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梅雨時のイタズラ妖精


ストーリー Story

 あなたは、学生寮『レイアーニ・ノホナ』の寮生である。
 ある日、いつもの通りに登校しようと寮の玄関を一歩外に出た途端、物凄い勢いで顔が冷たくなった。
 何かと思ったら、次々次々と飛びかかってくるのは『絵の具水』!
「な、なんだ!?」
 途端に、響き渡るのは子どもの声。
 遠目に、ローレライの子どもと、エリアルの子どもが走り去っていくのが分かった。
 朝から全くの災難。一回は寮の部屋に戻り、着替えをし、汚れた衣服を洗濯し、登校した時間は遅刻寸前であった。
 それから、無事になんとか学校の授業を終えて、寮の部屋に戻る。
 夕方なので、干していた洗濯物を取り込もうとしたところ……。
 朝に洗濯していった衣服は絵の具水でそれはもう大変な汚れようになっていた。
 愕然とするあなたの前で、響き渡るのはやはりローレライの子どもとエリアルの子どもの声。
「いい加減にしろ!」
 思わずそう怒鳴ってしまうあなたの隣の部屋から、ひょっこり、同じ寮生が顔を出してきた。
「……私もやられたんですよ。なんでしょうねえ、アレ……」
 話を聞いてみると、このところ、ローレライの子どもの【ローラ】と、エリアルの子どもの【リル】が、一緒になって、レイアーニ・ノホナとその周辺の住民に、絵の具水をぶっかけるイタズラを行っていると言う。
 お互いに話し合っているうちに、こうしていても仕方がないという結論に達し、あなたは隣の寮生とその知り合いとともに、フトゥールム・スクエアに掛け合ってみることにした。

 その結果、ローラとリルを捕まえて、イタズラをやめさせるという『勇者活動』が組まれる事になったのである……。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2020-06-27

