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死を喰らうもの


ストーリー Story

 フトゥールム・スクエアが収蔵する資料によれば、『ソレ』は人の死への感情を糧とする魔物だとされた。
 命奪われる者が抱いた恐怖。命と引き換えに得た勝利への満足。正負を問わぬ強烈な感情のみが、『ソレ』――『デスイーター』の空腹を癒してくれる。
 殺したい。その気になれば治療できる『死亡』などでなく、抗い難き『消滅』を獲物にもたらして喰いたい。
 しかし――かつては闇雲に獲物を殺して死を啜っていたデスイーターも、いつしか知恵をつけるようになっていた。

 殺しても、得られる死への感情の味は『魔物に殺されたものの感情』のもの一辺倒になってしまう。
 何よりも、殺せば、それ以上は喰えなくなってしまう。

 ある時、デスイーターは人の夢の存在に気付き、そこに足を踏み入れるようになった。そこにはデスイーターには思いもよらぬ世界が広がっており、目も眩むような崖から落下したり、同胞らの憎悪を一身に受けたりと、様々な死が渦巻いている。
 得られる感情は実際の死のものと遜色ないばかりか、多彩な味までをも楽しめて、しかも同じ者から何度でも吸い取ることができる。

 いつしかデスイーターは夢の世界に味を占め、人に死の夢を見させて味わうようになっていた。
 だが……それは人々にとって、デスイーターが安全になったことを意味しない。
 中にはあまりに現実味のある夢に恐怖して、本当に命を落としてしまった者もいる。
 想像力が乏しくリアリティある死の夢を見ることができず、怒ったデスイーターに殺されてしまった者もいる。
 もちろん、そんな者たちの割合は決して多くないのだろうが――『死に至る夢を見せる魔物』の存在は人々を恐れさせ、賢者らは危険な夢魔の一種として記録に残したらしい。

 そして今……とある田舎町の人々が、同時に悪夢を見るようになったという。必ず自身の死で終わる不吉な夢――恐れた人々はフトゥールム・スクエアに調査を依頼して、その結果、町に悪夢をもたらす元凶がデスイーターではないかと、教員たちは結論づけた。
 デスイーターは出現記録が少ないため、いまだ討伐の方法は未確立だと黒幕・暗躍コース専攻の教師【ユリ・ネオネ】は語る。
「でも……被害を減らす方法だけは判っているわ。それは上質の『死への感情』を存分に食べさせてあげること」
 一般人と比べれば遥かに波乱万丈な人生を歩むだろう学園生徒たちが死に対して向ける感情は、さぞかしデスイーターにとって美味なものになるだろう……死を存分に味わって満足したデスイーターは、それ以上の害を出すことなく立ち去って、再び長い休眠に入るのだ。
 だからユリ先生は口許にどこか寂しげな微笑みを浮かべ、課外授業を言い渡す。
「自分が死ぬ姿を想像するのは辛いだろうけど……本当に命の危険に晒される前に、安全な夢の中で慣れておいたほうがいいかもしれないわ」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-05-07

