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このホウキは誰のホウキ?


ストーリー Story


 広い広いフトゥールム・スクエア学園内には、通常の授業やクラブ活動まで行う校舎が、第二校舎から第九校舎まであります。
 その数ある校舎の中の1つに併設されたグラウンドの中心に、放課後を楽しもうとしていた生徒たちが沢山集まっていました。
 それは何故かと言われましたら、 理由はブラシの部分を下にし、立った状態で少しだけ浮遊している、不思議な1本のホウキの為です。
 見るからに長い年月を過ごして来たと思われる、年期が入った渋い色をした、かしの木の棒と、それに似合わないような真新しい藁(わら)で出来ているブラシで出来たホウキです。
 間違いなく誰かが使って飛んでいる、そうと思えば日々ホウキを使う学生たちは、いてもたってもいられません。


 ホウキという物は、魔法を使う者たちにとってみれば一般的な物で、フトゥールム・スクエアでも、学生たちはホウキ乗り場から自由に借りて使う事が出来ます。
 とはいえ、ホウキに乗るには魔力が必要で、ホウキ乗り場からホウキ乗り場までの距離を飛ぶのが普通ですので、借りられるホウキも街の職人が作った、なんの変哲もないホウキがほとんどです。
 それなのに目の前にあるのは、かしの木で出来た特別製のホウキなのだから、学生たちだって、めったに見れない豪華なホウキに色めき立つのは当たり前でしょう?
「よしよし、良い子にしてろよ、俺が乗りこなしてやるからな」
 そんな事を言って、輪の中からホウキに手を掛けたのは、偶々通り掛かった上級生の1人……なのですが……。
「なんだこりゃ!?」
 かしの木の部分を掴み、普段通りにホウキを持とうとしても、ホウキはびくとも動きません。
 自分の方に棒を引っ張っても、浮遊しているのだからと棒を持ち上げようとしても、まるで石かと思えるほどに、ホウキは動く事を良しとしてくれません。
 ムキになる上級生を見て新入生も苦笑いで対応はしますが、上級生がダメだったら自分たちもダメじゃん、そんな雰囲気がグラウンド内に漂います。


「おい、あれはヤバいだろう」
「ああ毎年恒例のあれか? そうすれば俺たち上級生が関わるのは不味いって」
「知ってるのは毎年現場に居合わせた学生のみ。そして後から教えられるんだよ、あのホウキは学園長の物だと」
「しかも毎年違うホウキなんだよなぁ、学園長って幾つホウキを持っているんだ?」
 囲みの後ろ側でコソコソと話すのは、この被害にあった事がある上級生たちです。
 そうこれは学園長が毎年新入生に与える些細な悪戯という、はた迷惑な小さな恒例行事だという事に気付いたようです。
 慌ててムキになる上級生を止めて、新入生に聞こえないように状況を説明し、少々強引ですがホウキから離すのには成功しました。
 そこまでは良かったのですが、このホウキの意図を悟られる事なく、新入生だけを残して立ち去るにはどうすれば良いでしょう?


 上級生たちはグラウンドの隅に移動して考えます。
「お前が手を掛けたんだから審判をやれよ」
「はぁ!? どんなからくりかも分からないのに審判なんか出来るか!」
「学園長のホウキなんだ、乗って飛ぶ事なんて出来ないさ。だからホウキが動けば良い……だろ?」
 学園長のホウキです、学生たちでは魔力が足りなさ過ぎて扱える代物じゃないのは、上級生は身を持って体験済みの話です。
 毎年こうして置いていますが、誰1人乗って飛んだという話も聞きませんから。そして学内至るところに悪戯を仕掛けているのもお馴染みなんです。
「というか、お前は感じないか? ホウキから風の力を」
「風??」
 上級生の1人の言葉に、隅に集まった全員がホウキの魔力と捉えて見てみれば、確かに風の力を……それも妖精らしき気配を感じます。
「なあ、最近学園長が風の妖精を集めて遊んでいなかったか?」
「あー! 俺もそれは見た。ということは、ホウキを押さえているのは風の妖精なのか」
「分からん。学園長のことだ、違う仕掛けも用意しているとは思う」
 上級生たちが、このホウキの問題を解決するわけにもいかず、推測だけがこの場を支配していきます。
「俺の予想だが、妖精は4~5匹といったところ」
「だから押しても引いても動かないんだ」
「ああ、妖精をなんとかするか、妖精の居ない場所を狙うか。……内緒だぞ」
 これを言ってしまえば、こちらに被害が出てしまう。
 だから黙って審判をやらざる負えない。上級生たちだって辛いんです。
「審判がいなければ……」
「ああ、悪戯は俺たちに来るからなぁ」
 そして上級生が新入生の審判をする、これもいつもの事で、何処からかは分りませんが、学園長がしっかり見ている事も知っています。
 強制では無いですよ? ですが無視をすると……学園長の悪戯が自分たちに降りかかる、上級生が嫌なのはこの一点。誰だって学園長の悪戯は勘弁して欲しいのです。


