頷いた。 「だぁーいじょぶですよ♪ 今日は皆さんにこの村を救ってほしくて来て頂いたんですから♪」  それでは、困ったさん、いらっしゃーい!  そんなかけ声に半ば強制的に背を押されるようにして、若い男性が姿を現した。 「あの、どうも……」 「はいそれじゃあ! 思い出の一品をどうぞー♪」  まくし立てるランテに従い、男はおずおずと羊皮紙を差し出した。 「これ、私宛の手紙だと思うんです。……多分」  それは、男の家の残骸から発見されたという。  手紙には、こう書き記されていた。  拝啓、愛する旦那様へ  今日も遅くまでお仕事お疲れ様。  ハロウィンに必要なメダルの買い出しを頼まれたから、ちょっとペルルを連れて隣村まで買い物に行ってきます。  今からだと遅くなっちゃうから、1日向こうに泊まってから帰ろうと思います。  晩ご飯はお鍋にカボチャスープを作り置きしてあるから、それで食べて下さい。  あ、ペルルがジャック・オー・ランタンが欲しいって言っていました。  帰ってきた時にあったら、きっと喜ぶと思うわ。  もし疲れていなかったら、宜しくね。  マリーナより 「正直、このマリーナもペルルも、聞き覚えがない名前です。でもきっと……これは忘れちゃいけない名前だったと思うんです」  男は、顔を上げる。 「お願いします。この2人を、無事にこの村まで連れ帰ってほしいんです」  その目には、確かに何かを取り戻したいという、強い想いが宿っていた。
参加人数
8 / 8 名
公開 2019-09-16
完成 2019-10-05
【ゆうドラ】おいでませ魔法学園! (EX)
pnkjynp GM
●グランドプロローグ(おまとめサイズ版)  世界に広がる無限の魔法。  世界を照らす勇者の伝説。  それらが深く根付いた、不思議な世界『ラコン・パルション』。  この場所で人々は精霊が授ける魔法の力を駆使しながら、かつて世界征服を試みた『魔王』の残党たる魔物の脅威と戦っていた。  それはいわば、剣と魔法のファンタジーな世界。  そんな世界には、『魔法学園フトゥールム・スクエア』という施設が存在する。  そこでは明日の勇者を目指し、魔法を始めとした様々な物事を学びながら、沢山の人々が学生生活を謳歌しているのだ。  僕は将来、この世界であんな風に生きていきたい。  私は今、この世界でこんな事を成し遂げてみせる。  俺は絶対、この世界であったあの過去を克服するんだ!  様々な想い。個性豊かな精霊に愛されし種族達。  色とりどりの個性が混じり合って、今日も魔法学園の新しい1日が刻まれていく。  君達は、この世界で何を為すのだろうか。  君達は、この世界に何を望むのだろうか。  どんな形であったとしても。  世界は君の存在を歓迎する。  君がこの世界の勇者である限り。  さぁ、一緒に貴方だけの『ゆうしゃの物語』を始めよう! ●前回の「ゆうしゃのがっこ~!」は!  前回とは勇者暦2019年12月24日から25日の明け方までのお話。  時は聖夜。  学園生達は、時を司る精霊『トリミニ』達と出会い、各々の思う形で過去、今、未来に思いを馳せた。  その結果、弱まっていた精霊達は無事に力を取り戻すことに成功。  力を取り戻した未来を司るトリミニ【デェル】の力により、『ゆうしゃのがっこ~!』の世界に、不思議な出来事が起きた。  空が割れたのだ。  そこから出現するこの世の原理原則を超えた存在。  そしていつの間にか訪れていた不思議なあの人と純金像。  敵か、味方か? いや両方だ!  集え、願いが紡ぎし希有な縁の下へ! ――この交わりに参加する意志を持ったとき空想(IF)が実現する――     ●学園長(仮)と素敵な仲間達  まさに怒濤の展開を迎えた12月25日の正午。  魔法学園第一校舎『フトゥールム・パレス』内、空き教室にて。  そこに無作為に集められた学園生達がいた。  入学したばかりの者。長らく学園に住み着いている者。  既にゆうしゃとして名を上げ始めている者から、背中に羽が生えた可愛いパンダのペットまで。  種族性別お構いなしのこの状況に、集まった面々の大半は戸惑いを隠せないでいた。  