難易度 簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2020-07-07

登場人物 5/8 Characters
《枝豆軍人》オルタネイト・グルタメート
 リバイバル Lv15 / 魔王・覇王 Rank 1
■性別■ えだまめ(不明) ■容姿■ 見た目:小柄で中性的 髪:緑のショートヘア 目:深緑色 服:生前の名残で軍服を好む。 あとなぜが眼帯をしてる。 ※眼帯に深い理由はない。 ■性格■ 元気(アホの子) 意気揚揚と突撃するが、結構ビビりなのでびっくりしていることもしばしば。 ■趣味■ 枝豆布教 ■好き■ 枝豆(愛してる) ■苦手■ 辛いもの(枝豆が絡む場合は頑張る) ■サンプルセリフ■ 「ふはっはー!自分は、オルタネイト・グルタメートであります。」 「世界の半分を枝豆に染めるであります!」 「枝豆を食べるであります!おいしいのであります!!怖くないのであります!」 「これでも軍人さんでありますよ。ビビりじゃないであります!」 「食べないで欲しいでありますー!!自分は食べ物ではないであります。」
《新入生》シヴァイヌ・マツカゼ
 ルネサンス Lv6 / 武神・無双 Rank 1
『ぼくはマツカゼ!すごいかみさまの化身、シヴァイヌなんだ!皆よろしくね!もし、ぼくのお兄ちゃんとお父さんとお母さんを見つけたら教えてね!』                                                  ―――――――――― 柴犬で子犬なルネサンス 身長130cm。 ■性格 色んなものに興味があり、元気いっぱいに駆け回る。 かなり犬としての自我が強いのか、ルネサンスではない犬族の様な振る舞いをしながら、神の化身を自称している。 子犬な為、脅威と面した時は明らかに怯えながらも「ぼくはシヴァイヌだから!」と奮い立たせて頑張る健気な一面もある。 ■容姿 茶色のデコ出しのツンツンモサモサ短髪。 額にオレンジ色の犬肉球のマークがついている。 大きな赤い首輪に、大きな蛇の飾りがぶら下がっている。 その他の衣服は装備に準ずる。(今のところ) ■好き 家族 走る ジャーキー 撫でられる ■嫌い 雷(大きな音)
《妖麗幽舞》サクラ・ブラディー
 リバイバル Lv14 / 黒幕・暗躍 Rank 1
イタズラ好きのリバイバル。 自分の名前や常識等以外記憶から抜け落ちている。 リバイバルになるための強い感情も抜け落ちておりなんで今ここに存在しているのかも本人にもわからない。(という嘘をついている) 取り敢えず毎日が楽しく過ごせればいい。 黒幕・暗躍コースなのは自分の特性がうまくいかせそうだったから 楽して成績優秀なら空いた時間は自由に使えるじゃろ? 趣味は人を揶揄うこと。 特技はなぜか舞踊、剣舞ができる。 また、占いもすることがあるようだ。 偶に変な雑学を披露する。 とある生徒の部下ではあるがそれを理由に相手をおもちゃにするために部下になってる ただ、ちょっとしたことならお願いは聞いているようだ 二人称:おぬし、または 名前殿
《野性のオオカミ》ヘルムート・アーヴィング
 ルネサンス Lv8 / 魔王・覇王 Rank 1
「自分はヘルムート・アーヴィング。誇り高きロイニデッド出身、種族は狼のルネサンスだ。優れた軍人になるべく、この学園へと入学する事となった。諸君らと良い学友になれることを願っている。」                               ―――――――― 【性格】 軍人を目指すだけあって、堅さがある口調だが社交的に見えるよう、人前では口角を意識して上げて笑みを作っている。 己に厳しく、そして他人と一定の距離を置く様にしている。 ポーカーフェイス、冷静で居るよう意識してるが、狼なので尻尾に意識せず感情が現れてしまう。 『優れた軍人であるべき』アーヴィング家の血を引きながら、放蕩な1期生のプラムに嫌悪感をあらわにするが、半年経った現在、態度は軟化してきている。 根が善人の為、厄介事に巻き込まれがち。 【口調】 一人称:自分、僕(感情が高ぶると俺) 二人称:君、諸君、(男女共に)名前+君 「本日の授業の仲間は…諸君らか。勉学ばかりで実戦経験が乏しい自分だが、どうかよろしく頼む。」 「課題を一緒に乗り越えてきた仲間は、一生の宝だ。特に先日のマラソン大会は、少し自分に自信を持てたよ。」 「プラム…貴様さては何も考えてないな????」 【好き】 長姉 家族 酸味 【嫌い】 プラム・アーヴィング 自堕落な人間 侮られる事 傷の舐め合い
《新入生》フランツ・キャンベル
 ドラゴニア Lv12 / 村人・従者 Rank 1
■容姿■ 見た目:気だるげな中年男性(脱ぐとムキムキ) 髪:銀髪 目:桔梗色 ■口調補正■ 一人称:俺、おいちゃん(主に年下に話すときに使用) 二人称:兄ちゃん、姉ちゃん、名前呼び捨て 語尾:~だぞ。~だわ。 ■性格■ 面倒くさがり 趣味優先 ■趣味■ 道具の製作、修理 ■宝物■ 子どもたちに貰ったお守り 『引き寄せの石』と呼ばれる石を削ったお手製 『どこにいても必ず君を見つける』という意味があるとかないとか。 ■苦手■ 面倒くさいもの ■サンプルセリフ■ 「名前、名前ねぇ…、おいちゃんはフランツ・キャンベルだぞ」 「おいちゃん、めんどくさいことはしたくないんだわ」 「えーはーたーらーきーらーくーなーいー」 「はぁ、しゃーない、ちょっとだけだぞ」 「帰って来れる場所くらい作ってやるよ」

解説 Explan

 お世話になっています。夏樹です。

 今回は、ローレライの子ども【ローラ】とエリアルの子ども【リル】が、学生寮に住んでいる人間に絵の具水をかけてくるイタズラをやめさせるのが目的です。

・【ローラ】が絵の具水を作り、【リル】がそれを風の魔法で吹っ飛ばしてきます。
・【ローラ】はそれが、自分の芸術だと思っており、【リル】は純粋に人を困らせるイタズラが目的です。
・まだ子どもですので、戦闘力は高くなく、元々攻撃的な種族ではないので、武器を持ち出してくるなどの、本気での戦闘はありません。
・しかし、【子ども相手の】ゲンコツ程度でしたらOKでしょう。
・【ローラ】も【リル】も、無邪気でイタズラ好きな子どもですので、えげつないような行動には走りませんので安心してご参加下さい。


作者コメント Comment
梅雨時の洗濯物、悩み所です。この間も、洗濯物を外干ししたら、帰宅したら雨が降っていて……などということがあり。そういう時期に、こんな子どもがいたらどうしましょう。
参加者の皆さんや読者の皆さんが爽やかに笑えるような、楽しいコメディプランをお待ちしています。



