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王冠――それから……


ストーリー Story

●呪うものと呪われたものとの対話
 自分がどこにいるのか【セム・ボルジア】には分からなかった。
 ただ『誰か』が近くにいるのは感じる。
 その『誰か』が自分に話しかけてくる。
『お前はこれからも生きていこうと思うか。我らとしてはどちらでもいいが』
 突き放すような物言いはセムにとって、親しみを感じるものだった。今初めて聞く声なのに。
「生きていこうと思います。私にはどうしても、やりたいことがあるのだから」
『生きている限り呪いは消えぬぞ』
「かまいませんよ。ノアにとってそれが望むことなのかどうかは知りませんがね」
 忍び笑いが聞こえた。
『先にも言ったが、我らはどちらでもいいのだ。いずれ呪いは成就する。あるのは早いか、遅いかの違いだけだ。我らは待てる。いつまでも』
 随分気の長いことだ。とセムは思った。
「一体あなたがたは、いつまで生きているのですか」
『我らはいついつまでもある。世が続く限り。人の欲望が、思いが、この世に満ちている限り』
「壮大な話ですね。私はただの人だから、とてもそこまで悠長に構えていられない」
『そうであろう。命あるものは皆そうだ。長命と言われる種族もいつかは死ぬ。ただ早いか遅いかだけ』
 その言葉はセムの脳裏に、【ラインフラウ】の姿を蘇らせた。
「……ラインフラウはどうしましたか。とんだ無茶をしてくれましたけど――死んでしまったのですか?」
『いいや、あの女は生きている。何故なら、お前が生きているから。お前が生きているのに自分だけが死ぬなど御免だと、あの女は言ったのだ。我らに。死ぬなら同時がいい。それが出来ないなら――まだ出来ないなら、今ここで死にたくはないと』
「……彼女らしい。実に勝手だ。私はそうして欲しいなんて頼んだことないのに」
『だがお前はあの女を遠ざける気はないのだろう。もしそんな気があるのなら。とうの昔にやっているはずだ』
「ええ、そうです。おっしゃるとおり」
『であれば、この先も似たような事が起きるであろうな』
「でしょうね。ラインフラウってそういう人ですから。それでも、私は彼女が嫌いになれない。どうかしているとしか思えないですけどね、自分でも……もう戻ってもいいですかね。こんなところでいつまでも、ぐずぐず話し込んでいる暇は無いんです」
『ああ、かまわない。行くがいい。そして命ある限り、私たちの城を掃き清めるがいい。私たちの城の番人よ』
 遠ざかっていく『誰か』に、セムは鋭く言い返す。
「あれはあなたたちの城ではない。私の城です」
 また忍び笑いが聞こえた。
『まあ、よかろう。お前がどう考えようと、それが私たちの望む結果を生み出すことは変わらないのだから。では、城に戻るがよい、番人。お前の城に。麗しきサーブル城に』

●帰還
 【アマル・カネグラ】はせかせかした動きで壁時計を見上げた。
 時刻は既に正午を過ぎている。セムとラインフラウを城の地下で発見したのが真夜中だから、もう半日以上はたっている計算だ。それなのに、集中治療室の扉は開かない。
 城の地下で見つけたとき、二人とも虫の息であった。なんだかよく分からない武器にお互い胸を貫かれて。
 発見者全員で可及的速やかに応急処置を施し、本格的な治療のできる場所に運んだ次第。
 セムの会社にはこの件を、まだ連絡していない。するべきではないと思うのだ。必ずや大騒ぎになるだろうから。彼女は、シュターニャにおいて知らぬもののない存在だから。事の次第が知れれば新聞や雑誌がそれっとばかりに書き立てるに違いない。それは、きっと、彼女が望んでいないことだ。自分たちとしても。
「一体どうしてあんなことになっちゃったのかなあ……やっぱりこれも、セムさんの持つ指輪の呪いなんでしょうか、ラビーリャ先生」
【ラビーリャ・シェムエリヤ】はアマルの問いかけに否定的な見解を示す。長い沈黙を挟んだ後で。
「……いいや、そうじゃないと思う。ここでセムを死なせたところで、ノアが得することはない……彼女が死んだら、城の再建を指揮する人間がいなくなるわけだし……ラインフラウの感情的暴走なんじゃないかな……」
 ラビーリャは心ひそかに考える。
 呪いは確かにノアによって作り出されたものであるが、時を経るにつれ、内容が変質してきているのかもしれない、と。呪いによって倒れた人々の意志や、呪いを求める人々の意志によって……。
 ――扉が開いた。
 医者が出てくる。
 アマルはすぐさま首尾を聞いた。相手のまとっている雰囲気から、どうやら手術は成功したようだと察しはしたが、きちんと確認をとりたくて。
「どうですか、先生。セムさんと、ラインフラウさんの容体は」
「ひとまず峠は越しましたよ。異物は全部取り去りましたのでね。いやいや、何とも大変な手術でしたよ、何しろ至るところに食い込んでましてね」
 医者は助手に、患者の体内から取り出したものを持ってこさせた。
 それを見てアマルは顔を引きつらせる。
 どっぷり血に濡れた刃の至るところに、曲がった刺がついていた。体の内側を食い荒らそうとでもいうように。
「よくこれで死なずにすんだものですよ。特にセムさんの方は、相当危ないと思っていましたけど。なにしろ一般人ですので。でも、たいした運のよさです」