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2020-05-17

登場人物 8/8 Characters
《ゆうがく2年生》樫谷・スズネ
 ヒューマン Lv14 / 勇者・英雄 Rank 1
「ただしいことのために、今の生がある」 「……そう、思っていたんだけどなぁ」 読み方…カシヤ・スズネ 正義感の強い、孤児院生まれの女性 困っている人には手を差し伸べるお人好し 「ただしいこと」にちょっぴり執着してる基本的にはいい人 容姿 ・こげ茶色のロングヘアに青色の瞳、目は吊り目 ・同年代と比べると身長はやや高め ・常に空色のペンダントを身に着けており、同じ色のヘアピンをしていることも多くなった 性格 ・困っている人はほっとけない、隣人には手を差し伸べる、絵にかいたようなお人好し ・「ただしいことをすれば幸せになれる」という考えの元に日々善行に励んでいる(と、本人は思ってる) ・孤児院の中ではお姉さんの立場だったので、面倒見はいい方 好きなこと おいしいごはん、みんなのえがお、先生 二人称:キミ、~さん 慣れた相手は呼び捨て、お前 敵対者:お前、(激昂時)貴様
《ゆうがく2年生》ヒューズ・トゥエルプ
 ヒューマン Lv21 / 黒幕・暗躍 Rank 1
(未設定)
《ゆうがく2年生》蓮花寺・六道丸
 リバイバル Lv13 / 芸能・芸術 Rank 1
名前の読みは『れんげじ・りくどうまる』。 一人称は『拙僧』。ヒューマン時代は生まれ故郷である東の国で琵琶法師をしていた。今でもよく琵琶を背負っているが、今のところまだ戦闘には使っていない。 一人称が示す通り修行僧でもあったのだが、学園の教祖・聖職コースとは宗派が異なっていたため、芸能・芸術コースに属している。 本来は「六道丸」だけが名前であり、「蓮花寺」は育ててもらった寺の名前を苗字の代わりに名乗っている。 若い見た目に不釣り合いな古めかしい話し方をするのは、彼の親代わりでもある和尚の話し方が移ったため。基本的な呼び方は「其方」「〜どの」だが、家族同然に気心が知れた相手、あるいは敵は「お主」と呼んで、名前も呼び捨てにする。 長い黒髪を揺らめかせたミステリアスな出で立ちをしているがその性格は極めて温厚で純真。生前は盲目であったため、死んで初めて出会えた『色のある』世界が新鮮で仕方がない様子。 ベジタリアンであり自分から肉や魚は食べないが、あまり厳密でもなく、『出されたものは残さず食べる』ことの方が優先される。 好きなもの:音楽、良い香りの花、外で体を動かすこと、ちょっとした悪戯、霜柱を踏むこと、手触りのいい陶器、親切な人、物語、小さな生き物、etc... 嫌いなもの:大雨や雷の音
《野性のオオカミ》ヘルムート・アーヴィング
 ルネサンス Lv8 / 魔王・覇王 Rank 1
「自分はヘルムート・アーヴィング。誇り高きロイニデッド出身、種族は狼のルネサンスだ。優れた軍人になるべく、この学園へと入学する事となった。諸君らと良い学友になれることを願っている。」                               ―――――――― 【性格】 軍人を目指すだけあって、堅さがある口調だが社交的に見えるよう、人前では口角を意識して上げて笑みを作っている。 己に厳しく、そして他人と一定の距離を置く様にしている。 ポーカーフェイス、冷静で居るよう意識してるが、狼なので尻尾に意識せず感情が現れてしまう。 『優れた軍人であるべき』アーヴィング家の血を引きながら、放蕩な1期生のプラムに嫌悪感をあらわにするが、半年経った現在、態度は軟化してきている。 根が善人の為、厄介事に巻き込まれがち。 【口調】 一人称:自分、僕(感情が高ぶると俺) 二人称:君、諸君、(男女共に)名前+君 「本日の授業の仲間は…諸君らか。勉学ばかりで実戦経験が乏しい自分だが、どうかよろしく頼む。」 「課題を一緒に乗り越えてきた仲間は、一生の宝だ。特に先日のマラソン大会は、少し自分に自信を持てたよ。」 「プラム…貴様さては何も考えてないな????」 【好き】 長姉 家族 酸味 【嫌い】 プラム・アーヴィング 自堕落な人間 侮られる事 傷の舐め合い
《真心はその先に》マーニー・ジム
 リバイバル Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
マーニー・ジムよ。 普通のおばあちゃんとして、孫に看取られて静かに逝ったはずなんだけど…なんの因果か、リバイバルとして蘇ったの。 何故か学生の時の姿だし。 実は、人を探していてね。 もし危ないことをしていたら、止めなければならないの。 生きてる間は諦めてたんだけど…せっかく蘇ったのだから、また探してみるつもりよ。 それに、もうひとつ夢があるの。 私の青春、生涯をかけた行政学のことを、先生として、みんなに伝えること。 これも、生前は叶える前に家庭持っちゃったけど、蘇ったいま、改めて全力で目指してみるわ。 ※マーニーの思い出※ 「僕と一緒に来てくれませんか?」 地方自治の授業の一環でガンダ村に視察に行ったとき、そこの新規採用職員であったリスク・ジムからかけられた言葉だ。 この時点で、その言葉に深い意味はなく、そのときは、農地の手続きの案内で農家を回る手伝いといった用件だった。 「よろしくお願いします。」 これ以降、私たちの間では、このやり取りが幾度となく繰り返されることとなる。 その後、例のやり取りを経て婚約に至る。 しかし、幸せの日々は長くは続かない。 結婚式の前夜、リスクは出奔。著作「事務の危機管理」での訴えが理解されない現状に絶望したとのことだが… 「現状の事務には限界がある。同じことの繰り返しじゃ、世界は滅ぶよ」 結婚前夜の非道な仕打ちよりも、消息を絶つほど思い詰めた彼の支えになれなかったことを今も後悔している。 ※消滅キー※(PL情報) リスク及びリョウに感謝を伝えること 片方に伝えると存在が半分消える(薄くなる) メメ・メメル校長はこのことを把握しているようで、これを逆手にとって消滅を遠ざけてくれたことがある。 (「宿り木の下に唇を盗んで」(桂木京介 GM)参照)
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《1期生》スナ・リーエ
 アークライト Lv4 / 魔王・覇王 Rank 1
 青緑色の透き通るようなボブウェーブの髪。 ルビーのような赤の双眸に白磁の肌。  彼女は『スナ・リーエ』 記憶はないけどのんびりマイペースをモットーに生きるアークライトの娘。  穏やか且つ儚げで繊細な雰囲気とは裏腹に、現在の自身の状況「アークライト化、魔王・覇王コース在籍」を内心かなり楽しんでいる。 楽しいことが大好き。 一人称は基本「わたし」たまに「すーちゃん」とも言う。
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。

解説 Explan

 そんなわけで皆様はユリ先生の勧めにより、夢魔『デスイーター』に自分が死ぬ夢を喰わせて退散させる、という課外授業に参加することになりました。
 夢を見ればいいだけ……といえば簡単そうに思えますが、もしも皆様の想像力が乏しくデスイーターを満足させることができなければ、怒った彼により現実でも命を奪われてしまうのです! 特に激怒させてしまった場合、皆様だけでなく町の人々まで犠牲になってしまいます。
 もっとも、万が一の際にも学園が全力で救助を行なうため、よほどのことがなければ皆様が消滅してしまう心配はないでしょう。ですがデスイーターを激怒させてしまったならば……助けきれない町の人も出てしまうかもしれません。

 見る夢が『自分にとって本当にありそうな未来』であるほど、『自分にとって強い感情を引き起こす出来事』であるほど、皆様はデスイーターを満足させることができます。
 もちろん、普通なら『こんな夢を見よう』と思ったからといって、必ずしも見られるとは限らないわけですが……今回はデスイーターの能力によって、ちゃんと見たい夢を見ることができるのでご安心下さい!


