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拝啓、見知らぬ貴方様へ


ストーリー Story

 肌をなでる風の感覚。
 耳を和ます規則的で安定した翼の羽ばたき。
 一行を乗せた巨大な荷車を引く2組のグリフォン便は、真昼の空を駆けていた。
「風が気持ちいいですねぇ~」
 【シルフィア・リタイナー】の小さな声が、風にのって荷車中に伝わる。
 随分呑気なものだ。そう思った人もいたかもしれない。
 だが、普段からゆるゆるとした雰囲気の彼女には似つかわしくない、憂いを帯びた瞳を印象的に感じた者もまた、そこにいたのかもしれない。
「あっ、到着したみたいですぅ」
 シルフィアの視線の先、もう1つのグリフォン便から、こちらに手を振るのは【パルシェ・ドルティーナ】。
 彼女の合図に従い、シルフィアが指示を出すと、グリフォンは乗組員に負担の無いようゆっくりと降下し始める。
「ここが今回連絡があった、『ベカジボ村』ですぅ」
 眼下には、ごくありきたりな緑溢れる村の風景……ではなく、まるで戦場跡。
 災害にでも見舞われたような、倒壊した家屋や焼けただれた植物が目立つ、異様な光景が広がっていた。
 そこに、降り立つ一行を迎え入れるように、2人のエルフが姿を現す。
「お待ちしておりました。皆様」
「こんな辺境の村までようこそー♪ 長旅お疲れ様でーっす♪」
「あ、ルミネさん。ランテさん。こんにちはぁ~」
 シルフィアはどうやらこの2人と顔見知りのようだ。
 気になってそっとパルシェに尋ねると、彼女は少し驚いた表情を浮かべたが、やがて得心がいったのか、笑顔で応えてくれた。
「そっか、学園だと今みたいなマント姿じゃなくて、メイド服姿だもんね。あっちの物静かで切れ長の目をした人が【ルミネ・パロクベリル】さん。もう1人の元気でおっきな目が特徴的なのが、【ランテ・パロクベリル】さんだよ」
 彼女の話によれば、2人は学園でお騒がせフェアリーとして知られている【リーエル・アムフィリム】の従者で、両者ともに学園の暗躍・黒幕コース、村人・従者コース、双方を修了認定できるだけの単位を認められた存在らしい。
 よくよく思い起こせば、確かにリーエルの周りには、綺麗なライムグリーンの髪をした従者達がいつもついていた。
「それで、被害の方はどうでしたでしょうかぁ?」
「う~ん。もう片付けるのが面倒だから全部壊してゴミにしちゃえー♪ ってくらい派手にやってますねぇ!」
「ラン。もう少し言い方というものを考えて」
「ぶぅー。だって見渡す限りの焼け野原だったじゃん」
「確かに村としての機能はほぼ壊滅。けれどケガの大小はあるとはいえ、村人はほぼ命を失ってはいない。全てが消えてしまった訳ではないわ」
 そしてベカジボ村に関してルミネから詳細な説明を受けるパルシェ達。
 調査報告曰く、この村が襲われたのは昨日の夜。
 来るハロウィンに向けて、カボチャを収穫したり、飾り付けを作ったりと、多くの村人が準備のために夜遅くまで起きていたという。
「そして宵も深まって来た頃、突如魔物の集団が大挙して襲ってきたとのことです」
「魔物自体はほとんどがジャバウォックとかゴブリンとか、大した敵じゃなかったらしいんだけど、そいつらを指揮してたのが、なななんと! 噂のお化け3人組だった! ということだそうです♪」
 それはつまり……。
 1人が疑問を呈すれば、ルミネは静かに頷いた。
「はい。村中の人々が、大半の記憶を失っています。それも主に家族との記憶や、友人との約束、大切にしていた物への執着など」
「でも逆に、襲われた時の怖ーいって記憶は、台所で繁殖して1年経ったカビくらいこびりついている人もいるみたいですよ! どうせなくなるなら、逆だったら良かったんですけどねー♪」
「うぅ、そんな状況だったんですかぁ……。なんとかしてあげたいですぅ」
 シルフィアの言葉に、今度はランテが頷いた。
「だぁーいじょぶですよ♪ 今日は皆さんにこの村を救ってほしくて来て頂いたんですから♪」
 それでは、困ったさん、いらっしゃーい!
 そんなかけ声に半ば強制的に背を押されるようにして、若い男性が姿を現した。
「あの、どうも……」
「はいそれじゃあ! 思い出の一品をどうぞー♪」
 まくし立てるランテに従い、男はおずおずと羊皮紙を差し出した。
「これ、私宛の手紙だと思うんです。……多分」
 それは、男の家の残骸から発見されたという。
 手紙には、こう書き記されていた。

 拝啓、愛する旦那様へ

 今日も遅くまでお仕事お疲れ様。
 ハロウィンに必要なメダルの買い出しを頼まれたから、ちょっとペルルを連れて隣村まで買い物に行ってきます。
 今からだと遅くなっちゃうから、1日向こうに泊まってから帰ろうと思います。
 晩ご飯はお鍋にカボチャスープを作り置きしてあるから、それで食べて下さい。
 あ、ペルルがジャック・オー・ランタンが欲しいって言っていました。
 帰ってきた時にあったら、きっと喜ぶと思うわ。
 もし疲れていなかったら、宜しくね。

 マリーナより

「正直、このマリーナもペルルも、聞き覚えがない名前です。でもきっと……これは忘れちゃいけない名前だったと思うんです」
 男は、顔を上げる。
「お願いします。この2人を、無事にこの村まで連れ帰ってほしいんです」
 その目には、確かに何かを取り戻したいという、強い想いが宿っていた。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 4日 出発日 2019-09-23

難易度 難しい 報酬 通常 完成予定 2019-10-03

登場人物 8/8 Characters
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《ゆうがく2年生》ヒューズ・トゥエルプ
 ヒューマン Lv21 / 黒幕・暗躍 Rank 1
(未設定)
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv18 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。
《大空の君臨者》ビャッカ・リョウラン
 ドラゴニア Lv22 / 勇者・英雄 Rank 1
とある田舎地方を治め守護するリョウラン家の令嬢。 養子で血の繋がりはないが親子同然に育てられ、 兄弟姉妹との関係も良好でとても仲が良い。 武術に造詣の深い家系で皆何かしらの武術を学んでおり、 自身も幼い頃から剣の修練を続けてきた。 性格は、明るく真面目で頑張り屋。実直で曲がった事が嫌い。 幼児体系で舌足らず、優柔不断で迷うことも多く、 容姿と相まって子供っぽく見られがちだが、 こうと決めたら逃げず折れず貫き通す信念を持っている。 座右の銘は「日々精進」「逃げず折れず諦めず」 食欲は旺盛。食べた分は動き、そして動いた分を食べる。 好き嫌いは特にないが、さすがにゲテモノは苦手。 お酒はそれなりに飲めて、あまり酔っ払わない。 料理の腕前はごく普通に自炊が出来る程度。 趣味は武術関連全般。 鍛錬したり、武術で語り合ったり、観戦したり、腕試ししたり。 剣が一番好みだが他の分野も興味がある。 コンプレックスは身長の低さ。 年の離れた義妹にまで追い抜かれたのはショックだったらしい。 マスコット扱いしないで欲しい。
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。

解説 Explan

※本エピソードは、これから展開するハロウィンイベントに連動するキーエピソードです。
 ですが、エピソードに参加できなくとも各種イベントに参加することは可能ですので、ご安心下さい。
 また、本エピソードで入手した情報は、全てのPCに共有されます。

◆目的
 ベカジボ村に住む「マリーナ」、「ペルル」を村に連れて帰る事です。
 2人と合流し、彼女達が消滅せず連れ帰る事ができれば成功となります。

◆NPC紹介
ルミネ:ベカジボ村の調査を行っていたエリアル(エルフタイプ)。
    皆さんに同行します。
    戦闘能力は充分にありますので、特に対応をする必要はありません。
ランテ:ルミネの双子の妹。皆さんに同行します。ルミネ同様、戦闘能力は充分です。
パルシェ:勇者・英雄コースの先輩。皆さんに同行します。戦闘能力充分です。
シルフィア:教祖・聖職コースの先輩兼保健室の職員。ベカジボ村に残り、村の人々の手当やお手伝いを行います。

◆PC向け情報
 ルミネ達が村の状況を把握し学園に連絡を入れたのが今朝早く。
 それからすぐに駆けつけましたが、現在は時間で言えば14時を過ぎているくらいです。
 隣村までは、歩いて3~4時間程度かかります。
 村への道は舗装された土の道が1つ。
 周辺に森が鬱蒼としていますが、自警団が警備しているので、普段から誰もが警護を付けずにこの道を使っています。
 グリフォンはここまでの長旅で疲れているので、捜索には使えません。 
 村は炎に焼かれており、多くの人々が闇に怯えています。
 復興に忙しいので、持ち込み品以外の物資調達は難しいです。
 その他、事前にテスから共有されている、各種情報を知っています。

◆PL向け情報
 テスから共有されている情報は、
 ・ジャック、ルガル、ジョンの見た目(名前は不明。ジャックは鎌も把握)
 ・敵は記憶を奪うような何かをしてくること
 ・配下の魔物として、熊のような見た目のジャバウォックやゴブリンを多数引き連れていたこと
 のみです。


作者コメント Comment
 皆様こんにちは! 今回ゆうがくで初めてエピソードを出させて頂く、pnkjynp(ぱんくじゃんぷ)と申します!
 読みづらい名前のGMがいるなーくらいだけでも、覚えてもらえると嬉しいです!
 久々の通常エピなのでとっても緊張しています!(笑)

 今回のエピソード、分かっている事が少なく、皆様としてはもどかしい想いをする部分も多いかもしれません。
 ただ、出来る限りの事をしたいという想いや、キャラクターの考え方さえしっかり決まっていれば、
 PCはその場で出来る最善の行動を行ってくれるはずです。

 難易度は『難しい』ですので、上手くいかない部分もあるかと思いますが、
 気楽にご参加頂ければ幸いです!

