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【新歓】こうしゃのせいそ~!


ストーリー Story


「今日は皆さんにお願いがありましてぇ~、お掃除のお手伝いをしてほしいんですぅ」
 そう言いながら、集まった生徒たちに【シルフィア・リタイナー】が、ぺこりと頭を下げる。
 春になり新たな生徒を迎えた魔法学園フトゥールム・スクエアでは、至る所で新人歓迎会が行われていた。それの片付けだろうか、と首を傾げれば。
 シルフィアはおずおずと何かのチラシを広げる。そこには、不気味にニマニマ笑う、一つ目のネコが描かれていた。
 ラクガキのようなそれ。これがなんだと言うのだろう、と生徒たちは更に首を傾げる。
「なんだか学園内のいろんな所に張られているようなんですぅ~」
 なんなのか分からなくて、ちょっと気味が悪いですよねぇ~、なんてシルフィアは困った顔。
 この謎のチラシ、新入生の入学と同時に学園内で見掛けることが多くなったという。
 最初はただのイタズラだと思っていた。けれど、一向に収まる気配がないどころか、日に日に増えている。
 学園の七不思議!? だなんて、生徒たちにちょっとした話題を提供していたりするのだが、それはそれ。このまま放っておいて、学園内がチラシだらけになっても困る。
「先生方も見つけたら剥がしているそうなんですがぁ~、教師のお仕事もありますのでぇ……」
 教師の仕事だけならともかく、いつだって賑やかな学園だ。
 それ以外の事件も山ほど持ち込まれるし、それらの対応もしなければならない。
 とてもじゃないがイタズラにまで手が回らない、と普段は保健室のお手伝いをしている彼女のもとへ話が持ち込まれることになったようだ。

 ちなみに、それくらいのお手伝いなら、とシルフィアひとりでチラシ剥がしをしてみたそうだが、剥がしても剥がしても新たな所からチラシが見付かるいたちごっこ。
 このままでは綺麗になりません~! と、生徒たちに助けを求めたというわけだ。
「…………ひとりで出来たらよかったんですけれどぉ~、どうかご協力お願いしますぅ~」
 シルフィアがぺこぺこと頭を下げるたびに、ピンクのツインテールがぶんぶん揺れる。
 この学園で学ぶ勇者候補として、困っているひとを見捨てるわけにはいかない。地道な掃除という活動はなかなか骨が折れそうだけれど、みんなでやったほうが早く終わるだろう。
 なんだかんだで快く引き受けてくれた生徒たちに、シルフィアはまたぺこぺこと頭を下げる。
「ありがとうございますぅ~! 皆さんが疲れても元気になれるよう、お注射用意しておきますねぇ~」
 うーん、それはいらない。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-05-11

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2020-05-21

登場人物 4/8 Characters
《2期生》シルワ・カルブクルス
 ドラゴニア Lv15 / 村人・従者 Rank 1
細い三つ編みツインテールとルビーのような紅い目が特徴のドラゴニア 元々彼女が住む村には、大人や数人ぐらいの小さい子供たちしかおらず同い年程度の友達がいないことを心配した両親にこの学校を薦められて今に至る 一見クールに見えるが実際は温厚な性格であり、目的である世界の平和を守ることはいわば結果論、彼女の真の目的は至って単純でただの村人として平穏に暮らしたいようである しかし自分に害をなすとなれば話は別で、ドラゴニアらしく勇猛果敢に戦う 一期生にはたとえ年下だとしても「先輩」呼びをするそうだ 「私はただの村人、できる限りのことをしただけです」 「だれであろうと私の平穏を乱す者はすべて叩き伏せます」 ※口調詳細(親しくなったひとに対して) 年下:~くん、~ちゃん 同い年あるいは年上:~さん ※戦闘スタイル 盾で受け流すか止めるかでダメージを軽減しつつ、斧で反撃するという、いわゆる「肉を切らせて骨を断つ」戦法を得意とする
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《新入生》馬場・猿二
 ルネサンス Lv8 / 武神・無双 Rank 1
(未設定)
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。

解説 Explan

●目的
 謎のチラシを回収する。
 ついでに学園内もキレイにしちゃう。

●謎のチラシ
 いろんなところに張られている謎のチラシです。
 ラクガキのような、ニマニマ笑う一つ目のネコのような何かが描かれています。
 これが何を意味しているのかは、まだ分かっていません。