作者コメント Comment
 皆様らしい『死の未来』と、その時に皆様がどのような感情を抱くのか、プランに存分にぶつけてみて下さい。
 理不尽な死の未来も皆様に強い感情を起こさせるでしょうが、老衰で死ぬ間際に過去を思い起こす時の感情も、きっととても強いものであることでしょう。


個人成績表 Report
樫谷・スズネ 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
…死、か

・シチュ
どこかの薄暗い燃え尽きた小屋の前
魔物に襲われている子どもを逃がすも
魔物との戦闘中に致命傷を受けて
魔物を全て倒してから倒れこみ

死にかけなのに どこかで安堵してる自分がいる
そうだ これでよかったんだ
あの日 私だけが生き残った意味がようやく果たされる
ひどい出血で意識が朦朧とする
あの子は生きてどこかへ やっとただしいことが無し終えた
これでいいんですよね せんせい
ふと見上げた夜空に目を瞬かせ
…あ、空が きれい

・夢からさめたら
夢の中での自分を思い出して苦笑い
ただしさの為に生きなければと思っていた
いつのまにか 私には捨てたくないものが増えたようで
…はは、死にたくない、なんて
はじめて、おもえたなぁ

ヒューズ・トゥエルプ 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ヒューマンだったから

ある日、何の前触れも無く実の親から非常な宣告を受けた。
動物達の餌になれ。
俺は森に連れて行かれて放逐された
野草と牧草しか食ってこなかったから
同年代の子供達より上背は短く、腕や足なんか森の枯れ枝のようだ
冬越えのために備蓄を確保しようと動く小動物と木の実の争奪戦
猪や熊と遭遇しないように神経をすり減らす日々で
心と身体が限界はすぐに訪れた
視界が黒く塞がり
気づけば地面に倒れ込んだ
すぐに猛烈な寒気が体を巡った
死が纏わりつく感覚
震える手で土を掘り返して、波打つヒモのようなものを口にした
殺す
土を掻き毟って
ヒモを拾う
殺す
噛みちぎって
嗤った
土埃が器官に入った
むせて
吐いて
死んだ。





蓮花寺・六道丸 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
アドリブ絡み歓迎

自分の死がどんなものであったのか普段は覚えていないので意識することはないが
潜在意識の中にはあるのか、死の夢を見ることで改めて見せつけられる
あくまで夢なので、死の間際の光景が真実かどうかは分からないはずだが…

死ぬ前、ある悪しき領主の収賄の証拠を押さえるべく、『いつものように』ただの琵琶法師として領地に潜り込み
それを手に入れたまでは良いが捕らえられてしまった
そこまでは覚えているが、一体何を失敗したのかずっと疑問だった

夢では何も見えないが、ごく狭い空間…粗末な牢の中にいるようだ
体中が痛み、熱を発している
足は先日の拷問でずたずたで、自由になったところでもう立って歩くことはできないだろう

ヘルムート・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
奴は腐ってもアーヴィング家の血を継ぐ者。
俺より優れているのは当然だった。
だから、祖国にとって不相応と判断し、処分すると決めた今も恐れている。

権力争いで暗殺されるはいい、それが貴族だ。
戦場で死ぬもいい、それが軍人だ。

―俺にとっての死。
それは、姉様。
貴方に不要と告げられる事だ。

その一言を放たれたら最後、存在その根底から俺は消え去るのだ。

これ以上貴方に無様を晒す前に。

マーニー・ジム 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【事前調査】デスイーターの習性や弱点を調査
どれくらいの夢で満足するのか
満足通り越して消化不良や破裂四散をおこすことが可能か調べ
分かったことを仲間に共有

当日は仲間に決して無理しないよう声かけ
デスイーターに夢を見せ終わった仲間には【精神分析】で状態を確認し
辛さに寄り添い心から励ます

そして自分は一番最後に回る

「見ていなさいデスイーター
これが私の…終わらない悪夢」

冬の全校集会
未来の精霊のためのコンサート前夜にみた悪夢を再現

夢のなかで『リスク・ジム』(経歴参照)と再会
この出会いがもたらす必然のように
夢は悲劇的な未来へと展開
夢にあらがい目ざめようとしても
結末にたどりつくたびまた出会いから繰り返す

アドリブA

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【わたくしの悪夢】

すてきな結婚をしてあかちゃんができました。
でも、からだの調子がどんどんわるくなってしまっています。

お医者さまのおはなしでは出産にわたくしはたえられないそうです。

あかちゃんをのこしてわたくしはしんでしまう。

かなしくて、くやしくて、もうしわけなくて。


でも、それでもわたくしはあかちゃんにいきてほしいんです。

わたくしはみることができない未来でもしあわせになってほしいんです。

だから、わたくしはえらびました。

わたくしはあかちゃんを産みます。

それがいまのわたくしにできるたったひとつのことだから。



【取り扱いについて】

わたくしの悪夢については詳しい描写はなくてもかまいません。

スナ・リーエ 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【見る夢】
今より前の記憶はないんです、が
ひとつだけ誰が死んでしまったのかは分からなくて
でも曖昧だけど覚えてるものがあって
将来のわたしの身にも起こらないとも限らないことなのでその夢をみます

【要約】
・高い崖から足を滑らせ何もできず落下し、じわじわと死んでしまう
・やってくる死を自覚するのが辛く、恐ろしいという思い

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:84 = 70全体 + 14個別
獲得報酬:3600 = 3000全体 + 600個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
死の感情を食う魔物で、人を食うとそれで終わりだから、夢を食う……えらく経済的な魔物だわ
まあ、こちとら一度は死んでる経験者だから、お眼鏡に叶えるようにしたいわね

