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【新歓】『私』から、『あなた』へ――。


ストーリー Story

●桜、ひとひら
 ひら、り。
       ふわり。

   は 
     ら
        り。

●それは『彼女』の、気紛れ
 春が来た。それはフトゥールム・スクエアを中央に配する、エイーア大陸も例外ではないようで。
 東方よりこの地に広まったと言われているオリエンタル・チェリーツリー……『桜』が随所で花開き、お祭りムードの学園を淡いピンクに染めている。
 そんな桜色を見上げながら、『きみ』はどう思っただろう。一期生であるならば、今年もまたこの季節が、と感慨深く思っただろうか。
 二期生であるのなら、ひらり、はらりと舞い降りる桜を受けつつも、周囲の賑やかさに少しだけ、圧倒されたのかもしれない。
 『Magic of Delight(マジック・オブ・ディライト)』――学園長の一声で開催が決まったという三日限りの新入生歓迎会は、それはもう、賑やかだった。
 見渡す限りのヒト、人、ひと。新入生だけでなく、各出し物の準備に勤しむ在校生や教員、来場客である『レゼント』(学園が内包しているという、住居区画……いわゆる、学園都市である)の住民達など、様々な種族のヒトでごった返している。
 それはある意味では、人間も七選(人間族以外のことを、古来よりこう呼んでいる)も関係なく、多種多様な種族が混在して暮らしている現れだと言って良いだろう。
 貴族や平民、奴隷といった貧富格差のある地はエイーア大陸の随所にあるが、少なくともこの学園では、ヒトは皆平等であり、理由を付けて差別されることはない、ということだ。
 『きみ』はそんな状況を見て、どう思っただろう? 村人・従者コースであるなら、ようやく安寧の地に出会えたと、胸を撫でおろしただろうか。
 もしくは、勇者・英雄コースを選んだ者なら、この平和を世界中に届け、守っていきたいと。
 黒幕・暗躍コースや王族・貴族コースを選んだのなら、こんな安息を、自分の住んでいた場所でも実現したいと、願ったのかもしれない。
 様々な思いを胸に秘め、『きみ』は学園の正門をくぐり、目的の場所……歓迎会による喧騒の中へと向かう。
 魔王・覇王コースや武神・無双コースなら、特別闘技場『ブラーヴ・オブリージュ』での模擬戦が。
 芸能・芸術コースであるなら、『ファンタ・ブルーム大講堂』(学園中心部にある大きな講堂だ)にて、在校生や卒業生による出し物に興味が湧くだろうか。
 大図書館『ワイズ・クレバー』(ここならあらゆる知識が揃うと誉れ高い、フトゥールム・スクエアが内在する図書館だ)では『エイーア大陸基礎知識講座』や簡単な授業のオリエンテーションも開かれているので、教祖・聖職コースや賢者・導師コースを選んだヒトの知識欲を刺激したのかもしれない。
 『きみ』はどうだろう? 同じ場所、同じ景色であれど、思うことは十人十色だ。
 だからこそ、この学園での生活に夢を、楽しみを……『希望』を抱いてくれたのならば、――『わたし』は、嬉しい。

 ◆

 それは突然の出会いだった。
 『きみ』はふと、歓迎会の賑やかさから切り離されたような、静けさを纏う場所に辿り着いたのだ。
 快晴の青空を背に、枝垂れ桜の大樹が一本だけ生えているその場所は、学園内マップに目を通しても見つけられず、どこか神秘的な空気を漂わせている。
 不思議に思った『きみ』が近付いて見ると、さらに不可思議な状況に出くわした。
 誰も使った気配のない机が枝垂れ桜の下に設置され、その上には『タイムカプセル、承ります』と書かれた紙が無造作に置かれていたのだ。
 ご丁寧に、『タイムカプセルとは、未来のあなたに向けて贈る決意表明や、エール、ご褒美みたいなものです』なんて注意書きも記されている。
 なんだろう、これは。と首を傾げる『きみ』の耳に、くすくすと小さな女の子の笑い声のようなものが聞こえたが、辺りを見回しても、人影はない。
 ……なんだろう、これは。まあここは魔法学園であるのだし、こういった『常識からかけ離れた現象』は、日常茶飯事なのかもしれない。
 考えている間にも、ひらひらと零れ落ちる花弁は、まるで時間の経過を示すように、『きみ』の足元に降り積もっていく。
 そんな中、『きみ』は。満開の枝垂桜の下、何を思ったのだろう?


