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侵入! サンタ大作戦!


ストーリー Story

『サンタ募集』
 そう書かれたポスターが教室の隅に張り出されていた。
 地味で見にくいポスターだったが、タイトルに興味をひかれた君は、小さく書かれた。
『興味があるものは担当、【センジンス・ゲー】の元へ』
 の文字の通りゲー先生の元へ行ってみることにした。

「おぉ、来てくれたのか。助かるねぇ」
 椅子を三つ並べ寝転ぶ白衣の幼女。
 彼女がフトゥールムスクエア考古学担当のセンジンス・ゲー先生だ。
「実はな、フトゥールムスクエアの敷地内の町の子供達にプレゼントを配る仕事をサンタクロースから直々に頼まれたんだよねぇ……。今年は人手不足なんだとさ。よっこいしょ」
 ゲー先生は体を起こして椅子に座った。
「ってことだから、君達には十二月二十四日の夜中、子供のいる家に……侵入してほしい。もちろん、悪さをするためじゃないからね?」
 ゲー先生はゆっくりと立ち上がる。
「なんだその眼は……。まさか、私は鈍感そうだから邪魔になりそうとか考えてるんじゃないだろうねぇ?」
「安心したまえ可愛い生徒諸君! ゲーたんは調査のためにたくさんの遺跡に入ってきてるけど、罠にかかったことはないという凄い人なんだぞ☆」
 と、突如【メメ・メメル】校長が現れた。
「まぁそういうことだから、町の大半は私がやろうとおもってるんだけど、一人だとどう頑張っても夜が明けちゃうんだよねぇってことで、簡単に四件分のプレゼントを配ってきてくれ。各家庭子供は一人。内装は……未知だな。薄暗くて見にくいと思うが、ばれないようにとにかく……頑張ってくれ」
 腕を組み仁王立ちで悩むゲー先生に侵入時のヒントを尋ねた。
「ん? ヒントねぇ……どの家庭においても必要な技は四個。まず、音を立てずに移動する力。次に、小さなものをよける力。子供の部屋は色々なおもちゃが転がっていて踏んだら痛いし、音もたっちゃうからねぇ。次に、近づいてもばれないように気配を消す力。最後に、煙突を登る登攀の力。以上かなぁ。煙突から入るときは割と簡単に入れるからな……。そうだ、汚れてもいい服で来てねぇー」
 と、言い終え少ししてゲー先生はハッと声を出した。
「そうだ、一番大事なことを伝え忘れてたよぉー。もし、潜入中にMMやPP……俗に言うママやパパが起きてきてしまった場合、急いで逃げるんだよ? プレゼントを置き終えていなくても。あと、窓辺とかにサンタさんへと書かれた何かを用意されていた場合、必ずもらうなりその場で食べる等をして、多少の痕跡を残すこと! これが一番大事よ! ちなみに、プレゼントを渡せなかったお家に関しては逃げ切った後に私に連絡して頂戴ねー。両親が寝静まった頃に私が届けておくわ」
 ゲー先生は最後に紙を手渡してきた。
「これは町の地図だよー。これの赤い印が付いている所が君達にプレゼントを任せる所ねー。えー、まず、右下の赤い印は十歳の女の子のお家。ここが一番片付けられていて簡単かもねぇ。次に左下。七歳の男の子のお家。ここはお母さんが綺麗好きな家庭だから、そこそこ簡単だと予想できるわねぇ。次に右上。十二歳の男の子のお家。反抗期真っただ中だから、一番難しいかもしれないねぇ。最後に左上。同じく十二歳の女の子の部屋。彼女の部屋はそこそこ難しいかもねぇ。スポーティーな子だから、気配とかに敏感だかあねぇ」
 そして、ゲー先生は再度寝転がった。
「じゃ、当日よろしくー」
 ゲー先生は昼寝に入った。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 7日 出発日 2019-12-15

