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動物(を)セラピー


ストーリー Story

 その日、動物たちは思い出した。
 ――自分たちという存在が、弱肉強食のこの摂理の中で、『弱』に当たるということを。
【アニパーク】内に現れた数人の生徒を追って入ってきた圧倒的捕食者によって……。

 *

「ひぃぃっ!! 『奴』だ!! 『奴』が出たぞ~!!」
「クソがっ!! 学園の卒業生は化け物かっ!?」

 アニパーク内の全動物たち、並びに入退場をする生徒達を確認するための遠見の魔法が置かれた部屋で、アニパークの職員達は送られている映像を見て、戦々恐々の声をあげる。
 水晶に映っているのは、つい先日『フトゥールム・スクエア』の課程を修了し、職員となった一人の教員――茶色の毛の狼のルネサンス……【コルネ・ワルフルド】の姿があった。
 しかし、瞳は虚ろ、どこかゆらゆらと不安定な足取りながら大地を踏みしめて歩く様は異形と言われても仕方がないもので。
 何やら負のオーラらしき物を背負っているような錯覚を覚える位には、気迫に満ちあふれていた。
 蒸気のように吐かれる息は、果たして何を求めて吐き出されたものか。
「一体、『奴』の目的は何だ!!? 何か変わった事はあったか!?」
 パニックになりかけながら、何か彼女を刺激した物が無いか情報を得ようと怒鳴った職員に、絶望を突きつけたのは別の職員。
「ほ、本日はセールを行われていたので、動物たちの餌に……と、干しぶどうを――」
「馬鹿野郎!! ソイツが原因だ!! マニュアルにでかでかと書いてあっただろうが!!」
 どうやら安かったから、と干しぶどうを買い占めていたらしく、結果はアニパークへと入ってきたコルネを見ての通り。
 分厚いマニュアルを引っ張り出し、愚を犯した職員へとページを開いて突きつける職員。
「見ろ!! こんなにでかでかと一ページ丸々使って『干しぶどうは買い占めるほど買わないこと』と書いてあるだろうが!! ――しかも二ページ置きに!!」
「むしろそのせいでフリかと思ったんですが――」
「最重要案件だからに決まっているだろうが!! 大体このマニュアル作ったの学園長だぞ!? あの人の考えなんか分かるもんかよ!!」
 職員達が言い合っている中、水晶から悲痛な動物たちの叫びが聞こえてきた。
「マザータイガーが片手で止められ、放り投げられました!!」
「砂漠サイの角が手刀にて切断されました!!」
「七色キリンが頭突き合戦で敗れ、脳しんとうに!?」
 報告される内容は阿鼻叫喚そのもので、もはや職員達の手に負えるものでは無かった。
「しょうが無い……学園長を呼ぶぞ」
 断腸の思いを乗せた職員の宣言に、全員が覚悟を決めて唾を飲み込む。
 直後、緊急サイレンがアニパーク内から鳴り響き――――。
 ゴヅンッ!!
 という音を立て、建物の天井を貫通して飛来した学園長は、
「全くー。マニュアルにも書いてあるのに干しぶどうを買い占めちゃダメだぞっ☆ 後でオレ様考案のお仕置きなっ☆」
 語尾の通りに眩しい笑顔を職員に振りまいて、口から出した言葉で職員を絶望させた後……、
「ほらほらコルネた~ん? ちょっと運動の時間だぞっ♪」
 振り返り、正気を失い狂ぶどう化したコルネへと笑顔を向けるのだった。

