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私をその事件の


ストーリー Story

 ――学園長と話がしたい。
 その日、何人かの男を連れて現れた【囚人服の男】はただ一言、そう言った。
 なぜこんなところに? 何のために?
 偶然その光景を目の当たりにした学園生は、誰ともなくそんなことを囁く。
「ほら、道をあけてください!」
 好奇心や野次馬で様子を見にきた学園生の山をかき分け、ようやく現場に到着した学園職員に男はにこりと笑いかけた。
「ご苦労様です。学生さんたちをまとめるのはさぞ大変でしょう」
「あぁどうも……ではなく! ここに何の用でしょうか!?」
 独特の空気感を感じさせる男の空気に飲まれまいと、問いかけるも男はただ『学園長と話がしたい』と繰り返すただけだった。
 それはそれは、とても柔和な表情で。

 学園応接室に古い羊皮紙が広げられている。
 日付は十年ほど前のもので、紙面には小さな田舎町の片隅で凄惨な殺人事件が起きたということを知らせるというもの。
 この世界において、殺人事件など滅多に起こらないものだ。
 ――ましてや、それが人為的なものであるならなおさら。
 故にそれを覚えている学生もいたのだろう。そんな誰かが吐いた小さな溜め息がやけに大きく聞こえた。
「ってぇわけで、チミたちにお願いしたい事があるんだぞっ」
 そんな状態であっても学園長【メメ・メメル】の声は底抜けに明るく、良くいえば安心感のある、悪くいえば空気をぶち壊していた。
 まぁメメたんだし。今日も彼女は通常運転だ。
 そう、通常運転。……ということはトンデモな出来事が舞い込んでくるに違いない。
「いやぁ、流石彼の有名な『フトゥールム・スクエア』の学生だ。聡明そうな方達ばかりですね」
 その部屋の片隅から聞こえた声に振り返れば、そこには学園長と生徒の他に数名の人影があった。
 優しい言葉遣い、柔らかな微笑み。その青年はモンスターどころか虫の一匹も殺せないような雰囲気の青年だった。
 ただ、彼の纏う衣服と手首にはめられた枷。彼を取り囲む屈強そうな男たちだけが異彩を放っていたが。
「諸君らの中には初めて見る子もいるだろう。彼はその新聞に書かれている人。数十年前の殺人事件を起こした犯人その人だ」
 そんな人物が一体なんのために。危険ではないのか。何故学園長はこのような男を学園に招き入れたのか。
 静かな水面に落とされた石のように生徒たちの間に騒めきが起こったところで、メメルが手を叩く。
「はいはーい静かに! コイツがキミたちに何かすることはない。不穏な動きを見せようモンならそこの看守たちが即座に取り押さえるし、それが破られたとしてもオレサマがすぐに対応するから安心したまえ!」
 屈強そうな男たちは看守だったらしい。二重の防衛システムを用意しているならば安心だろう。
 さて、そうとなれば……この男は何故ここにやってきたのだろう。
「ではその説明は私が」
 そんな疑問を誰ともなくこぼせば、青年は学生の前に歩み出て話し始める。
「数十年前に起こった凄惨な『殺人事件』……、」
 ――私をその事件の『犯人』にして欲しい。

 空き教室の一つに家具やインテリアの類が用意されている。
 聞けば、簡略化はされているものの事件現場の状態をほぼ再現されているのだそうだ。
 暖炉があり、ベッドがあり、机がある。机の上にはティーポットとカップが並べられている。
「部屋のちょうど中央に、彼女は倒れていた」
 被害者が倒れていたとされるそこを男が指差すと、そこには人形が代わりに置かれている。
「私は彼女のすぐそばに立っていました。手には血塗れのナイフを持って」
 彼女が倒れ、その姿が消えて無くなるその時まで、ただ呆然とその様子を眺めていた……らしい。
 彼はその瞬間を覚えていない。彼が自分の意識を取り戻した時、彼は自警団に現行犯で取り押さえられていた。
 だから本当に自分がやったのかわからない。わからないが、周囲はみんな自分を指差して言うのだ。
 ――お前が犯人だ。
 ――お前が彼女を殺したんだ。
 ――犯人はお前しかいない。
「皆、私が犯人だというのです。しかし私にはわからないのです」
 だから、どうか。この事件が忘れ去られてしまう前に。
「私をこの事件の犯人にしてください」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 7日 出発日 2020-05-21

