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【水着】求ム!海の家を手伝ってくれる人


ストーリー Story

~逆転の一手~
 アルチェ、サビア・ビーチのとある海の家。
 海の家はこの季節が稼ぎ時ではあるが、この店は静まりかえっている。
「出遅れた、このままでは店の売り上げが立たんなぁ……どないしょ」
 海の家を経営するオーナーの【トム・ブレイカー】はがっくりと肩を落とし独りごちる。
 今回が初参入であるものの、もう少し入るだろうという予想が大きく外れてしまった。
 そんな時に耳にしたのは魔法学園の学生のライブに人が集まっているという話である。
「なるほど、その手はなかったなぁ。キレイどころもイケメンもいるようやし魔法学園にちょいと頼んでみる手でいこか」
 決断は早く、それが彼のモットーでもあり数々の思い付きを形にしていく秘訣でもあった。

~集いし『ゆうしゃ』たち~
 魔法学園の授業の一環として受理されたの依頼に生徒たちが引率の教師と共に姿をみせる。
「よぉー来てくれたわぁ、ホンマ助かるわぁ!」
 サングラスにアロハシャツの陽気なトムがシェイクハンズで挨拶を一通りすませると依頼の説明をはじめる。
「今回、頼みたいんわ、店の手伝い全般やな。大まかにはホール、キッチン、呼び込みの3つ。水着でやってしっかり目を引いてもらいたいんや」
 ふむふむとうなずく生徒たちは店内にある広いステージに視線がいく。
「暇な時間があれば、ステージでなんかやってもええよ。歌も歌えるし、楽器は一通りあるから、使ってもらってもええよ。ワイも演奏できるさかい、言ってくれればかまへんよ」
 納得してくれた様子の面々に頼もしさを感じたトムは笑顔で伝える。
「ほな、開店までもうちょいやから、最後の詰めよろしく頼むで~」
 ゆうしゃたちの一夜限りの海の家デビューが決まった。



エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-08-04

難易度 とても簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2020-08-14

登場人物 5/8 Characters
《新入生》シェイミル・ウッズ
 エリアル Lv10 / 芸能・芸術 Rank 1
「うちは、シェイミル・ウッズ。村の外は初めて来たから教えて欲しいんだよ」 「縫い物なら任せてね」 「一緒に音楽はどう??」 【容姿】 体型→やや小さい 髪 →若緑/やや癖毛/腰までの長さ 瞳 →深緑/ぱっちり 服装→ノースリーブワンピース、グラディエーターサンダル、ゼラニウムの花飾り 【趣味】 歌、演奏、裁縫、お絵描き 【性格】 楽しいこと好き、世間知らず
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《2期生》ナイル・レズニック
 アークライト Lv12 / 賢者・導師 Rank 1
「やぁ、ぼくはナイル。ナイル・レズニックさ。この布?かっこいいだろう?」 「顔が見たい?ふふ、タダじゃ見せれないね。ごめんね。」 【容姿】 体型→細マッチョ 髪 →黒髪 瞳 →桃色/猫目 服装→キャスケット帽、雑面 【好き】 魔法、散歩、料理 【性格】 優しい 【雑面】 いつも雑面をつけている。 雑面のイラストはコロコロ変わる。 雑面の下は見せようとはしない。 顔にできたケロイドを見せたくないから。

解説 Explan

【活動について】
 お店のウェイターだったり、キッチンだったり呼び込みや、
 ステージイベントなどでお店を盛り上げてください。
 一人で全部やらないで、行動は絞って行っていただける方が描写しやすいです。
 芸能・芸術コースに限らず、いろんなコースの方からのご参加お待ちしております。

 活動したい時間や着たい水着や演出やこういう人物と交流したいなど、希望がありましたらアクションプランに記載をお願いします。


作者コメント Comment
『ゆうしゃ』の皆様はじめまして、プロローグをみていただきありがとうございます。
水着イベントにあやかって、海の家を助けてくれる『ゆうしゃ』を募集いたします。
楽しいアクションプランをお待ちしております。


個人成績表 Report
シェイミル・ウッズ 個人成績:

獲得経験:18 = 15全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
うちは、呼び込みをしようと思うんだよ。
呼び込み方法としては、2つ考えてるんだよ。
1つ目は、チラシ作戦。【絵画】でチラシをたくさん作って、それを配るんだよ。
チラシの内容は、「海鮮料理が食べられる」「デザートが食べられる」「スタンプラリーやってます」の3つを入れるんだよ。それ以外は、可愛い絵を描いたりするんだよ。【文学】や【語学】の知識で色々な人が見てわかるように工夫しなきゃだね
2つ目は、【音楽】【歌唱】で歌いながら集客するんだよ。
音はやっぱり聞こえやすいし、音楽は種族を超えるんだよ!
だから、お店の前でうちが歌えば、皆興味持ってくれると思うんだよ。

沢山歌って、沢山声かけて沢山人を集めちゃうんだよ!