個人成績表 Report
オルタネイト・グルタメート 個人成績:

獲得経験:18 = 15全体 + 3個別
獲得報酬:360 = 300全体 + 60個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
心情
「なんて、なんて、楽しs…いけないことをしているでありますか!?」

行動
【子供親和】【会話術】【信用】でローラとリルと関わる

ほんとは、一緒にふざけたい
その気持ちをぐっとこらえている
頑張って【説得】でやめるように説得を試みる
「うぅ、ダメであります。自分は、ふざけちゃダメであります…」

でも、参加者がローラとリルと一緒にふざけ始めたら、最初はとめるが、しばらくすると、一緒に混ざってしまう
投げるのを手伝ったり、全力で逃げる
「モー我慢ならないであります!自分も混ぜるであります!!」
「にゃはは、とめられるものなら、とめてみるであります!」


シヴァイヌ・マツカゼ 個人成績:

獲得経験:18 = 15全体 + 3個別
獲得報酬:360 = 300全体 + 60個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【聞き耳/追跡/聴覚強化】で二人を見つけるぞ!

ねぇねぇ、何してるの?楽しそうだね!
ぼくも混ぜてよ!
ほら、【タコ殴り】っていう凄いのがあるんだ!
黒色しか出ないけど、何かを殴るとビューって黒色の水が出るんだ!
えへへ、面白いでしょ。
だからさ、一緒に遊ぼ!


…あ、そうだ!学校の壁いっぱいに、おっきな絵を描きたいな!
学校の上から、地面から…ぼくが【跳躍】して壁にパンチ!したり、【ローラ】のカラフルな絵具水を【リル】が風でぶわーってして、お…ハッサク?(合作)してさ!

凄いの完成したら、絵を見たお兄ちゃん達がぼくを見つけられるかもしれないな、えへへ。

がんばるぞー!

サクラ・ブラディー 個人成績:

獲得経験:18 = 15全体 + 3個別
獲得報酬:360 = 300全体 + 60個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
一緒にイタズラをしようと思うのじゃが・・・
二人は意識が低いみたいなのじゃ!
まず、ローラ
色水が芸術じゃと?
なるほど、それ自体はある意味芸術たり得るものになるかもしれんが・・・そのままだとただのイタズラとして芸術とは認めてもらえないのじゃよ!
地面や壁に打って色が混じり合う様などで表現法を上げ更なる高みを目指してみると良いかもなのじゃ・・・
リルは話にもならんのじゃな
暑くなってきたこの日々、水をいきなり掛けるまでは良いじゃろう
色水で実害出したらイタズラではなく犯罪になるじゃろ・・・
魔法の色水で実は乾くと色がついてないとかならまだしも、の
あと、人というか着てる服を選んで実行するのじゃ

アドリブA
絡み大歓迎

ヘルムート・アーヴィング 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:45 = 15全体 + 30個別
獲得報酬:900 = 300全体 + 600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
「今漸く洗濯が終わったというのに…!まさか奴(プラム)か!?」

【祖流還り/第六感/嗅覚強化/聞き耳/推測】で件の子供を探す。
逃走時は【追跡/隠れ身/跳躍/運動神経】で追い、【威圧感】で大人しくさせ捕まえ、説経する。

「芸術とは、人の心を豊かにするモノの筈。表現の仕方は沢山ある。しかし、人に危害を加えて作られた作品は、皆に深い感動を与えられると思うか?」
という内容を分かり易くローラに諭す。

リルは【法律学/経済学/歴史学】の話も交え、「人に危害を及ぼした犯罪者の末路について」を子供にも分かり易く説明し、限度を教える。

理解し、反省した様なら悪戯犯達に洗濯・清掃を行わせる。
…俺も【掃除】で手伝ってやる。

フランツ・キャンベル 個人成績:

獲得経験:22 = 15全体 + 7個別
獲得報酬:450 = 300全体 + 150個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
ふらりと立ち寄ったら、現場に遭遇
巻き込まれる形で、課題に参加
【子供親和】を使い、子どもたちと会話をする
「こらーガキども、何してるんだ…めんどくさい…」