エピソード情報 Infomation
タイプ マルチ 相談期間 5日 出発日 2020-05-01

難易度 とても簡単 報酬 多い 完成予定 2020-05-11

登場人物 16/16 Characters
《不屈愛の雅竜天子》ミサオ・ミサオ
 ドラゴニア Lv18 / 魔王・覇王 Rank 1
「ミサオ・ミサオ。変な名前だろう。 この名前は誰よりも大切なあの子からもらったんだ。」 名前はミサオ・ミサオ。無論本名なわけがない。 外見年齢は20代、本年齢は不明。 本人曰く100越えてんじゃないの、だとか。 職業はギャンブラー。 学園に入る前は彫刻師、薬売りなどいくつか手に職を持っていた。 魔王コースを選んだのは、ここが楽だと思ったからだそうだ。 遠慮なくしごいてくれ。 性格はマイペースで掴み所がなく飄々としており、基本滅多に怒ることがない。 面白そうなことや仲の良い友人が居れば面白そうだとついて行き、 好きな人や大切な人にはドロドロに甘やかし、自身の存在を深く刻み付け、 飽きてしまえば存在を忘れて平然と見捨てる外道丸。 いい子には悪いことを教えたり賭け事で金を巻き上げ、 そして悪友のオズワルドや先輩先生にこってり絞られる。 恋愛したい恋人欲しいと言っているが、一途で誰も恋人を作ろうとしない。 たくさん養ってくれる人大好き。 趣味は煙草と賭け事。 特技は煙草芸、飲み比べ、彫刻。
《新入生》ライラ・フローレス
 ヒューマン Lv3 / 村人・従者 Rank 1
ライラ・フローレスです。 よろしくお願いします。
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。
《2期生》シルワ・カルブクルス
 ドラゴニア Lv15 / 村人・従者 Rank 1
細い三つ編みツインテールとルビーのような紅い目が特徴のドラゴニア 元々彼女が住む村には、大人や数人ぐらいの小さい子供たちしかおらず同い年程度の友達がいないことを心配した両親にこの学校を薦められて今に至る 一見クールに見えるが実際は温厚な性格であり、目的である世界の平和を守ることはいわば結果論、彼女の真の目的は至って単純でただの村人として平穏に暮らしたいようである しかし自分に害をなすとなれば話は別で、ドラゴニアらしく勇猛果敢に戦う 一期生にはたとえ年下だとしても「先輩」呼びをするそうだ 「私はただの村人、できる限りのことをしただけです」 「だれであろうと私の平穏を乱す者はすべて叩き伏せます」 ※口調詳細(親しくなったひとに対して) 年下:~くん、~ちゃん 同い年あるいは年上:~さん ※戦闘スタイル 盾で受け流すか止めるかでダメージを軽減しつつ、斧で反撃するという、いわゆる「肉を切らせて骨を断つ」戦法を得意とする
《新入生》ファム・ゼロワン
 エリアル Lv3 / 芸能・芸術 Rank 1
名前:№01 ファム(ファム・ゼロワン) ※本名知らない ちょっと楽観的なエルフな女の子 歳が不明だが、誕生した日だけは知ってる 気づいたら、記憶がなくなっていて覚えていない 歌や衣装を作るのが大好き 好きなこと以外は覚えられないアホっ子 ●性格 いつからかわからないが、基本明るく優しい 好きなこと以外は興味がわかない 普段の記憶力は皆無! 見た目と違い大食い 運動は苦手 裁縫はなぜかうまいのか、複雑なものも得意とする 歌と裁縫だけ得意 ●容姿 長いのが嫌いなのか、ツインテール(全部結ばない) くりくりの目元で可愛い顔つき 色白で顔も小さい 見た目ロリだが胸はでかい方 確かEかFか(( 服装は着やすいもので絶対に制服は着ない ●補足 名前が偽名なのかはわからない だから、それを聞いても意味がない 動物が大好きで猫や犬に好かれやすいらしいがどうかはわからない
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《新入生》エジル・イムニン
 エリアル Lv10 / 勇者・英雄 Rank 1
僕はエジル・イムニンです。 種族はエルフ型のエリアルですね。 身長は1.9mで…体重ですか?わかりませんね。 性格が知りたいのですか?自分に関してはよくわからないのですが…真面目なやつで正直者だと言われています。 それがあっているかどうかは、知りませんけどね。 趣味は…本を読むことや、勉強をすることでしょうかね? 絵を買いたり彫刻を掘るといった美術館系も興味がありますね。 あとは腐っても勇者なのでちゃんとトレーニングもしていますよ?
《新進気鋭》ムーシュカ・スターリナ
 エリアル Lv6 / 芸能・芸術 Rank 1
アイドル、それは新時代の希望となる存在。 幼い頃からの憧れをそのままに、いよいよ夢を叶えるためこの学校へとやってきた。 そんな──どこにでもいるような少女が彼女、ムーシュカである。 戦う力はないけれど、導く知略もないけれど。 それでも彼女は信じているのだ。 いつの日か自分のパフォーマンスが、誰かの心を動かす事を。 ※コール&レスポンス!※ 「私が“みんなー、どこにいるのー?”って言うから、みんなは自分の居る場所を言ってね! そうしたら私が飛んでいくから!」 ※以上!※ 前向きな性格で人懐っこく、イベントが好き。 反面、考えなしに突っ込んで空回りする事もしばしば。 どちらにしろ、彼女が近くにいれば退屈しないのは間違いない。 好きな食べ物はリンゴ。 特に母親の作っていたアップルパイが最高なんだとか。
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《新入生》アグゼ・ドゥーム
 ドラゴニア Lv4 / 勇者・英雄 Rank 1
「わしか!アグゼ・ドゥームだ!今後とも宜しく頼むぞ!」                                                                                                                 外見:燃え上がるように上に立つツーブロック風の髪の毛、こめかみから頭を沿うように後頭部に向けて生える極太の赤い角、爛々と光るような橙の瞳、肩から指一本までキレイに整っている龍の皮膚、そして堂々たる巨体とそれを更に映えさせるようなムキマッチョなど、一見でも覚えられるような要素満載な見た目だいぶおっさん。 髭は口周りについていないが、顎からもみあげにかけてはボッサボサ。髪色と同じく赤色。 なお、顔のシワなどはほとんど見られない。 服装:上半身は何も着ておらず、下半身は五分袖程度の布切れ。大事な部分は褌で守られてる(?)。 性格:底無しの元気マン。 元気とやる気と気合と感覚、あと1握りの思考能力があればまあなんとかなると思っている。 最近の困り事は使命に必要な「物」を失くしたこと。

解説 Explan

・時刻/場所
 『Magic of Delight』のある日/フトゥールム・スクエアのどこか

・テーマ
 入学したばかりの(あるいは2年目を迎える)『私』から、いつか卒業を迎えるだろう『私』へ。

・状況
 『Magic of Delight』で賑わう校内を歩いていたあなたは、ふと、不思議な場所に辿り着きました。
 視界いっぱいの桜色……晴れやかな青空を背景に、満開の枝垂れ桜が咲き誇っているのです。
 そんな幻想的な光景の中、不思議なことに、机がぽつんと置かれていました。
 『タイムカプセル、承ります』、なんて不思議なメッセージと共に。

・プランにてお書き頂きたいこと
 ■アクションプラン
  この状況で『あなた』がとった行動をお書きください。
  未来の自分へのエールや現時点での目標、決意といった『言葉』を贈られる場合は、備えられている羊皮紙と万年筆をお使いください。
  それ以外、『実体のある物』を託す場合は、机の上に置かれているギフトボックスにお収め下さい。
  言葉が書かれた紙、物が収められたギフトボックスが花びらへと変わると、『あなた』は元居た場所に帰されます。
 
 ■ウィッシュプラン
  心情等、できれば描写してほしい事などをお書きください。
  過去を思ったり、未来を願ったり、目標を掲げてみたり。
  内容は自由ですが、世界観やルール的に描写できないことは、反映されません。

・友人/先輩と一緒に等、グループでの描写も可能です
 その場合は【●●さんと一緒に参加】のような、お相手様の名前をプランにてお書きください。

・お遊び要素(書くことが思い浮かばない場合にでもご利用ください)
 会議室にてダイスを1人1つ振り、偶数の場合は、この桜を棲み処としている精霊の姿を見ることができます。
 奇数の場合、桜の精霊と会うことは出来ませんが、当GMの担当する公認/個人NPCと鉢合わせします。
 (希望がある場合は、指名することも可能です。NPCについてはGM頁をご参照ください)


作者コメント Comment
 エピソードの閲覧をありがとうございます、GMの白兎(シロ・ウサギ)と申します。
 本エピソードは、何気ない日常のお話です。

 フトゥールム・スクエアでは、現在学園長の一声で、歓迎祭『Magic of Delight』を開催しております。
 出店や芸術コースによるステージ、食の祭典から簡単な授業のオリエンテーションまで。
 様々な催し物がなされる中、皆さんはふと、不思議な空間に迷い込みます。
 桜の雨のような、枝垂桜が見守る中、皆さんはどんな贈り物を、未来の自分へと贈るのでしょうか。
 
 難易度も「とても簡単」ですので、エピソード参加が初めてのかたもお気軽にご利用ください。
 自分の登録したお子様がどんなふうに動き、生きているのか、この機会に体験して頂けると嬉しく思います。
 もちろん、二期生のかたも歓迎です。

 こちらの文章としましては、プロローグや既出リザルトをご参照ください。
 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。



個人成績表 Report
ミサオ・ミサオ 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【オズワルドと参加】

オレぁ…持っている煙管をギフトボックスにおいておこうかね。

書くのは好きじゃねぇ。
未来のオレなら物だけでわかるだろ。オレなんだから。


・・・って、ボックスに入れたら煙管なくなってもうたわ。

「オズワルド、後で煙管買いに行くの付き合え」

ライラ・フローレス 個人成績:

獲得経験:99 = 99全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:300
獲得努力:50
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---

オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【ミサオと一緒に参加】

書置きします
「あなたは卒業しているときにはきっと優秀な医者になってるでしょう。
それは、学園の先輩、友達、後輩、先生方が支えてくれ
…ミサオが僕のそばにいてくれたから。