「今年はオレが犠牲かよぉー!!」
 話し合う中で1人項垂れるのは、先程ホウキに手を掛けてしまった【ウォルター・ビートン】です。彼は知っていたのに手を出してしましたという理由で、上級生たちから学園長の悪戯の審判を押し付けられてしまいました。
 こうなれば後には引けません。ウォルターは仕方なく、まだ騒いでいる新入生の輪の中に入って行きます。その間に上級生たちはグランドの外に避難してしまいました。
 残されたウォルターは覚悟を決めて新入生たちに話し出します。
「俺は分かったぞ! そこでだ、この謎解きを新入生にも体験して貰おうと思う!!」
(嘘も方便ってな。しかし本当に動くのかこのホウキ?)
 ウォルター自身も一抹の不安を抱えながら、ホウキの棒を掴み、声高々と新入生たちに宣言しました。
 本当に分かったのか? 新入生たちは怪しいと思いながらも、謎解きと言われて更に好奇心が湧きます。
 自分がホウキを動かして、この上級生をギャフンと言わせてやるんだ! こんな時の心理は皆さん同じのようで、新入生たちは次々とホウキを動かす方法を考えていきます。
 さあ貴方はこの謎解きをどう解明しますか?


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-05-25

難易度 とても簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2019-06-04

登場人物 2/8 Characters
《新入生》ローン・ミッドナイト
 ルネサンス Lv5 / 黒幕・暗躍 Rank 1
彼は走る、闇の中を。 彼は走る、真夜中を。 馬のルネサンスである。 ちなみに父は馬、母は鹿である。馬鹿のハーフ。 馬だからか走ることに情熱を抱いている彼は、『走るメ●ス』の如く夕焼けをバックに二足歩行で走り続けるのだ。二足歩行で。 走れ、ローン・ミッドナイト。 ただし人の話はちゃんと聞け。 ちなみに美人な彼女募集中。 _______________ 黒幕・暗躍コースを選んだ理由はめっちゃ足速い人沢山いるからだそうだ。 勿論こいつに忍ぶ気なんてない。 走りながら隠密使うけどバレバレである。 好きな物は肉。草食動物?男は常に肉食動物だ。 嫌いな物は人参。馬の好物だろ?残念ながら俺は嫌いだ! ※馬頭と設定に書かせていただきましたが、ヘルプにあるルネサンスの特徴に概要されないため訂正させていただきます。(5月27日)
《新入生》ウェルカ・ラティエンヌ
 アークライト Lv15 / 王様・貴族 Rank 1
■身長:152cm ■実年齢:14歳 ■髪形:腰までのストレートロング ■容貌:ややたれ目気味の目元の、大人しそうな容貌の美少女 ■体型:身長は小柄ながら、バストやヒップはかなり大きく、非常に発育は良いが、ウェストや手足等は細めの、極端な体型 ■性格:基本的には内向的で大人しく、穏やかな性格だが、金銭面には非常に厳しく、利害が絡むと冷酷になる面も ■コンプレックス:桁違いに豊満な上、未だに発育途上の胸/[誕生日]の時点で、既に120cmに届くとのこと ■体質:体重が増えるときは、その殆どが胸に集まり、痩せるときは他から痩せるタイプ ■服装:背中の開いたドレス/色は特に決まっておらず、気分次第で変えている ■特技:経営・商売に関連する豊富な知識/一通りの礼儀作法/実は家事全般

解説 Explan

●目的
 石のように動かないホウキを、動かす事が出来れば成功です。

●行動
 かしの木の棒を持って、押しても引いてもホウキは一切動きません。そんなホウキをどう動かしますか?
 簡単に考えて下さい。押してもダメ、引いてもダメでも、他にも動かす方法があるはずです。
 ホウキは棒とブラシで出来ています。上級生が触ったのは棒の部分であり、まだ触れていない場所があります。
 そして上級生たちの発言から、ホウキには4~5匹の風の妖精が纏わりついているようです。
 妖精は透明で見えませんが、力は弱くホウキを固定するだけで精一杯のようですね。
 何故少しだけ浮遊しているのか? 妖精をどうすればいいのか? これが大ヒントです。

