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入学願書が手に入りました!



ストーリー Story

 勇者の育成を理念とする魔法学園「フトゥールム・スクエア」は年齢や種族問わず、その門戸を開けている。どんなものであれ学びたいという意欲さえあれば学生として歓迎される。
 その為、学園と交流のある町や村にビラのように入学願書が配られているので、簡単に手に入れられる。
 学園にちょっとでも興味を持てば、どこからともなく入学願書は現れる――そう、受け取らない限りずっとだ。一度受け取ってしまえば、紙の束に埋もれることはないし、そういう仕様なだけで学園への入学を強制するものではないので安心して欲しい。
 学園に入学したい者は、当然入学願書に名前その他諸々記入する必要がある。だが、世知辛いこの世の中、文字が書けない者も一定数いるわけで、そういう場合は血判のみというワイルドな方法でも大丈夫だ。
 たまに記入するのが面倒臭がって血判で済ませる者が毎年出るのだが、よい子は真似しないように。
 入学願書を記入し終わったら現れた時と同じように魔法であっという間に学園に届く、ということはなく――極めて現実的な手段で提出しなければならない。
 学園に郵送してもらうか学園関係者に直接手渡したり、あるいは学園へ直接持ち込みも可だ。
 なぜ受け取るときのように記入し終わったら魔法で届かないのかというと職員の手抜きゴホンッ――これも学園に入学する為の試練なのだ、おそらく。
 願書受理の珍しい例だと、食事に困った末に学園に忍び込み、7日間誰にも見つからず潜伏しきった末に、何故か学園長に勝手に願書をねつ造され生徒になっていた、という前例もある。
 よくある例だと、ターゲットを殺しに学園に侵入した暗殺者やスパイが呆気なく捕まり、強制的に学生になっていたなど学園あるあるだ。
 学園に入学すれば寮を割り当てられ、卒業するまで学生としてそこで暮らしていくことになる。

 さて、君はどんな経緯で入学することになったのだろう。
 魔法を極めたい、あるいは手に職をつける為にと真面目な理由もあれば、女性との出会いを求めて入学を決めた不純な動機の者も中にはいる。
 他にも一旗揚げる為にと家出した末に……であったり、迷子になっていたら、いつの間にか学生になっていたなどの経緯もあるだろう。
 衣食住につられて学園に来ましたというある意味切実な理由で、入学する者も結構いる。例え目標がなくてもこれから見つければいい。そういう学生も学園でたくさんのことを学んで欲しい。
 そうやって自分の意志で学園に来た者もいれば、一族の仕来たりで入学が決まったり、勇者に憧れていた親が勝手に入学願書を出していたなど入学する理由は様々だ。
 何か目的を持って入学をした者がいれば、なんとなく入学してしまったり、仕方なく入学することになった者もいるかもしれない。
 どんな理由にせよ、ここに入学した以上は一度っきりの学園生活を謳歌して欲しい。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 4日 出発日 2019-02-02

難易度 とても簡単 報酬 なし 完成予定 2019-02-12

登場人物 8/8 Characters
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《新入生》スラフィル・ケーニヒヴルト
 エリアル Lv6 / 賢者・導師 Rank 1
ボクの御家は200年くらい続いてる魔導師の貴族家系なんだよ。 王様・貴族の専攻もあるみたいだけど、立ち居振る舞いなんて、 人となりと生まれ育った環境に起因すると思ってるし、いろいろ 思うところがあって興味のあるこっちの専攻を選択したんだ。 お父様とお母様は王様・貴族専攻の卒業生だったから色々と説得 が大変だったんだけどね~…… 仲良くしてくれる友を待っているよ! よろしくね!! ◆珍しいエルフタイプの元気っ子少女 エルフタイプのエリアルは基本的に物静かなイメージがあるが、 スラフィルは活発で元気な女の子。 喜怒哀楽がハッキリしており、直ぐに顔に出てしまうタイプ。 誰とでも基本的に仲良くなれるが、利己的な者と横暴な者とは 決してまじわろうとしない。 【容姿】 腰を超えるくらいの亜麻色の髪 虹彩異色の瞳(右側:緑 左側:青) エリアルのエルフタイプらしく少し尖った耳 母から貰った大きめの懐中時計を首からぶら下げている 私服では軍服ワンピースと呼ばれる服装を好んで着用する傾向 授業や全校集会など学校行事のときは制服も着る 【交流】 友人からスキンシップされるのも、するのも大好き。 来る者拒まず去るもの追わずのスタンスであるものの、親友や お世話になった人には義を尽くす。 【話し方】 一人称:ボク 二人称:名前、愛称、キミ 柔らかい言葉遣い 〜だよね、〜だね、〜かな、〜じゃん…など
《新入生》セイラ・ラテュール
 ヒューマン Lv2 / 教祖・聖職 Rank 1
みなさん、はじめまして。 教祖・聖職コース専攻のセイラ・ラテュールと申します。 聖職者としてはまだまだ未熟者ですけれど、わたしなりに精一杯みなさんのお力になりたいと思っていますので、よろしくお願いしますね。 えっと、それから……わたし、誰かのためになりたいと常日頃から考えているんです。ですから困った人を見かけると放っておけなくて。周りからはお人よしなんて言われますけど、それがわたし自身の望みでもあるので、それでどんなに苦労したとしても後悔はしていないつもりです。 ですので、なんでもお気軽におっしゃってくださいね? わたしにできることでしたら、何でもしてさしあげますから……こう言うとみなさん、特に男の人は喜ぶことが多いんですよ。 どうしてでしょうね……うふふ♡ みなさんの喜ぶ顔がわたしの何よりの生き甲斐です。 ですから、たくさんご奉仕させてくださいね♡ —————————————————— 色々と怪し気な子ですがよろしくお願いします。
《新入生》メルヴィナ・セネット
 ローレライ Lv3 / 賢者・導師 Rank 1
メルヴィナ・セネット。 この学園で多くを知るのを楽しみにしている。 魔法とか精霊とか一般常識とか。色々。 これからよろしく。 ……自己紹介とはこれでいいのだろうか。 ◆好奇心旺盛なローレライの少女 素直な性格。色々と抜けており忘れっぽい所もある 顔にはあまり感情が出ないが仕草や言動の端々に表れてしまっている 入学理由はさまざま。 主な理由は学園の摩訶不思議さに心惹かれたため 魔法や精霊への興味から賢者・導師コースを選択した 雪に関わる精霊や生物がいたら仲良くなりたい ◆最近の様子 学園散策を楽しむ日々 課題を記録する職員さんがいるという ときどき職員室に行ってみている。片手にはレターセット ------------------------ 【容姿】 肩下・胸元まで伸ばした茶色のウェーブヘアー どことなく眠たげな瑠璃色の瞳 髪の周りに水を纏わせている(水分放出は髪先から) 魔法使いな服を好む 身につけている銀の雪結晶のブローチは双子の兄からの入学祝い 帽子は水のような特性をもつ魔法の帽子。らしい 【交流】 誰に対しても友好的。よく喋る 会話は楽しい&自身にはない考えや知識に触れられるので好き 人とのペースの合わせ方、会話は勉強中 (PL:交友申請等は常時大歓迎です) 【話し方】 かための口調と話し方+少しくだけた言い回し 何かを呟く、眠い時は少しゆるくなる 二人称:名前、通称、または貴方 おもな口調:~だ、だな、だろう/~。~と思う/~か、~かな
《新入生》バルド・ダールベルク
 カルマ Lv7 / 黒幕・暗躍 Rank 1
とある研究所の実験体として作られたカルマ。 様々な実験と教育を受けていたが、ある日突然研究所が壊滅し、身寄りがなくなり困っていたところを別の研究所の所長に保護され、助手として働いていた事がある。 学園に入学したのは、学園での生活に興味があったのと、もっと色々な知識と技能を身につけて、恩を返したいと思ったから。 保護者のことは「ばあちゃん」と呼び、慕っている。 ・性格 陽気で少々荒っぽい。 元は淡々とした性格だったが、保護してくれた人物が豪快で荒っぽかった為、その影響を受けて現在の性格になった。 ・日課 本を読む事。 ジャンルは、小説、詩、魔導書、漫画、絵本など、日によって様々。 時間があれば黙々と読んでいる。 ・身体構造 かなりヒューマン寄りに作られており、味覚なども感じるように調整されている。 ・魔法陣 左手の甲と腰にある。 ・服装・装具類 ジャケットと長ズボンを着用していることが多い。 両手は黒革の指抜きグローブで手の甲の魔法陣を隠している。 縁にアンティークゴールドのレリーフが施されたゴーグルを常に身につけて、大事にしている。
《新入生》ソーダ・プニカ
 リバイバル Lv4 / 村人・従者 Rank 1
「ああ、そこ行く貴方。 この顔に見覚えはありませんか? ――ない。そうですか。これは失礼。 ご協力ありがとうございました」 生前の記憶のない魂霊族(リバイバル)。 思い残したことが、成し遂げるべきことが、 必ずやあるゆえの現在の姿だが、 当人まったく思い出せないでいる。 無表情で冷ややかな敬語遣い。 常に不機嫌そうな雰囲気を醸すものの 自分自身に苛立っているだけで むしろ他者への当たりは柔らかめ。 動物も植物も結構好き、だと思う。 あそこの花壇、最近元気ないのでは? 水をこまめにやるべきでは?とそわそわしている。 記憶の手掛かりにもなればと物事への関心は強い。 人生何事も経験ですよね。 尚、外見は三つ編み髪にメイド服姿である。
《新入生》ルネ・フェイム
 ルネサンス Lv3 / 芸能・芸術 Rank 1
うさぎのルネサンス。 普段からぬいぐるみを抱きかかえている。 あまり喋らず、大人しい。 容姿として、耳は垂れ耳で身長は152cmと低めだ。 見た目と裏腹に歳は高く二十歳は超えているらしく、かなり童顔に見られがち。 可愛い顔をしてる。 服装は、貴族のような白を基調とした可愛らしい服装にまとっている。 性格は、大人しいが思いやりの心を持っていて、あまり戦闘向きのタイプではない。 だが、大切な人や友人を傷つけられると、無意識に憎悪が増し豹変する。 好きなものは、ぬいぐるみ・小説を書くこと・ダンス・寝ること。 絵については壊滅的に下手だ。 特技は、歌に料理といったことで、家事が特に好きらしい。 夢はモデルやアイドルになることらしい。
《新入生》明智・珠稀
 ヒューマン Lv2 / 村人・従者 Rank 1
…ふ、ふふ。 はじめまして、明智珠稀(あけち・たまき)と申します。 なにぶん、この世界についてわからないことだらけでして… ぜひ貴方に色々と、それはもう色々と教えていただければ幸いです、ふふ…! それはもう、あぁんなことやこぉんなことなど、ふ、ふふ、ふふふ…!(恍惚) ■容姿と性格 漆黒の黒髪で右目を隠す妖艶な美形。 雰囲気から吸血鬼や高貴な死神のような印象を与える。 礼儀正しく、優美な笑みを浮かべ、柔らかな物腰。 だが、中身はド変態。 ガッカリ残念ド変態。 「……ふ、ふふ」という含み笑いと共に 老若男女問わず、生きとし生けるもの全てに愛を注ぐドMさん。