だれか止める人がいるのであれば、基本的に丸投げ
怒られていない人を捕まえて、「やってもいいが、後で片付けろ」という
会話をするときは、子どもたちの目線に合わせる
片付けがめんどくさいだけなので、片付けさえすればよい
こっぴどく怒られているようであれば、怒ってる側をなだめる
「まぁまぁ、子どものやったことだ…そーがみがみするな、禿げるぞ?」

スタンスとしては、
『やっていていいが、後で自分で片付けろ。できないなら、やるな』

リザルト Result

 今日は、『レイアーニ・ノホナ』の周辺で勇者活動である。
「ローレライとエリアルの子どもが、寮の周りでイタズラばかりしているって聞いたけれど、どんな子どもなんだろうね~」
 連れ立って歩いているのは【シヴァイヌ・マツカゼ】、【オルタネイト・グルタメート】である。少し遅れて、【サクラ・ブラディー】がジリジリ焦げ付く日光に耐えながら歩いている。
 【ヘルムート・アーヴィング】と【フランツ・キャンベル】は用事があるため遅れてから合流することになっていた。
 三人は、寮の周りを、イタズラする子ども達を探して巡回することにした。
 レイアーニ・ノホナの周辺を一回りして、それらしい子ども達が見当たらなかったので、もう一周いこうかと話し合った、そのとき……。
「きゃはははははっ!」
「やったーっ!!」
 そんな子どもの声が、元来た道の方から弾けた。
 マツカゼが振り返ってそちらの方へダッシュする。
 続いてオルタネイトとサクラが。
「コラーッ!?」
 寮の窓から手を振り回して怒っているのは、厳つい顔をした男子生徒。
 その手には、外干ししていた洗濯物が、絵の具で派手な迷彩色になっている。
 男子生徒が怒れば怒るほど子ども達は面白そうに笑い出し、はやし立てた。
「なんて、なんて、楽しs……いけないことをしているでありますか!?」
 オルタネイトは思わずそんな声を上げた。
 子ども達はびっくりしてマツカゼ達の方を振り返った。
「ふ、ふざけちゃだめでありますよっ!?」
 オルタネイトは声を上ずらせた。その隣でマツカゼが、楽しそうに尻尾をパタパタさせている。
 イタズラしていた子ども達、ローレライの【ローラ】とエリアルの【リル】は、きょとんとしてこちらを見て居た。
 オルタネイトは本当は、一緒にふざけて遊びたかった。
 その気持ちをぐっとこらえて、渋い声でイタズラ娘達に説得を試みた。
「うぅ、ダメであります。ふざけちゃダメであります……」
 その声を聞いたイタズラ娘達は、さっと目を見交わすと、同時にとんでもない高速で手を動かした。
 ローラが信じられない速度で絵の具を溶いて、リルがそれを風を使って飛ばした。
「フギャーッ!?」
 訳の分からない悲鳴を上げる、前に出ていたオルタネイトとマツカゼ。後ろでぎょっとするサクラ。
 オルタネイトとマツカゼは、絵の具水を頭からかぶって不思議な色合いになってしまった。
 オルタネイトは愕然としているが、マツカゼは平気な様子で体をぶるぶるさせている。
「きゃはははっ!」
「ばいば~い!!」
 そんなことを言って、イタズラ娘は信じられないような早足で駆け去って行った。
 後には勇者活動中の三人が取り残された。
「くぅう、やられた……」
「すごーい、楽しい!」
 オルタネイトとマツカゼは正反対の反応を示している。
それを後ろから見ていたサクラは愕然とした。
(一緒にイタズラをしようと思うのじゃが……二人は意識が低いみたいなのじゃ!)
 元々イタズラ好き故にそう思うが、イタズラ娘達のしている事は犯罪に通じるものがある。
「ぼく、絶対見つけてくるよ!」
 マツカゼが元気にそう言った。蒸し暑い中、冷水を浴びせられてかえって活発になったようだ。
 マツカゼは耳をひくひく動かしながら、二人が駆け去った方角に、豪快に走り出した。
 そのマツカゼの後を、大慌てでオルタネイトとサクラが追いかけた。