そのまま暫く待っていると、唐突に教室の戸が開け放たれる。 「遅くなってすまない」  それだけ告げると、カツカツとあまり見慣れない靴の音を立てながら、その男性は真っ直ぐ教卓へと向かっていく。 「あれ、あんな独特な雰囲気のイケてるおじさん系男子いたっけ?」 「さぁ? でもうちの制服着てるし……。ちょっとパツパツだけど」 「そういえば! 私、あの人の顔と同じ純金像。購買部で売ってる人みかけたわ」  学園生達がざわつく中、目標地点に到達した彼は、その磨き上げられた白い歯を見せつけながらこう言った。 「純白の閃光(ホワイトニング・フィッシャー)!」 「うおわ!?」  突然の大きな声に、一部の生徒達はイスから転げ落ちてしまう。  だが落ち着いて見てほしい。  そこにあるのは、輝かしい歯がもたらす光の反射だけだ。 「突然驚かせてしまってすまない。だが、事態はこのサプライズの1000倍は下らない勢いで唐突に進行している」  そういうと、彼は黒板に何やら絵を描き始めた。  どうやら、先日出現した空の割れ目を描写しているらしい。  迷いのない筆は中々の出来映えだ。  仮に自分の像を造りたくなった時には、他人にイメージを間違いなく伝えられるデッサン力だろう。 「ご存じの通り、先日上空に開いた巨大な空の割れ目がある。そうだな、ここは分かりやすく呼称を『ゲート』としておこう」  書く手を止める事無く、彼は淡々と説明を続けていく。 「ゲートからは、『ナイトメア』の出現が確認されている。君達の認識レベルを超える無礼を承知で言うならば、奴らは異世界より出現する謎の侵略生命体だ」  ないとめあ?  いせかい?  不思議な言葉に困惑を浮かべる者も多かったが、『侵略』という言葉を聞いて、一部の者の態度は明らかに変化した。 「分かりやすく表現をリストラクチャーするならば、『招かれざる客』。だが、客人は彼らだけではない」  教師風の男性はチョークを置くと、振り返り学園生達を一瞥する。 「いい目をしているな。君たちなら、この程度の認識阻害など苦でないだろう。というわけで、転校生を紹介する。全員入りたまえ」  男の指示に従うようにして、女性が3人と不思議な生物が1匹。  教卓の前で一列に整列する。 「紹介しよう。向かって左側から、SALF(サルフ)でオペレーターを務めている【リリ・リヴァイヴァル】君」 「リリと呼んでください。今の状況を端的に分析するならば、異世界転移なのです。折角の食事時を邪魔されたのは心外ですが、アニメみたいな展開を経験できたので、今回は許してあげます」  ツインテールとメガネが特徴的な少女が、きっちりとした角度で一礼する。 「次は、ライセンサーの養成校に所属しつつもその報道手腕は一人前のそれを超えている、【中山・寧々美(なかやま・ねねみ)】君」 「宜しくね! あたし、こういう中世ファンタジー風なのも好きだけど、学校っていうのがなんか燃えるんだよね! 皆の知ってること、たくさん教えてほしいかな!」  次に紹介された少女は元気が溢れているというのが適切だろう。  この人当たりの良さが、他者に彼女と話したいと思わせるのかもしれない。 「次だ。SALFに所属するライセンサー、【三保・カンナ(みほ・かんな)】君。一流のゼルグナイトと聞いている」 「そんな、私なんてまだまだ……! あっ、え、えっと宜しくね。ナイトメアの脅威からは、私が皆を護ってみせるから!」 「そして、この兎にも似た姿で浮遊しているのは、【ハナビ】君だ」 「初めましてです! ハナビはハナビなのですっ! これからどんな冒険ができるかワクワクなのです!」  可愛らしい声でふわふわと上下する様に、一部の生徒から黄色い歓声が上がった。 「紹介が遅くなったが、最後は私【レイ・フィッシャー】だ。入学して早々ではあるが、学園長【メメ・メメル】殿からの依頼により、学園長代理の任に着くこととなった。宜しく頼む」  突然の学園長変更宣言。  そして押し寄せる美少女+激カワマスコット。  押し寄せる情報の波に攫われていく者は後を絶たない状況となっていた。 「君達の気持ちは既に把握している。だが、我々もこの世界について知らない事が多い。どうだろう? 互いの利益にコミットするために、まずは情報交換から始めようじゃないか」  こうして、風雲急を告げる事態が勃発した。  今回君達に課されるミッションは、この世界とあちらの世界の情報を繋ぐ事だ。  検討を祈る。
