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【水着】満(みつ)が欲しくば……



ストーリー Story

「ミーンミンミンミン……」
 夏の風物詩、生後1時間でその生涯を終えるというセミ科の原生生物。
 『ヒトトキトモシビ』が、遺言にほど近い産声を上げる。
 ここは魔法学園フトゥールム・スクエア内のとある森の中。
 そして彼らが生息地として密集している森でもある。
 彼らの魂の叫びはオーケストラとなって耳に命の主張をたたきつける。
 些か喧噪が過ぎる。いや、少々耳障りがひどい。というかうるさい。
 だが、そんな騒音にも夏の暑さにも負けず、今日も『授業』という名目の下で。
 学園生達は汗水を垂らしながら行軍していた。
 その集団の先頭には、1人の教師。
 それに続く生徒達は、まるで人形のように言葉も発さず彼の後に続いている。
 セミの喧噪と夏の暑さ、そしてヒトが森を歩く微かな音が入り交じるこの空間は。
 それら以外に不純のない、ある種の静寂と安寧に満ちていた。
 しかし、その平穏は長くは続かない。

「あちぃな……」

 誰かが言った。
 言ってしまった。

「これは『がまん』を高めるための『欲求掌握学』! 泣き言をいうとは何事か!」
 教師の喝が飛ぶ。
 ついでに教師の光輝く頭皮から澄んだ液体も弾け飛んだ。
 それは先程つい口を滑らせてしまった男子生徒の額を直撃し……。
「……水。みず………ミズ!」
 彼に天啓をもたらす事となる。

◆◆◆

「つーわけで、ボーイズ&ガールズぅ~! オレっちと一緒に、水着でシャゲナベイベーしない?」
 課題のバツとして髪の毛を失った賢者・導師コースの男子生徒【トレット・リンバース】が広場でそんな事を叫び始める。
 一体どうしたの? と心配する声もあれば。
 あいつ、遂に輝きの向こう側へいっちまったか……。と諦めを示す声もあれば。
 理解を超えた存在として、逆に認識の外へ彼を追いやるものもいた。
 だが、興味本位かたまたまか。『あなた』はその声に耳を傾けてしまった。
「……オレ、理解っちまったんだ。欲求を掌握するにはどうすれば良いか。簡単な話だぜ。満たされれりゃいいんだよっ!」
 瞳の中に星の光を宿したような真っ直ぐな瞳を輝かせながら、彼は発言を続ける。
「おおっと。だがこれでもオレは賢者導師を専攻する端くれだ。勿論人には迷惑をかけやしねぇ。あくまで己の中のパトスを燃やすだけさ」
 そうして大体5分ほどの熱弁を聴いた後、観衆の1人が彼に問いかける。
「で、具体的にはどうやって欲求を満たすの? というかあなたの欲求って何?」
「水……だよ……」
「水?」
「水着、だよおぉ~~~!!」
 広場に、ヒトトキトモシビが驚きで数匹絶命してしまいそうな響きが轟いた。
「俺達の燃え上がる青春の情熱を、水着にぶつけちまおうぜ!!!」

◆◆◆

 それから数日。
 トレットと彼に誘われた学園生数名は、海を観光の名所とする街、『アルチェ』の『フィオレモール』を訪れていた。
「知ってるとは思うが、ここフィオレモールはアルチェの街の入口から、遊泳用に解放されている『サビア・ビーチ』までを結ぶ大通りだ」
 夏のシーズン。今が正に稼ぎ時という事もあって、商人や観光客、街の住民などがごった返しているこの大通り。
 モールの名にふさわしく、通り沿いには至る所に露天や商店が建ち並んでいた。
 販売しているものは、装飾品や食べ物などだけでなく、水着や浮き輪といった、遊泳に必要な商品も多数揃っている。
「まぁ、既製品でよければこの大通りで大抵の水着は買えるだろうぜ。学園の購買部でも扱っていないような、ここだけ限定の品々もあるかも知れねぇな!」
 トレットは振り返ると、口元に指をかけ静かに囁く。
「おおっと、間違っても裏通りに入るなよ? この街は観光都市だからな。突然魔物に襲われる的な身の危険はねぇが、美男美女のあんたらみたいなピチピチの学園生は上手い魚だ」
 彼は声を震わせながら静かに告げる。
「知らねぇうちに店に連れ込まれてあやしげな水着を試着させられるかも知れねぇからなぁ……?」