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2020-05-31

登場人物 8/8 Characters
《ゆうがく2年生》ハイネ・セレネイド
 ヒューマン Lv11 / 黒幕・暗躍 Rank 1
怪盗紳士 物を盗むのは弱者の為に 他人を傷つけたり殺すのは絶対にせず 盗む物に対して最大限の敬意を払うべき それが怪盗紳士としての誇りであり品格である 【外見】 長い銀髪を三つ編みにしている 青い瞳 背が高く細身 【性格】 正義感が強い好青年 どんな時でも紳士を名乗り相手への最大限のリスペクトを忘れない また、フェミニストであり、女性は守るべき存在だと思っている 趣味の手品で今日も怪盗紳士は物を盗む
《商人の才覚》マリウス・ザ・シーフ
 カルマ Lv7 / 黒幕・暗躍 Rank 1
「マリウス・ザ・シーフ……『怪盗マリウス』だ」 「固すぎるビンの蓋、どこからでも開けられるはずの袋、開かずの金庫……そして、誰かに奪われた何が何でも取り戻したい宝物……」 「そういったものがあるならば、私のところに来たまえ。無論、相応の報酬はいただくがね」 本名不明。年齢不明。性別不明。国籍不明。 依頼を受けてターゲットを盗み出す、謎だらけの怪盗。 (性別に関しては、男物の服をよく着ているため、男性と仮定して扱われることが多い) 両利きで、魔法陣の位置は両手の甲。 カルマらしい球体関節の身体に、魔術的なものと思しき紋様が刻まれている。 どちらも露出の低い服で隠しており、一見してヒューマンと見分けがつきづらい。 話し方は紳士的で気障な口調、無機質で機械的な口調、フランクな若者口調の3つを、恐らくは気分によって使い分けている。 特技は鍵開け。好物はプリンアラモード。 【怪盗6ヶ条】 マリウスが己に課している、怪盗たるための6つの鉄則。 一、己の仕事に誇りと自信を持つべし 一、美意識は高く保つべし 一、日々、鍛錬に励むべし 一、道具は丁寧に扱うべし 一、暴力・破壊は極力慎むべし 一、一度定めたターゲットは必ず盗み出すべし
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《1期生》アケルナー・エリダヌス
 ローレライ Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
目元を仮面で隠したローレライの旅人。 自分のことはあまり喋りたがらない。適当にはぐらかす。 ふとした仕草や立ち居振舞いをみる限りでは、貴族の礼儀作法を叩き込まれてるようにもみえる。 ショートヘアーで普段は男物の服を纏い、戦いでは槍や剣を用いることが多い。 他人の前では、基本的に仮面を外すことはなかったが、魔王との戦いのあとは、仮面が壊れてしまったせいか、仮面を被ることはほとんどなくなったとか。 身長は160cm後半で、細身ながらも驚異のF。 さすがに男装はきつくなってきたと、思ったり思わなかったり。 まれに女装して、別人になりすましているかも? ◆口調補足 先輩、教職員には○○先輩、○○先生と敬称付け。 同級生には○○君。 女装時は「~です。~ですね。」と女性的な口調に戻る。
《野性のオオカミ》ヘルムート・アーヴィング
 ルネサンス Lv8 / 魔王・覇王 Rank 1
「自分はヘルムート・アーヴィング。誇り高きロイニデッド出身、種族は狼のルネサンスだ。優れた軍人になるべく、この学園へと入学する事となった。諸君らと良い学友になれることを願っている。」                               ―――――――― 【性格】 軍人を目指すだけあって、堅さがある口調だが社交的に見えるよう、人前では口角を意識して上げて笑みを作っている。 己に厳しく、そして他人と一定の距離を置く様にしている。 ポーカーフェイス、冷静で居るよう意識してるが、狼なので尻尾に意識せず感情が現れてしまう。 『優れた軍人であるべき』アーヴィング家の血を引きながら、放蕩な1期生のプラムに嫌悪感をあらわにするが、半年経った現在、態度は軟化してきている。 根が善人の為、厄介事に巻き込まれがち。 【口調】 一人称:自分、僕(感情が高ぶると俺) 二人称:君、諸君、(男女共に)名前+君 「本日の授業の仲間は…諸君らか。勉学ばかりで実戦経験が乏しい自分だが、どうかよろしく頼む。」 「課題を一緒に乗り越えてきた仲間は、一生の宝だ。特に先日のマラソン大会は、少し自分に自信を持てたよ。」 「プラム…貴様さては何も考えてないな????」 【好き】 長姉 家族 酸味 【嫌い】 プラム・アーヴィング 自堕落な人間 侮られる事 傷の舐め合い
《新入生》パソス・ウェルテクス
 ローレライ Lv6 / 賢者・導師 Rank 1
弱きを助け悪を挫く、超天才美少女魔導士!! 身体に内包している莫大な魔力と天才的な知能を駆使して、今日も敵をバッタバッタとなぎ倒せ!! …という設定のすこしいたーいローレライ 設定全開で活躍しようとするが、だいたい空回りした後に「ふっそういうことだ」とか「くくっやはりそうだと思ったのだ」とか得意げにいうのはお約束 見た目が幼いため、子供扱いされると怒るが… 持っているものは年相応に持っているようだ 本名はイエラ・コーラサワー 実はどこかの商人の令嬢だが、物語の魔導士に憧れてしまい挙句の果てにはそのせいで厨二病を発症したもよう しかし両親が超親バカなので理解しているらしく、人様のために魔物を倒すことを決意した時には、もう泣きながら学園の入学を薦めたらしい とりあえず、コーラサワーじゃ格好が悪いということで偽名で名乗ることにした…らしい ※慌てたときなどの素の口調 一人称:わたし 二人称:あなた 三人称:~さん 口 調:~です、~ます
《勇往邁進》金田・一郎
 ヒューマン Lv15 / 賢者・導師 Rank 1
著名な名探偵の孫 (金田なんて名前の有名な名探偵いたっけ?) 寝言のような突拍子のない迷推理を展開することから「寝言の一郎」、逃げる犯人を投げコイン(火炎ツーホー)で狙撃するところから「銭形一郎」の異名を持つ どんな事件にも首を突っ込みたがる「遊び人の金田さん」である。 「みんなを集めてくれ」 「あなたですね、犯人は」 「私の灰色のSTAP細胞が活動を始めた」 「この背中の紙吹雪散らせるものなら散らしてみやがれ」 など謎めいたセリフをよく使う 得意技は「投げコイン」 (レールガンほどの威力はない) 背中に紙吹雪の刺青シールを貼っている ホームズという名のワンコを飼っている(三毛猫ではない、ジ○りも関係ない) LV20で、もしかしたら賢者に転職・・・
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。

解説 Explan

【目的】
 事件の真相を推理する。
 彼がその推理に納得する。
(男を犯人として推理しなくても構いません)

