;
悪役のシナリオ


ストーリー Story

 学園のとある一室。
 長机をコの字に並べ、黒い全身タイツを着た人物が並んでいる。
 その中心には、リーダーらしき男が座っていた。
 その名を【アクス・ルゾー】といい、このクラブの創設者である。
「もうすでに事情は知っていると思うが、まあ座ってくれたまえ」
 アクスは前にある椅子に手を向ける。
 そこに座ると、アクスから説明が始まった。
「今一度説明しよう。我等悪の巣窟は、ピカピカの新入生を相手に活躍するクラブである。活動内容は、時に花壇の葉っぱを千切り、窓に落書きをし、挙句の果てには合意の上の女生徒を攫ったりと、学園において悪逆非道の数々を繰り返し、相手に解決させ、倒されて自信をつけさせることにある。つまりは我等は悪役なのだ」
 アクスがバッと手を上げると、周りから歓声と拍手の音が聞こえて来る。
 しかし手を下ろすと、何も無かったかのように静けさを取り戻す。
「だが都合が悪い事に、遠出の為に殆どの人員が出払うことになってしまってな。……言いたい事は分かるだろう? ハッキリ言えば、我等の手先となって悪の限りを尽くしてほしい。まあここに来たということはやる気があってのことだろう」
 アクスは手を組み合わせて両肘を机に置いた。
「もちろん何が有っても勝ってはならない。負けることが使命なのだ。狙うのは、【アクエリア・セレスティア】と、【スコーピオ・レダトリア】の二人だ。アクエリアは11歳の少女、それとスコーピオは12歳の少年だ。当然、学園は了承済みである。もう一度繰り返すが、決して勝ってはならぬ仕事だ。やれるのだな?」
 アクスは指を組むのを止めて、胸の前で腕を組む。
「ふむ、頷いてくれて嬉しいぞ。まあ方法は何でも構わない、君達の好きなようにやって貰えればいい。ただし、体に傷をつけるようなことはしては駄目だ。悪役の道に反するからな」
 アクスは机の下、備え付けの棚に置いてあった資料を取り出す。
「ではこの資料を渡しておこう。好きに使ってくれたまえ」
 アクスは前に資料をつき出し手渡した。
「決行は明日の朝から、昼にかけてだ。それと、この部屋は自動的に消滅する。次この部屋に入ったとしても、我等は存在してはいない。では、健闘を祈る」
 座っていた人物が立ち上がり、部屋の外へと向かう。
 部屋の扉が閉まり、もう一度扉を開けたのだが、そこには黒い人物の痕跡さえ残されていなかった。
 悪の巣窟とは一体なんだろうかと、そう考えても答えは出て来ない。
 しかし手渡された資料は本物で、この場に来たからにはやるしか無いのだろう。
 資料を開き、決行の日にちを待った。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2019-10-31

