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納得のいく料理


ストーリー Story

 平和でのどかな風の吹くここは魔法学園フトゥールム・スクエア。
 沢山の生徒がここで仲間と共に競い、互いを高めあっている。
 しかしここに一人、まだ学校に馴染めていない生徒がいた。
 彼女の名前は【リル・サムア】。
 十一歳という年齢で入学したものの、同じくらいの年の生徒が見つからず、年上の生徒に話しかける勇気も無く、日々一人で淡々と生活していた。
 そんなある日、突如彼女の前に一匹の小さな妖精が現れる。
「ヤッホー! 私の名前は【カシス】! あなたの願いを叶えるために来たの!」
 カシスは半透明な水色の羽でリルの顔の周りを飛び回る。
「お願い……? そうだなぁ……。あ、私、新しい靴が欲しい!」
 リルは目をキラキラさせながら言った。
 カシスは顎を撫でながら。
「よぉし、じゃーあー、リルに一つ頼み事をするね! それをクリア出来たら新しい靴を私がプレゼントするよ!」
「頼み事?」
「そう、今私ね、とぉってもお腹が空いているんだ! だから、お友達と協力して一緒に料理を作ってちょうだいよ!」
 カシスの言葉にリルの表情が曇る。
「私……料理できないし……友達……一緒に料理作ってくれる人いるかなぁ……」
 俯く彼女をカシスは励ました。
「大丈夫! 早速教室の皆に声をかけてみよう! あ、そうそう、私普通の妖精よりちょっぴり大食いな妖精だから量とかは気にしなくて大丈夫だよー!」
「で、でも、何をすればいいかとかわかんないし……」
 リルはまだ不安そうだ。
「大丈夫、大丈夫! せっかく皆で作るんだもん! コースか一品か、何を作るか、役割分担等々、決めてもらおうよ! 皆得意不得意あるだろうしね!」
「私……出来た料理を運びたい!」
「うん! 大丈夫、きっとみんな優しいから! さて、早速行こうか!」
 二人は教室の前へと移動した。
「さぁ、勇気を出して!」
 カシスがリルの背中を軽く押すと、教室の扉が自動で勢いよく開く。
 突如入ってきたリルにクラスの視線が向けられる。
「あ、あの! ど、何方か私と一緒にお料理をしてくれる方はいませんか?」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2019-06-03

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2019-06-13

登場人物 4/8 Characters
《模範生》レダ・ハイエルラーク
 ドラゴニア Lv16 / 黒幕・暗躍 Rank 1
将来仕えるかもしれない、まだ見ぬ主君を支えるべく入学してきた黒幕・暗躍専攻のドラゴニア。 …のハズだったが、主君を見つけ支えることより伴侶を支えることが目的となった。 影は影らしくという事で黒色や潜むことを好むが、交流が苦手という訳ではなく普通に話せる。 ◆外見 ・肌は普通。 ・体型はよく引き締まった身体。 ・腰くらいまである長く黒い髪。活動時は邪魔にならぬよう結う。 ・普段は柔らかい印象の青い瞳だが、活動時は眼光鋭くなる。 ・髭はない ・服は暗い色・全身を覆うタイプのものを好む傾向がある。(ニンジャ…のようなもの) ・武器の双剣(大きさは小剣並)は左右の足に鞘がついている。 ◆内面 ・真面目。冗談はあまり効かないかもしれない。 ・立場が上の者には敬語を、その他には普通に話す。 ・基本的に困っている者を放っておけない性格。世話焼きともいう。 ・酒は呑めるが呑み過ぎない。いざという時に動けなくなると思っている為。なお酒豪。 ・交友は種族関係なく受け入れる。 ・伴侶を支えるために行動する。 ◆趣味 ・菓子作り。複雑な菓子でなければ和洋問わず作ることができる。
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。

解説 Explan

 全体の流れ
 参加者様はまず、コース料理か、一品の大皿料理かの決定、品目の決定をお願いします。(コースのほうが作りたいものが作りやすいかも……?)
 次に担当を決めてください。コースの場合は前菜が〇人、メインが〇人等々……。一品の場合は誰がどの工程をやるのかということを決めてください。肉を切る人〇人、焼く人〇人、摘まみ食いに〇人等々。