【事件】
 数十年前に起こったとされる殺人事件。
 被害者は体の複数箇所を鋭利な刃物で何度も滅多刺しにされ死亡。
 自警団は被害者の恋人だった男を現行犯として逮捕。
 男は逮捕直前まで我を亡くしたように立ち尽くしていた。
【人物】
 囚人服の男
 =現行犯逮捕された男。皆さんに依頼をしてきた彼その人です。
 皆さんの質問には嘘偽りなく真実を語ってくれるでしょう。
 被害者とは恋人関係にあり、関係は良好であったようです。
 職業は医師で、麻薬的な毒にも薬にもなるような薬品を扱うことができたようです。

 被害者
 人付き合いよく、誰にも好かれる性格の女性です。
 胸部、腹部、喉など人間の致命傷となり得る場所を複数回滅多刺しにされていた。
 直前までお茶を飲んでいたようで、彼女の服には溢れたお茶がシミを作っていました。
 持病で体があまり強くなかったようです。

【室内】
 テーブル
 ティーポットとソーサーが2つ。カップの1つは被害者がいたと思われる場所に割れた状態でありました。
 また、甘く香る小瓶が残されていました。なにか液体が入っていたようです。
 ナイフ
 凶器です。被害者の血液がべったりと付着している状態で、床に落ちていました。
 囚人服の男曰く、覚えてはいないが「逮捕された瞬間、私はそれを手にしてはいなかった」
 花瓶
 花が生けてある花瓶です。彼女の好きな花が飾ってありました。

【称号】
 このシナリオでは称号が付与される可能性があります。
 称号を付与する条件は以下のとおりです。
 囚人服の男が最も納得した推理を披露した方に【真相を追うモノ】
 (男が納得すれば真実にたどり着かなくても構いません)




作者コメント Comment
 皆さまご機嫌よう、ゲームマスターの樹志岐でございます。
 このエピソードは皆さんの想像を膨らまして彼を納得させることが目的となります。
 皆様の行動如何で称号が付与される可能性があります。がんばってください。



個人成績表 Report
ハイネ・セレネイド 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:180 = 60全体 + 120個別
獲得報酬:4500 = 1500全体 + 3000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:真相を追うモノ
これはもう数十年前の話
君は自分を納得させたいんだね

なら、私が用意するのはあらゆる『IF』の話だ

まずは『君が犯人の場合』
彼女に頼まれて殺した
あるいは病気を憂いて殺した
正気では出来なかったから殺してから薬を飲んだ

『彼女が犯人の場合』
持病で疲れてしまった
何らかの理由で自殺と知られたくなかった
だから他殺に見えるように仕組んだ

『第三者の場合』
この2人、あるいはどちらかが気に食わなかった
だから眠らせて女性は滅多刺し
男性に罪を擦り付けた

個人的には『第三者が犯人の可能性』が1番難しくないけれど
どれも穴がある

それ故にまた別の案を出したい

薬は君が用意した
2人で同じ薬を飲んだ
その後第三者に刺された

『その他』の案だね

マリウス・ザ・シーフ 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
アドリブ絡み歓迎
「真実が知りたいなら、『私を犯人に』なんて望むものではないよ、キミ
「予告しよう。私は怪盗…隠されたモノを白日に晒し、奪われたものを奪い返すのが仕事。必ずキミに自由と名誉を取り戻す
「だから、どうせなら応援してほしいね。その方が張り合いが出るというものだ

「推理を述べる。この事件、罪状は殺人ではない…自殺幇助だ
「そもそも人体の知識がある彼が犯人なら、彼女がここまで傷ついていることがおかしい。捜査の攪乱?いや、それなら遺体を隠して消滅を待てばいい
「また、物盗りや快楽殺人でもないだろう。それなら同様の事件が起こっていないのは不自然だからね

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
歴史学・事前調査で当時の記録を調査
町人に当時の様子を聞く

推測併用

犯人になりたいなら嘘でも自白すればいい
何故そうせず他人に犯人にされようとするのか
真相究明より自分を犯人にして貰う事が目的?

仲の良い彼女を殺す理由がない

病で長く生きられないと思った彼女は
彼との穏やかな生活が続かなくなる不安や
病の苦痛に心が荒んでいく事を悩んでいた?
運命を呪い、酷い言動を愛する彼に向けてしまう事を恐れ
自制が効く間に自らの死を望んだかも?

それを知った彼は彼女が穏やかに死ねるよう毒を用意し
彼女を一人で死なせないと自分も毒を飲もうとしたのか

しかし彼女は彼に生きて幸せになって欲しいと望み
彼女だけが毒を飲んだとしたら残された彼は

アケルナー・エリダヌス 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
男女の仲は良好
男性は医者だった
女性は持病があった

男性は倒れた女性の側で、ナイフを持って立っていた
逮捕された時には、男性は凶器は手にしてなかった

もしかすると、女性の持病は快癒の見込みがなく、痛みを抑えるため……強い幻覚作用のある薬を投与したり、しなかったかな?
もしそうなら、痛みに耐えられなかった女性が、規定量以上の薬を飲んでしまい……発作的にナイフで自刃してしまったのかも

その光景を見た男性は、救護しようとナイフを抜いたが……どうみても手遅れだった
力が抜けた手から落ちるナイフ

自分の薬でこうなった
強い自責の念が、男性の記憶を曖昧にし……自分のせいだと思い込み、犯人であることを受け入れた

と推理するよ

ヘルムート・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ナイフを手に持っていたか否か、の証言が矛盾している。
そして、小瓶や茶の入手経路、そして誰がそれを淹れたかを知りたい。