◆悪夢
私は……自分が処刑されたとき、どんな風だったのか思いを馳せてみるわ
記録では、磔刑とされ、一気には殺さずじわじわ苦しめようとしたそうだけど

ホント、磔にされ見下ろすと、色んな視線を注がれるのね

憐憫、侮蔑、同情、嫉妬、嫌悪
そして、期待と興奮

観衆の熱狂と裏腹に冷えきった私の心
一族の罪をすべて背負わされ

痛みに声も出ない
声の代わりに、口からは血が溢れて

痛みでおかしくなったのか……笑いが出る
記録では最後まで微笑んでたそうだけど……これが真相かもね

リザルト Result

●何もできぬまま
 【スナ・リーエ】は足を滑らせて、高い崖から落ちて死んだ。
 いや……それで本当に死ねたのならば、彼女の心は穏やかだったろう。実際には即死を免れて、周囲の木々が天然の目隠しとなった空間に転がった。

 誰も来ず、誰からも見つけて貰えぬ森の中。スナは痛みに耐えて身を起こそうと思ったが、どういうわけか体は動かなかった。
 痛みを楽にしようとうずくまるのはもちろん、指先を動かすことさえ叶わない。記憶をなくす前のわたしは何かしちゃったんでしょうか、あっけなく死んじゃうんですね……そんなことを思った時にはまだ心穏やかだったと言えよう。
 しとしとと降り始めた雨粒が、天を向いたままの顔を撫でてゆく。時には鼻や口へと舞い落ちる水滴に苦しんで、助けを求めて声を上げようとする。
 か細くて、途切れ途切れの声しか出なかった。自分はこのまま誰にも発見されず、身体の痛みに狂うなり、餓死なり溺死なりを待つなりしなければならないんだ……それが『恐ろしいこと』だと学んだ記憶さえ自分にはないはずなのに、得体の知れない死の恐怖ばかりが、静かに自身に忍び寄ってくるのが判る。
 それを振り払うように別のことに考えを巡らせば、たったひとつだけの曖昧な、確かに『憶えている』ものへと辿り着いた。そういえばこんな光景を、わたしはどこかで見た気がする――それが誰だったのかはさっぱり思い出せぬのだけど。

 死が怖い――なのにそれに囚われ恐怖する、自分自身が嫌になる。怖い、辛い……いっそのことそう感じる想像力さえも、記憶の彼方に置いてきてしまえればよかったものを!
 なのに次第に感覚が曖昧になってゆく自身の身体は、いつまでもスナに死を忘れさせてはくれなかった。痛みさえをも感じなくなった時、自分は本当に死んでしまう――覚悟か、それとも諦観か、彼女はそっと瞼を下ろした。
 それでもそれからしばらくは、耳の奥に木の葉で踊る雨音が届き続けていた……が、それさえも次第に小さくなってゆき、最期には何も聞こえなくなった。

●記録語りき
 えらく経済的な魔物だわ、と、【パーシア・セントレジャー】は評してみせた。人を食えばそれで終わりの死の感情を、『夢』を通じることで量産する。
 ならば、パーシアも経済的に遣ってみせよう……何故ならこちとら一度死んでる身。その時にどんな思いを抱いたのかまでは憶えておらずとも、処刑記録から当時を想像することくらいはできる。

 そう……パーシアは処刑されていた。しかも一思いに命を奪うのではなく、なぶり殺すような方法で。
 姫君の象徴である白いドレスは大きく破け。今や『王族』なんて名には何の意味もなく、周囲では姫君を自分のものにしたつもりになった兵士らが、勝ち誇り顔を歪めて嘲笑する。

 磔にされ、高い場所から見下ろすパーシアからは、様々な視線が自分に注がれるのが見て取れた。
 憐憫、侮蔑、同情、嫉妬、嫌悪。
 そして……期待と興奮さえも。

 一族の罪全てを背負わされた娘は、穢され、苦しみ、自分の命を――正確には道連れになるだろう、父親も判らぬもう一つの命さえをも――落とすことでしか責任を取れぬのだと信じさせられた。
 いつしか聞くに堪えないヤジばかりでは飽き足らず、石まで投げ始めた観衆の熱狂は、そんな彼女を慰めてくれるというのだろうか?
 永遠に続くようにも思われる苦痛に不規則に苛まれ、彼女は気を失うことさえできなかった。そうなれば脳裏に自ずと浮かび上がってくるものは、在りし日の光景。懐かしき思い出。
 今更懐かしんでみたところで、決して戻るはずもなかった。そればかりか手を伸ばせば幻のように消え、逆にパーシアから希望を奪い去ってゆく。

 肉体と魂が痛み、思わず声を上げようとした。
 でも……それすらも許されず、代わりに口から溢れ出たのは血。
 冷えきってゆく体と心の中で、どういうわけか笑みだけが零れ落ちてきた。
 記録では最期は微笑んでいたとあるが、実際には痛みのあまりおかしくなったのだ――夢と現実の記憶が綯い交ぜになって、そう納得するパーシアの視界は閉ざされて、いつしか永劫の闇へと呑まれていった――。

●獣の生
 死の間際に自ず嗤っていたのは、【ヒューズ・トゥエルプ】も同じだったろう。
 その理由は自分でも解らない……けれど、自分が死に追い遣られた理由ばかりは解る。