 掲示板にばばんと張られているチラシもありますが、
 机の下や本棚の間など、すこし人目に付きづらい所にはより多く張られているようです。

●場所
 場所はフトゥールム・スクエア学園内です。
 時間は放課後になります。学園が閉まるまでに出来るだけ多くのチラシを回収してください。

●補足
 シルフィアもお手伝いはしているようです。
 何か困りごとがありましたらお声掛けください。

 学園のルールは程よく守りましょう。
 プランは作戦や行動のみでなく、台詞などもあるとたいへん助かります。


作者コメント Comment
 閲覧いただきありがとうございます、あまのいろはです。とってもご無沙汰しております。
 学園の清掃をするだけの簡単な授業! これを機に学園をピッカピカにしちゃいましょう。
 それでは、皆様の素敵なプランを楽しみにしております。れっつ、清掃!


個人成績表 Report
シルワ・カルブクルス 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
植物園→学園校舎→大図書館という具合で普通の清掃と並行して張り紙を剝がしていく

ただ、単純に見つけるだけではなくて一目見て、見つかりにくい場所を注意深く探しておく

例えば、植物園なら樹の上や鉢植えの裏、図書館なら机の裏とか棚の一番上とかなど
また、誰かがポスターを貼っているところを見ていないか聞き込みをして
もっとも活動しているであろうところへ行き、犯人を見つけしだい捕まえる

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
すごくいっぱいあるみたいですし、まだまだはられつづけるかもしれません。
ですから、イベントにしてみようとおもいます。

あぶりだしを用意してあちこちの張り紙のうらにマークをつけて、
広場に用意した受付のところで火を用意します。
そこにもってきてくれたチラシをあぶってマークが出たら「当たり」。
そして、最終的に当たりの枚数の多い人に景品って感じで、
あつめていきますね。

賞品としては、わたくしははいってるクラブ「フトゥールム秘密情報部」で
今までにつくっています購買部販売品のまとめ表をおおめにつくってくばります。
あと、先生方をつうじてあちこちのクラブや屋台の方々にも
賞品の提供をお願いしますね。

馬場・猿二 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
不気味だね!なんだろう!
学校内だから黒幕・暗躍コースの人の仕業かな!
何か目的なんだろう!うん!わかんないや!
頑張って掃除をするぞ!
とりあえず掃除用具を借りるぞ!
あ!待てよー!
もしかしたら!掃除が終わった後に!
また貼り直してるかもしれないぞ!
少し泳がせて待ち伏せしてみるぞ!

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:72 = 48全体 + 24個別
獲得報酬:1800 = 1200全体 + 600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
え、なに。宝探し的な?
ひゅー、楽しそー。…違うの?違くなくない?
だってさ、なんらか案件の証拠なんでしょ?このチラシ。面白みに繋がる可能性あるってなら、実質お宝でしょ。

とりま無差別乱獲に剥がし集める前にー、どの辺にどれくらいの量あるか、どの辺に多いのかとかざっくり確認しとく。
多ければ多い場所ほど、その場所の対象に伝えたい何かなのかー、或いはそれ施し試みてるお人の…本拠地?活動場所?に近くなるんだろーしさ。
その辺【推測】してく。

でもってー、集めるのは集めて、楽しく読んじゃお、そのチラシ。
なんなら無差別無条件に、そこらのゆーしゃ様にこのデザイン良くない?って見せて回って。
妨害じゃなくて興味的なあれ。

リザルト Result


 学園の至るところに貼られているという謎のチラシ。
 描かれているのは、一つ目のネコがニマニマ不気味に笑っている姿だけ。
 誰がなんの為に? ただのイタズラ? 本当になんだか分からない謎のチラシは、やっぱりちょっと不気味だった。
 けれど、サンプルとして渡されたチラシをぴらぴら揺らす【チョウザ・コナミ】の口は、にんまりゆるーく弧を描く。
「え、なに。宝探し的な? ひゅー、楽しそー。……違うの? 違くなくない?」
 ただの不気味なチラシだけれど。チョウザの目には宝の地図に映っているようだ。
 謎がいっぱいのチラシは、きっとなんらかの案件の証拠。面白みに繋がる可能性があるのなら、それは彼女にとっては宝の地図にもなるのだろう。
「さーてそれじゃあ、宝探しを始めるとしますかー」
 くしゃりとチラシを握りしめて。チラシ探しならぬ、宝探しに向かったチョウザの足音が、かつかつ楽しそうに響いていく。