解説 Explan

●エピソードについて
 魔法学園「フトゥールム・スクエア」に入学するまでの経緯についてのエピソードとなります。
 あなたがどんな理由でこの学園に入学することになったのかを教えて下さい。つまりは、学園に入学する前の前日譚になります。
 学生個別のエピソードとなりますので、他の学生との面識は指定がない限りは発生しません。

●魔法学園「フトゥールム・スクエア」について
 勇者の育成を掲げる教育機関です。戦闘技術や魔法技術の研鑽にも力を入れていますが、昨今は時世の流れをあって勇者としての教育以外にもこの世界で生きていくのに必要な知識や実践にも力を入れています。

●入学手続き
1.学園の入学願書を入手する。
2.学園の入学願書に記入する。
3.入学願書の提出。
4.願書が受理した者のみが学園に招待される。
5.学園内の寮を割り当てられ、卒業するまではそこで生活する事となる。
 学園に入学際には上記の手順を踏んで進められますが、何事も例外があります。プロローグ内に書かれているような特殊な例で学生になることもあります。

●エピソードジャンルについて
 ジャンルは「コメディ」に設定してありますが、シリアスな描写がご希望の場合はその旨をプランにお書き下さい。


作者コメント Comment
 初めまして、「ゆうしゃのがっこ~!」でGMを務めさせて頂きますozと申します。皆様、これからよろしくお願いします。
 学園に入学する前にもPCの皆様には様々な人生があり、色々な想いを抱えて入学したのだと思います。
 大きな節目でもある学園の入学。それまで皆様がどのような生活を送っていたのか、学園に来るまで何をしていたのか。設定には書ききれない部分を今回のエピソードで書けたら幸いです。




個人成績表 Report
チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
食事も衣服も、情報も将来も全て決められ生きてきた。
生存に不自由はなかったけれど、それ以外の自由はなかった。
屋敷の皆が私を○○と名で呼ばず、お嬢様と役割でしか呼ばないことだけが救いだった。まだ自分の全てを束縛されてはいないように感じられたから。

屋敷の者の噂、裏山に極彩色の獰猛な魔物がいると。
あまりに気になった私はついに屋敷を抜け出し裏山へ向かった。しかし私を囲んだのはただのゴブリンの群れ。
不謹慎だとしても、逃げるか戦うか、「選択肢」が嬉しかった。

気付くと群が蹴散らされた。斑に染まった紅色の髪をした老人により。
破れた衣服に薄汚れた体。
私への心配もそこそこに魔物の残骸を漁る姿が、私には輝いて見えた。

スラフィル・ケーニヒヴルト 個人成績:

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獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
スラフィルはとある巨大な自由交易都市に古くからある上流貴族家系の長女として生を受けた
温和な両親のもとに生まれ、一人っ子であることから愛情を一身に受け、何不自由ない幸せな生活を送る
また、エリアルの種族特性だけでなく個人が持つ風魔法への親和性の高さから、非常に秀でた能力により周囲から期待され、幼少期より魔法を学び、特訓を始めている
5歳の頃に自然友愛から自らが使役することになる妖精を初召喚。名をフィーリアと名付けてとてもかわいがっている
ケーニヒヴルト家は代々、14歳になるとフトゥールム・スクエアに入学して学業に励むしきたりとなっており、母はケーニヒヴルトの長女として入学、そこで父と出会い恋に落ちた

セイラ・ラテュール 個人成績:

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獲得友情:1
獲得努力:1
獲得希望:1

獲得単位:0
獲得称号:---
わたしはとある地方の小さな教会で生まれ育ちました
両親も聖職者で、わたしも同じ道を目指しています

わたしが学園に来た経緯はごく普通ですね
ある日、願書が届いて……そのときから興味はあったんですけど
なかなか踏ん切りがつかなかったと言いますか

見知らぬ街に一人向かうとなると、やはり勇気がいりますよね?
私が臆病すぎるだけなのかもしれませんけど……

村の方々もとても良くしてくれる方ばかりでしたし
中にはわたしを『聖女』なんて呼んでくる方もいらして……ふふ、大げさですよね?

