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ダイナソー GM 

始めまして。
ダイナソーと申します。
バトル描写多めのファンタジーをよく書いている者です。
右も左も分からない新米ですが、どうぞよろしくお願いします。

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ギンザーン大雪合戦 (ショート)
ダイナソー GM
 今年も冬がやって来た。  そして奴らもやって来る。 「皆は『ギンザーン』大雪合戦は知っているかな?」  基礎訓練B(たいじゅつしなん)の授業の終わり。  ヒューマンの若い女性、【ユキ】はこの学園の先生だ。 ユキ先生は冬の校庭に集まる学生たちに声をかける。 「ギンザーン大雪合戦! 大事なことなので二回言いました!」 「先生、雪合戦はわかりますがギンザーンってなんですか?」  一人の学生の質問にユキ先生は顔を輝かす。 「よくぞ聞いてくれました! ギンザーンは火山の観光地『トルミン』最大の温泉街です! そして先生の地元なの!」  ユキ先生の地元、トルミンは有名な観光地であり、季節ごとにも様々なイベントがおこなわれている。  しかしギンザーン大雪合戦なんてイベントはあっただろうか?  そのことをまた別の生徒が発言し、ユキ先生はあからさまな落ち込んだ様子を見せる。 「まあ、非公式のイベントだからね……危険だし」  危険というのはどういうことだと更に別の学生が手を挙げる。 「あ、危険と言っても死ぬようなことは無いよ。まあ、詳細は明日にでも学園の掲示板に貼っておくから、興味のある人は見て行ってね」  そうしてその日の授業は終了。  翌日。  ユキ先生の言っていた通り、学園の掲示板に大雪合戦の情報が書かれた張り紙が乗せられた。  だが、その掲示板の前の人影はまばらだ。  それもそうだろう、わざわざ危険な雪合戦と聞いて近寄る人は物好きなのだろう。  しかし、そんな物好きの学生は張り紙を確認する。  まず張り紙には大きな文字の見出しが書かれていて。 「勇者求む! ギンザーン大雪合戦! 自警団と一緒に『ジャックフロスト』たちからギンザーンを守ろう!」  そんな見出しだ。  場所はギンザーン温泉街のはずれ、八体のジャックフロストと雪合戦で勝負するという内容。  ジャックフロストは妖精族によく似た冬の魔物だ。  ただ、魔物を討伐ではなく、雪合戦で勝負すると言うのが学生の頭に引っ掛かる。  ともかく学生は情報の続きを見る。 「ジャックフロストは妖精族の特性を真似て作られた魔物で、ピクシーから派生したものです。季節限定の魔物で、冬が近くなると霜を運んで人々に冬の到来を知らせます」  この魔物はあまり凶暴なものでも無く、学生なら大した脅威と言うわけでもない。  情報を見る限りそこまでたいしたこともしていない様に見えた。 「魔物たちは温泉街のはずれを通る人たちに雪玉をぶつけてきます」  だが。 「しかし、魔物たちは毎年八体で徒党を組み、一斉に人へ雪玉をぶつけてきます。雪合戦の歴史の中で氷結状態になった人もいました」  学生は読み続ける。 「そもそも、魔物たちがギンザーンの人たちに雪玉を投げつけ始めたのは十年前にさかのぼります。そして人々が困っていたところに自警団の面々が立ち上がり、雪玉を投げ返して見事魔物たちを追い払ったのがギンザーン大雪合戦の始まりです」  なるほどと学生は思う。  この雪合戦は十年前から続いている。  歴史ある戦いだ。 「自警団の活躍によって魔物たちは追い返されました。しかしそれからも毎年魔物たちはやってきて、自警団と魔物たちが毎年雪玉をぶつけあっているうちに見物人も集まって、それはちょっとしたお祭りとなりました。それが今のギンザーン大雪合戦であり、人と魔物の危険な雪合戦は観光収入の一つとなっているわけです」  魔物を完全に退治しないのは観光収入を潰さない為。  これはとても例外的な事ではあるが、魔物の襲撃を観光の収入源にしてしまうとは、この地の人々の商魂はたくましい。 「そして今年も魔物たちがやってきたのですが、今年は自警団がそちらに手を回すことができず、こうして学生の手を借りたいと、学園に課題として魔物との雪合戦が依頼されているわけです。魔物たちは雪玉をぶつけられれば去っていきますから、思う存分雪玉をぶつけてあげてください!」  魔物たちは一、二度雪玉をぶつけられれば逃げ帰っていくという事だ。  また、一時間も相手をし続けてやれば、満足して帰っていくだろうとも書いてある。  そして報酬は。 「報酬については少ないですがギンザーン温泉街から支払われます、また特別に先生が温泉に連れて行くことを約束します! 温泉に入れば雪合戦の疲れも癒える事でしょう。ただし、のぞき見は先生、許しませんからね!」  ユキ先生も言っていたがギンザーンは温泉街だ。  また、その温泉はなかなかの名湯ということで。  それは結構良い報酬なのかもしれない。 「雪合戦は三日後。現地集合。最後に現場の状態と魔物の特徴について記載しておきます」  最後に情報が羅列される。  合戦の舞台は温泉街のはずれ。  始まりは昼の少し前。  雪の降りしきる草原であり、ジャックフロストたちの得意地形。  魔物たちはすでにいくつもの高さ一メートルほどの雪の壁を築いている。  それは横二メートルほどに伸び、いくつも築かれ、さながらバリケードのようになっている。  そんなバリケードを固めた魔物、ジャックフロストは八十センチから一メートルほどの妖精族に似た魔物であり、霜を運ぶ。 得意な属性は風であり、苦手な属性は火である。  また、魔物の飛ばしてくる冷気による氷結の状態異常へ注意が必要。  そしてこれは特例ですが、観光収入を失わない為、くれぐれも魔物を討伐してしまわない様に。 以上!  それらの情報を確認し、その場から学生は立ち去る。  そして当日の朝! 「ごめーん。先生風邪ひいちゃったよー。戦力としては期待しないでね。でも、君達のことは旅館から応援してるから!」  ユキ先生は風邪でダウン。  それでも、温泉街の宿まではやって来てくれて、宿で学生たちを待っているとのことだ。  魔物達の待ち構える合戦場には学生たちだけで向かうことになる。  果たして学生たちは無事に魔物たちを追い払えるか。  魔物たちが待ち構え、遠巻きに出店や見物人たちが集まり、戦いの時刻が迫る。  そして。  いよいよ開戦の時だ。
参加人数
6 / 8 名
公開 2019-02-24
完成 2019-03-13

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