●補足
 このホウキは学長の物で、新入生への些細な悪戯、または知恵試しの意味も含まれています。
 学長の物ですから、使用するには強大な魔力が必要とされますので、新入生では扱いきれず、ホウキに乗って飛ぶ事は不可とします。
 成功しても、ホウキは報酬として貰う事は出来ません。


作者コメント Comment
 鞠りんです。今回は動かないホウキを動かすという、少しだけの推理ネタで設定して見ました。
 プランは文字数いっぱいに書いて頂けると泣いて喜びます。
 謎解きですので、プランの中にそれぞれ導き出した推理と答えを宜しくお願いします。
 では楽しい学園生活をお送り下さいまし。


個人成績表 Report
ローン・ミッドナイト 個人成績:

獲得経験:14 = 12全体 + 2個別
獲得報酬:252 = 210全体 + 42個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:
「押してもダメ?
引いてもダメ?
ならば周りを走り続けよう!

何故なら俺は「ローン・ミッドナイト」なのだから!
今は真夜中じゃあないけどな!
だが関係ない!
次回!走れ!ローン・ミッドナイト!頭使いすぎて燃え尽きる!」


推理:
残念ながら俺は走ること以外の才能はない!わからん!
難しいことはウェルカ嬢に任せて
俺は周りをギュンギュン走り回ろうか!ブーーーン!
え?知恵比べやんないのかって?
ハッハッハ、面白そうだからついて回っただけだからな!

うーむ、お嬢は回すのか!
ならば俺は頭をひねらせる感じで箒を「ひねらせて」みようか!
こう、鍵みたいにな!

まぁ男手が必要であればいつでも言ってくれ!

ウェルカ・ラティエンヌ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:36 = 12全体 + 24個別
獲得報酬:630 = 210全体 + 420個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
動かせない箒ですか。
面白そうですわね。
色々と試してみましょうか。

【ウォルター先輩】は[柄]の方を持ったみたいですから、それで動かないのでしたら、[ブラシ]の方を持って動かしてみますわね。
一言で[動かす]と言っても、[場所を移動させる]以外に[回す]や[揺らす]等も有りますし、色々な[動かし方]を試してみましょうか。

ところで【上級生の方々】のお話では、【風の妖精様】が纏わりついていらっしゃるのですわよね?
折角ですし、少しお話してみたいところですわ。
[動かす]為に触る際、一先ず御挨拶をして、話しかけてみましょうか。
お返事がいただけたり、姿が見えると良いのですが。
学長からの課題、頑張ってみますわね。