動機として『持病で恋人が長くなく苦しむ前に手を掛けようと思った』と考えらえるが、それならば安楽死させる薬でも良かったように思う。

だから、貴方に殺害動機はなかったのではないか。

これは『小瓶』がXの値であること良い事に立てた仮説になるが。

小瓶の中身を摂取した為に貴方は殺人を犯したか、二人が意識を失っている間に第三者が殺人を犯した。

後者であれば、医師である貴方は薬への耐性がある為に先に意識を取り戻し、彼女を助けようとして血が付着した。
そして、自警団に発見された。

そのように僕は推察する。

パソス・ウェルテクス 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
まず推理を披露する前の材料として、犯人や彼女の人柄について<事前調査>して、他の者の意見や情報を基に<推測>していく
その上でパソスが導き出した推理が以下の通り

「彼女がじつは毒が入っている小瓶を使って自殺をしていた、それを知った犯人である彼が他殺に見せかけようと偽装工作までした。彼が自分を犯人にしたいのは、彼女がいない世界に未練はなく、自分が殺したことにしてこの世を去りたいから」

なお、矛盾点を指摘された場合は一番その矛盾を突き崩せそうな者に目星をついて、<演技+ハッタリ>でその者に任せる

金田・一郎 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
一郎は静かに語り始める。

彼女の持病は死に至るものではなかったが、大変苦痛を伴うものであった。
彼女はこれ以上の苦痛が続くことを望んでおらず、彼に死を求めていたが、あなたは恋人の死を望むわけがなくただ病気を治すために日々薬の開発に励んでいた。
しかし薬の開発は遅々と進まなかった。
恋人の日を追うごとに苦痛によってやつれ果ててしまっていた。
そして再度にわたる恋人の死の嘆願に、疲れてしまっていたあなたはつい頷いてしまう。
そして言う「わかった、だけど僕もその後を追うよ」
彼の言葉に彼の死までは望んでいなかった彼女はそれを拒否したが彼の決意は固く、彼女も同意せざるを得なかった。

(続く)

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
囚人服の男性が犯人なら「計画的犯行」ではなさそうです。

医師であり、被害者が病弱で、関係は良好。
それなら、副作用がつよい薬などつかえば
かなりつかまりにくくできたはずですから。

「衝動的犯行」なら、状況とかをかくせないですから
その突発的動機の理由がでてきていたはずです。

不自然にかんじます。


記憶がない……似た事件にわたくしは遭遇してます。

マジック・トムさんという方があやつられ、ひどいことをさせられた。
トムさんはその間の記憶がないそうです。
そして、あやつられる直前、不審な人物と遭遇してた。

わたくしはその可能性について、囚人服の男性に聞き取りをしていきます。

それは過去の事件ではなく今の重大な脅威ですから。

リザルト Result

●懺悔
 教室に再現された事件現場の隅々を見回す学生たちを、やや離れたところから囚人服の男は眺めていた。
「……愛していたんです」
 そんなありふれた言葉では足りない、けれどこれ以上の言葉が見つからないほどに。
 ――愛していたんだ。だれがなんと言おうと、本当に。
 唯一その呟きを聞いていたメメルは、男の方に視線だけを向ける。
 ならば何故? そう紡ごうとした口は声を発せぬまま閉じられ、同じように学生たちに視線を向けてこう語る。
「大丈夫、彼らは優秀だ。きっと辿り着いてくれる」
 君や、世間が望む『真相』へと。