どうか、傍にいる人達との思い出を忘れないで。
そして、一番大切な友と笑顔で迎えられる卒業でありますように」

シルワ・カルブクルス 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
いつか卒業するシルワ宛に以下の内容の手紙を託す

『いつか卒業する私へ

お元気ですか?私は元気です
おそらく、ここまで色々なことがあったと思います
卒業したあとでも、ここまでやってきた私ならどんな困難でも乗り越えられるはずです
これからの人生に幸があらんことを祈っています

新入生だった私より』

ファム・ゼロワン 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【エジルさんと一緒に参加】

エジルと桜の木で待ち合わせ
楽しく談笑しながら、卒業のことやそのあとの事を話す

話をしていると風が舞い妖精が目の前に現れる
驚くよりも感激して立ち上がり手を差し出す
仲良くなろうとする

タイムカプセルの包が二つあるので選んでもらう

手紙も

それを彼と仲良く桜の木のそばに入れて桜を見上げる



朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
羊皮紙を前に何を書こうかしばし頭を悩ませた後

「拝啓、未来の私へ。貴方は今も最強の拳士への道を歩めていますか?きっと目の前には深い谷や高い壁、かき分けるのも難しい険しい道が続いているかもしれません。けれど兄様が信じてくれた私自身を信じて進んで欲しいですわ」

まだ見ぬ未来の私へ祈りを込めて、そう綴りますわ

エジル・イムニン 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【ファムと一緒に参加】
タイムカプセルですか。それは実に興味深いですね。
何を埋めましょうか?

おや、ファム、貴女も桜の精霊が見えるのですか?
僕も一応見えますね。何か色々反応を楽しんでみましょうか。
あとは何かいい案があるかこの精霊に訊いてみますか?

そしてファムと共にカプセルを埋めます。
数年後が楽しみです。

ムーシュカ・スターリナ 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
実は今まで、タイムカプセルとか書いた事ないんだけれど、せっかくだし……ね?
私が卒業する時って多分、アイドルとして独り立ちする時だよね。
それじゃあお手紙と一緒に、いま流行ってる曲の楽譜とか歌詞カードも入れておこうかな。
書き出しは……これを読んでいる時、応援してくれる人が隣にいると嬉しいです……っと。

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
婚礼衣装を身に纏いたかった

そんな夢見るお嬢さんみたいなことは書けない

だって、私が保護された遺跡には……虐殺された城下の民や兵士
それに、王族共の屍や怨霊が闊歩してるらしい

王族共はどうでもいいけど、民や兵士の魂は救いたい
……なんて言うとおこがましいけど、少しでも魂が安らげるように

それは、私の義務だと思う

プラム・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
タイムカプセル?
じゃ、1年の時アルバリに貰った紫陽花の髪飾り入れるか。
見ての通り、もう俺は繊細なアクセサリーが似合う容姿じゃねえしよ。

散る姿が美しい満開の桜の元に、永遠に枯れない季節外れの紫陽花を置いていくってのは何となくシニカルだしな。


チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
未来の自分に送る何か。
…少なくとも煮干しはダメそ。腐るかもだし、虫食い起きそだし。

ってか、未来がいつかにもよるんだけどー。
50年後なら謎みだし、3日後なら要らないし。

開けるタイミング任意自由、ってことにするとしてー、学園出る時に開けるていにしとこ。
…卒業がちゃんとできるかは別としてね?二つの意味で。

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
あれ、こんな桜生えてたっけ?
…タイムカプセル、かぁ。誰だろ?こんなの設置したの

最初はとにかく逃げたくて …自分自身がほしくて
がむしゃらだったけど、気づけば友達も仲間も出来て
今なら、言える
俺はシキアだ

タイムカプセルには一言だけの手紙を入れて
「シキアとして、生きたい。これから先もずっと」

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
タイムカプセル……いまのわたくしを未来につなぐもの。


……でしたらいまのわたくしの想いすべてをつづり、託します。

わたくしはこれからもたたかいます、記憶をうばう敵と。
でしたらわたくしの想いもうばわれてしまうかもしれません。
その時、その悪用をふせぐためになんとかとりもどせるように。

それもたたかいだから。

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【レーネさんと一緒に参加】
レーネさんが「ニジカケ@レンジャー」で得た、記憶を消去する魔法についての知見を興味深く聞きながら、一緒に歩いていると…

件の桜に遭遇

「わぁ!面白い取組ですね」と、まず企画への興味津々

企画への礼として
音楽の贈り物を思い付く
レーネさんと合奏で
桜を表現した東方の名曲を演奏

アドリブA



仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
なんだこの枝垂桜は・・・
この木、この場所にあったか?
まぁ、いいや・・・ん、タイムカプセルか・・・

・・・・・・色々書きたいことはあるけど、『今の生活に満足できているか?成長できているか?』とだけ

決意という決意もないし迷ってるからな・・・
考えなきゃいけないことはいろいろあるからな


アドリブ、絡み大歓迎





アグゼ・ドゥーム 個人成績:

獲得経験:118 = 99全体 + 19個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ふぅむ、手紙かブツか…
手紙はわしの手段じゃないな!わかりやすくて、有益なブツ作りゃ年経った後でも役に立つ!
って事でお手頃なデカイ岩がないか探して、あったらテキトウに崩して手頃な石を小さな手斧に加工させてもらうぞ!
イーイ感じに出来上がったら名前付けて納品するさ!
そうだな、コイツの名前はメシキリオノだ!

リザルト Result


 ひらり。
       ふわり。

   は 
     ら、
        り。

 ――薄紅色の花びらが。揺らぎ落ち、降り積もる。
 それはまるで。時の流れを、数えるように。



(なんだ? これ)
 その場所に辿り着いた時。【プラム・アーヴィング】は、さほど動揺してはいなかった。
 ラズベリーカラーの両目を薄く細め、置かれている机や、書かれている文章を見つめる青年は、どこか色香を感じさせる様相だったが。
 一年前ならいざ知らず、現在の体格ではアンバランスだとも評されそうなその雰囲気は、彼がため息をつくことで色濃くなる。
(タイムカプセル、ねぇ……。じゃ、一年の時、アイツに貰った『紫陽花の髪飾り』でも入れるか)
 見ての通り、もう俺は繊細なアクセサリーが似合う容姿じゃねえしよ。
 思いながらも、鞄から――この場所に来たのは偶然であるというのに――当たり前のように取り出された髪飾りは、色褪せぬ紫紺を集めたものだ。
 軽く揺らせば、しゃらしゃらと。雨音のようにさざめく銀細工もまた、美しいまでの輝きを放っている。
(まるであの日から、何も変わってないみたいだ)
「……変わらないものなんて、ありゃしないのに。なぁ?」
 尋ねたのは、誰にだったろうか。ふっと笑ったプラムは、どこか楽しげに、銀の雨を指で弾く。
(貢物なんてのは何時もの事で。いちいち『誰から』、『どんな状況で』なんて覚えちゃいなかったが)
 コレだけは、思い出せる。
 頭の中で流れ始めた幾つかの映像に、また一つ、指で弾き。
(あの夏、アイツが俺に向けた感情に。『面倒なことになった』と思ったものの……今はそんなに、悪い気はしてないな)
 それは自分が変わったからだろうか。外側だけでなく、見えない部分までもが。
 ……本当に? 『変わらないものなんて、ありはしない』のに?
「ま、これを再び目にする時。お前とどんな関係になってるか知らないが」
 今みたいに、楽しくやってりゃいいよな。呟いて、備えられた箱に入れてみる。
 すると、触れていた全てが花びらへと変わり。空へと、舞い上がった。