 *

「以上が残っている過去の映像よ」
 映像を映し出していた水晶への魔力供給を止め、【ユリ・ネオネ】は集まった生徒達へと声を掛ける。
 学園にある学園長管理の特殊資料と前置きされ、見せられたのはどう考えても悪鬼修羅の存在で、あれをどうにかしなくてはいけないのか、と生徒達が身構える中――、
「今回はアニパークからの依頼でね。フラッシュバックでもしたのか、何体かの動物たちが怯えて食事すら取らない程らしいのよ。そ・こ・で、動物たちを扱い、手なずける練習も兼ねて生徒達に何とかして欲しいって」
 全員が揃って胸を撫で下ろす中、
「はいはい、コルネ先生を相手にしなくていいと分かったからって気を抜かない。コルネ先生がおかしいだけで、アニパークの動物たちも結構危険なんだからね?」
 忠告とも取れる事を口にするユリ。
「ま、動物セラピーって言うか、動物たち『を』セラピーする授業って事で間違い無いわ。それじゃあ、どの動物のセラピーをするか決めるわよ。好きな子を選んで頂戴」
 こうして、『ナニか』に怯えた動物たちを、正常に戻すための授業が幕を開けるのだった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-07-18

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2019-07-28

登場人物 2/8 Characters
《甲冑マラソン覇者》ビアンデ・ムート
 ヒューマン Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
●身長 148センチ ●体重 50キロ ●頭 髪型はボブカット。瞳は垂れ目で気弱な印象 顔立ちは少し丸みを帯びている ●体型 胸はCカップ 腰も程よくくびれており女性的なラインが出ている ●口調 です、ます調。基本的に他人であれば年齢関係なく敬語 ●性格 印象に違わず大人しく、前に出る事が苦手 臆病でもあるため、大概の事には真っ先に驚く 誰かと争う事を嫌い、大抵の場合は自分から引き下がったり譲歩したり、とにかく波風を立てないように立ち振舞う 誰にでも優しく接したり気を遣ったり、自分より他者を立てる事になんの躊躇いも見せない 反面、自分の夢や目標のために必要な事など絶対に譲れない事があれば一歩も引かずに立ち向かう 特に自分の後ろに守るべき人がいる場合は自分を犠牲にしてでも守る事になんの躊躇いも見せない その自己犠牲の精神は人助けを生業とする者にとっては尊いものではあるが、一瞬で自分を破滅させる程の狂気も孕んでいる ●服装 肌を多く晒す服はあまり着たがらないため、普段着は長袖やロングスカートである事が多い しかし戦闘などがある依頼をする際は動きやすさを考えて布面積が少ない服を選ぶ傾向にある それでも下着を見せない事にはかなり気を使っており、外で活動する際は確実にスパッツは着用している ●セリフ 「私の力が皆のために……そう思ってるけどやっぱり怖いですよぉ~!」 「ここからは、一歩も、下がりませんから!」
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け

解説 Explan

 何がきっかけか分かりませんが、過去のことを思い出し、怯えている動物をセラピーするのが目的です。

 対象の動物と、説明は以下の通りです。

1.マザータイガー 
 通常よく知る虎より二回りほど大きい個体であり、非常に戦闘力のある動物です。が、現在は怯えていること、食事を禄に取っていないことからある程度力は落ちているようです。安心させるためにおもちゃなどで遊び、その後食事を与えるとよいかもしれません。

2.砂漠サイ
 全身が砂で覆われたサイであり、砂と完全に同化する事が出来ます。また、角は薬の材料として用いられる事もあるようです。現在は恐怖によるストレスからか、肌荒れ……砂荒れを起こしており、肌の手入れなどの触れ合いによって、恐怖も和らいでくれる事でしょう。

3.七色キリン
 模様全ての色が違う、珍しい動物です。それぞれの模様に属性があり、七色の属性を操ると言われています。現在は塞ぎ込み、檻の中で座り込んでいますが、ブラッシングなどで心を開き、散歩などをして気分転換をさせてあげると良いと思われます。


 それぞれの動物に対してやらなければならない事、やってはならない事は決めていませんが、ユリ先生の言うとおり危険な動物達です。あまりに酷いことをし過ぎると、手痛い反撃を食らってしまうかもしれません。

