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カープクライムと仲良くなろう!!


ストーリー Story

『春半ばの空の下、体に穴開きし魚、空を埋め尽くさんとばかりに現る。
 其の魚小さな村、襲いけり。建物、食い物、村民全て腹に入れ飛び去ろうとす。
 突如少年現る。
 鱗のような装備『ヨロイカブト』を身にまとい、桜の彫刻淡き桃色美しき剣『カタナ』を腰にさす。
 少年、其の剣を抜き魚倒しけり。村救う。
 この日境にこの村では五月五日は少年の日『子供の日』となった。
 その日の宴に世にも珍しき料理、振舞われる。
 米に味を付け竹の皮で巻いて蒸す。
 名を『チマキ』と言ふ。
 甘味には餅を葉で包んだ『カシワモチ』が振舞われた。
 これより子供の日には『ヨロイカブト』『カタナ』を飾り『チマキ』『カシワモチ』を縁起物として食すようになった』
 分厚い第一世界古文書をパタンと閉じて教壇の上に立っているのはフトゥールム・スクエア考古学担当【センジンス・ゲー】先生だ。
 銀髪、碧眼、どこか謎めいた性格の『ゲー先生』の愛称で親しまれる彼女の授業はとても興味深いものだが非常に眠くなると定評がある。
 そもそも彼女自身が授業中に寝ていることがあるので色々な意味で人気がある。
「さーて、そろそろ子供の日だねぇ。ちなみに古文書の日以来空飛ぶ魚の目撃情報は出ていないのよねぇ。見てみたいわー。おや、今日の授業はここまで。ばいばーい」
 とゲー先生は教室を後にした。
 次の日。
 考古学の授業中クラスで寝ていると。
「ゲーたん! 空飛ぶ魚、現れたみたい!」
 と、声を弾ませながら【メメ・メメル】学園長が入ってくる。
「な、なんですってぇ!? 歴史的快挙よ! 今すぐにでも行かなくちゃー!」
 ゲー先生は飛び起き、瞬く間に外に走り出した。
 メメ先生はついていくべきか、生徒を見ているかの間で揺れていた。
 それを察した生徒の一人が立ち上がるのを見て生徒全員がメメ先生の元へと集まる。
「皆、行くよ!」
 メメ先生は時折後ろを振り向きながら走って校庭に向かった。
 校庭には何匹もの魚が降りて来ている。
「うおぉぉぉぉぉ!」
 ゲー先生の声が聞こえてくる。
 皆で向かうと彼女は魚の腹に入れられてしまっていた。
「ゲーたん? 今行くぞ!」
「ちょっと待ってねぇ、学園長。こいつらの名前は『カープクライム』ってんだぁー。普段は温厚な魔物なんだがなぁー……。よーし、こいつらに『チマキ』を作ってあげてみようか。もしかしたら仲良くなれるかもしれないねぇ! 学園長と半分くらいの生徒は厨房で古文書から作り方を探してちょーだい。残りの人間は足りない材料を取りに行ってねぇ。いいかい? まずは『タケノコ』! 次に『シイタケ』! そして『兄弟の息子星ソース』! 以上だよぉー! 兄弟の息子星ソースは樹液として木から採集できるからねぇー」
 ゲー先生は一息ついて。
「いい? 『タケノコ』は地面の中のものを使うよぉ。つまり、よーく探さないと見つからないからね。次に『シイタケ』は毒キノコに十分注意してね。最後に『兄弟の息子星ソース』によく似た『鵜星ソース』というものもあるから、よく見分けるんだよぉ。違いは兄弟の息子星ソースの木には貝の柄、鵜星ソースには鳥の柄が入っているからねぇ! そうだ、君達にこれを渡しておくねぇー! 私特製の『木にぶっ刺して蛇口をひねると樹液が取れる魔法道具』だよぉー! じゃあ行ってらっしゃーい! 近くの森でいいと思うから、魔物もいないはずだから安心してねぇー!」
 と言って生徒を送り出した。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2019-05-11