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-02-17
完成 2020-03-13
【ゆうドラ】I・M・D (EX)
pnkjynp GM
●学校と言えば怪談。基地と言えば秘密の地下室。  空が割れ、突然異世界からの来訪者が訪れてからというもの、不思議な出来事は絶えない。  突然空から女の子が! ……ではなく、謎の固形物が降り注いだり、ナイトメアと呼ばれる不思議生物が現れることも幾度かあった。  そうした漂流物や消滅する前の残骸を回収し研究するのが、ここ最近の【ラビーリャ・シェムエリヤ】の役目であった。  『IMD……イマジナリードライブ?』  未知の技術に触れる度、彼女の中で学園長代理と話した会話が反芻される。 『そう。細分化すれば様々な分類があるが、一義的に纏めるならば『エネルギーを増幅、操作するための装置』の総称だ』 「IMD……IMD……いいかげんにメメたんどうにかしないと?」  未知との接触にラビーリャが混乱し始めた頃、彼女のいた部屋に他の学園職員が飛び込んで来る。 「ラビーリャさん! 大変です! 学園の地下から怨念みたいな変な声が!?」 「……声?」 「そうなんです! イマジナリーなんたらがどうとかって……」 「……ん。……分かりました。今、いきます」  そうして数十分。  道中で出くわした学園生達を引き連れて、ラビーリャが辿り着いたのは、第一校舎の地下に広がる、不思議な空間。 「ここは……地下ダンジョン。学園内に幾つかあるって、メメたん先生が言ってました」  ある学園生の質問に、彼女が答える。 「確かここには、不思議な『きょうだい』が置いてあるって……」  ダンジョンの入口まで辿りつき、設置されている看板を見つめラビーリャが呟く。  その看板には『☆メメたん☆のおもちゃ箱』という名前らしき巨大な文字と、その下に注意書きが書いてあった。 『侵入する者、クリアするまで脱出させないぞ☆ 敗北した者はこのダンジョンの肥やしとなるのだ! そのかわり、1人でも脱出できた者が現れれば、全員を解放してやるぞ~♪』  なんだこの不吉な文章は。  一行の中に少々悪寒が漂い始めるが、ラビーリャはそれを解しているのかいないのか、看板横に設置されていた『ダンジョン☆世界地図』と書かれた羊皮紙を広げる。 「……仲間と共にダンジョンを攻略して俺達の機体を手に入れよう……?」  悪寒が加速する。  だが、それに突っ込むよりも先に、その時不思議な事が起こった! 『……。生……学園……生……学園生の諸君……。私だ……イ……ッシャー……。は……今……ダンジョ……ッシャー……皆……クリア……救出…………』  突如として頭の中に響く声! 普通に鬱陶しい。  だが、ここでそれを捨て置く手厳しい勇者は少ないはずだ。  メメルの残した謎のダンジョン、そこに待ち受ける真実とは!? ---文字数不足のためここから解説になります--- グロリアスドライヴ様で好評運用中の『ハントシステム』をモチーフにしたエピソードです。(ゆうがく用のアレンジが入っています) 普段以上にシステマティックに判定しますが、その分コラボ限定なカオス空間でもあるので、自分でもどうなるか分かりません。 ゆうがくの戦闘システムに触れてもらう意図もありますので、少々メタ的な表現が生じます。予めご了承下さい。 今回のみ、通常のエピソードルールの他に下記のルールで判定します。 (競合時は下記ルール優先) <ハントシステムとは?> どのマス目に移動するかだけを入力するだけで結果が判定されるwebゲームです。 ですので、皆様はどのマスに移動するかを考えれば最低限OKです。 但し、今回は通常のエピソードコンテンツとして扱うので、プラン部分も判定に加味されます。 (なので、厳密に数値だけを用いた判定にはなりません) プランで移動ルートを指定する際には、「↓→→↑」などでも、「下に1マス、その後右に2マス」などでも構いません。 