 注意
 一品の場合は、プランの料理を統一させてください。(デザート等は除く)
 コースの場合は同時進行のものに同一人物を登場させないでください。(例:野菜を切る、同時に火力の調節。お皿を並べながら鍋をかき回す。等)
 何を調理するか等の無茶ぶりは基本的に大丈夫ですが、明らかに食べられないもの(モンスターの糞等)はやめてください。
 妖精さんは少し多めに食べるタイプなので量は人間の一人前で大丈夫です。
 厨房や食堂の使用許可は妖精さんがとってくれているので大丈夫です。
 アレンジなどは基本自由です。


作者コメント Comment
 Wi(ワイ)でーす。
 今回のシナリオはすごく自由度の高いものとなっている気がします。
 あくまでも気がします。
 
 今回のストーリーでは、まじめなプランはもちろん、だいぶギャグ寄りの無茶ぶりまで幅広い範囲で受け付けております。

 楽しんでくださいね!


個人成績表 Report
レダ・ハイエルラーク 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
・デザート担当

◆プレイング
・『完熟桃と葡萄の濃厚ゼリー』の調理
・材料
 ・葡萄ジュース 
 ・白ワイン
 ・板ゼラチン
 ・砂糖
 ・種無し葡萄
 ・完熟桃
・作り方はウィッシュにて
・(可能な場合のみ)手持無沙汰な時は他生徒の手伝い
・アルコール飛ばすので酒を飲めない人もOK
・【競争心理】は他生徒の調理を見て発動する可能性あり
・【危険察知】は何らかのハプニングで調理を邪魔されそうになった時に発動する可能性あり

◆備考
・泡立て器大活躍の予感
・アドリブ歓迎
・絡み歓迎

オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:
僕は今まで自分のためだけに食事を作っていたので、人に振舞ったことがないです。
いい機会だから、作ってみようかなと思いましてね。

料理:
コース料理でオードブルを担当。
ジャンルは何でしたっけ…フレンチ?本に書いてました。
僕はテリーヌを作らせてもらいますね。

植物園か食堂からでハーブと野菜類をいただきます。
まずは野菜を切って小さく砕きましょう。
長方形の容器に野菜を層になるように並べ、
ゼリーを溶かして液状になったものと調味料を混ぜて容器に流し入れ、
「プチミド」で少し冷やしましょう。
色映えありますし、健康にいいですからね。


仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
コース料理、メインを担当しよう
作るのはマグロと豆腐のステーキだな

まずはマグロのステーキ
使う部位は尾にほど近い部位
そこを輪切りにして使う
骨が邪魔なように思えるが骨から出しが出ていい感じになる。

下準備としてマグロに塩コショウをして常温に慣らしておく
豆腐は布に巻いてその上に重しをおいて水分を出しておく

後は焼くだけだが、ここが腕の見せ所か
まずは強火で表面をさっと焼きうまみ成分が外に逃げないようにする
後はとろ火で少々
最後に清酒を少し加えてフタをして蒸し焼きに
豆腐の焼き方も同様だな
ただ、崩さないように注意っと
付け合わせはネギのグリルでいいか 

ソースは醤油とレモン汁をお好みでだな

これで十分美味いはずだ


朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
作るのはコース料理、私はスープを担当。作る物はヴィシソワーズ。最近暑い日もありますしさっぱり冷製スープにいたしますわ

先ず鶏の出汁、チキンストックを作成。それからじゃが芋、ポロ葱、玉葱を切って鍋に入れバターで焦がさないよう炒め、そこへチキンストックを入れて弱火で煮込み、じゃが芋が柔らかくなったら常温に冷ましてミキサー或いはマッシャーでスープ毎野菜を細かく潰してシノワで濾し、氷水を入れたボウルに移して冷やしたら牛乳、生クリームを入れ塩胡椒で味を調えムラにならないよう混ぜて完成