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2019-05-21

登場人物 3/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。

解説 Explan

 美味しいチマキを作ってカープクライムに食べさせて仲良くなるのが目的です!
 皆様は森へチマキの材料を採集する係として向かいます。戦闘等はありませんが、うまくスキルを使わないと見つけられないでしょう。
 ※子供の日の由来には諸説あります。
 森にはほかにも様々な春の食材が成っていますのでそれを持ち帰り渡せば『チマキ』がおいしくなったり不味くなったり……。(できればどのようにアレンジするか等を書いていただけると助かります。 例:春菊→タケノコとかと一緒に混ぜる等々……。他にも学校敷地内の魚屋さんや八百屋さん等から買ってくるというのも可能です)
 カープクライムと仲良くなるためには美味しいチマキがいいですが、自分で食べるために未知の味にチャレンジするのもまた一興……??
『木にぶっ刺して蛇口をひねると樹液が取れる魔法道具』は全員に支給されます。


作者コメント Comment
 いやーなんか寒かったり暑かったり雨だったりジメジメだったりで忙しい季節ですね(笑)
 皆さん、風だけは引かないように頑張っていきましょう!
 今回のシナリオで重要なのは想像力、独創力が成功のカギです!!
 力を合わせて世界で一つだけのチマキを作って下さいね!

 それと、実は本文中に言葉遊びが四つ入っています!
 答えはリザルト公開後のGMページで紹介しようと思ってます!
 もし公開前に分かりましたら、応援メッセージ等と一緒にFLで回答してくれてもいいんですよぉー  壁|д゚)チラ
 楽しみにしていて下さいね!


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
●目的
食材を入手・調理してカープクライムにチマキを贈り
友情を結ぶ

●食材調達
・タケノコ
竹林で探す
鍬で僅かに先の見える物を掘って取る
途中で折らないよう注意
アク抜き用の糠も農家に寄って分けてもらう

・シイタケ
広葉樹の枯れ木や倒木の傍の湿ったり影になっている所を探す
図鑑をよく見て、毒キノコとの判別法をメモして行く

・兄弟の息子星
図鑑で木の生えている所を調べて行く
マークは確実に確認

自力調達が困難な時は自生場所近辺に販売所や生産農家を探して購入

出先で餅米やゴマ油も購入して調理に使う
調理もできることは手伝う

●カープクライム
子供の成長を願い、高みを目指す者を応援する
とてもおめでたい生き物らしいので大切にもてなす

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
「子どもの日」の授業が面白かったので、大図書館に直行
【事前調査】【推測】で、『チマキ』の作り方を調べ、材料であるタケノコの見つけ方、シイタケ、ソースの見分け方、笹で団子をくるむ別パターンのチマキについてなど、興味の赴くままに調べる
その足でクイドクアムで【グラヌーゼ】産の麦を買い、寮の自室で麦団子を丸める
次の日。
現場では【事前調査】結果と仲間の【植物学】と合わせて【推測】し、【精密行動】でタケノコを探し、シイタケやソースを的確に見分け、笹の葉も収穫
【精密行動】で仲間の調理を手伝いながら、自分で用意した麦団子を笹でくるむ
団子の『チマキ』は甘いので、普通のチマキの後に、カープにも校長や仲間にも振舞う

オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:チマキですか、初めて聞く名前ですね。
せっかくなのでハナにも手伝っていただきましょうか。

行動:エリカさんタスクさんが素材を集めているということなので
僕は調理メインに回りますね。
二方がいろいろ取ってきてくださったり、作り方を探してきてくださるようなので
授業の説明を思い出しながら、チマキに合いそうな魚や山菜でのアレンジを考えましょうか。

お二方が戻ってきたら調理に集中しましょう。

アレンジ:
チマキの上に、薄く切った生魚に臭みを消す食用のハーブを添える寿司風。
山菜を小さく刻んで混ぜ、おにぎりの形に整える。
いっそお肉に巻いてしまうのはどうでしょうかね。
授業で作った魔法薬をチマキに混ぜてみる。