難易度 とても簡単 報酬 通常 完成予定 2019-11-10

登場人物 4/8 Characters
《今を駆ける者》ダケン・ヴァルガー
 ルネサンス Lv15 / 魔王・覇王 Rank 1
「姓はヴァルガー、名はダケン。故郷は知れず、世間が呼ぶには流しの無頼。ま、よろしく頼むぜ」 「……って、駄犬じゃねぇ!?」 #####  狼系ルネサンス。  若い頃から正々堂々、スジを通して道理を通さぬ荒くれ者として世間様に迷惑をかけてきた年季の入った無頼。  本人は割とイケていたつもりだったが、ある時襲った貴族の娘から 『獣臭い』『薄汚い』『さっさと死んでくれないかな?』  と容赦ない口撃を浴びて脱落(リタイア)  一念発起して系統立った悪の道を修めるべく、学園の門を叩く。 ◆性格・趣味嗜好  一言で言って『アホの二枚目半』  前提知識が足りない系アホの子で脳筋単細胞。悪人ではないが、パワーオブジャスティス。  ひらめきや発想は普通にあり社交性も悪くないため、決められる場面では最高に二枚目。  いざという時以外は基本三枚目。足して二で割って二枚目半。  脱ダサ悪党を目指して清潔感は増したが、服装センスが致命的でやっぱりダサ悪党。   ◆外見補足  顔立ちは濃いが造りは悪くなく、黙って無難な服を着ればワイルド系イケメンおっちゃん。  服装センスの悪さは『イモっぽい』『田舎もの』といった類。  気合が入ると脱いじゃう系の人。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。
《新入生》ザコバ・モブロフ
 ヒューマン Lv14 / 魔王・覇王 Rank 1
サブカルチャー大好きな34歳独身。 彼女いない歴は我が生涯である! 元居た世界ではブラック企業に勤務していたらしいが、会社で2月目の缶詰め状態に入ったある日、夜中にデスクでうたた寝してたら……この世界に転移してしまった。 とりあえず、元の世界に戻って大事なフィギュア達や薄い本を転売の魔の手から守るのが今の目標。 「そのためならば、拙者は悪にでもなれるでござるよドゥフフフ……」 でも、ファンタジーの世界にいるはずのエルフっ娘やらを生で見られるので、この世界も満更ではないようだ。 なお、大変なメタボでいらっしゃる。 健康診断はこわいけど、白衣のナースは大好物。 失ったもの:頭髪 実年齢:34歳(2020.3.22現在) 身長:151cm 体重:3桁の大台

解説 Explan

・目的:入学生を相手に悪役として活躍すること
    最後は必ず倒されること

・名前:【アクエリア・セレスティア】
 11歳のヒューマンの少女。
 腰まである水色の髪と青い瞳が特徴。
 武器は杖。
 回復魔法を使えるらしいが、すぐに戦闘から逃げ出してしまうため使った事がない。

・性格
 のんびり屋だが、逃げ足だけは超早い。
 怖い物、特に虫や魔物はダメで直ぐに逃げ出す。
 可愛い動物なら逃げ出さない。

「エリポンはね~……にゃ~、こわ~い、きゃああああああ!」
 アクエリアは蜘蛛を見て逃げ出した。
「あ、お花さん……虫いいいいいい!」
 アクエリアは蝶を見て逃げ出した。

・名前:【スコーピオ・レダトリア】
 12歳のヒューマンの少年。
 金髪の髪と、赤い瞳が特徴。
 武器は剣。
 剣の練習はしているけど、気絶する為に練習試合もしたことがない。

・性格
 シッカリしているけど、魔物を見ると直ぐに恐怖で硬直する。
 もしくは気絶する。

「ピオが相手だぁぁ……」
 剣を向けたスコーピオは気絶した。
「エリ、ピオがまもって……」
 前に出たスコーピオは気絶した。


・理由
 あまりにも気が弱く、両親により勇気をつけろと学園に入学させられた。
 しかし教師が同行した練習用ダンジョンで、ゴブリンどころか、ピクシーを見ても逃げ出してしまうので、これはもう少し自信をつけさせなければ駄目だと悪の巣窟に相談されている。


・場所
 二人は担任の先生から学園の正門前に呼び出されている。
 校庭は自由に使えるように手配されている。
 部屋が必要なら、悪の巣窟の部屋を使う事が出来る。


・どんな手段を使っても良いが、怪我をさせたりしてはいけない。
 学園からは練習用の魔物や動物の着ぐるみを借りられる。
 痛くない武器や、必要なら小規模の練習用ダンジョンも使えるようにしてくれている。


作者コメント Comment
自由に暴れて倒されてください。


個人成績表 Report
ダケン・ヴァルガー 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:135 = 45全体 + 90個別
獲得報酬:3600 = 1200全体 + 2400個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
主にアクエリア担当。立ち向かう勇気と自信をつけさせる

●事前準備
二人の主に経歴や仲について事前調査して『推測』。怒りや義憤を呼び起こすヒントが見つかれば…

●行動
場所は学内の教室や物置等をお借りして、偽の呼び出しや招待状で二人を連れ込み退路を断って作戦開始。
(場所は他の人が希望あれば合わせます)