◆◆◆

 フィオレモールを散策すると言った数名と別れを告げ、トレットと残った一行は、観光地区から反転。
 現アルチェの領主【ダンテ・ミルトニア】が整備を行う前の、古くからの町並みが残される漁業地区へと赴いていた。
「こっちには何があるのかって? ああ、『星の洞窟』っていうところがあるんだけどよ。あそこは魔物が出る事もあるから地元住民もあんまり近づかなくてよ」
 そんな所に行って大丈夫なのか? その問いにトレットは笑顔で応える。
「ああ。魔物が住み着いてんのは基本洞窟の中。そこまで近づき過ぎなかったり、近くにある海の奥へいかなきゃ問題ねぇさ」
 それより大事なことが別にある。そういうトレットの目に真剣味が増した。
「洞窟の手前には、衣類の素材になるような原生生物が結構いてよ!」
 彼曰く、地元民も繁殖のし過ぎに困っている節があり、事前に申請を出しておいたので、一狩りしても問題はないらしい。
「勿論、命は命。狩り過ぎ注意で頼むぜ? 後、魔物と接触しそうな危険地域には行かねぇこと。これでもオレは引率担当になるわけだ。言うこと聞かなきゃ、分かるよなぁ?」
 トレットはそれまでの課題で鍛え上げた筋肉を隆起させる。
 余談だが、およそ賢者や導師に相応しくないそれは、主に拳を振るう課題で戦果を上げているらしい。
「回収した素材は、オレの知り合いの店でオリジナルの水着に加工してやんよ。そいつは水着中毒でな。素材があればお代は要らねぇそうだ」
 それから暫く。
 星の洞窟がほど近い海辺に辿り着いた一行の目の前には、多種多様な生命の息吹が広がっていた。
「さぁ、水着作りの始まりだぜ!」
 声高に叫ぶ彼に、誰かが問うた。
 何故そこまで水着に拘るのか?
「決まってんだろ。……詰まってんだよ。水をしたらせながら、アオハル色に煌めく一時の情熱(トモシビ)がよ」

 こうして、トレットと過ごす若干暑苦しい夏の一日が幕を開けた。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-07-14

難易度 簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2020-07-24

登場人物 8/8 Characters
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《ゆう×ドラ》シルク・ブラスリップ
 エリアル Lv17 / 村人・従者 Rank 1
「命令(オーダー)は受けない主義なの。作りたいものを、やりたいように作りたい……それが夢」 「最高の武具には最高の使い手がいるの。あなたはどうかしら?」 #####  武具職人志願のフェアリーの少女。  専門は衣服・装飾だが割と何でも小器用にこなすセンスの持ち主。  歴史ある職人の下で修業を積んできたが、閉鎖的な一門を嫌い魔法学園へとやってきた。 ◆性格・趣向  一言で言うと『天才肌の変態おねーさん』  男女問わず誘惑してからかうのが趣味のお色気担当。  筋肉&おっぱい星人だが精神の気高さも大事で、好みの理想は意外と高い。 ◆容姿補足  フェアリータイプのエリアル。身長およそ90cm。
《ゆうがく2年生》ヒューズ・トゥエルプ
 ヒューマン Lv21 / 黒幕・暗躍 Rank 1
(未設定)
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《1期生》カンナ・ソムド
 ルネサンス Lv10 / 芸能・芸術 Rank 1
猫耳と猫の尻尾が生えている女性のルネサンスで体つきはかなりセクシーである。とはいえ年齢は高校生~大学生相当と本人は言っているものの、外見はどうみても中学生相当の若さである、いわゆる合法□リ。 性格はかなり受け身でおとなしい。 よほどの事がない限り喋ってくれないのが玉に瑕。 喋ることはほぼないものの、学園生活は普通に満喫している模様。 普段は踊り子としてお金を稼いでいるらしい。 好きなものはスイーツと猫科の動物、嫌いなものは虫。
《新入生》マルガレーテ・トラマリア
 ヒューマン Lv12 / 王様・貴族 Rank 1
「仮面が気になりまして?言わずとも分かりますわ、特注品ですもの!」 仮面をつけたヒューマンの少女 素顔に刻まれし呪いに臆せず、今日も不敵に微笑む 容姿 ・黒色のウェーブボブ、白色の瞳。頭にはリボンの飾りがついたカチューシャをつけている ・目元を覆うベネチアンマスクが特徴的、頼まれれば普通に取る ・仮面の下にはヒビのような痣が両目の周囲に広がっている 性格 ・感情豊かで負けず嫌い、何事にも基本は真面目に取り組む ・普段は優雅な振る舞いを心がけているが、余裕がなくなると感情的になりやすい。そこは欠点として自分でも自覚している。 ・呪い道具への関心が強く、よく図書館で本を探すことも ・可愛いもの、綺麗なものが好き。それを身につけた綺麗で可愛い人を見るのはもっと好き。 ・顔の痣はそこまで悲観的に捉えてはおらず、頼まれれば普通に見せる ・「いちいち腫れ物に触る様に、声をかけられるのも面倒です」とは本人談 好きなもの 紅茶、りんご、童話の本、可愛いものや人 苦手なもの 薬、暑さ、暗くて狭いところ 愛称:マギー 二人称:貴方、〜様、仲が深まれば呼び捨て。敵対者にはお前 三人称:あの方
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に

解説 Explan

 今回は水着エピソードということで、ご自身の自慢の水着を手に入れるのが主な目的です!
 とはいっても、既に水着をお持ちで新調する予定の無い方や、単純に夏の一日を楽しみたい方でも問題なく参加できますので、ご安心下さい!