リザルト Result

 多様な木々の鬱蒼と生い茂る山に入って行く【エリカ・エルオンタリエ】、【タスク・ジム】の二人。
 足を取られそうな獣道を歩く中で、タスクは自分の気になった事を共有する。
「そういえば僕、【センジンス・ゲー】先生の授業が面白くて、あの後大図書館で調べたのですが、『タケノコ』は慎重にとらないと折れてしまうらしいです。また、シイタケにそっくりな毒キノコ『ニセクロハツ』という物も存在しているとか……」
 とタスクは調べてきたことを話した。
「問題ないわ。シイタケの事は図鑑でも調べてきたしね。確か、毒キノコとの違いは少し傘の表面が黒い事だったはずよ!」
 エリカはタスクの方に振り向きながら右手の親指を立てた。
 暫くすると、少し開けた竹林に出た。
「ここならタケノコは生えていそうですね」
 タスクは目を地に向け、足で地面を擦りながらタケノコの頭を探す。
 エリカもそれにならった。
 暫くすると、タスクの足に何かが引っかかる。
「おや?」
 タスクが丁寧に手で地面を掘ると、タケノコの頭が現れた。
「おぉ! 有りました! 早速掘り出しますね!」
 彼は学園で借りた鍬で土をかき出し始める。
「私も手伝うわ!」
 二人は協力してタケノコを掘り出すと、タスクが最後に竹の根を切り、持ち上げた。
「おぉ、重いですね……」
 タスクは一度タケノコを地面に置き、リュックの中に入れる。
「そうだ、確か先生が言っていた材料の中にソースがあったわよね?」
 その様子を見つめていたエリカは何かを思いついたように話す。
「た、確かにありましたね。でもあれは樹液だから今は関係ないのでは?」
 タスクは不思議そうに尋ねた。
「今のわたし達って液体を運べるものを持っていないじゃない? そこで、この竹を水筒代わりにするのはどうかしらって……」
「なるほど! いい考えですね! ではさっそく作りましょうか」
 タスクとエリカは竹を切り出し、水筒を作成した。
「では次の材料を探しに行きましょうか! この水筒は部長が持っていてください!」
 タスクはエリカに水筒を預けて歩きだした。
 竹林を二人で抜けると今度はジメジメとした土がむき出しの山肌が、膨大な数と種類のキノコと共に彼らを迎え入れた。
「すごい数。偽物のニセクロダケを探すのすらも大変そうね」
 エリカは目の前に広がる景色に圧倒される。
「こ、根気よく探しましょう!」
 タスクは前向きにキノコを一個一個探していく。
「え、ええ。そうね」
 エリカも彼の後に続く。
 しかし、案の定ニセクロダケすらも見つからない。
「ふぅ、さすがに少し疲れましたね」
 タスクは腰を上げ額の汗をぬぐう。
 エリカも腰を上げた時、彼女の背中に爽やかで優しい風が当たる。
「森が話しかけている……?」
 と彼女は手を合わせゆっくりと目を閉じ、耳を澄ます。
 辺りを通り抜ける風の音。
 風が揺らす草や木。
 エリカの瞼の裏に移りだす風の音から成る世界。
 彼女の周りのすべての植物、動物がキノコの位置を示している気がする。
「こっち……?」
 エリカは目を閉じたままゆっくりと直線に歩みを進める。
「ぶ、部長?! あ、危ないですよ?!」
 だが、タスクの心配とは裏腹にエリカは障害物を難なく避けていくと、突如立ち止まった。
「ここ……?」
 彼女が目を開ければ、足下には、沢山の茶色い傘がひっそりと広がっていた。
 タスクも近づき、本物かどうか確認する。
「傘は茶色……ということは本物のシイタケですね! さすがです、部長!」
 彼の言葉にエリカも安心した表情を見せた。
「えっと、確か次は兄弟の息子星ソースでしたよね」
 タスクは辺りを見回して言った。
「そうね、でもこの辺りに貝の柄の入った木なんて見当たらないわね。少し奥に進んでみましょうか」
 エリカの提案通り二人は更に森の奥へ足を踏み入れて行った。
 斜面を登るにつれ、段々と木の量が減っていく。
「もしかしてわたし達、道を間違えているんじゃないかしら……?」
 エリカは少し不安そうに尋ねる。
「……いえ、見てください! あそこに生えている木! あの白樺の様な木です! なんだか絵が描いてある様に見えませんか?」
 タスクは前方を指さして嬉しそうに言う。
 二人は足をそろえて近づく。
「あら? でもこれ、先生の言っていた鳥柄じゃないかしら?」
「おや、本当ですね。でもこの辺りは模様の入った木が沢山ありますよ! 探してみましょう!」
 二人は一生懸命森の木の柄を見て回った。
「これは……!」
 そしてついにタスクは、森の中に一本だけ生えていた貝柄の木を見つける。
 彼はエリカを呼び、『木にぶっ刺して蛇口をひねると樹液が取れる魔法道具』を刺した。
 二人で蛇口をひねる。
 すると、突如勢いよく兄弟の息子星ソースが溢れ出てきた。
「い、急いで先ほど作った竹の水筒に入れましょう!」
 タスクとエリカは慌てて水筒を取り出し蛇口の下に置き、無事に樹液を採取した。
 ちなみに、道具を引き抜くと、刺した後は綺麗に消えた。
「そうね。さて、これで食材も調達できたし戻ってオズワルドさんに届けましょう!」