 また、聞きたい事があれば道中でNPCに尋ねる事も可能です。
 応えられる範囲で、色々と教えてくれます。

 今後のGM陣が展開するエピソードや、
 第三回全校集会へ繋がる幕開けの物語。
 お楽しみ頂けるよう精一杯頑張ります!

 それでは、リザルトノベルにて、
 皆様にお会い出来ます時を楽しみにしております!


個人成績表 Report
チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:180 = 150全体 + 30個別
獲得報酬:6000 = 5000全体 + 1000個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
…つまりぃ?記憶と村焼いてく集団が出てると。
魔物以外もできんだ。ふーん。
もし出会えたらいっぱい様子見観察したい。
今後も出会う三人組かもだし、弄れたらくそ貴…やな記憶だけ薄められるかもだし。

の前に、頼まれちゃった人探し確保の諸々。
人多いの疲れ…密集もアレだし、ザコちゃん囮兼ねた索敵斥候的なことするね?

行く頃には暗くなんだろーしランタン代わりの【キラキラ石】は持ってっとく。
なんかあったら投げれっし、明かり無いゆーしゃ様とか親子様なら渡せっし。…物持てる種族なら。

で、道中も、村での親子様探しの時も。ゆーしゃ様達のいる表通りとか村からは若干外れて例の三人組探し捜索しとく。
先んじて発見なら楽なんだけど。

フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:180 = 150全体 + 30個別
獲得報酬:6000 = 5000全体 + 1000個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
マリーナとペルルを探し出し、村へと護衛。
三人組との交戦は避けつつ、可能なら目的と関連性を聞き出す

●事前準備
『お化け3人組』について情報共有。ルミネ先輩やテス先生の話から実力や能力を『推察』…撤退のタイミングや隙を計るために。

●行動
村の事は任せ、マリーナとペルルの捜索に。足跡や森の痕跡…特に新しいものに注意して捜索。
見つけられたら旦那という人と、村の事を(パニックにならないよう気を付けて)伝え、護衛に。
捜索中、護衛中は『危険察知』を欠かさず、奇襲に備えを。特に二人と関わる際は…咄嗟の場合に、自分が身を盾に守る。
三人組には目的を問いただしつつ、隙を見て『全力撤退』で二人と一緒に離脱を

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:225 = 150全体 + 75個別
獲得報酬:7500 = 5000全体 + 2500個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
親子護衛最優先
自分は護衛班担当

隣村へ急行、親子を探し保護
なるべく早く父と再会させ思い出の話や品で記憶回復

襲撃発生時は身を盾に親子生存最優先
撤退判断時はNPC先輩3人に殿班担当を依頼

三人組を撃破・捕縛できずとも可能な範囲で情報収集し次の機会に活用

自然友愛:精霊に周辺状態の調査依頼
危険察知:常に襲撃警戒
全力防御:親子が狙われた時、自分を盾に
全力撤退:攻撃が苛烈な場合、仲間と合わせ使用

風の民:風に周囲の異変の有無を問う
言の葉の詩:ここぞと行動する味方の応援
フド:戦闘発生時使用
すばやさ増強:常に先手を

事前調査:過去の同様事件または異変の有無。村や周辺地域の魔族や勇者との縁の有無

薬草:重傷者へ優先使用

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:180 = 150全体 + 30個別
獲得報酬:6000 = 5000全体 + 1000個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【事前調査】類似の事件や伝説について
集合時間ギリギリまで大図書館でそれらしい本を借りまくり
グリフォン便で一冊でも多く【読書】

みんなで名札をつけるよう提案し
記憶喪失に備える

親子を見つけたら【信用】で安心させる

3人組と遭遇したら
親子発見前なら【全力撤退】
親子発見後なら【勇者原則】で先手とり
護衛班と別れて殿をつとめる

そして問う【博愛主義】
「どうしてこんなことを!何かお困りごとがあるんですか?」
戦闘が不可避なら
【挑発】【衝撃享受】で壁役に
充分時間稼いで【全力撤退】森の中に散開し
確実に撒いたら仲間と合流

記憶喪失の仲間には「あなたは○○さんです!僕は報道勇者タスク・ジム。あなたのことはよく知っている!」

ヒューズ・トゥエルプ 個人成績:

獲得経験:180 = 150全体 + 30個別
獲得報酬:6000 = 5000全体 + 1000個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【心情】
殺戮ではなく
記憶を奪ったという事実。何か狙いがある。
村の中に溶けちまうことだって可能だ。
そして…俺は依頼人の男に漠然とだが違和感のようなものを感じている。


▶エネミー遭遇時
【立体機動】で回避姿勢を整えて立ち回る。
護衛対象の逃走速度を考慮し、殿を担う。
護衛対象に危害が及ぶ場合に【投擲技術】で二振りの剣を投げつけて阻害。
一通り時間を稼いだら、横道の森に逃げ込んで撒こうと。【全力撤退】
戦闘中は自分なりあたりをつけて挑発気味な【ハッタリ】で情報を収集を試みつつ
時間を稼ごうとします。
▶記憶対策
グローブの中にに丸めたメモを仕込んでおく。

アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:225 = 150全体 + 75個別
獲得報酬:7500 = 5000全体 + 2500個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
マリーナとペルルを捜索し、村へ連れて帰る。
二人の怪我には祈祷、死には復活呪文を使う。二人とも死んでいたら復活は体の大きい方を優先し、小さい方を誰かに抱えてもらう。
俺は二人の護衛班。村まで周囲を見回し、魔物を警戒(やせーの勘、緊急回避Lv1)。
敵襲にはチェスシールドを構え、背にした二人を守りつつ、光輝の剣で応戦する。
辺りが暗くなればランタンを持つ。もう片手に盾。その状態で敵襲に遭えば、盾で攻撃を防ぐ。戦う必要があれば、二人にランタンを預けて戦う。

捜索中、ルミネさんに話しかける。
村人の中にリバイバルはどれだけいた?
今の村人の中に、この事件以前に亡くなった死者がいるように思う。
マリーナ達も死者かも。

ビャッカ・リョウラン 個人成績:

獲得経験:180 = 150全体 + 30個別
獲得報酬:6000 = 5000全体 + 1000個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
マリーナとペルルを守り抜け!

【行動(襲撃時)】
護衛組として、マリーナとペルルを護衛するよ。
基本はマリーナとペルルを連れて村に向かって全力撤退。
二人を村に送り届ける!それが私達の勝利条件だよ!

戦う必要があれば、前衛として前に出るよ。
道を塞いだり襲ってくる魔物を二連斬りで蹴散らして、帰路を切り開くよ。
敵の攻撃は、部分硬質化で防御しつつ流水の構えで受け流してダメージを軽減。
ダメージが嵩んできたら特級薬草で回復。

もし噂のお化けの誰かがこっちに来たり待ち受けていたら、受けて立つ。
防御はそのままに牽制のために攻撃、隙あらば龍の翼で飛び込んで勇者之斬!

道をあけて!邪魔をするなら力尽くで押し通るよ!

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:180 = 150全体 + 30個別
獲得報酬:6000 = 5000全体 + 1000個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
◆流れ
隣村に向かいマリーナさん、ペルルさんを見つけ保護したあとは、速やかに森を抜けベカジボ村に戻るイメージ
道中で敵の襲撃があった場合は、親子と合流前なら逃走
合流後なら護衛班・殿班に分かれ応戦

◆記憶喪失対策
今回の目的等をグリフォン便の移動中等に羽根ペンを使い、事前にローブや着衣の裏地の当て布等にメモ
何か起こった際や休憩時にも、可能なら同様に状況や重要事項をメモしておき忘却対策

◆応戦時
私は護衛班で、基本的には後方から祈祷での回復やデトルでの毒・麻痺解除等、味方の援護

親子を伴い逃げた方がよさそうな場合は、仲間と足並み揃えて全力撤退

必要であれば、安全圏離脱後に戦闘不能になった者に復活呪文の行使も視野に

リザルト Result

●求心考路――思考と前進――
「皆さん、気を付けて下さいねぇ~!」
 【シルフィア・リタイナー】の声に背中を押されながら、総勢11名から成る『ゆうしゃ』の一行はベカジボ村を出発する。
 既に太陽はその頂点を越え、僅かに西への行路を進み始めていた。
 ――昼の終わりを告げる夕刻が過ぎれば、夜がやってくる。
 それは自然の変わらぬ摂理。
「……さて、わたしも頑張らないとですぅ!」
 駆け出すシルフィアの手には【ヒューズ・トゥエルプ】から渡された羊皮紙と、【タスク・ジム】が託したグラヌーゼ麦のレシピが握りしめられていた。