「……あった、これですね。へんなチラシ、イタズラ……で、すむならまだいいんですけれど」
 謎のチラシの前に立つ【レーネ・ブリーズ】は、ふぅ、と一息。
 一仕事終えた雰囲気のレーネだったが、彼女の手にチラシは握られておらず、代わりに握られていたのは筆と水入れの容器だった。
 レーネは容器のなかの液体にとぷんと筆を浸すと、チラシにさらさらと星のマークを書いていく。
 けれど、レーネがマークを書いたはずのチラシには、何も描かれていなかった。
「これで準備はできました。あとは広場に戻って、このチラシを火で炙れば……」
 まるでイタズラをしている子供のように、レーネが無邪気に笑っていると――。
 ぺりっ。
 レーネの横からにゅっと伸びてきた手が、先ほどマークを書いたばかりのチラシを剥がした。
「あら?」
「ん?」
 横を見れば、まっくろな瞳がぱちくりレーネの顔を覗き込んでいる。ぱちくりぱちぱち。ふたりの視線が交わって。
 レーネの顔を覗き込んでいたのは【馬場・猿二】。
 暫くレーネを眺めていた彼だったが、彼女が持っていた筆と水入れを見て、はっと何かに気付いた顔をする。
「もしかして!!?」
「ち、違いますよ……!?」
 掃除用のブラシを握りながら疑いの目を向けてくる猿二に、レーネは慌てて頭を振る。
 イベントの用意をしていただけなんです、と説明すれば、猿二はぱっと朗らかな笑みを浮かべて。
「そっか! 間違えてごめん!」
「い、いえ……。わたくしも誤解を招きそうなことをしておりましたので……」
 ぺこぺこわたわた。お互いの謝罪の言葉が途切れれば、猿二はきょとんと首を傾げた。
「それにしてもー、イベントのお知らせあったかな?」
 これは集めてきてってお願いされたチラシだぞ、と猿二は集めてきたチラシの束をズボンのポケットから取り出してレーネに見せる。
「わあ、もうこんなに集めたんですね」
「掃除してくれって頼まれたからな!」
 ぱちぱちと拍手をされて、猿二はふふんと得意げに胸を張る。
 レーネはその様子を見てくすくす笑うと、彼にもうひとつお願いをすることにした。
「掃除中に他の方に会ったら、そのチラシを広場に持ってきてくださいって伝えて頂けますか?」
「広場に?」
「ええ。そのチラシには『アタリ』があるんです。たくさんアタリを集めたひとは、賞品と交換できるんですよ」
「え! 知らなかったぞ!」
 ぱっと顔を輝かせた猿二が思わず手に力を込めたものだから、握られていたチラシがくしゃりと潰れた。
「いいこと教えてくれてありがとう! ありがとう!」
「どういたしまして。何がもらえるかはお楽しみです、広場で待っていますね」
 レーネは、ありがとうと勢いよくぶんぶん手を振る猿二に見送られながら、広場へ向かうのだった。


 植物園から学園校舎、その次は大図書館。
 広い学園内を掃除する、それだけでもけっこうな大仕事だ。
 けれど【シルワ・カルブクルス】は、この広い学園内をぐるりと掃除しながら、しっかりチラシを集めていた。
「学園祭が終わったところで、はた迷惑な話ですね。犯人を見つけしだい捕まえておきましょうか」
 目立つ場所に貼られたチラシはもちろん、植物園では木の上や鉢植えの裏、校舎では机の裏やロッカーの中まで。
 目立たない場所に貼られていたチラシも回収され、彼女が持っていた掃除用具のバケツはチラシでいっぱいだ。
 人目につく場所のチラシを探すのは、例のラクガキを探せばいいから難しくはなかった。
 隠されているチラシを探すのはなかなか骨が折れるけれど、シルワが大図書館に辿りついたころには、すっかりチラシ探しが上手になっていた。
 目立たない場所に貼られたチラシを見つけるコツは、分かってしまえば簡単だった。
 普段放って置かれていた場所にひとの手が入るのだから、ひとの目につかない場所でもあるにも関わらず、その付近に埃が少ないのだ。
「だから、ここでチラシがありそうな場所は……」
 シルワがきょろりと辺りを見回す。シルワが目を留めたのは、ちいさめな本棚。
 そのうちのひとつがズレており、床には何か引き摺ったような跡。その本棚に動かして、本棚の裏を覗き込めば――。
「やっぱり。ありました」
 手を伸ばして、ぺりっとチラシを剥がす。チラシなんてひとに見られてこそなのに。こんなところにまで貼る理由はなんだろう。
 チラシをまじまじ見詰めて考えてみるが、このチラシがなんなのかはさっぱり分からなかった。
 シルワはバケツのなかにチラシを放ると、ふう、と一息。
 いつでも賑やかな学園だが、大図書館は図書館ということもあり、他の場所に比べればわりと静かだ。
 それに、すこし前には歓迎会もあった。
 お祭り騒ぎという言葉がぴったりな、賑やかで騒々しい魔法学園フトゥールム・スクエアの歓迎会。
 大図書館の静けさは、そんな想い出がとおい昔のことのように感じられて、なんだかちょっぴり胸がきゅうとなる。
 胸の前できゅうと手を握ったシルワは、ゆるりと頭を振る。
 お祭りが終わってしまったとしてもそれはなくなったわけじゃない。想い出として、大事に大事に積み重なっていく。
 それに、これからきっと、もっと、素敵な想い出ができるはずだから。
「うん。ひとつずつ、私にできることをしましょう」
 だから、まずは。このバケツいっぱいのチラシを貼った犯人の話を誰かに聞いてみようかな。