(なんだ? この枝垂れ桜。それに、あの後ろ姿は……)
 【仁和・貴人】(にわ たかと)がその場所に招かれた時、先客の姿があった。
(エルネストくんがいると言うことは。また別の世界に飛ばされたわけでは、なさそうだが)
 【サフィール・エルネスト】……少し前に、とある孤児院でチョコレート菓子を配ったことがきっかけで、時々話すようになったエリアルの青年。
「こんな場所、学園内にあったか?」
 話しかけながら近づけば、サフィールも振り返る。
「やぁ、仁和くん。どうやら君も、彼女のお遊びに巻き込まれたようだな」
「彼女?」
 首を傾げる貴人の耳を、少女のような笑い声が触れる。だが誘われるように見上げても、そこには枝垂れ桜の姿だけ。
「まぁ、そういうこともあるか……」
 頭を掻いた貴人の脳裏に、別の『彼女』の言葉が浮かぶ。
 『このごろ少し、たるんでおりはせんかえ?』
(確かに、此処に来たばかりのオレならば。そういうこともあるか、なんてすぐに思わなかったかもしれない)
 それは良い意味で言えば慣れであり。悪く捉えれば、忘失なのかもしれない。
 最近の自分は、あまり元居た世界のことを、考えないようになっているのだ。
 まるで今の世界を受け入れるために、自分の中に、空きスペースを作っているかのように。
「タイムカプセルとあるが。エルネストくんは、何を書いたんだ?」
 思考を打ち捨てるように声を掛ければ、サフィ―ルは迷いのない声で、
「僕は卒業したら、生まれ育った里に帰り、学校を作ろうと思っているんだ」
 だからそんな僕への、励ましの言葉だな。
 続く言葉に、貴人は『そうか』とだけ答えて、それから。
(オレにはまだ、決意と言えるようなものがない)
 ゆえに貴人は、文字を綴り、問いかける。しかしそれはきっと、未来の自分に対してではなくて。
(『今の生活に満足できているか? 成長、できているか?』)
 ――言葉は其処で、止まった。

(はえー……この学校、ホント広いんだねえ。入学してひと月も経ってないから、全然覚えられないや)
 なんて思いつつ、校内を回っていた【ムーシュカ・スターリナ】もまた、その場所に招かれていた。
「ほう、タイムカプセル」
 満開の枝垂れ桜の下、ぽつんと置かれたモノ達を見ながら、ムーシュカは腕を組む。
 感じる雰囲気から、明らかに『此処』が『普通ではない、何処か』であることは理解しているのだが、
「今まで、タイムカプセルとか残した事ないんだけれど、せっかくだし……ね?」
 きっと、生来の性格によるのだろう。そんなふうに告げる彼女の表情は、どこか楽しげで、晴れやかで。
 だからこそ、未来に対しても、前向きな映像が浮かんでくる。
「私が卒業する時って、たぶん……アイドルとして、独り立ちする時だよね」
 それはいつかの『夢の実現』であり、始まりと言ってもいい。
 ならば、そんな自分へ、送りたいものは。
「うん、決めた!」
 イメージを固めたムーシュカは、まず備えられていた羊皮紙に、万年筆を走らせる。
 書き出しは――、
「『これを読んでいる時、応援してくれる人が隣にいると嬉しいです』」
 そうであればいいな、と思う。
 戦う力も、導く知略もない自分は、大好きな音楽で、誰かの心に寄り添えたらと。
 それから……。
(いま流行ってる曲の楽譜とか、歌詞カードも入れておこうかな)
 未来への手紙を書き終えたムーシュカは、鞄から幾枚かの紙の束を取り出した。
 それらは全て、今のムーシュカを形作る物だ。音楽への憧れと、『大好き』が詰まった、たくさんのメロディ達。
 だからこそ。未来の自分に、この曲たちを、贈りたいと思う。
 アイドル……『好き』を『仕事』にしても。心から歌って、踊れているよう、願いを込めて。
(今の私から、大切な気持ちと曲のリマインダーを送るよ!)
 届け。伝われ、いつかの『キミ』へ。
「歌うこと、踊ること。その楽しさを知っているから、『私』なんだって!」

 けれど、そんなふうに。自分は自分だと言いきることが、とても難しいこともある。
 少なくとも、一年前の【シキア・エラルド】は、そう思っていた。
(最初はとにかく逃げたくて。自分自身がほしくて、がむしゃらだったけど――)
 満開の枝垂れ桜を見上げながら、思う。はらはらと、花びらのように零れていった、時の流れを。
(気付けば友達も、仲間もできた。……忘れたくない出来事だって、たくさんある)
 この学園に来て、どれほどの月日が経っただろう。一年だ。まだ、たった一年。
 けれどもシキアにとっては、とても大事な日々だった。宝石箱のように、きらきらとした思い出だらけの毎日。
(それに、みんなが。『俺』にしてくれたんだ)
 明るくて、音楽が大好きな。フトゥールム・スクエアの、『シキア・エラルド』。
 それが、友人達があの日教えてくれた、今の自分であり……『自分自身』であると、シキアも思う。
 だから、今なら言える。自分は『シキア・エラルド』だと。
(俺だけの俺。誰の代わりにもならない、唯一無二の、自分。この学園でこそ、俺は俺でいられるんだ)
 ならば、タイムカプセルに。未来の自分に、願うのは……。
(シキアとして、生きたい。これから先も、ずっと)
 さらさらと。羊皮紙に綴られた言葉は迷いなく、淀みなく、青年の思いを掬い上げる。
 それは、声も同じだった。
「――『シェルシア』が。邪魔だなぁ」
 ぽつりと。告げられた言葉は、誰の耳にも届きはしない。
 だからこそ、その気持ちもまた、嘘偽りのない真実だった。
 『シキア』が手に入ったのなら、『シェルシア』なんて、もういらない。
 あぁ、けれど。その言葉が意味することとは、つまり――。
「……なぁんて、ね」
 翠の瞳が細められる。笑みの形に、弓張り月のように。
 けれどその陰りを帯びた淡い光は、舞い遊ぶ桜吹雪が青年の姿を隠し、元の世界に戻すころには、……消えていた。