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:18 = 15全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
アルチェ特産の海産物を使って美味しい物を作るわ
調理中に【自然友愛】で呼び出した風の精霊に
いい匂いを運んでお客さんを呼んでもらうわ

ウナギ(旬の良い物があればイワシやサンマなど他の魚種でもOK)の
蒲焼きを焼いて、匂いと味でお客さんを集めるわ

素材は【事前調査】で旬の物・人気の物を下調べして市場で仕入れ
購入時は鮮度や状態を【嗅覚強化】でしっかり吟味
【魔法学園:学生カバン】に入れて鮮度を維持して運ぶ

調理は【料理】を【集中】して行う
醤油・味醂・料理酒・砂糖を焦がさないよう煮詰め
串に刺した魚の切り身に塗って焼いて
辺りに食欲をそそる匂いを漂わせながら
近くの人々を呼び込むわ

アドリブ・他参加者との絡みは大歓迎です

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:18 = 15全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
私はホールのお手伝いを致しますわ。水着は赤いビキニを着用。注文を間違わないようにだけ注意しなければ

料理をお出しする際は精密行動と立体機動、跳躍を用いてお客様にぶつからないよう動線を確保しつつ、時にはアクロバティックな動きでお客様の目を楽しませるパフォーマンスも行いながらお料理を配膳。日頃鍛えた肉体の見せ所ですわね!

ホールが落ち着いて来たらステージでパフォーマンスも致しますわ。水着の上からパレオを纏い、トム様に演奏をお願いして星炎の二枚貝を持ってフラメンコを踊りますわ。多少踊りも嗜んでおりますので。武は舞に通ず。逆もまた然りですわ大きな動きでしっかりと

ただかなり動いてお腹が空きそうですわね♪


タスク・ジム 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:40 = 15全体 + 25個別
獲得報酬:855 = 360全体 + 495個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
トム店だけでなく海の家々みんな盛り上げる共存共栄を狙い
海の家を回るといいことがあるスタンプラリーを提案

参加した海の家は客が一点でも買い物したらスタンプを押す

各店は一番最後のスタンプを押すとき
つまりスタンプラリーのゴールとなった客に
各店趣向を凝らした特典や割引をプレゼント

【信用】を活かしてトムの店をはじめ各店を【説得】
参加店にスタンプカードと
店ごとに違うデザインの判子を用意
【芸術親和】【創意工夫】を駆使
カードにはウィンクするメメタンを写法筆で描画

だが元々の依頼達成も忘れず
トム店をイベント発起店とアピールし
トム店でカードをもらった人にはグラヌーゼ麦で【料理】した
クッキーをプレゼントし差別化をはかる


ナイル・レズニック 個人成績:

獲得経験:18 = 15全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:海の家が少しでも盛り上がるようにしたい
役割:キッチンでデザート作り
   「調理道具一式」を利用して、一般技能「料理」で、料理
   デザートメインで行動するが、切る等の下処理を手伝う
作るもの:フルーツを使ったデザート
     (フルーツポンチ、ゼリー、フルーツ沢山のかき氷、果物飴等)
その他:一般技能「皿洗い」で片付けてきた皿をすぐに洗う
「こう見えても、料理は得意なんだよ」
「デザートなら任せてほしいな。おいしいものを用意しようじゃないか」
「下処理手伝うよ、何でも言ってほしいな★」