●運命の日の再演を
 ぐるりと室内を見渡した【ヘルムート・アーヴィング】は短く息を吐いた。
 現場の捜査記録と齟齬にある彼の発言が気にかかる。
 結局彼はナイフを持っていたのか、持っていなかったのか。
 どれが直接的な死因だったのか。ある程度の推測はできる、が、確証は得られない。
 それは他の者も同じだっただろう。
 証拠の少ない現場、風化してしまった記憶。しかし、【金田・一郎】は知っている。
 そんな中でこれだけの情報提示された、ということは『その情報の中に確実に真実がある』と雄弁に語っているという事を。
「さて」
 捜査を始めよう。
 グローブのはめ心地を確かめるようにしていた【ハイネ・セレネイド】が口を開く。
 怪しいところはたくさんあるが、さしあたってまずは……。
 伸ばされた手の先、机に置かれた小さな小瓶を調べようとして――手が止まった。
 何かの視線を感じる。ハイネが振り返ってみれば先ほどまでからは想像もつかないような表情を浮かべた囚人服の男が自分を凝視しているのが一瞬、見えた。
「何故、そんなに怖い顔をしているんだ?」
 それを尋ねたのは【パソス・ウェルテクス】だ。
 すると彼はすぐに先ほどまでの表情に戻り、『なんでもないですよ』と答えた。
「ただ、得体の知れないものに触るときは気をつけてくださいね」
「それは……、勘かい?」
 ティーポットに残った紅茶を【レーネ・ブリーズ】と共に調べていた【マリウス・ザ・シーフ】が顔を上げて聞けば、彼は人懐こそうな表情を向けてかぶりを振った。
「いいえ、経験です」
 そういえば彼は医者をしていたのだった。彼のその経験が医者としてのものか、実体験によるものかまではわからなかったが。
 勿論慎重に事を進めるつもりではあった。改めてハイネがその小瓶を摘み上げる。
 その甘くとろけそうな香りは危険である事が確実に理解できたのに、ふわふわと宙を漂うような錯覚といつまでも嗅いでいたいとさえ考えてしまうほど香しいものだった。
「これは……きっと毒。香りは筋弛緩作用があるもののようだね」
 その声は室内に大きな波紋を広げる。
 そこにいる誰もが『きっと毒である』と感じていたものの、確信が持てなかったそれをハイネが断定した。
 各々が想像していた真相に決定的な一打を与えることとなったそれを、凶器の調査をしていた【アケルナー・エリダヌス】が仮面の下の目を細めてみやる。
 筋弛緩作用のがあったとして、それが死に直結するものだろうか? いや、彼女は持病を持っていたといっていた。その持病が心臓系のものだったならあるいは。
(薬による心停止と、ナイフによる刺殺……)
 彼女の死因は、果たしてどちらなのだろうか。
 改めてナイフの方を見ると、ナイフには赤い絵の具のような塗料が付着しており、その塗料を削りとるように『AB-』とかかれている
「これはなんだ?」
「おそらく血液型の類いではないかな? ほら、ここにも同じ文字が書かれている」
 ここ、と一郎が指差したのは彼女の死体……の、代わりの人形。
 人形につけられた刺し傷の跡の近くに、同じように『AB-』という文字があった。
「えぇ、それは彼女の血液型です。ナイフに付着した血液と、彼女の血液型は一致していました」
「町のなかに他に彼女と同じ血液型の者は?」
「いいえ。ご存じかもしれませんが、マイナスの血液型というのはとても珍しく、彼女以外にこの血液型の人はいませんでした。血液型も、私の師匠で彼女の主治医に当たる方が調べたものですので間違いないかと」
 つまり、ナイフに付着した血液は彼女のものということだ。
「主治医までグルの可能性はあり得る、か?」
 ヘルムートが頭をひねる。
 彼女が名家のお嬢様ならば考えられなくないが、片田舎のごく普通の女性に対してそこまでするというのは可能性は低いように感じた。
「ふむ、こちらも調べ終わったよ」
 ティーポットとカップを調べていたマリウスとレーネが他の捜査組に合流した。
 どうだった? 
「ポットの中身はなんの変哲もない、ただの紅茶だった。だが……」
 視線が泳ぎ、言葉を濁すマリウスの態度を不思議がっていたところでレーネが話し始めた。
「ポットではなく、割れたカップに残った紅茶にその瓶と同じような香りが残っていました」
 つまり、瓶の中身は割れたカップの中に入れられ、それが何かの拍子に――おそらく、彼女が倒れたのと同時に落ちて割れてしまったのだろう。
 そしてナイフの血液は彼女の血液型と一致している。
 部屋の調査はほぼし尽くしたと言えよう。そんなとき、教室の扉がゆっくりと開かれた。
「おまたせ、こちらの用意もできたわ」
 沢山の資料を抱えて現れた【エリカ・エルオンタリエ】は、現場のセットと関係ないスペースに用意された机に持ち込んだ資料を広げる。
 これらは当時を知る人々からの証言や、現場の捜査記録をまとめたもの。
 それから図書館にある蔵書の中から借りた数冊の本。
「本の方は、皆の推理を固める補強材になるかと思って」
 学生たちはありがたいと言って、当時の資料に代わる代わる目を通していく。
 そして、全員がそれを読み終えた頃。
 彼らはそれぞれ真相にたどり着いた眼をしていた。
 ならば聞かせてもらおう、この悲劇はどうして起きたのか。
 彼はこの事件の真犯人なのか。その答えを。

●名探偵、皆を集めて『さて』と言い
「さぁ、誰からでもいいから発表してくれたまえ」
 裁判官のつもりだろうか、いつの間にか普段のマントから黒いマントにお召し変えをしたメメルがそう促すと、誰が先陣を切るかという視線だけの静かな譲り合いが繰り広げられた後、威勢よく歩み出たのはパソスであった。
「フフフ、この難事件……この『超天才美少女魔導士探偵』……パソス・ウェルテクスが解決してあげるわ!!」
 舞台役者のそれにも似た大見得を切れば、囚人服の男からはぺそぺそと下手くそな拍手が送られた。
 もっとも、拍手の音よりも彼の手枷が奏でる金属音の方が大きく、聞こえたのは言うまでもないが。
「ずばり、彼女の直接的な死因は毒による自殺! あなたが犯人になりたい理由は『彼女のいないこの世界に未練はない』から、自分が殺したことにしてこの世を去りたいから!」
 故に彼は他殺に見せかけるための偽装工作を行った。彼女の後を追うために。
 どうよこの名推理! どこか自慢げなパソスの考察を聞いて、男は小さく唸る。
「なるほど。……しかし彼女のいない世界に未練がない、最終的にこの世を去りたいと考えたのなら、その場で私自身も自殺をすればよかったのでは?」
 なんと言っても、自分を殺すためのナイフは自分自身が持っているのだから。
「あ……、えっと、いや! あなたは倒れた彼女をみて心神喪失状態だったでしょう!? 自分で自分を刺す暇なんてなかったはず!」
 男からの反論に豆鉄砲を食らった鳩のような顔をみせ、慌てふためきながら弁明する姿は素の彼女のようだった。

「そういえばそのナイフだが、当時の資料と証言の間に矛盾が生じているようだな」
 果たしてナイフは彼が持っていたのか、それとも落ちていたのか。
 そして彼が本当に彼女を刺したのか。いくつか疑問が残るが、そこは一度思考の外側に置いておいて。
「動機としては『持病で恋人の命は長くなく、苦しむ前に手に掛けようと思った』……、というのが自然だが」
「ならば安楽死させる為の別の手段をとればいい……、ですか?」
 彼がヘルムートに問いかければ、頷くだけで肯定を返す。
 もしも小瓶の中身を飲んだことで彼が錯乱状態に陥り、そういった状態でナイフを用いて刺したのなら。
 もしくは二人とも同じものを飲んだ。心中をするつもりだった。
 しかし、彼だけは耐性……あるいは、彼女よりも体が丈夫だったから、暫くして目を覚ましてしまったのだ。
 しかし彼が意識を失っている間に、彼以外の第三者が彼女を刺した。
 目覚めた彼は動揺しつつもこう考えた筈だ。『彼女を助けなければ』と。
「そう考えると貴方がナイフを持っていた理由は、彼女を助けようとしたから。これに尽きると思う」
 そうして彼が彼女の肢体に深々と突き刺さったそれを、抜き取ったその時。誰かが呼んだ自警団が到着し、君を取り押さえた、
 これがヘルムートが考え、辿りついた真相だ。
 静かにそれを聞いている男のその手が、僅かに震えているように見えた。