お前らが勇者に育つ前に始末してくれるぜー、なノリで。鞭を触手に見立てた着ぐるみ姿で挑発。
傷はNGとのことで『号令の鞭』を脅しと誘導につかい、アクエリアが逃げ出そうとしたら
「スコーピオを見捨てるのか」
「協力すれば倒せるかも」
という感じで『挑発』。
二人が立ち向かってきたら倒されて自信をつけるように

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
まずは楽園楽土で
「ククク、勇者の卵か・・・成長して我らに楯突く前に心を折ってやろう・・・
 今日は逃げられると思うなよ?」

とか言っておく
うん、すまない悪の魔王ロールをするんだ

レダトリアくんはすぐに気絶するがヴァルガーくんが鞭でたたき起こしてくれるらしい
なんでセレスティアくんが逃げられないように心理学、精神分析、第六感を使用しつつだんだん鞭で傷つくのを見せつける
んで、人心掌握学を使用しつつ
「レダトリアくんを回復させられるのはお前しかいないぞ、どうする?」
とか言っておく

セレスティアくんがレダトリアくんを回復出来ないようならリーラブ、特級薬草で回復
ヴァルガーくんには時折リーソルで気力回復



ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
二人に立ち向かう勇気を付ける

【行動】
血塗れの斧を持って、二人に立ちはだかるのじゃ。

まずは名乗り上げるのじゃ。
くははははっ、汝等の御飯は魔神ラピャタミャクが預かったのじゃ!
取り返したくばあちきを倒してみよ!
さもなくば…汝等の御飯は、モヤシ炒めとイナゴの佃煮になるぞ!
(ドドーンッ)

睨みつけたり怖い笑みを向けつつ仁王立ち。
気絶した時は待って、恐怖で動かない時は煽るのじゃ。
どうした小童共?逃げようが怯えようが寝ようが事態は好転せぬぞ?
それでは何も成せぬぞ!立ち向かわねば守れぬぞ!汝自身の明日も、守りたい者の笑顔もな!

攻撃を受けたらやられるのじゃ。
ぐはっ!?…み、見事な一撃であったぞ…ガクリッ。

ザコバ・モブロフ 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
拙者は着ぐるみや練習用の武器をお借りして、アクエリアたんとスコーピオきゅんの前に登場して、

「拙者を倒さぬと、そこなきゃわいいロリータをペロペロしちゃうでござるよ?」
「そのロリータを守りたいなら、口だけではなく実力で……どうにかしないといかんでござるよ?」
「守れぬ腰抜けならば……お嬢ちゃんは拙者の嫁にするでござる!」

とか言う感じで、「衛兵さんこの人です!」
と通報一直線レベルで参ろうかと考える所存

まあ、二人とも戦意喪失してダメダメなようなら、
「おっと! 未来の嫁が拙者を呼ぶ声が聞こえたでござる」
「今日のところは見逃してやるでござるよ!」

とか言って立ち去り、一旦仕切り直そうかと
最後は仲良くやられ役で

リザルト Result

 依頼を受けた四人はそれぞれに行動を始めている。
 その一人【ダケン・ヴァルガー】は、担任の教師から話を聞いたりして情報を集めていた。
「ふむふむ、二人は幼馴染なのか。だとしたらきっと将来を誓い合った仲! これならいける、きっとやれる。はっはー、俺の悪役ロールが火を噴くぜ! ふはははは!」
 ダケンは大きく声を上げて回りの人達をビックリさせて、怒られてしまう。
 二人目の【ラピャタミャク・タラタタララタ】は、調理室で料理を始めた。
 モヤシに塩コショウで味付けし、少量のお肉とキャベツと一緒に炒めている。
 そして一晩袋に入れて絶食状態にした生のイナゴを一度茹でて熱を通すと、口当たりをよくするために足と翅を外して調理を開始した。
「完成なのじゃ!」
 乾煎りして水分を飛ばし、調味料を入れてイナゴの佃煮を完成させた。
 三人目の【仁和・貴人】(にわ たかと)は、もしもの為に薬を用意している。
「……このぐらいでいいか?」
 袋に詰め込んだ物を誘導先の空き教室に運び入れ準備を完了させた。
「ドゥフフ……ドゥフフフフ……アクエリアたんとスコーピオきゅんがどんな反応をするのか楽しみでござるよ、ドゥフフ……」
 そして四人目【ザコバ・モブロフ】は、学園から着ぐるみや武器などを借りている。
 どうしようかと悩み、体はゾウで頭はブタにしてオークみたいに組み合わせた。