●それはそれとして別の場所では
 【ウルド】一家の住宅リフォームが始まったというので、【トマシーナ・マン】は、手作りのお弁当を携え見学に来た。おじいちゃんである【ドリャエモン】、そして番犬である【黒犬】タロと一緒に。
 後で【トーマス・マン】も来てくれるとのことだった。
 木の生い茂る郊外。のどかにカッコウが囀る声に合わせ、カンカンクギを打つ音が響いてくる。
 彼女は大声を張り上げた。
「うるどたん、あそびにきたのよー!」



エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2022-04-29

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2022-05-09

登場人物 2/8 Characters
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。

解説 Explan

王冠シリーズラストです。
これまでご参加くださった方、ありがとうございました。
諸問題は継続中ですが、心残りも多々ありますが――ひとまずここで一区切りつきました。

セムとラインフラウは、これからも二人で生きて行くことになります。
ウルドの新しい家も完成間近です。
それぞれ新しい人生の始まりです。

今回の課題における行動は……自由です。
皆様が望むことをして、このお話を締めくくってください。



作者コメント Comment
Kです。

王冠シリーズ最終回です。
繰り返しになりますが、これまでお付き合いくださった方、まことにありがとうございました。

『ゆうしゃのがっこ~』で出すエピソードですが……多分、日常もの後一回くらいで終了となるのではないかと思います。





個人成績表 Report
パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
とりあえず、セムさんのことは会社にも知らせられないので、セムさんが目覚めるまで付き添う

◆行動
しばらくは病室にも入れないでしょうし、病室近くの待合室や廊下の長椅子等で容態が落ち着くまで待ってみる

その合間に、セムさんとラインフラウさんの着替え等の手配

セムさんが目覚めたら、今回の心中騒動に至った経緯とか聞いてみるわ
そのうえで、セムさんがラインフラウさんを恨んでるなら……彼女を遠ざけることも考えるけど、そこはセムさんの意思を尊重

煙草や酒が欲しいって言っても出さないわ
医者から許可が出て、退院できたときには……あのときのブランデーで乾杯しない?

ああいうものは、傷にしみるより五臓六腑に沁みわたるべきよ

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
私はウルド様ご一家のリフォーム現場へ参りますわ。『新築瓜二つ工法』というのも興味がありますし

現場へ着いたらウルド様ご一家やトマシーナ様達にご挨拶の後、職人さん達に交じってリフォームのお手伝いをさせていただきますわ。体力だけが取り柄ですので。専門的な作業は無理ですが資材を運んだり支えたりという事ならできると思いますし

休憩時間になったらおやつに作ってきた苺たっぷりのケーキを皆様に。タロと黒犬には干し肉をどうぞ。喧嘩せず分けて下さい

トーマス様がいらっしゃったら、彼も交えて将来の夢について尋ねてみますわ。ウルド様のご意思を知りたいという思いからですけれど、躊躇わずできればその絵の力に関係なく絵を描きたいという思いを叶えていただきたいと思いますわね。

さて、休憩が終わりましたらもう一頑張りいたしますわ!


リザルト Result

●目覚めの前に
 【パーシア・セントレジャー】は【セム・ボルジア】と【ラインフラウ】が手術室に運ばれた後、【朱璃・拝】たちに場を任せ、シュターニャへ向かった。どの道しばらくは病室にも入れないのだから、セムたちの着替え等を手配しておこうと。
 静まり返ったボルジア邸のベルを鳴らして使用人を呼び出し、以下のように伝える。
「夜分申し訳ございません。私はフトゥールム・スクエアの生徒、パーシア・セントレジャーと申します。セム社長から、『しばらく現地に泊まり込む必要が出てきたから、数日分の着替えを手配してほしい』との言伝を頼まれまして――」
 使用人は彼女の言葉を疑わなかった。主人であるセムが出先から用事を言いつけてくるのは、割とよくあることだったので。
「承知致しました。しばしお待ちくださいませ」
 と言うや奥へ引っ込み、すぐに戻ってくる。革張りの旅行鞄を持って。
「ご入り用と思われますので、キャッシュと、ご愛用の煙草を入れておきました。どうぞお持ちください」
「ありがとうございます。では」
 一礼し鞄を受け取ったパーシアは、続けて街へ向かう。ラインフラウの着替えを買い求めるために――彼女のサイズは、測らずとも大体分かる。裁縫の心得があるもので。
 お代については、セムのキャッシュを使わせてもらうことにしよう。
(まあ、文句は言われないでしょ。多分)