お出しするのは前菜の後、メインの前。直前までしっかり冷やしてスープ皿によそい

「さ、リル様♪」

とカシス様にお出しして頂きますわ


リザルト Result

 昼下がりの教室に現れた一人の少女。
 彼女の言葉に反応してくれたのは心優しき四人の生徒。
 彼らは少女に歩み寄り、彼女の話を詳しく聞いた。
「あ、あのね、わ、私の名前は【リル・サムア】。み、皆にお願いがあるの……!」
 と少し落ち着かない様子でリルは話した。
 四人は各々と目を見合わせ。
「そういう事なら任せろ。私の名前は【レダ・ハイエルラーク】だ。以後よろしく」
 彼に続き次々と、
「僕は【オズワルド・アンダーソン】です。よろしくお願いします」
「オレは【仁和・貴人(にわ・たかと)】だ。よろしくな」
 男性陣の後ろから尻尾を揺らめかせながら【朱璃・拝(しゅり・おがみ)】も姿を現す。
「私は拝・朱璃ですわ。女の子同士仲良くできますと嬉しいですわ♪」
 彼らは一通り自己紹介をし、食堂へ向かった。
 手洗いやエプロン等の身支度を済ませ、料理を始めることにした。
「あのね、私、いっぱい皆のお手伝いしたいの。でもね、でもね、私、あんまりお料理したことないから、お皿を運ぶとかしかできないの……」
 リルの言葉に、朱璃が近づき、頭をなでる。
「分かりましたわ! リル様がたくさん手伝えるような料理、考えてみますわね♪ それに、私たちが料理を教えて差し上げますわ!」
「ほんと?」
 リルは皆を見回す。
「さっき任せろと言ったろう」
 とレダは軽く微笑みながら彼女に言った。
「そうですね、たくさん運ぶとなれば、やはりコース料理ですかね。では、まず僕がオードブルを作りましょう」
 と名乗り出たのはオズワルド。
 彼は内容を考える。
「オードブルはやはり、テリーヌ位の物がいいですかね。野菜は冷蔵庫に入っていますね。ハーブは……そうだ、リル、さっそくお願いしてもよいですか? 植物園からハーブを少しもらってきていただきたいのですが」
「いいよ! オズワルドお兄さん!」
 と言って、彼女は厨房を一度後にした。
「では、テリーヌを作っていきましょう。女の子に怪我をさせるわけにはいきませんからね。まずは野菜を切って並べましょう」
 彼は、キャベツ、アスパラガス、ニンジン、ズッキーニ等の色とりどりの野菜の他に、スモークサーモンも切った。
 切り終わった後、リルを待ちながら、ゼリー液を作る。
 液に多少の調味料を入れたところでリルが戻ってきた。
「はいどうぞ!」
 彼女は両手でオズワルドにハーブを手渡した。
「ありがとう。では、再開しましょう」
 彼は四角い容器を用意し、キャベツを敷く。
 その上に、アスパラ等の野菜を層状に並べていき、刻んだハーブを散りばめていく。
 そして、ゼリー液を流し込み、キャベツで包み込むようにし、上から重りを乗せて濡れてもいい場所に持っていく。
 そして彼は、指先から小さな水流を発生させると、テリーヌを冷やし固めていった。
 暫くして、包みを開けてみると、しっかりとゼリーが固まり、美味しそうなテリーヌが出来上がっていた。
「では、ソースを作りましょうか。使うのは、オリーブオイルとレモン汁、蜂蜜、コンソメを使ったシンプルなものです。作り方も簡単、混ぜるだけです。リルさん、やってみますか?」
 オズワルドの声掛けにリルはこくりと頷く。
 彼が調味料を取り、リルが容器に入れている間に、背後で少し不穏な動きが。
 二人がソースを作り終わり、かけようとすると、待っている三人が突如後ろを向く。
「? どうしたんですか?」
 オズワルドがあまり気にせず作業を続けようとした。
「あ……」
 彼が目にしたのは綺麗に半分消失したテリーヌだった。
 それと同時に三人が感じたのは異常なほどに真っ黒なオーラだった。
「リルさん、お皿にテリーヌをのせ、ソースをかけておいてください」
 彼女は少し首を傾けていたが、何も言わずにソースをかけ始めた。
「ど、どうしたのかしらオズワルド様?」
 何かを隠すかのように朱璃が話しかける。
「いえいえ、皆何かが口に入っているようでしたので、もしかしてそれはテリーヌじゃないかなと」
「そ、そんなことないぞ」
 レダもオズワルドに言ったが、その眼は下を向いていた。
 そこで、オズワルドはレダの口に鼻を近づけた。
「おや、なんだかハーブの様な香りがしますね」
「いや、これは……」
 レダが言葉に詰まっていると。
「落ち着けアンダーソン君。これは味見だ」
 妙に落ち着いた様子の貴人がテリーヌのかけらを右手に、レダの右脇から現れた。
「味見……ですか。にしてはたくさんなくなっているのですが……」
 オズワルドはゆっくりと貴人に近づいた。
「何を言っているんだ。味見という名のつまみ食いはセオリーだろう」
 彼は右手の残りのテリーヌを頬張った。
「仕方ありませんね……」
 オズワルドは、すり鉢とすり棒、何種類かのハーブ、小さなビニール袋を取り出す。
 そして、ハーブを袋に入れてすり鉢の上に置く。
「オズワルド様……? 何をなさっているのですか?」
 朱璃が尋ねると、
「これですか? この何種類かのハーブを混ぜ合わせると、何故かジョロキアをも超えるような強烈な辛みが生まれるんですよね」
 三人は息と唾を飲み込んだ。
「できました」
 彼は少し笑いながら、ハーブを小さなスプーンの上に乗せていく。
 それを持って三人の所に近づくと、全力で拒否してきたので。
「あ、あんなところに大きなお肉がありますね」
 と指をさし、気を逸らす。
 その隙に、三人の口にハーブを放り込む。
 あとは想像に任せよう。
 オズワルドはリルの所に戻って。
「リルさんは、マネしないでくださいね。僕も何も知らずに舐めてしまったときは終わるかと思いましたので」
 リルは苦笑いで受け流した。
 その後、少々背後がうるさくて気が散りそうだったリルだが、無事、綺麗にソースをかけ終えた。
「オズワルドお兄さん、できたよ!」
 彼女が野菜たっぷり、緑豊かなテリーヌのお皿を持ってオズワルドの所へ持っていくと。
「とっても上手にできたね。早速、あの妖精さんの所へ持って行ってもらえますか?」
 と優しく微笑んでくれた。
「うん!」
 リルはお皿を持って【カシス】の待つところへ向かった。
「どうぞ、こちら、えっと、オードブル? のテリーヌです」
 リルの慣れない感じを優しく見つめながらカシスはテリーヌを口に運ぶ。
「んー、鼻に抜けるハーブの香りがいい感じ! このソースとも合っていてとってもおいしい!」
 リルはにっこり笑って厨房に戻っていった。