但し、移動した結果マスのイベントで戻される場合等を除いて、一度通った道を戻ることは基本的にはできません。 <マップ> 以下参照(8×8)。 普通の土と岩壁に囲まれた学園の地下ダンジョンです。 多少地面を砕いたりはできますがどんなに激しく戦っても崩壊はしません。 ※特殊な技術により、マンティスなどの攻撃を実際に体感できる形になります。  ABCDEFGH 1□□□□□□□□ 2□□□□□□□□ 3■□□□□□□□ 4□□□□□□□□ 5□□□□□□□□ 6□□□□□□□□ 7□□□□□□□□ 8□□□□□□□□ 場所は『縦列の横列』で表わします。 例)「A3」は「左から1行目の上から3番目」のマスを示します。 (黒い四角の部分) <目標> マップ上にいる敵を全滅させる or GOALに誰か1人が辿りつければ成功。 両方達成で大成功。 <ルール> ●移動できる距離は、キャラクターの『移動速度×1』マス  ※移動速度=「自分のすばやさ×0.2」(小数切り捨て) ●移動順番は特に規定なし。指定があればそれに乗っ取って、指定がなければアドリブで描写します。  敵NPCは移動しません。 ●1つのマスの上に同時に存在できるPCは3名まで。  敵NPC、障害物のマスにはPC存在不可。  同じマス上のPCは、同時に行動を行う事ができます。  敵NPCマスは、撃破後通過可能。 ●敵との戦闘は、射程内に入った時点で可能。  例)  射程0、1=隣接マスにいる場合のみ  射程2  =対象との間に1マス空きがあっても攻撃可能。       (縦横斜め問わず)        射程を満たしていれば、射程以下の距離でも攻撃可能。 ●PC側が攻撃を行う意志を示した時点で戦闘判定開始。  ※敵のすばやさが勝っていた場合、敵の攻撃から始まる場合あり。  ※1ターンで強制的に先攻と後攻が入れ替わる。  ※戦闘は1ラウンドで一度終了。その後再度戦闘をするかどうかはPCの選択となる。   →たいりょく○割以下は撤退。などプランで指定して下さい。    指定なければこちらでアドリブにて対応致します。 ●イベントマスは通過時に効果発生。  各PC1回のみ通過可能。  (PC1がイベントマス1を踏んだ場合、PC1はもう踏めないが、PC2がイベントマス1を踏む事は可能) ●その他プランで意図が掴みきれなかった場合や、上記ルールに反する指定があった場合は、GM判断で各種行動に変更を加えます。 <初期配置> 【PC】 登場人物欄左上を1番とし、右上を2番、左列上から2番目を3番……として番号を振っていきます。 ・PC1:A1 ・PC2:B7 ・PC3:G6 ・PC4:H4 ・PC5:D3 ・PC6:D8 ・PC7:B4 ・PC8:E6 【敵】  下記のステータスを元に判定します。  敵側の攻撃は、技能内どれかで固定です。  プラン値(結果をある程度選べる乱数)によっては、このステータス状態ではないところからスタートする場合があります。 ・絶対無双メメたん☆ゴーレム(C4) HP:450 つよさ:30 がんじょう:30 かしこさ:30 がまん:30 すばやさ:20 きよう:20 属性:雷 ※物理攻撃は無属性 技能:メメットパンチ(射程3、技能値たいりょく25、物理攻撃)    メメルンビーム(射程10、技能値たいりょく15、魔法攻撃)    けんじゃのいちげき(射程2、技能値たいりょく40、複合攻撃) ・モッタイナイオバケver干しブドウ(B2、C7、G3) HP:30 つよさ:5 がんじょう:10 かしこさ:5 がまん:40 すばやさ:30 きよう:5 属性:風(B2)闇(C7)光(G3) ※物理攻撃は無属性 技能:体当たり(射程1、技能値たいりょく5、物理攻撃)    ブルーベリースプラッシュ(射程2、技能値きりょく10、魔法攻撃)
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-02-22
完成 2020-03-21
【水着】満(みつ)が欲しくば…… (ショート)
pnkjynp GM