(過去の存在である私に、未来を語る資格が、あるの?)
 タイムカプセルの説明文を見て、真っ先にそう思ったのは、【パーシア・セントレジャー】だった。
(『婚礼衣装を身に纏いたかった』、なんて。そんな夢見るお嬢さんみたいなことは、書けない)
 ぎゅっと、胸元の辺りを掴む彼女の手は、透けている。それは今の彼女が、リバイバルである証拠であり。
(古の国の姫とでも言えば、聞こえは良いけれど。私が生きていた時間は、すでに過去のものである、証)
 リバイバルは、死んだ瞬間の記憶を持つことは、できないらしい。魂が己の人生の重みに耐えられず、消滅してしまうからだ。
 ゆえに、自分がこの学園に保護された時。聞いた話が真実であるのかも、深く探ることは出来ない。
 だとしても、覚えていることもある。自分には確かに、守るべき民がいて、国があったのだ。
(それに、私が保護されたあの遺跡には。虐殺された民や兵士、王族共の屍や怨霊が闊歩してるというし……)
 考えていると、足音が聞こえた。振り返れば、ドレスを身に纏ったアークライトの女性、【ラスク・シュトラール】と目が合う。
「ごきげんよう。あなたも、惑わされましたの?」
 くすりと笑い、隣に並んだラスクは、見るからに『貴族のご令嬢』といった様子だ。
 そんな彼女は机の上に置かれていたものを見ると、迷いなく、万年筆を走らせ始める。
 だからだろうか。パーシアの唇から、言葉が漏れた。
「其方は、なんと?」
「決まっていますわ。『領民のために。心の限りに奔走し、奮起せよ』と」
 それがわたくしたちの、在り方でしょう?
 微笑むラスクに、パーシアは頷いた。
 あぁ、そうだ。たとえ全てが、過去であったとしても。
(民や兵士達の魂は、救いたい)
 それは、自分が抱くにはおこがましい願いかもしれない。けれど、できるなら。
(少しでも、彼等の魂が。安らげるように、私は……)
 思いながら、手を動かす。綴られし祈りは、花びらと共に、風に乗った。

(ってか、『いつか』にもよるんだけどねぇ。未来の自分に送りたい物なんて、50年後なら謎みだし)
 そんな物思いと共に、ゆるりと唇の端を吊り上げたのは、【チョウザ・コナミ】だった。
 瞳を細めて、彼女は相変わらずの、この状況を楽しんでいる『ように見える』笑みと共に、思考を転がす。
「開けるタイミングは任意自由、ってことにするとして。学園出る時に開けるていにしとこ」
 二つの意味で。卒業がちゃんとできるかは別として、ねぇ?
 さらりと繋げた言葉の意味は、そのままだ。チョウザには、卒業以外にも、この学園を出なければならなくなるかもしれない可能性が、存在する。
 自分は、知っているのだ。『彼女』が探されていること。あの家の関係者が、まだ諦めていないことを。
(ま。ザコちゃんには、関係ない話だけど……ねぇ?)
 とはいえ、もしも学園を出る時が来たらと考えるのならば、思い浮かぶものもある。
「換金資金にできそーな装飾品全部詰めとく? あと今持ってる有り金もぜーんぶ入れとこ、邪魔だし」
 思いつくままにポイポイと箱に詰められたのは、ヒトによっては喉から手が出るほど欲しい、富(とみ)だ。
 けれどチョウザにとっては、どうでも良いものだった。むしろ嫌いな部類であって、正直に言えば、手にしたくない代物だが。
 世界の構造としては、そうじゃない。興味本位で何事かに首を突っ込めば、やれ勇者様だと褒め称えられ、金を与えられる。
 しかし、どれほど興味がなくても。他者が価値を見出す限りは、交渉材料として持っておくのは妥当だろう。
(実際必要だったしねぇ、ここに来るまでは)
 思いつつ、腰に下げた水煙草の瓶を指で撫でる。あぁ、そうだ。
「ついでにこの斑な布も1枚いれとこ。開ける頃には、あの人のくらいになるかもだし」
 呟いて、しゅるりと。腕に巻いていたスカーフをほどき、箱の中に入れる。
 蓋を閉じれば、まるで砂の塔が崩れるかのように。全てが桜の花びらへと変わり、チョウザの足元で、広がった。

「ふぅむ、手紙かブツか……」
 その場所に招き入れられた時、【アグゼ・ドゥーム】はまず腕を組んだが。答えはとても簡単に、彼の脳内に浮かび上がった。
「手紙はわしの手段じゃないな! 何か贈るにしても、わかりやすくて、有益なブツのほうが、年経った後でも役に立つってもんだ」
 至極単純、明快だ。手紙なんて腹の足しにはならないし、そもそも未来なんて、あまり考えたこともない。
(ま、目標ってなら。『部族の名誉と栄光を持って死ぬ』こと、だけどなぁ)
 けれどそれを叶えるのに必要なのは、今の自分がもっと強くなるための努力であり。
 己が部族を広く知ってもらえるために、自分を知らしめるような成果を積み上げることだろう。
 つまり、今を生きる自分が、どのように過ごすかこそが、大事なのだ。
(って事で、お手頃なデカイ岩がないか探して、あったら加工させてもらうか!)
 そうと決まればと、アグゼは動き始めた。桜の花びらが降る中を歩き回り、ふと見つけた――『現れた』ような気もしたが――岩を砕き、手を加える。
「そういや今、墓斧無くしてんだった。よし、最新の目標は『墓斧を見つける』だな!」
 墓斧とは、彼の種族……『墓斧族』に纏わる伝承であり、象徴でもある、石斧のことである。
 もちろん、ただの石斧ではない。彼等は成人後、いつか死ぬ時に墓石として用いる石を選び、それを石斧として加工し、生涯の得物とするのだ。
(ゆえに、わし等にとって。墓斧は大切なものだ)
 どんな戦場でも共に在り、輝かしい戦果をキズとして刻み入れ、死した後は墓石として共に眠る。
 だからこそ、ちゃんと探さなければ。なんて思っている間に、アグゼの手の中で、小さな手斧が完成していた。
「イイ感じに出来上がったなぁ! よし、コイツの名前は『メシキリオノ』だ!」
 満足げに笑ったアグゼは、箱の中にメシキリオノを入れる。
 すると、ぶわりと。桜の花びらが舞い上がり、アグゼの視界を桜色に染めた。

「おや? ここは……」
 ふっと視界に現れた、満開の枝垂桜を前にして、【オズワルド・アンダーソン】が首を傾げる。
「こんな場所、学園内にありましたっけ。ミサオ、何か知ってます?」
「いーんや? でもまぁ、悪い感じはしねぇし。そう警戒することはないんじゃねぇの?」
 告げつつも、隣に立っていた【ミサオ・ミサオ】が歩み出る。オズワルドよりも前へ出された足が、ざらついた砂利を踏み、音を立てた。
 それからミサオは、その位置を保ったまま前方へと屈み、桜の下……机の上に置かれている文面を、目で追いかける。
「……『たいむかぷせる』、だァ? 未来の自分に向けて贈る決意表明たぁ、固いねぇ」
 祭りの日には似合わねぇや。笑いながら姿勢を崩し、煙管(きせる)に口をつけ始めたミサオに、オズワルドは苦笑する。
「ミサオは肩の力を抜き過ぎなんですよ。せっかくですから、僕は何か、残してみようかな」
 どこか心地良い場所ですし、悪い事にはならないでしょう。
 そう告げて、万年筆を手にしたオズワルドを横目に、ミサオは白い煙を吐き出す。
 けれど、それから。静かに何事かを書き始めたオズワルドに背を向けると、煙管の灰を軽く地に落としてから、
(ならオレぁ……この煙管でも、未来に贈っておこうかね)
 言葉を残すのは、好きじゃない。だからそのまま煙管だけを、ギフトボックスに入れる。
 だが、これを手にするのが未来の自分だっていうのなら、きっと見ただけで。
(わかるだろう? オレ、なんだからさ)
 箱の中に収まった煙管を見て、ミサオは金色の瞳を柔く細める。
(この煙管を買った、交換した時に、誓ったんだからな)
 お前の隣にいるだろうオズワルドは、どんなことがあっても。たとえ、こいつより可愛い恋人、嫁さんが、お前にできたとしても。
(最優先し。守り続けろ、と――)