<地理>
・観光地区:フィオレモール
 人が数十人横並びで歩けるほどの広い道と、それにそって連なる多数の商店で有名な商店街的な場所です。
 主に夏向けに特化した商品があり、ショッピングや食事、水魔法スパなんかが楽しめます。
 普通の水着を購入したい方は、ここで買いそろえる事ができそうです。
 また、フィオレモールの裏通りに紛れ込むと、状況によっては怪しげな勧誘を受ける場合があります。
 もしかすると、その場で採寸をされ、不思議な水着を着せられる場合もあります。

・漁港地区:星の洞窟付近の砂浜
 ここでは、あまり人の手が入っていない自然豊かな海辺を訪れます。
 木々が茂るような場所もあれば、砂浜、浅い海辺などがあり、そこで生息している生物に会えます。
 生物は特に何もしなくても良いですが、捕獲し持ち帰ると、後々トレットの知り合いが加工してくれます。
 主な生物種類は以下。

●ボタンガニ
 衣類のボタンのような形をした甲羅を持つ手の平サイズのカニ。
 糸を通せば、衣類を留める道具として使えそうです。
●ミスティライトクラゲ
 非常に透明度の高いゼラチン質の体を持つクラゲです。
 生命活動が停止すると、体は透明度を失う代わりに、人間の体温に反応して強く発光します(3ヶ月くらい)。
 一部のマニアには、『ナゾノヒカリ』と呼ばれる希少価値を持たれています。
●ティリーフ・フォレスト/レピティルズ・フォレスト/フィッシュケール・フォレスト
 それぞれ『葉っぱ/爬虫類の鱗/魚類の鱗』のような皮膚組織を体表に宿す、生きた切り株です。
 ナイフなどで1つずつ簡単に摂取できますが、殺してしまうと、全ての組織が壊死します。
●アンステインシェル
 白く輝く二枚貝です。


作者コメント Comment
※本エピ中、危険な事は一切起きません。
 何かを起こしそうな場合には、責任を問われることを嫌うトレットに粛正され行動失敗となります。
 事故に巻き込まれそうな場合は、彼が未然に救出します。
 純粋な楽しい一時をご堪能下さい。

 皆様初めまして! またはお久しぶりでございます! pnkjynp(ぱんくじゃんぷ)と申します!
 変な名前のやつがいるなぁ~とだけでも覚えて頂けますと幸いです!
 イベントエピではありますが、特に他の話には影響を及ぼさないある夏の一日を描く内容となります。
 タグが【水着】ですので、一応皆様の今年の水着を手に入れるきっかけとなるエピの形式にしております!
 ですが水着は関係なく、単純な海辺の街の観光を楽しむもよし。原生生物達の生態に触れてみるもよし。
 皆様らしい夏の一日をお過ごし下さい!
 ※ショートですので、場面は絞られることをオススメします。

 それでは、リザルトにてお会い出来ます日を楽しみにしております!


個人成績表 Report
チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
砂浜になんか知らない生物いるんだって?
しかもお【裁縫】に使えそうなやつ。
ザコちゃんそれとりにいくかなー。で持ってなんか作ろ。
…妙に水着はやってっけど。それは要らない。学園に貰ってっし、いつもの服の上から来たら終わりだし。

まずなんだっけ…光るクラゲ?を全部細切りにして編み込んでこ。
ザコちゃんいっつも髪てきとーに編んでるし、似たよーなもんでしょ。たぶん。
普通にそのまま使うよか、編み込んだ布としてから使ったほーが、多少は丈夫になんだろーしね。
…どっちがし光るのは3ヶ月って?それはそれ。それでも丈夫なほーがいーでしょ。

でもって編み込みの途中に、砕いた【キラキラ石】も編み込んどく。
光繋がり的な感じで。

シルク・ブラスリップ 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
夏だ水着だレッツ『裁縫』クリエイション!

●事前準備
トレット以下、みんなのスタイル確認(任意)
いやセクハラじゃなくって試作品のためよ?

●行動
颯爽と素材採集に漁港地区へGO。
狙いはミスティライトクラゲとボタンガニ。これを駆使して水着を作る!

トレットの知り合いが腕のいい職人さんみたいなので、
加工の際に水着の『設計』を話して協力を仰げたら。

クラゲ素材は量が少ないし期限が短いので細く切り分け、ボタン留めで交換も可能に。
デザインは競泳水着風で、四肢や体に走るラインの発光でスタイルを際立たせる…みたいな。

もしクラゲ素材が余ったら、エンジュワカイロと組み合わせてサイリウムみたいにも使えないか試してみたい

ヒューズ・トゥエルプ 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
フィオレモールで日常を楽しむ。
去年の夏は編入のタイミングで林間学校に参加出来なかったっけ。
その分、羽目を外させて貰おう。
回れるところは回っちまおう、かな。

何事も形から入るってのがコツなもんで
夏感を出したいからアロハなシャツとか買いに行く
それから、スパでゆっくりして…観光してる人と話したり…
…日光浴して…

あー戦いたいなぁ。おやすみ。

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
水着を探す

■行動
裏通りに直行なのじゃ。
誘われるがままに店に入り、勧められるがままに色々な水着を試着するのじゃ。

あちきが探す水着は…
 大海原のパンツのように実用的で!
 大海原のパンツと同じくらい前衛的で!!
 大海原のパンツよりもあちきに似合っている!!!
そんな水着を所望するのじゃ。

もし見つかれば即買いじゃな。
じゃが、あの水着は手強いぞ?
はてさて、あちきを満たしてくれるそんな水着が見つかるかのぉ?