 10~15分ぐらいも経っただろうか。
 マツカゼは、今度は、学生寮の反対側で絵の具を作っているローラとリルを見つけた。二人は酷く悪い笑顔でまたイタズラする気満々である。
「ねぇねぇ、何してるの? 楽しそうだね! ぼくも混ぜてよ!」
 マツカゼはローラ達に積極的に話しかけた。
「え、何……」
 イタズラ娘達はびっくりして困惑の表情を見せる。
「ほら、『タコ殴り』っていう凄いのがあるんだ!」
 そう言って、マツカゼは得意げに装備品のタコ殴りを見せた。
「黒色しか出ないけど、何かを殴るとビューって黒色の水が出るんだ! えへへ、面白いでしょ。だからさ、一緒に遊ぼ!」
「ええーッ? 何これ、凄い!」
 困惑していたエリアルのリルだったが、マツカゼのタコ殴りを見て興味を示した。
 釣られてローラも身を乗り出してくる。
 マツカゼが早速、寮の近所のブロック塀にふざけて装備でパンチを入れると、本人の言った通り墨色の水が飛び出て塀を汚した。
 普通だったら怒られるか、どん引きされるところだったが、イタズラ娘達は目を輝かせて大喜び。
「すごーいっ、もっとやってよ!」
「えへへ、それならこっちに……」
 マツカゼは楽しそうに尻尾を振りながら次々塀にタコ殴りでパンチを繰り出した。
 キャッキャとはしゃぐローラとリル。
 そこに、オルタネイトが追いついた。
「あっ、ちょっ、そ、そんなことしていいでありますか!?」
 オルタネイトは驚愕して声を張り上げた。
「だ、ダメであります。今は、勇者活動中……」
 しかし、その声は弱々しい。
 当然、大はしゃぎだった子ども達が言う事を聞くはずもなく、マツカゼに対抗しようと思ったのか、早速ローラが絵の具水を作り、リルが次々塀に向かって飛ばし始めた。
 墨で塗られた塀の両脇に赤だの青だの黄色だのが飛び散って極彩色に変化していく。もう、マツカゼもイタズラ娘達も止まらない。
「ダ、ダメだったら……」
 オルタネイトはそんな様子を見ながら弱々しい抗議を繰り返すが、次第に、顔が紅潮してきた。
「モー我慢ならないであります! 自分も混ぜるであります!!」
 そう叫ぶなり、オルタネイトはマツカゼとイタズラ娘の真ん中に飛び込んだ。
「にゃはは、とめられるものなら、とめてみるであります!」
 そんな事を言いながら、ローラの絵の具の道具をひったくり、自分から次々と色水を作り始めた。ローラが次々と水を生み出してくれるので、際限なく色水も作れる。
「わーいっ!」
 こうなるとマツカゼもすっかり盛り上がってしまい、『祖流還り』で純種となるが速いか、可愛い仔犬の肉球で、墨だの色水だののスタンプを塀中にぺたぺた押して回り始めた。
 そこにようやく、サクラが追いついた。
「な、なんじゃ、これは……!?」
 サクラは、途中でオルタネイトとはぐれたために、遅れてしまったのだ。
「何をやっとるか、おぬしらーっ!?」
 サクラはとりあえず、怒鳴ってみた。
 そこでようやく、マツカゼ達はサクラの存在に気がついた。サクラの怒りの表情を受け、さらに我に返った。
「だって、楽しそうだったであります……」
 オルタネイトはしょんぼりとしてそう答えた。
 ところが、ローラとリルは全くめげなかった。
「何って、これは、私の芸術よ!」
 胸を張って言い切るローラ。
「何をって、ただ、イタズラしただけよ。文句ある?」
 リルはリルで、平気な顔して両手に腰を当ててふんぞり返る。
 サクラは、こめかみがビキっといくのを感じた。
「おぬしら、色々、間違っている」
 サクラはそう言った。
 だが、そのあとがまずかった。
 何故なら、彼女もイタズラしたかったのである。
「まず、ローラ。色水が芸術じゃと? なるほど、それ自体はある意味芸術たり得るものになるかもしれんが……そのままだとただのイタズラとして芸術とは認めてもらえないのじゃよ! 地面や壁に打って色が混じり合う様などで表現法を上げ更なる高みを目指してみると良いかもなのじゃ……リルは話にもならんのじゃな。暑くなってきたこの日々、水をいきなり掛けるまでは良いじゃろう。色水で実害出したらイタズラではなく犯罪になるじゃろ……魔法の色水で実は乾くと色がついてないとかならまだしも、の。あと、人というか着てる服を選んで実行するのじゃ」
 ローラとリルは目をぱちくりさせて聞いている。