 動物達に与える餌、並びにブラッシングなどで使う道具は、アニパークが用意していますので手ぶらでも授業に支障はありません。

 ※重要 干しぶどうだけは見せるどころか持ち込みを禁止されています。絶対に厳守してください。
 また、映像を見返すことも出来ません。学園長管理の特殊資料と説明があるように、普段は生徒の手の届かない所に保管されている超貴重なものです。
 生徒に見せた後、ユリ先生が学園長へと返却しておりますので、再度の視聴は諦めて下さい。


作者コメント Comment
 アニパークの動物達を使って何かエピソードを……と思っていたところ、いい感じのネタが降ってきたので書いてみました。

 まだまだ素敵な動物達はたくさんいるかと思いますが、まずはこの三体のセラピーをしていただこうかと思います。
 是非是非楽しいセラピーにしてあげて下さいー。


個人成績表 Report
ビアンデ・ムート 個人成績:

獲得経験:60 = 40全体 + 20個別
獲得報酬:1200 = 800全体 + 400個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
*動機
心にトラウマを負った動物達をこれ以上傷つかないよう守るのも勇者の仕事です

*目的
動物達のケアをします

*行動
怯えているとはいえ本来は危険な動物だと聞きました
一応盾がなくてもそれなりに防御の心得があるつもりですが、気を引き締めて相手しましょう

接する前に、好きな食べ物とか玩具はなにかを聞いておきます
……そうだ、動物の耳がついた髪飾りとかないか? 同じ種類の動物だと思われたら警戒心をほぐす事ができるかも?

準備が出来たらそれらを手に接近。その時も余計に刺激しないよう、なるべく視線が同じ高さになるよう身を屈めながら近づきます
近づけたら玩具や餌などを使って交流して、私が敵じゃないという『信用』を得ましょう

プラム・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:60 = 40全体 + 20個別
獲得報酬:1200 = 800全体 + 400個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
【事前調査】【心理学】を併用し動物の感情を読み取り、【気配察知】【危険察知】【清廉のオルゴール】で攻撃された場合に備える。

全ての動物に対して、ケアを行う前に信頼関係の構築を試みる。
退避出来るような体勢でしゃがみ、なるべく目を合わせないようにしながらゆっくりと近づき、声をかけながら顔より下の方から慎重に触れて慣らす。

■砂漠サイ
患部の場所をしっかり探し、まずは砂荒れが軽い場所から徐々に荒れが酷い場所を手入れしていく。
痛むようだったら、【リーラブ】も利用する。

■七色キリン
触れられるのに怯えないようであれば、丁寧にブラッシングをしていく。
様子を見て、餌などを利用しつつ外に出して散歩を試みる。

リザルト Result

「はいは~い。無害ですよ~。怖くないですよ~っと。実際問題言葉通じるんかねぇ? ま、ニュアンスで大体察してくれると助かるけど」
 姿勢を低くし、声を掛けながらゆっくりと砂漠サイに近付いていく【プラム・アーヴィング】。
 動物達をセラピーするという今回の授業に参加した生徒は全部で二人。
 そのうちの一人であるプラムは、もう一人と別れた後、まずはこの砂漠サイをセラピーしようとやってきていた。
 飼育係の人から説明を聞き、片手には乾燥した海岸の砂を籠に入れて持っている。
 その砂が、肌荒れ……砂荒れを起こした砂漠サイによく効くのだという。
(普通肌荒れって乾燥のせいで起こると思うんだけど、砂漠サイは冷や汗のかきすぎで水分過剰で砂荒れ起こしてるらしいし? 本当に名前通りに砂漠なんだなーと)
 砂漠の砂は水を吸わず、故に雨などが降ると簡易的な池すら出来ることがあるという。
 砂漠の死因に『溺死』が有るのもその為だ。
(とはいえ、檻の端っこで震えてるだけだから危なくは無いと思うけど……)
 手を伸ばせば触れる距離。
 そこまで近付いたプラムは、海岸の砂を一握りし、ゆっくりと砂漠サイへ差し出した。
 そもそもその砂をどう使えばいいか分からず、とりあえず食べないか、と差し出してみたが――。
 それに対する砂漠サイの反応は……、明らかに崩れている表面に、プラムの差し出した砂を擦りつけることだった。
 一瞬疑問符が浮かぶプラムだったが、目の前で起こる現象に納得していく。
 手の上の砂が砂漠サイに触れる度に、徐々にその量を減らしていったのだ。
「なーるほど。荒れた砂の部分を補ってるのね。んじゃあ、もっといる?」
 ほとんど無くなった砂を補充するべく、籠の中へ手を突っ込んで。
 一握の砂を、今度は自分から砂漠サイへと擦り込むように押し当てる。
 低い地鳴りのような声を上げ、勢いよく鼻息を吹いた砂漠サイに、思わず身構え退避の体勢を取るプラムだが、その動作が喜んでいる事の表現だと、表情を見て理解するプラム。
 結局、この砂漠サイに海岸の砂を塗り込む行為は、砂が無くなっても砂漠サイが納得せず、二度ほど砂のおかわりをしたところでようやく解放された。
 飼育員が入ってくると露骨に機嫌が悪くなった砂漠サイだが、プラムは特に気にせずに。
 砂に持って行かれた手の水分を補うべく、保湿液を塗り込みながら、砂漠サイの檻を後にするのだった。
 