 てきぱき用事を済ませたパーシアは、すぐさま学園へ引き返す。
 皆と一緒に手術が終わるのを、ひたすら待つ。

●目覚めた後に
 医者から手術の成功を伝えられた朱璃は、肩の力を抜いて安堵の息を漏らす。なにはともあれセムとラインフラウが一命をとりとめてくれて、本当によかった。
「お二人とも、もう起きておられますか?」
「いいえ。二人とも麻酔が覚めるまでには、まだ少し時間がかかります」
 医者の言葉を聞いたパーシアは、セムが目覚めるまで付き添うことにしようと決めた。
「着替えも渡さなくちゃいけないし、それに、話したいこともあるしね――朱璃さんはどうする?」
「そうですわね……私は、いったん学園に戻ることにいたします。セム様たちへのお見舞いは、また後日改めてということに。本日ウルド様ご一家のお家のリフォームが始まると聞き及んでおりますので、そのお手伝いに参りますわ」
「そう。分かったわ――ウルドさん達に伝えておいてくれない? 私も後で、お宅を拝見しにうかがいますからって」
「承りましたわ」
 【アマル・カネグラ】、【ドリャエモン】、【ラビーリャ・シェムエリヤ】も、朱璃同様いったん学園に帰るという選択をした。
 かくしてパーシア一人が、病院に残る運びとなる。


 ――セムが身じろぎし、薄目を開けた。
「セムさん、起きた? 気分はどう?」
 呼びかけるパーシアに彼女は、かったるそうな声を返す。
「……そこそこですね……煙草、ありませんか?」
 そういえば屋敷の人から着替えと一緒に持たされたな、とパーシアは思い出す。
 でもそれをセムに伝えることはしなかった。煙草を渡したらセムは、喫煙所まで吸いにいくことだろう。それはいかにも、傷の治りに響きそうだ。
「そんなものないわよ。そもそも煙草なんて、病み上がりに口にしていいものじゃないでしょ。これを機会に禁煙を考えてみたら?」
 セムは苦い顔をした。
「嫌ですよ」
「そう? 悪くないと思うんだけどね、体のためには……で、一体何があったわけ、地下で。ラインフラウさんはまだ目が覚めないから、聞こうにも聞けなくて。差し支えなかったら、教えてほしいんだけど?」
 セムは半眼になって虚空を見つめ、話し始めた。地下で、何があったかを。
 最後まで口を挟まず聞き終えたパーシアは、顎を両肘で支え、聞く。
「セムさん、ラインフラウさんを恨んでる?」
「そりゃあね、いきなり刺されたらいい気はしませんよ」
 そう言った直後セムは、頭を振った。お手上げだとでも言うように長い息を吐いて。
「でもね、ラインフラウがそういうことをする人間だっていうのは分かってることですから。私の側が甘かったんでしょう。今回はね」
 パーシアはセムから視線を外し、床を眺めた。そうして再び視線を、彼女に戻した。
「……セムさん結局、ラインフラウのことが好きなんじゃない?」
「……ええ。そうかもしれません。多分。一緒に死にたいとは欠片も思いませんけど」
 セムはそのように前置きし、ぽつりぽつり話し始めた。目覚めるまでに見ていた『誰か』との対話のことを。
 パーシアは今度も最後まで、口を挟まず聞いた。その後、癪に障ったように一人ごちた。
「結局、私達はノアの掌のうえで踊らされてた……ってことかしらね」
「……全てが彼らの思ったとおりに運んでいるわけじゃないとは思いますよ。もしそうであるなら、黒犬と赤猫は今頃、共倒れになっていてしかるべきでしょうから」
 その言葉にパーシアは気を取り直した。セムの肩を叩く。親しげに。
「生き残ったのなら、犠牲にした者達に笑われないようにしたいものね」
 傷に響いたか、セムはちょっと痛そうな顔をした。しかし、笑った。いつもの調子で、意地悪そうに。
「医者から許可が出て、退院できたときには……あのときのブランデーで乾杯しない? ああいうものは、傷にしみるより五臓六腑に沁みわたるべきよ?」
「……いいですね、それ」