1.
 四人の準備が終わった作戦当日。
 学園に入学したばかりの【アクエリア・セレスティア】と、【スコーピオ・レダトリア】は、担任の先生により学園の正門に呼び出されていた。
「ねピオ、こんな所でなんだろうね?」
「う~、ピオ達何にもできないから出て行けって言われるんじゃ……」
「え~、家から追い出されてここも追い出されたら、私達どうなるの?」
「わかんないよ~」
 二人は不安になってるようだ。
 そんな時。
「あの君達、男の人から渡してくれって頼まれて」
 一人の女生徒から手紙を渡された。
「ありがとう?」
 スコーピオはその手紙を受け取った。
「でも気を付けた方がいいよ、ドゥフフドゥフフって変な笑い方して君達を見る目がおかしかったから」
 女生徒は手を振って学園に入って行く。
「どうしよう、変態かな?」
「エリポンちょっと怖い……」
 二人はドキドキしながら手紙を読み進めると、ここに呼び出した先生を攫ったと書いてあった。
 更には、誰かに言ったら先生が酷い目にあうと続けられ、向かうべき場所への簡素な地図がそえられている。
「どどどどどどうしよう、先生がさらわれちゃった」
「エリポンも行かなきゃダメみたい……怖いぃ」
 怖がった二人はガクガクと足を震わせ、先生を助けなきゃと指定の場所へ向かって行く。
 到着したのは学園の空き教室だ。
 扉の前で開けるかどうかを迷っている。
「え、エリ、開けるからね」
「うん」
 二人が頑張って扉を開けると、依頼を受けた四人組が立っていた。
「ふはは、まんまとかかったな未来の勇者ども! このダ……ダ・ケーン様が今この時で始末してくれる」
 ダケンは鞭を触手に見立てた着ぐるみ姿で、両手をバッと広げて二人の到着を歓迎している。
「ククク、勇者の卵か……成長して我らに楯突く前に心を折ってやろう……今日は逃げられると思うなよ?」
 貴人は、装着した仮面を少し外し、二人を見据えている。
「くははははっ、汝等の御飯は魔神ラピャタミャクが預かったのじゃ! 取り返したくばあちきを倒してみよ! さもなくば……汝等の御飯は、モヤシ炒めとイナゴの佃煮になるぞ!」
 ラピャタミャクはドドーンっと睨みつけたり怖い笑みを向けつつ仁王立ち。
 血塗れの斧を持って、二人に立ちはだかった。
 ちなみに斧については本物だが、血はただのケチャップだ。
 机にはモヤシ炒めとイナゴの佃煮が置かれている。
「拙者を倒さぬと、そこなきゃわいいロリータをペロペロしちゃうでござるよ?」
 最後の一人ザコバはぶたさんの着ぐるみでオークっぽく変身している。
 フカッフカの武器を持ち、アクエリアとスコーピオの前に登場した。
 ぬいぐるみの舌をべろんべろん出して舐め回すようなアクションや、両手をわきわきいやらしく動かしたりと、怖さよりもキモさを前面に出している。
 扉の前に居る二人は逃げ出すことは無かったが、動く事も出来なかった。
「せせせせせせせせせせせせ……」
「わわわわわわわわわわわ……」
 スコーピオとアクエリアは言葉を話すこともできないようだ。
「いいか、俺達を打ち倒すことが出来れば先生を返してやってもいいんだぜ? まあこっちの方が人数が多いからな、とんでもなく手加減をしてやるぜ!」
 ダケンは胸を張り宣言した。
「……当然だ、怪我をしたらオレが完璧に治療を行い元の状態にもどしてやる。覚悟するんだな」
 貴人は脅すように言っているが、内容としてはとても優しいものだ。
「もしもお腹が減ったらご飯を食べさせてあげるのじゃ!」
 ラピャタミャクはドンと斧の柄を打ち鳴らす。
「愛がほしいのなら拙者が抱きしめてあげるでござるよ!」
 ザコパの冗談にスコーピオとアクエリアは少しだけ不安そうにしたが、先生のためだと声を出さずに頷いた。
「……一番手はオレが相手になろう。二人の力を見せてみろ!」