・・・

 さらさらと。オズワルドは、万年筆を走らせる。
(未来の自分に、手紙を書いている、だなんて)
 かつて、死なないように。ただひたすらに勉学に励んでいた自分には、考えられないような話だ。
 余裕がなかったのだろう、あの頃の自分には。今を生きるのに必死で、他の事を考える心のゆとりなんて、なかった。
 だけど、今は違う。……『友』が、いてくれたから。
(だからこの機会に、未来の僕へ、お願いを書きましょう)
 思いながら、オズワルドは言葉を綴る。
(『あなたが卒業している時には、きっと優秀な医者になってるでしょう』)
 けれどそれはきっと、学園の先輩、友達、後輩、先生方が支えてくれて。
(『ミサオが、僕のそばに。いてくれたからです』)
 だから、どうか。
(『傍にいる人達との思い出を、忘れないで』)
 そして、どうか。
(『一番大切な友と。笑顔で迎えられる、卒業でありますように』――)

・・・

 オズワルドが書き終わり、顔を上げた所を見計らって、ミサオはギフトボックスの蓋を閉じた。
 それを合図に、ギフトボックスは桜の花弁の山へと姿を変え。
 オズワルドが文字を綴った羊皮紙は、四隅の端から花びらとなり、風に吹かれて行く。
「ミサオ、これは……」
「預かってくれるってこったろ。いつか来る、その日までな」
『ふふ……っ』
 正解だとでもいうように。小さな女の子が笑ったような、声が聞こえた。
 思わず二人が見上げると、周囲の景色は元通りに……『Magic of Delight(マジック・オブ・ディライト)』で賑わう学園内に、戻っている。
「さっきまで、あんなに静かだったのに」
「オレはこのほうが好きだがねぇ」
 がやがやとした喧騒の中、ニヤリと笑ったミサオが、頭の後ろで腕を組む。
 その仕草にはたと気付いたオズワルドは、少しだけ、間を置いてから、
「ミサオ、煙管は?」
「箱に入れたらなくなってもうたわ」
 だから、さ。
「オズワルド。買いに行くの、付き合えよ」
「……はいはい、わかりました」
 当然のごとく告げられて、オズワルドは肩を竦める。
 けれどその口元は、綻んでいた。



 不思議、ふしぎ。未来への贈り物を、考えるだけなのに。
(ヒトはこんなにも、ちがうのね)
 くるくると、『彼女』が回る。
 様々な思い、願い、祈りが形作った光の玉(その中には、【ライラ・フローレス】のものも混じっている)に囲まれながら、少女は笑っていた。
(素敵、ステキ、私は好きよ。その違いを、可愛いと思う)
 だからもう少しばかり、近づいてみても良いかしら。
(私は【コノハナ】。この枝垂れ桜を棲み処とするもの)
 そして、『あなた』の道行きに。幸いあれと、願うもの――。



 ひらり、はらりと桜の花びらが舞い降りる中、【シルワ・カルブクルス】は手を動かしていた。
(卒業するまでに、私たちがどんな風に変わっていくのかわかりませんが……)
 この日の想いを、その時の私に託すのも。悪くないですね。
 思いつつ、シルワは羊皮紙を言葉で埋めていく。
(『いつか、卒業する私へ』)
 書き出しは、そんな言葉ではあるけれど。
(まだ私は、この学園に来たばかりなんですよね)
 だから、想像してみる。未来の自分は何を為し、どんな道を歩き出そうとしているのだろうと。
 シルワがこの学園に来た理由は両親に薦められたからだが、『ただの村人として、平穏に暮らせるための』知識や技術を学びたいとも思っている。
 そのためには、世界が平和でなければ困る――平穏に暮らしたいのだから、当然だ――ので、厳めしい鎧を身に纏い、斧を振るうことも度々あった。
 だからきっと、これからも。
(『おそらく、ここまで色々なことがあったと思います』)
 自分は立ち向かうのだろう。平和を乱そうとする脅威に対して、出来る限りを尽くして。
 ならば、きっと。
(『卒業したあとでも。ここまでやってきた私なら、どんな困難でも乗り越えられるはずです』)
「『これからの人生に。幸があらんことを、祈っています』――……」
 綴り終わったシルワは、一度誤字がないかを確認し、万年筆を置く。
 すると、ふわりと。羊皮紙が風に舞い上がり、シャボン玉が割れたかのように弾けたかと思えば、桜の花びらとなって飛散した。
 薄紅色の花弁が、視界を染める。なんとなく『元の場所に戻る』のだろうと察したシルワは、しかし見た。
『ふふっ……』
 桜色の髪に、東方の衣装を纏った女の子が、笑顔で手を振っている。
 その姿がなんだか、幼い頃から自分を見守ってくれて、旅立ちの日に温かく送り出してくれた両親や、村の人達と、重なって、
「ありがとう、ございます」
 シルワもまた、手を振り返して。
 ……微笑んだ。

「タイムカプセルだって、エジルお兄ちゃん!」
 はらはらと零れる桜の中を、【ファム・ゼロワン】の快活な声がくぐる。
「ふむ……実に興味深いですね。何を託しましょうか?」
 その隣では、【エジル・イムニン】が落ち着いた眼差しで、微笑んでいた。
 二人がこの場所に迷い込んだのは、マジック・オブ・ディライトで賑わう校内……特に、屋台を回っていた時だ。
 ゆえに、ファムの手には食べかけのイカ焼きやリンゴ飴があったり。
 エジルの腕の中には、彼女に希われて獲得した、射的の景品(ふわふわで可愛らしい、クマのぬいぐるみだ)があったりしたのだが。
(これもまた、大切な思い出となりそうですね)
 穏やかな瞳で、『卒業したらかぁ~』と朗らかに笑うファムを見守るエジル。
 すると、ふいに。柔らかな風が吹き、桜の花びらが渦巻いたかと思えば……、
「わっ、かわいいっ~!」
 現れた少女……和装を身に纏い、桜色の髪を背の辺りで結わえた女の子に、ファムは金色の瞳を輝かせる。
 けれど、どこか不思議さ――具体的に言えばうっすらと透けていて、生き物なら持つ筈の『影』がないのだ――を感じて、エジルを見た。
「……エジルお兄ちゃんにも、見える?」
「えぇ、僕にも見えています。もしかしたら、この桜の精なのかもしれませんね」
 こくこくこく。しきりに頷く女の子に、もしかしたら言葉を話せないのかもしれない、と二人は思う。
 だからだろうか。ファムは女の子に視線を合わせるようにしゃがみ込むと、食べかけのリンゴ飴を差し出しながら、
「あげる! お祭り気分のお裾分けだよっ!」
 笑いかけるファムに、女の子は満面の笑みを浮かべて、受け取る。
 そんな二人に倣うよう、エジルもまた、腰を落とした。