リザルト Result

●海の家を盛り上げよう
 【トム・ブレイカー】の店のホールでは客がいないテーブルにチラシが一枚、また一枚とデザインされて積み重なっていく。
 水着姿のかわいい美少女の絵と『ここだけでしか食べられない!? 驚きの海鮮料理と魅惑のフルーツデザート』と目立つキャッチコピーの描かれたチラシを眺めて【シェイミル・ウッズ】は満足げに頷いた。
「こんな感じでいいかな?」
「そうですね、裏面にはスタンプラリーの説明と絵をかいていただかないといけないので、結構重労働になりますがよろしくお願いいたします。僕の方は他のお店にご協力願えないか行ってきます」
 【タスク・ジム】は事前に図書館で調べてきていた情報をもとにまとめたプレゼン資料を片手に店の裏手から外にでていった。
 まぶしい日差しがアルチェのビーチ一帯を照らし、海水浴客が集まり始めている。
「お昼からの開店になるべく間に合わせるように動きませんとね」
 タスクはまぶしい光に目を細めてから、店を後にした。

●仕込みは順調!
 店のキッチンでは新作料理の仕込みが進んでいる。
「ほ~、こんな料理の仕方は初めてみたでぇ~おもろいことをすんなぁ」
 店主のトムが蒲焼をやいている【エリカ・エルオンタリエ】のことをみる。
「ええ、わたしが知っている中で一番お客さんを呼びそうかなと……」
 ウナギといえばトムの知っているものは輪切りにして、ゼリー状に煮込むくらいだけだったからだ。
「でも、ええにおいやわ。これはイカ焼きよりも目玉になるでぇ! あんじょう頼んまっせ」
「はい、頑張りますね!」
 焼きあがる蒲焼をパタパタと団扇で扇ぐとタレの焼ける香ばしい匂いがキッチンに充満していく。
 キッチンのテーブルの方ではフルーツを使ったデザートを作っていた。
「フルーツポンチは基本として、中にフルーツを入れたゼリーとかも用意してみたけどどうだろう?」
 【ナイル・レズニック】が作り上げたデザートを試食した、【朱璃・拝】はおいしさにルネサンス特有の大きな耳をピクピクと動かして目を細める。
 その表情でナイルは大丈夫だなと心の中で感じた。
「このゼリーがいいですわね。私とても気に入りましたの。あとでレシピを教えてくださるかしら?」
「もちろんさ。けど……まずは今日の営業を乗り切ってからにしようか」
 ナイルがカウンターキッチンから外へ視線を向ければ、エリカの蒲焼が功をそうしたのか、開店前であるにもかかわらず、人だかりができ始めている。
「そうですわね、まずは今日を乗り切りましょう。私のまかないにはぜひデザートを付けてくだいませ」
 ウィンク一つ朱璃はナイルへ向けると赤いビキニにウエイトレスらしくするためのホワイトブリムとフリルエプロンを付けて、並んでいる客の方へと向かった。

●開店! 海の家
「ようこそいらっしゃいませ♪」
 前かがみになって挨拶をする朱璃の胸がたゆんと揺れる。
 銀の耳と尻尾が動き、とても愛嬌があり、男性客の視線をくぎ付けにしていく。
「こちらへどうぞ~。はーい、次のお客様~」
 はつらつとした朱璃の案内で店内の席が瞬く間に埋まっていく。
 キッチンではエリカとナイルが料理を作り上げて、カウンターに次々と並んでいく。
「こちらが、ご注文の『カバヤキ』なんだよ」
 チラシ配りから戻ってきたシェイミルが給仕に加わり、出来上がった料理を次々とテーブルに運んでいく。
「店長さんもぼーっとしてないで、運んでってもらいたいなぁ」
 ナイルの雑面が『(;・∀・)』に変化して、様子を見守っていたトムをせかす。
「おお、堪忍な。急に頼んだけども、ここまでできる人らが来てくれるとは思わんくって見惚れてとったわ」
 フルーツゼリーの盛り合わせを運ぼうとしていたトムに朱璃が声をかける。
「店長さん、こちらに投げてくださいな。ご安心をすべて受け止めさせていただきます」
 八重歯をのぞかせて自慢げにほほ笑む朱璃を信じてトムは器に盛られたフルーツゼリーを投げた。
 空中で器から、色とりどりのゼリーが離れて浮かびあがり、散らばっていく。
 客席の合間を飛翔しながら、器が傾き、ゼリーも重力にしたがって落下しようとしていた。
 しかし、瞬時に飛び上がった朱璃が器を片手に散らばって落ちようとしていたゼリーを器で受け止めて、きれいなピラミッド状へ盛りなおした。
『おおー!』
 拍手があがり、盛り上がる店内で、トムはサングラスの奥から朱璃の動きをじっと何かを考えるようにみつめる。
「店長! まだまだあるんだから、ぼーっとしないで!」
 『(゙ `-´)/』とせかすナイルにトムは『すまんすまん』と詫びて給仕を手伝った。