けれど両親の強い勧めもあって入学を決意しました
皆さんが開いてくれた送別会では泣き出してしまう人までいましたっけ
うふふ……ほんと、大げさですよね?

メルヴィナ・セネット 個人成績:

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獲得友情:1
獲得努力:1
獲得希望:1

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◆出身
雪がよく降る小さな町。辺境にある。田舎だ
でも自然豊かで人も穏やかで。住みやすい良い町だ
※入学までの暮らしは友人の店(魔法雑貨屋)や町の人の手伝い、動物の世話をする等のどか

◆経緯
町で学園の噂を聞いたのがきっかけだな
そしたら目の前に願書がどさっと降ってきた

学園は遠いので郵送で提出を、しようとして家族に邪魔されたりもしたな
まあ、最終的には世間を知る為だと許されたぞ。少し呆れてはいたが


◆入学理由
知らない多くを学べるから。魔法使いに憧れたから
……フトゥールム・スクエアという存在に心惹かれたのが一番の理由かな
学園を訪れた時に
魔法が「奇跡そのもの」だというなら。此処もそうなのか?
と思わず驚いてしまった

バルド・ダールベルク 個人成績:

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獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
学園のことは、買い出しの時に入学願書を受け取ってから知って
面白そうな所だなぁと思ったんだけどさ
最初は助手として働いてたのもあって、入学なんて考えてもみなかったんだよな

けれど、そんな俺にばあちゃんは
「興味があるなら行ってこい」と薦めてくれて
改めて検討する流れになったっていう…
まぁ、切っ掛けやら何やらは、大体そんな感じだった

暫くの間、研究所から離れて暮らすことになるのは
正直、気掛かりではあったんだが
検討していく内に、今後の為にも色んな経験を積んで備えておいた方が…と
思うようにもなって、入学する決心が固まったんだよな

発つ前にばあちゃんへ色々言ったら、頭をひっぱたかれたなぁ
その調子で長生きしてほしい

ソーダ・プニカ 個人成績:
成績優秀者

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獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
私は死んだ。

透ける身体を見下ろしながら
その事実は比較的すんなりと受け入れられました。
しかし、

服装、おかしくないです?

◆行動
メイド服のことは一先ず置いて。

服に違和感があるということは
常識等は有しているのでしょう。
店先を覗いてみても疑問に感じる事柄は存在しません。
お店の窓に映り込む姿は大いに疑問ですが。

メイド服のことは置いておいて。

どうやら自分に関する記憶だけがないようです。
私は誰で、どうしてこのような姿に?
……いえ何でメイド服着てるの?ではなく
魂霊族になってるの?的な意味で。

思い出すには様々な体験や知識の習得が最短ですかね
例えば学校のような場所なら――おや?

◆目的
私は生きた。
生きた証を探すのだ。

ルネ・フェイム 個人成績:

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獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
目的
学園に入るまでの経緯を語る

行動
ルネ・フェイム、彼には親がいない
親はいたが、気づいた頃には森に捨てられていた
ルネサンスである彼は音に敏感なのか、その森が危険だと気づいていた
自分に近づく足音に警戒しつつ出てきた、謂魔法使いに出会った
魔法使いは男か女かも分からない格好していた
森に住んでいると言われ、生死を救われ
だが、数年たち、彼が成人する前に、食料が尽きるという理由で捨てられ
成人まじかということで森を抜けることを覚悟し
だが、持ってる食料では数日しか持たずすぐ尽き
そして、その次の日に学園のそばで倒れ
誰かに救われた
保護された後、生きる希望を持つために学園に入学
入学の際、名前だけ発することができた

明智・珠稀 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
■生い立ち
…ここはどこでしょう。

気付けば、私は薔薇園に倒れていました。

芳しい芳香で目が覚め、身体を起こし…
周りを見回せば、色とりどりの薔薇の花。
ここは天国だろうか、そのように思いました。

立ち上がり、周りを見渡し。
見覚えのない場所。
…いや、場所だけではありません。
…私は、誰でしょう?

腕を組み、首を傾げていると
不意に声がかかりました。
「…あなたは、どなた?」
上品な老婆が私を見上げています。

「私は…」
心に浮かんだ言葉を、私はそのまま告げました
「明智珠稀と申します。はじめまして、マダム」

きょとんとするマダムは、その後笑みを浮かべ。
「私の薔薇園へ、ようこそ」
見ず知らずの私を暖かく迎え入れてくださいました

リザルト Result

●【チョウザ・コナミ】になった話

 食事も衣服も、与えられる知識も全て決められ生きてきた。
 生存に不自由はなかったけれど、それ以外の自由はなかった。
 家の繁栄の道具として作られた私は、両親に名を呼ばれる度に逃げ場を失っていく。
「いつ見ても美しい黒髪ですわ。……お嬢様、今日はどのような御髪になさりますか?」
 メイドの感嘆のため息を無視し、私は代わり映えのない返事で答える。
 屋敷の皆は私を○○と名で呼ばず、お嬢様と役割でしか呼ばれないことだけが救いだった。
 まだ自分の全てを束縛されていないように感じられたから。
 ある日、使用人たちの間で耳にした噂、裏山に極彩色の獰猛な魔物がいると。
 いつもならそんなこと気にもかけないのに、不意にどうしようもなく気になった私は仮病を装ってこっそり屋敷を抜け出した。
 罪悪感よりも開放感が勝った。
 そんな自分に罰でも当たったのか、私は慣れない裏山でゴブリンの群れに取り囲まれてしまう。
 こんな状況なのに私は喜んでいる。命の危機だというのに自分でも口元に笑みが浮かんでいるのが分かる。
 不謹慎だとしても、逃げるか戦うか、「選択肢」が目の前にある。
 どこまでやれるか分からないけれど、とことん足掻こう。苦し紛れに近くにあった棒っきれでゴブリン共に殴りかかる。

