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ねずみ行進曲


ストーリー Story

「ねずみが出た!」
 商店街の人々がざわめき始める。
 其処には無数の黒いねずみが果物や野菜を齧っている姿があった。
「ねずみ、なんて困る生き物なのかしら」
「どうにかして駆除出来ないかな……」
 ねずみ。食物を荒らし、病気を蔓延させ、家の天井にまで入り込み、困った生き物だとそう商店街の多くの人々が思っている。
 商店街の人々が頭を悩ませている時、大きな白ねずみがひょこり、と立ち上がった。二足歩行で。
「あの黒いねずみ達は、本当は悪い生き物じゃないんだよ。汚れて真っ黒になってしまっているけれど、本当は幸せを運ぶ白いねずみなんだ」
 白いねずみが髭をひくひくさせて商店街の人達に訴えかけています。
「お願いだよ。僕達の仲間を救ってあげて。お腹が空いているだけなんだ。きちんとご飯を貰えれば、黒いねずみは出なくなるよ。本当はあの子達も困っているんだ。寒くてご飯がないだけなんだよ」
 白いねずみは商店街の人々の合間を走り回って、黒いねずみを助けて、と言って回っています。
 白いねずみと黒いねずみ。
 白いねずみは大きくて一匹。対する黒いねずみは小さくて沢山います。この差は歴然としていて、とても同じ動物には思えません。
 白いねずみはそれでも商店街の、学園の皆さんに話しかけます。
「僕達の仲間を救って下さい」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-08-16

難易度 普通 報酬 ほんの少し 完成予定 2020-08-26

登場人物 2/8 Characters
《2期生》ナイル・レズニック
 アークライト Lv12 / 賢者・導師 Rank 1
「やぁ、ぼくはナイル。ナイル・レズニックさ。この布?かっこいいだろう?」 「顔が見たい?ふふ、タダじゃ見せれないね。ごめんね。」 【容姿】 体型→細マッチョ 髪 →黒髪 瞳 →桃色/猫目 服装→キャスケット帽、雑面 【好き】 魔法、散歩、料理 【性格】 優しい 【雑面】 いつも雑面をつけている。 雑面のイラストはコロコロ変わる。 雑面の下は見せようとはしない。 顔にできたケロイドを見せたくないから。
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  

解説 Explan

 黒いねずみを捕まえましょう。
 黒いねずみは沢山いますので、何らかの手段を講じないと捕えられません。
 また、黒いねずみが死んでしまったら、白いねずみが悲しむ事でしょう。
 黒いねずみは果物や野菜が好物なようです。

・場所
 学園内クイドクアムの食品フロア。
 幅1.5メートルのメイン通路を中心に、細い通路が碁盤の目のように走っています。
 通路の両端には棚があり、食品が並べられています。
 細い通路は大人2人が並んで歩くには少し狭いです。

・黒いねずみの習性
 果物や野菜が好物。
 音に敏感で大きな音から逃げる。
 光るものから逃げる。
 初心者魔法の3発位は耐えられる。


作者コメント Comment
 今年の干支、ねずみです。
 今年も半分過ぎましたが、これを機会に振り返ってみるのも良いのではないでしょうか。



個人成績表 Report
ナイル・レズニック 個人成績:

獲得経験:18 = 18全体 + 0個別
獲得報酬:450 = 450全体 + 0個別
獲得友情:300
獲得努力:50
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ねずみ達をどうにか助けてあげたいな

では、早速取りかかろう……と言いたいところだが、二人であの数は手に余る
そこで街の人にも協力してもらおう
自身の技能を活用し話術を用いて街の人々を説得してまわるよ
黒いねずみ達を誘き寄せるための食材の確保も必要だし、それも含めて手を回しておこう

街の人々の協力を取り付け、メイン通路の終わりの方を、隣接する細い通路を塞いでもらって袋小路を作ろう
そこにねずみ用の食事を仕掛けよう。ここはナイル君の出番かな
俺を含め、街の人々には端から順に波のように音を立ててもらい追い込んでいくよ