「では次はわたくし……、とはいっても、大した推理はできないですけれど」
 やや控えめに名乗りをあげたレーネが指摘したのは一連の調査と証言から生まれた『不自然』さ。
 その不自然さにはエリカも気になっていたらしい。
「ところで、一つ伺いたいのですけれど……あなたが犯行を行うより前に、なにかありませんでしたか? そう、例えば『誰かに会った』とか」
「いえ、ない……、と、思いますけど」
 断言はできない。けれどない、と思う。そんなどこかふわふわとした返答にレーネは目を細める。
 犯行時の記憶をなくしている。といった事象にレーネは覚えがあった。
 その事象の当事者だった男は……たしか『黒い羊飼いに遭遇した』と言っていた。
 もしもそういった事が、彼の身にもあったのならば。自身が追っている何かに一歩、近づける気がした。
「……あなたの身に『魔』が入り込んでいたなら」
 エリカは重ねるように言葉を紡ぐ。
 病弱だった彼女を、仲は悪くなかった彼が殺すはずがない。
 考えられるのは……、彼らは共に心中しようとしていた。
 一向に良くならない病。それは彼らの心を疲弊させるのに十分だっただろう。
 ――彼女がこれ以上、苦しむのは嫌だ。
 そう思って毒を用意した。勿論、後を追うつもりで。
 けれど彼女は一人で、その薬を全て飲んでしまったのだ。
「混乱したあなたに魔が入り込むのは簡単だったと思うわ」
 そうして死体を損壊させた。後に残った絶望をくらって、ソレは出て行った。
 残された彼には覚えがない、しかし確実に自分がやってしまったという事実だけが残された。
 ふむ、と何かを考えるように男は声を漏らす。
 魔、黒い羊飼い、謎の現象。
 確かに記憶がない以上、そういったある種の第三者の介入があったことは否定できない。
「……学生さんの発想力というのは中々楽しいですね」
 まるでどこか他人事のように語る男は、果たして本当に真相を知り犯人となりたがっているのか、貴方たちはすこし疑問に感じた。

「私からも聞きたい事がある」
 アルケナーが言いながら歩み出る。
 その手には先程まで、もしくはこの先にも幾度となく話題に上がるだろう小瓶。
 その中身は毒薬であったことは語り尽くされてきたことだと思われるが。
「もしかして……彼女の持病は痛みを伴うもので、それを紛らわすために強い幻覚作用のある薬を投与しなかったかな?」
「まさか! そんな、ことは……」
 そんなことは、ない。ない……、筈だ。
 ――いたい、イタい、痛い。苦しい。辛い。
 なのにどうして、彼女の声が耳なりのように聞こえるのだろう。
「次第に体を蝕む病魔に彼女は耐えきれなくなって、規定量以上の薬を飲んでしまった」
 過ぎる薬は毒と同義だ。精神的に追い詰められた彼女は自らを傷付け、そして動かなくなった。
 もしも彼女を癒すために、苦しみから逃すために用意した薬が、結果的に殺してしまった。
 ならば、自分が殺したことと同じだろう。
「だから君は、自分を犯人にしてほしいと願った」
 これがアルケナーの答え。
 彼女が彼に対して、何を感じていたか。その想いは置き去りにしたままに――。

 一郎は語り始める。
「俺も大体同意見だ。……君は医者だ、彼女の持病の治療方法や治療薬の開発をしていた。と、思う」
 けれど、長い闘病生活は治療する彼も、される彼女も疲弊させていく。そんなある日、彼女は君にこう告げる。
 ――もう楽にしてほしい。
 今までも度々聞かれた彼女の訴えに、貴方は頷いてしまう。
 ――わかった、だけど私もその後を追うよ。
 最後の晩餐。シロップの代わりに用意した甘い甘い毒。
 しかし彼は彼女を死なせるつもりはなかった。自分のお茶にだけ薬を溶かし、彼女のカップには睡眠薬を入れた。
 けれど、そこで予期せぬ事態が起きた。
 彼女は彼の思惑を見抜いていたのだ。彼が視線を外した僅かな隙に、彼女は彼のお茶と自分のものを交換しぐっと飲み干す。
 意識を手放す彼女。予定どおりに彼女にナイフを突き立て、毒入りだと思っていたお茶を飲み干した。
 後を追うために。しかし彼が飲んだものは睡眠薬で、彼は深い眠りへ落ちていった。
「お互いがお互いを思うばかりに、すれ違った悲しい結末。これが真相だよ」
 所詮、虚構に過ぎないけれど。そういって浮かべた表情は、きっと苦笑いだった。