 呻き声が漏れる。
 圧倒的な暴力に嬲られていく。
 一撃振るうごとにゴブリン数体まとめて潰れ、ひしゃげ、千切られていく。その光景に私は、ただ見惚れていた。
「……綺麗」
 振るわれる武器は驚くことに木の棒だった。
 それなのに恐ろしく鋭く、何よりも美しい技だった。
 貴族の踊るダンスにも負けぬ動きは、どこにも無駄がない。
 その技に魅入っていると、気づけば群が蹴散らされていた。斑に染まった赤色の髪をした痩せっぽっち老人により。
 破れた衣服に薄汚れた体。私への心配もそこそこに魔物の残骸を漁る姿。それが、私には何よりも輝いて見えた。
 私は初めて抱いた感情に逸る気持ちを抑えきれず、お礼よりも先に彼が何者かを尋ねていた。
「奴隷だよ、元。ザコな嬢ちゃんには新規新世界かぁ?」
 少しでも彼を引き留めたくて私は早口で名を問いかける。
「名前ぇ? ただのモブだ気にすん……お爺さんって何だくそじじいでいいーだろ」
 間延びした口調に独特な話し方。私の周囲にはそんな風に気軽に話しかけてくる人はいなかった。
 その後、私は日々屋敷を抜け出し彼に会いに行った。彼が水煙草の煙と吐き出す外の内容の全てが新鮮だった。
 変わり者が集うおかしな学園の話もこのとき聞いた。その直後、入学願書が現れ驚く私を彼はにやりと笑っていた。
 だが、私は手にした願書を持て余していた。手元にあったとしても、この身では出せる筈がない。それでも捨てられず、こっそりとお守りのように残しておいた。
 こんな日々が長く続くわけがなく、終わりの日は呆気なく訪れた。
「○○、お前の結婚相手が決まった。日取りは――……」
 父が何かを言っている。
 私の返事は決められている。反論は許されない。人形は反抗などしない。だから、
「はい、お父様」
 そう求められるまま返事をした。
 それから婚儀の準備で慌ただしくなり、彼に会いに行くことはできなかった。
 決められた輿入れの日。
 乗っていた馬車が強く揺れ、御者が「浮浪者がいきなり飛びだしんだ!」という叫びに、私は何故か嫌な予感がし使用人が止めるのを振り切って馬車を飛び出した。
 目の前には、彼が倒れている。
 ドレスで足がもつれながらも駆け寄る。誰も彼の安否など興味がないようで皆が心配するのは馬車ばかり。
 怒りにも似た感情が内側で荒れ狂う。生まれて初めて心の奥底から沸き起こった衝動だった。
 彼が何かを言おうと口を開く。私は彼の言葉を聞き取ろうとしゃがみ込むと、彼は水煙草の瓶を手渡し、
「預けとく。好きに生きろよぉ」
 彼はにやりと笑う。
「……くそじじい」
 作れていたかも怪しい笑顔で、絞り出すような声で呼ぶと彼は目を細める。
 それを最後に私は走り出した。事故で集まった野次馬に紛れ込むように私はひたすら駆け抜ける。

 こうして私は私を捨てた。
 なんてシリアスに締めくくってるけど、ザコちゃんはこうポイっ過去と捨てちゃったわけなんだよねぇ。
 本当かどうかって、本当の本当で真実だしぃ、経歴にはそう書いてあるしねぇ。信じるか信じないかはゆーしゃ様にお任せご解釈はご自由にぃ。


●【スラフィル・ケーニヒヴルト】の決意

 巨大な自由交易都市に古くからある上流貴族として生まれたんだ。
 ボクの御家は200年くらい続いている魔導師家系でそこの長女なんだよ。とはいっても、ボクは一人っ子なんだけどね。
 両親からはボクが一人っ子だってこともあって、愛情を一身に受けていた自覚があるよ。
 温和で領地の人々から尊敬を集める両親はボクにとって自慢なんだ。
 魔導師家系として生まれたこともあって、魔法を学ぶことは家の義務なんだ。もちろん嫌々やってたわけじゃないよ。
 ボクはエリアルだってこともあって風魔法への親和性が高かったんだ。
 幼い頃から、ボクの周りには姿は見えない誰かがずっと傍にいるのがなんとなく分かっていた。
 ある時、僅かな風の違いや風に乗って聞こえてくる声を両親に伝えてみたらね。
 両親は驚いたような表情を浮かべてすぐに真剣な表情で色々と尋ねてくるから、そのときボクは何かおかしなことをしてしまったのかもと不安にもなったりしたことを今でも覚えてるよ。
 でも、それは杞憂だった。魔導師にとって第六感あるいはセンスは得難いものだと両親は幼いボクに分かりやすく説明してくれたんだ。
 それからすぐにボクは魔法を学び始めた。5歳の頃に自らが使役することになる妖精を召還することになった。
 何度も何度も練習した呪文を紡ぐと、風がざわめき始めるのをボクは肌で感じていた。

「じひぶかきせいれいよ。われはかぜのたみなり。スラフィル・ケーニヒヴルトの名のものとにわれとゆうぎをむすぶものをつなげ!」
(慈悲深き精霊よ。我は風の民なり。スラフィル・ケーニヒヴルトの名の元に我と友誼を結ぶ者を繋げ!)

 どうかボクと仲良くして下さい。友達になって欲しいんだ!
 魔方陣がエメラルドのように眩い光を放ち、ボクは目を閉じる。
 おそるおそるボクが目を開けると、小さな精霊がそこにはいた。
 来てくれた!
 祈るような想いに応えてくれたのが、ボクの友達である【フィーリア】なんだ。
 ボクの大事な友達。今もずっと傍にいてくれて、学園でも一緒なんだ。
 そうそう、ボクの家は代々14歳になると魔法学園フトゥールム・スクエアに入学し学業に励むのが仕来りなんだよ。
 ボクのお母様は学園でお父様と出会い、恋に落ちたんだ。惚気たっぷりに話してくれたよ。今でも仲が良いのはいいんだけど、ボクの前でイチャつかないで欲しいよね。

 二人は王様・貴族専攻の卒業生であり、我が子にも同じ道を歩んで欲しいと思ってたんだ。でも、ボクには他にやりたいことがあった。
 今の貴族制度には色々思うところがあって、ボクの魔法を誰かの為に役立てたいって思いの方が強かったんだ。
 もちろん両親への説得は大変だったよ。ボクも説得に数ヶ月もかかるなんて思ってなかった。
 二人は王様・貴族専攻の卒業者であることを誇りに思っていたから仕方ないことなんだけどね。
 それでもボクは自分の意志を伝えるために、何度も何度も話し合ったよ。両親にはボクが本気なんだってことを知っていた欲しかったからね。
 ボクが絶対意志を曲げないとお母様は見抜いてくれてたんだね。最終的にボクの味方になってお父様を説得するのを手伝ってくれたよ。
 結局、ボクに根負けする形で、入学することを許してくれたんだ。
 出発当日になると、あんなに楽しみにしていたのが急に寂しくてたまらなくなった。そんなボクにお母様からあるプレゼントが渡された。それはケーニヒヴルトの家宝である魔力によって動く懐中時計を。
 ――あなたはケーニヒヴルトの誇りよ、大丈夫。
 そうお母様に言われてボクは思わず涙が流れた。あれほど両親の反対を押し切って自分の道を譲らなかったのに、両親と離れるのが寂しいだなんて。そんなこと言えないよ。
 ぎゅっと唇を噛み締めてこれ以上泣いてしまうのを必死で我慢しているボクを両親は優しく抱きしめてくれた。
 いつでも帰ってきていいんだよって言われてるみたいで、ボクは安心したんだ。
 お母様もお父様も微笑んで「いってらっしゃい」と背中を押してくれた。
 ボクには帰る家がある。そう思える微笑みだったんだ。
 まだまだボクは子供で二人には敵いそうにない。
 だから、ボクは両親に胸を張って会う為にも学園でたくさんのことを学ぶんだ。友達もたくさんできたら、嬉しいな。