もし見つからなければ、大海原のパンツと合わせる胸の部分だけ探すのじゃ。
去年は確か晒を巻いて和風な感じにしたんじゃが、よりしっくり来るものがあれば嬉しいのじゃ。

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
おもしろい街ね……賑やかで悪くないわ

って、誰か呼んだ?

私?
いい店がある?

って、手を引っ張らないで!

と、謎のおねーさんにフィオレモールの裏通りの店に連れ込まれたり
なんか学園長に似てる気もしたけど……さすがにそれはないわよね

で……採寸
なんか手つきがやらしいけど……気のせいよね

と言うか、その貝殻何?
大きくて綺麗な貝を磨いて、手のひら大の貝殻を造った?
手が込んでて綺麗ねえ……

これは帆布?
このマークは海賊船のもの?

……これを、水着にする?
ごめんなさい
言ってる意味がわからないわ

……トップが貝殻で、ボトムに帆布を腰に巻く!?
サイズ的に私だと、零れるか零れないギリギリだから、海辺の注目の的?
冗談じゃないわよ!

カンナ・ソムド 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
カンナはもとから水着のような衣装ではあるが、水着がない上、海辺近くやプール、川辺などで踊ろうと思っていたこともあり、この機会をいい事に自分のための水着を探しに行く。
色々水着を売っているお店をウィンドウショッピングしてチェックしたり、他の人の水着姿を見て色々調べたりする。

そしてカンナ自身も無意識にフィオレモールの裏通りに入ってしまい、言われるがままに水着を進められて、色々試着することになる。
ちなみにカンナは普段の服装が露出多めである為、水着に対してはとくに抵抗はなく、羞恥心はない。
そして店員の誘惑に負けて、不思議な水着を買うことになり、それを着ながら海に向かい踊りをしにいく。

マルガレーテ・トラマリア 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
夏!海!海と言えば水着!えぇ、ワタクシとても楽しみにしておりました!

・目的
可愛い水着を手に入れる
ついでにゴーグルも欲しい

ワタクシの国は森の中にありましたので
えぇ、海を見るのも初めてです!
それに海に入るのには「水着」が必要なのでしょう?
可愛いものがほしいですわ!

・お買い物
それにしても、水着って種類が多いのですね?
去年も、先輩方はとても素敵な衣装を着ていらしたとか
ワタクシも大人っぽい水着が…
え?サイズがない?………えぇ、えぇ、仕方がありませんわ
えぇ、決して悔しいなど、これっぽっちも!

それはそうと、ゴーグルも欲しいところですわね
流石に海の中にまでコレ(仮面)をつけるわけにはいきませんもの

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:21 = 18全体 + 3個別
獲得報酬:540 = 450全体 + 90個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
水着か・・・
すまんな、水着は友人と一緒に買いに行くことになっていてな・・・

今回は素材の回収しながらまったり過ごさせてもらうつもりだ
星の洞窟付近の砂浜で素材の回収だ
中でも気になるのがボタンガニ、アンステインシェルの二種だ
蟹と貝だぞ?
食べれるか気にならないか?
何で地元の人達に食ったらうまいのか聞きつつ調理道具一式片手に持ってえっちら向かうとするか
取り敢えずまんべんなく水着の素材を回収したら学生カバンの中に入れ
調理用の素材を回収
魚とか取るには砂浜よりも岩場の方が良いかもな