・・・

 三人――といっても、実際に会話していたのは二人だったけれど――は、様々な話をした。
 枝垂桜に背を預け、卒業したらどんなふうになりたいか、その後何をしたいかなど、色々だ。
 それをニコニコと聞いていた少女は、リンゴ飴を食べ終わると立ち上がり、設置されている机へと向かう。
「どうしたの?」
『――……♪』
 帰ってきた女の子にギフトボックス(どうやら二人で1つのつもりらしい。他のものよりも、少し大きめだ)を差し出され、首を傾げるファム。
 そんな彼女に、少女は文字が書かれている紙を掲げて見せた。
「『タイムカプセル、承ります』……ああ、なるほど。あなたが預かってくださるのですね」
 こくこくこく。頷く少女に、ファムとエジルは顔を見合わせる。
 それから、ファムはにっこりと、エジルは柔らかに微笑むと、それぞれが下げていた鞄の中身を、地面の上に広げ始めた。
『……?』
 今度は少女が首を傾げて、ファムが笑う。
「どうせだから、一緒に決めよ? ちなみにこれは、学園に来る前に拾った綺麗な貝殻で~……」
「これは僕の、お気に入りの栞ですね。実は、押し花に使われている花が……」
 それぞれについて語り始める二人に、少女は頷きを返す。
 まるで喜んでいるかのように、枝垂れ桜から、花びらの雨が降った。

・・・

 そうして決まったタイムカプセルの中身を、箱の中に並べていく。
 ファムからは、お気に入りのブレスレット、育ての親から送られた筆ペン。そして未来の、エジルへの手紙。
 エジルからは、十字架のネックレス、昔ある人から貰ったおもちゃの指輪に、未来のファムへと宛てた手紙。
(それと、ファムやこの世界を守るという、決意もでしょうか)
 思っていると、少女がじっと自分を見上げていることに気付くエジル。
 それに対して、しぃ、と。唇の上に人差し指を乗せたエジルに、少女はくすくすと笑う。
 そんな精霊の様子を、『開ける時が楽しみ』なのだと思ったファムは、うんうんと頷いてから、
「未来が楽しみだねっ、エジルお兄ちゃん!」
「えぇ、……そうですね」
 太陽みたいに、笑った。

 その場所に招かれた【朱璃・拝】(しゅり おがみ)は、興味深そうに机の上を眺めていた。
「タイムカプセル、ですか」
 柔らかな春風を感じながら思考を巡らしていた朱璃は、ふっと笑みを零してから、万年筆を手に取る。
「『拝啓、未来の私へ。貴方は今も、最強の拳士への道を歩めていますか?』」
 綴りつつ、朱璃は思い起こす。この学園に来るきっかけとなった、『彼』の存在を。
 朱璃にはとても大切で、慕っている、兄がいた。
 ……『いる』ではなく、『いた』のだ。同じ拝の姓を受け、族長の子として、共に格闘術を極めんとしていた、大好きな兄が。
(けれど、兄様は――……)
 思い出しかけて、手が止まる。けれども朱璃はただ、微笑んだ。
(兄様。兄様があの日、私に託した願いは、今も心の奥に刻まれております)
『自分が出来なかった分まで、武の道を究めて欲しい』。
 朱璃はその言葉を、一日たりとも忘れたことはなかった。
 それどころか、昔はその願いを叶えること……『最強の拳士』になることで、兄への恩返しをしたいと思っていたのだが、
(『最強の拳士』は、今や私の夢でもありますの。だから何があっても、挫けたりしませんわ)
 それはきっと、兄の想いと共に。同じ夢を目指して、これからも歩んで行くということであり。
(ならば、私は……)
 迷いなく、書き記す。
(『目の前には深い谷や高い壁。かき分けるのも難しい険しい道が、ずっと続いているかもしれません』)
 それでも、私は。
(『兄様が信じてくれた、私自身を信じて。進んで欲しいですわ』)
 それは祈りであり、願いでもあった。この胸に宿る気持ちが、色褪せないで欲しいと。
 ――哀しみも、寂しさも、そして揺るぎない決意も。全ては『あなた』が確かに居た、その証だから。
「ふぅ……」
 小さく、息をつく。ふいに視線を感じて、朱璃は顔を上げた。
「まぁ、可愛らしい」
 こそっと。枝垂れ桜の陰から顔を出す女の子に、朱璃は気付く。
 その姿はまるで、声をかけようか、かけまいかと悩んでいるみたいで。
(私にも。そんな頃が、ありましたわね)
 微笑んで、朱璃は鞄の中から水筒を取り出す。
 それから、こちらを伺い見る少女へと――、
「良ければ、お茶でもいかが?」
 手を、差し出した。

「おや、お二人とも。いらっしゃい」
 【レーネ・ブリーズ】と【タスク・ジム】がその場所に迷い込んだ時、二人を迎えたのはそんな言葉だった。
 思わずタスクは、枝垂れ桜の下に立っている声の主……【シトリ・イエライ】へと駆け寄る。
「シトリ先生! ちょうど今、シトリ先生のお話をしていてですねっ!」
「正確にいえば、先日おはなししてくださった、『記憶をうばう魔法』についてですが……」
 タスクの後を追うように、レーネも歩み寄る。
 そんな二人に、おやおや、と笑ったシトリは、
「お祭りの日だというのに。お二人は本当に、勉強熱心でいらっしゃいますね」
 いち教師として、嬉しい限りです。なんて微笑むシトリは、ですが今は、と言葉を繋げてから、
「『彼女』のことも気にしてあげないと、拗ねてしまいますよ」
 トン、と。手に持っていた大杖で、大地を叩く。
 すると、ぶわりと。まるで呼吸をするかのように、枝垂れ桜が一度揺れ、桜の雨を降らせ始めた。
「これは……それに、ここは……」
 舞い降りる花びらの中、辿り着いた場所の不思議さに気付いたタスクが、辺りを見回す。
 同じように周囲を探っていたレーネが、ふいに声を上げた。
「……タイム、カプセル?」

・・・

 机に置かれていた文面を見た二人は、それぞれに、動き始めた。
(タイムカプセル……いまのわたくしを、未来につなぐもの)
 何も書かれていない羊皮紙を前に、レーネは万年筆を握る。
(でしたら。いまのわたくしの想いをすべてつづり、託します)
 レーネは思う。これからも、記憶を奪う者達を、追いかけたいと。
(ですが、その場合。いずれ、わたくしの想いも、うばわれてしまうかもしれません)
 ならば此処に、記しておこう。いつかこの手紙を開いた自分が、忘れていた気持ちを、思い出せるように。
 誰かに悪用される前に、取り返せるように。
(それもまた、たたかい、だから……)

・・・

 対するタスクは、ギフトボックスの前に立っていた。
(タイムカプセルなんて、面白い取り組みですね)
 思いつつ、箱の中に。未来へ届けたいものを、詰め込んでいく。
 まずは番傘。幾度となく課題でも活躍した『桜舞』は、英雄を目指す自分を。
 そして羽根ペン。これは報道勇者を目指したいと思い、日々邁進する自分を。
 最後に愛読書である『やさしい行政事務入門』。これは司書を目指す自分を。
(どれも、別々の夢に対するものではありますが、僕は……)
 できるだけ、全部を抱えて行きたいと思う。だって、欲張ることが『フトゥールム・スクエア流』だと、校長先生は言っていたから。
 けれど、出来るかどうかは、わからない。きっと、自分次第なのだ。
 だから。
(『あなたは選びましたか? それとも全部、欲張りましたか?』)
 メッセージカードに問いを記し、同封する。
 いつかの自分が、これを見た時。笑えていればいいなと、思いながら。

・・・

 タイムカプセルを作り終えた二人は、それぞれが持っていた楽器を手に、合奏をしていた。
 姿見えぬ『彼女』――シトリが言うに、これは桜の精による、『親愛』であるらしい――に、お礼をしたいと思ったのだ。
 ひらり、はらりと降る桜の中を、レーネの持つラッパの音がくぐっていく。
 その伸びやかなメロディを、タスクの奏でるラベイカの音色が包み、広げ、響かせていく。
 そんな二人を、枝垂れ桜はただ、見守っている。
 はらはら、……はらり。薄紅色の桜が、また一つ。足元に降りた。



課題評価
課題経験:99
課題報酬:0
【新歓】『私』から、『あなた』へ――。
執筆:白兎 GM


《【新歓】『私』から、『あなた』へ――。》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 1) 2020-04-26 00:29:31
とりあえずご挨拶。王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
何をするかは、まだ決めてないわ。

……あら、こんなところにダイスが。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2020-04-26 01:53:10
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします!
新入生の皆様、ご入学まことにおめでとうございます!
春の桜が巻き起こすちょっと不思議な出来事、みんなで体験いたしましょう!