●【ソーダ・プニカ】とメイド服

 私は死んだ。
 透ける身体を見下ろしながら、その事実はすんなりと受け入れられました。
 しかし、ある問題が。
 服装、おかしくないです?
 そもそも何故メイド服を着ているんでしょうか。
 このしっくりとくる感じがなんともいえない気持ちになります。
 メイド服のことは一先ず置いて。
 どうやら成人男性がメイド服を着ているのはおかしいという認識があるということは、一般常識などは有しているのでしょう。
 すぐ近くにあった店先を覗いてみても、お金の使い方は分かりますし、品物の名前が分からないなんてことはありません。
 周囲のものを見ても日常生活に関して疑問に感じる事柄は存在しません。
 お店の窓に映り込む自分の姿には大いに疑問を感じますが。
 話が進みませんね、成人男性ぴったりに仕立て上げられたメイド服のことは置いておいて。

 どうやら私は自分に関する記憶がないようです。
 私は誰で、どうしてこのような姿に?
『……いえ何でメイド服を着てるの?』ではなく『魂霊族(リバイバル)になってるの?』的な意味で。私は誰に言い訳しているんでしょう。
 思い出すには様々な体験や知識の習得が最短ですかね。
 例えば、人が集まるようなところ学校のような場所なら――おや? 丁度いいタイミングでどなたか知りませんが、目が合いましたね。
 善良な通行人は私に声を掛けられて驚愕していました。ですが「あの学校の生徒さんか?」と勝手に変人揃いのフトゥールム・スクエアの学生かと納得したようです。
 あの色々と有名な学校の生徒ではないのですが。あの学校なら私のことを知っている人が見つかるかもしれませんし、私の目的も果たせそうです。
 ここがどこだか分からなかったので、先程の通行人の方に場所を尋ねてみたら、あの学園の近くではないですか。
 もしかしたら悪運が強いのでしょうか。
 ついでにここら辺でリバイバルとなったのですから、私のことを知る人もいるかもしれません。
 さすがにここで死んだ人間はいなかったかとは聞いてませんよ。ただこんな奇異な格好をしている奴がいたら誰かの記憶に残っていると思ったんです。
「さらにもう一つ質問が、この顔に見覚えはありませんか? ――ない。では、メイド服を着た男性がこの辺りに出没したりしていませんでしたか?
 ――今、目の前にいる? いえ、こちらの尋ね方が悪かったようです。数日前に私のような人間がこの町を歩いていませんでしたか?
 ――見なかった。そんな人間がいたら噂になっていると。そうですか、これは失礼。ご協力ありがとうございました」
 他にも何人かに尋ねてみましたが、皆似たような返答ばかりです。残念ながらこの町には私の記憶に繋がるヒントは残されていないようです。
 幸いにも学園と交流のある町だったとのことで、入学願書は山のように配布されていましたね。おかげで簡単に入手できました。
 さて、入学願書に記入するとしますか。
 名前……思い出せないので何でもいいですね。ゴンザレスでも別に構わないんですが、無難にあそこに売っているソーダ水にでもしておきましょう。ザクロジュースがおすすめなんですか。
 ソーダ・プニカと名前の欄に記入しました。ザクロの別名がプニカだなんて記憶はあるのに、どうして自分のことは思い出せないんでしょうね。
 次は、コース?
 この格好なら従者向きでしょう。
 まあメイド服のことは置いておいて。いや、置いておけないでしょうメイド服ですよメイド服。
 成人男性のメイド服ってどんな需要があるっていうですか。
 きちんとした服をですね……そうリバイバルなら服装を再現しましょう。
 普通の服を着ているところ集中してイメージしました。
 これでメイド服から解放されて……ませんね。
 どこからどう見ても立派なメイド服です。しかも、ミニスカメイド。悪化してます。
 もう一度再現を。その結果、予想通りメイド服です。
 元のクラシカルに戻ってある意味きちんとしていますが、格好いい服をですね……何度か再現を試したものの様々なメイド服だけコピーできました。それ以外は全裸というラインナップ。酷すぎます。
 もういいです。メイド服オア全裸なら冥土を取ります。
 学園に行けば再現も上達するかもしれません。一縷の望みを賭けましょう。これで学園に入学する理由が増えました。


●【ルネ・フェイム】の傷跡

 僕の名はルネ・フェイムと言います。……僕には親がいません。
 朧気な記憶では親だと呼ばれる人がいたような気がしますが、気づいた時には森に捨てられていました。でも、捨てたということは僕の親じゃなかったんです。
 昼間でも暗い森を彷徨っていました。そう鬱蒼として不気味な森です。
 僕はうさぎのルネサンスだったこともあって、音に敏感でした。暗い場所でいつもびくびくと怯えていました。
 森の中は決して優しい場所ではありませんでした。僕を脅かす敵が森を縄張りにしていました。
 ひたすら隠れて敵が通り過ぎるのを息を殺して待つんです。それは短い時間だったかもしれません。僕にとっては気が遠くなる程長い時間でした。
 今思うと不思議な程、僕は生きることに必死でした。隠れてやり過ごし食料を調達する日々。
 ですが、ある日いつものように隠れてやり過ごそうとしましたが、僕に近づく足音が目前に迫りました。僕は目の前が真っ暗になりました。
 きっと捕まったらひどい目に遭う、そう思いました。
 隠れていた僕を見つけたのは、魔法使いでした。
 その魔法使いは黒いフードを被り男か女かも分からない格好をしていました。
「……まさか生き延びるとはな。この森に住む限り森の精霊の約束は絶対だ」
「……あなたは」
「この森に住む者だ。この森で生き延びた子供は保護しなければならない。付いて来い」
 その当時の僕は、ひどく警戒していて不機嫌そうな魔法使いが言っている言葉の半分も理解できていませんでした。
 それでも痩せ細り限界が来ていた僕はハーミット様に命を救われ、数年間下働きとして過ごしました。
 でも、その生活は長くは続かず、僕が成人する前に、
「精霊の加護の時期は疾うに過ぎ、もう備蓄は尽きた。出て行ってもらおう、……お前に幸あらんことを」
 お願いです、ここに置いてください。そう何度も頼みました。ですが、ハーミット様は頑として頷きませんでした。
 僕はまた居場所を失いました。
 俯いたまま少ない荷物をまとめて出て行くしかありませんでした。
 僕が家から出るとまるで蜃気楼のように、まるで最初からそんなものなんてなかったかのように消えてしまいました。
 その時になって僕はようやく捨てられたのだ、と実感しました。
 僕が役立たずだから。いえ、最初から僕が子供だったからあそこにいられた。ずっと僕がいられる場所ではなかった。
 そんなことをぼんやり考えながら、僕はしばらくの間、呆然と立っていました。