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2019-12-25

登場人物 3/8 Characters
《ゆうがく2年生》蓮花寺・六道丸
 リバイバル Lv13 / 芸能・芸術 Rank 1
名前の読みは『れんげじ・りくどうまる』。 一人称は『拙僧』。ヒューマン時代は生まれ故郷である東の国で琵琶法師をしていた。今でもよく琵琶を背負っているが、今のところまだ戦闘には使っていない。 一人称が示す通り修行僧でもあったのだが、学園の教祖・聖職コースとは宗派が異なっていたため、芸能・芸術コースに属している。 本来は「六道丸」だけが名前であり、「蓮花寺」は育ててもらった寺の名前を苗字の代わりに名乗っている。 若い見た目に不釣り合いな古めかしい話し方をするのは、彼の親代わりでもある和尚の話し方が移ったため。基本的な呼び方は「其方」「〜どの」だが、家族同然に気心が知れた相手、あるいは敵は「お主」と呼んで、名前も呼び捨てにする。 長い黒髪を揺らめかせたミステリアスな出で立ちをしているがその性格は極めて温厚で純真。生前は盲目であったため、死んで初めて出会えた『色のある』世界が新鮮で仕方がない様子。 ベジタリアンであり自分から肉や魚は食べないが、あまり厳密でもなく、『出されたものは残さず食べる』ことの方が優先される。 好きなもの:音楽、良い香りの花、外で体を動かすこと、ちょっとした悪戯、霜柱を踏むこと、手触りのいい陶器、親切な人、物語、小さな生き物、etc... 嫌いなもの:大雨や雷の音
《新入生》ローゼン・ムーンダスト
 カルマ Lv9 / 教祖・聖職 Rank 1
名前:ローゼン・ムーンダスト 【外見】 長い金髪の三つ編みおさげに薔薇が絡まっている 色白で華奢な美少女 右目と左手に印がある 丸関節 眼鏡 【服装】 アレンジした白のゆうがくの制服 印を隠したくて左手にレースの手袋をしてる 足に薔薇の蔦が絡まっている 【性格】 一般に対しては 偶像を壊さないように振る舞う 優しくて、可愛らしく、儚い が、BLが絡むと一気に壊れる 一般:控えめに話ながらも芯が強く 守って上げたくなるような人格を意図的に演じる 口調:~ですわ。~かしら? 私、貴方 壊れ:もはや口調すら違う BLが大好きで推しCPを皆に布教したい 圧が強い 口調:~よ。~ね。 私、君 現在の夢はゆうがくで教祖の勉強して この世界にBLを布教したくて堪らない 薔薇の貴腐人
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に

解説 Explan

 サンタクロースのお手伝いをしよう!
 どうやら、家を四件回らなければいけないらしい。
 さらに、それぞれの家にはそれぞれの特徴があるみたいだね。
 家にお邪魔するときも、退散するときも、従来の煙突から出入りするみたいだね!
 きっとほとんどの家の子供部屋は二階にあるはず! 
 音を立てずに静かに行動しよう! 
 ゲー先生に見せてもらったプレゼントのサンプルには、小さく名前が書いてあったから、プレゼントの内容等を覚える必要はなさそうだけど、四件の家の子の特徴はしっかり押さえておくのがよさそう!
 ちなみに、両親はきっと、子供が驚きで声を上げたり、激しい物音がしたら起きてくると思うよ!
 ち、な、み、に、ゲー先生の地図はすっごく分かりやすくて、家と家の間の道筋を覚える必要も全くなさそう!
 侵入する煙突までどうやっていくか?
 本番はクリスマス! 大きなクリスマスツリーが一家に一本立っていてもおかしくないよね!

 そうそう、煙突の内部ってレンガ造りでそれなりに掴むところはあるから少し力があれば登れるんだって!
 もちろん、夜だから火は消えてるし、下は薪だからある程度の衝撃は大丈夫かもしれないね!
 ロープをひっかけられるような突起物も屋根の上にはついているかも……?
 煙突は五メートルくらいだよ!
 