 エリカ達が厨房に戻ると、しっかりとエプロンに着替え、手洗い消毒まで済ませたオズワルドが待ち構えていた。
「食材調達お疲れ様でした。下ごしらえは僕がしますので、お二人はアレンジの工程まで休んでいてください。」
 彼は二人から食材を受け取ると厨房に広げる。
 タスクに頼まれたグラヌーゼ産の小麦など、他に必要な食材や調味料の準備もバッチリだ。
「では早速……とは言っても、まずはもち米を六時間水に浸す必要があるわけなのですが……」
「はーい☆ というわけで六時間浸したもち米がこちら♪」
 と、【メメ・メメル】先生がどこからか米を出してくる。
「ええっ!? 先生、一体どこから……」
「それはぁ~、乙女の『ヒ・ミ・ツ』だゾ☆」
 オズワルドの問いかけに頭を抱えたくなるような返答を残し、メメルはどこかへ行ってしまった。
「ふ、不思議な人だなぁ……。まぁとりあえずお米の準備はオッケーかな? 次は……食材を切って炒めるですか。そうだ、せっかくなので【ハナ】にも手伝ってもらいましょうか!」
 オズワルドはその場でしゃがみ、地面に丁寧に魔法陣を書いていく。
「ここをこうして……こうして……こうだ」
 彼は自身で書き上げた魔法陣にポケットに入っていた白い液体を垂らす。
 すると、白い線で描かれていた魔法陣がピンク色に光り、小さな精霊が現れた。
「ハナ、僕の料理を手伝ってくれないかい?」
 ハナは笑顔で頷く。
「ありがとう。では、今から僕が食材を切るから、そこに置いてあるボールに運んでくれるかな?」
 ハナは頷き、オズワルドの切った食材を次々とボールに投げ入れていく。
「よし、切り終わった。次に炒めるっと。じゃあハナには、エリカさんとタスクさんを連れて来てもらおうかな?」
 オズワルドが言うと、ハナは彼の服の袖をつかみ首を振った。
「分かったよ、このまま一緒に料理をしよう! 次はこのレシピにあるように調味料を混ぜてくれないかい?」
 ハナは本の上にちょこんと立ち、歩きながら本を見たのち、調味料を混ぜ始める。
 その間にオズワルドはごま油をフライパンに引き、温め、先ほど切ってハナにまとめてもらった食材を入れて炒める。
 程よく火が通った所で、ハナに混ぜた調味料を入れるように指示する。
 ハナは丁寧に調味料を入れると笑顔を浮かべながら消えていった。
「ありがとうハナ。僕も楽しかったよ。ではそろそろ二人を呼びましょう」
 丁度その時。
「いい匂いがしたので来てしまいました」
 とタスクが頭をかきながら言う。
「いえ、丁度良かった。今からアレンジしてもらうために呼びに行くところでした」
「わ、わたしはタスクさんが行くといったからついてきただけよ!」
 エリカも頬を赤らめながらタスクの後ろから顔を出す。
「はいはい。では、早速皆でアレンジをしましょうか」
 オズワルドはにっこり笑いながら二人を厨房の中に招き入れる。
 二人が手を洗っている間にオズワルドは材料を三等分して待った。
 そして、自分の取り分の中にオリジナルの食材を混ぜ込んでいく。
 エリカは非常にオーソドックスなもの。
 タスクはもち米に、グラヌーゼ産の麦を加え、さらに弾力のあるチマキに。
 オズワルドは謎の蛍光色の薬品を混ぜ、カラフルなチマキを作っていく。