あとはタオルと石鹸水も用意してもらおうかな
それらを使い満腹になったねずみ達の汚れを落としてあげたい

リザルト Result

 学園内、クイドクアムの食品フロア。
 そこに発生した大量の黒いねずみ達に商店街の人々は悩まされていた。中には駆除しようと言い出すものもいたが……。
「助けて、助けてください。僕の仲間達を」
 そう言って回る白いねずみの言う事を聞き逃してはいない人物も少なからずいた。
「白いねずみ君は、『仲間達を助けてください』、だそうだ、どうするナイル君?」
 白い大きなねずみの懇願を聞いて、【クロス・アガツマ】は【ナイル・レズニック】に話しかけていた。二人は商店街の人々の話を聞きつけてやってきたのだった。
 雑面をつけたナイルは、『ぼくはねずみ達の誤解を解きたいね、悪い子じゃないと思うんだ』と本人の優しい性格の表れ出た発言をしていた。
「まあ、こんなに必死に頼まれているのに駆除というのも気乗りはしないからね。わかった、なんとかするとしよう」
 クロスもナイルの言う事に同意して、白い大きなねずみの言う事を信じて黒いねずみ達を捕獲する方向性で動いていく事にしたのだった。駆除をすると言うのはたやすいかもしれないが、二人の選択肢にはなかった。
 商店街の人々から黒いねずみ達の情報を聞いて、確認事項が終わると二人は動き出そうとした。
「では、早速取りかかろう……と言いたいところだが、二人であの数は手に余る。そこで街の人々を説得し、街の人達にも手伝ってもらおう。俺は話術を用いて街の人々を説得してまわるよ。最後にはちゃんとねずみ達への誤解が解けると良いな」
 そう言う話術が巧みなクロスが説得役を任され、情報を元に基本的な作戦を練る。
「ぼくは街の人もネズミも幸せになって欲しいのさ」
 ナイルは皆が幸せになるように、と願いをこめて、試行錯誤してねずみと言う生き物に関して調べて来た事を伝える。
「余り良くないイメージが強いねずみだけれど、本来は悪い子ではないと街の人に訴えるのさ。元々、ねずみには子孫繁栄・金運を与える等のイメージがあることを伝えるんだ。黒いねずみが本来白いのであれば尚更駄目なのさ。それをダメ押ししておいて欲しいね。それから、街の人にお腹いっぱいになった黒いねずみを洗って貰えるように交渉して欲しいのだけれど……」
「ナイル君の案は上手く活用させて貰おうか。黒いねずみ達を誘き寄せるための食材の確保も必要だし、それも含めて手を回しておこう。食材の加工はナイル君の出番かな。あとはタオルと石鹸水も用意してもらおうかな。それらを使い満腹になった黒いねずみ達の汚れを落としてあげたい」
 街の人々の協力を得て、まさに街ぐるみの大作戦となる黒いねずみを白くする作戦。
 これは果たして上手く行くのだろうか?

 ざわざわ……。
 此処は食品フロア。広いとは言えないフロア内にかなりの人数の人々が集まっていた。
「良いですか、皆さん。メイン通路の終わりの方を、隣接する細い通路を塞いでもらいます。黒いねずみを追い込むために袋小路を作りましょう!」
 クロスの呼びかけに集まった商店街の人々が、協力して作業に当たる。細い通路に障害物を置いて、見る見るうちにメイン通路に袋小路が出来上がった。
「さて、こちらはぼくの番かな……」
 黒いねずみ用の食事となる果物や野菜を用意してもらったナイルが調理道具一式を使い、集中して料理に当たる。食べやすいようにねずみの一口サイズに加工して、黒いねずみを捕まえる食事とするつもりだ。
「ぼくが加工した食事を袋小路に置いて欲しい。ねずみが捕獲しやすいと思うよ」
 小さな皿に盛り付けた見事な出来栄えの食事の数々を商店街の人々に渡して、ナイルが置き場所を指示する。お腹を空かせた黒いねずみが思わず食べたくなるような料理に、仕掛ける側の人々もつまみ食いしそうになって、ナイルが手伝ってくれるお礼にと用意した料理を振舞う。
「黒いねずみが現れたら、端から順に波のように音を立ててもらい追い込んでいくよ。準備は良いかな?」
 鍋やフライパンやおたまや、金属の日常品を携えた人々が頷く。
 フロアの何処かにいる黒いねずみを追い立てるために、食品フロアの端からゆっくりと人々が音を立てていく。
 かんかんかん、ざわざわ……。
『ちゅう、ちゅうちゅー』
 大きな音に敏感なねずみが慌てて姿を現した。数としてはかなりのものだ。
 かんかんかん……。
 音で追い立てる人々から逃げるように黒いねずみは中央に集まり、メイン通路を走り回る。袋小路になっている通路を、それとも知らずに走っていく。
 作戦通りに袋小路に辿り着くねずみ達の逃げ道を塞ぐと、黒いねずみ達はうろうろとしていたが、警戒心を持ちつつも美味しそうな食事に釣られて夢中になってしゃくしゃくと食事を始める。
 しばらく経った頃。
「それ、今だ!」
 お腹いっぱいになって動きが鈍った黒いねずみ達を商店街の人々は網で捕まえて、よいしょ、と持ち上げる。
 こうして黒いねずみ達は捕まったのだった。