 そういえば、少し強めの口調でゲー先生が用意されているものを食べたりしてしてねって言っていたね。
 ちゃんと子供の夢を守るゲー先生……優しいですね。
 
 ちなみに、最初は簡単な家からプレゼントを配り始めたほうのがいい準備運動になるのかもしれないね!

【称号】
・コラスゥの弟子
 子供を起こさず、両親にも見つからず全ての家へプレゼントを届けた者に与えられる。

 センジンス・ゲー先生はシナリオ『カープクライムと仲良くなろう』に登場したキャラクターです。
 シナリオを読んでいないからと言って不利になることは全くありませんが、彼女の性格等を詳しく知りたい方は読むことをお勧めします!


作者コメント Comment
もうすぐクリスマスですね! 
気温とかもグーっと下がってきているかもしれないので体調管理はしっかりしましょう!(執筆十一月)
今年のサンタさんはどうやら大忙しのようですね!
皆で協力して少しでもサンタさんを手助けできるように頑張りましょう!
生徒さん達もプレゼントをお願いすれば届くのかな……?(*´ω`*)
ひげを付けたメメたんが夜中にこっそり……。
なんてこともあるのかなぁ……!(ω)
サンタさんって結構ふくよかな体系をしているイメージがありますが、ゲー先生の言っていることから考えると結構重労働なのかもしれませんね(;∀)


個人成績表 Report
蓮花寺・六道丸 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
予め眼帯で片目を闇に慣らしておく

煙突から侵入出来たら浮遊でふわっと着地
暖炉の中に靴を脱ぎ(靴は音がするし、床を汚してはいかんからな)
眼帯をもう片目に付け替え、口元を厚手の布で覆い呼吸音を隠す

抜き足差し足で探索し、子供部屋を見つけたらそっと戸を開けて侵入
プレゼントの入れ物を背中に背負い、寝息のする方へ深草兎歩で忍び寄る
童が何か動きを見せたらさらに姿勢を低くして静止し、息を殺してやり過ごす
童が何か用意していたら一旦懐にしまい後でいただく
ごちそうさまと伝えたいがあいにく拙僧は字がまだ下手くそなので
代わりにあらかじめ用意しておいた、サンタどのの顔を模した折り紙を置いてゆこう

ローゼン・ムーンダスト 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
世にBL本を普及させる

【行動】
服を脱ぐと言っていた男性陣を見守る

危なくなるようなら<見習いの箒>で補助
ただ、恐らく2人乗りは負担になるからあまりしないのと
回復を任されているので魔力が枯渇しないように箒はなるだけ控える

潜入する際、無造作に自分が作ったBL本を置いていく

怪我をしたりするようなら
『祈祷』『リーラブ』で回復
気力がすり減るようなら
『リーソル』で回復
魔力が枯渇するなら
『リーマナ』で回復

男性陣のその様を後で『写法術』で残しておく

子供に見つかったら微笑みながら

「ハッピークリスマス

ごめんなさいね?

私達、サンタ見習いなのです」

と言いながら頭を撫でてプレゼントとBL本を置いていく(ブレない

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
サンタの真似事か・・・
まぁ仕事だしなしっかりやるとしよう

基本、サポートに回らせてもらう
と、いっても侵入時に鉤爪付ロープ(大)貸し出したりとか
危険察知、第六感、暗視順応、動作察知で大雑把なターゲットの家の状況を把握する
まぁ、ちゃんと寝てるかとかぐらいしかわかないだろうが・・・
ララバイ聞いてると眠くなるそうだからうるさくならない程度に演奏してみる予定だ
ターゲットとか子供たちよ、起きるなよ・・・