「ミーンミンミンミン……」  夏の風物詩、生後1時間でその生涯を終えるというセミ科の原生生物。  『ヒトトキトモシビ』が、遺言にほど近い産声を上げる。  ここは魔法学園フトゥールム・スクエア内のとある森の中。  そして彼らが生息地として密集している森でもある。  彼らの魂の叫びはオーケストラとなって耳に命の主張をたたきつける。  些か喧噪が過ぎる。いや、少々耳障りがひどい。というかうるさい。  だが、そんな騒音にも夏の暑さにも負けず、今日も『授業』という名目の下で。  学園生達は汗水を垂らしながら行軍していた。  その集団の先頭には、1人の教師。  それに続く生徒達は、まるで人形のように言葉も発さず彼の後に続いている。  セミの喧噪と夏の暑さ、そしてヒトが森を歩く微かな音が入り交じるこの空間は。  それら以外に不純のない、ある種の静寂と安寧に満ちていた。  しかし、その平穏は長くは続かない。 「あちぃな……」  誰かが言った。  言ってしまった。 「これは『がまん』を高めるための『欲求掌握学』! 泣き言をいうとは何事か!」  教師の喝が飛ぶ。  ついでに教師の光輝く頭皮から澄んだ液体も弾け飛んだ。  それは先程つい口を滑らせてしまった男子生徒の額を直撃し……。 「……水。みず………ミズ!」  彼に天啓をもたらす事となる。 ◆◆◆ 「つーわけで、ボーイズ&ガールズぅ~! オレっちと一緒に、水着でシャゲナベイベーしない?」  課題のバツとして髪の毛を失った賢者・導師コースの男子生徒【トレット・リンバース】が広場でそんな事を叫び始める。  一体どうしたの? と心配する声もあれば。  あいつ、遂に輝きの向こう側へいっちまったか……。と諦めを示す声もあれば。  理解を超えた存在として、逆に認識の外へ彼を追いやるものもいた。  だが、興味本位かたまたまか。『あなた』はその声に耳を傾けてしまった。 「……オレ、理解っちまったんだ。欲求を掌握するにはどうすれば良いか。簡単な話だぜ。満たされれりゃいいんだよっ!」  瞳の中に星の光を宿したような真っ直ぐな瞳を輝かせながら、彼は発言を続ける。 「おおっと。だがこれでもオレは賢者導師を専攻する端くれだ。勿論人には迷惑をかけやしねぇ。あくまで己の中のパトスを燃やすだけさ」  そうして大体5分ほどの熱弁を聴いた後、観衆の1人が彼に問いかける。 「で、具体的にはどうやって欲求を満たすの? というかあなたの欲求って何?」 「水……だよ……」 「水?」 「水着、だよおぉ~~~!!」  広場に、ヒトトキトモシビが驚きで数匹絶命してしまいそうな響きが轟いた。 「俺達の燃え上がる青春の情熱を、水着にぶつけちまおうぜ!!!」 ◆◆◆  それから数日。  トレットと彼に誘われた学園生数名は、海を観光の名所とする街、『アルチェ』の『フィオレモール』を訪れていた。 「知ってるとは思うが、ここフィオレモールはアルチェの街の入口から、遊泳用に解放されている『サビア・ビーチ』までを結ぶ大通りだ」  夏のシーズン。今が正に稼ぎ時という事もあって、商人や観光客、街の住民などがごった返しているこの大通り。  モールの名にふさわしく、通り沿いには至る所に露天や商店が建ち並んでいた。  販売しているものは、装飾品や食べ物などだけでなく、水着や浮き輪といった、遊泳に必要な商品も多数揃っている。 「まぁ、既製品でよければこの大通りで大抵の水着は買えるだろうぜ。学園の購買部でも扱っていないような、ここだけ限定の品々もあるかも知れねぇな!」  トレットは振り返ると、口元に指をかけ静かに囁く。 「おおっと、間違っても裏通りに入るなよ? この街は観光都市だからな。突然魔物に襲われる的な身の危険はねぇが、美男美女のあんたらみたいなピチピチの学園生は上手い魚だ」  彼は声を震わせながら静かに告げる。 「知らねぇうちに店に連れ込まれてあやしげな水着を試着させられるかも知れねぇからなぁ……?」 ◆◆◆  フィオレモールを散策すると言った数名と別れを告げ、トレットと残った一行は、観光地区から反転。  現アルチェの領主【ダンテ・ミルトニア】が整備を行う前の、古くからの町並みが残される漁業地区へと赴いていた。 