 真実を知りたいのなら『私を犯人に』なんて願うものではない。
 そうやって前置きをしてから、語り始めた。
 マリウスは怪盗だ。隠されたモノを白日に晒し、奪われたものを奪い返す。
 これは自分の怪盗としての矜持で、『怪盗であるマリウス・ザ・シーフ』の存在理由そのもの。
 必ずキミに自由と名誉を取り戻す。だから、推理を
述べよう。
「そもそも君が犯人であるなら、こんなに滅多刺しにして殺す必要はない。人体の知識があるならもっとスマートに命を摘める方法を知っているはずだ」
 この事件にはもう一人、真犯人がいる。真犯人はひそかに彼女から頼まれ、彼女の息の根を止めるために急所となる場所を刺した。
 全てが終わって、真犯人は現場を後にする。
 彼が彼女を見つけた後、通報により駆けつけた自警団に拘束された彼を見て真犯人は、自分がやったと言い出せずに逃げてしまったのだ。
「もし、それが真相なら……」
 彼は呟く。その声は僅かに震えていて、内に怒りにも似た色を滲ませていて。
「私はその人物を赦すことはできませんね」
 余所事のようで、その一言は確実に真相を思い出しつつある様子だった。

「あらかた出揃ってしまったから、私からはIFの話をしよう」
 最後に残ったもう一人の怪盗――ハイネは指を三本立てて、語り始めた。
 1に、男が犯人の場合。
 彼女に頼まれて殺したのか。あるいは、病気に憂いたのか。
 どちらにしても正気ではいられないだろう。故に、どこかに気をやる方法を行った。
 それが薬によるものか、魔法によるものかはわからないけれど。
 次に、彼女が犯人の場合。
 治らない病の治療に疲れたことによる自殺。
 しかし自殺だと周囲に知られるのは避けたかった彼女は、どうにか他殺に見せかけるために策を講じた。
 そして、第三者が犯人の場合。
 最も可能性があると思われる説で、二人とも、あるいはどちらかに恨みがあった者が睡眠薬を盛り、彼女を滅多刺しにして殺した。
「あぁ、それからもう一つ。二人が同じ薬を飲んだ後に第三者に刺された説……。この場合の第三者とは、ストーカーとかそういった類いのものだね」
 勿論、このIFには何れも謎が残る。
「個人的にはもう一つの案が一番納得できたのだけど」
 どうかな? ハイネは首をかしげる。
 彼はいつしか俯いたまま、ただひたすらに独り言を呟き続けていた。
 気が触れてしまったのだろうか。看守の一人が彼の肩を揺さぶろうと手を伸ばした、その時。
 呟きは止み、小さな小さな声で彼は告げた。
「ありがとう、ございます……皆さんのおかげで、思い出せました」
 自分と、彼女の最期の一時を。
 この事件の『真相』を。

●事件の真相。あるいは彼の独白。
 私と彼女は幼なじみでした。
 彼女が患っていた病を治したい。一緒に長い時間を過ごしたい。
 子供心にそう感じた想いは、いつしか恋心となって、彼女と私はそういった仲になっていました。
 しかし、私がどれほど魔法医学を学んでも、どれほど治療法を調べても、彼女の病は良くなることはありません。
 やがて彼女は、私にこう頼むようになりました。
「この病気が治らないなら、せめて貴方の手で終わりを迎えたい」
 私は猛反対しました。何を考えているのか。必ず、治す方法を見つける。
 その度に彼女は悲しげな表情で私を見るのです。
 その日はとても暖かい日でした。
 彼女は何時ものように私にお茶を入れて、出してくれました。
 普段と唯一違ったのは、彼女は私の外出中に、こっそりと私の部屋から薬を盗み出し、自分のお茶に混ぜていたのです。
 彼女の体は薬が過剰に効いてしまう。投薬には細心の注意を払う必要がありました。
 そんな彼女が薬を一息に呷ったら……、結果なんて、わかりきったものでしょう。
 床に倒れる彼女、それと同時にお気に入りだったティーカップも落ちて割れました。
「心機能が弱くなっていき、薄れ行く意識のなかで彼女は最期にこう、懇願するのです」
 ――おねがい、私を休ませて。
 外れてはいけない『たが』が外れた音がしました。
 そして彼女の願いを叶える為に、私はナイフを手に取り……。

 男が看守らと共に去っていく。貴方たちが教室の片付けをさせられている中、メメルが口を開いた。
「嘱託殺人、ってヤツだな。罪が消えるわけではないが、少しは軽くなるんじゃないかな」
 口ぶりは普段の学園長そのままだ。……ほんの少し、悲しげな感情を帯びている気がしたが。
「チミたちはどうかな? もし親しい人が『自分を殺してほしい』って頼んできたら。それがその人の救いになるとしたら?」
 君はその事件の『犯人』になる勇気はあるかい?



課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
私をその事件の
執筆:樹 志岐 GM


《私をその事件の》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2020-05-14 00:01:49
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。
よろしくね。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 2) 2020-05-14 00:09:46
やあ。私は勇者・英雄コースのアケルナー。よろしく頼むよ。
今回は、犯人として囚われている男を納得させるお仕事かな。

さて、何が真相なのか……。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 3) 2020-05-14 00:19:19
いろいろと不可解なところがある話よね。

彼の生活していた田舎町の現場保存は申されてないにしても
住人に話を聞いてみたりはできるかしら?

《商人の才覚》 マリウス・ザ・シーフ (No 4) 2020-05-14 00:38:05
黒幕・暗躍コース、マリウス・ザ・シーフだ。
犯罪の専門家として力を発揮できるよう最善を尽くすとしよう。

ふむ……私はむしろ、男の態度が気になるね。
自分を犯人にしてくれだなんて、よほど追い詰められているのだろう。
恋人を喪ったことへの後悔がそうさせるのかな……。何にせよ、彼とは少し話してみたいところだ。

それと、鍵のある家財道具にピッキングの痕跡が無いか調べてみるよ。
もっとも、当時の家具をそのまま使っているのでなければ、無駄な作業になるだろうけれど。

《新入生》 パソス・ウェルテクス (No 5) 2020-05-14 00:48:51
超天才美少女魔術師探偵!!パソス・ウェルテクス、参戦!!