 鼻歌まじりに長い廊下を歩きながら。
 チョウザは集めたチラシを楽しそうに眺めたり、通りすがった誰かを呼び止めてチラシを見せたりしていた。
「あっ、ねえ。そこのゆーしゃ様? みてみて、このデザイン良くない?」
 ほらほら、誰でも描けそうなこの感じが味があるっていうか?
 そういう絵って描こうと思って描けるもんじゃないじゃん?
 学園内にこれが描かれたチラシがいっぱいあるから、描いたひとに会いたいなーって思ってんだよね!
 そんな会話をしながら。チョウザはニコニコ笑顔で、通りすがりの誰かに次々チラシを見せていく。
「そっかー、知らないかー。何か知ってたら情報教えてねえ」
 話しかけた相手にひらひらと手を振って見送る。その姿が見えなくなってから、チョウザはふう、と息を吐いた。
「話しながら精神分析もしてるけどー、まじでなにも知らないっぽいじゃん?」
 チョウザの会話術を以ってしても、直接犯人に繋がる話は聞きだせなかった。もしかしたらうまく隠しているだけかもしれない。
 けれど、とりあえず収穫がゼロではないだけで十分だった。
 チラシのことを知っているひとは案外多いことも分かったのだから。
 チラシを見たことがあるひと、気になって持っていたひと、何か分かったら教えると言ってくれたひと。
 この謎のチラシに関わるひとが増えれば増えるほど、犯人に近づきやすくなるだろう。
 ならば、せっせと自らの足を使って、新たな情報を手に入れなくちゃ。
 新たな人影に気付いたチョウザが、たたっとそちらへ駆け寄ると――――。
「せいや! はっ! ウー! ハー!」
「えっ、なんでこんなとこで正拳突きなんかしてんの?」
「はっ!?」
 チョウザに見つかった猿二がばっと振り向く。彼の手には、くしゃくしゃになったチラシ。
「ん? 猿のルネサンス様もチラシ集め?」
 レーネに言われた通りチラシ集めと宣伝を頑張っていた猿二だったが、ちょっと集中力が切れてきたからつい正拳突きをしていたらしい。
 チョウザの言葉でそのことを思い出した猿二は、チョウザに向かって塊となりつつあるチラシをぐぐっと見せてにんまり笑う。
「頑張って掃除をしてきたぞ! チラシもいっぱいだぞ!」
「お疲れえ、こんだけ貼るとか暇人だよねえ」
「なんだろう! 不気味だね! 学校内だから黒幕・暗躍コースの人の仕業かな! 何が目的なんだろう!」
 うん! わかんないや! と力強く言い切る猿二を見ながら、チョウザはけらりと笑って、ザコちゃんもだよお、と呟いた。


 レーネのイベント作戦が功を奏したのか、広場はチラシを手にした学生たちで賑わっていた。
「…………これは?」
 話を聞きつけて広場へやってきたシルワが首を傾げる。
 人だかりのなか、広場に受付を設置したレーネが、暖炉の火でチラシをぴらぴら炙っている。
「あ、これはハズレ……。これもですね。あっ、これはアタリですよ!」
 レーネは、たくさんのチラシをアタリとハズレにせっせと分けていく。
 どうやらアタリのチラシは火で炙るとマークが出るようになっているらしい。
 レーネがチラシにマークを書いた液体は、ただの水ではなくミカンの果汁が含まれた液体。――そう、こうして炙り出しをするためのものだった。
 急遽開催されたイベントで賑わう広場を見れば、シルワの先ほど感じていたちょっと寂しい気持ちはどこへやら。思わず微笑んでしまう。
「おー、大盛況ってかんじ?」
「賞品欲しいんだぞ!」
 シルワよりすこし遅れてやってきたチョウザと猿二も、ちょっとしたお祭り騒ぎを眺めて楽しそうに笑う。