「【マリーナ】さんと【ペルル】さん、無事だと良いのですが……」
 移動を初めて数分、今回の依頼主の妻と子供と思われる2人の身を案じ、【ベイキ・ミューズフェス】がそう漏らした。
 歩く度揺蕩う髪は、まるで海のような深緑。
 そこから零れ落ちる雫は彼女がローレライたる証だが、この事態を憂う彼女の心のようにも思えた。
「無事かどうかは……分からないわ。でも、今はわたし達に出来る事を精一杯やりましょう。無事だと信じる事だって、その一環になるんじゃないかしら?」
 凛として、それでいて透き通ったルビー色の瞳でベイキを見据えるのは、優しい声色が特徴的な【エリカ・エルオンタリエ】。
 決して彼女もこの事態を楽観視している訳では無いが、それでも彼女は微笑みを浮かべる。
 エリカが部長を務めるクラブ、フトゥールム秘密情報部の部員であるタスクも、それに続いた。
「エリカ部長の言う通りですね! 僕達で力を合わせて、村人さんのお困りごとを、解決致しましょう!」
「……ええ、そうですね。私も信じてみたいと思います」
 1つの目標に向かい、希望を語らいながら笑い合う。
 そんな仲間達の声を耳にしながら、ヒューズは1人、在りし日を思い起こす。
(良いねぇ……。純粋でまっすぐで。今の俺にはちょっとばかり眩しいが、悪くない『煌めき』だ)
 ならばやるべき事は1つだ。
 ヒューズは決意に満ちた眼をゆっくりと開き正面を見据える。
 視線の先では、少し前を歩く【フィリン・スタンテッド】が、【ルミネ・パロクベリル】に問いかけていた。
「勿論、目的の親子が無事であるに越した事はないけれど……ルミネさん、確か、ベカジボ村から隣の村へは、徒歩で3時間くらいでしたでしょうか?」
「はい。私達のような訓練による基礎体力を持たない者であれば、更に1時間程度はかかるでしょう」
「なるほど~。つーことは、今から出発する僕達の目的地到着は夜になっちまいそうって訳で。こりゃ何ともタイミングが悪いですね」
「確かについてないわ。……これ以上ないってくらい、ね」
 ヒューズの言葉に頷くフィリン。
 だがその言葉に、白き龍のドラゴニアである少女、【ビャッカ・リョウラン】も反応する。
「でも、村までの道はこれ1つなんだよね? マリーナさん達がこっちに向かって来てるなら、途中でばったり合流できるかも!」
 村が襲われたのは昨日の夜。
 こうして悠長に手紙を残すくらいだ。出発したのが襲撃よりも前と考えれば、彼女の言うことは一理ある。
 ヒューズはニヤリとすると、ビャッカに向き直る。
「確かに! ビャッカさんの言う通りだ。そう考えると日没前には合流できるかもですね」
(あれが本当の手紙だったらの話だが……まぁ、今は進むしかない、か)
 俺からも尋ねたい、と、今度は馬のルネサンスである【アンリ・ミラーヴ】が声をあげた。
「村人の中に、リバイバルはどれだけいましたか?」
「リバイバル、ですか? 数名はいらっしゃったように思いますが、特に違和感を感じる点はありませんでした。それが何か?」
「……ルミネさん、あなたは、村人はほぼ命を失ってはいない、全てが消えてしまった訳ではない、と言った。それは、どういう意味ですか?」
「なるほど。仰る意図は掴めたように思います」
 ルミネはより詳細に、ベカジボ村の状況を伝え始めた。
「被害の規模は、既に申しましたように村の機能が破綻するほどです。家屋は倒壊し、植物は焼けただれています。状況から見て、大規模な火災があったと推測されるでしょう」
 上空から見た景色でも、それが感じられる程にひどい有様であった事を思い出し、アンリの尻尾は力なく垂れ下がる。
「これが通常の魔物の襲撃であれば、恐らく村人は1人も生き残りはしないでしょう。しかし、ベカジボ村には襲撃を受けてなお、多くの生き残りの方々がいらっしゃいました。リバイバル化したのではなく、そのままの姿で」
 ルミネの話によれば、建物の倒壊や炎に巻き込まれ数名の死者は出たものの、ほとんどの村人は、まるで誘導されたかのように村の広場に集められたという。
「それは、誰か避難を指揮した人がいたということですか?」
 ベイキは問いかけながらルミネからの情報をメモしていく。
「いえ。証言によれば、魔物や炎を避けるようにして逃げたところ、そのような状況に陥ったそうです」
「それってつまり……」
 ベイキの質問への答えは、ルミネではなくフィリンが引き継いだ。
「村に被害を出しながら死者が出ないというのは、十中八九、襲撃側の策略よ。村にある財宝の位置を把握するため、単純に相手を追い詰め交渉を有利に働かせるため……。目的はその時々でしょうけれど、何かしらの意図があったに違いないわ」
「フィリンさん、詳しいんですね」
「これくらいなんてことないわ。だって……」
 ――私には分かるもの。
 そう言いかけた彼女の言葉は、まるで首を絞められたかのように喉奥で堰き止められる。
 『フィリン』が何故盗賊の手法を知っている?
 将来を有望視され、誰もが憧れるような勇者になるはずであったフィリン・スタンテッドが。
 知識ではない、本当の奴らの思考を。
 己の心を蝕み続ける、自分勝手で醜い悪の思いを……。
「だ、だって先日受けた授業で教授がそう教えてくれたもの!」
「そうでしたか。流石高名な魔法学園、何でも教えているんですね」
 人生経験という意味ではベイキもそれなりの出来事を体験しているとはいえ、入学したばかりで学園に関する知識は薄い。
 それに、学園は楽しく魔法を学ぶだけの場所ではない。
 実践的な脅威に相対したり、そのための知識を得るような授業も当然存在する。
「ところでルミネさん、集められた村人達は、その後どうなったんですか?」
 話を聞いていたエリカは、フィリン達の会話を遮るようにして、ルミネに問いかけた。
「集められた村人達の目の前には、頭に大きなカボチャの被り物を身につけた存在が現れたそうです。その人物は、紫色の炎を纏った鎌を振り上げると、彼らの頭上を、まるで何か刈り取るように振るった……と仰られていました」
 そこで村人達の意識は途切れ、目を覚ました時には夜が明け、炎も魔物達も、謎の存在も消えていたという。
「どんな理由でこんな事をしているのか分からないけど……絶対許しちゃいけない……!」
 怖い思いをさせられて、しかも大切な記憶を盗まれるなんて、悲しすぎるよ……。
 ビャッカの声が微かな悲痛に震えていた。
「にしても、どうして村人達は襲われた事を覚えているんですかね? 随分都合の良い話だけども」
「忘れた人に対して、覚えている人がいる……とか」
 ヒューズとアンリの問いかけに、ルミネは目を伏せる。
「記憶を奪うという現象が、そもそも魔法の類いによるものなのか、謎のカボチャの御仁が有する特殊な能力なのか、それすらも不明です。ただ言える事は、大切とするであろう記憶ほど、失われているようですね」
 広大な面積を持つ大国でもない、小さなベカジボ村。
 大した深いつながりがなくとも、同じ村の人間であれば顔と名前くらいは一致する。
 他の村や町でもそれは同様で、本人達が関係性を覚えていなくとも、それを証言できる他者がどこかに存在していたのだ。
「なるほど……その人にとって、大切ではない記憶なら、多少は残るのかも知れない」
「ふーむふむふむ。アンリさんが言うように、単純に記憶全てを奪う事ができない可能性と、奪う記憶を選りすぐってる可能性なんかも出てきたかな? 取りあえず、あちらさんは明確な目的っつーか、狙いを持って記憶を奪ってるみたいですね」
「謎のカボチャマスク達の狙い。記憶との関係性……これは調査を進めていく必要がありそうですね」
 ヒューズの言葉に頷くタスクもまた真剣な表情だ。
 だが、ふと彼の表情が少し緩んだ。
「そういえば、皆さんにも聞いてみたかったんですけど、なんで謎の人物はカボチャの被り物なんてしていると思いますか? 時期的には、何だかハロウィンの仮装みたいですけど……」
「ハロウィン。そういえば、ハロウィンの元となった祭りは、死者が現世に還る行事……で、かがり火を焚いていた。という昔話を、聞いた事がある」
「あっ、それでしたら!」
 アンリの言葉に、タスクは荷物カバンを広げると、がさごぞと漁り始めた。
 グリフォン便の出発直前、パンを口にくわえながら遅刻遅刻~と登場する程に、ギリギリの登場であったタスクだが、恐らく色々と荷物を整えていたのであろう。
 取り出したのは『良く分かるナウいハロウィン』という本。
 学園の大図書館であるワイズ・クレバーには様々な本が収められているが、これまた随分と若者向けの内容になっているようだ。
「流石に急なお話でしたので、事前に調査できる程の余裕はなかったんですけど、丁度ハロウィンに関する本を読んでいたので持ってきたんです!」
 その本によれば、ハロウィンとは冬のはじまりにやってくる魔物や悪霊を追い払うための行事であり、起源には、かつて魔物に襲われかけた女性が、甘いお菓子とコインを魔物に与えて生じた隙をついて無事に逃げ切ったという言い伝えがあるという。
「ですがこの起源、魔物の影響は分かるが、悪霊を追い払うという要素が含まれていないという事で、別な起源があると主張している研究家の人がいるみたいです! その人の学説によれば、アンリさんが言われるように、悪霊を追い払うためにハロウィンにかがり火を焚く、という習慣があったようですよ!」
 何かしらのつながりを感じさせる発見に嬉しそうにするタスク。
 そんな彼を見ていたアンリの表情は特に変わり無いが、尻尾は上を向き、ふりふりと揺れていた。
「カボチャといえば、ハロウィンならジャック・オー・ランタンがイメージされるけど、この時期に敢えてそうした格好をしているんだから、やはり関係性があるのかも知れないわ」
「まぁ、ハロウィンのお化けがやるイタズラにしては、ちょっと笑えないけどね」
 エリカの言葉に続いたのは、すっかり元の様子に戻っているフィリン。
 何気ない一言ではあったが、その言葉に目を見開いたのは、ここまで黙って話を聞いていた【パルシェ・ドルティーナ】であった。
「ふぇぇ!? 今度の敵って、お化けなのー!?」
 元々垂れ気味な目が不安にさらに垂れる。
「お化け……怖い……ですか……?」
「ええ?! いや、その……どうなん……でしょう?」
 突然泣き出しそうな目をして問いかけてくる先輩を前に困惑を隠せないフィリンは、視線で仲間に助けを求める。
 目の前にいたビャッカと目が合ったが、どうしていいやらなのは彼女も同じだ。
「うぇぇ~~……やっぱり怖いんだぁ~……!」
(ちょ、私何か悪い事した!?)
(全然分かんないよ?!)
「……ここは私(わたくし)にお任せ下さいませ」
 ビャッカとフィリンが大慌てでアイコンタクトをする間に割り込んだルミネは、それぞれに目配せすると、パルシェに金色に光るメダルを手渡した。
「大丈夫ですよ。パルシェ様。このメダルを持っていれば、怖ーい幽霊なんて寄ってきませんから」
「本当……?」
「ええ。もしそれで寄ってくる輩がいれば、それはきっと、まだ時期も早いのに浮かれて仮装趣味に明け暮れるただの奇人、異端児、終身名誉不審者のいずれかです」
「そ、そっか~。ならよかったー!」
「……良かった、んだよね?」
 取りあえず先輩勇者の目から涙がこぼれる事は阻止されたようで、今度はビャッカがフィリンを見つめる。
「……たぶん」