 ヒューマンだったから。

 それが理不尽なことだと反発する意思なんて、とうの昔に喪われてしまっていた。ルネサンスと動物たちこそが支配者であり、ヒューマンが被支配者であるような社会。そんな差別社会を作り上げた人物自身もヒューマンであったなどという矛盾さえ、今のヒューズには何の救いにもならぬに違いない。
 けれども冷遇され、迫害される毎日は、ある日、突然に終わりを告げるのだった。
「動物たちの餌になれ」
 命令とすら呼べぬほどの断定のニュアンスを帯びた、一方的な非情な宣言を告げたのは実父――この社会の設計者。これからヒューズは家畜同然の支配から解放されて、畜生同然の存在に成り果てるのだ……。

 野草と牧草ばかりで育てられてきた、発育不足の枯れ枝のような肉体で。冬に備えて働く小動物と、木の実を争奪しながら糊口を凌ぐ。
 猪や熊――ともすれば野兎にさえ怯えつつ。徒に神経をすり減らし続ける。
 限界が訪れるまでは長くなかった。不意に視界は黒く塞がって、気付けば地面に倒れ込んでいた。
 猛烈な寒気。死が纏わりつく感覚。生きねば――強迫観念じみた恐怖が沸き起こり、震える手に土を掘り返させる。
 のたうつ紐のようなものが見えた。迷わずそれを殺して口にした。
 土を掻き毟って紐を拾う。殺す。噛み千切る。拾う、殺す、噛む。拾う、殺す――。

 ――現実ではどうにか一命を取り留めた日の再演は、夢の中ではいつまで経っても終わらなかった。理由もなく嗤う。そのまま土を掻き毟る。
 そして……唐突に噎せ始める。それが自らの掻いた土を気管に吸い込んだせいだとは、夢の中のヒューズには解らなかった。
 どこにも光明の見えぬ恐怖の中で、ヒューズは咳き込んで吐いた。それが原因で息が詰まりまた苦しんだ。
 誰も救ってはくれる者はいない……彼は、まるでうち棄てられたかのように死んだ。

●死を招く言葉
 スナの為す術もない死への感情も、2人の出生ゆえの死に様も存分に賞味して、デスイーターは町のどこかで、満足そうに舌なめずりをした。
 その生まれ育ちが珍しければ珍しいほど、それに伴う死も美味なものになる。では……名門の養子【ヘルムート・アーヴィング】の死の味はどうか?
 ……すると魔物は思わぬ壮絶な死に様の不意打ちを受け、密かに歓喜に咽ぶのだ。

 アーヴィングの跡取り息子を喪ったあの日は、今も呪いのようにヘルムートを蝕んでいた。
 どうして高貴な血の流れる彼でなく、使用人の自分が生き残ったのか。彼を守る役目も果たせぬ愚か者――それが今では本当の息子の代わりに、アーヴィングの跡取りとしてのうのうと生きている。
 だから……どんなことでも覚悟していた。
 貴族として権力争いのために暗殺されるのも。軍人として戦場に散ることも。
 後に死んだと思われた跡取り息子と再会し、その振る舞いがアーヴィングに不相応だと判断し、彼を『処分』することさえも。

 ……けれども夢の中。使用人生まれのヘルムートが戦いを挑んでも、優秀なはずの高貴な血筋には敵うはずもなかった。這う這うの体で家に戻れば、アーヴィングの長姉は微笑んで迎え。
 そして一言。

「貴方なんかに頼むんじゃなかった」

 視界は瞬く間に真っ白になった。
 手足は痺れ、その場に倒れ、無様に自室まで這ってゆく。
 どうして跡取りではなくお前が助かったのか、お前のような奴が家名に恥じぬ貴族軍人になれるのか――今まで義姉のたったの一言、『君が生きていてよかった』が堰き止めていた全ての否定が、決壊したかのようにヘルムートを襲う。ああ、あの言葉は嘘だったのか。自分はそんなことにも気付けなかったのか。

 そんな中でも辛うじて、剣に手を伸ばせたのは幸いだった。何故なら不甲斐ない自分自身を、自らの手で『処分』できるのだから。
(やはり、その程度だったか……)
 己の胸に何度も刃を突き立てる痛みすらも感じずに、ただ死を選ぶヘルムート。いつ意識を手放したのかさえ定かではない……何故なら彼の心は姉に否定された時、とうに死を迎えていたゆえに。

●真か嘘か
 心の拠り所に裏切られた絶望の味。極上の甘美に魔物は舌鼓を打った。同じ味が他にもないものだろうか……魔物は人々の夢の中を探る。
 ……あった。魔物は【蓮花寺・六道丸】の潜在意識の中をまさぐって、彼が真実でなければいいと信じる、ひとつの想像を取り出してくる。

 体じゅうが激しく痛み、熱さえ帯びていたのを六道丸は感じ取っていた。さすろうとする手すら容易くは動かない。様子を確かめようと目を遣ろうとしても、見えるものはない――もっともこれは『生前』の夢だから、目が見えぬのは当然ではあるのだけれど。
 自分は失敗したのだと、六道丸は『思い出す』。ある悪徳領主の収賄の証拠を押さえるために、『旅の琵琶法師』は『いつものように』領地を訪れた。盲目の旅芸人風情を警戒する者などおらず、証拠は容易く六道丸の手に落ちる。これまたやはり、『いつものこと』だ。
(一体、何を失敗したのだろうか……?)
 間者として暗躍する以上、覚悟をしなかったわけじゃない。足は拷問の末にずたずたになっており立つこともできず、自分はこの狭い、粗末な牢で一生を終える――が。
(……せめて最後に、故郷を一目見たかった。優しいあの人たちに看取られて逝きたかった……)