「おいしかったって!」
「それはよかった」
 二人が話していると。
「じゃあ次は私の番ですわね!」
 朱璃が何やら材料を出し始める。
「拝君は何を作るんだい?」
 貴人が尋ねると。
「私は『ヴィシソワーズ』を作りますわ」
 と朱璃は答えた。
「はぁ。では早速作っていきますわよ。少し多めにですが」
 朱璃は鍋や、学園の厨房から借りた魔力で動く裁断機を用意しながら。
「リル様、お野菜を切ってみませんか?」
「うん、やってみる!」
「では一度私が見せますので、そのあとはよろしくお願いします」
 朱璃は四分の一サイズに玉葱を切りみじん切りにして見せる。
「お分かりいただけましたか?」
「うん! 分かった! やってみるね!」
 リルはゆっくりと包丁を握って野菜を切る。
 横から朱璃が少し不安そうに見つめながら鶏がらスープを作り、野菜を炒める準備を進める。
 少し時間がかかったものの、リルは綺麗に野菜を切り終えた。
「ありがとうございます♪ ではこれからはぱっとやっちゃいますわね」
 彼女は野菜をいため、鶏がらと一緒に煮込み、冷やす。
 その後、裁断機にかけて、トロトロになったクリーム色のスープをお皿に移し、スプーンを乗せ。
「さ、リル様♪ 行ってらっしゃいませ♪」
 と彼女の背中を押し出した。
「うん!」
 リルはまたカシスの元へ向かって料理を出した。