●急進抗路――命か記憶か――
「あ、いたいた。ゆーしゃ様達ー。こっちこっち」
 一行がこの事態に対し意見を重ねていた間に、1人先行して道中の調査を買って出ていた【チョウザ・コナミ】が戻ってきた。
 少々離れた位置からだるそうに腕を上げて合図している。
「待って下さいよぉザコちゃん様~!」
 その後ろには、彼女に同行していた【ランテ・パロクベリル】の姿もあった。
「あーうん。ザコちゃんはただのモブだから、特に見守り拝見する必要ないし? 腹黒笑顔なじゅーしゃ様は別行動で見渡し探索してもおけまるちゃんだよぉ」
「そんなー! ルミ姉ぇ並に素っ気なくてまるで氷河に突き落とされた気分ですぅ~」
 チョウザはその声には振り返らず、こちらに駆け寄ってくる一行を見据えて待ち続ける。
 ランテ自体はやかましくは思うが、ぐんぐんと先行する自分につかず離れずで、しかも移動中は気配を感じさせなかった。
 ほとんど情報もない敵の捜索を、たった2人で行うだけはあるという事なのだろう。
 人は見た目に寄らないものだ。
 分かってはいたが、改めてチョウザはそう感じるのであった。
 もっとも、他人から見れば、自称『モブの中のモブ』を目指しているという彼女本人も同様で。
 特徴的なマゼンタが目立つメッシュの入った髪や、自分好みのアクセサリーで飾り付けたボロ布を纏う姿は、とてもそこらの『モブ』には似ても似つかない、自由な姿と言えるかも知れない。
「ザコちゃんさん! 偵察ありがとうございました! 無事で何よりです!」
「やっほー文系みのあるゆーしゃ様。他のゆーしゃ様達もお疲れご苦労様。とりま、目的地はちょい先だから、ついてきてくれると嬉しみ」
 駆け寄るタスクを先頭に、チョウザ達と合流した一行は、彼女達の案内に従い再び歩き始める。
「結構、日が落ちてきた」
 アンリが視線の高さ近くまで落ちてきた太陽を見て、そう呟く。
 世の中にはグリフォン便や魔法の箒があるとはいえ、そうした移動手段は世間一般から見れば特殊な部類だ。
 設備の整った大きな都市ならともかく、多くの者はせいぜい馬車に乗るくらいが精一杯。
 辺境の村人であれば長距離を移動するとしても、こうして自前の足を前に出すしか手段がない場合もある。
 普段広い学園の構内を歩き回っているとはいえ、ここまでも中々の距離を歩いてきた。
 訓練を積んでいる学園生達であっても中々骨が折れるというものだ。
「もうベカジボ村から結構歩いてきてるはずだけど……中々合流できないね」
 ビャッカの表情が少しだけ曇り始める。
「舗装されていると言っても、所詮は自然の地形を切り開いて道にしたもの。僅かなうねりや勾配も、これだけ長くなれば意外と足腰の負担になっているのかもしれないわ」
「あー、金糸の髪のけんじゃ様? これはザコちゃんの憶測推測に過ぎないんだけど、たぶんそろそろ会えんじゃないかなー」
 エリカの言葉に、チョウザは迷いなく言った。
 何を根拠に彼女はそう推測をしたのか。
 その答えは、程なくして一行の目の前に現れる事となる。
「ほい。そしたらこっから森の方に侵入進行していくから、足下注意ね」
 彼女の案内に従い、一行は道から外れ、どんどんと森の中へと進んでいく。
 徐々に深まる木々の影は光を遮っていく様は、まるで闇が訪れる夜に産声を上げて始めるかのようであった。
 そして。
 森の奥深くに、その場所はあった。
「ゴブリンひしめく森の夜会へようこそ、って感じ?」
「ギギッ!」
 そこだけは、木々が切り取られ、小さな広場のようにぽっかりと空間が広がっていた。
 もしも太陽が昇っていれば、光が差し込む幻想的な景色が見られたのかもしれない。
「エリカ部長、見て下さい! ジャバウォックもあんなに!」
 しかし今はゴブリンを始め、多くの魔物と呻き声が敷き詰められている。
 一行は声を潜めて更にあたりを注意深く観察する。
「……皆、魔物達の向こう側、見て」
「あれは……十字架、でしょうか?」
 アンリとベイキが何かに気付く。
 魔物達の頭上を越え、視線の集中する先には幾つかの白柱が並ぶ。
 その中の2つには人間が縛りつけられていた。
 1つには怯えた表情を浮かべた小さな女の子。
 1つにはその子供に何かを語り掛ける女性。
「ま、ママぁ~……」
「大丈夫よ、ペルル。怖くない、怖くないからね……」
「……っ! みんな、今あの女性、子供の事をペルルと呼んだわ!」
 その小さな声は、風を伝ってエリカの耳に確かに届いた。
「世の中名前の似たヤツが1人や2人はいるもんだが……こいつはビンゴじゃないですかね?」
「お化け達の姿も見当たらないし、今なら!」
「ルミネさん。……いいですね?」
 ヒューズ、ビャッカ、フィリンが。
 この場の全員の決意が1つとなっていた。
「畏まりました。私達も道を作り出します故、皆様は救出に専念を」
 その言葉を引き金に、未来の勇者達は一斉に飛び出した。