海鮮バーベキューでも味わうとしよう

ある程度時間が経ったら戻るが水着素材が必要なヤツがいたら渡す
アドリブA 絡み大歓迎

リザルト Result

●夏空に舞う透明
 暑い日差しの下。
 先輩【トレット・リンバース】に誘われ、夏に色めく『アルチェ』に赴いた学園生達。
 その内漁港地区にある浜辺へとやってきた面々は、目の前に広がる大自然に思わず声が漏れる。
「へぇー。未知初見な生物、わんさかじゃん。前にもこの街には来た事あっけど、やっぱ地域地区によって結構違う感じ?」
 夏でも冬でも変わりない、普段通りの服装に身を包んだ【チョウザ・コナミ】が僅かに眉を上げて問いかける。
「オレも詳しい訳じゃねぇが、こっちの地区は、アルチェが観光都市になる前からの歴史が残る場所らしい。生態系もわりかし昔のままかもしれねぇな」
「先輩。確認なんだが、ここの生物達は食用に採取しても大丈夫だろうか? 新しい水着は今度友人と買いに行く予定があってな」
 声の正体は【仁和・貴人(にわ・たかと)】であった。
 彼の場合チョウザと違い、流石に普段通りの格好では熱さが勝るのであろう。
 去年購入した学園水着の下と、ストールのような長さまで短くした学園制服のマントを羽織っていた。
 どちらも黒色基調に改造されており、服の隙間から覗かせる健康的な肌の色を際立たせる。
 だがそれよりも目を引くのは、背負った学生カバンから垣間見える、調理道具一式であった。
「別にやり過ぎなきゃ素材にしようが食材にしようが構わねぇだろうさ」
「了解した」
「ちょーっと待った! 『ミスティライトクラゲ』は先に取らせてほしいの!」
 浜辺に踏み出そうとする貴人に【シルク・ブラスリップ】が力強く声をかける。
「別にオレは構わないが……そんなクラゲいたか?」
 フェアリー種のエリアルであるシルクは、貴人とチョウザの前に飛び出ると、興奮気味に両手を広げた。
「ミスティライトクラゲ、それは『ナゾノヒカリ』と呼ばれる不思議な発光性質が特徴なのよ!」
「謎の光? 発光って時点で光以外の要素皆無非存在な感じじゃなーい?」
「まぁまぁ。百聞は一見に如かずよ、ついてきて!」
 夏の日差しに照らされたアルチェの誇る海は、アクアマリンからコバルトブルーまで、多彩な『蒼』で彼女達を迎え入れてくれた。
 そんな中、シルクは平均的なヒューマンであれば腰ほどまで浸かるであろう海において。
 海面から数十センチ浮かび上がり、特注サイズの『ストームブレイカー』を高く掲げ、機を図る。
 さざめく波音。風に揺れる彼女の髪は、まるで青の草原に華やぐ一輪のラベンダー。
「……そこっ!」
 刹那、華は宿した槍に風を纏わせると、まるで弾け飛んだ矢のように海面へ突き刺さる。
 そうして再び訪れた静寂も長くは続かなかった。
 海面からは水も滴る良いエリアルが、槍を重そうに掲げながら笑顔を覗かせる。
 槍が捕らえるは、水そのものかのように透明なゼラチン状のクラゲの姿。
 貴人とチョウザが捉えるは、その重さを支えるために槍に密着するシルクの恵まれた肉体。
 そして槍とシルクに挟まれていることを恥じらうように発光するクラゲのもう1つの姿であった。 

●フィオレモール、おもてのすがた
「らぴゃたみゃくたらたたららた!」
 チョウザ達と別れてすぐ。
 いつも通りの名乗りを上げて人並みへ消えていった【ラピャタミャク・タラタタララタ】。
 そんな彼女の後ろ姿を見つめながら、【ヒューズ・トゥエルプ】はポケットの中の煙草をまさぐる。
「おーけー。早速行方不明者が出た訳だが、まだ慌てる時間じゃ……って、やべ。ヤニ忘れちまったか……」
 彼のポケットから飛び出たのは、お口の恋人ではなくサンタの恋人たる『トナカイのポロくん』人形。
 頭をかく彼の姿に、【パーシア・セントレジャー】は含み笑いを隠せなかった。
「こいつはお恥ずかしい限りで」
「いえ、こちらこそごめんなさいね。面白そうな街だな、って思っていた所に彼女の爆走。そして物ボケときたものだったからつい」
「でも、ワタクシもラピ子様のお気持ち、分かる気が致しますわ!」
 2人の会話に【マルガレーテ・トラマリア】も加わる。
 彼女は今回集まった面々の中では入学して日が浅く、道中の馬車でも、広がる景色に不思議を見つけては、楽しそうにしていた。
「ワタクシの国は森の中でしたから、この海の空気……と言うのでしょうか? 風に運ばれる独特な香りは、初めてで……! ワクワクが止まりませんの!」
 彼女の無邪気な笑顔に、同行している【カンナ・ソムド】の表情も僅かに和らいだ。
「そうだ、こうしてはおれませんわ! 海に入るためにも、ワタクシも早く『水着』を買いにいきませんと!」
 マルガレーテは近くにいたカンナの手を引くと、人混みをかき分け手近な水着販売店へと駆け込んでいく。
「では、いきましょうか。ヒューズさん?」
「俺は遠慮しとく」
「どうして?」
「あーんと……ほら、煙草! 煙草買いに行こうと思いやしてね。じゃ!」
 そうして彼もまた、マルガレーテ達とは別の人混みの中へと消えていった。
「……そういうこと」
 パーシアが見据えた先、カンナ達がいる店の壁には『カワイイはここにある! 女性向け激マブ水着専門店!』と書かれた羊皮紙が堂々と貼り付けてあるのであった。