 こうして出来上がったものを蒸し器に入れ、完成を待つ間、外で待つゲー先生の元へと向かった。
「おぉ、もうすぐ完成かしらぁ?」
 彼女は底の無い筒状の生き物『カープクライム』の腹の上で肘をつき、右手で腰を掻きながら寝っ転がってくつろいでいた。
「えぇ、順調にできてますよ」
 エリカは堂々と答えた。
「そう! 期待してるわよぉ!」
 厨房に戻る頃と、丁度チマキが出来上がっていた。
「よし。では早速外に持っていきましょうか」
 オズワルドは出来上がったチマキを皿に乗せた。
 運び終わるとゲー先生はカープクライムの上から手を伸ばし、エリカのチマキを口に入れる。
「おー! おいしいわねぇー!」
 とエリカのチマキを大絶賛した。
 一方エリカは、この不思議な存在と仲良くなろうと、自分のチマキを手に乗せて近くにいた小さなカープクライムにあげてみた。
 小さいとは言え、2mはあるような個体だ。
 そんなカープクライムは少し警戒をしているようで、エリカの周囲を旋回しつつ、匂いを嗅ぐ。
「大丈夫。毒は無いわ。きっとあなたも気に入ってくれると思うわ」
 すると突然、カープクライムはエリカの頭上に跳ね上がり。
「なっ?」
 そのまま彼女を一飲みにしてしまった。
「部長!?」
 予定外の事態に思わず声を上げるタスクであったが、すぐにそれが杞憂であった事を知る。
「だ、大丈夫よ。まるで頭から網か何かをかけられたみたいだったけど、不思議と悪い感覚はしないわ」
 エリカは、カープクライムの開けた胴体、その尻尾の部分から顔だけを覗かせそう言ったからだ。
 そして、カープクライムは彼女の周りをぐるぐる回って体を擦り付けた。
 その頃、オズワルドの薬品入りチマキを口にしたメメルは、体中から花火の様な光を放ちつつ、楽しそうにはしゃいでいた。
 そんな様子を見ていた別のカープクライムも緑色に染まったチマキにかぶりつく。
 暫くすると、カープクライムの体の模様がキラキラと波打ち始めた。
 それが嬉しかったのか、カープクライムはオズワルドに頬を擦り合わせた。
 オズワルドも一安心。
 最後に、タスクの作ったチマキ。
 彼は、皿を持ち歩き皆に配って回っていた。
「はい、ゲー先生もどうぞ!」
「おぉ、美味しそうねぇ。ではさっそく、いっただっきまーす」
 ゲー先生は勢いよく口にチマキを放り込む。
「んん! モチモチとした食感、ほのかに感じる甘い麦の風味! 美味しいわねぇ!」
 と彼女は大絶賛だ。
 タスクはメメルの姿を見つけると、一目散にチマキを持っていく。
「メメル先生! これ、食べてみて下さい!」
「ん? おぉ、苦しゅうないぞー!」
 光り輝く彼女は眩しい事この上無いが、その中でも一層眩しい笑顔を浮かべる。
「ん~! 美味いじゃないか! 特にこのもちもち感が良いぞ!」
「はい、グラヌーゼ産の小麦を使ってみたんです!」
「ふむ、あそこの小麦を使うとは中々良い目の付け所だな♪」
 彼はメメルに褒められて更に自信がついたのか。
「さぁ、カープさんも、皆さんも食べてくださいね!」
 彼はメメルに褒められて更に自信がついたのか。
「ありがとうございます! さぁ、カープさんも、皆さんも食べてくださいね!」
 タスクは元気な声を上げ、再びチマキ配りに奔走する。