 だが望みとは裏腹に、最期に思いを馳せる時間は乱暴な牢番により妨げられたのだった。
「おい、今日の尋問の時間だ! 目も見えないくせに、散々引っ掻き回しやがって……」
 髪を掴まれ無理に立たされる。牢番の顔は見えずとも、どんな顔をしているのかは判る――甘い汁を啜るため主に魂を売った、悪魔の顔に違いない!
 そして悪魔はこうも囁いた。
「だがこれで、お前も年貢の納め時だ……お前を売ってくれた、■■■のおかげだな」
 その名は六道丸の親友の名であって、共に世直しをしてきた共犯者の名――。

●夜半過ぎ
「これが怒りか……これが恨みか……!」
 真実かどうかも判らない、仮に真実だとしてもぶつける相手のいない気持ちに飛び起きて、六道丸は大部屋の暗闇の中で吼え猛った。
「大丈夫、全部夢よ。本当の出来事じゃあないわ……」
 すぐさま【マーニー・ジム】が寄り添おうとする。けれども思わぬ裏切りの衝撃は、今もまだ六道丸に他者を受け容れさせてはくれない。
「……済まぬ。だが今は、少し、一人にさせてくれ……」
 謝罪の言葉だけはすぐに出た。少しでも落ち着こうと辺りを見回せば、離れた場所で壁に体を預け、大粒の汗を浮かべるヘルムートの姿。
 彼もまた悪意ある『もしも』に当てられて、マーニーを拒んだに違いない。それが身勝手なことだと解ってはいても、あんな夢を見させられ、正気を保ってはおれぬのだ。

 寄り添い癒すことさえできない恐怖。マーニーにできるのは今も悪夢にうなされている皆の、額の脂汗を拭いてやるくらい。
 そのために【レーネ・ブリーズ】にそっと近づいたなら、彼女は懇願するように寝言を繰り返し、誰かに謝り続けていた。
「やっぱり、おかあさん、もうだめみたい。ごめんなさい、なにもしてあげられなくて」
 彼女の見る夢がどんな悪夢であったのか、マーニーには想像する他はない。おいしいものを食べさせてあげたかった、すてきなものを買ってあげたかった、いろいろなところに連れていってあげたかった……そう絞り出すように無念を吐露するレーネの細すぎる体はきっと、本来なら幸福の絶頂を経て、さらなる無上の喜びとなるはずだった一瞬に耐えきれなかったのだろう。

 だからこそ、悲しい。
 誰もが当然手に入るとばかり思っている喜びが、忽然と消え失せてしまうから空しい……頭では決してそこまで珍しいことではないと解ってはいても、自分自身がそれに見舞われるまでは、誰も自分がその当事者になるとは思いも拠らぬから。
 夢の中の彼女はどれだけ望んでも、抱きしめてあげることすらできなくなるだろう。誰が悪いわけでもないし、誰に責める権利があるわけでもないのに、どうしても自分を責めるのを止められないレーネ。
「だとしても……それでもわたくしは、あかちゃんにいきてほしいんです」
 自分には決して見ることなどできないけれど、それでも幸せを託したい未来。
 自分にできることがたったひとつしか許されていないなら、それを以って愛の証としよう。
「おかあさんは、あなたを愛してます。生まれてきてくれたあなたを、永遠に愛してます、これからもずっと……」
 運命とは時に非情なもので、そのたったひとつの願いすらをも踏みにじらないとは限らない。それでも……。

 絶望や遣る瀬無さならば存分に堪能しただろうデスイーターが、そろそろ希望も味わいたくなることを、マーニーは祈らずにはいられなかった。すると……。
 どこかほっとしたかのように安らかに変わったレーネの寝顔が、絶望のどん底の中に最後の救いだけが訪れたことを物語っていた。
 ……そしてその時聞こえてくる、小さな小さな子守唄。

 気付けば【樫谷・スズネ】も悪夢の末に目を覚まし、皆を慰めるように歌っていた。
 口許には、仄かな苦笑い。
 だって、良いことを――『正しいこと』を為すことが何よりも優先していたはずの自分。それにも、いつの間にかそんな呪縛よりも大切なものができていたのだと気付いたのだから。

●生きたい
 スズネが見た夢の中では、彼女は勝利を得たところだった。
 夜、燃え尽きて廃墟と化した小屋の中で、辺りに横たわるのは魔物たち。それから……自分でも解るほどの致命傷を負った彼女自身。
(襲われていた子供も無事に逃がした。そうだ……これであの日私だけが生き残った意味が、ようやく果たされることになる)
 酷い出血に意識を朦朧とさせながら、これでいいんですよね、と虚空に問いかけた。命を賭してでもあの子を助けた……先生が説いた『正しいこと』――幸せを得る条件を、スズネはようやく手に入れたのだ。
 灰と血の床に横たわったまま空を見上げれば、そこには満天の星空が輝く。
「……あ、空が、きれい……」
 きっと、そのまま幸せになれる……最期に瞳を輝かせ、そう安堵した――はずなのに。

 星空が目に飛び込んだ瞬間思い出す、あの日交わした約束のこと。
(そうだ、私は約束したんだ)
 痛む体を無理矢理起こし、小屋の外へと歩き出す。
(それにあの人だけじゃない――もっと、みんなとやりたいことがある。見たいものがある)
 帰らなければと、強く誓った。けれども想いとは裏腹に、力が抜けて膝をつく。
「動け……動けくそっ!! こんなところで、死んで堪るか……ッ!」
 吐いた血が床をどす黒く染め、いやに恐ろしく目の奥に焼き付いた。その中に再び倒れ込んだスズネは、駄々っ子の我侭のように生を求める。『正しく』なんてなくていい、だからせめて……あの人たちと、生きたい……。