蓮花寺くんがメインでプレゼントを配ることになるだろうが疲れてきたりだとか不意の事情で侵入が困難になった場合、変わりに侵入してプレゼントを置きに行く予定だ


ちゃんと配り終えれるといいが、どうなることか・・・

リザルト Result

 木々に飾られている、イルミネーションも消える頃。
 三人の生徒が学校近くに集まっていた。
 三人に依頼を頼んだ【センジンス・ゲー】先生は既に街に繰り出しプレゼントを配りに行ってしまっているらしい。
「オレ達もそろそろ始めた方がいいだろう」
 と【仁和・貴人】が切り出した。
「そうね……! 早くBL……プレゼントを子供たちに布教しにいかないと!」
 なぜか一人息を荒げている【ローゼン・ムーンダスト】。
 その様子を見ていた【蓮花寺・六道丸】は。
「う……うむ、ぷ、プレゼントを配るのであろう? プレゼントを」
 と戸惑いながら問いかける。
「もちろんですわ! 私と、この『ハートブレイカー』で子供たちへ新たな道を示してあげるのですわ!」
 ローゼンは自信満々に答えた。
 彼女の返事に二人は呆れた表情を見せた。
「そうだ、これがゲー先生に手渡されていた子供四人分のプレゼントと、侵入に使うための鉤縄だ。蓮花寺くんに渡しておいた方がいいだろう」
 貴人はローゼンを横目に六道丸に荷物を預けた。
「よし、しっかりと受け取った。では、最初の家に向かうとするとしよう」
 三人はゲー先生に渡された地図を見て、一番最初の家に向かった。
 この家は、ゲー先生曰く。
『十歳の片づけが得意な女の子の家』
「見た感じ、明かりはついていませんわね」
 ローゼンは辺りを見回して言った。
「では早速」
 六道丸は先程受け取った鉤縄を二階建てになっている家の軒に引っ掛ける。
 そのまま三人は屋根へと登った。
「よし、オレは子供の眠りを深くするためにここでララバイを弾いて待っている」
 と、貴人はララバイを取り出し、抱えて胡坐をかいて座った。
「ふぅ。なかなかの高さがあるもんだな」
 少し息をあげている六道丸。
「貴方、まだ最初の家ですわよ? まったく、それなら鉤爪の様な一本のロープではなく、着ている服を繋いで作った物の方が凹凸があって登りやすい物を作ったほうがいいと思うの。さっ、早く脱いでちょうだい♪」
 ローゼンは期待に満ちた目を向けた。
「え、遠慮しておく……」
 六道丸は断りながら屋根に突起を探し、鉤爪をかけ、煙突内へロープを垂らした。
 貴人がララバイを弾き始めるのと同時に二人は煙突内へと歩を進めていく。
 床には多少の炭は有ったものの、舞い上がるほどでもなかったため、無事に中に入り込むことができた。
「ここは一階のリビングみたいですわね……。子供部屋は二階かと思われますわ」
 ローゼンは暖炉から辺りを見回した。
「では、素早く用事を済ませてしまおう」
 二人は暖炉から抜け出し子供部屋を目指した。
 貴人のララバイのおかげか、人が起きてくる空気はみじんも感じることができなかった。
 二人はプレゼントを子供部屋のツリーの下に置いた。
 そして足早に去って行った。
 
 建物の外に出た二人は背筋を伸ばした。
「少し緊張するけどこの位ならすぐ終わりそうですわね!」
 ローゼンは余裕そうだった。
「よし、次の家に向かうとしようか」
 貴人はララバイをしまい、地図を広げた。
「ふむ、次も無難に左下の家に配りに行こうか。時間はたっぷりありそうだしな」
 貴人の意見に皆頷き、地図左下の家に向かった。

 二件目も同じように家に侵入した。
「体が温まってきたようだ」
 六道丸も先ほどよりも余裕そうな顔をしていた。
 子供部屋の中も、先ほどの部屋よりは片付いていなかったとは言え、衣類等の布製品が多少落ちている程度だったので難なくプレゼントを置くことができた。
 帰り際、子供の布団がずれていることに気が付いた六道丸は。
「おっと、これは寒かろうて…起こす危険はあるが、風邪をひいてはいかんからな」
 と少し微笑みながら直してあげた。
「これで良し。よい夢を見るのだぞ」
 ふと横を見ると、ベッドの近くの机の上に『サンタさんへ』と書かれ紙が添えられた箱があった。
 ゆっくりと箱を開けてみると、中にはクッキーが入っていた。
 よく見ると、クッキーのデコレーションが少し雑になっていた。
 きっと、彼が手作りしたものだろう。
 六道丸はクッキーを丁寧に持っていた厚手の袋に入れた。
 同時に彼は事前に用意していた『サンタの顔を模した折り紙』を置いて去った。
 