 三人のチマキは多方面から大絶賛された。
 その後、オズワルドが作っていた柏餅を持ってきて会場は大盛り上がり。
 皆初めて食べる柏餅に感激した。
 その後も皆で騒ぎながら子供の日を祝った。

 気が付けばもう夕方。
 傾いた陽が降り注ぐ校庭から徐々にカープクライムが上昇を始めていた。
 カープクライム達はお礼を言う様に、皆の頭上を飛び回り続ける。
 そして生徒たちは、彼らの姿が見えなくなるまで、手を振り見送り続けた。
 やがて日は沈み、カープクライムは空へと消えて行った。
「今はこうして人とカープクライムが仲良くなれるのにねぇ……」
 ゲー先生は夕日を眺めながら言った。

 次の日、生徒は浮かない表情をしていた。
「はぁ。まぁ確かにさみしいかもしれないかもしれないわ。でもね、何か始まれば必ず終わりは来るものなのよ……」
 ゲー先生がそう呟いた時、教室の窓が叩かれる。
 彼女はニヤっと笑い。
「……でもねぇ? 奇跡は、必ず起きるのよ……!」
 窓の外には昨日よりも多くのカープクライムがいた。
「な、あれは珍しい生き物なんじゃ……!?」
 エリカが困惑していると。
「そうねぇ。でもまだこの子達の事は詳しく分かって無いからねぇ。まぁ今日来たのはおかわりだろうけど」
 とゲー先生は窓から飛び出していく。
「先生! ここは地上十二階ですよ!?」
 タスクが止めようとしたが遅かった。
「先生!」
 オズワルドが下をのぞき込むと。
「大丈夫よ!」
 下からカープクライムの上で胡坐をしたゲー先生が浮上してきた。
 どうやらあの1日でかなり彼らについて見識を深めたらしい。
 ゲー先生の背後には、昨日よりも多くのカープクライムがやってきていた。
「いやー、快適ねぇ! 皆も早くいらっしゃーい!」
 結局、本日の授業もまた、カープクライムとの触れ合い体験授業へと切り替わってしまったのは、また別のお話。

 ともかくこうして、チマキを通じ『子供の日』を存分に堪能した生徒達とカープクライムは、無事に仲良くなることができたのでした。



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
カープクライムと仲良くなろう!!
執筆:〜☆Wi☆〜 GM


《カープクライムと仲良くなろう!!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2019-05-05 09:11:58
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。
『チマキ』は本で読んだことはあるけれど、
わたしは料理が得意ってわけではないので、得意な人が来てくれたら嬉しいのだけど、
人手が足りなかったら材料探しと調理の両方をやらなきゃならないわね。
一応は全部やることになっても大丈夫なようにプランを考えてみるわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2019-05-05 18:40:12
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。
今にも捕食されそうな先生と、空腹らしいカープクライムさん、
両方のお困りごと、みんなで解決いたしましょう!
よろしくお願いいたします(ぺこり)

さて、僕たちは材料採集組と思い込んでましたが…
よく読むと、校長先生と半数の生徒は「作り方を探す」組なので、
調理は別途、プランに書く必要がありそうですね。
料理できるかた、熱血募集中です。僕は食レポを頑張りますので…(←コラ!)

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 3) 2019-05-06 01:41:42
タスクさん、よく来てくれたわね。助かったわ。ありがとう。
もっと人手が増えればさらに嬉しいけれど、
とりあえずは、2人でどうするか方針を考えておこうかしら?

材料採取担当と調理担当あたりで役割分担するか、
それとも一緒に行動してみる?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2019-05-06 08:41:47
いえいえ、こちらこそ、とても楽しみです!

一緒に行動がいいと思います。
せっかくの行楽日和…じゃ、なくて、ですね(あせあせ)
真面目な話、材料探しだけでも結構な大仕事ですし、
調理は、作り方を調査する組と合流して、みんなでやればいいと思いますので。

いま思い付く方針は、二人でよってたかって【事前調査】ですね。
僕は探索系技能を持たないので、タケノコ探しも事前調査で補いたいところです。
事件発生が授業の翌日なので、
「授業後なんとなく興味が湧き図書館で調べた」という描写で、
事前調査が可能になるかと思います。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2019-05-06 09:24:03
同行ね。行動が多岐に渡るから文字数が心配だけどやってみるわ。