 *

 プラムと別れた後、真っ先にマザータイガーの檻へとやってきた【ビアンデ・ムート】。
 飼育員からある程度の説明を受け、普段遊んでいるおもちゃを物色する。
 何か、目をひくような物はないか、と。
 何故だかあった虎の耳の付いたカチューシャをセットし、自分ほどの大きさのある猫じゃらしを両手で抱えて、いざ!
 檻の隅で大きな身体を小さく縮こめているマザータイガーの目の前に、猫じゃらしを垂らすと――。
 ちょん、と。
 恐る恐るではあるが、手で突っついてきた。
 ならば、と左右に揺らすと、それを追って顔が揺れ始め、突っつく動きは猫――虎パンチへ。
 必死に振って、上下左右の動きにすれば、マザータイガーはもう夢中。
 気が付けば大きな身体で得物を捕らえようと、全身を使って躍動しようとすらしていた。
 最後に猫じゃらしを停止させ、マザータイガーに飛びつかせたところで、ビアンデはゆっくりと声を掛ける。
「マザータイガーさん? お腹空きませんか?」
 恐る恐る、自分が食べられないように。
 飼育員に渡された赤身の生肉を地面に置いて、ゆっくりと後ずさるビアンデ。
 警戒し、匂いをかいだりしばらく待ったマザータイガーは、大丈夫だと判断したのか、ゆっくりと肉を食べ始めた。
 無くなっては催促するような目でビアンデに訴え、それに応えるように生肉を置くビアンデ。
 気が付けばお互いの距離はほとんど無いような位置になっており、ここでビアンデは飼育員から聞いていたマザータイガーの一番好きなことを行うために、意を決して懐へと入る。
 モフッ。
 柔らかく、温かい毛に包まれ、思わずほっこりと笑みを浮かべるビアンデ。
「と、いけないいけない。確かここを……」
 予め聞いていたツボを、手のひら全部をつかってゆっくりと圧迫。
 ネコ科特有の喉が鳴る音を、包まれた毛越しに聞いて、マッサージの効果を実感する。
(とはいえ、虎なのにマッサージが好きなのは何か意外です)
 グリグリと、ツボを刺激し、額には玉のような汗が浮かぶ頃。
 マザータイガーの前足が、不意にビアンデの後頭部へと添えられる。
 それは、心地良いからもっとやれ、という意味だったが、ビアンデは自分へのご褒美のように感じていた。
 何せ、柔らかく、なんとも言えない肉球の感触を、これでもかと堪能できたのだから。