 貴人は手持ちの鎌……に見せかけた綿詰めの武器を構えたのだが。
「か、仮面が怖い……」
「そ、そうだね」
 二人は仮面を見て怯えている。
「今取るから!」
 貴人は即座に仮面を外すと、もう一回鎌を構えた。
「これなら、行くよエリ」
「う、うん」
 スコーピオは剣を、アクエリアは杖を持ち。
「たああああ!」
「ええええい!」
 貴人に向かって行く。
「たああああ!」
「ええええい!」
 二人は引き続き貴人に向かっている。
 結構近い距離なのに歩みは物凄く遅い。
「……思った以上に遅いな。ではこちらから行くぞ」
 貴人は鎌を振り上げ、果てしなくゆっくり振り下ろす。
「ピオ、避けなきゃ……」
 アクエリアが呼びかけるも。
「…………」
 ピオは気を失っている。
「いやあああああ!」
 それを見たアクエリアは即座に逃げの手を打った。
 しかしダケンが後ろに回り込んでいる。
「スコーピオを見捨てて一人で逃げるのか? 二人一緒なら勝ち目があるのかもしれないのに。それとも、ピオが何をされても良いというのかよ?」
 ダケンの声にアクエリアは逃げるのをやめるが、その足は進まない。
「……ふん、仲間を捨てるか! 助けに来れば厄介だったが、ピオは頂くとしよう……」
 ダケンはアクエリアを挑発し。
「ドゥフフ……」
 ザコバはクネクネとした動きで手と腰を動かし、スコーピオの周りを回っている。
 それを見たアクエリアは、勇気を持って杖を握り。
「ダメええええ!」
 目をつぶりながら振り回した。
「おうッ……」
 その攻撃は、偶然にもザコバの急所に直撃した。
「ま、まだ拙者は戦えるでござる……」
 腰をクネクネしながら後ろに下がって行った。
 多少勇気がついたと感じたダケンは、スコーピオをの耳元でパチンと鞭を鳴らした。
「ハッ、エリ?」
 その音でスコーピオがハッと目を覚まし。
「ピオー!」
 二人は抱き付き無事を確かめ合っている。
「気を失うのは気力が足りないからか? 少し回復してやろう」
 貴人は念の為に回復魔法を使い、スコーピオの気力を回復させた。
「どうした小童共? 逃げようが怯えようが寝ようが事態は好転せぬぞ? それでは何も成せぬぞ! 立ち向かわねば守れぬぞ! 汝自身の明日も、守りたい者の笑顔もな!」
 ラピャタミャクは机の上に飛び乗って二人を見下ろした。
「そのロリータを守りたいなら、口だけではなく実力で……どうにかしないといかんでござるよ?」
 ザコバはウネウネと動かした手をアクエリアに向けている。
「守れぬ腰抜けならば……お嬢ちゃんは拙者の嫁にするでござる!」
 いきなりの宣言にアクエリアは後退るが、スコーピオが代わりに前に出た。
「え、エリはピオが護るから! たああああ!」
 スコーピオのひょろっとブレブレの剣先がザコバの体にぶつけられた。
「ぬおおおお、これは効いたでござるううう! やあらあれぇたあ……」
 ザコバは攻撃でやられた振りをするが。
「あ、衛兵さん、あの人です! あの人が子供に変な手紙を!」
 正門で手紙を渡していたお姉さんが衛兵を呼んできた。
「貴様が変質者か! 一緒について来てもらおうか!」
「……おや? 衛兵さん? いやいや、拙者は学園生徒でこれには海より深いワケがござって……」
「言い訳は詰所で聴くからキリキリ歩け」
「なんですとおおおおおお!?」
 ザコバはガッチリと両腕を掴まれて連れて行かれた。
 衛兵は途中で振り向き。
「君達も仲間じゃないよね?」
 三人にそう聞いて来た。
『いえ、違います』
 三人はそう答えてザコバ見送った。
『…………』
 ちょっとした沈黙があり。
「や、奴はこの四魔王の中でも最弱……まだオレ達が残されているぞ」
 貴人がこの場を取り繕うように言葉を発した。
「お前らが勇者に育つ前に始末してくれるぜー」
 ダケンが鞭を使い、スコーピオのギリギリ近くに当てて挑発している。