早速ですが、僕はこの桜のしたで歌か楽器を奏でて
桜と、この粋な取り組みをされたかたに、音楽の贈り物をしたいんです。
一人でも実施しますが、ご一緒いただける方大歓迎です♪

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 3) 2020-04-26 19:53:39
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

私もまだ具体的な行動は考え中ですわ。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 4) 2020-04-27 14:37:08
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。
いまのわたくしの想いをタイムカプセルに託したいとおもいます。
よろしくおねがいします。


ジムさんの音楽についてはわたくしの楽器でよろしければおてつだいできます。
ただ、ようすをみますと「ふとたどりついた場所」、
行動がおわったらすぐ「元の場所にもどされる」ということみたいですから、
ごいっしょするのでしたら最初からいっしょにあるいていた、
ということがよさそうです。
おなじクラブですし、わたくしの楽器はほぼいつももちあるいています。
いかがでしょうか。

《2期生》 シルワ・カルブクルス (No 5) 2020-04-27 16:08:19
村人・従者コースのシルワ・カルブクルスです
タイムカプセル…そこに手紙などを納めて、あるときに開けるのですよね
卒業するまでに私たちがどんな風に変わっていくのかわかりませんが
この日の想いをその時の私に託すのも悪くないですね

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 6) 2020-04-27 17:41:59
タイムカプセル……よくわからないけど、つまり、未来の自分へ贈る言葉や、叶えたい目標でも書けばいいの?

……大したこと、書けないわよ?

《新進気鋭》 ムーシュカ・スターリナ (No 7) 2020-04-27 21:05:43
芸能・芸術コース、ムーシュカだよっ!
今回は取り敢えず、入学したばっかりの今の気持ちをありのまま書いてみようと思いますっ! はいっ!
……いつかこれを懐かしく思う日が来るって考えると、不思議な気持ちになれるよね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 8) 2020-04-28 06:08:17
レーネさん、嬉しいご提案ありがとうございます!
是非、是非よろしくお願いいたします!

レーネさんは、天使の歌でしょうか?
僕は楽器、歌、どちらでもやりようはあります。
音楽の内容を考えたいところですね。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 9) 2020-04-28 09:33:33
はい、天使の歌ですね。わたくしはそれしかもってませんし、
ふとたどりついたということですから、
それ以外の楽器を準備していたということもなさそうですから。

それではウィッシュプランではありますが、
同行して演奏するということで書いておきますね。

《新入生》 ファム・ゼロワン (No 10) 2020-04-28 20:15:38
はじめましてだよ!
ファム・ゼロワンだよ~!
新入生です!
専攻は芸能・芸術だよ!

今回は知り合いと一緒に行くから、他の人とはまた今度だね!
その時もよろしくお願いします、だよ!

《新入生》 ファム・ゼロワン (No 11) 2020-04-28 20:21:21
よし、ダイス振っておこー!

そいや!

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 12) 2020-04-29 00:39:57
フレッシュフィーバーだな。
そうだなァ、何の気なしに立ち寄ったが折角だし何か入れてこ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2020-04-29 13:08:30
レーネさん、ロールプレイについてのご相談です。

桜に遭遇するまで一緒に歩いていたことになるので、
どんな様子だったんだろう、と思案してみたのですが…

ちょうど、同じGM様の「ニジカケ@レンジャー」で
レーネさんがシトリ先生に聞いてた記憶の魔法のお話が
大変興味深かったので、(部室でも触れて下さってましたし)
歩きながらそのお話を聞いてた、という記載を
プランに加えても、差し支えないでしょうか?

また、ウイッシュプランで書かれる予定の、歌について、
描写等で、差し支えない範囲で、教えていただける部分が
もしあれば、教えていただけるとありがたいです。

描写や表現で、合わせられる部分があれば、面白いかもしれませんので。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2020-04-29 13:09:43
さて、あとは、僕達が桜の精霊さんに会えるか、
それともNPCさんに会えるか、ダイスを振ってみますね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2020-04-29 13:20:05
レーネさんへ(たびたびすみません)

NPCさんでしたね。どなたか希望されますか?
話の流れから、シトリ先生をお呼びしてみましょうか?

あと、【天使の歌】はトランペットだったんですね。
では、こちらも楽器を用意して、アンサンブルということで考えてみますね。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 16) 2020-04-29 13:56:34
きっかけについてはその経緯でだいじょうぶです。
演奏については「想いをつづったあと、タイムカプセルにいれる前にジムさんに協力する」というかんじですね。
NPCの方については、そうですね、シトリ・イエライ先生が自然そうです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 17) 2020-04-29 19:22:08
ありがとうございます!
では、その方向でプランを書いてみますね。

シトリ先生に会えるなら、色々聞いたり、深い話など
有意義な時間になるよう色々考えたいところですね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 18) 2020-04-29 19:29:08
私もダイスを振っておきますわ。それ!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 19) 2020-04-30 06:52:05
字数調整のおしらせがきましたね。

わたくしのプランはなんとか対応しました。
こちらでおはなししましたジムさんに関わる部分は維持できています。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 20) 2020-04-30 14:07:25
魔王・覇王コースの仁和だ。
ブリーズくんも言っているが文字調整が入ったな・・・
今日出発だし調整し忘れ無いようにな。


さて、オレもダイス振っておこう。

《2期生》 シルワ・カルブクルス (No 21) 2020-04-30 14:40:42
私もダイス振っておきましょう

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 22) 2020-04-30 16:59:25
調整入りましたね。

あ、300文字でいいったい!と思い、
調子こいていつものように文字を詰め込んでいたら、
大変なことになりました(笑)

不安に思い、念のためお問い合わせしてみて良かったです。

とにかく、急いで削らないと~!

調整大変ななか、「あの計画」をキープしてくださって、
ありがとうございますレーネさん!

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 23) 2020-04-30 22:00:06
調整前に送ってたけど、まあ、やむを得ないわね。
削って提出済みよ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 24) 2020-04-30 22:46:23
レーネさんへご報告です。

音楽については、東方の有名な桜の曲、
シトリ先生との話題は、魔法や世界についての意見交換、
と、してみました。

なにしろ150字、通常の半分しかないので、
十分な表現とまではいかなかった点、ご容赦ください。
とはいえ、このような試みにお付きあいいただき、感謝します!

皆さんのプラン…どんなことを未来に託すのか、ということも
とても楽しみです!
ご一緒いただき、本当にありがとうございます!