 サクラは、辺りを見回して、ブロック塀の家の隣に、小さめの空き地があることに気がつき、そちらに仲間を誘導していった。
「ほれ、ローラ、ここの地面を、大きなキャンバスだと思ってお前の芸術をめいっぱい完成させるのじゃ。リルは、色水じゃなくて、水をぶっかければよい。考えてみろ、服に色水はヤバイじゃろう。身につけてる衣装が、形見の品だった場合、ただ弁償すればよいという事でもなくなるぞ。当然、怒られるだけじゃなく一生後悔することになるんじゃぞ?」
 ローラはしげしげと、『大きなキャンバス』と言われた空き地の地面を眺めて、突然色水を操って様々な色をぶっかけ始めた。
 リルの方は、脅かされて、ようやくふんぞり返るのをやめ、きょろきょろと辺りを見回した。
 そして、不思議そうにこっちを見て居るマツカゼに向かい、ローラの作り出した水を風で操ってぶっかけ始めた。
「わっ、何をするでありますか!?」
 オルタネイトが驚くが、マツカゼの方は全く平気。
 蒸し暑い中、冷水をかけてもらったので気持ちいいぐらいならしい。
「遊ぼう!」
 マツカゼの方からそう声をかけて、冷水をぶっかけてくるリルと空き地で鬼ごっこを始めた。
「イタズラって、基本、びっくりさせる事が目的のはずじゃが……まあ、本人同士が喜んでいるようだし、これでいいか」
 そういう訳で、サクラは熱心に色水を彩りよく地面にぶっかける作業を始めたローラの隣で、絵の具と絵筆を分けてもらって、ぺたぺたと地面に巨大アートを描き始めた。
 オルタネイトは、マツカゼと一緒になって、冷水で追い打ちをかけてくるリルと一緒に、嬉しい悲鳴を上げながら鬼ごっこである。
 子ども達は最早任務の事は忘れていた。
 その頃になって、学園での用事をすませたヘルムートが自室に戻ってきた。
 そして、外干ししていた洗濯物を確認したところ、それは既に、ローラとリルの悪戯の犠牲になったあとだった。
「今、ようやく取り込むところだったのに……まさかもう悪戯ずみとは」
 許すまじ、と、ヘルムートは自らの技術を全て使って、窓際からイタズラの主達を探索した。
 その結果、彼の卓抜した嗅覚と聴覚などが、寮の付近の空き地でイタズラにいそしんでいる子ども達の気配を探知した。
「あそこか……全くもう!」
 ヘルムートは抜きん出た運動神経で追跡し、隠れ身を用いながら子ども達へと接近した。
 空き地は実に酷い状態になっていた。誰かに迷惑をかけている訳ではないんだろうが、それにしたって派手にやりすぎであった。
「何をしているんだ!」
 隠れ身でそっと接近したあと、ヘルムートは恐るべき威圧感で怒鳴りつけた。
 子ども達はぎょっとして立ちすくんだ。
 そこでヘルムートは早速、説教を開始した。
「す、すみません、悪かったであります……」
 そこでようやく勇者活動の任務を思い出したオルタネイトは身を竦めた。
 サクラは、いかにも『げっ、やべっ』という顔になる。自分としてはうまい落とし所を見つけたつもりだったが、怒られる展開は変わらなかったらしい。
「なにをしているんだと聞いている!」
 ヘルムートの大声が道路にまで響く。そこに、同じく学園帰りのフランツが通りかかった。
 そして、空き地の様子を見てびっくり仰天。さらに、隣の家のブロック塀の惨状をみて、大体の事を察した。
「こらーガキども、何してるんだ……めんどくさい……」
 フランツが空き地に入っていくと、ちょうどそのときになって、ローラとリルがブーイングを上げ始めた。
「私悪くないっこれは芸術活動だもんっ」
「楽しかったんだからいいじゃんっ怪我させてないっ」
 口々にそんな事を言って、気まずそうに顔を見合わせている。怒られて、悪い事をしたという自覚は出来たが、言い逃れをしたくて仕方ないらしい。
「芸術とは、人の心を豊かにするモノの筈。表現の仕方は沢山ある。しかし、人に危害を加えて作られた作品は、皆に深い感動を与えられると思うか?」
 ヘルムートはそう言った。ローラは空き地の自分の芸術を見下ろした。
 それに対して、ヘルムートは大惨事になっているブロック塀を指差した。
 ローラは何も言えなくなった。
「え、えーと、さあ……」
 何か口の中でグチグチ言っているリル。そこにヘルムートは教え諭した。
「人に危害を及ぼした犯罪者の末路について知っているか?」
 リルは口の中でへどもど言っている。