「これ、童の部屋の枕元のテーブルに置いてあったクッキーだ。丁度三枚あったし、皆で食べよう」
 と、六道丸はクッキーを手渡した。
 質素な味のバタークッキー。
 でもそれが寒い冬の夜空の下ではなんだかとてもおいしく感じた。
「次は右上の家に行くのはどうでしょうか」
 ローゼンは地図を指さしながら言った。

 次の家。
「この家には軒がなくて鉤縄が引っ掛けられないですわね……」
 ローゼンが上を見上げながら呟く。
「ふむ、少し家の周りを探索してみるとするか」
 貴人は家の周りを回り始めた。
 しばらくして彼は声をかける。
「裏庭に大きなクリスマスツリーが立っているな。ここから登れないだろうか?」
 彼の元に二人も集まる。
 そして、六道丸は試しに枝に鉤爪をかけてみる。
 彼の投げた爪はうまく木に引っかかった。
「よし」
 彼は軽くロープを引っ張ってみる。
 すると、木の上に積もっていた少しの雪がローゼンめがけて降ってきた。
「きゃぁ!」
 彼女は雪を振り払う。
「冷たいですわ……。はっ!」
 ローゼンはにやりと笑う。
「寒いですわ。男性の方々、私に上の服を貸してほしいですわ」
 しかし、彼女が頼み終わる頃には二人ともすでに木の上に登っていた。
 
 そして、何も問題なく子供部屋までたどり着くことができた。
「よし、多少散らかってはいるが注意していけば問題な……!」
 六道丸は、足を一歩踏み出した瞬間に土踏まずに激痛を感じた。
 よく見ると、床に小さなものが落ちていた。
「こ、これは……! 『子供式撒菱(こどもしきまきびし)』!」
 彼は痛みに耐えきれず、その場で腰を下ろした。
「だ、大丈夫でしょうか……?」
 ローゼンは心配そうに六道丸を見る。
「い、行けなくはないが、ここは危険だ……。床に沢山『子供式撒菱』がまかれている……!」
「あら、それなら今貴方の着ている服を脱いで地面に引いてクッションを作って行けばいいのでは?」
 ローゼンはにやりと笑った。

 六道丸は『プレゼントを待つ子供の為だ』と意気込んで服を脱ぐ。
 しかし、彼の服は自分の魔力そのものでしかないので床に広がる障害物を物理的に避ける事は出来なかった。
「仕方ないですわね……」
 ローゼンは持っていた箒で宙に浮き、さっさとプレゼントを置いて戻ってきた。
「あら、良いお体ですわ! 貴方、立って前傾姿勢になれるかしら?」
 と詰め寄るローゼンに六道丸は困惑した。
「何を恥ずかしがっているのですか? さぁ、もっと何かを責めるような感じで! そうですわ! そうですわ!」
 ローゼンは代わりに自分が行った事とおだてを武器に六道丸に指示をした。

 暫くして煙突から出てきた二人を見た貴人は疑問を浮かべた。
 一人は顔を真っ赤にし、大興奮する女性。
 もう一人はまるで何かを失ったかの様に顔を真っ青にする男性。
「何かあったか?」
 貴人の質問に二人は口をそろえて。
「何もありませんでしたわ♪」
「なにもかもなくなった気がする……」
 と答えた。
 貴人は察した。
「つ、次に行くとするか……」

 残す家は一つのみ。
「ここの家の子はとても起きやすいらしい。だから、今回はオレも部屋の近くまで潜入してできる限り近くでサポートしようと思う」
 そう言って、貴人も煙突の中へ降りた。
 