「こっちには何があるのかって? ああ、『星の洞窟』っていうところがあるんだけどよ。あそこは魔物が出る事もあるから地元住民もあんまり近づかなくてよ」  そんな所に行って大丈夫なのか? その問いにトレットは笑顔で応える。 「ああ。魔物が住み着いてんのは基本洞窟の中。そこまで近づき過ぎなかったり、近くにある海の奥へいかなきゃ問題ねぇさ」  それより大事なことが別にある。そういうトレットの目に真剣味が増した。 「洞窟の手前には、衣類の素材になるような原生生物が結構いてよ!」  彼曰く、地元民も繁殖のし過ぎに困っている節があり、事前に申請を出しておいたので、一狩りしても問題はないらしい。 「勿論、命は命。狩り過ぎ注意で頼むぜ? 後、魔物と接触しそうな危険地域には行かねぇこと。これでもオレは引率担当になるわけだ。言うこと聞かなきゃ、分かるよなぁ?」  トレットはそれまでの課題で鍛え上げた筋肉を隆起させる。  余談だが、およそ賢者や導師に相応しくないそれは、主に拳を振るう課題で戦果を上げているらしい。 「回収した素材は、オレの知り合いの店でオリジナルの水着に加工してやんよ。そいつは水着中毒でな。素材があればお代は要らねぇそうだ」  それから暫く。  星の洞窟がほど近い海辺に辿り着いた一行の目の前には、多種多様な生命の息吹が広がっていた。 「さぁ、水着作りの始まりだぜ!」  声高に叫ぶ彼に、誰かが問うた。  何故そこまで水着に拘るのか? 「決まってんだろ。……詰まってんだよ。水をしたらせながら、アオハル色に煌めく一時の情熱(トモシビ)がよ」  こうして、トレットと過ごす若干暑苦しい夏の一日が幕を開けた。
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-07-06
完成 2020-07-25
死に臨むもの (EX)
pnkjynp GM
●生を摘むもの  その日【ノエル・アトキンズ】は修道院を訪れていた。  腰まで伸びた、赤い真っすぐな髪。黒いタイトなドレス。名前は男のものに違いないが、どこか物憂げに翠緑の目をすがめる彼女は、一見すると華奢な、美しい女性だった。  到底、百戦錬磨の学園教師に見えはしない。  辺りの墓石はぱっくりと斬り開かれ、烏や野犬の死骸が散らばっている。 「……ああ、やはりな」  ノエルは低い声で呟き立ち上がった。 「先生……」  修道女が不安げにノエルを見つめる。 「すぐに人払いを。この修道院に誰も近づけてはならない」 「……やはり、魔物の仕業でしょうか。人の悪戯、ではなくて……」 「人間だとして、どちみち暴徒だ。墓石を大鎌で斬り倒し、むやみに魔法を使うような連中を、修道院が迎え撃つ必要もあるまいよ」  ノエルは修道女に向かって薄く笑った。 「日が暮れる頃までに、お嬢さんも逃げるんだよ」  その姿はどこか、楽しげにも見えた。 ●命を賭して  原始生命理論。  長ったらしく埃臭い本講義が『何を』取り扱っているのか、はっきりと答えられる生徒はほとんどいないだろう。 「それが言えるようになれば、教祖・聖職者として私から教えてやれることはない」  ときっぱり言い放つノエルの、人を煙に巻くような講義は、それでも不思議と生徒が途絶えることはない。  なぜ生きるのか。  それはすなわち、なぜ死ぬのかに直結する。 「死に方はすなわち生き方。死はすべて生に起因する」  それをすべての原理とした本講義が生徒に選ばれる理由は、他ならない『課題活動』の独特さによる。  ノエルいわく。 「魔物が死ぬ様を、つぶさに観察し、死と対面すること。すべての死と、死に至るまでの生命へ敬意を払い、送ること」  課外活動に出たあとの1万文字近いレポート課題は苦痛だが、それでも死と向き合って得られるものは大きいと、コアな人気を誇っている。  その日、授業の最後に告げる課題にノエルが選んだのは、アーベント修道院の怪奇事件だった。  怪奇事件の謎を探り、その元凶を始末し、7500文字のレポートを提出せよ。  それが課外授業の内容だ。 「おそらく『グレイブスナッチ』だろう」  とノエルは言った。 「奴らは知能も高い。狡猾で、好戦的で、相手の命を摘むことだけを目的としている。十分な戦闘経験が無い生徒にはあまり勧めない」  そう告げつつ、ノエルはにやりと唇をゆがませる。 「……もっとも、ここで『死に瀕する』体験をしてみたいというのなら、私は諸君らの蛮勇を止めやしない。最低限の手助けはするが、諸君らの探究心は称賛に値するものだからね」  授業の終了をつげる鐘がなる。 「諸君らの命に、学びが溢れんことを」  約束の言葉を口にして、ノエルは教室を後にした。