 ヘルムートはたくみに法律学や歴史学、経済学まで交えて、犯罪者の末路について具体的に語った。
 リルはたちまち真っ青になってしまった。
「何事にも限度があるんだ」
『はい、すみません……』
 ローラとリルは項垂れた。
「ま、待つであります!」
 オルタネイトは子ども達を庇った。
「ふ、二人だけが悪いのでは、ないであります! 自分も怒られるのであります!」
「確かに、オルタネイトには連帯責任と言うものがある。だが、それを言ったら、一緒に遊んでいた全員なんだ」
 ヘルムートはそういうわけで、更に説教を続けようとした。
「まぁまぁ、子どものやったことだ……そーがみがみするな、禿げるぞ?」
 そこでフランツがそう言って、子ども達に視線を合わせてくれた。
『やっていていいが、後で自分で片付けろ。できないなら、やるな』
 そう言い聞かせる。
 フランツは内心では、自分達で片付けをきちんとするなら、もっとやっても構わないと思っているのだった。
「うむ……」
 ヘルムートは口を噤んだ。
(子どもは、今を全力で生きる生き物だ。その行動の結果を想像する事が出来ない傾向にある。がみがみ怒るよりも、どうすればよいかしっかり手助けするのが我々年長者の役割だろう)
 そういうわけで、ヘルムートは、サクラとマツカゼには子どもに適した言い方で軽く説教をした。16歳になっていたオルタネイトには、具体的な罰金や刑罰について説明した。
「そ、そんなあ……」
 恐怖に震え上がるオルタネイトであった。
「恐かったら片付けろ」
「はい……」
 しょんぼりしているオルタネイト。
 だったが、内心は、楽しかったので後悔はなかった。
「さあ、ガキども。やったからには片付けるんだ。片付けないなら、帰れないぞ」
 フランツも、子ども達に積極的に話しかけながら、掃除をさせるように促した。
「うん。俺も、清掃は手伝うから、速く掃除道具を持ってくるんだ」
 ヘルムートは噛んで含めるように言った。
 そこで、マツカゼが目をキラキラさせながら、フランツを見上げた。
「ねえ、手伝ってくれるの?」
 ヘルムートが清掃すると言ったものだから、てっきりフランツもしてくれると思ったらしい。
「いーやーだーはーたーらーかーなーいー」
 そこですかさずダメおじモードに入るフランツであった。
「おいっ」
 思わず突っ込むヘルムート。フランツに合わせてこっそり逃げだそうとするローラとリル。
「ダメじゃ! イタズラで遊ぶのは片付けするまでがセットなんじゃ!」
 サクラがそう言って逃げる子ども達の首根っこを掴んで止めた。
 マツカゼが掃除用具を借りて来て、イタズラをした子ども達は大人達の監督のもと、ブロック塀の掃除に取り組んだ。
 蒸し暑い中の外での作業はなかなかの天罰となり、ローラとリルは不埒なイタズラはやめることとしたそうだ。
 勇者活動はこうして、脱線しながらも成功した。



課題評価
課題経験:15
課題報酬:300
梅雨時のイタズラ妖精
執筆:夏樹 GM


《梅雨時のイタズラ妖精》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 1) 2020-06-23 01:00:15
なんとも楽しs…悪いことをしているでありますか。
このオルタネイトが怒ってやるのであります

《新入生》 シヴァイヌ・マツカゼ (No 2) 2020-06-26 16:44:19
ぼく、シヴァイヌ!
へへ、泥んこ遊び?
…カラフルなお水なの?
わーい、もっと楽しそう!僕も混ぜて混ぜてー!!

《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 3) 2020-06-26 17:07:46
コラーーーーーーーーー!
お前達、何をやっているんだ!!!!!!!!!!!
やめなさい!!!!!!

《妖麗幽舞》 サクラ・ブラディー (No 4) 2020-06-26 20:01:29
イタズラじゃとな!?
っという事で一緒にイタズラしようと思うのじゃよ。

じゃがこれはあまりも・・・なのでちょっと誘導じゃ。

《新入生》 フランツ・キャンベル (No 5) 2020-06-26 20:17:52
なんか、騒がしいところに迷い込んでしまった気がしなくもない…
ったく、どうなる事やら…