◆◆◆

「学園の指定水着も素晴しい物なのですが、先輩方は皆様、それぞれ自分だけのとても素敵な水着を着ていらしたとか! ワタクシも是非そんな、大人びた一着を見つけ出したいんですの!」
 そう意気込むマルガレーテと、同行するカンナの旅は既に5回もの敗北を喫している。
 理由はただ1つ、マルガレーテの望むデザインに、彼女の『サイズ』が追いついていないからだ。
 そんな彼女を見かねたある店員が特別な店を紹介してくれた。

「そう~。大変だったのね~」
 妙に間延びした口調。
 全身ピンクの衣装に包まれつつ、煌めく頭皮はスキンヘッド。
 店で2人を迎え入れた異質な雰囲気を放つその人物は『水着の魔術師』と名乗り、マルガレーテの話に耳を傾ける。
「ところでアナタ、『スクール水着』は見たことあるのよね~?」
「はい! お姉様が持たせてくれましたから! 今は学園にあって、着たことはまだ……」
「なら~まずは一度見てご覧なさい?」
 魔術師が指を鳴らすと、カーテンの向こうから、紺色のスクール水着に身を包んだカンナが現れる。
 胸には『かんな』という文字が描かれており、ピッタリと体を締め付けるその素材は、彼女のボディラインを際立たせた。
「スクール水着とは、かの魔法学園にてかつて使われていたという、旧式の水着のコト。でも、今のアナタがこれを着たとしても、芸術を為すために鍛えられた彼女の肉体の魅力には、及びづらいわぁ?」
 でも安心して、ワタシがとっておきをアゲル。
 そういって魔術師はウィンクをする。
「肉体には、その人の心がこもるの。それはまさに一時の情熱。時に燃え上がり時には冷えきり……。そうした心の温度は、本人も知らないうちに、その人の姿形を変えていく。でもね、ワタシ達はそれを操ることができるのよ? 衣装の力を借りればね?」
 魔術師に促され、カンナは再びカーテンの向こう側へ消える。
 今度はマルガレーテも別な所で魔術師の従者達に衣装を着せられていた。
「しかも水着は特別。誰かに見せる衣装で、最も心をさらけ出す姿。だからこそ、色々な物に出会っておかないとねぇ~?」
 パチン、と快音が響く。
 カーテンが開けられカンナ達は互いの姿を見て思わず息をのんだ。
「カンナ様、綺麗……!」
 カンナの水着は白いワンピースタイプ。
 肩周りや胸元は大きく開き、うなじを始めその褐色の肌を際立たせる。
 スカート部分はと言えば、胸から右足に向かって、体に沿わせて縦に大きく一本走ったウェーブラインが特徴だ。
 カンナが一回転すると、高価なドレスのようにふわりと広がって見せる。
「猫ちゃんの方は、少し仕掛けがしてあるの。その水を裾にかけてみて?」
 カンナは、魔術師の従者から渡された水をかけた。
 すると突然、ラインの中へ生地が吸い込まれるようにして水着が僅かに短くなったのだ。
「!?」
「アナタ、水辺で踊りたいのでしょう~? なら、きっとその仕掛けが役に立つわぁ」
「ま、魔術師様! ワタクシの方は!?」
 一方のマルガレーテは淡い紫色を基調としたビキニタイプではあるが、スカートはロングタイプで、胸元のフリルやレース地のケープによって、肌の露出は控えめとなっている。
 カンナと違い生地自体も無地ではなく、カトレアの花の意匠が所々に散りばめられており、色合いも相まって、大人びたウェディングドレスのような印象を与えていた。
「アナタは着飾るコトには慣れてるみたいだから、服には仕掛けをしてないわぁ? でも……」
 魔術師はマルガレーテに近づくと、彼女のつけるヴェネチアンマスクを優しく取り外す。
 その下には、まるでヒビのような不可思議な亀裂が走っていた。
 魔術師がその傷跡のようなものを手でなぞると、まるで傷跡を塞ぐように、花や蔓が浮かび上がる。
「海にその仮面は持っていけないでしょう? だから、その水着を着ている間は花々が浮かび上がるようにしてるわ。遠目に見れば、タトゥーか何かにしか見えないでしょうね~」
 マルガレーテは用意された鏡を見ながら、興奮気味に自身の顔を、傷をなぞる。
「いつかその傷が消える頃。それが本当に似合うようになってるコトを、願ってるわぁ?」