●接客トラブル
「へっへへ~おじょうちゃん、カワイイじゃないの~。おじさんとこでお酌してよぉ~」
「ちょ、ちょっとそういうのはやっていないんだよ!?」
 昼間から酒を飲んでいた一団のテーブルに給仕に行ったシェイミルが髭面の中年に絡まれている。
 ほかにもガタイのいいスキンヘッドの男から、はたから見れば海賊団のようだ。
 そのためか、ほかの客もシェイミルの様子をチラチラとはみるものの、何も言わない……いや、言えない状態となっていた。
「キッチンの方、少しお任せしてもいいかしら?」
「はい、ここは任せてください」
 シェイミルのピンチをカウンターキッチンから覗いていたエリカがタスクにキッチンを任せてホールへとでていく。
 水着にエプロン姿で現れたエリカにスキンヘッドの男がヒューっと口笛を鳴らした。
 下品な視線がエリカのつま先から顔まで嘗め回すように動く。
「こりゃぁ。またキレイドコロじゃねぇかよ。俺の方を相手をしてくれるのか?」
 酒臭い息がエリカの顔にかかった。
 しかめっ面になりそうなところをエリカは踏みとどまり、営業スマイルでスキンヘッドへ一礼をする。
「お客様、当店では大変混雑しておりますので、お酌などのサービスはしておりません」
「ンな、硬いこというなよぉ、せっかくのお祭りみたいなもんだから楽しまねぇとよぉ」
 シェイミルの肩に手を回して髭面の男が顔を水着姿をじろじろと眺めてくる。
「はい、そこまでよ」
 パンと髭面の男の目の前で空気の球がはじけて大きな音がした。
「わたしたちはフトゥールム・スクエア学園の生徒なのよ。だから、もし、私たちに何かあったときは学園長に報告がいくんですよね」
 大きな音でびっくりして固まっている髭面とスキンヘッドに向かってエリカが淡々と話をしだす。
「そうなんですよ、メメ学園長はとっても怖いんだよ!」
 シェイミルに向けてウィンクをするとシェイミルもそれに気づき、話に乗っかっていく。
「メメ・メメル……だと!?」
 シェイミルに絡んでいた男達の顔がサァ―ッと青ざめていった。
「あの噂では村一つを破壊したとか」
「実験で作り出した生物が人々を襲ったとか」
『あの、メメ・メメルの学園の生徒!?』
 変な噂が流れているようだが、逆に好都合と思ったのかシェイミルとエリカはにっこりと微笑みうなずいた。
「や、やぁ、それじゃあ課外授業だぁねぇ。おじさんたちが邪魔しちゃ悪いなぁ」
「そ、そろそろ帰りましょうぜ、兄貴!」
「お、お、おおぅ! お勘定お願いするぜ!」
 急にしどろもどろになった二人組は早々にその場を去ろう動き始めた。
 学園長の名前はこういったときには強いらしい。
「はい、シェイミルさんお願いね」
「わかったんだよ♪ では、食べたものは~」
 シェイミルは一呼吸してから、調子を取り戻しテーブルの会計処理をしていった。
 同じエリアルの先輩に助けられたことを心の中で感謝をしながら……。