 戻ってきたリルの顔は更に明るくなっていた。
「さてさて、オレの出番かな」
 貴人は巨大な下味の付いた冷凍魚を冷蔵庫から取り出す。
「貴人お兄ちゃん、そのお魚は?」
 リルは興味津々だ。
「これはマグロだよ。朝とれたものを冷凍していたんだ」
 と言いながら包丁を振りかざす。
 それを見ていた三人はさっとリルの目を隠す。
「わ!」
 リルが驚くのと同時にまな板と包丁が当たる音が響く。
 彼女が目を開けると、魚は尾の部分以外は消えていた。
「命は命となるものだ。仕方ない」
 リルの横でレダが呟く。
「そうだね。だから、我々はお魚さんの命を感謝しながら大事に美味しくいただくんだよ」
 貴人はスプーンでマグロの身を少しかき出し醤油を一滴垂らしてリルに手渡す。
「いただきます……」
 彼女はゆっくりとスプーンを口に入れた。
「おいしっ……!」
 リルは目を輝かせた。
「よかったですわ」
 一番心配そうに見ていた朱璃の肩の力も抜ける。
「それでは料理を続けるとしようか」
 貴人はフライパンに油を入れ、温め始める。
 少し油が跳ねるようになったころ、魚と先に切っておいた豆腐をフライパンに入れる。
 そして、度数の高い食用酒を入れフライパンを傾ける。
 すると、火が燃え移り、立派な火柱が上がる。
 その後、清酒を少し入れ、蓋をした。
 蒸しあがるのを待つ間。
「リル君、ソースを作ってくれないかな」
「いいよ!」
「じゃあ、醤油とレモンの簡単なものを作ろうか」
「わかった!」
 リルは醤油とレモンを半々位の割合で混ぜていく。
「これくらいかなぁ?」
 ある程度混ぜたところでリルが聞く。
「そうだね。是非味見してみてよ」
「うん!」
 リルは指につけて少し舐める。
「うーん、美味しいけど、オズワルドお兄ちゃんや朱璃お姉ちゃんの言ってたみたいな『ふれんち』? みたいな感じは少し少ないかなー」
「なるほど、何か少し加える……オリーブオイルと白だしを加えるといい感じになるのかもしれないな」
 貴人が少し加えると香りの立つ素晴らしいソースになった。
 外は茶色く、中は少し赤い魚を皿に置き、ソースを別の小皿に入れて置く。
 それをリルに手渡す。
 彼女もだんだんと慣れてきたようで、足取りが軽くなった。
「豆腐と魚とソースが絶妙にまっち?していておいしかったって、言ってたよ!」
 リルは目をキラキラさせながら喜びを表した。

「最後は私に任せろ」
 レダは真顔で腰に刺さっている泡だて器をスッと引き抜き、手の上でくるくるとまわした後に前方をさすように構える。
 そして泡だて器を一度置き、デザート用の葡萄や桃、葡萄の果汁、白ワイン等を取り出す。
「レダお兄ちゃんは何を作るの?」
「私はゼリーを作ろうと思う。リルにも少し手伝ってもらおうと思っている」
「うん! まかせて!」
 リルはレダの横に立って彼の行動を眺める。
 まずは果汁や白ワイン、砂糖を入れてよく煮込む。
 次に、ゼラチンを入れてしっかりと混ぜる。
 アルコールがしっかり飛んだところで、氷に当て、とろみをつける。
 そして、果物を入れ、二つに分ける。
 更に、半分半分に分け、片方を固める。
 最後に、固まった所で、もう半分を上から注ぎ込む。
「リル、一緒に入れてみようか」
「うん!」
 二人は丁寧に液を入れてまた固めるという作業を繰り返すのであった。

 暫くして出来上がった葡萄がたっぷり入ったゼリーを切って器に入れると、
 リルはカシスが食べ終わる頃を見計らい、それをテーブルへと運ぶ。
「ん~、甘くておいしー!」
 カシスがゼリーを口に頬張るのをみてニコニコしている。
 二人の姿を見ながら厨房では、四人が協力して食器を洗った。
 四人が二人の所に向かうと、カシスが丁度何かをしようとしていた。
「いったい何をしてるんですか?」
 オズワルドが尋ねると。
「あ、オズワルドのお兄ちゃん! 今、お約束通り靴をもらうことになったんだ!」
 リルは飛び跳ねる。
 カシスは紫色の光を放ち、何かを手の上に発生させる。
 光は、最初に緑色に。
 次はクリーム色。
 更には赤みがかった茶色に、紫色。
 光はだんだんと小さくなっていく。
 すると、光の中からぼんやりと現れたものはリルの足にぴったりはまる靴。
 とても美しく、綺麗で可愛い。
「それはね、皆の友情でできた靴だよ! 皆が、リルに協力してくれたからこそできた世界で唯一の靴。リルが皆に勇気を出して誘った証。一生大事にしてね! その靴、この友情が崩れない限り、永久に残り続けるから安心してね!」
 カシスの言葉にリルは少し不安そうに四人を見た。
 四人は、皆で顔を見合わせ、彼女ににっこり笑いかけた。
 リルの表情は一瞬のうちに明るくなった。
「ありがとう妖精さん! ありがとうお兄ちゃん、お姉ちゃん!」
「これからもよろしくお願いしますわね、リル様♪」
 朱璃は腰を曲げ、リルの目線に合わせ頭をなでる。
「今日はありがとう。私も料理が出来て非常に楽しかった」
 レダも彼女に目線を合わせる。
「あぁ、楽しかった。リル君、これから困ったことが有ったらオレ達に遠慮なくいってくれよ」
 貴人は立ったまま言った。
「この人たちに何かされたらすぐに僕に言うんだよ」
 膝をつけて彼女に言うオズワルドの言葉に。
「あら、オズワルド様。あなたが何もしないわけではないのですのよ?」
 と少しからかうような口調で朱璃が言った。
「いえいえ、僕はそんな事しませんよ」
「いや、怪しい笑みだな」
 レダもオズワルドの顔を覗き込むように言った。
「はぁ、全く」
 貴人は興味なさそうに後ろで見ている。
 その様子を見てリルは声を出して笑っていた。