 三人はこそこそと部屋を進んでいく。
「ここかしらね」
 ローゼンは静かにしまった扉の中を覗く。
「この部屋は比較的片付いているようだから、拙僧が行くとしよう」
 六道丸は肩を回して準備運動をする。
「では、オレはララバイの演奏を始めるとしよう」
 そう言って貴人は座った。
「大丈夫、集中を切らさないように私がサポートして差し上げますわ」
 と、ローズは杖を強く握る。
「よ、よし」
 万全の状態になったことを確認し、六道丸は一歩踏み出した。
 冷や汗を出しながら一歩ずつ、一歩ずつ確実に歩を進めた。
 そして、静かにプレゼントを置く。
 足に集中し、きしむ音の一つも出さないように歩いた。
 ようやく出口にたどり着き、静かに扉を閉める。
 三人がふぅと力を抜いて、暖炉に向かおうとした時だった。
 バタン。
 下の階から何かが倒れるような音がした。
 三人は焦りだす。
 一度皆近くの扉に入り込み、様子を見ていたが、何かが動き出すような音はまるでしないので、見に行ってみることにした。
 階段の上から下の階を見下ろすと、暗闇で見にくかったとはいえ、とても見覚えのある服を着た人が倒れていた。
 その正体は我らの【メメ・メメル】校長だった。
 三人は彼女に近づく。
「せ、先生?! ど、どうしてこんなところに……!?」
 しかし、メメ先生は返事をしなかった。
 三人は結局メメ先生を煙突から出すことにした。
 とは言っても、ローゼンが箒を使って持ち上げてくれたのである。
 外界の冷たい空気に触れたメメ先生は体を起こした。
『先生!』
 と三人が駆け寄る。
「ん~むにゃむにゃ……あれれ? ここは……あ~、そうだそうだ! オレサマの可愛い生徒たちの様子を見に行こうとしたらなんだか心地の良い音色が聞こえてきて、ついウトウトって感じでぇ。メメたんうっかり☆」
 彼女の話を聞く限り、寝ていただけらしい。
 三人はほっとした。
「やっぱり外は寒いな! 皆も早く家に帰って風邪ひかないようにするんだぞ!」
 元気になったメメ先生は何事もなかったかのように去って行った。
 夜はさらに深まり、雪もちらつき始めた。
 冷え込む外気の中の帰路はとても厳しい。
 澄んだ夜空をトナカイと沢山の荷物を積んだソリが駆け抜ける。
 優しそうなおじさんの笑い声と共に。
 
 寮の前で、たまたまプレゼントを配り終えたゲー先生と遭遇した。
「おー、お前たちぃ。よくやってくれたな。もしかしたら失敗するかもしれないと思っていたが、そんな心配不要だったな」
 と軽く笑った。
「さぁ、早く帰って風邪ひかないようにするんだぞ。早く寝ないとサンタさんが仕事を終えられないからな」
 彼女は三人の背中を軽くたたき押し出した。

 朝日が昇る頃には雪は降りやんだ。
 町は一面白く染まり、プレゼントをもらった子供たちが早速外で遊んでいる。
 ちなみに、薄い本は『ゴミ捨て場で発見された』という噂や『少女がベッドの下に隠した』等の噂があったのやらなかったのやら……。
 
 皆が協力して届けたプレゼントはきっと子供たちを幸せにしたはずです。
 皆のベッドの枕元やツリーの下にはプレゼントが届いているかな?
 きっと届いていることでしょう。
 努力は必ず帰ってきます。
 子供心を忘れないその気持ちがサンタさんを呼び寄せたのでしょう。
 届いていなかった……?
 それは、もうサンタさんがあなたを一人の立派な『大人』として認めてくれたからではないでしょうか。
 決して悪いことではありません。
 あなたは頼れる人間に成長したのです。
 そう、夢に一歩ずつ近づいている証拠です。
 こうして三人はまた前進していくのでした。