リザルト Result

  ザワザワとザワつくグランド。いや、正確には、ざわついているのは新入生たちです。
 ウォルターが新入生に出した課題に、ホウキを見ながら知恵を絞るが、中々答えが見つけられません。
 そんな中で、ホウキの前に躍り出たのは【ローン・ミッドナイト】……なのですが。
「あのな、走るだけじゃホウキは動かないぜ?」
 ウォルターの呆れた言葉はごもっとも。ローンは躍り出た途端、ホウキの周りを走り出したのです。
「押してもダメ? 引いてもダメ? ならば周りを走り続けよう!」
 ギュンギュンブーーーン! と、走る回るローン。
 走ることが生き甲斐。彼の人生。
 なにせ彼は、馬のルネサンス。馬は走るのが人生であーる。
「ローン! 少しは話を聞け!」
 そう、ローンの困ったところは、人の話をちゃんと聞かないこと。
 何かあれば走る。暗躍・暗殺コースなのに、暗躍を忘れたように走る。最後には、力任せでなぎ倒す。
「一度走ったら止まらない。なにせ俺はローン・ミッドナイトなのだから」
 それに対して、上級生、新入生問わず『止まれー!』と叫んだのは、言うまでもない話です。
 ――そんな中。
「待って下さい。貴方が走ることで、妖精さんの気を引けるかも知れませんわ」
 唯一ローンの味方に回ったのは【ウェルカ・ラティエンヌ】です。
 ウェルカはローンの特性まで考え、『走り回るのもありかもしれない』と思ったから。
「良いことを言ってくれるな、ウェルカ嬢」
「適材適所という言葉があります。貴方が走ることもまた、この問題を解くうえで必要になるかもと、私は思ったのです。違いますか?」
 ウェルカの冷静な判断に、その場に居る全員が『うーん』と唸る。
 ついでに、動くたびに揺れる、大きな二つの膨らみにも『うーん』と唸っている男子が、いないわけではないのは……この際無視してしまいましょう。
「この不思議なホウキをどう動かすのか、色々と試してみたくなりましたわ」
「俺はウェルカ嬢に手を貸すさ。何でも言ってくれ」
「分かりました。では走り続けて下さいませんか?」
「おう!」
 ウォルターが『ちょっと待て』と言う前に、また走り出してしまったローンに、これで良いのかとも思わない事もないのですが、ウェルカには考えがあるようなので、一応黙っておくことにしたみたいです。
「近くを走っているだけでも、風の妖精さんは困っていると思いますわ。……でしょう妖精さん?」
 ローンの高速走りにより、妖精たちが驚いてざわついているのは確か。
 それはウェルカにも感じられているからこそ、今妖精に語りかけて見ることにしたようです。
「学園長から、ホウキを持っていてと言われているの? それとも貴方たちの意思なのかしら?」
 その言葉に、妖精たちが戸惑いの気配を出すのを、複数の学生も感じていて、『これはいけるのではないか?』そう思う学生も出ています。
「俺はいつまでも走るさーウェルカ嬢!」
「ふふ、いい感じですわ。そしてお話頂けないのでしょうか妖精さん?」
 ローンとウェルカを気にしているとは思いますが、妖精からの返事はありません。
 語らないのか、それとも語れないのか?
 興味を示している。こちらに興味がある気配がある。なのに妖精からの言葉がないのです。
「話せない……のかしら?」
 妖精だって全てが言葉を話せるわけではなく、高位にならなければ話せないということを、ウェルカは授業で聞いたことがあります。
 では話せない妖精なのかなと、ウェルカは考え結論をつけ、妖精をどうにかして、ホウキを動かすのは諦めたよう。
「どうしたのさ、ウェルカ嬢?」
「妖精さんが語ってくれそうにありませんので、違う方法を考えていますわ」
 そこでローンは、初めてホウキを見て考えます。ウェルカを助ける方法はないのかと。
 ローンは考える。
 ひたすら考える。
 何がなんでも考える。
「……そうか! 俺の頭のように、ひねらせるで良いのさ」
「ひねらせる……ですか? このホウキをひねらせると、おっしゃりたいのかしら?」
 ウェルカには『??』なのですが、ローンのほうはもう実行したいらしいです。
「鍵みたく、上からひねってみるのも、ありなのさぁ」
 本当にホウキに近づき、ローンは棒の部分を掴んで、ぐるっと回すようにひねってみます。
「あ、あれ、動かない?」
「それは、先輩がやったことと同じと思いますわ。棒の部分ではダメなのです」
 そうなのです。ローンが必死にひねろうとしても、四~五匹の妖精たちが力を合わせて頑張り、棒の部分を押さえているのだから、動かなくて当たり前です。
 そして、先ほど上級生たちが試したのと同じ行動では、力自慢のローンでさえ太刀打ち出来ません。
「ううう……。やっぱり俺は走るのさー!」
 少しの悔しさを胸に、妖精たちに負けたローンは走り出す。
 後をウェルカに任せて走り出す。
 何故だって?
 もうお約束、それは彼がローン・ミッドナイトだから。
 例に漏れず、周りは『馬の耳に念仏』だと頭を抱え、その不屈過ぎる精神に匙を投げることになります。
 ですが、ローン自身はこれが素の行動で、ウェルカに危険なことが起こらないように、気を張っているような仲間思いなのですが、行動が空回りするタイプなだけ。
 とっても良い奴と、理解してあげて欲しいのです。
 そんなローンを優しく見守りながらも、ウェルカは次の行動を始めてみました。
「お話が出来ないのでしたら、妖精さん少しごめんなさいと、言ったほうが良いのかしら?」
 ウェルカが、その場に屈んだことで、たわわな膨らみが更に強調させることになるのですが、本人は全くお構いなし……いや、少し気にしているのでしょうか?
 片手で制服の胸元をキュッと掴み、ちょっとだけ周りを見回して、恥ずかしそうに頬を染めながらも、空いている手でホウキの毛先をつまみ、ユラユラと揺らしてみました。
「……あら?」
「おぉぉー!?」
 ホウキは……揺れている。
 胸も……揺れている。
 あれだけ動かなかったホウキが、ユラユラと揺れている。
 妖精たちも、ホウキのブラシの先までは、支えることが出来なかったようです。
「私、分かりましたわ」
 これで確信を得たウェルカは、今度はブラシをしっかりと持ち、クルクルとコマのように回し始めました。
「やはり当たりですわ。妖精さん、一緒に回りましょう?」
 学生たちには見えませんが、ウェルカの機転でホウキは回り、棒にしがみついている妖精たちも、振り回されるかのように、棒に掴まりながら回る……メリーゴーランドのように。
「おおー動いたぞ!」
「今年はウェルカ、君が成功だ」
 ウェルカは、動かないホウキを動かした、ただ一人の新入生になったのです。
「凄い凄いウェルカ嬢、謎を解いたのを祝福するのさー!」
 ウェルカの成功を喜び、周りを走るローン。彼なりのウェルカに対する敬意の表れ……また走るのですが。
 グランドに集まっていた学生たちが、ウェルカの成功を喜んでいました……が?
「やりましたわ。でも……あれ?」
 ウェルカに回された、妖精たちの少しだけの意種返し。
 棒の部分を持ったままの妖精が、ブラシ部分を持ったままだったウェルカを振り回す。
「あーれー!?」
 ポヨンポヨンと大きく揺らしながら、ウェルカは回る。
「ウェルカ嬢も走る。だから俺も走るのさー」
 ローンには、ウェルカがホウキを掴み走っているように見えたようです。
 彼に取れば、動き回る全てが『走る』に見えてしまう。
 なぜって? もう分かりますよね、彼はローン・ミッドナイトなのだから。
「ち、違いますわ。これはホウキが勝手に……妖精さんの仕業なのかしら?」
 浮いたホウキと回るウェルカ。そのウェルカの周りを走るローン。
 この二人のやり取りに、見ていた学生たちが笑い呆れたのは、言うまでもありません。