 こうして、勇者の卵は初めて友達を手に入れたのでした。



課題評価
課題経験:65
課題報酬:2000
納得のいく料理
執筆:〜☆Wi☆〜 GM


《納得のいく料理》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 1) 2019-05-28 21:20:39
こんにちは、料理と聞いて飛んできました。
オズワルド・アンダーソンです。

うーんまずは
コース料理か一品料理かどちらかを決めて、何を作るかですよね。

話の内容からしてこれは参加者全員とリルさんで一緒に1セット料理作るということですかね。

《模範生》 レダ・ハイエルラーク (No 2) 2019-05-30 00:08:31
料理なら私もだな。レダ・ハイエルラークだ。

コースなら前菜に1人、メインに1人、デザートに1人…という分け方だろうな。
人数が多ければ2人以上でもいいとは思うが…。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 3) 2019-05-30 00:12:37
大体食べてる場面が多いですが、一応作る方もできますのよ。という事で朱璃・拝ですわ。どうぞよろしくお願いしますね。

コースか一品料理かを先ず決めないといけませんのね。コースの場合4人になりましたからレダ様の上げてくださった物に加えてスープに一人、とかでしょうか?

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 4) 2019-05-30 12:48:34
料理が趣味の者としては来ておかなくてはな…ということで仁和だ。

コース、一品料理どちらでも作れるとは思うが…
ちなみに皆は何が作りたいとか希望はあるのか?

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 5) 2019-05-30 20:22:19
>料理
そうですわね・・・コース料理なら自分が言った事なのでスープ、一品料理なら回鍋肉あたりでしょうか。

各自で作りたい物があるのでしたらやはりコース料理にするのが良いのかもしれませんわね。

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 6) 2019-05-31 21:39:48
そうですね、コース料理が作りたいものを作りやすいですしね。
コース料理に話が進んでいるみたいですし、
どんな料理を作るか悩みますね。

朱璃さんのいう回鍋肉なるものはどこの国の料理でしょうか。
あとで図書館で調べないといけませんね。
…でしたら、僕は前菜役を担います。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 7) 2019-06-01 12:57:38
回鍋肉は東の方の国の料理らしいですわね。昔貴族の子とお友達になったのですが、その家のコック様に教えていただいたのですわ。

今の所コース料理の流れなのでしょうか?スープは今の所暖かいコンソメスープか冷製のヴィシソワーズのどちらかを作ろうかと思っております。出す順番としては前菜の後、メインの前の筈ですから前後の料理からどちらがいいか決めようと思っておりますの。

あとは、OPの流れからリル様が給仕をするという事でしょうか?運ぶ前、厨房に居る時は料理のお手伝いしていただいてよいのでしょうか。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 8) 2019-06-01 14:14:57
中華・・・餃子・・・いや、何でもない
気にしないでくれ。

コースだとして残りはメインかデザートか・・・
この二択だったらメインの方が得意だな。
菓子類は細かく材料を量らないといけないのがめんど・・・いや、若干苦手でな。

魚食いたいな。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 9) 2019-06-02 14:49:01
>スープ
ひとまずスープはヴィシソワーズに決めますわね。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 10) 2019-06-02 17:45:48
ふむ・・・では俺はステーキでも焼こう。
マグロと豆腐の二種類だな。

《模範生》 レダ・ハイエルラーク (No 11) 2019-06-02 21:51:58
では…私はデザートにしようか。

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 12) 2019-06-02 22:54:36
ちなみにジャンルはフレンチ…という感じですかね。
間違いでなければ、僕はテリーヌでも作ってみましょうかね。