●あなたが進む道
 ウルド一家の新居の周囲には、足場が組まれていた。大工たちがその上を忙しそうに歩き回っている。
 それを面白そうに見上げていた【トマシーナ・マン】は、近づいてくる朱璃の姿に気づいて、駆け寄る。
「しゅりねえたん!」
 朱璃は彼女の頭をなで、抱き上げた。
「トマシーナ様もお手伝いでございますか?」
「うん、うるどたんに、おべんとうつくってきてあげたの。みてみて!」
 トマシーナは朱璃の手を引き、庭先に敷いてあるゴザのところまで連れて行った。そこに置いてある重箱を開いた。
 中に入っていたのは彩り鮮やかなサンドイッチ。
「素敵ですわね♪ ドリャコ様が作られたのでしょうか?」
「うん! おばあちゃんがつくってくれたの。でもね、ここのふるーつさんどはぜんぶわたし!」
 そんなやり取りをしているところに、ウルド一家がやってきた。
「これはウルド様、お祖母様、お祖父様。お久しぶりにございます――」
 挨拶とパーシアからの言伝を済ませた朱璃は、早速リフォーム工事の手伝いを始めた。大きな角材を肩に担ぎ、すいすい足場を上る。
 工事現場の至るところに張り出されている完成外観図と設計図を眺めながら。
(これが『新築瓜二つ工法』ですのね……参考になりますわ)
 作業していた大工は彼女の姿に驚き、目をしぱしぱさせる。
「ねえちゃん、すげえな。重くねえのかい?」
「この程度、なんてことありませんわ。体力だけが取り柄ですので。他に運んでほしいものはおありで?」
「そうだなあ、じゃあ、漆喰ありったけ持ってきてくれるかい。足りなくなりそうで」
「お安い御用ですわ」


 正午。作業は休憩。昼休み。
 朱璃はウルド一家やトマシーナのみならず職人たちにも、手作りの苺たっぷりケーキをふるまった。
「さあさ、どうぞ。疲れたときには甘いものが一番ですので」
 タロと【黒犬】にも、忘れずおやつの干し肉を与える。
「お二人とも、喧嘩せず分けて下さいね」
 そこへ、トーマスがやってきた。
「あ、朱璃さんこんにちは」
「こんにちは、トーマス様。よいところにいらしてくださいました。一緒にお昼を頂きましょう」
 かくしてトーマスも交え、にぎやかな昼食会が始まった。あれこれ世間話を重ねるうち、話題は、未来についてのことになる。
「私は世界最強の拳士。トマシーナ様はお姫様。トーマス様はカサンドラ様に負けないくらいの画家、でしょうか?」
「うん……僕はそんな感じ」
「わたしも。せかいさいこうのおひめさまをめざすつもりよ」
「その意気やよしですわトマシーナ様――ウルド様は何がございますか?」
 問いを受けウルドは、顔を曇らせた。
「……うーん……どうやろ」
 トマシーナは、不思議そうに彼を見た。
「うるどたんもにいたんといっしょで、えかきでしょう? えをかくのすきだもの」
「うん、まあ、そうなんやけど……」
 朱璃は彼に向き直った。勇気を、自信を持ってもらいたいとの一念を持って静かに語りかける。
「貴方の絵の力には、きっと何か意味があると私は思いますわ。だから絵を描く事を諦めないでいただきたいと思います。その力と正しく向き合う方法を探してみましょう。学園に入るのも良いかもしれませんわね」
「学園に入学? 俺が?」
「はい。夢を諦めるのは全てを尽くしてからでも遅くはないと思いますから」
 工事現場の方が騒がしくなってきた。
「さて、休憩が終わりましたので、もう一頑張りいたしますわ!」
 朱璃はその場を離れる。己の手をじっと見ているウルドを残して。

 彼女の助言によってウルドは、一年後、学園に入学することとなる。
 しかしこれはまた別の話。
 いつか別の機会にお話しよう。




課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
王冠――それから……
執筆:K GM


《王冠――それから……》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 1) 2022-04-23 19:06:04
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝ともうします。どうぞよろしくお願いしますね。

さて、今回は何をしましょうか。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 2) 2022-04-26 22:23:58
ご挨拶が遅れてごめんなさい。王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。

私も何しようか検討中。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 3) 2022-04-28 20:43:54
プランは提出いたしましたわ。私はリフォーム現場へいってお手伝いをさせていただきますわね。前にアマル様が言っておられた新築瓜二つ工法というのを行うと思いますので、少し興味がありますし。