 お祭り騒ぎが落ち着いてきたころ。
 チョウザは受付のレーネの側に近づくと、彼女にしか聞こえないようにこっそり聞いた。
「ねえ、なにかヘンなひととか来たぁ?」
「いえ、特には……。ひとが多すぎて気付けなかっただけかもしれないですが……」
「そっか、ありがと漫遊系エリアル様」
 へらりと笑ってから、ぐるりと広場を見渡す。確かにこれだけひとがいたら、ひとりひとり精神分析を行なって見極めるのもなかなか難しそうだ。
「あ! でももしかしたら! チラシがないことに気付いてまた貼り直してるかもしれないぞ!」
「その可能性はありそうですね。チラシがいちばん多く貼られていたのは、学園お知らせの掲示板でしたが……」
 シルワの言葉に、全員がちらりと目配せ。
「確かに、何か目的があるのなら今頃動きがあるかもしれませんね」
「えー、じゃあ行ってみるぅ?」
「犯人を捕まえるのは任せて欲しいんだぞ!」
 話は纏まったらしい。イベント休憩中というメモ書きを受付に置いて、揃って広場を後にする。
 何か動きがないかと学園お知らせの掲示板近くで、様子を伺っていると――――。
「あっ! あれ!」
「しーっ!」
 掲示板の現れたのは、ひとりの影。そのひとは抱えていた紙の束から一枚を抜き取ると、全員が見ているなかで、ぺたりチラシを貼った。
 もちろんそのチラシには、あのネコのラクガキがニマニマ笑っていて――。
「犯人確保です!!」
「逃がしませんよ!」
 わっと隠れていた全員が飛び出して、チラシを貼っていた人物を取り囲む。
「えっ!? なに!?」
 取り囲まれたそのひとは、訳も分からず目を白黒させるだけ。
「……何をしているか教えてもらえますか?」
「え、頼まれたチラシを貼っていただけだけど……」
「そのチラシなんなのか知ってるう? ザコちゃんたちそれを集めるよう頼まれたんだよねえ」
「た、頼まれただけだから、詳しくは……」
 突然の出来事にきょどきょど目を泳がせている彼は、どうやら生徒のひとりのようだ。
 彼の話によると、チラシを貼る仕事を頼まれただけで、ちょっとしたお小遣い稼ぎのつもりだったらしい。
 目立たない場所にも貼るようにしていたのも、いろんな場所に貼ってくれと頼まれたから、そのようにしていただけ。
 誰に頼まれたのかと聞けば、先輩の友人で詳しくは知らないと彼は語った。
「つまり何も知らないってことかな!」
「………あっさり捕まるから拍子抜けだと思ったけどぉ」
 はあ、と思わず溜息が漏れる。
 何者かが意図的にこのチラシを学園内に広めようとしていることは分かったけれど、詳しいことはさっぱり分からないままだ。
 これが何かの魔法で学園を狙った何者かの陰謀、なんてそんな可能性も捨てきれないけれど。
「……とりあえず、今すぐに何かが起こることはなさそうですね」
「先生にもっと詳しく調べてもらったほうがいいのかな……」
 シルワが貼られたばかりのチラシを剥がす。チラシに描かれた一つ目のネコは、相変わらずニマニマ笑っていた。



課題評価
課題経験:48
課題報酬:1200
【新歓】こうしゃのせいそ~!
執筆:あまのいろは GM


《【新歓】こうしゃのせいそ~!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 1) 2020-05-08 22:54:02
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。

へんなかんじがする事件ですね。
ほっとくといやなことになりそうな気もします。

よろしくお願いします。

《2期生》 シルワ・カルブクルス (No 2) 2020-05-09 13:27:11
村人・従者コースのシルワ・カルブクルスです
よろしくお願いします

一体だれが、このポスターが貼っているのでしょうか?
元を絶たなければ、また貼られるような気がしますが…

とりあえず、清掃と並行して誰か見ていないか聞き込みをしておきますね

《新入生》 馬場・猿二 (No 3) 2020-05-09 15:27:56
滑り込みだー!二期生!武人・無双コースの馬場猿二だよ!よろしくね!
なんか不気味だね!いっぱい集めるぞー!