 そう願うのにこれ以上、もう、一歩も動けなかった。涙すらもが涸れきって、一滴たりとも出なくなってった。
 嫌だ、いやだ、死にたくなんてない――そんな絶対に考えるはずのなかった願いは、こんな時に限ってスズネを嘲笑う……。

●幸せを掴むまで
 ……皆が悪夢にうなされ終えるまで介抱した頃に、ようやくマーニーも眠りに就いた。
「見ていなさいデスイーター。これが私の……終わらない悪夢」
 見るのは聖夜の悪夢と同じ夢。かつての婚約者との出会いは常に、彼女を必然の悲劇へと誘う。

 ある時は彼に剣で突かれて。別の時は彼に毒を盛られて。
 罠、魔法、魔物の群れ、断頭台……実時間という枷から解き放たれた夢の世界は、何度もマーニーを死に追い遣った。
 それらを憶えたまま次の死を迎えられたなら、いつかは慣れることさえできたのだろう……けれども夢とは残酷なもので、その中では憶えておきたい記憶も『なかったこと』にされてしまう。
「また駄目……でも、今度こそ」
 何度も抗い目覚めようとしても、また全てを忘れさせられて、何度も出会いから繰り返す。彼に殺されなかった結末がなかったわけじゃない……でもそんな時は愛する孫も、他の家族皆も自身の手で殺す羽目になったり、婚約者の掲げる『理想』のために、幸せな町ひとつを滅ぼしたりして精神を病んだ。選んだ自殺の手段は数知れない。

 もう腹一杯だ!
 デスイーターは退散しようと思ったが、いつまでも続く甘露の魅惑には抗いきれず。
「まだ諦めません!」
 今度のマーニーは……彼を止めることまではできた。もっとも最期は婚約者をその手で殺めた罪に狂い、やはり自ら死を選んだのだけど。
「お願い……どうか、もう一度だけ……」
 最後に見ようと望んだ夢でも、婚約者を我が手で殺め、そして永遠に狂ってしまった。肉体が朽ち、魂のみに変わっても、生と死のあわいの真実を求めて、人の死の感情を喰らう魔物と化す。

 彼女はどこかで見たことのある8人の勇者らに斃されて、そのまま永劫の中へと消えていった。折りしもその無念にマーニーが飛び起きた瞬間……町のどこかで凄まじい悲鳴が上がり、そして全ての人々が悪夢から解き放たれる。

 それは……後に有識者による事件調査委員会の出した結論によれば、紛うことなきデスイーターの討伐――これまで誰一人として為し得なかった、歴史に残る快挙の瞬間であった。
 しかし、かの魔物を満腹のあまり破裂させるにまで至った悪夢――人の心の奥底を抉り、最も残酷な『もしも』をまざまざと見せつけられた8人にとってその功績が真に喜ばしいものであったのかまでは、彼らによる調査報告書は語ってはいない。



課題評価
課題経験:70
課題報酬:3000
死を喰らうもの
執筆:るう GM


《死を喰らうもの》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 1) 2020-05-02 23:48:14
賢者・導師コース、教職志望のマーニー・ジムです。
よろしくね。

嬉しくない自慢だけど、悪夢なら自信があるわ。
以前の全校集会の前夜、ひどい夢をエンドレスで見たことがあるの。
なにしろ、エンドレスだから・・・
うまく再現できれば、デスイーターをおなかいっぱいにして、お引取り願えるかもしれないわ。

パっと見、個人個人が自分の悪いドリームをぶつければよさそうに見えるけど、
何らかの作戦や、連携を取るようなアイデアがあれば、なお良いかもしれないわね。

せっかく、何かの縁でこうして集まったのだから、力を合わせて
いろいろ考えて見ましょう。

《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 2) 2020-05-03 00:19:19
魔王・覇王専攻のヘルムート・アーヴィングだ。
諸先輩方、よろしくお願いします。

自分は己の精神…胆力を鍛えたいと思い参加しました。
恥ずかしい話ですが、この魔物を満足させるようなモノを己が抱えてしまっているので。

しかし、これは自分の恥、未熟の部分。

とても他人に見せるようなものではありませんので、単独行動させて頂きたいと思います。
申し訳ありませんジム先輩。

不甲斐無い自分を、お許しください。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 3) 2020-05-03 01:45:42
許しましょう。なぜなら、私に対して、嬉しい呼び方をしてくださったんですからね。

ジム先輩、と。

ジ ム せ ん ぱ い ・・・!! なんと素敵な響き・・・(うっとり)

私は教職志望なので、「先生」呼びならもっと嬉しかったけれど。

え?同じリアクションをさっき見た、ですって?
それ、私の孫なの。リアクションが似てしまうのは遺伝かもしれないわね。

真面目な話、夢という、ごくごく個人的なコトに関わる話だから、
その考え方は至極真っ当で、不甲斐なくもなんともないわ。
私は、ヘルムートさんの方針を尊重します。

でも、これだけは忘れないで。
単独行動中でも、決して「一人じゃない」ということを。

・・・どうかな、今の、先生っぽかったかしら?