これはあれかな、男が誰かを庇おうとして自分が犯人になりたいってやつ?
…いやいや、思い込みは我らしくないぞ
エリカくんの言う通り、まずは捜査の基本である聞き込みからだ~!!

《商人の才覚》 マリウス・ザ・シーフ (No 6) 2020-05-14 03:28:37
……よく考えたら、犯行は10年前か。
ピッキングがあったとしても、サビや経年劣化で痕跡が残っているか微妙だな……。(ため息)

《勇往邁進》 金田・一郎 (No 7) 2020-05-14 08:26:06
最近絶不調の金田だ。宜しく頼む。
さて、真相を追求するか、あるいは虚構推理にするか悩むところだな。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 8) 2020-05-14 12:21:43
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。

とりあえず、お話を聞かせていただきたいと思ってきました。
連想程度ですが、心当たりはありますから。
ただ、納得してもらえるかはわかりませんけど。

よろしくお願いします。

《ゆうがく2年生》 ハイネ・セレネイド (No 9) 2020-05-15 18:57:55
挨拶が遅くなってしまい済まないね。

黒幕・暗躍コース所属
怪盗紳士ハイネ・セレネイド、ここに参上だ。

さてはて、納得するしないにしても様々なIFが考えられる訳だが…。
どの真実を取るかは、本人次第になりそうだね。

願わくば、彼が望む真実が手に入れられたらいいんだがね。
その為に最善を尽くそう。

全ては無実を明かすため

全ては彼が選びとる真実の為に。

前置きが長くなってしまったね。
私も宜しくお願いするよ(微笑み)

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 10) 2020-05-15 21:18:37
ちなみに

「日付は十年ほど前のもので、紙面には小さな田舎町の片隅で凄惨な殺人事件が起きたということを知らせるというもの」

「諸君らの中には初めて見る子もいるだろう。彼はその新聞に書かれている人。数十年前の殺人事件を起こした犯人その人だ」

えと、「十年ほど前」と「数十年前」ってちょっと意味合いが違ってそうな気もするんですけれど。
どちらでしょう?

《ゆうがく2年生》 ハイネ・セレネイド (No 11) 2020-05-15 22:30:23
数十年前、だから

10年、20年、30年と考えていたが…ふむ。

10年程前とは恐らく約10年とちょっとのニュアンスかなと。

この場合10年~20年の間と取るべきかな?
と考えていたね。

解釈が違っていたら申し訳ないが(笑いながら頬をかき)

《商人の才覚》 マリウス・ザ・シーフ (No 12) 2020-05-16 21:33:14
人間の意識とは割と当てにならないものだ。
文書に残された『十年ほど前』の方が正確で、『数十年前』は盛っている……
のではないか、と私は思っている。
本当はどうなんだろうね。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 13) 2020-05-17 21:11:57
とりあえず、きている男性が犯人だとしましたら、
「計画的犯行」ではなさそうだとおもいます。

被害者が「体のよわい女性」で、関係はよくて、医師の立場でしたら、
その気になれば副作用がつよい薬をのませるとかすれば
つかまる可能性はかなりひくくできたとおもいますから。

「衝動的犯行」でしたら、状況とかはかくせなかったはずですから、
その動機となる不祥事とかが何か、しらべればでてきていたとおもいます。

そして、「密室」というようなお話もないみたいです。

状況からうたがわしいとかんがえるのはおかしくありませんが、
これで即座に犯人と決めつけるひとたちがいたとかは、
かなり不自然にかんじてしまいます。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 14) 2020-05-18 00:21:43
導入部の
「私は彼女のすぐそばに立っていました。手には血塗れのナイフを持って」
という供述と

解説の
「逮捕された瞬間、私はそれ(ナイフ)を手にしてはいなかった」
という供述が矛盾しているのも気になると言えば、気になるけど

現場には彼と彼女しかいなくて、彼女が倒れていて一緒にいた彼が
自分以外の犯人の存在や自分が犯人ではないと言えないのなら、
駆け付けた人が彼が犯人だと思うのも自然な流れと言えば自然よね……

だけど、『彼が犯人である』と断定するにも弱いところがあるので
白にしても黒にしても、何か決め手が欲しい所ね

《商人の才覚》 マリウス・ザ・シーフ (No 15) 2020-05-18 02:26:30
>ナイフの矛盾
発見された時にはナイフを持っていた。逮捕された時には持っていなかった。
どちらも虚偽の証言や勘違いをしていないとすれば、
男がナイフを手に取っているところを通報した第三者が目撃し、
その後逮捕された時には床に落として(あるいは置いて)いた……ということになるね。

もし男が犯人だったら、駆けつけた人は幸運だった。
状況や男の思想によっては、そのまま口封じに殺されていてもおかしくないところだ。

もし男が犯人でなければ、ナイフを手に取ったことはあまりに迂闊と言わざるを得ないが、
恋人が明らかに助からない傷を負って倒れていたら動揺もするか。

それにしても何故、誰に目撃されたのかは気になるな。
悲鳴が聞こえでもしなければ、他所の家で起こった殺人事件をたまたま目撃したりはしないだろう?

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 16) 2020-05-19 09:03:22
個人的には「こうじゃないかな」というひとつの推測に至ったから、それをもとに行動送信済みだよ。
ただ、それがイメージとして固定されてもいけないから、あえて会議室では述べないでおくよ。

多様な意見が今回は必要かもしれないしね。