 寒い冬が終わる頃、ゲー先生が持ち運びしている職員資料の中から『ハートブレイカー』が落ちてきたのはまた別の話……。



課題評価
課題経験:65
課題報酬:2000
侵入! サンタ大作戦!
執筆:〜☆Wi☆〜 GM


《侵入! サンタ大作戦!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 1) 2019-12-08 04:51:50
拙僧は芸能・芸術コース、リバイバルの六道丸!
此度ははじめての課題となる。何卒、よろしく頼む。

煙突から侵入するに当たって、鉤縄がちと高価なので
スコップ(小)あたりを技術室で加工してフック代わりにしておいたものに
着ている服を長く結んだものを結わえつけて代わりにしようか……などと考えておったところだ。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 2) 2019-12-08 14:12:53
魔王・覇王コースの仁和・貴人だ。
よろしく。

鉤縄か・・・もしよければオレが持って行こうか?

・・・確認だがこの課題、一人四件ではなく皆で四件だよな?
だったとしたら基本サポートに回らせてもらう。

潜入中にMMや・・・の時、早とちりしてメメたんの事だと思ったのは内緒だ。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 3) 2019-12-08 16:46:01
おお、まことか貴人どの!それは助かる……かたじけない。
うむ、ひとり一軒という指定はないようだ。
一人じゃないなら、拙僧ももう無茶をする必要はなさそうだな。
そして潜入さえできればあとはこちらのものよ!

潜入したらメメたんどのが……うーむ、シュールよなあ……。

《新入生》 ローゼン・ムーンダスト (No 4) 2019-12-09 18:38:34
ふふ、『Buddy Rose教』略してBL教の教祖
ローゼン・ムーンダストと申しますわ。

あら、私以外皆様男性なのですね…。
ところで皆様。

男性にご興味はございます?(女神のような微笑みで)

あ、私ったら。
まだ布教もしてませんのに。
どうぞ、この書物を皆様に(同人誌配りながら)

今回の課題ですか?
勿論、手伝わせて頂きますわ。
えぇ、私の書物もついでに置いていきますから全然問題ありませんわ。

服を…っ!(ハッとした顔で)

そう。私もお手伝いさせていただきます。
えっと、でも私、一応空飛ぶ箒あったような…(小声)
でも、手づから脱いで下さるなら、黙ってた方がお得ですわよね?(小声)

ふふ、宜しく御願い致しますわ♪

【PLより】
とりあえず、あったら装備して助けようかなと!
サポートしますー!

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 5) 2019-12-09 23:25:19
う……うむ、よろしく頼むローゼンどの。
本はのちほど有難く読ませていただこう。
(煩悩がすごい……!)

新入生キャンペーンとかいうのでお金が手に入ったので、マイ鉤縄も買えるようにはなった。
学園には空飛ぶ箒とかいうのもあるようだが、まだよく分からぬので、
鉤縄で物理的に外から侵入する事を考えておったな。
……いや、脱がずに済むなら拙僧脱がぬよ?だって寒いし……。

あれもこれも書いてはあっという間に字数が足りなくなるので、
ふたりがサポートに回ってくれるのであれば、拙僧は侵入した後のことに注力しようかの。
見事サンタどのの名代を務めてみせようぞ!

《新入生》 ローゼン・ムーンダスト (No 6) 2019-12-14 17:51:03
ん、大丈夫。
何かありましたら私が助けますのでどうぞ存分にお脱ぎ下さいな(微笑み

念の為回復魔法はセットしていきますし…。
あ、寒いですわよね?
大丈夫、1番寒さを凌ぐ方法って人肌だと伺った事があります。
幸いここにはもう1人男性がいらっしゃいます。

見てますから温めあってくださいね♪(にっこり

【PLより】
怪我をした時の為に回復魔法と、見習い箒での補助をやるつもりです!
そしてさり気なくBL本を置いて行く予定です!(ブレない
宜しく御願い致します!