●フィオレモール、うらのすがた
 一方謎の女性に声をかけられたパーシアは、カンナ達とはぐれ、裏通りへとやってきていた。
 今は学園生としての立場を持つ彼女だ。
 失礼があってはいけないと、多少の怪しさには目を瞑って着いてきた。
 だがこの女性、しきりと手をワキワキさせている。
 しかも妙な服装やグルグルメガネで印象を隠しているが、この背の低さ、異様に飛び出た胸部装甲。
「さぁ、ここがパーシアたんを染め上げる素敵空間なのだ!」
 聞き馴染みのある二人称に、疑いは深まりつつあった。
 女性が怪しい店のドアを開けた途端、力強い元気な声が響く。
「あちきが欲しいのは! 『大海原のパンツ』のように実用的で! 前衛的で! あちきに似合っている水着なのじゃ!」
 Vラインが際立つ真っ赤な海パンを身につけ。
 胸には赤い海藻的な何かが捲かれている。
 そんな、海で水着が取れた際の応急処置レベルで攻めの姿勢を貫く少女の姿に、パーシアは見覚えがあった。
「あれは……ラピ子さん?!」
「ラピたんの注文を叶えるのは難しいからのぉ~。多分、魔力不足の人には見えない水着、とか渡してあげると喜ぶんだろうが、流石に予算がなぁー」
「予算の問題じゃないでしょそれ……」
 どうしてここに迷い込んだのか。
 どうしてそんなにノリノリなのか。
 パーシアの様々な疑問をかなぐり捨てるラピ子。
 そんなラピ子の要望に、職人達は全ての経験と知恵を振り絞る。
「くっ、もうあれしかねぇ!」
「やるのか!」
「任せろ!」
 職人達はものすごい早さで何かを加工すると、ラピ子に試作した水着を手渡す。
『これぞ我らが全力、べっこうトライアングルアーマー!』
「こ、これは!?」
 説明しよう! べっこう(以下略)とは、胸元2箇所、股下1箇所にのみ小さな保護部分を持ち、それらを厚さ2mm程度に伸ばした飴の糸で逆三角形型に繋いだ『べっこうアーマー』なのだ!
「これなら、水の影響をほぼ受けずに泳げますぜ、旦那!」
「ほうほう! それは素晴しいのじゃ! 甘い匂いがするが、これは食えるのか?」
「勿論! 恥辱と命なんて、比べるまでもねぇ!」
「ひゃっほう!」
「あれを止めなくてどうするのっ!」
 喜び跳ねるラピ子を指さし、パーシアが思わずツッコむ。
「いんじゃね? 本人喜んでるし? パーシアたんもあれが欲しかったのか?」
「いりません! あんなの着るくらいなら、下着姿の方がマシだわ!」
「ほほーん。じゃあ、下着姿くらいなら良いのだな?」
 すると謎の女性は、いつの間にか両手に黒く塗られた貝殻を手にしていた。
 わざわざ貝の筋目まで丁寧に塗り込まれており、何故か彼女のバストサイズにぴったりに見受けられる。
「ま、待って。話せば分かるわ。トップスはこの貝で、え? ボトムスはぱっくり破れたワカメかスリットみたいに破れかけの海賊船の帆布? それならまだ帆布の方が良いけど……は? コレヲミズギニスル? ……ごめんなさい、何を言っているか分からないわ。ん、パーシアたんならこんなおこぼれ寸前水着でうろつけば海辺のヴィーナス間違いなし……? 冗談じゃないわよ!!!!」
 数分後、絹を裂くような女の悲鳴が、路地裏に木霊した。
 悲鳴の主はもう助かるまい。
 もし幽霊となった主が、この世に一言未練を残すのであれば(既に幽霊のようなものだが)。
 きっとこういうであろう。
 この破廉恥学園長! と。

●過ぎ去る日に、来る日を思う
 夕暮れも深まり、夜の帳も降りきろうとする頃。
 フィオレモールでの一日を堪能していた面々は、引率であるトレットに呼び出され、漁港地区の岸辺に集合していた。
 そこでは、1人の青年がバーベキューセットの上で様々な食材を焼き彼女達を待ち受けている。
「おう、来たか。……ほう、皆思い思いの水着を見つけたようだな」
 青年の問いかけに、マルガレーテは恥ずかしそうにヒューズの後ろに隠れた。
「えっと……ヒューズ様、あの方はどちらの……?」
「え? ああそうか! 馬車の中じゃ仮面をしてたから分からなかったのか! こいつはおもしれぇや」
 そっとマルガレーテに耳打ちするヒューズ。
「えええっ!? 貴人様の生き別れたお兄様!?」
「ちょこら?! 何を吹き込んでいるー!?」