参加人数
6 / 8 名
公開 2020-07-20
完成 2020-10-13
夏の夜空に歌を響かせ (EX)
pnkjynp GM
●Scat Catsを探せ! 間をつなげ!  ヴェリエーダ街の夏祭りを楽しむ勇者候補生たちの前に、その男はバタバタと現れた。  丸メガネにくしゃくしゃのくせっ毛。身なりは良いが着こなしはどこか崩れている。大人には違いないが、どこか子どもに似た無邪気さの抜けない表情。 「あ、君! 確かうちの生徒だよね!?」  勇者候補生によっては、この男が学園教師の【ジョニー・ラッセル】だと気が付いただろう。 「良かった……! 助けが必要なんだ……!」  と、ジョニーは夏祭りを楽しむ勇者候補生たちに頼み込んだ。  曰く。 「今日の夏祭りのステージに立つ予定だった『Scat Cats』がいなくなっちゃったんだ! 君には、彼らを探すか、ステージに立って間をつなぐかしてほしい!」   随分な無茶振りに、勇者候補生たちは顔を見合わせた。 「先生、Scat Catsって……?」  不思議そうに尋ねる勇者候補生の一人に、ジョニーは、 「えっ、知らないの!?」  と目を丸くする。 「ケットシー4匹のカルテットだよ! 【ビック・ジョーンズ】って君たち知らない? 有名な楽団長なんだけど、その人がプロデュースしたジャズ界期待の新進気鋭バンドで……」  勇者候補生によっては、その曲を聞いたことがあるかもしれない。  ピアノ、ベース、ドラム、ボーカルで編成されたケットシー4匹のジャズグループ、Scat Cats。  もふもふと愛くるしい姿は女性に人気を博する一方、実力は本物であり、猫らしい自由奔放な演奏はジャズファンの心をつかんで離さないという。 「その4匹が、演奏の直前、どこかに消えちゃったんだ! 演奏を放り投げてどこかにいくような子たちじゃない……なにかトラブルに巻き込まれたのか、誘拐されたのかも……」  そう話すジョニーのそばに、関係者らしい男が息を切らせて駆け寄ってくる。 「ジョニー先生……! これ!」  関係者が手渡したのは、乱暴な筆跡の脅迫文だった。 「……猫どもは預かった。命が惜しければ、秘蔵の名酒『リルド・エーダ・ガッティ』をもって森の奥にある広場までこい……バング盗賊団」 「バング盗賊団か……厄介だな……」  居合わせた勇者候補生の一人は、関係者を見遣った。  最高級の蒸留酒、リルド・エーダ・ガッティ。換金すれば、遊んで暮らすには事欠かない。 「このお酒は出せないの?」 「リルド・エーダ・ガッティは王族に奉納する特別なお酒です。たとえこの場をしのいだとしても、この脅迫に屈してしまえばまた同じようなことが起きるでしょう。……絶対に、本物のリルド・エーダ・ガッティを持っていくことはできません」  ジョニーは勇者候補生たちをじっと見つめた。 「これを、課外活動とする。二組に分かれて活動してほしい」  勇者候補生たちは神妙に頷いた。 「一組は、舞台に上がって祭りにきたお客さんたちにScat Cats不在をさとられないようパフォーマンスを披露すること。もう一組は、この犯人たちの根城に踏み込んで、見事Scat Catsを奪還すること」  ジョニーの目は、怒りをたたえていた。 「せっかくのお祭りを、台無しにしようとするなんて。絶対に許しちゃいけないよ」
参加人数
8 / 8 名
公開 2020-08-02
完成 2020-12-17

リンク


サンプル


 サンプル! サンプル! 皆サンプル!
 1文字書ければそれがサンプル! 熱いビート!
 願いと想いをそこにこめ、今日も一心不乱にサンプルサンプル!
 (お前は何を言っているのだ? と思われた貴方、正解です!)