 僕はこの森を抜けることを覚悟し、なんとか森を出ることは出来ましたが、近くにある町にたどり着く前に食料が尽き、気を失ってしまいました。
 意識を失う直前、僕の側に誰かが駆け寄ってくるのが一瞬見えました。
 目が覚めたら僕は真っ白いベッドの上で寝ていました。
 すぐに体を起こそうとしましたが、力が入らずベッドに倒れ込むと「身体が弱ってるんだから、無茶しちゃダメだからね」と僕と同じルネサンスの女性が慌てて駆け寄り、心配してくれたんです。
 後になってその人がコルネ先生だったことを知りました。
 コルネ先生は僕が年齢より幼く見えたのか、両親が心配してるんじゃないかと尋ねると、
「僕に、親はいません……親なんか、いないんです……」
 反射的にそう口にした僕をコルネ先生は何も聞かずただ傍にいてくれました。
 コルネ先生の勧めもあって、僕は学園に保護という名目で入学することになりました。
 名前だけしか答えなかった、答えられなかった僕。
 ほとんどの手続きは先生が行ってくれて、僕には何の目標も生きる希望なかったから……困らせてしまったかもしれません。
 学園に入学したら、何かが変わるでしょうか。
 僕は気を失う前、ぼんやりとですけど誰かに救われたのは覚えています。
 コルネ先生みたいな温かで優しい手だった。でも、記憶に残っているのはそれだけでどんな人だったのか僕は知りません。
 コルネ先生に聞いても僕は学園の傍で倒れていて。発見した学生も周囲に他に人はいなかったそうです。
 ……僕は誰に助けられたんだろう。
 わざわざ助けておいて、どうして僕を学園に預けたのか。
 分からないけれど、僕は生きている。
 だから、もう少しだけ歩いてみようと思う。
 もしいつかその人に会うことが出来たなら「ありがとう」とお礼を言いたい。


●【メルヴィナ・セネット】の旅立ち

 雪がよく降る小さな町で私は育った。
 どこにでもある辺境の田舎町だ。でも、悪くないところだ。自然豊かで近所の人も穏やかで親切だ。
 私は入学するまで友人の魔法雑貨屋や町の人の手伝いをしていた。時には家畜の面倒をみることもあった。
 今思うと魔法に興味を持ったきっかけは友人の魔法雑貨屋で売られている道具だったり、本を見ていたからなのかもしれない。
 長閑な生活も好きだったが、年を追うごとに外への興味が強くなったな。よく友人の店に新しいものが入荷していないか聞きに行って「またか」と呆れられたものだ。
 ある日、町にやってきた行商人から学園の噂を聞いた。
 なんでも学園内には大図書館があるらしく迷宮になっているとか、そこにある本は開くと機嫌が良い時には雪が降り、悪い時には吹雪を吹いたりするそうだ。
 個性的な学生達が集まっていて何かしらの大騒動が毎日のように起こっている、とか。その黒幕は大体学園長なのだ、ということまで教えてもらった。
 私が真剣に聞き入っている横で、双子の兄はというと「本当なのかな?」と半信半疑だった。
 すると、目の前に入学願書がどっさりと山のように降ってきて驚いた。
 さっそく学園は遠いので郵送で提出をしようとして折角書いた願書を兄に奪い取られた後、家族会議が起こったりもしたな。
「ミリーは何で学園に行きたいの?」
「何でだろう、うーん……」
 兄に問われて私が腕を組んで何から説明するべきか悩んでいると家族は呆れていた。
「知らないことが学べるから。魔法使いに憧れたから……フトゥールム・スクエアという存在に心惹かれたのが一番の理由だと思う」
 私は納得のいく答えが出て満足する。
 家族は悩ましげな表情で、もう夜遅いからまた明日改めて話し合うことにしようと言っているのを私は聞き流していた。
 私は頭を悩ませていてそれどころではなかったのだ。
 学園に行きたい。それならば、私はどうすべきだろうか。
 郵送が出来ないならば、直接学園に行って直訴してみるのはどうだろうか。我ながらいいアイディアだ。
 こうして私はすぐさま実行に移すべく、家族が寝静まった夜に家をこっそりと抜けだしたのだった。

 旅だったのはいいが、途中でジャックフロストに遭遇して逃げていたところを学園の学生たちが助けてくれた。
 彼らは丁度課題を終えて学園に帰るところだったので、それに便乗して連れて行ってもらおうとした。だが、私が何も言わずに家を飛び出たことを知ると家族が心配しているんじゃないかと説得され、そのまま町へと送り届けられた。
 むろん町中で私の失踪は大騒ぎとなっており、家族にめちゃくちゃ怒られた。
 ……ちゃんと置き手紙を置いといた筈なのに。
 そう言うと、兄から「『ちょっと旅に出ます。心配しないでください』だけしか書かれてなかったらどこ行ったのかも分からないし、心配するだろ」と盛大に怒られてしまった。
 理不尽だ。そう思っていたら兄に「ちょっとは反省しようか、ミリー」と言われてしまった、解せぬ。
 私が不思議そうな顔を浮かべていると家族は頭を抱えていたな。
 まあ、最終的には世間を知る為だと許されたぞ。特に常識を学んでこいと念を押されたが。
 旅立ちの日になると、両親は何度も「定期的に手紙を書きなさい。忘れないように。それから――」といくつもの約束をする羽目になった。
 そんなに私は信用がないのだろうか、と思わず首を傾げてしまった。
 兄は心配そうな両親とは反対に明るい笑みで、
「はい、これ。ミリーにあげる」
 そう言って故郷を思い起こせるような雪の結晶を模したブローチをプレゼントしてくれた。
「雪。私の好きな雪だ」
「お金に困ったら売ってね!」
「売らないから。怒るぞ」
 兄のあんまりな言葉にむっとしながらブローチを隠すように握りしめる。
「そう言ってくれるってことは気に入ったみたいだね、良かったよ」
「それと兄さん」
「ん? 何だい?」
「……どこまで見送るつもり」
 町は随分前に見えなくなり、大分離れてしまったのだが。まさか学園まで付いてくるんじゃないだろうな。
 兄は結局次の町まで付いてき、そこで両親と同じくたくさんの約束事をして別れた。
 初めて故郷を離れ、家族が近くいないのは少し寂しいが、外の世界は新鮮でついつい目移りしてしまうのが現在の悩みだ。


●【明智・珠稀】(あけち・たまき)の始まり

 丹誠を込めて作り上げられた薔薇園には様々な品種の薔薇が咲き誇っている。迷路のように整えられた薔薇からは育てられた者の愛情が伝わってくるようだった。
 この薔薇園の明るさとは正反対な高貴な吸血鬼のような男が薔薇に隠されるように眠っていた。貴族のような風体をしながらも眠れる王子と言うには彼の持つ雰囲気はどこか退廃的で妖艶すぎた。
 男は随分と長く眠っていたようで、意識は起きているのに身体がついていかないのだ。
 優美な薔薇の香りが鼻孔をくすぐった。
 男は長い睫毛を震わせ、紫水晶の瞳がゆっくりと開いた。

(……ここはどこでしょう)
 身体を起こしてみると無数の色とりどりの薔薇に囲まれていた。まるで天国にいるようだ、彼は周りを見渡しながらそう思う。
 立ち上がってみると、ここは庭園のようだった。
 まるで見覚えのない場所。
(……いや、場所だけではありません)
「私は誰でしょう?」
 男は自分のことすら分からなかった。
 背後に薔薇を背負いながら男は腕を組み、のんびりと首を傾げる。
 不意に背後から声がかかる。
「……あなたは、どなた?」
 上品な老婆が不思議そうに見上げている。
 老婆は庭師のような格好をし、やわらかな白髪を一纏めにしているが、洗練された立ち振る舞いは隠せてはいなかった。
「私は……」
 誰なのかと自問自答する前に、脳裏に浮かんだ言葉を男は微笑みながら告げた。
「明智珠稀と申します。はじめまして、マダム」
 老婆は突然名乗った明智に驚きの表情を浮かべたが、すぐに明智と同じように優美に微笑んだ。
「私の薔薇園へ、ようこそ」
 こうして見ず知らずの明智を何の見返りも求めることなく、暖かく迎え入れてくれたのだった。
 記憶喪失だと知っても彼女は動揺することなく、「しばらく家に住むといいわ」と穏やかに微笑むばかり。
 その言葉に甘えて、明智は今も尚滞在している。