「勇者・英雄コース、タスク・ジム! 罪なき親子のお困り事、解決致します!」
 タスクの力強い声に、魔物達の注意は親子から完全に離れた。
 それだけではない、目の前に現れた勇者の存在に、それまでこわばっていた母親の顔もほころぶ。
「はああああっ!」
「しっ!」
 その間に飛び出したのは、ビャッカとフィリンだ。
 ビャッカは両手剣を軽やかに振るい、フィリンは突きを主体とした無駄のない動きで、互いに最初のゴブリンを蹴散らした。
 そこにタスクも合流し、3人で活路を切り開く。 
「グァァァァ!!」
「コイツが噂の熊ジャバってやつか。人型のヤツとやり合う事は多かったけど、このサイズは経験がないです……ねっ!」
 一方、彼女らがこじ開けた道を進む面々は、ジャバウォックと交戦。
 巨大な腕の一振りを、ヒューズはすんでのところで躱していく。
「そらっ、お返しだ!」
 そしてすれ違いざまに自慢の双剣で的確に攻撃を加えていく。
 一撃一撃は決定打に欠けるが、それでも着実に傷は増えていった。
「眠たげなフードのゆうしゃ様やるー。ザコちゃんも混ぜてー」
 彼のヒット&ウェイと対象的な戦い方をするのは、このチョウザだ。
 勿論、大きなダメージを受けそうな攻撃は避けていくものの、多少の傷などもろともしない様子で、ひたすらに六角棒で相手を殴りつけていた。
「チョウザさん! 腕の所、切れてますって!」
「……んー? ああ、そうっぽいねぇ。でもまぁ変な3人組もいないなら、やることやってさっさと帰還ご帰宅したいじゃん?」
「なんつーか、図太いんですね……」
「まぁ、ザコちゃんは所詮ザコちゃんだから。あーそれっと、呼んでくれるときはザコちゃん、って呼んで貰えっとありがた感謝ね」
「なるほど、了解です」
 更にランテやルミネ、パルシェが近くの魔物を次々となぎ倒していき、親子達への道を塞ぐのは、ジャバウォック1匹のみとなった。
「後はこの魔物だけですね」
「早く、突破する。そして、2人を助ける」
 戦闘経験の薄いベイキとアンリも、各々迎え撃とうと武器を構える。
 だがその2人を、エリカが制した。
「風の精霊よ。わたしに力を貸して……」
 空中に手をかざし、祈るように呪文を唱えるエリカ。
 詠唱が終わると共に、その魔法陣からは小さな妖精のような存在が現れた。
「応えてくれてありがとう精霊さん。それじゃあ、わたしと一緒に」
 今度はエリカは両腕を前に突き出すと、精霊も同じようにポーズを取る。
 やがて周辺の大気がエリカが腕の中で生成する魔力に集まり始めた。
「……『フド』!」
 彼女が放った渾身の魔法は、ジャバウォックを容易く吹き飛ばした。
 これも自然を友とし精霊の力を借りた賢者だから為せる技であろう。
「今よ!」
 そして遂に、親子の元に辿り着いたベイキとアンリは、2人を十字架から解き放つ。
「大丈夫でしたか?」
「お姉ちゃ~ん! 怖かったよぉ~!!!」
 泣きじゃくるペルルを、ベイキは海のように優しく抱き留める。
「ありがとうございます、ありがとうございます……!」
「お礼は後。まだ魔物は残ってる。ひとまず、この場から逃げよう」
「ほーん。さっきの奴らよりは、ちっとは出来るみてぇだな」
 一行の後方から聞こえてくる声に、全員の視線が集中し、生き残っている魔物達も攻撃の手を止める。
 木陰の中から姿を現したのは、狼の姿をした男。
 両腕には銀の手甲鉤を身につけており、3本の鉤爪の先端から滴る雫は、夕日で朱に染まっていた。
「来たわね……。あなたが最近悪さをしているという狼男かしら?」
 光輝の剣を向け、最大限の注意を払いながら、フィリンは端的に問いかける。
「おいおい、俺は確かに狼のルネサンスだが、今はちーっとばかりそれがイヤになっててよぉ。俺様には【ルガル・ラッセル】って名前があんだ。次狼男って呼んだら、その綺麗な肌をズタズタにしてやるぜ?」
「ならルガルさん! 貴方はどうしてこんなことを! 何かお困りごとがあるんですか!?」
 今度はタスクが語り掛ける。
 ルガルは面倒そうに舌打ちをしたが、会話を続けてきた。
「単純だ。こうしておけばお前らみたいな連中が釣れるだろう?」
「私達をおびき寄せるために?」
「そうだ。そろそろ事も大詰め。だがフトゥールム・スクエアの連中が嗅ぎ周り始めたのも分かってたからな。ここらでちょっと邪魔者には退場頂かないと、ってわけだ。ついでに光も集められそうだしな」
「光? それは一体?!」
「面倒くせぇな。ほら、見てみろよ!!」
 タスクの言葉に怒りを返すように、ルガルは目の前で死んでいるゴブリンをズタズタに引き裂いた。
 するとすぐに、ゴブリンの死骸は青白い光の粒子となって、少しずつ消え始めた。
 これはこの世界に住む者であれば誰もが知っている……『消滅』の瞬間であった。
「消滅しちまったら、魔力も何も光になって消えちまうだろ? 俺達にゃそいつが必要なんだよ」
 世間一般に、この世界のありとあらゆるものには、魔力が宿っていると言われている。
 それは空気でも石ころでも、魔物でも人間でも同じこと。
 例え深い傷を負い、『死』という状態を迎えた者がいたとしても、魔力をとりわけ上手く扱える者さえいれば、その力を持って死の淵からすら掬い上げる事すらできる。
 だがそんな強い力を持つ者などそうそういるものではない。
 大抵の場合、生きとし生ける者が死亡した際には、その身体に宿っていた魔力は徐々に光の粒子となって抜け始め、最終的にはこのようにして霧散してしまうのだ。
「随分ひどいことをするのね……」
 エリカは目の前で消滅したゴブリンの事を思い、声を震わせる。
「まぁ、こいつらはさっき自警団の連中をやっちまったからよ。やっちまったら光を奪えなくなるのになぁ?」
(『やっちまった』、か……。どうりで道中一度も自警団に出会わなかった訳だ)
 ヒューズもまた胸の痛みを堪えるように一瞬目を閉じる。
 だがその瞳はすぐにまた眼前の脅威へ向けられた。
「オーケー。つまりは魔力の籠もった光が欲しいって訳か。それにしては、記憶を奪うなんてコスいマネするんですね?」
「はっ、そいつは俺には門外漢だ。あいつがそうやるって言ってんだからよ」
「そこまでだ。ルガル」
「あ? やっとお目覚めかよジャック」
 ルガルの背後から、カボチャの被り物をした男が姿を現した。
 その腕には身の丈ほどの鎌が握りしめられており、鎌の刃とは逆側の先端に、紫色の炎を放つランタンがぶら下げられている。
「ミスターワンダー。彼らは排除対象でしょうか?」
 更に一行を囲むようにして、2mは超えるであろう大きな男が現れた。
 頭を貫く釘と、光輝く魔法陣が、彼がカルマであることを物語っている。
 ゆったりとした足取りは、彼の生来のものであるか、握りしめたハンマーによるものかは定かではない。
「いや、獲物だ」
 次の瞬間、ジャックは地面を滑るようにして、アンリとベイキの元へ向かってくる。
「いかせないよ!」
 それにいち早く反応したビャッカは、勢いよく剣を振るう。
「甘い」
 だが、ランタンの炎が一瞬消えると、ジャックは彼女の剣も彼女の身体をもすり抜けてしまった。
「えっ!?」
「あれは、リバイバルの幽体化!」
 タスクが思わず声を上げる。
 リバイバルは、本来肉体のほぼ全てが魔力よって構成されている種族だ。
 そのため、自身の身に纏う服飾や武器までもを魔力によって自分の身体上で再現することで、他者に見せたい姿を見せている。
 この能力を転用すれば、人や物に宿る魔力に干渉する事で、こうして物理法則を超えた動きを可能としているのだ。
 但し、魔力が可視化されているようなものであるため、いわゆる半透明状態になっており、通常は一目見れば誰にでもリバイバルかどうかの区別がつく。
 だが、ジャックは普通のリバイバルとも異なる存在であった。
「きゃっ!?」
 ビャッカをすり抜け、再びランタンに灯が灯ると、ジャックは空いていたもう一方の腕で母親の首を掴み、支えるアンリを蹴り飛ばした。
「ぐっ……!」
「アンリさん!」
「大丈夫、でも……」
 駆け寄ったベイキもその異常さに気付いていた。
 確かに今、アンリは蹴り飛ばされたのだ。
 それはリバイバルが通常攻撃をする際に行う、磁石のような魔力による反発ではない。
 確かな痛みであった。
「い、いや……!」
 母親の目には、見慣れたオレンジ色が映っている。
 それは昨日調理したカボチャと同じ。
 ただ違うのは、昨日のような幸せな気持ちを感じられていない事であった。
「……お前は準備が出来ているな」
 ジャックが鎌を強く握ると、ランタンの炎は鎌を伝い地面へと燃え移っていき、ジャックと母親を囲むように円を描いた。
「させないっ!!!」
「おおっと!」
 このままではマズい、そう考えたフィリンが素早く飛び出したが、間に入り込んだルガルに妨害される。
「くっ!」
「ほらお嬢ちゃんよ! さっきの礼をくれてやるぜ!」
 ルガルが振るう三爪二組の刃は、フィリンの攻撃を寄せ付けず、防ぐ盾の隙間を狙ってくる。
 防戦一方となっていたフィリンだが、一瞬の隙をつかれ、爪の間に器用に挟みこまれた片手剣を、抜き取られてしまった。
「まだまだ行くぜ~!!?」
 その後もルガルの攻撃は縦横無尽に襲いかかるが、フィリンは咄嗟にクリスタルブレイブから剣を抜き放ち耐えしのぐ。
「ちっ! ナメんじゃねぇぞこのクソ狼が……!」
「ひゅー。それが地か? 綺麗な顔してこえーな」
 そうして膠着状態となっているところに、チョウザの六角棒が振り下ろされる。
 ルガルは咄嗟に後方へ飛びそれを回避した。
「大丈夫ー? 黒髪貴族の女ゆーしゃ様? また圧感じる雰囲気ありあり?」
「え、ええ。大丈夫よ。ありがとうチョウザ・コナミ」
「にしても面白いよね、あの逆深爪の狼男様。こんなに長い時間獣人化が解けないなんて」
「確かにそうね。あれがルネサンス特有の祖流還りなら、いつか限界が来るはず……」
「ぐっ!?」
 2人がルガルを分析しているところに、今度は攻撃に吹き飛ばされたヒューズの姿が飛び込んできた。
「ヒューズさん!?」
「あのカルマの大男、手強いですよ……!」
 雷を纏ったハンマーの一撃を食らったらしく、ヒューズは少し身体を痺れさせながらも、何とか立ち上がる。
 振り向けば、タスクとエリカが必死に戦っているが、2人の攻撃をまともに食らってもなお、カルマは止まることなく迫り、攻撃を加えてきた。
「あなたは一体! 何故こんな事をするんです!?」
「私は【ジョン・ドゥ】。ミスターワンダー、ミスターラッセルの手助けをするのが私の使命」
 タスクは諦めずに語り続ける。
 だがジョンと名乗ったカルマは、無気力とも思えるほどに、淡々と襲いかかってくる。
 これではエリカもタスクもジョンを抑えるので精一杯だ。
 ベイキやアンリ、ビャッカも魔物達に襲われ、身動きが取れない。
「まぁ、見てろって。すぐにお前らもこうなるからよ」

 ルガルの背後、燃えさかる炎の中で、ランタンはその輝きを強めた。
「思い出せ。大切にしたい記憶を。感じろ。身に迫る恐怖を。願え、生きたいという思いを」
 自分は今、この化け物に殺される。
 母親の脳内には、様々な記憶が走馬灯のように巡っていた。
 楽しかった日々、素敵な想い出、大切な夫と娘の笑顔……。
「差し出せ。命か記憶を」
 忘れたくない。そう思っているはずなのに。
 目の前に迫る恐怖が、彼女の意志を塗りつぶす。
「選べ、記憶を」
 怯え震える彼女の頭から、彼女そっくりの姿をした魔力が表出する。
 それはまるでリバイバルになった彼女そのもののようで。
「お前は記憶を選んだ」
 彼は母親の首を離すと、倒れ込む彼女の頭上目がけて、鎌を振るう。
 鎌によって肉体から切り離された魔力は、悲鳴のような声を上げながら、ランタンの中へと吸収されていった。
「……契約完了」
 全ての作業を終え、一瞬気をゆるめるジャック。
「よいしょ~♪」
 だがそのせいで、突如死角から放たれたランテの手裏剣に反応が遅れた。
 攻撃はジャックには当たらなかったものの、鎌についたランタンの枠に命中する。
「うっ」
 カンという金属同士が弾ける音と共に大きく揺れるランタン。
 それと同時にジャックの周囲を囲んでいた火も消え、ジャックは片膝をついた。
「『ウィズマ・アーダ』!」
 か細いながら、芯のある声が響く。
 そこには、武器に魔力の刃を纏わせた、パルシェの姿があった。
 そして一拍おいて剣を構えると、彼女はジャックに向かってまっすぐに走り込む。
「『勇者之斬~!!』」
 飛び上がり放たれた一閃を、ジャックは辛くも鎌で防ぐ。
 だが、身動きを抑える事には成功した。
「今だよ!」
 パルシェの声に、アンリは駆け寄り母親を抱き抱えると、急いでその場を離れ、ベイキやビャッカの元へ合流する。
 ルガルとジョンの目の前にも、ルミネとランテが立ち塞がる。
 周囲を見れば、3人が受け持ってくれていた、多くのゴブリンやジャバウォックが地面に伏していた。
「お待たせして申し訳ありません。皆様は依頼にあった親子を連れて撤退を。ここは私達が食い止めます」
「そんな、無茶です! それなら僕も残ります!」
「無茶も紅茶も、従者の嗜みですから慣れっこですよぉ~♪」
 こんな時でも、タスクの言葉にランテの返答は明るい。
「無茶に変わりはありません。ですが、ここから村へ戻る道にもかなり距離があります。まだここにも魔物は残っておりますし、この騒ぎで他にもゴブリンやジャバウォックが駆けつけてくる可能性もあります。そんな時、お2人を守りきるためには、相応の戦力が必要です」
「でも……!」
「物事には順序があるの! 今は下がって!」
 タスクの肩に手を置き、フィリンは少し語気を荒げて首を振った。
 だが、次の言葉は絞り出すようにして紡がれた。
「余計な考えは捨てるのよ……今は正義を為す事に集中しましょう……」
 フィリンの顔にも、悔しさが滲んでいる。
 だがだからこそ、今できる最善の結果のために、それをかみ殺しているのが伝わってきた。
 飛び交う視線の中で、目の合う者合わぬ者はいたが、全員が同じ結論を出していた。
「撤退しましょう」
 エリカの言葉に、一行は素早く陣形を整える。
「チョウザ・コナミ!」
「了解、ゆーしゃ様」
 そしてフィリンとチョウザの焚いた発煙筒の煙に隠れるようにして、ベカジボ村へと引き返す。
 アンリは母親を背負い、ベイキは子供を抱きかかえる。
 先頭はチョウザとビャッカ、殿をタスクとヒューズが務め、フィリンとエリカはそれぞれ隊の横についた。
 だがルミネの予想通り、恐らく森に潜ませていたのであろう。
 舗装された道へ戻っても、まるで湧き出るかのように魔物達が襲いかかってくる。
「道をあけて! 邪魔をするなら力尽くで押し通るよ!」
 白き龍の翼をはためかせながら、ビャッカが空に舞う。
 だが既に日は地平線の彼方へ消えゆこうとしていた。
 ランタンやキラキラ石を使いながら、暗い闇の道を一行はただひたすらに走り続けた。
 行きよりも疲労し、月明かりのみの視界の悪い道を征く。
 だが行きよりも早く戻る事が出来たのは、泣きじゃくる少女の声が、そうさせたのかもしれなかった。
 