●夜の静けさ
 昼間はある程度盛り上がってきたものの、客足が減り夜も近くなってくるとにぎわう店とそうでない店の差がはっきり浮かんできた。
「このままじゃ、まずいんだよ……」
 目玉であった蒲焼も売り切れてしまっため、店に来る人も残念そうに去っていってしまう。
 おいしい蒲焼だったことが裏目にでてしまっている。
「ちょっとうちが歌って集客してくるんだよ!」
 ウェイトレスとしても手が空いてしまうのであればと、シェイミルが立ち上がるとタスクがシェイミルにクッキーの入った小袋を手渡す。
「こんなことも……というわけでもないですが、発起店としてのアピール用にとっておいたグラヌーゼ麦で作ったクッキーです。スタンプを全部押されていてもトムさんの店に来てくれればもらえるようしましょう」
 お腹がいっぱいであろうと、ちょっとしたデザートであれば問題ないだろうし店に来てくれるのであればドリンクなどを頼んでくれるチャンスはあるはずだとタスクは考えていた。
「うん、わかったんだよ! このクッキーのおいしさも歌にして伝えよう!」
 水着にエプロン姿のシェイミルが店の外で歌い始めると、帰りがけの人々が足を止めてシェイミルの歌に拍手を送る。
 タスクの楽器演奏が加わり、さながらちょっとした路上アーティスト状態だった。
 その中で、チラシをもっていた客が一人、また一人とトムの店へと入っていくのである。
「ああ、『海猫』と『フォルテ』で聞いた店はここか。結構離れているところにあったからわからなかったぜ」
 人垣の中から、タスクの知り合いである店から話を聞いてやってきた男たちも混ざり、トムの店に活気が戻ってきた。
「我が部族の舞、どうかご照覧下さいませ 」
 店内に客が増えてきたのを見計らって、朱璃がステージの中央で優美に礼をする。
 フリルエプロンからパレオに変えて、炎の二枚貝を持ってフラメンコを踊る。
 情熱的なリズムに乗って、褐色の肌と赤い水着、銀の髪が激しく動き、ステージを舞った。
 カスタネットのタンタンというリズムに合わせて足を踏み鳴らせば、歓声と拍手があがる。
 伴奏をするトムも歓声に負けじとギターを鳴らして、朱璃のダンスを彩った。

●宴の終わり
「いやぁ、今日はホンマにありがとぅなぁ~。おかげさんで大盛り上がりやったわ!」
 タスクの企画した打ち上げが店の外ではじまり、バーベキューよろしくいろんな肉や魚が焼かれていった。
「ほとんど最後は皿洗いばかりだったから腕が疲れたね。たくさん食べてもらえてうれしいけどね」
 ナイルの雑面に『(´д`)』と浮かぶ。
「打ち上げ後はワイが片付けるから今は飲んで、食べてってや」
 ケラケラと豪快に笑いトムはナイルに飲み物を注いでいく。
「タスクはんには一番感謝やで、スタンプラリーの企画だったり、あの『海猫』と『フォルテ』の人脈だったり。おかげ様で赤字にならんですんだわ!」
 ナイルのそばからタスクの近くに移動したトムは飲みものを注ぎながら、タスクの背中をバシバシ叩く。
「いえ、こちらとしても勉強をしていたことの実践ができたので、感謝していますよ」
 照れくさそうにタスクは微笑み、注がれた飲み物を口にする。
「そういえば気になったことがあるのだけど……トムさんは普段は何をしているの? 海の家ってこの時期限定のことよね?」
 焼きあがったイカを口にしながら、エリカは疑問を投げかけた。
「ああ、せやな……あんたらやったら、話してもええかもなぁ。ワイはな雑技団の団長や。大陸中を回って一芸を持っている人らを集めて、それをまた披露して多くの人らの笑顔を作るのが仕事や」
 ニィと口を横に広げて笑い、トムは誇らしげに胸をたたく。雑技団の団長っぽくない見た目なので、いささか可笑しくみえる。
「雑技団……それはなかなか面白そうなお話ですね」
 踊りを披露した朱璃としても、トムの話は興味をひかれた。
「まぁ、アイドルがいたら一番ええんやけどな」
 アイドルとは学園の芸能コースを卒業した一流のものを指している。歌だけでなく、踊りやアクロバットなど方面はさまざまとされていた。
「夏は終わってアルチェからは離れるさかい、ほかの町で興行しく予定やから、良かったら演者参加しとくれや。別に学園のコースは気にせんでくれてええから」
 賢者・導師コースを目指しているエリカではあったが、『アイドル』という響きにどこか懐かしさを感じ、心が揺れる。
「その際はよろしくお願いいたします」
 しばし考えた後、エリカはトムへと微笑み返した。
「おっ、流れ星!」
 ナイルが空に流れる一筋の光を見つける。
 新しい門出にふさわしい光だった……。
「じゃあ、改めて乾杯や! みんな杯をもてーい!」
 トムの声に合わせて各々が飲みものをもって掲げる。
「今後のお互いの活躍を願って、かんぱーい!」
『かんぱーい!』
 月明りに照らされたサルチェビーチに器が重なる音が響く。
 波の音に比べて小さな音だが、大きなことを成し遂げた者たちの喜びの音だった。