 見事なまでの薔薇園はマダム一人で維持していたようだ。いつしか暇を持て余した明智が薔薇の手入れを手伝うようになった。
 ここで暮らすようになってから薔薇にも様々な色を持つだけでなく、花弁の形も違えば、香りが強いもの弱いものと人のように個性を持つこと知った。
「この世界はわからないことだらけですが、美しい。……ふ、ふふ。もっと知りたいものですね」
 明智は赤い薔薇がお気に入りだった。
 ガーネットジェム、ルージュリアン、マドンナ、ザ・ダーク・レディ。
 マダムから教えられ薔薇の名前を一つまたは一つと思い浮かべながら、丁寧な手つきで剪定する。
 ベルベットのような光沢を持つ赤いものから深紅に燃えるような気品を感じる一輪咲きものまである。
 どれもマダムの愛情をもって育てられている為か、それとも薔薇も主人に似るのか背をしっかりと伸ばし、自らの美しさを誇るにように咲き誇っている。

(今の私はマダムに飼われている燕に見えるんでしょうね。まあ、実際にヒモですし。私がヒモと呼ばれる分は構わないんですが、これ以上マダムにご迷惑をお掛けするわけには……ふふふっ、それにしても燕という言い方の方が奥ゆかしく聞こえますね)
「……どうしたのものでしょう」
 迷える明智にどこからともなくヒラリと紙が舞い込んできた。
 手に取ってみるとそれは入学願書と書かれていた。
「そちらの剪定は終わったかしら? あら、学園の……?」
 明智が持っていた用紙に気づくとマダムは口に手を当てて驚きの声を上げる。
「学園の入学願書があなたの元に届いたのは、何かの縁でしょう」
 マダムはそう言って学園について語り出す。マダム自身も王様・貴族専攻の卒業生だった為か、明智の問いにスムーズに答えてくれた。
 明智は改めて真剣な表情でマダムと向き合った。
「……いつまでもここに置いて頂くわけにも参りません」
「そうね、そう言うと思ったわ。楽しんでらっしゃい、学園は素晴らしいところよ」
 少し寂しげな表情を浮かべたマダムだったが、すぐに茶目っ気を交えて笑う。
 マダムに促されて明智は願書に記入を始めた。生年月日や自分の情報は思いつくままに書き、名前も本当の名前ではないかもしれないが、彼は気にすることなく欄を埋めていく。
 ふとある欄にくると手を止め、
「……コース、ですか……」
 迷わず『村人』コースを選んだ。
「マダム、一人前の村人になって戻って参ります。また共に薔薇の生育をお手伝いさせて下さいね、ふふ」
 そう告げた明智にマダムは楽しみにしているわ、と微笑むのだった。


●【バルド・ダールベルク】の回想

 何で学園に入学をしたんだって?
 学園のことは、ほら噂でよく耳にしてたし。
 うん、図書館に住んでる学生がいるんだろ。他には、料理人を恐れさせる食欲魔人がいて他の学生の食事が脅かされる程、食べるとか。
 授業では初日で実戦に放り投げられるとか踊るサボテンを育てる授業があるとか。どこまで本当か知らないけど、あそこは噂の宝庫だよな。
 聞いてる話があまりにも面白くて、あの調理実習によって進化の階段を駆け上ったチョコレートの冒険譚は最高だったよ。
 それで買い出しの時に入学願書がビラ配りされてるから、これがあの噂の学園の奴かって、つい受け取ったんだよな。
 前から面白そうなところだなぁと思ってたんだけどさ。研究所の助手として働いていたのもあって、最初は入学なんて考えてもなかったんだよなぁ。
 誰の助手だって。ばあちゃんの助手だよ……って、ああ、それじゃあ伝わらないよな。
 俺はさ、色々あって身寄りがなくなって困ってたところをばあちゃん、そう今の研究所の所長に保護されたんだ。

 ばあちゃんが言うには「おめぇはいつも能面みてぇに辛気くせぇ顔してたからな、その世間様を舐めたような態度を見てると腹立つから思いっきりしごいたろっと思ったわ」って言うんだ。
 確かに昔は無表情で冷めた考えをしてたけど、ばあちゃんに引きずり回されている内に俺がしっかりしなくてはと思ったというか、ばあちゃんが無茶やらかすせいで度肝を抜かされることが何度あったか。そんなことばっかだから、動揺せざる得ないと言うか。そりゃ嫌でも感情豊かになるよ。
 それからは、ばあちゃんの助手という名目でこき使われたもんさ。
 ばあちゃんは豪快な人でさ。ちょっとばっかし荒っぽくて大ざっぱだけど、非道な実験を受けた人達のケアに尽力してるんだ。
 ……ああ、俺もその一人だよ。
 ばあちゃんを慕う人は多いよ、俺だけじゃなくてたくさんの人を助けてきたんだ。
 だから、ばあちゃんには恩義があるんだ。

 けれど、そんな俺にばあちゃんは「興味があるなら行ってこい」と勧めてくれて改めて検討する流れになったっていう……いや、俺は反論したぜ。
「俺がいなくちゃ手が回らなくなるだろ!? ばあちゃんもいい年なんだし!」
「女に年のことは言うんじゃねぇ! おめぇ一人がいなくとも困らんわ」
「だって、もう還暦……」
「黙らんかい、おめぇはいつも一言多いんだよ」
 ばあちゃんは背後に般若を背負いながら鋭い眼光で睨む。俺はそれに屈して口を閉じざる得なかった。
 まぁ、切っ掛けやら何やらは、大体そんな感じだった。
 俺も迷ったんだ。暫くの間、研究所から離れて暮らすことになるのは正直、気がかりでもあったんだ。
 ばあちゃんが入学を勧めてくれた訳を自分でもよくよく考えた上で今後の為にも色んな経験を積んで備えておいた方がいいんじゃないかって、思うようなったんだ。
 それで入学する決心が固まったんだよな。
 出発の日は名残惜しむ間もなかったというか、いつも通りのやり取りだったよ。

「酒飲み過ぎるなよ」
「……分かったわい」
「酔っぱらってそのままどこででも寝っ転がるの止めろよ。風邪引くぞ」
「うっさいわ」
「殴り込み行くのは程々にしとけよ」
「いい加減にせい! おめぇは口うるさいんだよ、とっとと出発しろや!」
 ばあちゃんを残して去るのはやっぱ不安でさ。ついつい色々言ったら、頭ひっぱたかれたなぁ。その調子で長生きして欲しい。
 全く別れの感傷もないやりとりに俺は遠い目をした。
 うん、俺もここぞとばかりに思い出す限りのばあちゃんの所業を心配のあまり口出しまくった。小言に切れたばあちゃんが俺に檄を入れるように腹の底から叫ばれたよ。

「おめぇこそ元の口調に戻ったり、体ぶっ壊れねぇように気をつけやがれよ!!」
「分かったって! 長期休暇になったら帰ってくるからな!」
 ばあちゃんはばあちゃんで叱っているのか心配してるのか分からない返しをしてるし。
 後から思うと俺ららしい出発だったと思うよ、いや本当に。
 帰る場所はあるんだ。俺は俺らしく学園生活を楽しみながら、今よりももっと成長して……やっぱりばあちゃんに恩返ししたいと思うんだ。
 きっとばあちゃんは「学園生活を楽しめ」ぐらいしか考えてないんだろうけど、俺がそれを望んでるしさ。