「うあああ!? 痛い……」
 じつは当たっていないのだが、スコーピオは当っているように感じているようだ。
「レダトリアくんを回復させられるのはお前しかいないぞ、どうする?」
 貴人は、アクエリアの動きたいという気持ちを察し挑発した。
「ぴ、ピオはエリポンがまもるもん! リーラブ!」
 アクエリアの小さな光が、スコーピオを包み込む。
 ホワンとした温かさにより傷の無い体が癒される。
「ありがとうエリ、ピオがんばるね!」
 三人は子供二人のやる気を感じる。
 足の震えはもう止まっていた。
「汝等よ、さあ来るのじゃ。あちきが相手になろうぞ!」
 ラピャタミャクは持っていた斧を振り上げ構えた。
「いくよ、エリ!」
「うん、やっちゃおう、ピオ!」
 二人は思い切って走り出し。
『たあああああ!』
 ラピャタミャクに武器を叩きつけた。
「ぐはっ!? ……み、見事な一撃であったぞ……ガクリッ」
 ラピャタミャクは床に倒れる振りをした。
「や、やったよピオ、後二人だよ!」
「そ、そうだね! きっと倒せるよ!」
 子供達二人は次の相手を選び出す。
「……二人がやる気になったなら、こちらも準備を整えなければな。では回復しようか。リーソルだ!」
 貴人の手から光が出て、ダケンの気力が回復した。
 実際には何にも減っていないのだが、二人にはそうは映らなかったようだ。
「うわあああ回復しちゃった。どうしよう……」
「だ、だいじょうぶよエリ、ピオ達なら勝てるから。あ、あの人を倒そう」
 子供達二人は必死に考え、回復をしている貴人と戦うことを決めている。
「……ほお、オレに来るか。何時でもいいぞ、さあ来い!」
 貴人は鎌を振り回し、二人を威嚇している。
「やるよ、エリ」
「う、うん!」
 そして二人が突っ込んでくると、あらぬ方向に鎌を振り下ろした。
『たああああ!』
 その隙を狙い、二人の攻撃が貴人を襲う。
「ぐふぅッ、流石は勇者見習い、このオレを倒すとは……やるな……将来が楽しみだ……グハァ……」
 貴人は膝を突き、前のめりに倒れ込んだ。
「残されたのは俺だけだな。だが、俺は他の奴等とは違うぜ! ぬおおおおおおお!」
 ダケンは机の上に飛び上がろうとすると、机の角につま先を引っかけた。
 バンと倒れ込み。
「ぬおおおおおお……」
 机にお腹を打ち付けている。
「いまだ! いくよエリ、てえええい!」
「うん、やあああああ!」
 スコーピオとアクエリアの攻撃がダケンにぶつけられた。
「ばっ、バカな! 魔界に音と聞こえたこの俺がーッ! グワーッ!」
 ダケンは動かなくなり。
「やった、倒したよ! エリ、先生を捜そう」
「う、うん、そうだね」
 二人が隠れていた先生を探し出し。
「……でね、ピオ達悪者をやっつけたんだよ!」
「エリポンもがんばったの!」
 自分達の活躍を伝えている。
 楽し気に話を続け、子供の声が少しづつ遠ざかっている。
 完全に聞こえなくなり、倒れていた三人は立ち上がった。
「……これで少しは自信がついたはずだ。あとは本物の実力をつければ勇者にもなれるかもな」
 貴人は外していた仮面を装着した。
「なのじゃなのじゃ、女の子を護ろうとするあの子はきっといい男になるぞ」
 ラピャタミャクは斧についたケチャップを布で拭う。
「くっ、最後は決めきれなかったぜ。やっぱり着ぐるみは動きづらい」
 ダケンはかぶっていた着ぐるみを脱ぎ始めた。
 そんな時、廊下を走る音が聞こえる。
 二人が戻ってきたんじゃないかと心配したが。
「とおおおう、拙者が参上でござるよ! ってあれ、もう終わってござったか。残念無念」
 ザコバは衛兵から解放されていた。
 上に事情が説明されていたが、下にまでは行き渡っていなかったようだ。
「じゃあ依頼終了だな。ルゾーパイセンの所に行ってみようぜ!」
 ダケンの言葉に三人は頷き、依頼を受けた部屋の扉を開いた。