課題評価
課題経験:15
課題報酬:360
【水着】求ム!海の家を手伝ってくれる人
執筆:橘真斗 GM


《【水着】求ム!海の家を手伝ってくれる人》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《新入生》 シェイミル・ウッズ (No 1) 2020-07-30 03:24:10
1番なんだよ。
うちは、呼び込みをやろうと思ってるんだよ
絵を描くのは得意だから、簡単なチラシ作りたいんだよ。

あとは、音楽で集客をするつもりだよ!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 2) 2020-07-30 05:31:17
2番ね。
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。
わたしはアルチェ特産の海産物を使って、何か美味しい物を作ってみるわ。
調理中に風の精霊にいい匂いを運んでもらえば、人も集まって来るかしらね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 3) 2020-07-30 18:57:04
3番ですわね。武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。それでは私はひとまずホールの方をお手伝いしましょうか。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2020-08-02 20:16:25
遅刻帰国~♪
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします!
海の家のお困りごと、みんなで解決いたしましょう!

呼び込み、調理、ホールが揃っているようなので、僕は少し変わった企画を。
その辺のライバル店を巻き込んでスタンプラリー的なのを企画してしまえば、
海の家々全体が盛り上がるんじゃないかな~、と思い、動いてみる予定です!

《新入生》 シェイミル・ウッズ (No 5) 2020-08-02 22:31:53
わぁ、知らない間に人がいっぱいなんだよ。

チラシに
美味しい海産物料理が食べられること
スタンプラリーやってます
って入れちゃってもいいかな?

今から楽しみだな〜

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 6) 2020-08-02 22:42:09
チラシの方はシェイミルさんにお任せするわ。
お客さんに「宣伝と出てきたものが違い過ぎるぞ!」って怒られないように
頑張らないといけないわね(苦笑)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 7) 2020-08-02 23:16:48
シェイミルさん、よろしくお願いいたします!

チラシに、早速スタンプラリーのことを入れてくれるなんて、
嬉しいです!

部長さんと同じく、せっかくのチラシに恥じないような
いい企画にしないとですね!

以前、課題で手伝ったお土産物やさんにも声をかけようと思ってます。
違う担当教官(GM様)の課題なので、ダメもと(ウイッシュ案件)てすけどね。

《2期生》 ナイル・レズニック (No 8) 2020-08-03 00:04:30
課題をさぼっていたら、もう夏か…早いもんだね★
ぼくはナイル。ナイル・レズニックさ。よろしくね★

さて、ぼくは料理でも手伝わせてもらおうかな。
こう見えても、料理は得意な方でね。

海産物系の料理をエルオンタリエさんが作ってくれるんだよね?
なら、デザート系を作ろうかな。

もし、ウッズさんが入れてくれるなら、「フルーツを使ったデザートあり」とも入れておいてもらえると嬉しいな★

《新入生》 シェイミル・ウッズ (No 9) 2020-08-03 01:13:52
うんうん、かしこま☆

チラシのことは、うちにどどどーんと任せちゃって欲しいんだよ。
1日看板娘の地位はうちがいただきだよ!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2020-08-03 17:00:36
戦力が充実してきましたね!
出発が近付いてきましたので、今の状況をまとめてみますね。

呼び込み シェイミルさん(チラシ、音楽)
調  理 エリカ部長さん(海産物)、ナイルさん(デザート)
接  客 朱璃さん(ホール)
イベント タスク(スタンプラリー)

スタンプラリーで海の家々を盛り上げたいとはいえ、
元々の依頼を忘れたわけではありません。

トムさんのお店がイベントの発起店であることをアピールし、
カードを配るときにオマケ(グラヌーゼ麦のクッキー)をつけて
他の店との差別化を図ります。

また、字数が余る限り、何か連携出来たらいいと思いますので、
何かあったらご相談ください!

さしあたっては、閉店後に打ち上げかなあ…

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2020-08-03 23:30:39
プラン書けました!

閉店後に打ち上げの砂浜バーベキューを企画してみましたよ。
ウイッシュに書いただけなのでするしないはGM様にお任せです。

あ~出発直前だけど文字数余ったな~と思ったかたは
打ち上げの行動を何か書いていただけたら嬉しいです!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2020-08-03 23:59:19
いよいよ出発ですね!
ご一緒いただいた皆様、そしてGM様、ありがとうございました!
リザルト楽しみですね!

アルチェの夏が楽しく盛り上がりますように!