●【セイラ・ラテュール】の秘密

 セイラは先祖代々続く聖職者の名門家系に生まれた。
 地方にある小さな教会が彼女にとって家だった。セイラ自身も幼い頃より将来は優秀な聖職者になるべく育てられた。
 両親はおっとりとしているセイラを心配してか大人でも根を上げてしまう厳しい教育を施した。
 救いを求める誰かの為に生きなさい。
 そう幼少期から刷り込まれるように言い聞かせられたセイラにとって両親と同じ道を歩むことは当たり前のことであった。
 厳しい教育にも持ち前の芯の強さで耐え、心優しいセイラはどんな相手にも分けへ隔てなく接する少女に育った。
 彼女は両親の望み通り絵に描いたような理想の聖職者へと成長した。

 さらに清楚な容姿であるのに反して女性が羨むような抜群のスタイル。
 持ち前の美貌に鼻を掛けることもなく謙虚な上にお人好しであることも相まって、生まれ育った故郷では周りから『聖女セイラ』と呼ばれる程だった。
 聖女様と呼ばれると困ったように彼女は微笑みながら、
「わたしは……当たり前のことをしただけです。皆さん大げさなんですから」
 慈愛に満ちた目で村の人々を見つめる。
 その視線を受けた村人もといセイラの信者は「今日も聖女様は尊い……」と崩れ落ち、五体投地する者がちらほら見える。
 セイラはもったいないからと小さめのサイズの服を着ているせいか、張り付くようにぴったりとしている。そのせいでその年頃にしては大きな胸は強調され、動く度に短いスカートから白い太股が覗く。
 どこか抜けているセイラは男性には目に毒な服装に気づくこともなく、困った人を助け続けていた。

 そんな村の為に聖職者として働いていたセイラにある転機が訪れた。魔法学園フトゥールム・スクエアから入学願書が届いたのだ。
 彼女は学園に興味を持っていたが、見知らぬ地に一人で飛び込むとなるとさすがに躊躇ってしまう。
(興味はあるんですけど、見知らぬ場所に一人向かうとなると、やはり勇気がいりますよね……わたしが臆病すぎるだけなのかもしれませんけど……そうだ、両親に相談してみようかしら)
 村は優しい人々ばかりで、自分を必要としてくれる。
 セイラ自身も居心地のいい場所を離れるのは名残惜しく、残された村人のことも心配で二の足を踏んでしまう。
 そんな思いもあってセイラは踏ん切りがつかないでいた。
 しかし、両親は彼女の背を押すように強く入学の勧めた。
(……わたしは、村の人々だけでなくもっと誰かのためになりたいと常日頃から考えていたのに、いつの間にか居心地のいい場所を離れたくないあまり初心を忘れていたようですね……わたし自身の望みのためにも学園に入学するべきかもしれません)
 両親の強い後押しにより、セイラは学園の入学をついに決意する。

 村を出る前に開かれた送別会では彼女が村を去るのを惜しむ余り、引き留めようとする者、土下座して祈る者、行かないでくれと泣き出してしまう者が続出した。
 それは彼女が慕われている証でもあり、セイラは涙ぐみながら微笑み、一人一人に話しかけていた。
 村人はセイラの優しい言葉に後光を垣間見ると、「聖女様のためならば」と涙を呑んで学園へ旅立つことに頷くのだった。
 それでも渋る者は他の信者が「聖女様のご決断なんだ」と。とっちめようとするのを宥め、村人に思いを伝えるためセイラは誠心誠意で行動で示した。
 それにより学園に旅立つのが少しばかり遅れてしまったが、最終的に信者総員での盛大な見送りが行われた。

 彼女が旅立つと、村中が老若問わず男泣きしていた。
 そう彼女は他者に尽くしたいという気持ちが強い女性だった。過剰な奉仕精神は男性の欲望までも満たしてきた。
 セイラは頼まれると断りきれない性格もあり、村中のほとんどの男性と深い関係を築き上げていた。
 学園に向かうセイラは故郷の惨状を知らずに思いを馳せる。
(……いま思うと、両親もそのことに気づいていて、そのせいで学園に行くことを勧められたのかもしれませんね……ああ、でもごめんなさい。お父様、お母様……みなさんの喜ぶ顔がわたしの何よりの生き甲斐なんです。学園でもみなさんとの『交流』を求められたら断りきれないかもしれません……)
 まだ見ぬ学園生活のことを考えるとセイラはより困った誰かを助けたい気持ちで昂ぶり、胸を熱く焦がす。



課題評価
課題経験:0
課題報酬:0
入学願書が手に入りました!
執筆:oz GM


《入学願書が手に入りました!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 1) 2019-01-29 00:15:13
今回の授業は個人個別の授業みたいだし、相談することも無いけど一応。
ザコちゃんはザコちゃん。また別の授業で一緒同行したらよろしくよしなにぃ。

ゆーしゃ様達の色んなお姿情報拝見拝聴できそうだし、期待させてもらい案件。
ザコちゃんはまーただのモブだし。面白い過去記録も提供できないし。見なくても忘れてくれちゃっていーんだけどねぇ。

《新入生》 スラフィル・ケーニヒヴルト (No 2) 2019-01-29 01:01:49
一応ボクも自己紹介しとこっかな〜?
ボクはスラフィル・ケーニヒヴルト、エリアルだよん!

賢者・導師専攻に所属してるから魔法はそれなりに使えるつもりっ!
機会あったらよろしくねー!

《新入生》 バルド・ダールベルク (No 3) 2019-01-29 07:21:42
俺も自己紹介しとこう。
黒幕・暗躍コースのバルド・ダールベルクだ。
よろしくお願いします!
どんな感じになるか楽しみだな~。

《新入生》 メルヴィナ・セネット (No 4) 2019-01-29 08:41:34
では私も挨拶を。
メルヴィナ・セネット。賢者・導師コース専攻のローレライだ。
同じ学園の生徒としてこれから宜しく。

入学して早数ヶ月ちょっとか。初心に返るにはいい課題だな。
思い出は美化されるというが、それ以前に忘れてる事が割りとあったりする。

《新入生》 セイラ・ラテュール (No 5) 2019-01-29 17:07:43
教祖・聖職コース専攻のセイラ・ラテュールです。
どうぞよろしくお願いしますね。

地方の小教会の出身なので特に際立ったことはない……と、思います。たぶんきっと。

《新入生》 ルネ・フェイム (No 6) 2019-01-29 17:20:26
僕は、ルネ・フェイム……、です。
芸能・芸術コースです。
よろしくお願いします……。

僕の出については…、のちほど知ると思います。

《新入生》 明智・珠稀 (No 7) 2019-01-29 20:18:40
はじめまして、明智珠稀と申します。
村人・従者コースを専攻しております、ふふ…!

皆様の素晴らしい前日譚、楽しみですね…!
何卒よろしくお願いいたします、ふ、ふふ…!!

《新入生》 ソーダ・プニカ (No 8) 2019-01-30 23:11:02
挨拶が遅れました。ソーダ・プニカと申します。
よろしくお願いします。

……語ること、特にありませんね。
皆様のものがたりを垣間見れるのを楽しみにしています。