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豆まきフェス!!
(ショート)
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GM
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購買部に程近い、フトゥールム・スクエア校舎内の一角にて。
これでもかと大量の木箱を積み上げた青年【カル・レケト】は、満面の笑みでその数を数え続ける。
彼は近くを通りすがった少女に気づくや否や、箱をひとつ抱えていそいそとそちらへ近づいていった。
「おっ、良いところに来たっすね! 『節分』ってヤツに興味ないっすか?」
カルがぱかりと箱を開ければ、そこには大量の豆、豆、豆。
見ているだけで腹が膨れそうなそれを見て、少女【リルルノア・ヴィード】は思わず一歩後退りしてしまう。
「……な、何よその箱。え、まさか後ろの山、全部それが入ってるの?」
「その通りっすよ?」
当然、といった顔でカルが首を傾げると、リルルノアはこめかみを抑えてため息を漏らした。
カルのそばにある箱の数は、ざっと見ただけでも五十を超えている。
これで大食い大会をするにしても、余程の猛者か人数が現れない限り使い切るのは難しいだろう。
どうすんのよそれ、とリルルノアが腰に手を当てて問うと、カルはにやにやと笑って箱の山の後ろから何か大きな杖のようなものを取り出した。
「これっすよ、これ!」
どーん、とカルが掲げたのは見慣れない形の杖。
長い木の棒の先端に透明な球体が乗っており、中は空洞になっているようだった。
「……ええと、それで?」
「察しが悪いっすねぇ〜」
その言葉にリルルノアが苛つくのを他所目に、カルがとんと球体をつつく。
彼は壺のようにぽっかり口を開いた球体へ、箱の中の豆を詰めていった。
豆でぱんぱんになった杖を振り上げ、軽く魔力を籠めれば――ダダダッ、と途端に大量の豆が弾のように射出される。
「きゃああ!?」
思わず腰を抜かしたリルルノアに、どうっすかとカルは得意げに胸を張って杖を床についた。
「これで豆を撒いて、邪を払う『節分』ってのがあるんすよ。なんかそういうイベントがとある施設で開催されるらしいっす。参加するならガチで行きたいっすよね?」
――勿論賞品とか出るっすよ。
カルがひそっと囁けば、リルルノアは少し興味を持って。
「……で、その施設ってのはどこなのよ」
「おぉーっ、さては行ってくれるっすね? 開催場所は『レゼント』の――」
詳しい場所を告げ、カルはがさがさと箱の後ろを漁る。
彼の手が次々に掴むのは、先程と同じ杖や豆の詰まった爆弾、手頃な大きさのバケツ等。
大小形様々なそれらを取り出して、カルはぽんとリルルノアの肩に手を置いた。
「じゃ、俺はこれ運んでおくんで! リルさんは意欲ある生徒の皆さんを集めてほしいっす!」
「は!?」
声を裏返すリルルノアにくしゃくしゃの紙を押し付け、カルはすたたっとどこかへ走り去ってしまう。
何なのよ、とリルルノアが手元の紙に視線を移せば――それはカルが言っていた施設のイベントのチラシであった。
――みんなで豆まき! 鬼バルーンを沢山割って、豪華賞品を手に入れよう!
「鬼バルーン……?」
ぱらり。リルルノアがチラシの裏面を見れば、そこには詳しいルールが記載されていた。
ターゲットは会場の至るところに設置された鬼の顔付きの紙風船。
その中に入っているメダルを沢山集めると、ぬいぐるみやお菓子、近くの商店の割引券などの景品と交換することができるらしい。
そして――一番下。
チラシとは別に、何か小さな付箋が貼られている。
リルルノアがよーく目を凝らすと、そこには。
「ただバルーン潰すだけじゃつまらないっすよね。そんなもんで終わらないように施設に掛け合ってあるっす! 皆さんのウデの見せ所っすよ!!」
……どこまでも余計なやつめ。
リルルノアはまたため息を付きながら、イベントに参加する生徒を集めるべく校舎の中を歩き出すのであった。
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参加人数
5 / 8 名
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公開 2020-02-01
完成 2020-02-13
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