 *
 
「最後は二人で、ですか?」
「本当に面白い生き物ばかりなんだね」
 生徒達へとセラピーを依頼された動物は残り一頭。
 その一頭である七色キリンは、どうやら二人がかりで行う必要があるらしい。
「身体の両側に各属性の模様があるのですが、それをどちらか片方から刺激すると、属性による攻撃が飛んできまして……」
 とは飼育員の談。
 ブラッシングなど、手入れの全てを二人一組でする必要があるらしく、思わず顔を見合わせるプラムとビアンデ。
 その他の簡易な注意を受けた後、二人はゆっくりと檻へと入っていった。
 他の二頭と同じく、檻の端に座り込んでいた七色キリンは、二人を気にする様子は無く、どこか遠くを見つめていた。
「こっちのこと気にしてないみたいだし、とりあえずブラッシングしてみようか」
「そうですね。……どの模様からやります?」
 気にしてないなら好都合、と即座にブラッシングの用意をする二人。
「明らかに調子が悪そうな紫色の渦巻き模様からやってみよう」
「分かりました」
 プラムの主導のもと、紫色の渦巻き模様へと狙いを澄まし……。
「いっせーのっせ、で行くよ? いっせーの」
「せっ!」
 かけ声を合わせてブラシを当てる。
 …………とりあえずタイミングは合っていたようで、特に魔法で攻撃されるようなことは無かった。
 そのまま声を掛け合いながら、あまり力を入れずに擦り、同じタイミングで水にブラシを浸し、また擦る。
 しばらくすると、渦巻き模様が花丸模様へと変化した。
 と同時に、今度は先ほどまで雲の模様だった黄色の部分が、渦巻き模様へと変化する。
「コレ……調子が悪い部分を模様で表現してるのでは無いでしょうか?」
「確かにそうみたいだね。じゃあ、次はこの黄色かな? かけ声はさっきと同じね」
「はい!」
 次の黄色も同じ段取りで。
 ビアンデとプラムは、この後結局全部の模様を同じようにブラッシングすることとなった。

 *

 七色キリンのブラッシングを終え、気分転換にと散歩をさせた二人。
 キリンに跨がるビアンデと、キリンに付けた、あまり意味があるようには思えないリードを牽くプラム。
 そんな二人の疑問は、何故だか飼育員が動物達から警戒されまくっている事だった。
「そもそもこの動物達の怯えはコルネ先生のせいなんでしょう? 何故飼育員さんが警戒されているのでしょうか?」
「さぁねぇ。何か普段から扱いが酷いとか、そのぐらいしか思いつかないけど」
 ゆっくりとアニパークの外周を回って、七色キリンの檻へと帰ってきた二人は、飼育員に直接尋ねてみることにした。
「あの、質問があるのですが!」
「どうして飼育員さん達も警戒されているんだい?」
 質問された飼育員は頬を掻き、恥ずかしい話だが、と切り出した。
「実は先日、コルネ先生の誕生日だったのは知ってるよね? それで、過去にコルネ先生が迷惑を掛けたからって、アニパークの職員を全員招待してくれたんだ。そしたら、あのコルネ先生の誕生日会。干しぶどうに囲まれてしまって、今でもどうやらその匂いが取れていないらしいんだ」
 苦笑交じりに話されたが、何故だか妙に納得してしまえた二人。
 少なくとも、金輪際干しぶどうを、その匂いを、アニパークへと持ち込まないことを、固く心に誓うのだった。
 …………今後も、動物と触れ合うために。



課題評価
課題経験:40
課題報酬:800
動物(を)セラピー
執筆:瀧音 静 GM


《動物(を)セラピー》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 1) 2019-07-14 08:05:42
とりあえず↑のコルネ先生はそんな事言ってないで今回ばかりはさすがに反省してください
……と、メタな発言はこれくらいにして

勇者・英雄コースのビアンデ・ムートです
今のところ戦闘力が高いというマザー・タイガーのセラピーをする予定です

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 2) 2019-07-17 23:26:38
ウワ~とんでもねえ時間帯に入っちゃった
やっべプラン適当にかこ

あ、ビアンデさんとは被らないよにしておくね