●救心行路――為すべき事と為せる事――

 月が高く昇る頃。
 何とか魔物の追跡を退けた一行は、ベカジボ村へと辿り着くことが出来た。
「パパぁ~!!!!」
 ペルルは、見つけるや否や依頼人の男に抱きついていった。
 最初はたどたどしく頭をなでていた男だったが、少女の話を聞くうちに、はっとしたような表情を浮かべた。
「ペルル……ペルルか! ああ、無事で良かった!!」
 今度は男の方が娘を力強く抱き返す。
 紙にしっかりと名前が書かれていたではないか。
 なのにどうして今の今まで忘れてしまっていたのか。
 自分の大切な何かが、自分の事を覚えている。
 こんなに嬉しいことがあるものか。
 そんな想いを感じながら、父親は娘を暫く抱きしめ続けた。
「皆さんも無事で何よりでしたぁ~。ルミネさん達なら、逃げるだけならきっと大丈夫ですぅ」
 依頼人の男と共に一行の帰りを待っていたシルフィアも、報告を聞いて安堵の表情を浮かべている。
「結局、おめかし3人組の狙い目的はなんだったんだろうねぇ、ゆーしゃ様?」
「ハッキリはしないけど、推測はできそうだわ」
 フィリンの言葉にエリカも頷く。
「今日得た情報を学園で共有して色々と調べてみましょう。タスクさん、情報の整理、お願いできる?」
「了解ですエリカ部長!」
「それなら、私のメモも使って下さい」
「ベイキさんありがとうございます!!」
「あとシルフィアさん、お母さんの容態は……」
 ベイキは申し訳なさそうに言う。
 撤退の道中、ずっと意識が戻らなかった。
 恐らく、この村の中でも深刻な状態であろう事が推測出来た。
「仕方ないですよぉ。今は学園で保護して、症状を回復する方法を探ってみますねぇ」
 あ、それから。と、ヒューズに駆け寄るシルフィアは、そっと耳打ちをした。
(村の中には特に怪しい人はいませんでしたぁ。でも、時折この辺りで見かけないような仮面をつけた人がうろついてたらしいですぅ)
 ヒューズは礼を言うと、去って行くシルフィアの背中に1人呟く。
「くそっ。全部後手じゃねぇか……」
「ヒューズさん?」
「え? ああ、アンリさん。変な所を聞かれちまいましたね」
「気持ちは分かる。俺も悔しい」
「それは私も同じだよ。でも、2人を村に送り届ける事は出来たんだから! それだけでも、ここに来た意味はあったと思うよ!」
 ビャッカの励ましに、一行は少しだけ笑顔になれた。

 
 事件から数日後、学園の保健室にて。
 マリーナと書かれた部屋のベットに横たわりながら、女性は筆を取る。
 大切だったはずのあの人へ。
 命を投げ出してでも守りたかったはずのあの子へ。

 必死に考え、時間をかけて、ついに彼女は筆を置いてしまう。
 手紙には、ただこう記されていた。

 拝啓、見知らぬ貴方様へ。

 消えてしまった記憶に宿る大切な想いは、今はもう記録にしか残されていない。



課題評価
課題経験:150
課題報酬:5000
拝啓、見知らぬ貴方様へ
執筆:pnkjynp GM


《拝啓、見知らぬ貴方様へ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2019-09-19 00:02:24
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2019-09-19 00:47:20
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。
村を襲って大切な記憶まで奪った3人組、絶対に許せません。
村人さんのお困りごと、解決いたしましょう!

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 3) 2019-09-19 02:48:10
黒幕・暗躍コース、新参者のヒューズ・トゥエルプです。
よろしくお願いします。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 4) 2019-09-19 06:17:59
勇者・英雄コースのフィリンよ。よろしく。

なんだか霧を掴むような話ね…けど、やらないと…

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2019-09-19 08:49:23
最低でも達成しなくてはならないのは、隣村まで買い物に行ったと思われる親子の
エスコートだけど、道中でお化け三人組みやその手の物に襲われる可能性が高いわね。
お化け三人組が来た場合は苦戦しそうだから、充分な対策を練っておきたいところだわ。

さらにできることを考えれば、記憶喪失になった人の記憶の回復や村の復興、
お化け三人組の確保や事件の原因や真相の解明までできればとは思うけれど、
実際のところ、全部やり遂げるのはかなり難しいでしょうね……

みんなで意見交換をしながら、少しでも状況の収拾に貢献できればと思うわ。
よろしくお願いね。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 6) 2019-09-19 18:10:54
頭数揃えてカチコミ…。ニュアンス的には殺戮っつーよりは蹂躙ですかね。
記憶を奪うってのも不思議な話ですね。何か魔物サイドには明確な目的っつーか、狙いがありそうですね。

まァ、頼りになる先輩方も居ることですし、
多少の人は割けるのかな。

というか…隣の村もデンジャーゾーンじゃない?
大丈夫かな〜。お化け。宵。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 7) 2019-09-19 20:17:48
最悪の場合(隣村の壊滅、三人組の親子襲撃ないし記憶喪失)は考えておいた方がよさそうね…
グリフォンで半日くらいの距離なら、無事な人は学園に匿ってもらう?

>達成しなければならない事

エリカが挙げてくれた目的を集約すると、
三人組との対決は避けられなさそうね。
逆に三人組を確保なりできれば、時間の必要な復興以外は何とかなりそう?
真相究明、記憶回復の鍵は3人組がもってるでしょうし
親子の保護は3人組との対決とほぼイコールだし…

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 8) 2019-09-19 23:24:09
…ちょっと前もあったよね、記憶奪う魔物だかなんだかの仕組みからくり。
魔王軍的には超絶に効率いいだろーしねぇ、この手の手出し。
てか現状まおー様いなくてこーいう被害ちょこちょこ見かけてる辺り、まおー様健在の頃えげつかったのかな。
過ぎた事象へなんかできるわけでもなし、なんでもいーけど。

ちらっとお話語られてた内容はぱらっとりょーかい。
立地道のりにも寄るけど、ひとつの村でやらかして、次に隣村ー。なんて流れは全然ありうるからねぇ。
隣村でばったりの鉢合わせ面会の可能性強め。
極端なお話、速度重視の方針立てて、頼まれてるお二方だけ確実確保して、魔物に関わらず…って選択肢もあっけど。
ゆーしゃ様達との多数決に勝てる気しないし、出さずに引っ込めとく。気楽なんだろーけどね。

でさぁ。ザコちゃん被害とか情報聞いて1番気になってるとこなんだけどさ。
村って焼け燃えてたらしーじゃん?三人組が指揮してた魔物はゴブリンとかジャバらしーじゃん?
…どっちも炎絡んでなくない?っていう。
てなるとー、あっち側の戦略としては。魔物たちに襲わせてー、ばちゃばちゃしてる間に、
炎なり、記憶に絡むなんかなりのなんか仕込んでるんじゃないかなーって。ただの予想だけどね。

ってなると、さっさと下っぱの魔物切り抜けて、三人組へ接触できっといーのかな、とは。
情報を得てから攻めるか、初見のお初ななんかで一撃必殺されるのを防ぐ速攻か。2択なのかな。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2019-09-20 06:19:15
プロローグを読む限り、事前調査をする時間はなさそうですね。
テス先生の情報を元にした【推測】で、少しでも戦闘を有利にするプランを書いて見ますね。

詳細がよくわからない以上、戦闘についても十分備えたほうが良さそうですね。
僕は、両手剣、片手剣・盾、両手盾、のいずれかなら対応できます。
現状積んでいる技能は、【勇者原則】【勇者の斬】【防御陣地】【博愛主義】です。

また、もし三人組から情報を取るなどで、生け捕りの必要があるなら
指揮棒に持ち替えての【コツンと一撃】で対応できます。
その余裕があるかどうかは心もとないですが、一応、案として。

また、僕たち用の記憶喪失対策としては、首から名札を下げておくのはどうでしょうか。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 10) 2019-09-20 21:03:49
>事前調査
現場のベカジボ村周辺の事なら、通報を受けてすぐに資料をかき集めて
グリフォン便での移動中に内容を確認するとかできそうな気もしたわ。
三人組については会った上での行動次第になりそうね。

>三人組
楽観的に考えたら、目的は既に果たしていて今回の再登場はない。って線もあるけど
実際のところは、戦う事になると考えておいた方が良さそうね。
捕獲して行動の理由や原因を聞き出したいところだけれど、難しそうだし
襲撃してきた所を撃退できればラッキー。捕獲や真相解明はまたの機会。といった所が
現実的なラインかもしれないわね。

>放火・記憶収奪
放火はゴブリンでも松明とかを持たせればできそうだけれど、
記憶を奪うのは、何らかの術や魔法の道具なんかが必要そうね。
そうなると、三人組の誰か、もしくは全員がその手段を持っている可能性が高そうね。

>NPC先輩にしてもらうこと
1:母子の捜索と護衛に隣村へついて来てもらう
2:念のためにベカジボ村に残ってもらう
3:ベカジボ村の人々を学園へエスコートしてもらう
4:その他
選択肢としてはこんなところかしら?