【事前調査】は、素材の採取できる場所・見分け方・調理法の予習に使えるわね。
わたしは【植物学】もあるから、さらにそれで補足しようと思うわ。

あと、【集中】した作業で、材料採取・調理の精度と効率を上げてみるわね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 6) 2019-05-07 01:05:24
さすが部長さん、隙の無い行動宣言ですね~!
僕は【植物学】がないので、【推測】で補強するかな~と思っています。

そして、学園敷地内での買い込みが可能とのコトなので…
【グラヌーゼ】産の麦で、麦団子を作って持ち込んでみたいと思っています。
素朴な甘さがあるそうなので、シナリオどおりのチマキと違った味わいが楽しめるかと思います。

他シナリオが絡むことなので、一応、担当の先生(訳 お問い合わせフォーム)に確認をとってみるつもりです。
あとは、料理の技能がないので、学生寮で設定欄に色々書くことで補強を狙ってみようかと・・・
なかなか問題山積みですが、とにかくやってみたいと思います。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 7) 2019-05-07 03:44:45
仮プランを書いてみました!
僕は料理に詳しくない(中の人も同様)ので、チマキを美味しくする、オリジナリティーを出すということが描写できなかったのが、今後の課題として残っています。
しかし、やりたいことを書いたら字数が埋まってしまいましたので、何ともいえない状況です。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 8) 2019-05-07 10:48:59
わたしも仮プランを書いてみたけど文字数が厳しくて、遊び心を入れる余裕がなかったね……
時間はまだあるし、もうちょっと面白く出来ないか色々考えてみるわね。

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 9) 2019-05-07 11:51:26
何の気なしにこう、ぽんと押してしまいました。
話がかなり進んでいるようなので本当やることないというかなんというか…

あ、賢者・導師専攻のオズワルド・アンダーソンです。
自炊用に料理技能持ってるので、捜索はお休みにして料理担当に回らせてもらいますね。


《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 10) 2019-05-07 12:49:31
わたしは全部をやろうとしてたので文字数が本当に厳しいから、
オズワルドさんが料理を担当してくれるなら、本当に助かるわ。
ありがとう。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2019-05-07 13:09:49
やったあ!料理ご担当者さまが、来てくださいました!
オズワルドさん、ありがとうございます!
僕たちは、頑張って、食材たくさん持って帰ってきますね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2019-05-08 06:09:58
現状、自分の方針として、以下のように書いてみています。
・仲間の知識と合わせて材料捜索
・調理を全力で手伝う
・団子ちまきをスイーツ扱いで振舞う

より面白く、楽しくなるよう、引き続き検討中です♪

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2019-05-08 06:10:47
そうそう、言葉遊びの回答について、GM様にファンレターを出してみましたよ♪

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2019-05-09 01:43:33
【グラヌーゼ】産の麦はクイドクアムに売っているそうなので、
授業後に買ってきますね!(うきうき)
もちもちした食感が魅力だそうですよ♪

(訳 運営様からOKのお返事が来ました!
調理技能はないので、団子くらいは丸められる旨、自己紹介に書いて
あとは、運を天に任せます。)

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 15) 2019-05-09 13:08:13
わたしも調理の方はオズワルドさんに任せて、材料収集の方に集中するわ。
一応、余裕があったら調理の方も手伝うとは書いておくわね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 16) 2019-05-10 15:41:30
エリカ部長さん、一緒に材料集め頑張りましょう!
オズワルドさん、調理頑張って下さい。できあがりを楽しみにしてますね!
デザートに団子チマキを用意するプランも書けましたので、お二人も召し上がって頂いたら嬉しいです。

いよいよ今日いっぱいで出発ですね。
楽しんでいきましょう♪

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 17) 2019-05-10 18:35:04
タスクさんもオズワルドさんも本当にありがとう。
わたしもプランは送っておいたけれど、
出発時間までは何度かここを覗いて、必要があれば調整するわね。

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 18) 2019-05-10 22:22:02
返事が遅くなってしまい申し訳ありません!
タスクさんはスイーツとして振る舞うと仰っているので、
僕は野菜や魚などを添える混ぜるなど
一般技能を利用していくつか見繕ってみようと思うのと、
調理に集中させていただきますね。

精一杯務めさせていただきます。
よろしくお願いします。