2.
 部屋の中には黒い全身タイツを着た二人が座っている。
 それはさっきまで子供達と居たはずの先生の顔と、悪の巣窟の【アクス・ルゾー】だった。
「君達の活躍は彼女から聞かせてもらった。子供達相手に随分と活躍したようじゃないか。おめでとう、この依頼は達成だ。引き続き何か有れば依頼を出すかもしれない、その時はよろしく頼む」
 アクスはパチパチと手を叩き、教師の女はお辞儀をした。
「これはささやかな報酬だよ、受け取ってくれたまえ」
 四人は依頼の報酬を受け取った。
「ところで……ルゾーパイセン、『悪の巣窟』の入部届は何処だ?」
 ダケンはクラブに興味があるようだ。
「この悪の巣窟に入部届などという無粋な物は存在しない。それはそれぞれの心の内にあるものだ。君達が活動に賛同するというのならいつでも歓迎しよう、また来てくれたまえ。……おっと時間だ、それでは失礼させてもらおうか」
 アクスと女教師は挨拶をして部屋の外へ消えて行った。

3.
「あ、ゴブリンだよ、戦おうエリ!」
「うん、がんばろうピオ!」
 学園では小さな勇者が誕生し、仲間を得て活躍していると聞く。
 未来にはとてつもない英雄が誕生するかもしれない。
「うう、いたーい。エリ回復してー」
「もう魔力がないよー」
 でもそれは随分と先のお話になるだろう。