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 11) 2019-09-21 06:38:30
>三人組
そうね…既に目的は達成しているようだし、あと今の戦力で勝てるかどうかは慎重に見極める必要があると思う。
職業技能『全力撤退』とか、煙幕みたいな目くらましとか、逃走手段は用意しておいて損ないかな?

>記憶喪失について
記憶喪失の依頼は前にも一度受けたことがあるけど、今回は私たちが記憶を奪われたら完全に負けじゃないかな……。
迷子札とか手間でない備えはあって越したことないけど、ならないようにする方を重視した方がいい気がするわ

>NPC先輩
今回、お手伝いをお願いできるのはルミネさん、ランテさん、パルシェさんでいいのよね。
エリカ案だと2か3が無難そうだけど、いっそ1で捜索をお願いして、私たちはベカジボ村での情報収集に全振りするっていうのも手なのかしら?

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 12) 2019-09-21 07:28:12
到着時刻が14時。移動時間で日没。
そっから親子の捜索やら何やら、と。
最短で出発したとして、夜が深くなっている時間にぶつかってしまう。
道中で御三家と邂逅する可能性がある。
ただ夜明けを待ったところで…隣村に来襲なんてのも考えられる…。

何にせよ、まずば母子の保護を確実に。ってところで。
交戦を避けて撤退するなら、良く練った方がいいかもね。
護衛対象は女の人と子供。必然的に逃走スピードは落ちるし、魔物の存在も無視出来ない。
有事の際は殿と護衛で分けて編靆を組むってのはどうでしょうか?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2019-09-21 09:18:55

フィリンさんの案は、逆転の発想的で面白いですね!
ただ、メタなことを言うとPC不在だと良いリザルトにならな…げふんげふん!
ええと、あくまで授業なのでメインの行動を先輩ばかりにするのは問題ありそうです。

先輩さんたち3人は、「同行する」と書いてあるので、
同行してもらったほうが良いかもですね。
もしかして3人同行前提に戦闘バランスを組んでいるかも…げふんげふん!
えー、それほどの脅威があるのかもしれませんし!

ヒューズさんの言われるように、護衛と殿を分担するのは、良いかもしれませんね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2019-09-21 09:25:35
戦闘可能な先輩は3人。
ぺカジボ村残留の護衛、同行の護衛班、同行の殿班、に分けてお願いするのはどうでしょうか?

生徒諸君は護衛班と殿班に別れると仮定するなら、
僕は殿班にしますね。今回は遭遇戦なので、陣地よりも防御系技能を積んどきますね。
護衛班は全力撤退持ちのかたが担当されるのがいいでしょうね。
僕も持ってますので、僕はどちらでも対応はできます。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2019-09-21 09:29:12
あ、キャンペーンで、爆発する実をもらいましたよ!
目眩ましに使えるかもしれません。

僕は、殿をつとめる場合は、戦闘中も【推測】全開で、
3人組の謎に少しでも迫れればと思います。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 16) 2019-09-21 23:33:10
教祖・聖職コースのアンリ・ミラーヴ。出発まで間がないけど、よろしく。
マリーナとペルルの護衛をしたい。
それ以外に、二人がリバイバルではないかと、ルミネさんに尋ねてみる。
マリーナさん達だけでなく、村の中に何人かリバイバルが現れている…かもしれない。
村人から失われた記憶は、故人と関係しているんじゃないかと、思った。

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 17) 2019-09-22 01:50:37
勇者・英雄専攻のビャッカ・リョウランだよ。
ギリギリの参加になったけど、よろしくね。

行動はこれから考えるよ。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 18) 2019-09-22 03:51:31
あくまで俺の憶測。だからルミネさんに尋ねて確認する。
ハロウィンのもとになったのは、この世に死者が戻ってくる祭り。そこでは、かがり火が焚かれたらしい。
村を焼いたのはかがり火、ジャックが持つのは死神の鎌、に思える。
ルミネさんが言った「村人はほぼ命を失ってはいない。全てが消えてしまった訳ではない」。
これを俺は、今いる村人の中に死者、リバイバルが混ざっていて、まだ消滅していない、とも受け取れた。
村人の失われた記憶は、主に誰かとの繋がり。大切なものも、そこに思い出があったとすれば。
でもどうして、失った記憶を、友人との約束みたいな具体的に、ルミネさんが知っているのか。
忘れた人に対して、覚えている人がいたからだと思う。その覚えている人が、今回の事件で蘇った人かもしれない。
マリーナさんとペルルさんも、蘇った死者。だから俺達の目的は、二人を消滅させないで連れてくる事。
消滅は、時間も関係しそう。死者が戻るのは祭りの間だけ。時が過ぎれば、この世から消える。
闇を恐れる村人の一部は、死者の世界へ帰ることを恐れてる、かも。
ジャック達の目的は、死者を蘇らせる祭りで、彼らにとってそれは、いたずら、だったかも。
全部、俺の憶測。依頼は、マリーナさん達を見つけて、連れ帰れば良いだけ。
でも気になったから、尋ねてみる。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 19) 2019-09-22 04:00:02
ルミネさんに尋ねる。でもルミネさんが真相を知っている、とまでは俺も思っていない。
村中が記憶喪失。もし本当に蘇った死者がいても、本人が死んだことを忘れていたら、ジャックの襲撃以前に死んでいたか、ルミネさんもわからないと思う。
真実は多分、時間が経てばわかる。全部間違ってたら、恥ずかしい。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 20) 2019-09-22 05:54:23
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
実力的にどうかと躊躇してたのですが……最終日ですし、人手はあった方がいいかと思い参加しました。

基本的には後方から祈祷での回復やデトルでの毒・麻痺解除等の援護。
必要であれば復活呪文の行使も視野に入れては居ますが、みなさんの足を引っ張ってしまいそうでしたら村に残って、村人のサポートに回っても大丈夫です。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 21) 2019-09-22 06:04:14
そう言えば、14時頃に村に着いて、隣村まで3~4時間。
ヒューズさんの仰るように、夜間に行動せざるを得ない状況になりそうですね。

一応、ランタンを持っては居ますが30分程度しか使えないようですし……使いどころが難しいかも。
逆に敵を呼ぶ目印にもなりかねませんし、明かりはないほうがいいでしょうか?

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 22) 2019-09-22 07:38:16
あと、流れの確認ですけど、隣村に行ってマリーナさん、ペルルさんを見つけたあとは、速やかに夜の森を抜けベカジボ村に戻るイメージでいいでしょうか?

それとも、隣村で夜を明かして戻る……という選択も無くはないかも。
ただ、隣村の様子がわからない以上、隣村に長居するのもリスクになる可能性も否めませんし、ヒューズさんの仰るように隣村に滞在中に敵襲があったら、隣村を巻き添えにしかねないのが……。

既に、隣村でも異変が起きてる可能性もないとは言えませんが、そこまで考えると手が回らないでしょうし、なかなか厄介な状況ですね。

>分担
同行の護衛班、同行の殿班に分かれる感じでしたら、私は護衛の方がいいでしょうか。
殿の援護に回っても、敵に狙われて足を引っ張ったりしたら大変ですし。

>記憶喪失対策
羊皮紙や筆記具を用意して、状況をメモしたり、今回の目的等をグリフォン便の移動中等に事前にメモしておく等の手段もありそうですが、道具の持ち込みにも限りがありますし、有事には悠長にメモ取りできませんし……。

メリットもあればデメリットもあるのが難しいですね。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 23) 2019-09-22 08:57:34
出発は今日の夜。相談の残り時間を考えると、複雑な連携や作戦は難しそうね。
今回のところは、隣村へ買い物へ行った親子の捜索と保護を最優先して
その時に発生する可能性が高いと思われる戦闘の対策を取っておくのが
最低限でもやっておくべき事かしらね。
真相の解明や親子以外への襲撃対策、記憶の回復やその他フォローなどは
各個人でプランに余裕があれば行うとか、別の機会があることを願うところね。
歯がゆく思う所もあるけれど、今できる最善を尽くしましょう。
わたしも今日は出発まで、なるべく頻繁にここを覗いてプランを調整するわね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 24) 2019-09-22 13:10:12
今回、なかなか顔を出せなくてすみません。
まとめて下さってる皆様、ありがとうございます。

基本ラインは最優先が親子の捜索・次に戦闘対策だと僕も思います。
遭遇した場合の動き方としては、
親子発見前なら、逃走
親子と合流後なら、護衛班と殿班に別れる、というのはどうでしょうか。

上記でいくと仮定して、取り急ぎ、班分け希望を募ります。
現状は、
護衛班 ベイキさん、アンリさん
殿班 タスク

また、全力撤退を持ってる人は、全員積んでおいた方がいいと思います。
技能枠に制限が出てしまいますが、今回ばかりは、脅威が未知数だし、
生き残って次に繋げることが重要と思うからです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 25) 2019-09-22 13:15:25
その他の行動について