◆◆◆

 夜は深まり。
 バーベキューを食べ終えた一行は、帰りの馬車を待つ間、最後の一時を楽しんでいた。
 浜辺では、月明かりを浴びながらカンナが踊る。
 彼女が踊る度、つまり水に触れる度、彼女の素肌がさらけ出されていく。
 徐々に自分がさらけ出されるよな不思議な感覚。
 それは、名前と踊り以外ほとんどの記憶を失った彼女に唯一残された……彼女らしさ。
 これから、彼女は踊りを通してどんな日々を過ごすのか。
 過ごした先でさらけ出されるのは、過去の己か新しい自分か。
 まるでその答えを探すかのように、彼女は不思議な水着と共に舞う。
「あれってどこまで短くなるんだ?」
「ヒップラインは見えないよう守られているらしいわ」
 貴人の言葉に、シルクが応える。
 どうやらシルクは、トレットの紹介で水着の魔術師を名乗る人物と邂逅し、色々と作業をしたらしい。
 そんな彼女は、スクール水着と呼ばれる旧型水着に似た、体のラインがハッキリ出る水着を着用していた。
「ブラスリップくん、いつの間に水着を?」
「昼間収集した素材で作ってみたの。まさか学園に旧型水着があったなんてね……」
 どうやら水着のラインを調整して、波からの抵抗を受けづらくしたらしい。
 他にも、シルクが魔力を込めると、水着のライン際が白く発光し始めた。
「魔力が伝わった時に、体温も伝わる構造にしたわ。これで夜の海ではぐれても心配なし。オマケに、クラゲ部分は取り替えの利くボタン式!」
 満面の笑みを浮かべるシルク。
「水着か。今年のやつはどうしたものか」
 見つめる先では、恥ずかしそうに腕で胸元を隠すパーシアと、それを大人びているとなだめるマルガレーテ、べっこう姿で仁王立ちして笑うラピ子の姿がある。
(ラピ子くんのようなギリギリを攻めるのだけは、避けよう)
 こう決意した彼が友人にスケスケの水着を掴まされそうになったのは、また別のお話。

「ところでオレ、そんなに仮面がないと誰だか分からないか?」
「そんなこと無いわよ? 初めて会ったならともかく、ボディライン見れば誰だか分かるでしょ普通?」
「……そうか」

◆◆◆

「何してるか、聞いてもいいか?」
「あー謎めきフード様じゃん。別に良いけど」
 バーベキューに参加していなかったチョウザを探していたヒューズは、砂浜と植物の境目となる部分で何かを編んでいる彼女を見つけた。
「昼間、仮面のまおー様と衣装愛強めな妖精様と色々狩ってたんだよね。んでこれが収穫」
「なんだこれ、どろっとしてるな……ってうお! 白く光り出した?」
「なんたらクラゲってんだって。とりま発光すんのはわりかし役立ち便利案件だから使うけど」
 チョウザは、細切りにしたクラゲを糸のようにして編み込んでいく。
 そのゼラチン質な性質上、強度を保つためにかなりの量を消費してしまい、手首に嵌めるのが精一杯のサイズになっていた。
「へー。そういうの得意なんだ」
「ま、得意ってか身についただけだけど。何でも自分でやんのがくそじじいの……」
「くそじじい?」
「あーっと……。そう。指とか刺さると、くそジンジン痛むのね。まーそれもその内慣れっけど」
 ところで、フード様は何してたの?
 その問いにヒューズは空を見上げた。
「フラフラしてたっすねー。飯食って、酒飲みながら観光客と話して、水魔法スパだかってところで温泉入ってリラックス! ……的な。最後にゃ日光浴しながら優雅に昼寝を貪りましたとさ。めでたしめでたし」
 こんな風に平和を享受する資格は、俺にないけど。
 その言葉は、飲み込んだ。
「ふーん。ま、自由に過ごしたんなら別にいいんじゃん? てかアロハシャツ着ててもフードしてんの良いよね。自由で」
「俺、日光浴びたら溶けちゃうんでっ!」
「さっき日光浴してたとか言ってない? ザコちゃん健忘症?」
 僅か。だが確かに。2人の間に笑みがこぼれる。
「ほい、完成」
「これは?」
「しゅしゅ? だがっていう腕輪もどき。試してみる?」
 ボタンガニの甲羅で彼の手首サイズに固定されたそれは、体温に反応し、淡く、輝く。
「ま、狩ってから最大3ヶ月後くらいでも光るらしいけど、それって1回も使わなかった時で、実際光らせまくっと数日で光らなくなんだって。ならいちいち作んのメンドイし一旦いっかな」
「じゃあこれザコちゃんの分か」
「あーし? ほら」
 チョウザは昼間作ったもう1つをポケットから取り出す。
「両手につけようと思ってさ。ま、どっちでもいいけど」
 月明かりの下。ヒトトキの時間。
 僅かに距離のある白いトモシビが輝いた。



課題評価
課題経験:18
課題報酬:450
【水着】満(みつ)が欲しくば……
執筆:pnkjynp GM


《【水着】満(みつ)が欲しくば……》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《ゆう×ドラ》 シルク・ブラスリップ (No 1) 2020-07-10 23:18:20
ミスティライトクラゲが出るって聞いて駆け付けた、村人・従者コースのシルクよ。ヨロシク。

そういうわけで水着の素材集めとデザインに取っかかるつもり。
御希望あればみんなの水着も協力させてもらうわよん?

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 2) 2020-07-13 08:04:08
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
おもしろい街ね……賑やかで悪くないわ。

って、誰か呼んだ?

私?
いい店がある?

って、手を引っ張らないで!

(しばらくして「なにこれ!?こんなの下着の方がマシよ……破廉恥な!!」とかいう声が聞こえたとか聞こえないとか)

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 3) 2020-07-13 23:56:33
らぴゃたみゃくたらたたららた!

水着を探しにフラッと裏通りに行くのじゃ。