課題評価
課題経験:45
課題報酬:1200
悪役のシナリオ
執筆:秀典 GM


《悪役のシナリオ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《今を駆ける者》 ダケン・ヴァルガー (No 1) 2019-10-26 13:58:17
魔王・覇王コースのダケンだ。よろしく頼むぜ。

悪役よごれ役は慣れっこだが、しかしまぁ…こいつは難しいな。

アクエリアの逃げ癖は退路を断つ、って手がまぁ思いつくが問題はスコーピオだな。
意識失くするレベルってなると、いきなり魔物相手は厳しいか…?

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 2) 2019-10-26 15:18:46
魔王・覇王コース、仁和貴人だ。

本来ならじっくりと自信をつけてやりたいが・・・時間は有限だからな。

痛くない武器なぁ・・・これ使っても気絶されるのならどうしようもないか?
・・・いっその事気絶しても無理やり起こすか?

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 3) 2019-10-27 00:29:35
魔王・覇王コース、ラピャタミャク・タラタタララタじゃ。
よろしくなのじゃ。

スコーピオはやろうと思っているが体と感情がついて来ない感じじゃから、
一歩踏み出す勇気さえ持てれば…ってところかの。

とりあえず…
御飯を人質に取ってスコーピオに立ちはだかるとするのじゃ。
あちきを倒さねばモヤシとイナゴが御飯になるのじゃ。
とかそんな感じなのじゃ。怯えても気絶しても仁王立ちで待ってやるつもりじゃ。

まぁ、あくまであちき一人で考えた行動じゃから、他のメンバーの動き次第で変えるかもなのじゃ。

《今を駆ける者》 ダケン・ヴァルガー (No 4) 2019-10-27 22:13:56
>貴人
聞いてる限りだと見るだけで気絶してるっぽいんだよな、スコーピオ…
強引に叩き起こしながら戦う、ってのはありかな。珈琲の葉でもほおり込んでみるか?
なんとか魔物を魔物を認識させないで倒させる…みたいな、ウルトラCがあればいいんだが…

>ラピャタミャク
うむ、立ち向かおうとする勇気はあるみたいなんだよな。スコーピオ。
逃げないで立ち向かおうとはしているし。ただ立ち向かおうとすると恐怖が上回って気絶しちまう、って感じで。


《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 5) 2019-10-30 11:40:58
魔物を認識させない…か
幻術とか使えれば…

気絶から起こすのには鞭の技能『ご主人様の鞭』位しかないように思うのだが・・・他になんかあったか?

《新入生》 ザコバ・モブロフ (No 6) 2019-10-30 19:16:05
拙者、 魔王・覇王コースのザコバと申す。よろしく頼むでござるよ。
とりあえず、拙者は着ぐるみや練習用の武器をお借りして、アクエリアたんとスコーピオきゅんの前に登場して、

「拙者を倒さぬと、そこなきゃわいいロリータをペロペロしちゃうでござるよ?」
「そのロリータを守りたいなら、口だけではなく実力で……どうにかしないといかんでござるよ?」
「守れぬ腰抜けならば……お嬢ちゃんは拙者の嫁にするでござる!」

とか言う感じで、「衛兵さんこの人です!」
と通報一直線レベルで参ろうかと考える所存。

まあ、二人とも戦意喪失してダメダメなようなら、
「おっと! 未来の嫁が拙者を呼ぶ声が聞こえたでござる」
「今日のところは見逃してやるでござるよ!」

とか言って立ち去り、一旦仕切り直そうかと。

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 7) 2019-10-30 20:11:10
出発まで時間が無くなってきたのじゃ。

あちきは前に言った通り、御飯を人質に取るのじゃ。
汝等の御飯は魔神ラピャタミャクが預かったのじゃ!
取り返したくばあちきを倒してみよ!
さもなくば…汝等の御飯は、モヤシ炒めとイナゴの佃煮になるぞ!

とまぁ、こんな感じじゃ。
後は仁王立ちで待ち構えるのじゃ。
逃げたり怯えたり気絶したりしたら、煽りつつ待つことにするのじゃ。
で、攻撃を受けたらアッサリやられるのじゃ。

スコーピオが勇気を出して斬りかかってくるか、アクエリアが意外にも殴りかかってくるか…
どちらかが起こってくれれば重畳なのじゃ。

《今を駆ける者》 ダケン・ヴァルガー (No 8) 2019-10-30 22:16:36
>貴人
おぅ、サンクス。一応、気絶治癒の技能あったな…鞭は使い慣れねーが、これも経験だ。いっちょやってみっか。

>ザコバ
ギリギリになっちまうがよろしく頼むぜ。
人質を使うのもありそうだな…どうもスコーピオに偏っちまうが、
アクエリアの事も考えてやらないといけねぇし、そっちで考えてみっかなぁ

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 9) 2019-10-30 23:25:10
あと少しで出発だが・・・

ヴァルガーくんが鞭でたたき起こしてくれるのなら

オレは体力と気力を回復させよう
・・・セレスティアくんがレダトリアくんを回復してくれるとありがたいが・・・