事前調査についてはエリカ部長さんの言われるとおりなので、
僕も字数を調整し、ギリギリまで情報をかき集めます。

部長さんが村周辺について調べていただけるなら、
僕は、類似の事件や伝説を探して、敵と、記憶喪失について調べますね。
記憶が戻る方法が分かればいいのですが…(ウイッシュ案件)

あとは、殿班を任せてもらえるなら…
華鬼事件のときのように、直接聞いてみるつもりです。
自称☆報道勇者ですから!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 26) 2019-09-22 13:18:45
アンリさんの見立ては非常に面白いし、可能性はあると思います。
是非、切り込んでいただきたいところです。

祖母の【マーニー・ジム】が前にご一緒したかと思いますが、
「面白い発想の子たちがいる」と楽しそうに言っていました。
アンリさん、ヒューズさん、今回ご一緒出来て嬉しく思います。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 27) 2019-09-22 16:54:38
へぇ、ハロウィーンにはそんな成り立ちがあったのか。
確かに、如何にもって感じ?
なんとも、芯を食った推測というか…。

明かりに関してはあっても良いと思いますよ。
自警団が深夜も活動してるか、わからないけど。
どうせ一本道、会う時は会う。
割り切って考えてもバチは当たらねぇ、はずです。

言い出しっぺは、そうさな。
バランスを取って殿につきますか。
殿は散開して森に駆け込めば、上手いこと撒けるかもしれない。
こっちも【全力撤退】は組み込みんどきますぜ。
タスクさんはよろしく。
マーニーさんにもよろしく伝えておいてくだざい。
ちら、と、貴方について聞いてたけど、びっくりするくらい清々しい人だね。
人に安心感を与えるというか…。安心して背中を預けられるよ。


《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 28) 2019-09-22 18:01:59
護衛班 ベイキさん、アンリさん
殿班 ヒューズさん、タスク

ヒューズさん、ありがとうございます!嬉しいです(照)
おばあちゃまにもお話しますね!
こうして、ご縁がご縁を呼ぶのも、学園の面白いところですね。

さて、いよいよ今夜出発に向けて、プランを仕上げています。
アイテムの選択に悩みましたが、僕は、グラヌーゼ麦をチョイス。
シルフィアさんに預けて炊き出しに使ってもらいます。

あとは、どなたか文字数が調整できたら、
先輩3人を護衛・殿に割り振っていただけると助かります。


《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 29) 2019-09-22 18:04:12
>役割分担
私は護衛役に回ろうと思うよ。
三人組は気になるけど…やっぱり、親子を守るのが一番だよね。

私は前衛、護衛役の中でも前に出る感じかな。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 30) 2019-09-22 18:40:26
色々悩みましたが、使える時間も限られるので、ランタンは用意せずに羽根ペンを持っていくことにしました。
羊皮紙の代わりになるものは……少し考えがあるので。

分担については了解しました。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 31) 2019-09-22 22:07:56
ランタン、俺は持っていく。
武器を使えなくても、盾で守れるから。

マーニーさんからそう言われたの…俺も照れる(尻尾ぱたぱた)

記憶喪失対策は思い浮かばない。けど、ランテさんが「噂のお化け3人組」と言っていた。
何か情報を持っている、かも。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 32) 2019-09-22 22:16:37
>担当
【全力撤退】を取ったので、わたしは護衛班を担当するわね。
NPC先輩3人には殿に回ってもらう事にするわ。

情報収集の方は文字数的に厳しいので、できなかったらごめんなさいね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 33) 2019-09-22 22:23:31
護衛班 ベイキさん、アンリさん、ビャッカさん
殿班 ヒューズさん、タスク
だいぶ充実してきましたが、他の皆さんのご参加お待ちしています。
また、別途、他の行動を取るというのもありかと思いますので、その場合は、
書き込んでくださればみんな安心すると思います。

僕の事前調査は、集合時間ギリギリまで大図書館で本を借りまくり、
グリフォン便で読みまくる、という描写にしてみました。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 34) 2019-09-22 22:34:29
護衛班 ベイキさん、アンリさん、ビャッカさん、エリカ部長さん
殿班 ヒューズさん、ルミネ先輩、ランテ先輩、パルシェ先輩、タスク
殿班が一気に頼もしくなりました。ありがとうございます!

僕は、殿班の中でも壁役になろうと思うので、技能をダメージから防御に変更しました。
【勇者原則】で先手を取り、
【博愛主義】でインタビュー
【衝撃享受】で壁役を努め、十分時間を稼いでから
【全力撤退】で撒きます。

インタビューは相手を怒らせるだろうし、【挑発】もありますので
十分ヘイトを稼げると思います。
僕一人では心もとないけど、ヒューズさんの撹乱と先輩方の戦闘力で
親子を逃がす時間は稼げると思います。
撤退は、ヒューズさんの案をいただき、森に散開するよう書きました。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 35) 2019-09-22 22:46:16
全力撤退持ち込みの件もりょーかい。ちょっとプラン弄りつつ校庭で走り込んどくね。

爆発の種…はザコちゃんも持ってるあれ。食べるに食べれないよねあれ。
ただあれ、あの3人組の遭遇場所が人のいる場所とかだと投げにくいしなぁ、って躊躇っちゃうとこあるよね。
ま、せいぜいレベル1な投擲ぶん投げの技術なザコちゃんだから思うのかもだけど。

なんかいつの間にか2分割してたし、結構な大所帯してたね、
ザコちゃんどっちに入っても手狭の無駄人員になりそーだし、索敵斥候的な事しとくね。
バレたらバレたで、使い捨て囮なデコイ的な扱いでいーから。ザコちゃん如きの記憶が大勢の体勢には無影響だろーし。
そもそも親子方様の存在に気が付かないならそれはそれで楽じゃん。そー上手くもいかないだろーけど。

それとぉ、ぶっちゃけなんとなく、今回だけで諸々の全部どーにかできそーな感じはしないじゃん?
だからこそ、ザコちゃんは様子見観察いっぱいしときたいなーって。
おもしろそ……今後の意向の参考程度に、ねぇ?

なんせよもうすぐ出発なんだし、プランの投げ忘れはないよーにね。
何も出来ずに記憶消えんのはそれはそれで不愉快じゃん?

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 36) 2019-09-22 22:51:32
御免、遅くなったわ。
先輩方に殿をお願いするなら、私も護衛班に回ろうと思う。
技能は私も『全力撤退』と、あと『危険察知』を。
装備は…迷うけど『発煙筒』で。気持ち程度だけど煙幕になるかもしれないかなって。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 37) 2019-09-22 22:59:43
アンリさんの仮説はとても興味深いわね。
リバイバルの性質とその謎、そして生と死と記憶。
全てが当たっていなかったとしても、目の付けどころはかなりいいんじゃないかと思うわ。

>事前調査
何とかねじ込めたので、わたしは過去の同様事件または異変の有無。
村や周辺地域の魔族や勇者との縁の有無を調べてみるわね。

>アイテム
万一を考えて特急薬草を持って行き、重傷者へ優先的に使う事にしておくわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 38) 2019-09-22 23:10:06
斥候 ザコちゃんさん
護衛班 ベイキさん、アンリさん、ビャッカさん、エリカ部長さん、フィリンさん
殿班 ヒューズさん、ルミネ先輩、ランテ先輩、パルシェ先輩、タスク
これで出揃いましたね。頼もしい布陣です!僕も頑張ります!

ザコちゃんさんのいつもの言い方なのは分かってますが、敢えて言います。
使い捨てじゃないですよ~大事ですよ!
僕、実は結構授業一緒だったりするので、もはやお友達とか言っちゃうくらい大事ですよ~!
ま~、こう思うのも僕の勝手なので、気にしないでください。
真面目な話、斥候は大変助かります。ザコちゃんさん、スペシャリストですからね。

フィリンさん、発煙筒大変助かります!
僕が、村が全焼だと食べ物も困るかな~と麦を持ち込んでしまい、
隠蔽手段ないな~と思っていたので、ありがたいです。
これで、さらに時間を稼ぎやすくなりますね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 39) 2019-09-22 23:16:35
エリカ部長さん、それ、最近購買部に追加された、
噂の新薬ですね!?(語弊あり)
頼もしいし、効果のほどが楽しみですね!

調査プランもさすがです!一緒に頑張りましょうね!

…何だか、デートのときとやってること変わらないのは、気のせいでしょうか?(苦笑)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 40) 2019-09-22 23:26:47
アンリさん、おばあちゃまはですね、学問の鬼みたいに、向学心の塊みたいな人だったから、よく考える子を見ると、すごくかわいく思うみたいです。

アンリさん、ヒューズさん、
今回初めましてのベイキさんも、アイデア出し凄かったですね。
もちろん、僕より先に入った皆さんは、僕なんか逆立ちしても敵わない知識や発想をいっぱいお持ちですし。
そんな学園に入れて、おばあちゃまはとても幸せだと思います。

あんまりエンジョイしてるもんだから、ほんのちょっぴり、思いますけどね。
僕の涙を返してって(苦笑)

もし、またおばあちゃまと授業が一緒になることがあったら、
構ってあげてもらえたら嬉しいです。

(終わりが名残惜しくて、ついキャラ語りに走ってしまい、失礼しました。
今回手応えありすぎて、余計名残惜しさ倍増でしたので。)

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 41) 2019-09-22 23:36:40
プラン送信っと…

全力撤退は習得して装備したよ。
それ以外の技能は、護衛組で戦わないと行けない時のための攻撃と防御にしたよ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 42) 2019-09-22 23:56:22
ビャッカさん、この作戦のために履修してこられたんですね!
お疲れ様です!

これだけベストを尽くしたんですから、親子の救助はもちろん、
事件の手がかりも、持ち帰れるだけ持ち帰りましょう!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 43) 2019-09-22 23:59:26
本当に、いよいよ出発ですね!
今回はかなりの難易度だっただけに、すごく白熱した会議でしたね。

(事態は切迫してるけど、中の人はすごく楽しかったです!)

ご一緒いただき、ありがとうございました!
お互いに、武運を祈りましょう!