 クイドクアムの食品フロアのものを移動させたりした後片付けは街の人々がやってくれて、残りの人々が黒いねずみを石鹸水で洗ってタオルで拭う。勿論、クロスとナイルもそれに加わって汗を流しながらねずみを洗った。
 食事をもらってふくふくとまんまるになった黒いねずみから汚れが落ちて、元の白い地毛があらわになる。それは大きな白いねずみにそっくりだった。
「わあ、ありがとうございます!」
 白い大きなねずみがその様子を見てひくひくと鼻を鳴らして喜んでいる。街の人々で綺麗に洗われた元・黒いねずみ達は、白くぴかぴかに毛並みが光って満足そうにやはり鼻をひくひくさせている。ずらりと並ぶと壮観だった。
「僕の仲間達を救ってくれてありがとうございます。お腹が空いていた僕の仲間は、お腹がいっぱいになって元の姿に戻る事が出来ました。なにもかも皆さんのお陰です」
 ぺこり、と白いねずみ達が頭を下げる。大きなねずみがぴかぴかと光って言葉を話す。
「僕達は精霊の一種なんです。仲間達は今年の厄を吸い取って黒くなってしまいましたが、本当は今年の厄を祓う精霊なんです。これでまたお役目が果たせます。今後の皆さんにも幸せが訪れますように。僕達を慈しんでくれた皆さんに良い事がありますように。僕達はいつまでも祈っています。願っています。優しい皆さんにはいついつまでも幸が続きますようにと」
 白いねずみ達はいっせいに光ると、何処かに消えてしまった。その後には暖かい空気とともに、小さな白い花が沢山揺れていた。風に揺れた白い花がお辞儀をするようにいっせいに頭を垂れてふわふわと爽やかな香りを街中に振りまいてくれる。
「あの白くなったねずみ達は厄を除けて幸運を運んでくれるんだろうかね?」
 ナイルが『他者と言う存在全てを助けたい』と言う望み通りの結果になったことに満足そうに呟いた。ねずみも商店街の人々もこれで助けられたであろう。
「……少なくとも、世界はより良くなったのではないかな。俺はそう思う」
 クロスが眼鏡の位置をくい、と直しながら呟き返した。クロスの目的としても、この結果は満足がいくものであったでだろうか。
 商店街の人々も笑顔が見える。明るい笑顔にはねずみに対する偏見を持っていた人も、ねずみを保護しようとしていた人も、同じく手を取り合って白いねずみ達の加護を願っている。
 一致団結した結果、商店街の人々の絆が深まったようだった。活気に満ちた声が商店街に溢れる。そうして、前より少し楽しくて平和な日常に戻っていくのだろう。
 ほんの少し世界が良くなった、とある事件。



課題評価
課題経験:18
課題報酬:450
ねずみ行進曲
執筆:江戸崎竜胆 GM


《ねずみ行進曲》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《2期生》 ナイル・レズニック (No 1) 2020-08-11 00:02:55
ナイル・レズニックさ。
さて、ネズミさんたちが喜ぶものを用意して捕まえようか

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 2) 2020-08-14 19:42:41
賢者・導師コースのクロス・アガツマだ。
ねずみは多そうだし一人では骨が折れそうに見えたのでね。よろしく頼むよ。

とりあえず、食品を集めて罠でも仕掛けてみようと思う。
それと……街の人達にも協力を頼んでみようかな。今のままだと加勢も必要そうだし、誤解を解くにもそれがいいかなとね。

《2期生》 ナイル・レズニック (No 3) 2020-08-15 12:00:26
やあ、アガツマさん。来てくれて嬉しいよ。
一人より二人だね☆

食べ物で捕まえるのは大前提だね。
これでも料理は得意だから、ネズミ用に加工してみようと思っているよ。
人手が増えれば、洗ってあげたいんだよな

街の人たちを巻き込むのはいい案だね。
白いネズミさんが言うように、白いネズミは幸運の証…
確か金運とかそのへんだった気がするな。あと、ネズミは子孫繁栄とか色々ご利益あるからね。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 4) 2020-08-15 21:00:53
ああ、それは心強い。食べやすいようにしてあげればより誘い込みやすくなるだろう。果物や野菜が好きらしいからそこは間違えないように。まあ書いてあるけれど、失礼ながら一応念のために。

作戦としては細い通路をふさいで、そこに追い込む形にしようと思う。
街の人にも協力してもらえば習性を利用してよりうまくいくはずだ。
それとねずみを洗ってくれる人をこちらでも募ってみよう。どうにか説得してみるよ。