 ホウキを見事動かした後、やはりそれ以上は動きも飛びもしないホウキをその場に置き捨て、クラブだ学生寮だと、集まっていた学生たちが去った後。
「ふっふー。今年は正解者が出たようだな! お前たちもおつおつ! もう自由にしてよいぞー?」
 ポツンとグランドに表れたのは、学園長である【メメ・メルル】その人です。
 妖精を解放するためと、ホウキの回収に来た……らしい。初めから見ていたくせに。
「来年は、どんな手を使おうか考えるのが、メメたん超たのしー!」
 毎年懲りないメルル。いやいや、メルルに『懲りる』という言葉があるのかすら、怪しい限りですが。
「さあ、今日はもう帰るとするか!」
 メルルの言葉に、妖精たちはホウキから手を離し、次々と空へと飛んで行ってしまいました。
 そしてメルルは……その体を、するりとホウキの中に入れてしまった!?
 また一本になってしまったホウキ。
 そのホウキも、グランドから忽然と姿を消してしまいました。
 初めから、何も無かったように……。

 少し経ってから、グランドの外から聞こえるローンの声が響きました。
 『次回! 走れ! ローン・ミッドナイト! 頭使いすぎて燃え尽きる!』
 ――だそうです。



課題評価
課題経験:12
課題報酬:210
このホウキは誰のホウキ?
執筆:鞠りん GM


《このホウキは誰のホウキ?》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《新入生》 ローン・ミッドナイト (No 1) 2019-05-20 20:41:39
黒幕・暗躍コース所属、俺の名はローン・ミッドナイト!
よろしく頼むぜ。

・・・・・とりあえず、力比べをすればすべて解決じゃないだろうか!
俺はそう思うぜ!

《新入生》 ウェルカ・ラティエンヌ (No 2) 2019-05-22 18:02:53
初めまして、若しくはご機嫌良う。
王様・貴族コース専攻のウェルカ・ラティエンヌと申します。
宜しくお願い致しますわ。

私は、『[上級生]が[ブラシ]の部分に触れていない』ことから、此方から触れてみる事に致しますわ。
その上で、[動かし方]として『独楽の様に回す』ことを試みますわね。
また、[上級生]の皆様からの情報で[精霊の数]の予想がついておりますから、『全体を細かく抑えるのは難しい可能性有』ということで、もう一つ『[ブラシ]側の毛先を揺らす』ことも試してみようと思いますわ。

『妖精をどうすればいいのか』で少々迷ってはいるのですが、一応『話しかけながら』とは考えておりますわね。

《新入生》 ローン・ミッドナイト (No 3) 2019-05-24 18:51:52
ほうほうなるほど、
ウェルカ嬢が独楽のように回すなら、俺は…さっぱりわからん!
周りを走ることくらいしかできないな!

だがまぁまだ少し時間があるのでギリギリまで頭をひねらせようか。
よろしく頼む!