《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 4) 2020-05-03 20:23:33
(デジャヴ…)
そうですか、貴女にも喜んで頂けたなら良かったです。

…一人じゃない、ですか。
そうですね。同じ課題に挑む仲間として、学園生徒としてしっかりと任務遂行しましょう。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 5) 2020-05-03 23:34:52
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。
よろしくお願いします。


それですごくいやな敵ですね。
かなりひどいことになりそうですけれど
町のひとたちもあぶないそうですし、
しかたないとはおもっています。

わたくしの悪夢につきましては、いまのところ、

すてきな結婚をしてあかちゃんができました、
でも、からだの調子がどんどんわるくなってしまって、
出産にわたくしのいのちはたえられない、
あかちゃんをのこしてしななきゃいけない。
そのかなしみ、くやしさ、もうしわけなさ、

というかんじでかんがえています。

ただ、これはわたくしの特別な事情ではなく、
おおくのおんなのひとにありえてしまうことです。
そして、こういう課題ではいろいろなのがある方がいいとおもいます。

ですからスズネさん、ジムさんがこのようなことを
おかんがえでしたらわたくしはべつのをかんがえます。
さすがにここまでつよい想いになるものはむずかしそうですけれど。

ですからそのときはおしえていただけましたらと。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 6) 2020-05-04 01:14:16
拙僧は蓮花寺・六道丸。よろしく頼む。
ふうむ……拙僧がヒューマンであった頃の最後の記憶から察するに、なかなか強烈な死に方をしたのであろうし、
意識の中に最期の瞬間が焼き付いていて、デスイーターめの見せる死の夢とやらもそちらに引っ張られる……などということも、あるやもしれぬか。
そうすると過去の夢ということにはなるが、今の拙僧はなーんにも覚えておらぬから、衝撃的であることに変わりはあるまいよ。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 7) 2020-05-04 13:57:37
黒餡のヒューズだ、よろしく頼みますよっと。
今回はまた趣味の良い敵さんな事で。
俺を悩ますモノが世のため・人のために役立つなら喜んで供えさせて貰うさ。



《ゆうがく2年生》 樫谷・スズネ (No 8) 2020-05-04 14:07:09
勇者・英雄コースの樫谷スズネだ、よろしく頼む
自分が死ぬ夢…中々思うにも、忌避してしまいがちだが…これも「正しいこと」のためだ、私なりに考えてみるつもりだよ。
私の夢は、多分そういう家庭的とは程遠いものになりそうだし、レーネも自分の思うままに動けばいいと思う
同じような内容でも、全員が同じ思いを抱くなんてことは中々ないさ。自分の思いをしっかり持つことが大事だと思うよ

ところで、夢で連携というのは…同じ内容の夢を見るように強く思う、というイメージでいいのか?

《1期生》 スナ・リーエ (No 9) 2020-05-04 19:28:04
どうも。魔王覇王スナ・リーエです、よろしくお願いします。
あら、お相手はデスイーターです?
わたしの夢、敵さんが満足してもらえる悪夢かは分かりませんけど頑張ります、ね。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 10) 2020-05-04 21:26:04
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
死の感情を食う魔物で、人を食うとそれで終わりだから、夢を食う……えらく経済的な魔物だわ。
まあ、こちとら一度は死んでる経験者だから、お眼鏡に叶えるようにしたいわね。

と言っても、いくらリバイバルでも、どんな風に死んだかは……人によっては記録があればわかる程度でしょうし、死の間際に実際にどんな思いを抱いてたかはわかんないでしょうけど。
きっと、大抵は死ぬほど辛いのかしら?

とりあえず、私は……自分が処刑されたとき、どんな風だったのか思いを馳せてみるわ。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 11) 2020-05-05 01:41:32
満員御礼、フルメンバーで臨めて嬉しいわ。
初めましての方も、日頃お世話になってる方も、よろしくお願いいたします。

ヘルムートさん、いい答えね。花マルよ(にっこり)

レーネさん、孫のタスクがいつもお世話になってます。
私のは結婚式直前に逃げた男の夢だから、内容的にかぶらないと思うわ。

スズネさん、夢での連携というのも、うまくハマれば面白いわね!
私は、夢自体に限らず、事前準備や夢を見る前後に協力出来ることはないかな、というのをイメージしているわ。

例えば…
デスイーターが満足する夢を見せるとなると、夢を見る自分もかなり精神的に消耗するでしょう。

だから、みんなが夢から覚めたあとのケアに務めようと、私は考えているわ。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 12) 2020-05-06 00:46:53
それにしても…

夢に出てくるのは、さっき話した男なんだけど…

彼への未練で存在する私は
デスイーターと何が変わらないのかしら…

(※PLより
良かったら、なんですが、ちょっとしたロールプレイのお誘いです。

プランの中に、上記のように存在意義に悩む系のロールを挟んでみましたので、
気が向いた方や、プランのネタを探している方は、絡んだり叱咤したりなど
ご利用いただければと思います。

こーゆうのも、広い意味で、前に書いた「連携」に入るのかな~、なんて思います。)

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 13) 2020-05-06 12:10:21
お答えありがとうございました。
わたくしはあかちゃんの夢にしますね。


それで、とりあえず、おなじところがあるとしても、
ほかのちがいがなくなるわけじゃないとはおもいます。

デスイーターが自分の夢をみて、存在しているだけでしたら
こんなことにはなっていないでしょうし。

そして、わたくしはマーニーさんが存在してくれててよかったとおもいます。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 14) 2020-05-06 17:52:54
レーネさん、ありがとう!(感涙)

実際は、悩みが晴れるのは事件解決後になるでしょうけど、
お気持ちはしっかり受け取ったわ!

あと、宣言通り、【精神分析】による精神的フォローをプランに書いたので、
自分の出番の前なら、みんなのフォローが出来るわ。
上記やりとりと逆に、私に励まされる人も熱血大募集よ(笑)

打倒デスイーター、みんなで頑張りましょう!